説明

レンチキュラーレンズベースコーティング用受理材及びそれを用いた3Dプリント用シート

【課題】個人的に利用されているプリンタ等によって立体又は可変印刷物を作成することのできる3Dプリント用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ポリビニルアルコール水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンからなるレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材を提供する。また、本発明は、レンチキュラーレンズベース(0110)と、レンチキュラーレンズベースの平坦側面にコーティングされたポリビニルアルコール水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンからなる受理材を含有するプリントインク受理層(0120)と、からなる3Dプリント用シート(0100)を提供する。これにより、一般家庭においても手軽に立体又は可変印刷物を作成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を印刷するためのレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材及びそれを用いた3Dプリント用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レンチキュラーレンズを用いることにより、印刷画像を立体的に認識できるようにしたり(3D)、見る角度によって数種類の異なる画像が見えるようにしたり(チェンジング)、連続画像をスムーズなコマ送り動画のようにしたり(アニメーション)、一つの画像が異なるものに徐々に変化していくようにしたり(モーフィング)する技術が知られている。これらの印刷物は、図5に示すように、レンチキュラーレンズ(0501)の平坦面側に、立体視用又は可変視用に画像処理された画像(以下、3D用画像という)が印刷されているシート(0502)を貼り付けることにより製造されている。しかし、レンチキュラーレンズの凸レンズ位置と3D用画像位置とを正確に一致させなければならず、手間がかかっていた。そのため、特許文献1は、凸版印刷版を用いてレンチキュラーレンズの裏面に直接印刷することのできる立体印刷物を開示している。また、特許文献2は、3D用画像が印刷された基材上に、レンズ形成用インクを凸条状に列設してレンズ部を形成することのできる立体又は可変印刷物の製造方法を開示している。
【特許文献1】特開平8−90896号公報
【特許文献2】特開2000−155380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、個人的には、前記発明を実施する為の印刷機等は所有していない場合が多いため前記発明を利用することはできない。そこで、個人的に立体又は可変印刷物を作成しようとした場合には、まず3D用画像を紙などのシートに印刷し、そのシートを手作業によりレンチキュラーレンズに貼り付けることになるが、前述のように位置合わせの点で作業が困難である。そこで、レンチキュラーレンズシートに直接印刷することにより、前記課題をクリアする技術としては、例えば、特許文献1のようなものがあるが、特許文献1に記載の印刷方法は、レンズ上に印刷するための特別なインクを用いなくてはならず、家庭で使用する際、プリンタのインクを付け替える必要があり、不便である。また、現在、特許文献2のように、紫外線を照射することによりインクの硬化を行ういわゆるUVインクを用いた印刷技術もあるが、これは特別な印刷機、印刷技術等を要する印刷方法であり、家庭的な実施は困難である。このため、少量の印刷物を作成したいという家庭的な要望は満たせないものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、第一発明は、レンチキュラーレンズベースと、レンチキュラーレンズベースの平坦面側にコーティングされたレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材(以下、受理材という)を用いて形成されるプリントインク受理層、とからなることを特徴とする3Dプリント用シートを提供する。また、第二発明は、表面処理されたレンチキュラーレンズベースと、レンチキュラーレンズベースの平坦面側にコーティングされた受理材を用いて形成されるプリントインク受理層、とからなることを特徴とする3Dプリント用シートを提供する。
【0005】
第三発明は、ポリビニルアルコール水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンを含むことを特徴とする受理材を、第四発明は、前記受理材中の、ポリビニルアルコール水溶液の含量が50重量%から80重量%、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が20重量%から50重量%であることを特徴とする受理材を、第五発明は、前記受理材中の、ポリビニルアルコール水溶液の含量が65重量%から70重量%、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が30重量%から35重量%であることを特徴とする受理材を、第六発明は、前記受理材中のポリビニルアルコールが、完全けん化型ポリビニルアルコール及び/又は部分けん化型ポリビニルアルコールであることを特徴とする受理材を、第七発明は、前記受理材中に含まれるポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール含量が、10重量%から12重量%であることを特徴とする受理材を、更に、第八発明は、前記受理材中に含まれるアクリル酸エステルエマルジョン中のアクリル酸エステル含量が、45重量%であることを特徴とする受理材を提供する。
【0006】
第九発明は、カチオン系アクリル酸エステル水溶液およびアルコールを含むことを特徴とする受理材を、第十発明は、前記受理材に含まれるカチオン系アクリル酸エステル含量が、10重量%から30重量%であることを特徴とする受理材を、第十一発明は、前記受理材中に含まれるアルコール含量が、20重量%から50重量%であることを特徴とする受理材を提供する。
【0007】
第十二発明は、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤の一又は二以上をさらに含むことを特徴とする前記受理材を提供する。
【0008】
第十九発明は、前記受理材のいずれか一の受理材によりプリントインク受理層を形成したことを特徴とする3Dプリント用シートを提供する。
【0009】
第十三発明は、ポリビニルアルコール水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含むことを特徴とするレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材を、第十四発明は、ポリビニルアルコールの含量が4.8重量%から12重量%、アクリル酸エステルの含量が0重量%から18重量%であることを特徴とするレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材を提供する。
【0010】
第十五発明は、ポリビニルアルコール水溶液及び/又はカチオン系アクリル酸エステル水溶液を含むことを特徴とするレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材を、第十六発明は、ポリビニルアルコールの含量が4.8重量%から12重量%、カチオン系アクリル酸エステルの含量が0重量%から9.6重量%であることを特徴とするレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材を提供する。
【0011】
第十七発明は、前記受理材中のポリビニルアルコールが、完全けん化型ポリビニルアルコール及び/又は部分けん化型ポリビニルアルコールであることを特徴とする受理材を、第十八発明は、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤の一又は二以上をさらに含むことを特徴とする前記受理材を提供する。
【0012】
第二十発明は、前記受理材のいずれか一の受理材によりプリントインク受理層を形成したことを特徴とする3Dプリント用シートを提供する。
【0013】
第二十一発明は、塩化ビニル系材料、アクリル系材料、ポリエチレンテレフタレート系材料、のいずれか一又は二以上の組合せ材料からなるレンチキュラーレンズベースを用いたことを特徴とする3Dプリント用シートを、第二十二発明は、ベース厚が、0.35mmから6.5mmであるレンチキュラーレンズベースを用いたことを特徴とする3Dプリント用シートを、第二十三発明は、ピッチが10LPIから220LPIであるレンチキュラーレンズベースを用いたことを特徴とする3Dプリント用シートを提供する。
【0014】
第二十四発明は、液状受理材を100μmから200μm厚で塗布し、その後、乾燥形成するプリントインク受理層を有することを特徴とする3Dプリント用シートを、第二十五発明は、液状受理材乾燥後、形成したプリントインク受理層の厚さが20μmから40μmであることを特徴とする3Dプリント用シートを提供する。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成をとる本発明の「3Dプリント用シート及びレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材」により、専門の印刷業者などに作成を依頼することなく、個人的に利用されているプリンタ等とインクカートリッジ等をそのまま用いて3D用画像を印刷し、十分な性能を有する立体又は可変印刷物を作成することが可能となる。その結果、1枚からでも高画質の立体又は可変印刷物を作成することが可能となり、家庭において様々な立体又は可変印刷物を楽しむことができるようになる。
【0016】
また、大型の印刷機を有している場合には、大判の3Dプリント用シートを利用することにより、容易に、ずれのない3D用画像を印刷した立体又は可変印刷物を作成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0018】
なお、実施形態1は、主に請求項1、2に関する。
【0019】
実施形態2は、主に「PVA水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンを含む受理材:TYPE−A」について説明し、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、12、19、20に関する。
【0020】
実施形態3は、主に「カチオン系アクリル酸エステル水溶液及びアルコールを含む受理材:TYPE−B」について説明し、請求項1、2、9、10、11、12、19、20に関する。
【0021】
実施形態4は、主に「PVA水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含む受理材:TYPE−C」について説明し、請求項2、13、14、17、18、20に関する。
【0022】
実施形態5は、主に「PVA水溶液及び/又はカチオン系アクリル酸エステル水溶液を含む受理材:TYPE−D」について説明し、請求項2、15、16、17、18、20に関する。
【0023】
実施形態6は、主に「レンチキュラーレンズ」について説明し、請求項1、2、19、20、21、22、23に関する。
【0024】
実施形態7は、主に「受理層」について説明し、請求項1、2、19、20、21、22、23、24、25に関する。
【0025】
又、実施形態2、3、4、5は、主に、インク受理材及びそのインク受理材を用いた3Dプリント用シートについて説明している。各インク受理材は、「平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」のみに使用可能なものと、「平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」及び「未処理のレンチキュラーレンズ」いずれにも使用可能なものに分かれる。
【0026】
これらの関係を明確にするため、以下の表1に示す。
【表1】

<<実施形態1>>
<実施形態1の概要>
【0027】
実施形態1は、「レンチキュラーレンズベース」(0110)と、「プリントインク受理層」(0120)からなる「3Dプリント用シート」(0100)、又は、「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と、「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」に関する。
<実施形態1の構成>
【0028】
図1に示すように、本発明の「3Dプリント用シート」(0100)は、「レンチキュラーレンズベース」(0110)と、「プリントインク受理層」(0120)からなる。
【0029】
ここで、「レンチキュラーレンズベース」とは、図2に示すように、凸レンズ状のレンチキュラーレンズが形成されているレンズ面(0211)とその反対面に形成される平坦面(0212)を有する透明なシート状のものである。当該レンチキュラーレンズ面側よりレンチキュラーレンズベースを介して3D用画像を観察することにより、立体又は可変的効果を楽しむことが可能となる。
【0030】
「プリントインク受理層」(0120)とは、前記レンチキュラーレンズ平坦面側に、受理材により形成される層である。一般的に用いられるレンチキュラーレンズ上に、個人的一般的に利用されているプリンタやインクをそのまま用いて、直接3D用画像を鮮明に印刷することは、レンチキュラーレンズの材質等の面から困難である。そこで、本発明は、個人的一般的に利用されているプリンタやインクを用いて、直接3D用画像を鮮明に印刷することが可能な受理層をレンチキュラーレンズ平坦面側に設けることで、上記問題を解決したものである。よって、プリントインク受理層は、レンチキュラーレンズ平坦面側に対する付着性と個人的一般的に利用されているプリンタやインク等による印刷適正を満たすものとなっている。また、プリントインク受理層は透明性を有しているので、プリントインク受理層上に印刷された3D用画像等はレンズ面側から観察することが可能である。
【0031】
また、本発明の「3Dプリント用シート」は、「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と、「プリントインク受理層」からなるものでもよい。
【0032】
レンチキュラーレンズベース平坦面側に表面処理を施すことにより、前記プリントインク受理層に要求される、レンチキュラーレンズ平坦面側に対する付着性能を向上させることができる。その結果、受理材のバリエーションが増やせることとなる。個人的一般的に利用されているプリンタ用インクは、現在でも急速に改良されており、インクの改変に応じて、受理層の品質も改良する必要がでてくる。かかる場合、受理材のバリエーションが多いと、様々な要因による受理層への様々な要求性能を満たすことが可能となる。
【0033】
本発明に使用される表面処理方法は、特段制限されず、レンチキュラーレンズベース平坦面側に極性基を生成するようなものや、微細な凹凸を生成するようなものなど、あらゆる物理的、化学的、機械的表面処理方法等を用いることができる。前記表面処理方法の例としては、蒸気処理、グラフト化処理、薬品処理、カップリング剤による処理、UV処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線処理、イオンビーム処理、プライマー処理、火炎処理などがある。プライマー処理には、アルコール系アクリル酸エステル水溶液、ウレタン樹脂マイクロエマルジョン、酢酸樹脂エマルジョン、等のいずれか一又は二つ以上の組み合わせからなるアンカーコート用塗工液等を用いることができる。
【0034】
しかし、本発明の3Dプリント用シートは、表面処理したレンチキュラーレンズベース平坦面側上に形成したプリントインク受理層に3D用画像等を印刷し、前記平坦面側の反対側のレンズ面側から印刷した3D用画像等を観察することとなるため、表面処理後のレンチキュラーレンズベースは透明であることを要する。
【0035】
<<実施形態2>>
【0036】
<実施形態2の概要>
【0037】
実施形態2は、ポリビニルアルコール水溶液(以下、PVA水溶液という)及びアクリル酸エステルエマルジョンを含む受理材に関する。また、実施形態2は、本実施形態の受理材を用いて「プリントインク受理層」を形成した、「レンチキュラーレンズベース」と「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」、又は、「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」に関する。
【0038】
<実施形態2の構成>
【0039】
本発明の受理材は、「PVA水溶液」及び「アクリル酸エステルエマルジョン」を含むことを特徴とする。
【0040】
ここで、「受理材」とは、レンチキュラーレンズ平坦面側に形成される受理層を形成するために用いられるものである。すなわち、受理層の性能は、受理材により決定する。
【0041】
「PVA水溶液」は、完全けん化型PVA及び部分けん化型PVAを用いることができる。けん化度は種々のものを用いることができ、特段制限されない。例えば、完全けん化型PVAは、けん化度96〜100mol%のものを用いることができる。また、部分けん化型PVAは、50〜95mol%のものを用いることができる。完全けん化型PVAと部分けん化型PVAのどちらか一方のみを用いてもよいし、二つを組み合わせて用いてもよい。これらを調整することにより、PVA水溶液の粘度を調節することができる。
【0042】
次に、PVA水溶液中のポリビニルアルコール(以下、PVAという)は、3Dプリント用シート受理層を形成した後、プリントインクの水分を吸収し、プリントインク受理層中にプリントインクを保持する役目を果たす。よって、十分な印刷適正を得る為には、PVAがプリントインク受理層中、すなわち、受理材中に十分量含有されている必要があり、よって、PVA水溶液中にPVAが十分な量含有されている必要がある。しかし、PVA水溶液中に含まれるPVA含量が多くなると、PVA水溶液の粘度は高くなり、作業上、扱いにくくなる。以上より、PVA水溶液中のPVA含量は10重量%から12重量%であることが望ましい。しかし、PVA水溶液中のPVA含量は、前記範囲に特段制限されるものではない。結果として、プリントインク受理層中、すなわち、受理材中にPVAが十分量含有されていればよい。受理材には、PVA水溶液以外の成分を入れることも可能であり、添加剤をPVA水溶液及び受理材に入れることでこれらの粘度の調整が可能であり、また、受理層中のPVA含量の調整等も可能である。
【0043】
「アクリル酸エステルエマルジョン」とは、アクリル酸エステルが水中に乳濁しているものをいう。アクリル酸エステルの種類は、特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メチルヘキシルなどのアクリル酸のアルキルエステルを一又は二以上含んだものを用いることができる。アクリル酸エステルは、その付着性により、プリントインク受理層とレンチキュラーレンズベースを付着する役目を果たす。よって、プリントインク受理層をレンチキュラーレンズに十分付着させるためには、受理層中、すなわち、受理材中にアクリル酸エステルが適量含有されている必要があり、よって、アクリル酸エステルエマルジョン中にアクリル酸エステルが、十分量含有されている必要がある。しかし、PVA水溶液中に含まれるアクリル酸エステル含量が多くなると、アクリル酸エステルエマルジョンの粘度は高くなり扱いにくくなる。よって、アクリル酸エステルエマルジョン中のアクリル酸エステル含量は、45重量%程度であることが望ましい。しかし、アクリル酸エステルエマルジョン中のアクリル酸エステル含量は、前記範囲に特段制限されるものではない。結果として、プリントインク受理層中、すなわち、受理材中にアクリル酸エステルが十分量含有していればよい。添加剤をアクリル酸エステルエマルジョン及び受理材に入れることで、粘度等の調整、及び、受理層中のアクリル酸エステル含量の調整は可能である。
【0044】
前記PVA水溶液及び前記アクリル酸エステルエマルジョンを含む本発明の受理材は、プリントインクの印刷適正を考慮すると、受理材中のPVA水溶液の含量が50重量%以上で、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が50重量%以下であることが望ましい。PVA水溶液の含量が50重量%未満である場合には、受理層中に十分なPVAが確保できず、プリントインクを十分に吸収できない結果となる。また、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が50重量%より多い場合には、アクリル酸エステルの架橋が進み、受理層に高い耐水性が付与される。そのため、プリントインクがはじかれ、受理層中にプリントインクを十分に吸収することができず、品質のよい画像を印刷することができなくなる。
【0045】
また、プリントインク受理層とレンチキュラーレンズベースの付着性を考慮すると、受理材中のアクリル酸エステルエマルジョンの含量は、20重量%以上であることが望ましい。実際、受理層中のアクリル酸エステル含量が20重量%未満である場合、レンチキュラーレンズベースとの付着性が悪くなり、3D用画像の印刷時にプリンタのローラーなどに受理材が付着し剥れてしまう等の不都合が生じる。
【0046】
更に、受理材の乾燥速度、すなわち、受理層の形成速度を考慮すると、受理材中のPVA水溶液の含量は、80重量%以下であることが望ましい。受理材中のPVA水溶液の含量が、80重量%より多い場合、PVAの有する水溶性より、受理材の乾燥速度が遅くなり、工業的生産過程において受理層を形成するには不都合である。
【0047】
よって、本発明のPVA水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンを含む受理材は、PVA水溶液の含量が50重量%から80重量%であり、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が20重量%から50重量%であることが望ましい。
【0048】
また、より好ましくは、本発明のPVA水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンを含む受理材は、PVA水溶液の含量が65重量%から70重量%で、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が30重量%から35重量%であることが望ましい。この割合の受理材が、プリントインク受理層の乾燥速度及び強度、プリントインクの保持性の点において最適である。
【0049】
しかし、生産方法や添加剤等により、受理材の乾燥速度、すなわち、受理層の形成速度を向上させることも可能である。更に、添加剤等により、プリントインク受理層のインク吸収性等も調整可能である。よって、受理材中のPVA水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンの含量は、特段前記の範囲に制限されるものではない。また、前記したPVA含量を有するPVA水溶液や前記したアクリル酸エステル含量を有するアクリル酸エステルエマルジョン以外のPVA水溶液やアクリル酸エステルエマルジョンを用いる場合は、当然その含量に合わせて受理材中のPVA水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンの含量を調整する必要がある。
【0050】
又、本発明の受理材は、その他に、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤、等のうち一又は二以上をさらに含んでいてもよい。エタノールは、受理材の粘度・表面張力を抑え、消泡、殺菌、乾燥時間の短縮などの作用を有する。例えば、受理材中に5重量%程度加えることができる。また、エタノールとは別の消泡剤を添加してもよい。さらに、受理材へのカビなどの繁殖を防ぐために防腐剤を含んでいてもよい。また、垂れ防止剤を含んでいてもよい。例えば、垂れ防止剤としては、エチルヒドロキシセルロース(EHC)を用いることができる。また、レンチキュラーレンズベースへの塗布を均一に行うために、レベリング剤を含んでいてもよい。レベリング剤としては、アクリル系、ビニル系、シリコン系、フッ素系など種々の材料を用いることができる。
【0051】
本実施形態の「3Dプリント用シート」は、本実施形態の受理材を用いて「プリントインク受理層」を形成することができる。
【0052】
本実施形態の受理材を用いて形成された「プリントインク受理層」は、該受理材に用いる材料の性能より透明性を有するものである。
<<<実験データ>>>
【0053】
以下に、本実施形態の3Dプリント用シートの実施例及び実験結果を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
<<サンプル作成>>
【0055】
<受理材>
【0056】
受理材として用いるPVA水溶液は、12重量%PVA水溶液として、日本合成化学工業株式会社の「ゴーセノール(登録商標)GH20M」を使用した。また、受理材として用いるアクリル酸エステルエマルジョンは、45重量%アクリル酸エステルエマルジョンとして、昭和高分子株式会社の「ポリゾール(登録商標)AT−115、AT−130、F−417」を使用した。
【0057】
前記PVA水溶液とアクリル酸エステルエマルジョンを表2に示す1から9のパターンの重量%で混合し、9パターンの受理材を作成した。尚、今回はその他の添加剤は加えなかった。
【0058】
<評価サンプル作成方法>
【0059】
レンチキュラーレンズの平坦面に上記各受理材を、150μmの塗布厚にて塗布し、60℃の恒温器にて15分乾燥を行った。そして、セイコーエプソン社製のMAXART(登録商標)PX5500を用い、同社製の水溶性インクPX−P/Kインクにより3D用画像の印刷を行った。
【0060】
<<評価>>
3Dプリント用シートの評価は、以下の(イ)及び(ロ)の観点より行った。
【0061】
<評価項目>
【0062】
(イ)「印刷適正」:プリントインクの吸収性
【0063】
<評価方法>
目視により、3D用画像印刷直後のプリントインク受理層表面のプリントインク吸収具合を評価した。
【0064】
<判定基準>
◎は、にじみがなく3D画像を精度よく印刷できている状態である(図6に示す)。
○は、にじみがなく3D画像をよく印刷できている状態である(図7に示す)。
△は、少し画像がにじみ、3D画像がよく印刷できていない状態である(図8に示す)。
×は、画像がにじみ3D画像をよく印刷できていない状態である(図9に示す)。
【0065】
◎○は商品として使用可能レベルであり、△×は商品として使用不可能レベルである。
【0066】
<評価項目>
【0067】
(ロ)「付着性」:プリントインク受理層の強度
プリントインク受理層の強度とは、プリントインク受理層とレンチキュラーレンズベースとの付着具合を示すものである。
【0068】
<評価方法>
【0069】
(a)18mm幅の三菱樹脂製セロハンテープ「ダイアハロー(登録商標):OPP粘着テープ18mm×35mm」を指圧にて印刷直後のプリントインク受理層表面に貼り付け、その後剥離し、プリントインク受理層とレンチキュラーレンズベースとの付着具合を目視にて評価した。
【0070】
(b)印刷直後のプリントインク受理層表面をカッターナイフにて20mm角にカッティングした後、上記18mm幅のセロハンテープを指圧にて貼り付け、その後剥離し、プリントインク受理層とレンチキュラーレンズベースとの付着具合を目視にて評価した。
【0071】
<判定基準>
【0072】
◎は、前記評価方法(a)(b)共に剥離しない。○は、前記評価方法(a)では剥離しないが(b)では剥離する。×は、前記評価方法(a)(b)共に剥離する。◎○は商品として使用可能レベルであり、×は商品として使用不可能レベルである。
【0073】
<<結果>>
【0074】
表2に、上記2つの観点より行った3Dプリント用シートの評価結果を示す。(1)(2)においては、付着性は○だが、印刷適正が×で商品化不可能レベルであった。(3)(4)においては、印刷適正、付着性ともに○で、商品化可能レベルであった。(5)(6)においては、印刷適正、付着性ともに特に優れている◎で、商品化可能レベルであった。(7)(8)においては、印刷適正、付着性ともに○で、商品化可能レベルであった。(9)においては、印刷適正が○で、付着性は×で、商品化不可能レベルであった。
【表2】

【0075】
<<考察>>
【0076】
上記の結果から12重量%PVA水溶液と45重量%アクリル酸エステルエマルジョンからなるレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材は、PVA水溶液の含量が50重量%から80重量%、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が20重量%から50重量%であることが望まれる。また、より好ましくは、PVA水溶液の含量が65重量%から70重量%、アクリル酸エステルエマルジョンの含量が30重量%から35重量%であることが望まれる。この割合の受理材が、印刷適正、付着性において最適である。
【0077】
<<実施形態3>>
【0078】
<実施形態3の概要>
【0079】
実施形態3は、カチオン系アクリル酸エステル水溶液及びアルコールを含む受理材に関する。また、実施形態3は、本実施形態の受理材を用いて「プリントインク受理層」を形成した、「レンチキュラーレンズベース」と「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」、又は、「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」に関する。
【0080】
<実施形態3の構成>
【0081】
本発明の受理材は、カチオン系アクリル酸エステル水溶液及びアルコールを含むことを特徴とする。
【0082】
「カチオン系アクリル酸エステル水溶液」とは、水中で正に荷電したイオンになるアクリル酸エステルが溶解した水溶液であり、当該成分が受理層中でアニオン染料と反応してインキを固着させる機能を果たす。よって、プリントインク受理層中、すなわち、受理材中にカチオン系アクリル酸エステルが十分量含有していることが必要である。しかし、カチオン系アクリル酸エステルとアルコールとは基本的に相溶性が良好ではないため、カチオン系アクリル酸エステルを多量に含有させると、カチオン系アクリル酸エステル水溶液とアルコールを含む受理材の成分が不均一になりやすい等の不具合が生じるおそれがある。かかる場合、印刷適正、付着性、受理層の加工特性において品質のバラツキが生じてしまい、高品質の製品を工業的に量産するには不都合である。
【0083】
すなわち、受理材中に他の成分としてアルコールを添加する場合は、カチオン系アクリル酸エステルの含量は制限される。
【0084】
そこで、本実施形態においては、受理材中のカチオン系アクリル酸エステルの含量は、10重量%から30重量%であることが望まれる。
【0085】
「アルコール」は、本実施形態の中で、受理層の付着性を向上させる働きを果たす。よって、受理材中に十分量のアルコールが含まれている必要がある。しかし、前記の通り、アルコールとカチオン系アクリル酸エステルは、相溶性が良好でないため、アルコールの含量を多くし過ぎるとカチオン系アクリル酸エステル水溶液とアルコールを含む受理材の成分が不均一になりやすい等の不具合が生じる。よって、受理材中のアルコール含量は適量である必要がある。例えば、受理材中のアルコール含量は20重量%から50重量%にすることができる。受理材のアルコール含量が当該範囲のときは、カチオン系アクリル酸エステルとの相溶性に問題はなく、付着性、印刷適正等において良好な結果を得られる。
【0086】
なお、アルコールの種類は特段制限されないが、例えば、イソプロピルアルコールなどが使用できる。
【0087】
又、本発明の受理材も、その他に、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤、等のうち一又は二以上をさらに含んでいてもよい。
【0088】
本実施形態の「3Dプリント用シート」は、本実施形態の受理材を用いて「プリントインク受理層」を形成する。
【0089】
本実施形態の受理材を用いて形成された「プリントインク受理層」も、該受理材に用いる材料の性能より透明性を有するものである。
<<<実験データ>>>
【0090】
以下に、本実施形態の3Dプリント用シートの実施例及び実験結果を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
<<サンプル作成>>
【0092】
<受理材>
【0093】
受理材として用いる「カチオン系アクリル酸エステル水溶液」と「アルコール」は、20%カチオン系アクリル酸エステルアルコール水溶液として販売されている日本純薬株式会社の「ジュリマー(登録商標)SP−65T、SP−50TF」と30%カチオン系アクリル酸エステルアルコール水溶液として販売されている「ジュリマー(登録商標)SPO−202改」を使用した。
【0094】
「ジュリマー(登録商標)SP−65T、SP−50TF」は、アルコールとしてイソプロピルアルコールを50重量%含む。また、「ジュリマー(登録商標)SPO−202改」は、アルコールとしてイソプロピルアルコールを20重量%含む。
【0095】
今回は、その他の添加剤は加えず、受理材として前記カチオン系アクリル酸エステル水溶液をそのまま使用した。尚、カチオン系アクリル酸エステルを30重量%より多く含有した受理材については、前記した相溶性等の問題より30重量%より多くカチオン系アクリル酸エステルを含有したカチオン系アクリル酸エステルアルコール水溶液が見つからず、また、作成が困難であったため、作成できなかった。
【0096】
よって、表3に示す4パターンの受理材を作成した。
【0097】
<評価サンプル作成方法>
【0098】
前記実施形態2と同様の手段により作成を行った。
【0099】
<<評価>>
「評価項目」、「評価方法」、「判定基準」は、前記実施形態2と同様である。
【0100】
<<結果>>
【0101】
表3に、上記2つの観点より行った3Dプリント用シートの評価結果を示す。
【0102】
(1)においては、印刷適正、付着性共に×で、商品化不可能レベルであった。(2)においては、印刷適正、付着性共に○で、商品化可能レベルであった。(3)(4)においては、印刷適正、付着性共に特に優れている◎で、商品化可能レベルであった。
【表3】

【0103】
<<考察>>
【0104】
上記の結果から、カチオン系アクリル酸エステル含量が、10重量%から30重量%であるレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材であることが望まれる。また、より好ましくは、カチオン系アクリル酸エステル含量が、20重量%から30重量%であるレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材であることが望まれる。この割合の受理材が、印刷適正、付着性等において最適である。
【0105】
<<実施形態4>>
【0106】
<実施形態4の概要>
【0107】
実施形態4は、PVA水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含む受理材に関する。また、実施形態4は、本実施形態の受理材を用いて「プリントインク受理層」を形成した「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」に関する。
【0108】
<実施形態4の構成>
【0109】
本発明の受理材は、PVA水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含むことを特徴とする。
【0110】
「アクリル酸エステルマイクロエマルジョン」とは、アクリル酸エステルを粒径数十Åレベルでエマルジョン化したものである。本実施形態で使用する「アクリル酸エステルマイクロエマルジョン」は、ソープフリー系自己乳化型エマルジョンであることが望まれる。ソープフリー系自己乳化型エマルジョンとは、界面活性剤を使用せずエマルジョン化したもので、界面活性を示す極性基を有するモノマーを共重合させ分散粒子を形成させたものである。
【0111】
受理材中に界面活性剤を含有していると、受理層形成時に界面活性剤の濃縮された吸水スポットが形成される。吸水スポットが受理層中に多量に形成されると、水性インクを印刷した際に滲み等の不具合が発生するなど、印刷適正に悪影響を及ぼす。よって、界面活性剤を使用しないアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを使用することで、印刷適正の向上を実現できる。
【0112】
しかし、本実施形態で使用する「アクリル酸エステルマイクロエマルジョン」は、特段、ソープフリー系自己乳化型エマルジョンに制限されず、界面活性剤等によりエマルジョン化したタイプでもよい。界面活性剤等の添加剤が適量であれば、印刷適正に大きな悪影響は及ぼさずに、受理層の付着性を向上させることが可能である。
【0113】
本実施形態においても、PVAが受理層中で果たす役割は、実施形態2と同様である。よって、実施形態2と同様のPVA水溶液を使用することが望まれる。
【0114】
前記PVA水溶液及び/又は前記アクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含む本発明の受理材は、プリントインクの印刷適正及び付着性を考慮すると、受理材中のPVA含量が4.8重量%から12重量%、アクリル酸エステルの含量が、0重量%から18重量%であることが望ましい。また、より好ましくは、本発明のPVA水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含む受理材は、PVAの含量が4.8重量%から10.8重量%で、アクリル酸エステルの含量が3重量%から18重量%であることが望ましい。この割合の受理材が、プリントインク受理層の乾燥速度及び強度、プリントインクの保持性の点において最適である。
【0115】
又、本発明の受理材も、その他に、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤、等のうち一又は二以上をさらに含んでいてもよい。
【0116】
本実施形態の「3Dプリント用シート」は、本実施形態の受理材を用いて、表面処理したレンチキュラーレンズベース平坦面側に「プリントインク受理層」を形成する。
【0117】
本実施形態の受理材を用いて形成された「プリントインク受理層」も、該受理材に用いる材料の性能より透明性を有するものである。
<<<実験データ>>>
【0118】
以下に、本実施形態の3Dプリント用シートの実施例及び実験結果を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
<<サンプル作成>>
【0120】
<受理材>
【0121】
受理材として用いるPVA水溶液は、前記実施形態2と同様のものを使用した。また、受理材として用いるアクリル酸エステルマイクロエマルジョンは、30重量%アクリル酸エステルマイクロエマルジョンとして、日本純薬株式会社の「ジュリマー(登録商標)ET−410」を使用した。
【0122】
前記PVA水溶液とアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを表4に示す1から9のパターンの重量%で混合し、9パターンの受理材を作成した。尚、今回はその他の添加剤は加えなかった。
【0123】
<評価サンプル作成方法>
【0124】
表面処理を施したレンチキュラーレンズの平坦面に上記各受理材を、150μmの塗布厚にて塗布し、60℃の恒温器にて15分乾燥を行った。そして、セイコーエプソン社製のMAXART(登録商標)PX5500を用い、同社製の水溶性インクPX−P/Kインクにより3D用画像の印刷を行った。
【0125】
<<評価>>
「評価項目」、「評価方法」、「判定基準」は、前記実施形態2と同様である。
【0126】
<<結果>>
【0127】
表4に、上記2つの観点より行った3Dプリント用シートの評価結果を示す。(1)においては、印刷適正、付着性共に○で、商品化可能レベルであった。(2)においては、印刷適正は○で、付着性は特に優れている◎で、商品化可能レベルであった。(3)(4)(5)(6)においては、印刷適正、付着性共に特に優れている◎で、商品化可能レベルであった。(7)においては、印刷適正は○で付着性は特に優れている◎で、商品化可能レベルであった。(8)においては、付着性は○だが、印刷適正が×で、又、(9)においては、印刷適正、付着性共に×で、商品化不可能レベルであった。
【表4】

【0128】
<<考察>>
【0129】
上記の結果から12重量%PVA水溶液と30重量%アクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含むレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材は、PVAの含量が4.8重量%から12重量%、アクリル酸エステルマイクロエマルジョンの含量が0重量%から18重量%であることが望まれる。また、より好ましくは、PVAの含量が4.8重量%から10.8重量%、アクリル酸エステルマイクロエマルジョンの含量が3重量%から18重量%であるレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材であることが望まれる。この割合の受理材が、印刷適正、付着性等において最適である。
【0130】
<<実施形態5>>
【0131】
<実施形態5の概要>
【0132】
実施形態5は、PVA水溶液及び/又はカチオン系アクリル酸エステル水溶液含む受理材に関する。また、実施形態5は、本実施形態の受理材を用いて「プリントインク受理層」を形成した「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」に関する。
【0133】
<実施形態5の構成>
【0134】
本発明の受理材は、PVA水溶液及び/又はカチオン系アクリル酸エステル水溶液を含むことを特徴とする。
【0135】
本実施形態においても、PVAが受理層中で果たす役割は、実施形態2と同様である。また、カチオン系アクリル酸エステルが受理層中で果たす役割は、実施形態3と同様である。よって、本実施形態においても、実施形態2、及び、実施形態3と同様のPVA水溶液、及びカチオン系アクリル酸エステル水溶液を使用することが望まれる。
【0136】
前記PVA水溶液及び/又は前記カチオン系アクリル酸エステル水溶液を含む本発明の受理材は、プリントインクの印刷適正及び付着性を考慮すると、受理材中のPVA含量が4.8重量%から12重量%、カチオン系アクリル酸エステルの含量が、0重量%から9.6重量%であることが望ましい。また、より好ましくは、本発明のPVA水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含む受理材は、PVAの含量が4.8重量%から10.8重量%で、アクリル酸エステルの含量が1.6重量%から9.6重量%であることが望ましい。この割合の受理材が、プリントインク受理層の乾燥速度及び強度、プリントインクの保持性の点において最適である。
【0137】
又、本発明の受理材も、その他に、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤、等のうち一又は二以上をさらに含んでいてもよい。
【0138】
本実施形態の「3Dプリント用シート」は、本実施形態の受理材を用いて、表面処理したレンチキュラーレンズベース平坦面側に「プリントインク受理層」を形成する。
【0139】
本実施形態の受理材を用いて形成された「プリントインク受理層」も、該受理材に用いる材料の性能より透明性を有するものである。
<<<実験データ>>>
【0140】
以下に、本実施形態の3Dプリント用シートの実施例及び実験結果を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0141】
<<サンプル作成>>
【0142】
<受理材>
【0143】
受理材として用いるPVA水溶液は、前記実施形態2と同様のものを使用した。また、受理材として用いるカチオン系アクリル酸エステル水溶液は、16重量%カチオン系アクリル酸エステル水溶液として、日本純薬株式会社の「ジュリマー(登録商標)APO−600N、APO−601N、APO−602N」を使用した。
【0144】
前記PVA水溶液とカチオン系アクリル酸エステル水溶液を表5に示す1から9のパターンの重量%で混合し、9パターンの受理材を作成した。尚、今回はその他の添加剤は加えなかった。
【0145】
<評価サンプル作成方法>
前記実施形態4と同様の手段により作成を行った。
【0146】
<<評価>>
「評価項目」、「評価方法」、「判定基準」は、前記実施形態2と同様である。
【0147】
<<結果>>
【0148】
表5に、上記2つの観点より行った3Dプリント用シートの評価結果を示す。(1)においては、印刷適正、付着性共に○で、商品化可能レベルのあった。(2)(7)においては、印刷適正は特に優れている◎で、付着性は○で、商品化可能レベルであった。(3)〜(6)においては、印刷適正、付着性共に特に優れている◎で、商品化可能レベルであった。(8)(9)においては、付着性は特に優れている◎だが、印刷適正が×で、商品化不可能レベルであった。
【表5】

【0149】
<<考察>>
【0150】
上記の結果から12重量%PVA水溶液と16重量%カチオン系アクリル酸エステル水溶液を含むレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材は、PVAの含量が4.8から12重量%、カチオン系アクリル酸エステルの含量が0から9.6重量%であることが望まれる。また、より好ましくは、PVAの含量が4.8重量%から10.8重量%、カチオン系アクリル酸エステルの含量が1.6重量%から9.6重量%であるレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材であることが望まれる。この割合の受理材が、印刷適正、付着性等において最適である。
【0151】
<<実施形態6>>
【0152】
<実施形態6の概要>
【0153】
実施形態6は、塩化ビニル系材料、アクリル系材料、ポリエチレンテレフタレート系材料、のいずれか一又は二以上の組合せ材料からなるレンチキュラーレンズベースを有する3Dプリント用シートに関する。また、本実施形態は、ベース厚が、0.35mmから6.5mmであるレンチキュラーレンズベースを有する3Dプリント用シートに関する。更に、本実施形態は、ピッチが10LPIから220LPIであるレンチキュラーレンズベースを有する3Dプリント用シートに関する。
【0154】
<実施形態6の構成>
【0155】
本実施形態のレンチキュラーレンズベースは、材質等は特に限定されないが、塩化ビニル(PVC)系、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート(PET)系の材料を用いることが望まれる。これらの材料は、一種類に限定されず二以上を組み合わせたものであってもよい。具体的には、アクリルガラスやPET−G、A−PET(Amorphous PET)などで製造されたレンチキュラーレンズベースを用いることができる。これらの材料を用いることにより、本発明のレンチキュラーレンズベースに要求される、透明性、工業的量産性、受理層の付着性、個人的に利用するための低価格の実現、等の問題を解決することができる。
【0156】
しかし、その他、ポリプロピレン(PP)系、ポリスチレン(PS)系、ポリエステル(PE)系などの材料およびこれらを組み合わせた材料も透明性、受理層の付着性を有すれば、本実施形態のレンチキュラーレンズベースとして用いることが可能である。
【0157】
また、本実施形態のレンチキュラーレンズベースは、ベース厚が、0.35mmから6.5mmであることが望ましい。ここで、レンチキュラーレンズのベース厚(0213)とは、図2に示すように、レンチキュラーレンズの基材部分とレンチキュラーレンズの高さ分を合わせた厚みをいう。立体画像の視覚効果を得る為には、十分なレンチキュラーレンズのベース厚が必要であり、ベース厚が厚いほどより深い立体画像を表現することができる。本実施形態に使用するレンチキュラーベースのベース厚は、用途、印刷画像、印刷機等に応じて様々なベース厚を選択できる。ただし、3Dプリント用シートの厚さ(レンチキュラーレンズベースのベース厚+プリントインク受理層の受理層厚)が印刷機の許容厚の範囲内である必要がある。よって、一般的プリンタの許容厚を考慮した場合、本発明のレンチキュラーレンズベースのベース厚は(0213)、0.35mmから6.5mmであることが望ましい。当該厚さを有していれば、十分な立体画像の視覚効果を得ることができる。しかし、上記に記載している通り、プリンタ等の条件次第では必ずしも当該範囲に限定されるものではない。
【0158】
また、本実施形態のレンチキュラーレンズのピッチは、10LPIから220LPIであることが望ましい。
【0159】
レンチキュラーレンズのピッチ(0214)とは、図2に示すように、レンチキュラーレンズの繰り返し幅を示すもので、一般的には、「LPI」の単位で示される。ここで、「LPI」とは、「Lines Per Inch」の略であり、1インチあたりの山の数を示すものである。本発明に使用するレンチキュラーベースのピッチは特に限定されず、立体又は可変印刷物とするための3D用画像の画像数、立体画像の視認距離、プリンタの性能などの条件に応じて様々なピッチを選択できる。しかし、印刷した立体画像等を家庭的に使用することを可能にする本発明の効果を考慮すると、本発明のレンチキュラーレンズベースのピッチは、10LPI〜220LPI程度であることが望ましい。しかし、前記の通り、立体画像の使用の仕方、例えば、立体画像の視認距離等の条件次第では必ずしも当該範囲に限定されるものではない。
【0160】
本実施形態の「3Dプリント用シート」は、前記レンチキュラーレンズを有するものである。
【0161】
<<実施形態7>>
【0162】
<実施形態7の概要>
【0163】
実施形態7は、受理材を100μmから200μm厚で塗布後、乾燥形成されるプリントインク受理層を有する3Dプリント用シートに関する。また、本実施形態は、乾燥後の受理層の厚さが20μmから40μmの受理層に関する。
【0164】
<実施形態7の構成>
【0165】
本実施形態の3Dプリント用シートを構成するプリントインク受理層の形成方法は、図3(A)のように、レンチキュラーレンズベース平坦面(0310)に液状受理材(0321)を塗布し、乾燥することで形成される(図3(B))。受理材の乾燥方法やレンチキュラーレンズベースへの塗布方法は、特段制限されず、一般的方法を用いることができる。
【0166】
例えば、受理材の乾燥方法としては、自然乾燥でもよいし、レンチキュラーレンズベースやプリントインク受理層の成分に影響のない温度の恒温器を用いて乾燥させてもよい。恒温器を用いる場合には、無風の装置であってもよいし、送風により乾燥させるものであってもよい。例えば、60℃の恒温器(無風)を用いた場合には、液状受理材の塗布厚が100μmでは約10分、150μmでは約15分で乾燥させることができる。
【0167】
また、受理材のレンチキュラーレンズベースへの塗布方法としては、例えば、塗装、シルク印刷やグラビア印刷などの印刷方法を用いることができる。図4は、一例として、グラビア印刷により受理材を塗布する場合を示している。ローラーAとローラーBの間をレンチキュラーレンズベース(0410)が通る時に、ローラーB上の受理材(0421)がレンチキュラーレンズベースの平坦面側に塗布され、その後乾燥することによりプリントインク受理層(0420)を形成することになる。このとき、ドクターによって余分な受理材を掻き取ることにより、ローラーB上の受理材は一定の厚さにてレンチキュラーレンズベース上に塗布することができる。
【0168】
通常、個人で使用されるインクジェット式プリンタ用インク(以下、プリントインクという)は、顔料又は染料を用いた水性タイプである。本発明の3Dプリント用シートは、プリントインク受理層が前記水性インクの水分を十分に吸収する役目を果たすことで、当該プリントインクに対する印刷適正を有することになる。よって、受理層には、水分を十分に吸収できる機能が要求され、すなわち、受理層の厚さが印刷品質を決める上で重要になる。実際、前記受理材を用いて形成された受理層の厚さが20μm以下である場合、プリントインクを充分に吸収することができず、プリントインクが滲む等の不具合が生じ、十分な品質の3D用画像を印刷することができない。よって、受理層は20μm以上であることが望ましい。また、家庭等で使用される一般的プリンタに使用するための3Dプリント用シートの許容厚及び、レンチキュラーレンズに要求されるベース厚を考慮すると40μm以下であることが望ましい。以上より、前記受理材を用いて形成された受理層の厚さは20μmから40μmであることが望ましい。しかし、前記に記載している通り、プリンタやレンチキュラーレンズの条件や使用する受理材次第では必ずしも当該範囲に限定されるものではない。
【0169】
また、受理層の厚さを前記条件にするためには、塗布する受理材の厚さ(以下、塗布厚という)が、100μmから200μmであることが好ましい。実際、液状受理材の塗布厚が100μm以下である場合には、受理層の厚さが十分でなく、また、受理材の塗布厚が200μm以上である場合には、受理材の乾燥に時間がかかってしまい、十分な生産スピードが得られない結果となる。しかし、受理材の塗布厚は、特段、前記範囲に限定されるものではなく、受理材乾燥後に形成される受理層の厚さが印刷適正を保てる十分な厚さを有し、かつ、受理層の形成が十分な生産スピードで行えればよい。
【0170】
尚、受理材は、一度に塗布してもよいし、複数回に分けて塗布してもよい。
【0171】
本実施形態の「3Dプリント用シート」は、前記受理層の形成方法により形成された、20μmから40μmの厚さを有するプリントインク受理層を有する。
【0172】
<本発明の効果>
【0173】
「レンチキュラーレンズベース」と、「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」、又は、「レンチキュラーレンズベース平坦面側を表面処理したレンチキュラーレンズベース」と、「プリントインク受理層」からなる「3Dプリント用シート」を用いることにより、従来の3Dプリント用シートでは困難だった、個人的一般的に利用されているプリンタやインクをそのまま用いて3D用画像等を印刷することが可能となる。ここで、個人的一般的に利用されているプリンタは、3Dプリント用シートのピッチと3D用画像の印刷位置合わせを行うことができるものであればいずれでもよく、例えば、セイコーエプソン社製、キャノン社製、ヒューレット・パッカード社製などの種々のメーカーのプリンタを用いることができる。
【0174】
また、実施形態2、3、4、5、の受理材を用いて実施形態7記載のプリントインク受理層を形成することで、個人的一般的に利用されているプリンタやインクをそのまま用いて鮮明に3D用画像等を印刷することが可能となる。
【0175】
更に、実施形態6のレンチキュラーレンズを用いて3Dプリント用を構成することで、受理層をその表面に形成することを実現し、個人的一般的に利用されているプリンタやインクをそのまま用いて3D用画像等を鮮明に印刷することが可能となり、その性能においても、十分3D用画像を楽しめるものを実現する。
【0176】
更に、実施形態7に記載の製造方法を用いてプリントインク受理層を形成することで、本発明の3Dプリント用シートを工業的生産過程において量産可能となる。
【0177】
これにより、1枚からでも高画質の立体又は可変印刷物を作成することが可能となり、家庭において様々な立体又は可変印刷物を楽しむことができる
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明の3Dプリント用シートを示す図
【図2】レンチキュラーレンズベースを示す図
【図3】プリントインク受理層の形成方法を示す図
【図4】レンチキュラーレンズベースへの受理材の塗布方法の一例を示す図
【図5】従来の3D画像印刷物の作成方法を示す図
【図6】印刷適正「◎」の判定基準を示すサンプル写真
【図7】印刷適正「○」の判定基準を示すサンプル写真
【図8】印刷適正「△」の判定基準を示すサンプル写真
【図9】印刷適正「×」の判定基準を示すサンプル写真
【符号の説明】
【0179】
0100 3Dプリント用シート
0110、0310 レンチキュラーレンズベース
0120、0320 プリントインク受理層
0322 塗布厚
0323 受理層厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチキュラーレンズベースと
レンチキュラーレンズベースの平坦面側にコーティングされたレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材で形成されるプリントインク受理層と
からなる3Dプリント用シート。
【請求項2】
レンチキュラーレンズベースと
表面処理されたレンチキュラーレンズベースの平坦面側にコーティングされたレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材で形成されるプリントインク受理層と
からなる3Dプリント用シート。
【請求項3】
ポリビニルアルコール水溶液及びアクリル酸エステルエマルジョンを含む
レンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項4】
ポリビニルアルコール水溶液の含量が50重量%から80重量%
アクリル酸エステルエマルジョンの含量が20重量%から50重量%
である請求項3に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項5】
ポリビニルアルコール水溶液の含量が65重量%から70重量%
アクリル酸エステルエマルジョンの含量が30重量%から35重量%である
請求項3に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項6】
前記ポリビニルアルコールは、
完全けん化型ポリビニルアルコール及び/又は部分けん化型ポリビニルアルコールである
請求項3から5のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール含量は、10重量%から12重量%である
請求項3から6のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項8】
前記アクリル酸エステルエマルジョン中のアクリル酸エステル含量は、45重量%である
請求項3から7のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項9】
カチオン系アクリル酸エステル水溶液及びアルコールを含む
レンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項10】
カチオン系アクリル酸エステル含量は、10重量%から30重量%である
請求項9に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項11】
アルコール含量は、20重量%から50重量%である
請求項9又は10に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項12】
さらに、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤の一又は二以上を含む
請求項3から11のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項13】
ポリビニルアルコール水溶液及び/又はアクリル酸エステルマイクロエマルジョンを含むレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項14】
ポリビニルアルコールの含量が4.8重量%から12重量%
アクリル酸エステルの含量が0重量%から18重量%である
請求項13に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項15】
ポリビニルアルコール水溶液及び/又はカチオン系アクリル酸エステル水溶液を含むレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項16】
ポリビニルアルコールの含量が4.8重量%から12重量%
カチオン系アクリル酸エステルの含量が0重量%から9.6重量%である
請求項15に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項17】
前記ポリビニルアルコールは、
完全けん化型ポリビニルアルコール及び/又は部分けん化型ポリビニルアルコールである
請求項13から16のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項18】
さらに、エタノール、消泡剤、防腐剤、垂れ防止剤、レベリング剤の一又は二以上を含む
請求項13から17のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材。
【請求項19】
請求項3から12のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材によりプリントインク受理層を形成した
請求項1に記載の3Dプリント用シート。
【請求項20】
請求項3から18のいずれか一に記載のレンチキュラーレンズベースコーティング用受理材によりプリントインク受理層を形成した
請求項2に記載の3Dプリント用シート。
【請求項21】
前記レンチキュラーレンズベースは、
塩化ビニル系材料、アクリル系材料、ポリエチレンテレフタレート系材料のいずれか一又は二以上の組合せ材料からなる
請求項1又は2又は19又は20のいずれか一に記載の3Dプリント用シート。
【請求項22】
前記レンチキュラーレンズベースのベース厚は、0.35mmから6.5mmである
請求項1又は2又は19から21のいずれか一に記載の3Dプリント用シート。
【請求項23】
前記レンチキュラーレンズベースに形成されているレンチキュラーレンズは、
ピッチが10LPIから220LPIである
請求項1又は2又は19から22のいずれか一に記載の3Dプリント用シート。
【請求項24】
前記プリントインク受理層は、
液状受理材を100μmから200μm厚で塗布後,乾燥することで形成される
請求項1又は2又は19から23のいずれか一に記載の3Dプリント用シート。
【請求項25】
前記プリントインク受理層は、
液状受理材乾燥後の厚さが20μmから40μmである
請求項1又は2又は19から24のいずれか一に記載の3Dプリント用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−269022(P2007−269022A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62162(P2007−62162)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(506084863)
【出願人】(000236584)不易糊工業株式会社 (4)
【出願人】(506084379)株式会社Eyes Japan (1)
【Fターム(参考)】