説明

レンズ鏡筒および光学装置

【課題】レンズ鏡筒の回転部の防塵・防滴構造にOリングを用いると、回転部材の操作に大きな力が必要になる。
【解決手段】レンズ鏡筒は、外装環3の円筒状の嵌合部3aに光軸回りで回転可能に嵌合する円筒状の嵌合部4aを有し、回転操作される回転部材4と、回転部材の外装環に対する光軸方向への移動を規制する規制部とを備える。外装環の光軸方向端面と回転部材の光軸方向端面との間に、周方向において切り込みがないように形成され、内周縁が外装環の外周側の周面に嵌合するとともに、光軸方向の面が回転部材の光軸方向端面に当接して両嵌合部の隙間を覆うリング部材7と、周方向において切り込みがないように形成され、弾性変形により生じた弾性力によってリング部材を回転部材の光軸方向端面に押し付ける、プラスチックまたは塩化ビニルにより形成された波形のリング部材8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の光学装置に用いられるレンズ鏡筒に関し、さらに詳しくはレンズ鏡筒の防塵・防滴構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒に設けられる回転操作部等の回転部分には、防塵・防滴構造が設けられることが多い。そして従来の防塵・防滴構造は、一般には、ゴム製のOリングをレンズ鏡筒の本体部材と回転部材との間に挟み込んで水やゴミ等の浸入を防ぐ構造となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9− 138453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような防塵・防滴構造では、Oリングと回転部材との間で大きな摩擦力が発生し、回転部材の操作に大きな力が必要になる。このため、回転部材の操作がし難くなったり、Oリング径の制約からスペースが有効に活用できなかったりするなど不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としてレンズ鏡筒は、円筒状の嵌合部を有する外装環と、外装環の嵌合部に光軸回りで回転可能に嵌合する円筒状の嵌合部を有し、回転操作される回転部材と、回転部材の外装環に対する光軸方向への移動を規制する規制部とを備えたレンズ鏡筒であって、外装環の光軸方向端面と回転部材の光軸方向端面との間に、周方向において切り込みがないように形成され、内周縁が外装環の外周側の周面に嵌合するとともに、光軸方向の面が回転部材の光軸方向端面に当接して両嵌合部の隙間を覆うリング部材と、周方向において切り込みがないように形成され、外装環の光軸方向端面とリング部材との間に配置されることによる弾性変形により生じた弾性力によってリング部材を回転部材の光軸方向端面に押し付ける、プラスチックまたは塩化ビニルにより形成された波形のリング部材とを有し、規制部は、外装環の光軸方向端面と回転部材の光軸方向端面との間の外に設けられていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の他の一側面としてのレンズ鏡筒は、円筒状の嵌合部を有する外装環と、カムフォロアーが固定された固定部材と、嵌合部に光軸回りで回転可能に嵌合する円筒状の嵌合部とカムフォロアーに嵌合する案内溝とを有し、回転操作される回転部材とを備え、カムフォロアーと案内溝との嵌合により、外装環に対する回転部材の光軸方向への移動を規制するレンズ鏡筒であって、外装環の光軸方向端面と回転部材の光軸方向端面との間に、周方向において切り込みがないように形成され、内周縁が外装環の外周側の周面に嵌合するとともに、光軸方向の面が回転部材の光軸方向端面に当接して両嵌合部の隙間を覆うリング部材と、周方向において切り込みがないように形成され、外装環の光軸方向端面とリング部材との間に配置されることによる弾性変形により生じた弾性力によってリング部材を回転部材の光軸方向端面に押し付ける波形のリング部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、外装環の光軸方向端面と回転部材の光軸方向端面との間に、外装環および回転部材の嵌合部の隙間を覆うリング部材および該リング部材を回転部材の光軸方向端面に押し付ける波形のリング部材を配置することにより、外部から両嵌合部の間の隙間を通って内部に水やゴミが侵入することを確実に防止できる。しかも、リング部材をプラスチックシートや塩化ビニルシート等により形成することにより、摩擦の大きなゴム製のOリングを用いる場合に比べて、回転部材の滑りがよくなり、回転部材の操作力軽減を図ることが可能になる。
【0008】
さらに、上記嵌合部に油脂、シリコン等の撥水材を塗布した場合でも、上記リング部材によって両嵌合部間の隙間を通って撥水材が外部に漏れ出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1であるレンズ鏡筒の断面図。
【図2】上記レンズ鏡筒の主要部の断面図。
【図3】上記主要部の部分拡大図。
【図4】本発明の実施例2であるレンズ鏡筒の主要部の断面図。
【図5】上記主要部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1から図3には、本発明の実施例1であるレンズ鏡筒を示している。このレンズ鏡筒は、カメラ等の光学装置に取り付けられ、又は一体的に設けられて使用される。
【0012】
図1に示すように、レンズ鏡筒1は、撮影光学系であり、物体側から第1群レンズI、第2群レンズII、第3群レンズIIIおよび第4群レンズIVを有する。レンズ鏡筒1の後部には、光学装置と結合させるためのマウント部100が設けられており、このマウント部100にはカメラと通信するための接点が設けられている。
【0013】
レンズ鏡筒1の内部には、光学装置と通信するための回路を構成した基板(図示せず)が内蔵されており、上記回路は光学装置からの信号を処理し、後述する各アクチュエータ110,131を駆動制御する。
【0014】
第2群レンズ(焦点調節装置)IIは、フォーカシング群であり、光学装置からの信号により駆動されたアクチュエータ100によって光軸方向に移動する。
【0015】
第3群レンズIIIは、防振群である。レンズ鏡筒1の内部は、互いに直交した方向の振れ(手振れ等)を検出する2つの角速度センサー(図示せず)が設けられており、これらセンサーからの信号は回路によって処理され、振れの量および方向に応じて第3群レンズIIIの傍らに配置した互いに直交した2つのアクチュエータ120(一方は図示せず)が駆動される。これにより、第3群レンズIIIは光軸に直交する方向に駆動され、手振れ等による像振れが防止される。
【0016】
第2群レンズIIと第3群レンズIIIとの間には、光量を調節する絞りユニット130が配置されている。光学装置からの信号を回路によって処理され、アクチュエータ131が駆動されることにより、絞りユニット130が作動し、光束を遮蔽する。
【0017】
前固定筒2aには、第1群レンズIが嵌合する嵌合部と、これら第1群レンズIを嵌合部に固定するための押え環がねじ込まれるネジ部とが複数箇所形成されている。この前固定筒2aは、後固定筒2bとネジによって固着される。
【0018】
後固定筒2bには、カム筒141および移動鏡筒142が内外径で嵌合している。カム筒141には、移動鏡筒142を光軸方向に移動させるためのカム溝が複数形成され、移動鏡筒142には、このカム溝に嵌合するカムフォロアー143が固着されている。
【0019】
また、移動鏡筒142には、第2群レンズIIが嵌合し、この第2群レンズIIは押え環によって移動鏡筒142に固定されている。この移動鏡筒142は、アクチュエータ110又はマニュアルリング(操作リング)4の駆動力によってカム筒141が回転することにより、光軸方向に移動し、ピントを調整する。
【0020】
前固定筒2aの外側には、前側外装環3がネジによって固定されている。この前側外装環3には、その本体部3eから光軸方向後方に延出するよう円筒状に形成されて、マニュアルリング(回転部材)4の内径嵌合部4aとクリアランスを持って略嵌合する嵌合部3aが設けられている。また、図2に示すように、この嵌合部3aの後端面3bは、マニュアルリング4の前側の端面4bに当接して、マニュアルリング4の光軸方向前方への移動を規制する。
【0021】
一方、マニュアルリング4の後側に設けられた後側外装環9は固定筒2に固定され、マニュアルリング4を前側外装環3とで光軸方向に挟み込んでいる。
【0022】
マニュアルリング4には、その本体部4eから光軸方向後方に延出するよう円筒状に形成されて、後側外装環9の内径嵌合部9aにクリアランスを持って略嵌合する嵌合部4cが設けられている。また、この嵌合部4cの後端面4dは、後側外装環9の前側の端面9bに当接する。これにより、マニュアルリング4の光軸方向後方への移動が規制され、前述したマニュアルリング4の光軸方向前方への移動規制と相まって、マニュアルリング4の光軸方向定位置での回転操作が可能となる。
【0023】
各嵌合部3a,4a,4c,9aには、グリスやシリコンオイル等の撥水材が塗布されている。これにより、各嵌合部間のクリアランスを通じた水の侵入が防止されるとともに、マニュアルリング4の回転をスムーズにすることができる。なお、嵌合部3a,4cの外周面には、油溝3c,4gが形成されている。
【0024】
このような構成を有するレンズ鏡筒において、本実施例では、図3に詳しく示すように、まず前側外装環3における本体部3eと嵌合部3aとの間の部分に周溝3dを形成し、この周溝3dと、互いに対向する前側外装環3の本体部3eの後側の光軸方向端面3fおよびマニュアルリング4の前側の光軸方向端面4hとにより形成される空間部5には、ワッシャー(シート状リング部材)7および波形ワッシャー(押圧用リング部材)8が嵌め込まれている。
【0025】
ここで、ワッシャー7の内周縁は、周溝3dの底部に嵌合している。また、ワッシャー7の後面はマニュアルリング4の前側の光軸方向端面4hに当接する。
【0026】
ワッシャー8は、複数の山を有した波形に形成されており、空間部5内への配置前の波部の高さは空間部5の光軸方向寸法より若干大きい。このため、ワッシャー7とワッシャー8とが空間部5に挿入され、マニュアルリング4が取り付けられた時には、ワッシャー8の山部の弾性変形により生じた弾性力によりワッシャー7がマニュアルリング4の前側端面4hに押し付けられる。
【0027】
一方、マニュアルリング4の本体部4eと嵌合部4cとの間の部分にも周溝4fを形成し、この周溝4fと、互いに対向するマニュアルリング4の本体部4eの後側の光軸方向端面および後側外装環9の前側の光軸方向端面とにより形成される空間部10には、ワッシャー(シート状リング部材)11および波形ワッシャー(押圧用リング部材)12が嵌め込まれている。
【0028】
ワッシャー11の内周縁は、周溝4fの底部に嵌合している。また、ワッシャー11の後面は後側外装環9の前側の光軸方向端面に当接する。
【0029】
ワッシャー12は、複数の山を有した波形に形成されており、空間部10内への配置前の波部の高さは空間部10の光軸方向寸法より若干大きい。このため、ワッシャー11とワッシャー12とが空間部10に挿入され、マニュアルリング4が取り付けられた時には、ワッシャー12の山部の弾性変形により生じた弾性力によりワッシャー11が後側外装環9の前側端面に押し付けられる。
【0030】
ワッシャー7,8,11,12は、プラスチックシートや塩化ビニルシートから形成されており、ワッシャー8,12の波形状が押さえられて反発する弾性力は、ワッシャー8,11をそれぞれマニュアルリング4,後側外装環9に押さえつける程度の弱い力である。
【0031】
また、ワッシャー7,8,11,12は、いずれも切り込みなどが無く、リング形状に形成されている。
【0032】
以上のように構成されたレンズ鏡筒によれば、ワッシャー7,11および撥水材によって外部からマニュアルリング4と各外装環3,9との嵌合部3a,4a,4c,9aの間のクリアランスを通って内部に水やゴミが侵入することを確実に防止できる。しかも、ワッシャー7,11をプラスチックシートや塩化ビニルシート等により形成しているので、摩擦の大きなゴム製のOリングを用いる場合に比べて、マニュアルリング4の滑りがよくなり、マニュアルリング4の操作力軽減を図ることができる。
【0033】
さらに、上記嵌合部3a,4a,4c,9aには撥水材が塗布されているが、ワッシャー7,11によって撥水材が外部に漏れ出すことを防止できる。
【実施例2】
【0034】
図4および図5を用いて本発明の実施例2であるレンズ鏡筒について説明する。なお、本実施例のレンズ鏡筒21の基本的な構成は実施例1のレンズ鏡筒と同様である。
【0035】
前固定筒22aには、第1群レンズIが嵌合する嵌合部と、これら第1群レンズIを嵌合部に固定するための押え環がねじ込まれるネジ部とが複数箇所形成されている。この前固定筒22aは、後固定筒22bとネジによって固着される。
【0036】
後固定筒22bには、カム筒241および移動鏡筒242が内外径で嵌合している。カム筒241には、移動鏡筒242を光軸方向に移動させるためのカム溝が複数形成され、移動鏡筒242には、このカム溝に嵌合するカムフォロアー243が固着されている。
【0037】
また、移動鏡筒242には、第2群レンズIIが嵌合し、これら第2群レンズIIは押え環によって移動鏡筒242に固定されている。この移動鏡筒242は、実施例1と同様に、アクチュエータ又はマニュアルリング(操作リング)23の駆動力によってカム筒241が回転することにより、光軸方向に移動し、ピントを調整する。
【0038】
前固定筒22aの外側には、前側外装環26がネジによって固定されている。この前側外装環26には、その本体部26eから光軸方向後方に延出するよう円筒状に形成されて、マニュアルリング(回転部材)23の内径嵌合部23aとクリアランスを持って略嵌合する嵌合部26aが設けられている。
【0039】
一方、マニュアルリング23の後側に設けられた後側外装環30は固定筒(図示せず)に固定され、マニュアルリング23を前側外装環26とで光軸方向に挟み込んでいる。
【0040】
マニュアルリング23には、その本体部23eから光軸方向後方に延出するよう円筒状に形成されて、後側外装環30の内径嵌合部30aにクリアランスを持って略嵌合する嵌合部23fが設けられている。
【0041】
各嵌合部23a,26a,23f,30aには、グリスやシリコンオイル等の撥水材が塗布されている。これにより、各嵌合部間のクリアランスを通じた水の侵入が防止されるとともに、マニュアルリング23の回転をスムーズにすることができる。なお、嵌合部26a,23fの外周面には、油溝26d,23iが形成されている。
【0042】
後固定筒(固定部材)22bには、マニュアルリング23と嵌合する嵌合部22cが形成されており、この嵌合部22cにはカムフォロアー24が嵌合する嵌合溝22dが加工されている。嵌合溝22dには、カムフォロアー24が複数箇所ビスによって固定されている。カムフォロアー24は、円周方向に均等分割された位置に3ヶ所から6ヶ所設けられている。
【0043】
マニュアルリング23には、その内径部に後固定筒22bと嵌合する嵌合部23mが形成されており、この嵌合部23mには、カムフォロアー24が嵌合する嵌合溝(案内溝)23bが加工されている。そして、カムフォロアー24を挿入する挿入穴23cが、マニュアルリング23の外径側からカムフォロアー24が取り付く場所と同じ数穴明け加工されている。このような構造により、マニュアルリング23は、光軸方向定位置にて回転操作可能となる。
【0044】
マニュアルリング23の外径部には、操作ゴム25が嵌め合わさる溝23dが形成されており、操作ゴム25によってマニュアルリング23の挿入穴23cが外観に露出するのを防いでいる。
【0045】
このような構成を有するレンズ鏡筒において、本実施例では、図5に詳しく示すように、まず前側外装環26における本体部26eと嵌合部26aとの間の部分に周溝26dを形成し、この周溝26dと、互いに対向する前側外装環26の本体部26eの後側の光軸方向端面26gおよびマニュアルリング23の前側の光軸方向端面23jとにより形成される空間部27には、ワッシャー(シート状リング部材)28および波形ワッシャー(押圧用リング部材)29が嵌め込まれている。
【0046】
ここで、ワッシャー28の内周縁は、周溝26dの底部に嵌合している。また、ワッシャー28の後面はマニュアルリング23の前側の光軸方向端面23jに当接する。
【0047】
ワッシャー29は、複数の山を有した波形に形成されており、空間部27内への配置前の波部の高さは空間部27の光軸方向寸法より若干大きい。このため、ワッシャー28とワッシャー29とが空間部27に挿入され、マニュアルリング23が取り付けられた時には、ワッシャー29の山部の弾性変形により生じた弾性力によりワッシャー28がマニュアルリング23の前側端面23jに押し付けられる。
【0048】
一方、マニュアルリング23の本体部23eと嵌合部23fとの間の部分にも周溝23gを形成し、この周溝23gと、互いに対向するマニュアルリング23の本体部23eの後側の光軸方向端面および後側外装環30の前側の光軸方向端面とにより形成される空間部31には、ワッシャー(シート状リング部材)32および波形ワッシャー(押圧用リング部材)33が嵌め込まれている。
【0049】
ワッシャー32の内周縁は、周溝23gの底部に嵌合している。また、ワッシャー32の後面は後側外装環30の前側の光軸方向端面に当接する。
【0050】
ワッシャー33は、複数の山を有した波形に形成されており、空間部31内への配置前の波部の高さは空間部31の光軸方向寸法より若干大きい。このため、ワッシャー32とワッシャー33とが空間部31に挿入され、マニュアルリング23が取り付けられた時には、ワッシャー32の山部の弾性変形により生じた弾性力によりワッシャー32が後側外装環30の前側端面に押し付けられる。
【0051】
ワッシャー28,29,32,33は、プラスチックシートや塩化ビニルシートから形成されており、ワッシャー29,33の波形状が押さえられて反発する弾性力は、ワッシャー28,32をそれぞれマニュアルリング23,後側外装環30に押さえつける程度の弱い力である。
【0052】
また、ワッシャー28,29,32,33は、いずれも切り込みなどが無く、リング形状に形成されている。
【0053】
以上のように構成されたレンズ鏡筒によれば、ワッシャー28,32および撥水材によって外部からマニュアルリング23と各外装環26,30との嵌合部23a,26a,23f,30aの間の隙間を通って内部に水やゴミが侵入することを確実に防止できる。しかも、ワッシャー28,32をプラスチックシートや塩化ビニルシート等により形成しているので、摩擦の大きなゴム製のOリングを用いる場合に比べて、マニュアルリング23の滑りがよくなり、マニュアルリング23の操作力軽減を図ることができる。
【0054】
さらに、上記嵌合部23a,26a,23f,30aには撥水材が塗布されているが、ワッシャー28,32によって撥水材が外部に漏れ出すことを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
防塵・防滴構造を有するレンズ鏡筒および光学装置を提供できる。
【符号の説明】
【0056】
1,21 レンズ鏡筒
2,2a,2b,22a,22b 固定筒
3,26 前側外装環
4,23 マニュアルリング
9,30 後側外装環
7,8,11,12,28,29,32,33 ワッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の嵌合部を有する外装環と、
前記外装環の嵌合部に光軸回りで回転可能に嵌合する円筒状の嵌合部を有し、回転操作される回転部材と、
前記回転部材の前記外装環に対する光軸方向への移動を規制する規制部とを備えたレンズ鏡筒であって、
前記外装環の光軸方向端面と前記回転部材の光軸方向端面との間に、
周方向において切り込みがないように形成され、内周縁が前記外装環の外周側の周面に嵌合するとともに、光軸方向の面が前記回転部材の光軸方向端面に当接して前記両嵌合部の隙間を覆うリング部材と、
周方向において切り込みがないように形成され、前記外装環の光軸方向端面と前記リング部材との間に配置されることによる弾性変形により生じた弾性力によって前記リング部材を前記回転部材の光軸方向端面に押し付ける、プラスチックまたは塩化ビニルにより形成された波形のリング部材とを有し、
前記規制部は、前記外装環の光軸方向端面と前記回転部材の光軸方向端面との間の外に設けられていることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記規制部は、前記外装環の当接面と前記回転部材の当接面とによって構成され、前記外装環の当接面と前記回転部材の当接面とが光軸方向において当接することで前記外装環に対する前記回転部材の光軸方向への移動を規制することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記規制部は、前記回転部材に設けられた案内溝と前記外装環に対して光軸方向への移動が規制された固定部材に固定されたカムフォロアーとによって構成され、前記カムフォロアーと前記案内溝との嵌合により前記外装環に対する前記回転部材の光軸方向への移動を規制することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
円筒状の嵌合部を有する外装環と、
カムフォロアーが固定された固定部材と、
前記嵌合部に光軸回りで回転可能に嵌合する円筒状の嵌合部と前記カムフォロアーに嵌合する案内溝とを有し、回転操作される回転部材とを備え、
前記カムフォロアーと前記案内溝との嵌合により、前記外装環に対する前記回転部材の光軸方向への移動を規制するレンズ鏡筒であって、
前記外装環の光軸方向端面と前記回転部材の光軸方向端面との間に、
周方向において切り込みがないように形成され、内周縁が前記外装環の外周側の周面に嵌合するとともに、光軸方向の面が前記回転部材の光軸方向端面に当接して前記両嵌合部の隙間を覆うリング部材と、
周方向において切り込みがないように形成され、前記外装環の光軸方向端面と前記リング部材との間に配置されることによる弾性変形により生じた弾性力によって前記リング部材を前記回転部材の光軸方向端面に押し付ける波形のリング部材とを有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記固定部材は、前記外装環に対して光軸方向への移動が規制されていることを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記リング部材および前記波形のリング部材は、シート状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒を備えたことを特徴とする光学装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−186199(P2010−186199A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123735(P2010−123735)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【分割の表示】特願平11−30318の分割
【原出願日】平成11年2月8日(1999.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】