説明

レンチキュラーレンズ形成装置およびレンチキュラーレンズ形成装置を利用した3D画像形成装置

【課題】レンズ形成効率が良好なレンチキュラーレンズ形成装置およびレンチキュラーレンズ形成装置を利用した3D画像形成装置を提供する。
【解決手段】
対象物上に透明トナーを塗布し、単位面積あたり熱量H1を与えて定着し、前記対象物上に厚みD1の透明トナー層を形成するための透明トナー層形成部と、前記透明トナー層に単位面積あたり熱量H2を与えて加熱し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した最大厚みD2の複数の凸レンズを形成するためのレンズ形成部とを備え、前記レンズ形成部は、前記熱量H1と、前記厚みの差D2−D1とに基づき、前記熱量H2を決定するための熱量決定部を備えることを特徴とするレンチキュラーレンズ形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式を利用したレンチキュラーレンズ形成装置およびレンチキュラーレンズ形成装置を利用した3D画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、高画質画像を再現性および操作性良くかつ安価に形成できることから、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの2種以上の機能を有する複合機などとして幅広く利用されているが、レンチキュラーレンズの形成にも利用し得る。
【0003】
レンチキュラー(lenticular)レンズシートは、図24(A)に示されるような透明シートTSの表面に細長い微細なカマボコ状の凸レンズ(レンチキュラーレンズLL)を並べてシート状に配置したものである。図24(B)に示されるように、当該シートの裏面に印刷されたレンチキュラー画像LI(2つ以上の画像を短冊状に分割し、レンチキュラーレンズのピッチに合わせて交互に並べられた画像)が凸レンズの屈折効果により、見る角度によって画像が切り替わる。
【0004】
例えば、図24(B)において、視点αからレンチキュラーレンズLLを通してレンチキュラー画像LIを見たとき、レンチキュラー画像LIの画像4から出た光がレンチキュラーレンズLLの屈折作用により実線で示される経路1α,2α,3α,4αを介して視点αに入るため、画像4のみが見える。一方、視点βからレンチキュラーレンズLLを通してレンチキュラー画像LIを見たとき、レンチキュラー画像LIの画像2から出た光が、レンチキュラーレンズLLの屈折作用により点線で示される経路1β,2β,3β,4βを介して視点βに入るため、画像2のみが見える。
【0005】
このようにして、異なる視点からレンチキュラー画像LIを見るとき、見る角度に応じて異なる画像が見えるため、複数の画像を切りかえることが可能になる。さらに、左右の目の視点の違いによっても見える画像が異なるため、この目の視差を利用することによって、3D眼鏡等の特別な装置を用いることなしに立体感のある画像が実現できる。このような利点のため、レンチキュラーレンズシートは、ポスターや看板等の用途に幅広く使用されている。
【0006】
このようなレンチキュラーレンズシートの作製方法の一例としては、例えば、透光性を示す透明シートの片面側にレンチキュラーレンズを形成するための熱可塑性の樹脂層、もう一方の面側にトナーによる像形成を行うための熱可塑性の受像層を設けた透明シートを用いてトナーによる画像形成を行った後、レンチキュラーレンズLLを形成するための樹脂層にレンズ形成を行うことで表面にレンズ層を有する画像を得る方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
従来技術においては、トナーによる像形成に電子写真方式を用いている一方で、レンチキュラーレンズの形成には成形型による熱プレス等の別工程を用いており、別途作製装置を必要としていた。それゆえ、透明トナー層の形成からレンチキュラーレンズの形成までの一連の工程を全て電子写真方式で行うことにより、単一の装置で手軽に作製できるレンチキュラーレンズ形成装置が望まれていた。
【0008】
また、このようなレンチキュラーレンズ形成装置を利用することにより、単一の装置で手軽に作製できる3D画像形成装置も望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−26477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のレンチキュラーレンズ形成装置においては、高品質のレンチキュラーレンズが形成できるようにレンズ形成部における加熱条件を設定するのは困難であった。一般に、レンズ形成に用いるためのローラ等の部材表面はレンズ形状に応じた形状に加工されている。ニップ内でトナー溶融させてレンズ形状に合うようにトナーを成型するとき、ローラ部材の表面にはゴム層が付与されていない、いわゆるハードローラ構造である必要がある。それゆえ、ニップの幅を広く取ることは困難であり、記録媒体の一面に転写された透明トナー層を定着させるためには、透明トナー層を高温で加熱する必要がある。ハードローラ構造の狭いニップ幅でトナーを完全に溶融させて定着させるためには、ローラ温度を極めて高温にする必要があるが、高温で加熱された透明トナー層は粘度が低下するため、耐ホットオフセット性が低下し、レンズ層の表面平滑性が低下してしまう。一方、ホットオフセットの発生を抑制するには、透明トナー層の加熱温度を低下させる必要があるが、この場合、記録媒体に対するレンズ層の接着強度も低下するため、例えば、指で軽く触っただけでレンズ層が剥離してしまう。
【0011】
それゆえ、従来のレンチキュラーレンズ形成装置においては、レンズ形成部によって透明トナー層を記録媒体に定着させると同時に、凹凸形状に成型してレンズ層を形成するため、レンズ形成部時の温度設定の自由度が低く、レンズ形成部における加熱条件設定を一層困難なものにしていた。
【0012】
また、このような電子写真方式のレンチキュラーレンズを3D画像形成装置に利用する場合、レンチキュラー画像とレンチキュラーレンズとの整合が不可欠となるが、レンズ形成部の型にバラツキが存在すると、従来の位置合わせの手法で整合を実現するのは困難であった。
【0013】
さらに、前記3D画像形成装置において、レンチキュラー画像の厚みにもバラツキが存在する場合、良好なレンズ層形成の妨げとなる問題があった。
【0014】
この発明は、前記問題点に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1観点によれば、この発明によるレンチキュラーレンズ形成装置は、対象物上に透明トナーを塗布し、単位面積あたり熱量H1を与えて定着し、前記対象物上に厚みD1の透明トナー層を形成するための透明トナー層形成部と、前記透明トナー層に単位面積あたり熱量H2を与えて加熱し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した最大厚みD2の複数の凸レンズを形成するためのレンズ形成部とを備え、前記レンズ形成部は、前記熱量H1と、前記厚みの差D2−D1とに基づき、前記熱量H2を決定するための熱量決定部を備えることを特徴とするレンチキュラーレンズ形成装置である。
【0016】
第2観点によれば、この発明による第1の3D画像形成装置は、基材面上に画像用トナーを塗布してレンチキュラー画像を形成させるための画像形成部と、前記レンチキュラー画像上に透明トナー層を形成し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した複数の凸レンズを形成するためのレンチキュラーレンズ形成装置とを備え、前記レンチキュラーレンズ形成装置は、前記レンチキュラー画像が形成された前記基材面上に前記各凸レンズを前記レンチキュラー画像と整合する位置に形成することによって3D画像を形成することを特徴とする3D画像形成装置である。
【0017】
第3観点によれば、この発明による第2の3D画像形成装置は、基材面上に画像用材料を塗布してレンチキュラー画像を形成するための画像形成部と、前記レンチキュラー画像上に透明トナー層を形成し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した複数の凸レンズを形成するためのレンチキュラーレンズ形成装置と前記レンチキュラー画像の厚みを検出する画像層厚検出部と、前記基材面上への前記透明トナーの塗布量を調整する透明トナー塗布量調整部とを備え、前記画像形成部は、前記レンチキュラー画像を前記基材面上に形成し、前記レンチキュラーレンズ形成装置は、前記レンチキュラー画像が形成された前記基材面上に前記各凸レンズを前記レンチキュラー画像と整合する位置に形成することによって3D画像を形成し、前記透明トナー塗布量調整部は、前記レンチキュラー画像の厚みに応じて前記透明トナーの塗布量を調整し、前記レンチキュラー画像と前記透明トナー層とを合わせた全体の厚みを均一にすることを特徴とする3D画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によるレンチキュラーレンズ形成装置によれば、凸レンズ形成時に加圧成形によって透明トナー層の厚みの変化による最適温度条件の変動が生じたとしても、定着時に与えた熱量と当該厚みの変化とに基づいてホットオフセットの限界値が予測できるため、良好なレンズ形成効率を有するレンチキュラーレンズ形成装置が実現できる。
【0019】
この発明による第1の3D画像形成装置によれば、レンズ形成部の型にバラツキが存在したとしても、レンズ形成部の型の形状に応じてレンチキュラー画像の形成状態を変更することにより、型とレンチキュラー画像とのずれを防ぐことが可能な3D画像形成装置が実現できる。
【0020】
この発明による第2の3D画像形成装置によれば、レンチキュラー画像の厚みに通常バラツキが存在する場合でも、レンチキュラー画像の厚みの分布に応じて透明トナーの塗布量を調整することにより、透明トナー層の表面を均一にし、良好なレンズ層形成が可能な3D画像形成装置が実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す定着部の構成を示す断面図である。
【図3】図1に示すレンズ形成部の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示すレンズ形成部の要部斜視図である。
【図5】図4に示すレンズ形成部の記録媒体の搬送方向から見た要部断面拡大図である。
【図6】図1に示すレンチキュラーレンズ形成装置の熱量制御のブロック図である。
【図7】図1に示すレンチキュラーレンズ形成装置の熱量制御のフローチャートである。
【図8】レンズ形成前後の透明トナー層の厚みの変化の算出の一例を示す説明図である。
【図9】図1に示すレンチキュラーレンズ形成装置の実施例による定着およびレンズ形成の結果と熱量との相関関係を示す説明図である。
【図10】図1に示すレンチキュラーレンズ形成装置の第1変形例の構成を示す説明図である。
【図11】図10に示すレンズ形成部の図5対応図である。
【図12】図1に示すレンチキュラーレンズ形成装置の第2変形例の構成を示す説明図である。
【図13】この発明の第2実施形態に係る第1の3D画像形成装置の構成を示す説明図である。
【図14】図13に示す画像形成部の構成を示す断面図である。
【図15】図13に示す定着部の構成を示す断面図である。
【図16】図13に示すレンズ形成部の構成を示す断面図である。
【図17】図16に示すレンズ形成部の要部斜視図である。
【図18】図17に示すレンズ形成部のローラ軸方向から見た要部断面拡大図である。
【図19】この発明の第3実施形態に係る第2の3D画像形成装置の構成を示す説明図である。
【図20】図19に示すレンチキュラーレンズ形成装置の制御のブロック図である。
【図21】図19に示すレンズ形成部の熱量制御のフローチャートである。
【図22】図19に示す3D画像形成装置および従来技術に係る3D画像形成装置のレンズ形成前に形成された画像および透明トナーとレンズ形成結果との関係を示す説明図である。
【図23】図19に示す3D画像形成装置の第1および第2変形例の構成を示す説明図である。
【図24】レンチキュラーレンズおよびその光の屈折効果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1観点によれば、この発明によるレンチキュラーレンズ形成装置は、対象物上に透明トナーを塗布し、単位面積あたり熱量H1を与えて定着し、前記対象物上に厚みD1の透明トナー層を形成するための透明トナー層形成部と、前記透明トナー層に単位面積あたり熱量H2を与えて加熱し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した最大厚みD2の複数の凸レンズを形成するためのレンズ形成部とを備え、前記レンズ形成部は、前記熱量H1と、前記厚みの差D2−D1とに基づき、前記熱量H2を決定するための熱量決定部を備えることを特徴とする。
【0023】
第2観点によれば、この発明による第1の3D画像形成装置は、基材面上に画像用トナーを塗布してレンチキュラー画像を形成させるための画像形成部と、前記レンチキュラー画像上に透明トナー層を形成し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した複数の凸レンズを形成するためのレンチキュラーレンズ形成装置と、前記溝型の凹凸形状を検出するための検出部と、画像制御部を備え、前記検出部は、前記溝型の凹凸形状を検出し、前記画像形成部は、前記凹凸形状に対応する前記レンチキュラー画像を前記基材面上に形成し、前記画像制御部は、前記溝型および前記基材の相対位置を調整して前記凹凸形状を対応する前記レンチキュラー画像に整合させ、前記レンチキュラーレンズ形成装置は、前記レンチキュラー画像の対応する位置に前記各凸レンズを形成することにより3D画像を形成することを特徴とする。
【0024】
なお、この発明による第2の3D画像形成装置は、レンズ形成時の最適温度条件の変動に対する調整機構を有する第1の観点に係るレンチキュラーレンズ形成装置を備えるものであってもよい。
【0025】
第3観点によれば、この発明による第2の3D画像形成装置は、基材面上に画像用材料を塗布してレンチキュラー画像を形成するための画像形成部と、前記レンチキュラー画像上に透明トナー層を形成し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した複数の凸レンズを形成するためのレンチキュラーレンズ形成装置と前記レンチキュラー画像の単位面積あたりの厚みを検出する画像層厚検出部と、前記基材面上への前記透明トナーの単位面積あたりの塗布量を調整する透明トナー塗布量調整部とを備え、前記画像形成部は、前記レンチキュラー画像を前記基材面上に形成し、前記レンチキュラーレンズ形成装置は、前記レンチキュラー画像が形成された前記基材面上に前記各凸レンズを前記レンチキュラー画像と整合する位置に形成することによって3D画像を形成し、前記透明トナー塗布量調整部は、前記レンチキュラー画像の厚みに応じて前記透明トナーの塗布量を調整し、前記レンチキュラー画像と前記透明トナー層とを合わせた全体の厚みを均一にすることを特徴とする。
【0026】
なお、この発明による第2の3D画像形成装置は、透明トナー層の厚みの変動に対する最適温度条件の調整機構を有する第1の観点に係るレンチキュラーレンズ形成装置を備えるものであってもよい。第3観点に係る第2の3D画像形成装置は、レンチキュラー画像を備えた記録媒体上に透明トナー層を形成するため、レンチキュラー画像の厚みのバラツキに起因する透明トナー層の厚みの変動を考慮して、良好なレンチキュラーレンズの形成を可能にする。それゆえ、良好なレンチキュラーレンズの形成を実現するという課題において、対象(厚み等)の変動(バラツキ等)に対する調整機構を備えることによって当該課題を解決するという点において両者の発明は共通性がある。
【0027】
また、レンズ形成部の型のバラツキに対する調整機構を有する第2の観点に係る3D画像形成装置と、レンチキュラー画像の厚みのバラツキに対する調整機構を有する第3の観点に係る3D画像形成装置とは、良好なレンチキュラーレンズの形成を実現するという課題において、対象(厚み等)の変動(バラツキ等)に対する調整機構を備えることによって当該課題を解決するという点において共通性があり、それゆえ、これら第2および第3の観点に係る調整機構をともに備える単一の3D画像形成装置であってもよい。
【0028】
この発明によるレンチキュラーレンズ形成装置において、前記熱量決定部は、前記熱量H1と前記厚みの差D2−D1との予め設定された相関関係に基づき、前記熱量H2を決定するものであってもよい。
このようにすれば、凸レンズ形成時に加圧成形によって透明トナー層の厚みの変化による最適温度条件の変動が生じたとしても、定着時に与えた熱量とレンズ形成前後の透明トナー層の厚みの変化との相関関係に基づいてホットオフセットの限界値が予測できるため、一層良好なレンズ形成効率を有するレンチキュラーレンズ形成装置が実現できる。
【0029】
この発明によるレンチキュラーレンズ形成装置において、前記レンズ形成部は、前記厚みD2を算出するためのレンズ層厚算出部をさらに備え、前記レンズ層厚算出部は、前記厚みD1と、溝型の断面形状とから前記厚みD2を算出するものであってもよい。
このようにすれば、レンズ形成後の透明トナー層の厚みを、レンズ形成前の透明トナー層の厚みと溝型の断面形状とから算出することにより、レンズ形成後の透明トナー層の厚みを実測することなく、レンズ形成前後の透明トナー層の厚みの変化を求めることが可能となる。
【0030】
この発明による第1の3D画像形成装置において、前記画像制御部は、前記基材の所定の位置を基準に、前記基材面に平行かつ溝と直交する方向に前記溝型の位置を調整することにより、前記溝型の凹部または凸部を前記レンチキュラー画像の対応する位置に整合させるものであってもよい。
このようにすれば、レンズ形成部により形成した凸レンズとインターレース処理された画像とのずれを防ぐことにより、良好な3D画像を出力可能になる。
【0031】
この発明による第1の3D画像形成装置において、前記画像形成部は、前記溝型の形状および前記ピッチに応じて前記レンチキュラー画像を形成するものであってもよい。
このようにすれば、溝の形状に基づき3D画像用のレンチキュラー画像を形成することによって、記録媒体上に形成する凸レンズの形成位置を制御でき、良好な3D画像が出力可能になる。また、レンズの位置がずれることにより、本来左右の目で区別してとらえるべき画像がとらえられなくなり、良好な3D画像が得られなくなるのを防止できる。
【0032】
この発明による第2の3D画像形成装置において、前記透明トナー塗布量調整部は、前記レンチキュラー画像層の厚みの最大値に応じて、前記全体の厚みを調整するものであってもよい。
このようにすれば、画像層の厚みの最大値が小さいとき、前記全体の厚みを小さく設定することにより、透明トナーの画像用トナーを1色または2色しか使用しない場合に透明トナーの塗布量を大幅に節約できる。
【0033】
この発明による第2の3D画像形成装置において、前記全体の厚みは、少なくとも前記レンチキュラー画像層の凹凸の差よりも大きいものであってもよい。
このようにすれば、画像層に表面粗さがある場合に、表面粗さよりも十分な厚みを有することで透明トナー層の厚みを均一にできる。
【0034】
この発明による第2の3D画像形成装置において、前記画像用材料は、トナーであってもよい。
このようにすれば、画像用材料にトナーを用いることにより、レンチキュラーレンズ形成と共通の機構で3D画像が得られる。
【0035】
この発明による第2の3D画像形成装置において、前記画像用材料は、インクであってもよい。
このようにすれば、画像用材料にインクを用いることにより、インクはトナーに比べ記録媒体に付着した際の厚みが小さいため、画像付着量による凸凹の影響が小さくなって、安定した3D画像を得られやすくなる。
【0036】
この発明による第2の3D画像形成装置において、前記レンズ形成部は、ローラ形状からなるものであってもよい。
このようにすれば、レンズ形成部にローラ形状を用いることにより、レンズ形成部の占めるスペースをコンパクトにでき、A3用紙に対応可能になる。
【0037】
この発明による第2の3D画像形成装置において、前記透明トナー層形成部は、前記レンチキュラー画像層を構成する画像用材料の量に応じて前記凸レンズの形成時の熱量を変化させるものであってもよい。
このようにすれば、画像用材料の付着量を考慮してレンズ層形成を行うことにより、安定したレンズ層形成が可能になる。
【0038】
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置、第1および第2の3D画像形成装置ならびに画像処理装置について詳述する。なお、以下の説明はすべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0039】
なお、図面は模式的なものであり、各図面の寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。同様に、図面相互間においても互いの寸法の比率等が異なることに留意すべきである。それゆえ、具体的な寸法等については、以下の説明または技術常識等を参酌して判断すべきである。
【0040】
≪第1実施形態≫
図1〜図9に基づき、この発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置について説明する。
【0041】
レンチキュラーレンズ形成装置100は、記録媒体表面に凹凸形状を有するレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズを電子写真方式により形成する装置である。図1に示すように、レンチキュラーレンズ形成装置100は、透明トナー層形成部1と転写部2と記録媒体供給部3と定着部4とレンズ形成部5と記録媒体排出部6とからなる。
【0042】
透明トナー層形成部1は、感光体ドラム11と帯電部12と、光走査部13と、現像部14と、現像剤補給容器15と、ドラムクリーナ16と、感光体除電部17とを備える。帯電部12、現像部14、転写部2、ドラムクリーナ16および感光体除電部17は、この順に、感光体ドラム11の周囲に感光体ドラム11の回転方向上流側から下流側に向かって配置される。ここで、ユニット10は、透明トナー層形成部1、転写部2、レジストローラ34および定着部4からなる。
【0043】
レンチキュラーレンズ形成装置100は、帯電部12および光走査部13により感光体ドラム11に静電潜像を形成し、現像部14により透明トナーを用いて静電潜像を現像して透明トナー層を形成する。続いて、現像剤補給容器15により透明トナーを現像部14に補給し、ドラムクリーナ16により感光体ドラム11上に残留する透明トナーを除去し、感光体除電部17により感光体ドラム11の除電を行う。次に、記録媒体供給部3により記録媒体を転写部2に供給し、転写部2により、感光体ドラム11に形成された透明トナー層を記録媒体表面に転写する。続いて、定着部4により、透明トナー層が転写された記録媒体を加熱加圧して透明トナー層を記録媒体に定着させる。次に、レンズ形成部5により、記録媒体に定着した透明トナー層を凹凸形状に成型してレンズ層を形成する。レンズ層を形成した記録媒体を記録媒体排出部6より排出する。
【0044】
次に、レンチキュラーレンズ形成装置100の各部の構成について詳述する。
【0045】
感光体ドラム11は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転駆動可能に支持されるローラ状部材である。感光体ドラム11は、感光層を含み、該感光層の表面において、静電潜像ひいては透明トナー像を担持する感光体である。感光体ドラム11には、例えば、アルミニウムなどからなる導電性基体と、該導電性基体表面に形成される感光層とからなるものを使用できる。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状の導電性基体を好ましく使用できる。感光層としては、有機感光層、無機感光層などが挙げられる。
【0046】
有機感光層としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、または1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光層としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む樹脂層が挙げられる。なお、導電性基体と感光層との間には、下地層が介在してもよい。また、感光層の表面には感光層を保護するための表面層(保護層)が設けられてもよい。
【0047】
帯電部12は、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる部材である。帯電部12は、感光体ドラム11に対向する位置に、感光体ドラム11の軸線方向に沿って設置される。帯電部12は、接触帯電方式および非接触帯電方式のいずれの方式の帯電装置でもよい。帯電部12は、接触帯電方式の帯電装置の場合、感光体ドラム11表面に接するように設置され、非接触帯電方式の帯電装置の場合、感光体ドラム11表面から離隔するように設置される。
【0048】
帯電部12としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
【0049】
光走査部13は、帯電状態にある感光体ドラム11表面に、デジタル信号からなる画像情報に対応するレーザ光を照射して、感光体ドラム11表面に該画像情報に対応する静電潜像を形成する。光走査部13には、半導体レーザ装置などを使用できる。
【0050】
現像部14は、現像槽141と、現像ローラ142と、攪拌ローラ143とを含む。現像槽141は、透明トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収容する容器状部材である。現像ローラ142は、軸線回りに回転可能に支持されるローラ状部材である。現像ローラ142は、感光体ドラム11に対向する面に形成される開口部から、その一部が外方に向けて突出して感光体ドラム11表面に近接するように設けられる。
【0051】
現像ローラ142は、図示しない固定磁極を内包しており、該固定磁極によって、現像ローラ142表面に現像剤を担持する。現像ローラ142は、現像ローラ142と感光体ドラム11との近接部(現像ニップ部)において、担持した現像剤を感光体ドラム11表面の静電潜像に供給し、感光体ドラム11表面に透明トナー像を形成する。現像ローラ142は、感光体ドラム11と逆方向に回転駆動する。したがって、現像ニップ部においては、現像ローラ142表面と感光体ドラム11表面とが同じ方向に移動する。現像ローラ142は、図示しない電源と接続され、該電源から直流電圧(現像電圧)が印加される。これによって、現像ローラ142表面の現像剤は、静電潜像に円滑に供給される。
【0052】
現像部14は、感光体ドラム11に対向する面に開口部が形成され、内部空間を有する容器状部材である。現像部14は、その内部空間に攪拌ローラ143を備え、現像剤を貯留する。現像部14としては、電子写真方式の画像形成装置の分野において通常用いられる現像剤を使用できる。なお、現像部14は、透明トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いて感光体ドラム11の表面に形成される静電潜像を現像する方式に限定されるものではなく、透明トナーのみからなる1成分現像剤を用いて現像する方式としてもよい。前記のような固定磁石を内蔵した現像ローラ142を用いる場合は、通常、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を使用する。一方、キャリアを用いない1成分現像剤においては、ゴムローラや内部に固定磁石を有さない金属ローラ等のローラを用いる。
【0053】
攪拌ローラ143は、現像部14の内部において軸線回りに回転駆動可能に支持されるスクリュー状部材である。攪拌ローラ143は、回転駆動によって、現像部14内の現像剤を現像ローラ142の表面周辺に送給する。
【0054】
現像剤補給容器15は、その内部に現像剤を貯留する容器状部材である。現像剤補給容器15は、現像部14における現像剤の消費状況に応じて、現像部14に現像剤を補給する。
ドラムクリーナ16は、現像部14により感光体ドラム11表面の現像剤が、転写部2により記録媒体に転写された後に、感光体ドラム11表面に残存する現像剤を除去、回収する。
感光体除電部17は、ドラムクリーナ16によって現像剤が回収された後の感光体ドラム11を除電する。感光体除電部17にはランプなどの照明部材を用いることができる。
【0055】
転写部2は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる転写ローラ21を有する。転写ローラ21は、感光体ドラム11に圧接して設けられる。転写ローラ21と感光体ドラム11との圧接部を転写ニップ部と呼ぶ。転写ローラ21は、後述する記録媒体供給部3によって供給される記録媒体表面に、感光体ドラム11の表面に形成された透明トナー層を転写ニップ部において転写する。転写ローラ21は、未定着の透明トナー層を担持した記録媒体を、定着部4へ搬送する。
【0056】
転写ローラ21には、例えば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面を被覆する導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。金属製軸体は、例えばステンレス鋼などの金属合金によって形成される。導電性層は、導電性の弾性体などによって形成される。導電性の弾性体としては、電子写真方式の画像形成装置の分野において通常用いられる弾性体を使用でき、例えばカーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。さらに、その表面をPFA等のチューブ材で被覆してもよい。
転写ローラ21は、図示しない高圧電源と接続される。転写ローラ21には、高圧電源から、感光体ドラム11の表面に形成される透明トナー層の帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、感光体ドラム11表面に形成される透明トナー層は、記録媒体の表面に円滑に転写される。
【0057】
記録媒体供給部3は、記録媒体搬送経路30と、記録媒体を収納する複数の記録媒体収容トレイ311,312,313と、ピックアップローラ321,322,323と、搬送ローラ33と、レジストローラ34とを含む。ここで、記録媒体は、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂製の、厚みが100〜600μm程度のシートである。そのサイズには、A4,B5,B4,葉書サイズなどがあり、そのサイズに応じた記録媒体収容トレイに収納される。
【0058】
記録媒体搬送経路30は、記録媒体収容トレイ311,312,313に収納される記録媒体を、転写部2、定着部4およびレンズ形成部5を経由して、記録媒体排出部6に1枚ずつ送給するための経路である。ピックアップローラ321,322,323は、それぞれ記録媒体収容トレイ311,312,313内の記録媒体を1枚ずつ記録媒体搬送経路30内に繰り出すローラ状部材である。搬送ローラ33は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、ピックアップローラ321,322,323により繰り出された記録媒体をレジストローラ34に向けて搬送する。レジストローラ34は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。このレジストローラ34は、感光体ドラム11の表面に形成された透明トナー層が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、該転写ニップ部に記録媒体を送給する。
【0059】
定着部4は、定着ローラ40と、加圧ローラ41と、定着クリーニング部42とを含む。定着部4の詳細な構成については後述する。
レンズ形成部5は、レンズ形成ローラ50と、レンズ形成用加圧ローラ51とを含む。レンズ形成部5の詳細な構成については後述する。
【0060】
記録媒体排出部6は、図1に示すように、レンズ形成部5の下流に設けられており、レンズ形成部5において記録媒体の一面にレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートが、記録媒体排出部6に搬送される。この記録媒体排出部6は、互いに圧接する一対の排出ローラ60,61を含む。レンチキュラーレンズシートは、一対の排出ローラ60,61の圧接部を通過して、レンチキュラーレンズ形成装置100の外部に排出される。
【0061】
次に、図2に基づき、レンチキュラーレンズ形成装置100に係る定着部4の詳細な構成について説明する。
【0062】
図2に示すように、定着ローラ40は、図示しない支持手段によって軸線まわりに回転可能に設けられるローラ状部材であり、図示しない駆動手段により所定の周速度で回転駆動される。定着ローラ40および加圧ローラ41はそれぞれ矢符DFRおよびDPRの方向に回転駆動され、透明トナー層TLを担持した記録媒体RSが矢符DRSの方向から定着ニップ部FN(定着ニップ幅WFN)に搬送される。定着ニップ部FNにおいて、定着ローラ40は、加圧ローラ41とともに、記録媒体RSの一面上に転写された透明トナー層TLを加熱溶融して定着させる。
【0063】
定着ローラ40としては、芯金401、弾性層402および表面層403を含むローラ状部材が使用できる。芯金401を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、例えば、アルミニウム、鉄などを使用することができる。芯金401の形状としては、円筒状または円柱状などが挙げられる。
【0064】
弾性層402を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はなく、耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、またはフルオロシリコンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコンゴムが好ましい。
【0065】
表面層403を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、透明トナーとの付着力が弱いものであれば、特に制限はない。このような材料の具体例としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、またはフッ素ゴムなどが挙げられる。
【0066】
定着ローラ40は、ローラ内部に内部ヒータランプ43を備える。また、内部ヒータランプ43は、定着ローラ40の中心軸(ここでは回転軸と同じ)に沿って配置されている。なお、第1実施形態においては、内部ヒータランプ43にハロゲンランプを用いているが、これに限らず、定着ローラ40を加熱する任意の加熱手段を用いてもよい。
【0067】
加圧ローラ41は、図示しない加圧機構により定着ローラ40に圧接された状態で回転自在に設けられる。定着ローラ40と加圧ローラ41との圧接部は定着ニップ部FNとなっている。加圧ローラ41は、定着ローラ40の回転に伴って従動回転する。加圧ローラ41は、定着ローラ40による透明トナー層TLの記録媒体RSへの加熱定着に際し、溶融状態にある透明トナーを記録媒体RSに対して押圧することによって、透明トナー層TLの記録媒体RSへの定着を促進する。
【0068】
加圧ローラ41としては、芯金411、弾性層412および表面層413を含むローラ状部材を使用できる。芯金411、弾性層412および表面層413を構成する材料としては、それぞれ、定着ローラ40の芯金401、弾性層402および表面層403を構成する材料と同じものを使用できる。また、芯金411の形状も定着ローラ40の芯金401と同様である。
【0069】
加圧ローラ41は、内部に内部ヒータランプ44を備える。この内部ヒータランプ44は、レンチキュラーレンズ形成装置100の電源ONから透明トナー層TL形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮のため、透明トナー層TL定着時に記録媒体RSに熱が移行することに起因する加圧ローラ41の表面温度の急激な低下などを防止するためのものである。第1実施形態においては、内部ヒータランプ44にはハロゲンランプが用いられる。
【0070】
次に、定着クリーニング部42の詳細な構成について説明する。
【0071】
図2に示すように、定着クリーニング部42は、ウェブ421と、ウェブ送出ローラ422と、ウェブ圧接ローラ423と、ウェブ巻取りローラ424とを含み、ウェブ421と定着ローラ40の表面との圧接部であるクリーニングニップ部CNにおけるウェブ421との摩擦により、定着ローラ40の表面に付着したオフセットトナーなどを除去する。
【0072】
ウェブ421は、ウェブ送出ローラ422からウェブ圧接ローラ423に向けて送り出され、ウェブ圧接ローラ423に巻回されて定着ローラ40の表面に圧接した後、ウェブ巻取りローラ424によって巻き取られるように設けられる。
【0073】
ウェブ421としては、例えば、耐熱性不織布を使用できる。耐熱性不織布としては、特に制限はないが、例えば、芳香族ポリアミド繊維と、高温で軟化するポリエステル繊維とを含み、適度の柔軟性と機械的強度とを併せ持つ不織布などが挙げられる。このような耐熱性不織布は市販されており、例えば、ノーメックス(登録商標)、ヒメロン(登録商標)などが挙げられる。また、ウェブ421の厚みも特に制限はないが、好ましくは30〜100μmである。第1実施形態においては、ウェブ421として厚み40μmのものを使用する。また、ウェブ421には離型効果などを有するオイルを含浸させ得る。オイルとしては、電子写真方式の画像形成装置の分野で常用されるものを使用でき、例えば、ジメチルシリコンオイル、アミノ変性シリコンオイル、メルカプト変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイルなどのシリコンオイルが挙げられる。第1実施形態においては、ウェブ421として、0.01m2/s(10000センチストークス、25℃)程度の粘度を持つシリコンオイルを含浸させた。
【0074】
ウェブ送出ローラ422は、軸線まわりに従動回転可能に支持され、その表面にウェブ421を巻回して保持する。図2に示すように、第1実施形態においては、ウェブ送出ローラ422は、矢符DWの方向に従動回転してウェブ421を送り出すように構成される。
【0075】
ウェブ圧接ローラ423は、軸線方向の両端が図示しない軸受けによって従動回転可能に軸支されるローラ状部材である。ウェブ圧接ローラ423は、図示しないばね押圧手段によってウェブ421を介して定着ローラ40の表面に圧接するように設けられる。ウェブ圧接ローラ423は、ウェブ巻取りローラ424によるウェブ421の巻取り動作時に従動回転する。ウェブ圧接ローラ423としては、例えば、金属製芯金と、金属製芯金の表面に形成される弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。弾性層を構成する弾性材料としては、例えば、シリコンゴムなどの耐熱性ゴム、その発泡体などが挙げられる。
【0076】
弾性層の表面硬度は、特に制限はないが、好ましくは20°〜30°(Asker−c、アスカーC硬さ)である。押圧手段には、例えば、ばね部材などが用いられる。また、定着ローラ40への押圧力は、好ましくは3793.6Pa(0.039kgf/cm2)〜18967.9Pa(0.19kgf/cm2)である。
【0077】
ウェブ圧接ローラ423の軸線方向の長さは、レンチキュラーレンズ形成装置100において形成しようとする透明トナー層TLの最大幅よりも大きくすればよい。また、クリーニングニップ部CNの幅(クリーニングニップ幅WCN)は定着クリーニング部42のクリーニング性能に大きな影響を及ぼすので、適切な範囲に設計するのが好ましい。クリーニングニップ幅WCNは、主に、ウェブ圧接ローラ423の定着ローラ40に対する押圧力、ウェブ圧接ローラ423のローラ径などによって決定される。第1実施形態においては、ウェブ圧接ローラ423の軸線方向の幅を透明トナー層TLの最大幅よりも長い310mm、ローラ径を20mmとする。
【0078】
ウェブ巻取りローラ424は、図示しない駆動手段によって軸線まわりに回転可能に設けられ、定着ローラ40と接触した後のウェブ421を巻き取る。ウェブ巻取りローラ424の回転駆動によって、ウェブ421がウェブ送出ローラ422から送り出され、クリーニング動作が開始される。
【0079】
定着クリーニング部42の動作は、図示しない制御手段によって制御される。制御手段は、定着ニップ部FN(定着ニップ幅WFN)を通過した記録媒体RSの枚数、または、定着ローラ40の回転数が所定の閾値を超えた場合に、ウェブ巻取りローラ424を回転駆動させる図示しない駆動手段(ここではレンチキュラーレンズ形成装置100の本体内部に設けられるモータ)に、クリーニング動作を開始させる制御信号を送る。制御信号を受けた駆動手段は、ウェブ巻取りローラ424を回転駆動させてウェブ421を一定量巻き取る。この巻取りによってウェブ421がウェブ送出ローラ422から矢符DWの方向に送り出される。送り出されたウェブ421は、定着ローラ40の表面のオフセットトナーなどを取り込んで清浄化する。なお、ウェブ巻取りローラ424によって間欠的にウェブ421の巻取りを行う動作例を示したが、それに限定されず、記録媒体RSが定着ニップ部FNを通過するタイミングに合わせて連続的に巻取りを行ってもよい。
【0080】
次に、レンチキュラーレンズ形成装置100に係る定着ローラ40および加圧ローラ41の温度制御について説明する。
【0081】
第1実施形態においては、定着ローラ40に近接するように、定着ローラ側サーミスタ47が設けられる。定着ローラ側サーミスタ47は、定着ローラ40の表面温度を検知する。定着ローラ側サーミスタ47による検知結果は、制御手段に入力される。制御手段は、定着ローラ側サーミスタ47の検知結果に基づいて、定着ローラ40の表面温度が、所定の設定温度(定着温度)の範囲内であるか否かを判定する。制御手段は、定着ローラ40の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも低い場合には、内部ヒータランプ43に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ43に電力を供給して発熱を促す。また制御手段は、定着ローラ40の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも高い場合には、内部ヒータランプ43に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ43に対する電力の供給を停止させる。
【0082】
また、第1実施形態においては、加圧ローラ41に近接するように、加圧ローラ側サーミスタ48が設けられる。加圧ローラ側サーミスタ48は、加圧ローラ41の表面温度を検知する。加圧ローラ側サーミスタ48による検知結果は、制御手段に入力される。制御手段は、加圧ローラ側サーミスタ48の検知結果に基づいて、加圧ローラ41の表面温度が、所定の設定温度(定着温度)の範囲内であるか否かを判定する。制御手段は、加圧ローラ41の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも低い場合には、内部ヒータランプ44に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ44に電力を供給して発熱を促す。また制御手段は、加圧ローラ41の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも高い場合には、内部ヒータランプ44に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ44に対する電力の供給を停止させる。
【0083】
定着部4では、定着ローラ40および加圧ローラ41はそれぞれの設定温度になるように加熱され、定着ローラ40および加圧ローラ41の近傍に設けられた各サーミスタ47,48が設定温度に到達したことを検知し、その検知結果が制御手段に入力される。検知結果が入力されると、制御手段は、定着ローラ40を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、定着ローラ40を回転駆動させる。それに伴って加圧ローラ41が従動回転する。この状態で、透明トナー層TLが形成された記録媒体RSが転写部2から定着ニップ部FNに搬送される。定着ニップ部FNを通過する際に、透明トナー層TLが加熱加圧されて記録媒体RSの一面上に定着される。第1実施形態においては、記録媒体RSの一面に形成される透明トナー層TLの厚みは、20〜40μmであることが好ましい。
【0084】
次に、図3〜図5に基づき、レンチキュラーレンズ形成装置100に係るレンズ形成部5の詳細な構成について説明する。
【0085】
図3に示すように、レンズ形成部5は、記録媒体RSの一面に形成された透明トナー層TLを加熱下で加圧して凹凸形状に成型し、記録媒体RSの一面に凹凸形状のレンズ層を形成する。このレンズ形成部5は、レンズ形成ローラ50およびレンズ形成用加圧ローラ51の一対のローラを含む。
【0086】
レンズ形成ローラ50は、軸線方向両端を支持され、軸線まわりに回転可能に設けられるローラ状部材であり、図示しない駆動手段により所定の周速度で回転駆動される。レンズ形成ローラ50は、所定のレンズ形成温度になるように加熱され、レンズ形成ローラ50の近傍に設けられたレンズ形成ローラ側サーミスタ57が所定のレンズ形成温度に到達したことを検知し、その検知結果が制御手段に入力される。そして、制御手段は、レンズ形成ローラ50を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、レンズ形成ローラ50を矢符DLRの方向に回転駆動させる。それに伴ってレンズ形成用加圧ローラ51が矢符DLPRの方向に従動回転する。
【0087】
レンズ形成ローラ50およびレンズ形成用加圧ローラ51によって形成されるレンズ形成ニップ部LN(レンズ形成ニップ幅WLN)を、透明トナー層TLを担持した記録媒体RSがレンズ形成ローラ50に当接するように通過する。記録媒体RS上に層形成された透明トナー層TLは、このレンズ形成ニップ部LNにおいて、レンズ形成ローラ50内部の加熱源(内部ヒータランプ53)からの熱およびレンズ形成ローラ50外周面の圧力により加熱成形されて、凸凹形状のレンチキュラーレンズを形成する。
【0088】
レンズ形成ローラ50は、芯金511と表面層513とを含む。芯金511を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などを使用することができる。芯金511の形状は直円筒状であり、芯金511の軸線方向両端部には、絞り構造があってもよいし無くてもよい。
【0089】
表面層513は、芯金511の表面に被覆される層であり、透明トナーの離型性を確保する。表面層513を構成する材料としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料が挙げられる。あるいは、これらフッ素樹脂を含んだDLC(ダイヤモンドライクカーボン)材料などを用いてもよい。なお、表面層513の厚みは、50nm〜30μm程度が好ましい。表面層513の厚みが極端に薄い場合、耐久性が問題となり、厚くなり過ぎると、芯金511の溝部が埋まってしまうなど、溝形状が大きく変化する結果、レンズ形成が上手くできなくなるおそれがあるためである。
【0090】
なお、レンズ形成ローラ50の表面に表面層513を形成する代わりに、透明トナーの離型性を確保するためにシリコンオイル等の離型剤を塗布する構成としてもよい。また、表面層上にシリコンオイル等の離型剤を塗布する構成としてもよい。シリコンオイルとしては、粘度が1,000CSから10,000CS程度のオイルを使用することができる。
【0091】
レンズ形成ローラ50は、ローラ内部に内部ヒータランプ53を備える。内部ヒータランプ53は、レンズ形成ローラ50の中心軸(ここでは回転軸と同じ)に沿って配置されている。なお、第1実施形態においては、内部ヒータランプ53にハロゲンランプを用いているが、これに限らず、レンズ形成ローラ50を加熱する任意の加熱手段を用いてもよい。
【0092】
レンズ形成用加圧ローラ51は、レンズ形成部5に矢符DRSの方向に搬送される記録媒体RSの透明トナー層TLが形成されている面とは反対側の面に当接する。レンズ形成用加圧ローラ51は、軸線方向両端を支持され、図示しない加圧機構によりレンズ形成ローラ50を押圧した状態で回転自在に設けられる。レンズ形成ローラ50とレンズ形成用加圧ローラ51との圧接部は、レンズ形成ニップ部LN(レンズ形成ニップ幅WLN)を形成する。レンズ形成用加圧ローラ51の軸線方向両端部には、ボールベアリングが挿着されており、レンズ形成用加圧ローラ51は、レンズ形成ローラ50の回転に伴って従動回転する。レンズ形成用加圧ローラ51は、レンズ形成ローラ50による透明トナー層TLの凹凸形状への加熱成型に際し、透明トナー層TLを記録媒体RSに対して押圧することによって、透明トナー層TLの凹凸形状への成型を促進する。レンズ形成用加圧ローラ51は、加圧機構によって、軸線方向において一様な押圧力であって総荷重が400Nである押圧力で、レンズ形成ローラ50を押圧している。なお、レンズ形成用加圧ローラ51としては、電子写真方式の画像形成装置の定着部で用いられる通常の加圧ローラを使用することができる。
【0093】
レンズ形成用加圧ローラ51は、芯金521、弾性層522および表面層523を含む。芯金521を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などを使用することができる。芯金521の形状は直円筒状であり、芯金521の軸線方向両端部には、絞り構造があってもよいし無くてもよい。
【0094】
弾性層522は、レンズ形成ローラ50とレンズ形成用加圧ローラ51とで形成されるレンズ形成ニップ部LN(レンズ形成ニップ幅WLN)の領域を大きくするために設けられるもので、芯金521の外周面上に設けられる。弾性層522を構成する材料としては、ゴム弾性を有するもの、より好ましくはゴム弾性を有し、耐熱性に優れたものを用いることができる。このような材料の具体例としては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、またはフルオロシリコンゴムなどが挙げられる。また、これら材料の発泡体としてもよいが、特にゴム弾性に優れるシリコンゴムが好ましい。レンズ形成ニップ幅WLNは、例えば7mmであることが好ましい。
【0095】
表面層523は、弾性層522の外周面上に設けられる。レンズ形成用加圧ローラ51の表面上に形成される表面層523を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、透明トナーとの付着力が弱いものを用いることができる。表面層523を構成する材料の具体例としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、フッ素ゴムなどが挙げられる。表面層523として、PFAやPTFEを用いる場合は、これらの材料からなるチューブを被覆するようにしてもよいし、あるいはコートするようにしてもよい。なお、表面層523の厚みは10μm〜50μmであることが好ましい。
【0096】
レンズ形成ローラ50の温度制御は、定着ローラ40および加圧ローラ41の場合と同様にレンズ形成ローラ側サーミスタ57を用いる。ここで、レンズ形成ローラ50の表面温度は、透明トナーを構成する結着樹脂の軟化温度に対して0〜80℃高い温度範囲、好ましくは140〜200℃に設定される。
【0097】
次に、図4に基づき、第1実施形態に係るレンズ形成部5の詳細な形状について説明する。
【0098】
図4(A)に示すように、レンズ形成ローラ50の表面には、記録媒体RSの一面に形成された透明トナー層TLを凹凸形状のレンズ層に成型できるように所定ピッチで複数本の溝が形成されている。レンズ形成ローラ50の表面層513に形成された溝部GPの各溝の形状により、記録媒体RS上に形成された透明トナー層TLの表面がレンズ形状に加圧成形されるように、記録媒体RSがレンズ形成ニップ部LNに搬送される。
図4(B)は、図4(A)のA部の拡大図である。これらの図に示すように、第1実施形態において、溝の形成方向は、レンズ形成ローラの軸方向DLRAと垂直方向、すなわちレンズ形成ローラ50の回転方向DLRに沿って形成されている。このような溝の加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工やレーザによる加工等が挙げられる。
【0099】
図5(A)に示すように、記録媒体RS上に形成された透明トナー層TLの表面を加圧成形すべく、レンズ形成ローラ50の表面層513に形成された溝部GPが透明トナー層TLの表面に接触する。図5(B)は、図5(A)のB部の拡大図である。
ここで、HRSは、記録媒体RSの厚み、WRSは、記録媒体RSの幅、WGPは、レンズ形成部5表面の溝部GPの幅,PLRは、レンズ形成ローラ50表面の溝のピッチ間隔、HLGは、レンズ形成ローラ50の溝の深さ、HTLは、透明トナー層TLの厚みをそれぞれ示す。
【0100】
なお、図5(A)(B)は、溝とレンズ形成前の透明トナー層TLとのレンズ形成ローラ50の軸方向の相対的な位置関係をわかりやすくするため、記録媒体RSと表面層513との間を離して示している。しかしながら、実際には、図5(C)に示すように、レンズ形成ニップ部LNにおいては、透明トナー層TLは、表面層513に押圧されてレンズ形状のレンチキュラーレンズLLの形状に変形される。当該変形の結果、透明トナー層TLの厚みHTLは、レンチキュラーレンズLLの厚みHLLに変化する。当該厚みの変化の算出の一例については後述する。
【0101】
次に、この発明の第1実施形態に係る透明トナーの成分について説明する。透明トナーは、透光性を有するトナーであり、着色剤を含まないこと以外は、電子写真方式の画像形成装置において通常用いられるトナーと同様の構成成分からなる。なお、透明トナーは、結着樹脂を含み、必要に応じて離型剤が添加される。また、結着樹脂、離型剤の他に、帯電制御剤等の一般的なトナー用添加剤、外添剤を含有してもよい。
【0102】
結着樹脂として、ポリスチレン樹脂、スチレンの置換体の単独重合体からなる樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0103】
これらの結着樹脂の中でも、透明トナー用結着樹脂としては、保存性、耐久性等を考慮すると、軟化点が100〜150℃、ガラス転移点が50〜80℃である結着樹脂が好ましく、前記の軟化点およびガラス転移点を有するポリエステル樹脂も好ましい。また、透明性という観点では環状オレフィン樹脂も良好である。
【0104】
離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ワックスを用いることができる。ワックスとしては電子写真方式の画像形成装置の分野において通常用いられるワックスを用いることができる。例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等が挙げられる。なお、離型剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0105】
帯電制御剤としては、透明トナーを帯電させる、またはその帯電性をコントロールできるものであれば、特に限定されるものではない。しかし、透明トナーの透明性に影響を及ぼさないものであることが好ましい。このような帯電制御剤としては、一般的には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン誘導体、サリチル酸亜鉛錯体、ナフトール酸亜鉛錯体、ベンジル酸誘導体の金属酸化物等が挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上の帯電制御剤を併用してもよい。なお、帯電制御剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0106】
透明トナーは、公知のトナー母粒子の方法に従って製造することができる。その製造方法としては、例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法等を挙げることができる。透明トナーの体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、2μm〜10μmであることが好ましい。レンチキュラーレンズの形成に際して、領域のエッジ部も含め、できる限り均一な厚みの透明トナー層TLを形成するためである。体積平均粒径が2μmより小さい場合は、透明トナーの流動性が低下する。そのため、現像部14における現像動作の際に、透明トナーの供給、撹拌および帯電が不十分になり、透明トナー量の不足、逆帯電トナーの増加等の問題が発生する。その結果、良好な透明トナーの層形成ができない等の問題が発生するおそれがある。一方、透明トナーの体積平均粒径が10μmを超える場合は、記録媒体RS表面に形成される透明トナー層TLの表面平滑性、ひいては透明トナー層TLの成型により生じるレンズ層の表面平滑性が低下するおそれがある。また、後述するように線画像を印字する際にシャープな画像が得られにくくなるおそれもある。
【0107】
外添剤は、透明トナーに対して、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善および感光体表面の磨耗特性制御等の機能を付与する目的で添加される。外添剤としては、電子写真方式の画像形成装置の分野において通常用いられる外添剤を用いることができ、例えば、外添剤、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、アクリル微粉末または金属石鹸微粒子等が挙げられる。なお、外添剤の添加量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0108】
以上のようにして製造された透明トナーは、そのまま1成分現像剤として用いることも可能であり、キャリアと混合攪拌することによって、2成分現像剤として用いることも可能である。2成分現像剤として透明トナーとともに用いられるキャリアは、特に限定されるものではなく、電子写真方式の画像形成装置の分野において通常用いられるキャリアを用いることができる。キャリアとしては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性材料やフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等からなるキャリアを用いることが好ましい。また、これらのキャリアをコア粒子として樹脂材料で被覆し、コア粒子の表面に被覆層を形成した樹脂被覆キャリアを用いてもよい。被覆層が形成されていないキャリアを用いるか、樹脂被覆キャリアのいずれを用いるかは、透明トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。キャリアの体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、表面平滑性の良好な透明トナー層TLを形成するためには、キャリアの体積平均粒子径が30μm〜100μmであることが好ましい。
【0109】
2成分現像剤の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法によって製造することができる。この発明の透明トナーは、2成分現像剤全量に対して、3重量%〜20重量%の濃度となるように含まれていることが好ましい。
【0110】
なお、この発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置100は、図1に示すように、記録媒体RSの一面に透明トナー層TLを形成する定着部4と、その透明トナー層TLを凹凸形状に成形してレンズ層を形成するレンズ形成部5とが、それぞれ別々に設けられている。そのため、定着部4およびレンズ形成部5における加熱条件の設定の自由度を向上することができ、耐ホットオフセット性に優れ、かつ、記録媒体RSに対するレンズ層の接着強度が十分に確保されたレンチキュラーレンズシートを1つの装置で作製することができる。
【0111】
≪実施例≫
次に、第1実施形態のレンチキュラーレンズ形成装置100を用いた実施例について詳述する。
【0112】
定着ローラ40および加圧ローラ41の表面温度、定着ローラ40の周速度を変化させて、記録媒体RSの一方面に厚み20μmの透明トナー層TLを形成した。
【0113】
[2成分現像剤]
<透明トナー>
・結着樹脂:環状オレフィン樹脂A(軟化温度140℃)28重量部
環状オレフィン樹脂B(軟化温度105℃)66重量部
・帯電制御剤:ベンジル酸誘導体の金属酸化物1.0重量部
・離型剤:ポリエチレンワックス5重量部
ここで軟化温度とは、フローテスター(島津社製:CFT−100D)における溶融開 始温度と溶融終了温度との中間温度を指す。
<外添剤>
・シリカ:透明トナー100重量部に対して1重量部
・酸化チタン:透明トナー100重量部に対して1.5重量部
<キャリア>
・2成分現像剤における透明トナーの濃度が8重量%となるように、フェライトキャリ アを添加した。
【0114】
[記録媒体]
厚み550μmのA4サイズのPETシートを用いた。
【0115】
[定着部]
<定着ローラ>
定着ローラ40として、外径36mm、肉厚2mmの鉄製の芯金401上に、弾性層402として厚み2mmのシリコンゴム層を形成し、さらに表面層403として厚み40μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラを用いた。
<加圧ローラ>
加圧ローラ41として、外径38mm、肉厚1mmの鉄製の芯金411上に、弾性層412として厚み1mmシリコンゴム層を形成し、さらに表面層413として厚み40μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラを用いた。なお、加圧ローラ41の定着ローラ40に対する圧接荷重は、600Nとした。このときの定着ニップ幅WFNは約6mmであった。
【0116】
記録媒体RSの一方面に形成された透明トナー層TLについて以下の評価を行い、透明トナー層TLの定着性を確認した。その評価結果を表1に示す。また定着ニップ部FNにおいて定着ローラ40および加圧ローラ41からトナー側に供給される熱量の算出結果も同時に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
表1の結果より、定着の際には、A4シート1枚当たりの換算で、3.5〜4.1kJの条件の場合、良好な定着像が得られた。
【0119】
次に、レンズ形成ローラ50の表面温度、周速度を変化させて、記録媒体RSの一方面に形成された厚み約20μmの透明トナー層TLを形成し、その透明トナー層TLに対してレンズ形成ローラ50により厚みがほぼ30μmのレンズ形成を行った。
【0120】
[レンズ形成部]
<レンズ形成ローラ>
レンズ形成ローラ50として、外径40mm、肉厚2mm、胴部長さ(軸線方向長さ)315mmのアルミニウム製の芯金511に対して、その表面を機械加工して、ローラ周方向にピッチ254μm、深さ30μmの溝が300mmの幅で形成され、さらに表面層513として厚み50nmのフッ素樹脂コート層を設けたローラを用いた。
<レンズ形成用加圧ローラ>
レンズ形成用加圧ローラ51として、外径29.76mm、内径23.76mm、肉厚3mmの絞り構造のない鉄製の芯金521上に、弾性層522として厚み5mmのシリコンゴム(JIS−A硬さ:30度)層を形成し、さらに表面層523として厚み50μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラを用いた。また、レンズ形成用加圧ローラ51の芯金521の軸線方向長さは313mmであり、弾性層522の軸線方向長さは312mmである。なお、レンズ形成用加圧ローラ51のレンズ形成ローラ50に対する圧接荷重は400Nとした。このときのニップ幅は約2mmであった。
【0121】
記録媒体RSの一方面に形成されたレンズ層について以下の評価を行い、レンズ形成部状態を評価した。その評価結果を表2に示す。なお、レンズ間ピッチ254μmにあった3D評価用画像を準備して、作成したレンズシートと重ね合わせてレンズ形成状態を目視により評価した。
【0122】
【表2】

【0123】
表2の結果より、比較的良好にレンズが形成できた条件は、A4シート1枚当たりの換算で、2.0〜2.8kJの条件であり、それより大きくても小さくても、3D画像が再現できない状態となった。
【0124】
表1および表2の結果から、記録媒体RS上に透明トナーを定着する定着工程においては、A4シート1枚当たりの換算で、3.5〜4.1kJの条件が良好であったが、定着工程に続くレンズ形成工程では、2.0〜2.8kJと、定着の際に与える熱量より小さくする必要がある。
【0125】
ところで、定着工程の際には、トナー表面を溶融させるとともに、記録媒体RSと透明トナー層TLとの界面温度も十分に上昇させて、記録媒体RSと透明トナー層TLとを十分に接着する必要がある。一方、レンズ形成の際には、定着工程で記録媒体RSと透明トナー層TLとの接着性は既に確保されていることから必要以上に熱を与える必要はない。加えて、レンズを形成する工程では、平滑に形成されていた透明トナー層TLを再度溶融させてレンズ形成ローラ形状に倣う形状に成型するため、レンチキュラーレンズLLの凸部においては形成前の透明トナー層TLに比べてトナーの厚みが増すため、より一層オフセットし易くなる。
このような理由から、少なくともレンズ形成時に透明トナー層TLに与える熱量は、定着工程で与える熱量より少なくすることが必要となる。
【0126】
次に、図6〜図8に基づき、良好なレンズ形成時のための熱量条件について詳述する。
【0127】
この発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置100の熱量制御は、定着情報計測部600と、制御部610と、レンズ形成熱量制御部620との3つの制御部によりなされる。
【0128】
図6に示されるように、定着情報計測部600は、定着温度計測部601と、定着時間計測部602と、定着熱量記録部603と、トナー層厚み計測部604とを備える。制御部610は、トナー層厚み変化量算出部611と、レンズ形成熱量決定部612と、レンズ形成熱量調整部613と、定着熱量情報記憶部614とを備える。レンズ形成熱量制御部620は、レンズ形成温度制御部621と、レンズ形成時間制御部622とを備える。
【0129】
図7に示されるように、定着温度計測部601および定着時間計測部602が、図3に示す定着部4に与えた熱量を計測し、定着熱量記録部603が当該熱量を記録し、定着熱量情報記憶部614に保持する(ステップS1)。続いて、トナー層厚み計測部604は、定着後の透明トナー層TLの厚みを計測し、トナー層厚み変化量算出部611がレンズ形成前後における透明トナー層の厚みの変化を算出する(ステップS2)。次に、記録された前記定着熱量およびトナー層厚み変化量に基づき、レンズ形成熱量決定部612がレンズ形成部において与える熱量の上限値を決定する(ステップS3)。最後に、前記熱量の上限値に基づき、レンズ形成熱量調整部613が、図3に示すレンズ形成部5に与える熱量を調整し、レンズ形成温度制御部621およびレンズ形成時間制御部622がレンズ形成部5における温度制御を行う(ステップS4)。
【0130】
具体的な熱量制御手段としては、図3に示されるように、レンズ形成ローラ50に近接するように、レンズ形成ローラ側サーミスタ57を設ける。レンズ形成ローラ側サーミスタ57は、レンズ形成ローラ50の表面温度を検知する。レンズ形成ローラ側サーミスタ57による検知結果は、制御手段に入力される。制御手段は、レンズ形成ローラ側サーミスタ57の検知結果に基づいて、レンズ形成ローラ50の表面温度が、所定の設定温度(レンズ形成温度)の範囲内であるか否かを判定する。制御手段は、レンズ形成ローラ50の表面温度が所定のレンズ形成温度の設定範囲よりも低い場合には、内部ヒータランプ53に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ53に電力を供給して発熱を促す。また制御手段は、レンズ形成ローラ50の表面温度が、所定のレンズ形成温度の設定範囲よりも高い場合には、内部ヒータランプ53に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ53に対する電力の供給を停止させる。
【0131】
レンズ形成部5では、レンズ形成ローラ50は、所定のレンズ形成温度になるように加熱され、レンズ形成ローラ50の近傍に設けられたレンズ形成ローラ側サーミスタ57が所定のレンズ形成温度に到達したことを検知し、その検知結果が制御手段に入力される。そして、制御手段は、レンズ形成ローラ50を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、レンズ形成ローラ50を回転駆動させる。それに伴いレンズ形成用加圧ローラ51が従動回転する。この状態で、透明トナー層TLが形成された記録媒体RSが定着部4からレンズ形成ニップ部LNに搬送される。レンズ形成ニップ部LNを通過する際に、透明トナー層が加熱加圧されて凹凸形状に成型され、記録媒体の一方面にレンズ層が形成される。
【0132】
透明トナー層TLの厚みの変化量は、レンズ形成部4の溝による加圧による厚みの変化量を算出する。レンズ形成前後における透明トナー層TLの厚みの変化量は、一般に溝の断面積と定着前の透明トナー層TLの厚みから算出できる。
定着前の透明トナー層TLの厚みは、例えば現像/転写等のトナー層形成条件から推定したり、図示しないが、記録媒体上のトナー層を光学センサ等で測定することで、求めることができる。なお、光学センサでの測定は、定着工程の前でも、定着工程を終えた後でも問題はない。定着工程に入る前で測定する場合は、定着工程でトナー層の厚みが薄くなるため、その分を補正する等を行ってもよい。
【0133】
次に、図8に基づき、透明トナー層TLの厚みの変化の算出の一例を示す。
図8(A)は、レンズ形成前の単位ピッチあたりの溝および透明トナー層TLの断面積を示し、図8(B)は、レンズ形成後の単位ピッチ(レンズ形成ローラの溝のピッチ間隔PLR)あたりの溝および透明トナー層TLの断面積を示す説明図である。
【0134】
例えば、図8(A)に示すように、レンズ形成前の透明トナー層TLの厚みをHTL、各溝の断面積をSG、溝のピッチをPLRとしたとき、レンズ形成前の溝のピッチ当たりの透明トナー層の溝のピッチ当たりの全断面積SATLは、
(i)SATL=HTL×PLR(透明トナー層の溝のピッチ当たりの全断面積)
である。ここで、透明トナー層の厚みHTLが溝の深さHLGよりも十分に厚い(HTL>HLG)とき、透明トナー層の溝のピッチ当たりの全断面積SATLのうち一部分の断面積SVTLのみが溝による変形を受け、残りの部分の断面積SNTLはレンズ形成による変形を受けない。ここで、溝による変形を受ける断面積SVTLが対応する溝の断面積SGに等しいとき、レンズ形成による変化を受けない未変形部分の断面積SNTLは、
(ii)SNTL=SATL−SG=HTL×PLR−SG
である。それゆえ、当該未変形部分の厚みHRTLは、
(iii)HRTL=SNTL/PLR=HTL−SG/PLR
となる。ここで、レンズ形成前の透明トナー層の厚みHTL、レンズ形成ローラの溝のピッチ間隔PLRおよび溝の断面積SGが全て既知であるとき、前式(iii)の関係から当該未変形部分の厚みHRTLが求められる。
【0135】
一方、図8(B)に示すように、溝による変形を受け、透明トナー層TLの断面積SVTLの高さが溝の深さHLGに変化する。その結果、レンズ形成後の透明トナー層TL(すなわち、レンチキュラーレンズLL)の厚みの最大値HLLは、
(iv)HLL=HLG+HRTL=HLG+HTL−SG/PLR
となる。よって、レンズ形成前後の透明トナー層TLの厚みの変化量ChHTLは、
(v)ChHTL=HLL−HTL=HLG−SG/PLR
となる。溝の深さHLG、溝の断面積SGおよびレンズ形成ローラの溝のピッチ間隔PLRが全て既知であるとき、前式からレンズ形成前後の透明トナー層TLの厚みの変化量ChHTLが算出できる。
【0136】
なお、上に挙げた算出方法はあくまで一例であって、例えば、過去のレンズ形成による透明トナー層の厚みの変化量のデータをもとに類推してもよいし、その他の方法を用いて透明トナー層の厚みの変化量を見積もってもよい。
【0137】
図9に示すように、ホットオフセットによる熱量上限HOlimitは、透明トナー層TLの厚みに依存して変化する。なお、各厚みに対するホットオフセットの熱量上限HOlimitのデータを、定着熱量情報記憶部614に予め記憶させておいてもよい。このようにすれば、レンズ形成時の透明トナー層TLの厚みの変化に応じて、レンズ形成熱量の調整を適切に行うことができる。一方、熱量の下限は、定着時において記録媒体RSと透明トナー層TLとの接着力が既に確保されていることから、定着時よりも少ない熱量でもよい。この場合も、各厚みに対する接着性または軟化による加工可能性のデータを、定着熱量情報記憶部614に予めに記憶させておくことにより、一層正確なレンズ形成熱量の見積もりが可能になる。
【0138】
以上のように、第1実施形態のレンチキュラーレンズ形成装置100は、記録媒体RSの一方面に透明トナー層TLを形成する定着部4と、その透明トナー層TLを凹凸形状に成型してレンチキュラーレンズLLを形成するレンズ形成部5とが、それぞれ別々に設けられているため、定着部4およびレンズ形成部5における加熱条件の設定の自由度を向上することができ、耐ホットオフセット性に優れ、かつ、記録媒体RSに対するレンズ層の接着強度が十分に確保されたレンチキュラーレンズシートを1つの装置で作製することができる。
【0139】
以下、図10および図11に基づき、この発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置の第1および第2変形例についてそれぞれ説明する。
なお、図1に示すレンチキュラーレンズ形成装置100に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0140】
≪第1変形例≫
図10は、第1変形例に係るレンチキュラーレンズ形成装置100aの構成を示す図である。レンチキュラーレンズ形成装置100aは、前述したレンチキュラーレンズ形成装置100が備えるユニット10を複数備え、各ユニット10において透明トナーを順次形成して、記録媒体RSの一方面に、複数層の透明トナー層を積層して形成する。第1変形例では、2つのユニット10および10aが、記録媒体RSの搬送方向に沿って直列に設けられる。
【0141】
レンチキュラーレンズ形成装置100aにおいては、2つのユニット10および10aにより、記録媒体RSの一方面に、2層の透明トナー層(透明トナー下層TL1および透明トナー上層TL2)を積層して形成するため、各ユニット10,10aにおいて比較的厚みの小さな透明トナー層(透明トナー下層TL1および透明トナー上層TL2)を形成し、それらを積層して厚みの大きな透明トナー層TLを形成することができる。そのため、各ユニット10,10aの定着部4における加熱温度を低い値に設定してホットオフセットの発生を抑制して、厚みの大きな透明トナー層TLを高品質で形成することができる。したがって、レンチキュラーレンズ形成装置100aは、厚みの大きなレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを高品質で作製することができる。
【0142】
図11は、図10に示すレンズ形成部の図5対応図である。図11(B)は、図11(A)のB部の拡大図である。2つのユニット10および10aにより、図11(A)(B)に示すような2層の透明トナー層TL1およびTL2を順次形成した後、図11(C)に示すように、積層された透明トナー層TLに対してレンズ形成を行う。
【0143】
≪第2変形例≫
図12は、第2変形例に係るレンチキュラーレンズ形成装置100bの構成を示す図である。レンチキュラーレンズ形成装置100bは、前述したレンチキュラーレンズ形成装置100に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。レンチキュラーレンズ形成装置100bは、前述した定着部4の代わりに非接触型の定着部4bを備えること以外は、レンチキュラーレンズ形成装置100と同様に構成される。
【0144】
図12に示すように、レンチキュラーレンズ形成装置100bが備える定着部4bは、所定の間隔をあけて互いに対向する2枚の板状の加熱ヒータ40b,41bを備える。加熱ヒータ40b,41bとしては、例えば、セラミックヒータ等を用いることができる。
【0145】
転写部2において透明トナー層TLが転写された記録媒体RSは、2枚の加熱ヒータ40b,41bの間を通過する。これによって、記録媒体RSの一方面に形成された透明トナー層TLが非接触で加熱溶融されて定着され、記録媒体RSの一方面に透明トナー層TLが形成される。
【0146】
以上のように、第2実施例に係るレンチキュラーレンズ形成装置100bでは、定着部4bにおいて記録媒体RSの一方面に転写された透明トナー層TLに対して非接触で加熱して、記録媒体RSの一方面に透明トナー層TLを形成するので、定着部4bにおけるホットオフセットの発生を防止することができる。そのため、定着部4bにおける加熱温度を高い値に設定することができ、定着部4bは、厚みの大きな透明トナー層TLを高品質で形成することができる。したがって、レンチキュラーレンズ形成装置100bは、厚みの大きなレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを高品質で作製することができる。
【0147】
このようにすれば、非接触で加熱定着するため、接触定着で発生するようなホットオフセット現象を防止できる。レンズの厚みを増す場合、透明トナー層TLの厚みを増す必要があり、定着温度を上げる必要等が生じるため、接触定着では、高温オフセットが発生しやすくなるが、非接触定着では、ホットオフセット現象が回避できるため、レンズ厚みの大きいレンチキュラーレンズシートを高品質で形成することが可能となる。
【0148】
また、レンズ間のピッチが一定で、厚みの大きなレンズ層、すなわち、レンズの凸部の高さが高いレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートでは、記録媒体RSの厚みを相対的に薄くすることができる。これによって、例えば、定着ニップ部通過の際に、定着ローラへかかる過度のストレスに起因する定着ローラの破損(チューブの破れやゴムの破損)を低減し、透明トナー層形成部とレンズ形成部との間に設けられる搬送ローラなどの搬送関連のローラに対する負荷を低減することが可能となり、良好なレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートをロングライフで形成可能となる。
【0149】
なお、レンズ間のピッチが一定で、厚みの大きなレンズ層、すなわち、レンズの凸部の高さが高いレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートでは、記録媒体RSの厚みを相対的に薄くすることができる。これによって、搬送ローラ33、定着ローラ40、レンズ形成ローラ50などの搬送関連のローラに対する負荷を低減することができるので、良好なレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートをロングライフで形成可能となる。なお、レンズ形成ローラ50の溝形状は、所望とするレンズ層の厚みとなるように、適宜設定される。
【0150】
≪第2実施形態≫
次に、図13〜図18に基づき、この発明の第2実施形態に係る第1の3D画像形成装置について説明する。
【0151】
この発明の第2実施形態に係る第1の3D画像形成装置200は、レンチキュラーレンズ形成装置を備える画像形成装置であり、単一の装置で3D画像を形成するものである。一方、記録媒体にレンチキュラーレンズ形成を行わないことにより、通常の画像を印刷することもできる。以下、3D画像形成装置200の詳細な構成について説明する。
なお、3D画像形成装置200は、第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置100を備えるものであってもよく、レンチキュラーレンズ形成装置100と一部類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0152】
図13は、3D画像形成装置200の構成を示す図である。3D画像形成装置200は、画像形成部1y,1m,1c,1bと、透明トナー層形成部1wと、転写部2y,2m,2c,2b,2wと、記録媒体供給部3と、定着手段である定着部4cと、レンチキュラーレンズを画像上に形成するレンズ形成部5aと、中間転写部7と、2次転写部8と、光走査部13と、図示しない記録媒体排出部、表示部、操作部および制御部とを備える。
【0153】
作像手段である画像形成部1y,1m,1c,1bは、各色相のデジタル信号(以下、「画像情報」と記載する)に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色のトナーでレンチキュラー画像LIを形成する。各色に対応する転写部2yなどを個々に示す場合には、アルファベットの添字:y(イエロー色)、m(マゼンタ色)、c(シアン色)、b(ブラック色)、w(透明色)を付して表す。画像形成部1y,1m,1c,1bおよび透明トナー層形成部1wは、後述する中間転写ベルト70の移動方向(副走査方向)、すなわち、矢符DTBの方向の上流側から下流側にこの順番で一列に並んで配列される。
【0154】
図14は、図13に示す画像形成部1yの構成を示す図である。画像形成部1yは、感光体ドラム11yと、帯電部12yと、光走査部13yと、現像部14yと、ドラムクリーナ16yとを含む。また、帯電部12yと、光走査部13yと、現像部14yと、ドラムクリーナ16yは、この順に、感光体ドラム11yの周囲に、感光体ドラム11yの回転方向上流側から下流側に向かって配置される。
【0155】
感光体ドラム11yは、イエロー色のトナー像が表面に形成される像担持体であり、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状または薄膜シート状(好ましくは円筒状)の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。
感光体ドラム11yは、図示しない駆動手段によって、図14の紙面に向って反時計周りの方向に、例えば周速度220mm/sで回転する。感光体ドラム11yの駆動手段は、後述する画像形成部制御手段によって制御され、画像形成部制御手段によって感光体ドラム11yの回転速度が制御される。
感光体ドラム11yとしては、電子写真方式の画像形成装置の分野で通常用いられるものを使用でき、例えば、導電性基体であるアルミニウム素管と、アルミニウム素管の表面に形成される感光層である有機感光層または無機感光層とを含む、GND(接地)電位に接続される感光体ドラムを使用できる。
【0156】
現像部14yは、感光体ドラム11yに対向して設けられ、現像ローラ142表面に、2成分現像剤に含まれるイエロー色トナーおよびキャリアのうち、イエロー色トナーを担持し、層厚規制部材144yによって所定量の厚さに規制して感光体ドラム11y表面に搬送し、感光体ドラム11y表面に形成される静電潜像を現像して顕像化する現像手段である。なお、現像剤としては、キャリアを含まない1成分現像剤を用いることもできる。
【0157】
図14に示されるように、現像部14yは、現像槽141yと、現像ローラ142yと、攪拌ローラ143yaおよび143ybと、2成分現像剤140yと、層厚規制部材144yとを含む。現像槽141yは、イエロー色トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収容する容器状部材である。現像ローラ142yは、軸線まわりに回転可能に設けられるローラ状部材である。現像ローラ142yは、現像槽141yの感光体ドラム11yに対向する面に形成される開口部から、その一部が外方に向けて突出して感光体ドラム11yの表面に近接するように設けられる。
【0158】
画像形成部1yにおいて、感光体ドラム11yをその軸線回りに回転駆動させながら、図示しない電源により帯電部12yに例えば1200Vを印加し、放電させることよって感光体ドラム11yの表面を例えば600Vに帯電させる。次に、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面に、光走査部13yからイエロー色の画像情報に対応するレーザ光を照射し、イエロー色の画像情報に対応する露光電位−70Vの静電潜像を形成する。
【0159】
次いで、感光体ドラム11yの表面と現像ローラ142y表面に担持されるイエロー色トナーとを近接させる。現像ローラ142yには現像電位として−450Vの直流電圧が印加されており、現像ローラ142yと感光体ドラム11yとの電位差によって、静電潜像にイエロー色トナーが付着し、感光体ドラム11yの表面にイエロー色トナー像が形成される。このイエロー色トナー像は、後述するように、感光体ドラム11yの表面に圧接し、矢符DTBの方向に駆動する中間転写ベルト70に中間転写される。感光体ドラム11yの表面に残留するイエロー色トナーはドラムクリーナ16yにより除去回収される。以後、同様にしてイエロー色のトナー像の形成動作が繰り返し実行される。
【0160】
以下に、この発明の第2実施形態に係る2成分現像剤140y,140m,140c,140bについて詳細に説明する。2成分現像剤140y,140m,140c,140bは、トナーと、キャリアとを含む。
【0161】
トナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子で構成される。結着樹脂としては電子写真方式の画像形成装置の分野で通常用いられるものを使用でき、例えば、ポリスチレン、スチレンの置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0162】
これらの結着樹脂の中でも、カラートナー用としては、保存性および耐久性などの点から、軟化点が100〜150℃であり、ガラス転移点が50〜80℃の結着樹脂が好ましく、上記範囲内に軟化点およびガラス転移点を有するポリエステルが特に好ましい。ポリエステルは軟化または溶融状態で高い透明度を示す。結着樹脂がポリエステルである場合、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が重ね合わされた多色トナー像を、後述する定着部4cで記録媒体RSに定着させると、ポリエステル自体は透明化するので、減法混色によって十分な発色が得られる。
【0163】
着色剤としては、従来から電子写真方式の画像形成技術に用いられるトナー用顔料、および染料を使用できる。トナー顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料等の有機系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロムおよびベルリンブルーなどの無機系顔料、ならびにアルミニウム粉などの金属粉などが挙げられる。トナー顔料は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0164】
離型剤としては、例えば、ワックスを使用できる。ワックスとしては電子写真方式の画像形成装置の分野で通常用いられるものを使用でき、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0165】
トナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤の他に、帯電制御剤、流動性向上剤、定着促進剤および導電剤などの一般的なトナー用添加剤の1種または2種以上を含有してもよい。
トナーは、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法などの公知の方法で製造できる。粉砕法では、着色剤および離型剤などを結着樹脂と溶融混練して粉砕することでトナーを得る。懸濁重合法では、結着樹脂、着色剤および離型剤などのモノマーを均一に分散した後、これらのモノマーを重合させることでトナーを得る。乳化凝集法では、結着樹脂、着色剤および離型剤などを凝集剤によって凝集させ、得られる凝集物の微粒子を加熱することでトナーを得る。
【0166】
トナーの体積平均粒径は、特に制限されないが、好ましくは2μm以上7μm以下である。またトナーの体積平均粒径がこのように適度に小さい場合には、記録媒体RSに対する被覆率が高くなるので、低付着量での高画質化、およびトナー消費量の低減化を達成できる。
トナーの体積平均粒径が2μm未満では、トナーの流動性が低下し、現像動作の際に、トナーの供給、撹拌および帯電が不十分になるので、感光体ドラム11y等に供給されるトナー量の不足や逆極トナーの増加などが発生し、高画質画像が得られないおそれがある。トナーの体積平均粒径が7μmを超えると、定着時に中心部分まで軟化し難い大粒径のトナー粒子が多くなるので、記録媒体RSへのトナー像の定着性が低下するとともに、画像の発色が悪くなり、特にOHPシートへの定着の場合には、画像が暗くなる。
【0167】
この発明の第2実施形態に係るトナーは、ガラス転移点が60℃であり、軟化点が120℃であり、体積平均粒径が6μmの負帯電性の絶縁性非磁性トナーである。このトナーを用いて、X−Rite社製310による反射濃度測定値が1.4の画像濃度を得るには、記録媒体RSの表面において5g/m2のトナー量が必要である。
また、トナーは、結着樹脂としてガラス転移点が60℃であり軟化点が120℃のポリエステルを含み、着色剤として各色の顔料をトナー全量の12重量%含み、離型剤としてガラス転移点が50℃であり軟化点が70℃の低分子ポリエチレンワックスをトナー全量の7重量%含む。このトナーに離型剤として用いられる低分子ポリエチレンワックスは、結着樹脂として用いられるポリエステルよりもガラス転移点および軟化点が低いワックスである。
【0168】
キャリアとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子としては、例えば、鉄、フェライトおよびマグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウムまたは鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
また、磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどをキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、例えばスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。
【0169】
キャリアの体積平均粒径は、特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは30μm以上50μm以下である。さらにキャリアの抵抗率は、好ましくは108Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。
キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められたキャリアにおもりで1kg/cm2の荷重を掛け、おもりと底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることで得られる値である。キャリアの抵抗率が低いと、現像ローラ142yにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体ドラム11yにキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10emu/g以上60emu/g以下、さらに好ましくは15emu/g以上40emu/g以下である。磁化強さは現像ローラ142yの磁束密度にもよるけれども、現像ローラ142yの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、感光体ドラム11yと非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。
【0170】
2成分現像剤144y,144m,144c,144bにおけるトナーとキャリアとの混合割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択すればよい。
【0171】
図13に示すように、中間転写部7は、中間転写ベルト70と、転写ローラ21y,21m,21c,21b,21wと、支持ローラ22a,22b,22cと、ベルトクリーナ18とを含む。第2実施形態においては、中間転写部7と、後述する2次転写部8とによって、転写手段を構成する。
【0172】
中間転写ベルト70は、支持ローラ22a,22bと後述する支持ローラ22cとの間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状の像担持体であり、感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wとほぼ同じ周速度で、矢符DTBの方向に、すなわち、感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wに対向する像担持面が、感光体ドラム11yから感光体ドラム11wに向って移動するように回転駆動される。
【0173】
中間転写ベルト70には、例えば、厚さ100μmのポリイミドフィルムを使用できる。中間転写ベルト70の材料としてはポリイミドのみに限定されず、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステルおよびポリプロピレンなどの合成樹脂、または各種ゴムなどから構成されるフィルムを使用できる。
【0174】
合成樹脂または各種ゴムから構成されるフィルム中には、中間転写ベルト70の電気抵抗値を調整するために、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラックおよびグラファイトカーボンなどの導電材が配合される。また、中間転写ベルト70には、トナーに対する付着力の弱いフッ素樹脂組成物、またはフッ素ゴムなどから構成される被覆層が設けられていてもよい。被覆層の構成材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)などが挙げられる。被覆層には導電材が配合されていてもよい。
【0175】
中間転写ベルト70の像担持面は、中間転写ベルト70の回転駆動方向における上流側から、感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wに、この順番で圧接するが、中間転写ベルト70の感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wに圧接する位置が、各色トナー像の中間転写位置である。
【0176】
転写ローラ21y,21m,21c,21b,21wは、それぞれ中間転写ベルト70を介して感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wに対向するように設けられ、かつ中間転写ベルト70における像担持面の反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段により、その軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。
【0177】
転写ローラ21y,21m,21c,21b,21wには、例えば金属製軸体と、金属製軸体の表面に形成される導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。
金属製軸体は、例えばステンレス鋼などの金属によって構成される。金属製軸体の直径は特に制限されないが、好ましくは8mm以上10mm以下である。
導電性層は、導電性の弾性体などによって構成される。導電性の弾性体としては電子写真方式の画像形成装置の分野で通常用いられるものを使用でき、例えばカーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDMおよび発泡ウレタンなどが挙げられる。さらにその表面をPFAなどのチューブ材で被覆してもよい。導電性層によって、中間転写ベルト70に高電圧が均一に印加される。
【0178】
転写ローラ21y,21m,21c,21b,21wには、感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wの表面に形成されるトナー像を中間転写ベルト70上に転写するために、トナーの帯電極性とは逆極性の中間転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11wに形成されるイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック色のトナー像が中間転写ベルト70の像担持面に順次重ね合わさって転写され、多色のトナー像および透明トナー層が形成される。ただし、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック色の一部のみの画像情報が入力される場合には、画像形成部1y,1m,1c,1bのうち、入力される画像情報の色に対応する画像形成部のみにおいてトナー像が形成される。
【0179】
支持ローラ22a,22b,22cは、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられ、中間転写ベルト70を張架して矢符DTBの方向に回転駆動させる。支持ローラ22a,22b,22cには、例えば直径30mm、および肉厚1mmのアルミニウム製円筒体(パイプ状ローラ)が用いられる。このうち、支持ローラ22cは、中間転写ベルト70を介して後述する2次転写ローラ23に圧接して2次転写ニップ部を形成し、かつ電気的に接地される。
【0180】
ベルトクリーナ18は、中間転写ベルト70の像担持面上のトナー像を後述の2次転写部8において記録媒体RSに転写した後に、像担持面上に残存するトナーを除去する部材であり、中間転写ベルト70を介して支持ローラ22aに対向するように設けられる。
【0181】
中間転写部7によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b,11w上に形成されるトナー像は、転写ローラ21y,21m,21c,21b,21wにトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加されることによって、中間転写ベルト70の像担持面の所定位置に重ね合わされて中間転写され、多色のトナー像が形成される。このトナー像は、後述するように、2次転写ニップ部において記録媒体RSに2次転写される。2次転写後に中間転写ベルト70の像担持面に残留するトナー、および紙粉などがベルトクリーナ18によって除去され、中間転写ベルト70の像担持面には再度多色のトナー像が転写される。
【0182】
2次転写部8は、支持ローラ22cと、2次転写ローラ23とを含む。支持ローラ22cは、中間転写ベルト70を張架する機能と共に、中間転写ベルト70上の多色のトナー像を記録媒体RSに2次転写させる機能を有する。2次転写ローラ23は、中間転写ベルト70を介して支持ローラ22cに圧接し、かつ軸線方向に回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。
【0183】
2次転写ローラ23は、例えば、金属製軸体と、金属製軸体の表面に形成される導電性層とを含む。金属製軸体は、例えばステンレス鋼などの金属によって形成される。導電性層は、導電性弾性体などによって形成される。
導電性弾性体としては電子写真方式の画像形成装置の分野で通常用いられるものを使用でき、例えばカーボンブラックなどの導電材を含む、EPDM、発泡EPDMおよび発泡ウレタンなどが挙げられる。2次転写ローラ23には図示しない電源が接続され、トナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加される。支持ローラ22cと中間転写ベルト70と2次転写ローラ23との圧接部が2次転写ニップ部である。
【0184】
2次転写部8によれば、中間転写ベルト70上のトナー像が2次転写ニップ部に搬送されるのに同期して、後述する記録媒体供給部3から送給される記録媒体RSが2次転写ニップ部に搬送される。そして、2次転写ニップ部において多色のトナー像と記録媒体RSとが重ね合わされ、2次転写ローラ23にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加されることによって、未定着のトナー像が記録媒体RSに2次転写される。そして、未定着トナー像を担持した記録媒体RSは、定着部4cに搬送される。
【0185】
記録媒体供給部3は、記録媒体収容トレイ311aと、ピックアップローラ321aと、搬送ローラ33と、搬送経路30とを含む。記録媒体収容トレイ311aは、記録媒体RSを収容する。
搬送経路30は、記録媒体収容トレイ311aに収容される記録媒体RSを、2次転写部8を経由して、最終的に記録媒体排出トレイ9a,9bに送るための経路である。ピックアップローラ321aは、記録媒体収容トレイ311aに収容されている記録媒体RSを一枚ずつ搬送経路30に繰り出し搬出するローラ状部材である。搬送ローラ33は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、ピックアップローラ321aにより繰り出された記録媒体RSを2次転写部8へ搬送する。
ここで、記録媒体RSは、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂製の、厚みが10〜600μm程度のシートであり、そのサイズは、A4,B5,B4,葉書サイズなどがある。この発明の第2実施形態においては、記録媒体RSとして厚み約130μmのA4サイズのPETシートを用いた。
【0186】
図15は、第2実施形態に係る定着部4cの構成を示す断面図である。定着部4cは、定着ベルト46と、定着ローラ45と、加熱ローラ49と、加圧ローラ41とを含む。
定着ベルト46は、定着ローラ45と加熱ローラ49との間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材である。また、定着ベルト46は、定着ローラ45と加圧ローラ41との圧接点で加圧ローラに接触するように設けられ、記録媒体RSに担持されるレンチキュラー画像LIを構成するトナーを加熱溶融させて記録媒体RSに定着させるものである。定着ベルト46は加圧ローラ41の矢符DPR方向の回転駆動によって矢符DFBの方向に従動回転する。なお、矢符DHRおよびDFRはそれぞれ、加熱ローラおよび定着ローラの回転方向を示す。
【0187】
この発明の第2実施形態に係る定着ベルト46は、基材層461と、弾性層462と、離型層463とを含む3層構造で、直径50mmの円筒形状に形成された無端ベルトを使用する。
【0188】
基材層461を形成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れるものであれば特に制限されないが、耐熱性合成樹脂を上げることができ、中でも、ポリイミド(P1)、ポリアミドイミド(PAI)、ニッケル電鋳、SUSなどが好ましい。これらの材料は、強度、耐熱性に優れ、安価である。基材層461の厚さは、特に制限されないが、好ましくは30〜200μmである。
【0189】
弾性層462を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないが、さらに耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコンゴムが好ましい。
弾性層462の硬度は、JIS−A硬度1〜60度であることが好ましい。このJIS−A硬度の範囲であれば、弾性層462の強度の低下、密着性の不良を防止しつつ、トナーの定着性の不良を防止できる。このシリコンゴムとしては具体的には、1成分系、2成分系または3成分系以上のシリコンゴム、LTV型、RTV型又はHTV型のシリコンゴム、縮合型または付加型のシリコンゴム等を使用できる。
また、弾性層462の厚さは、100〜200μmであることが好ましい。弾性層の厚さを200μm以下とすることで、弾性層の変形量が抑制され、チューブのしわ発生を防止できる。また、この厚さの範囲であれば、弾性層462の弾性効果を維持しつつ、断熱性を低く抑えることができて省エネルギー効果を発揮できる。この発明の第2実施形態では、JIS−A硬度5度のシリコンゴムを使用した。
【0190】
離型層463は、フッ素樹脂チューブよりなる。定着ベルト46の外周側に形成される離型層463が、フッ素樹脂チューブより構成されているので、フッ素樹脂を含有する樹脂を塗布し、これを焼成することによって形成された離型層よりも耐久性に優れている。
また、離型層463を構成するフッ素樹脂チューブの材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、トナーとの付着力が弱いものであれば特に制限されず、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)などのフッ素系樹脂材料などが挙げられる。
離型層463の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。この厚さの範囲であれば、適度な強度を持ち、弾性層の弾性を活かしながら、記録媒体RSの微小な凹凸の変化に追従することが可能である。
【0191】
定着ローラ45は、図示しない支持手段によって回転自在に支持され、加圧ローラ41、定着ベルト46の回転駆動によって、矢符DFRの方向に所定の速度で従動回転するローラ状部材である。
この発明の第2実施形態では、定着ローラ45として、芯金451と、弾性層452と表面層453とを含む直径30mmの円筒形状に形成されるローラ状部材を使用する。
芯金451を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、例えば、アルミニウム、鉄などが挙げられる。芯金451の形状としては、円筒状、円柱状などが挙げられるが、芯金451からの放熱量が少ない円筒状の方が好ましい。
【0192】
弾性層452を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないが、さらに耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特に液状熱硬化型シリコンゴムが好ましい。定着ベルト46の寄りを修正するため、弾性層上に表面層453を設ける構成としてもよい。これにより定着ローラ45の表面の摺動性が向上し、定着ベルト46の寄りを修正し易くなる。
【0193】
表面層453を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、摺動性が高いものであれば特に制限されず、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、フッ素ゴム等を使用してもよい。
【0194】
また、定着ローラ45の内部に、加熱手段を設けてもよい。これは、3D画像形成装置200の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録媒体RSに熱が移行することに起因する定着ローラ45の表面温度の低下などを防止するためである。
【0195】
加熱ローラ49は、回転自在に支持されかつ図示しない加圧手段によって定着ベルト46にテンションを加えられるように設けられたローラ状部材である。加熱ローラ49は、定着ベルト46の矢符DFB方向の回転に従動回転する。加熱ローラ49には、アルミニウム、鉄などの熱伝導率の高い金属製の芯金491からなる金属製ローラを使用できる。金属製ローラは必要に応じてその表面にフッ素樹脂層が形成されてもよい。
【0196】
加熱ローラ49は、その内部に加熱手段としての内部ヒータランプ43a,43bを有する。これによって、定着ベルト46が加熱される。内部ヒータランプ43a,43bには図示しない電源が接続され、内部ヒータランプ43a,43bを発熱させるための電力が供給される。内部ヒータランプ43a,43bには一般的な加熱手段を使用できる。また、加熱ローラ49の外部から誘導加熱にて加熱ローラ49を加熱することや、定着ベルト自身を加熱することも可能である。
この発明の第2実施形態においては、内部ヒータランプ43a,43bとしてハロゲンランプを使用する。
【0197】
加圧ローラ41は、定着ローラ45の鉛直方向最下点よりも定着ローラ45の回転方向下流側において、図示しない加圧機構により定着ベルト46を介して定着ローラ45に圧接され、定着ニップ部FN(定着ニップ幅WFN)を形成する。加圧ローラ41は図示しない駆動手段によって回転駆動される。加圧ローラ41は、定着ローラ45によるトナー像の記録媒体RSへの加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録媒体RSに対して押圧することによって、トナー像の記録媒体RSへの定着を促進する。
【0198】
この発明の第2実施形態においては、加圧ローラ41として、芯金411と、弾性層412と、表面層413とを含む径30mmのローラ状部材を使用する。芯金411、弾性層412および表面層413を形成する材料としては、それぞれ、定着ローラ45の芯金451、弾性層452および表面層453を形成する金属または材料と同じものを使用できる。また、芯金411の形状も定着ローラ45と同様である。
【0199】
加圧ローラ41の内部には、加熱手段としての内部ヒータランプ44が設けられる。これは、3D画像形成装置200の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録媒体RSに熱が移行することに起因する加圧ローラ41の表面温度の急激な低下などを防止するためである。この発明の第2実施形態では、内部ヒータランプ44としてハロゲンランプが用いられる。
【0200】
定着ベルト用サーミスタ47aは、定着ベルト46を介して加熱ローラ49に対向する位置において定着ベルト46に近接するように設けられ、定着ベルト46の温度を検知する。定着ベルト用サーミスタ47aによる検知結果は、図示しないCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)に入力される。CPUは、定着ベルト用サーミスタ47aの検知結果から定着ベルト用サーミスタ47aの温度が設定範囲内にあるか否かを判定する。定着ベルト46の温度が設定範囲よりも低い場合には、内部ヒータランプ43a,43bに接続される電源に制御信号を送り、内部ヒータランプ43a,43bに電力を供給して発熱を促す。定着ベルト46の温度が設定範囲よりも高い場合には、内部ヒータランプ43a,43bへの給電力の有無を確認する。電力供給が継続される場合は、電力供給を停止する制御信号を送る。
【0201】
また、定着ベルト46を介して定着ローラ45に対向しかつ定着ベルト用サーミスタ47aよりも定着ベルト46の回転方向下流側の位置には、定着ベルト46に近接するように設けられ、定着ベルト46の異常昇温を検知するサーモスタット(図示せず)が配設されている。サーモスタットによる検知結果はCPUに入力される。CPUはサーモスタットの検知結果に応じて内部ヒータランプ43a,43bに接続される電源からの給電を停止する。
さらに、加圧ローラ41に近接するように、サーミスタを設けてもよい。
【0202】
このように、定着ローラ45と加熱ローラ49と定着ベルト46と加圧ローラ41とを含む定着機構は、3D画像形成装置200の全動作を制御する図示しないCPUによって制御される。
【0203】
CPUは、画像形成指示の入力を受けると、加熱ローラ49、加圧ローラ41の内部に設けられる内部ヒータランプ44,43a,43bに電力を供給する図示しない電源に制御信号を送る。画像形成指示は、3D画像形成装置200の鉛直方向上面に設けられる図示しない操作パネルまたは3D画像形成装置200に接続されるコンピュータなどの外部機器から入力される。制御信号を受けた電源は電力を供給して内部ヒータランプ44,43a,43bを起動させる。
【0204】
内部ヒータランプ44,43a,43bは、定着ローラ45、加熱ローラ49、加圧ローラ41および定着ベルト46表面がそれぞれの設定温度になるように加熱する。定着ローラ45および加圧ローラ41の近傍に設けられる図示しない温度検知センサが設定温度に到達したことを検知し、その検知結果がCPUに入力されると、CPUは定着ローラ45を回転駆動させる図示しない駆動手段に制御信号を送り、加圧ローラ41を矢符DPRの方向に回転駆動させる。それに伴って定着ベルト46、定着ローラ45および加熱ローラ49が従動回転する。この状態で、未定着トナー像を担持する記録媒体RSが2次転写ローラ23(図13参照)から定着ニップ部FNに搬送される。この記録媒体RSが定着ニップ部FN(定着ニップ幅WFN)を通過する際に、トナーが加熱加圧され、記録媒体RSに定着されてレンチキュラー画像LIが形成される。
【0205】
画像が形成された記録媒体RSは、レンチキュラーレンズが形成されるよう、図13に示されるように、搬送経路30aを経由して定着部4cを通過した後、スイッチバックしてトナー画像形成面が上面となるように搬送経路30bを通って2次転写部8に戻される。中間転写ベルト70上には、透明トナー層形成部1wにより、透明トナー層TLが形成されている。その透明トナー層TLが記録媒体RS上のレンチキュラー画像LIが形成された面上に転写される。透明トナーが転写された記録媒体RSは、レンチキュラーレンズシートが形成されるべく、レンズ形成部5aに送られる。
なお、記録媒体RSがOHPシートなどの透明なシートの場合、記録媒体RS上のレンチキュラー画像LIが形成された面と反対側の面に透明トナー層TLを形成するように記録媒体RSをスイッチバックさせてもよい。
【0206】
レンズ形成部5aは、図16に示すように加熱源としての内部ヒータランプ53および54によりそれぞれ加熱されるレンズ形成ローラ50a、レンズ形成用加圧ローラ51からなる。
レンズ形成ローラ50aの表面には、記録媒体RS上の透明トナー層TLをレンズ形状に形成できるようにレンズ形成ローラ50aの軸方向に凹面形状の溝が多数形成されている。ただし、溝の形成方向はレンズ形成ローラ50aの軸方向でも、あるいは実施形態1に係るレンズ形成ローラ50と同様に、周方向に沿って形成されていても、どちらでも問題ない。溝加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。
【0207】
この発明の第2実施形態に係るレンズ形成ローラ50aは、外径40mm、肉厚2mm、胴部長さ315mmのアルミニウム製のローラに対して、その表面を機械的に加工して、ローラ周方向にピッチ約250μm、深さ約30μmの溝を約300mmの幅で形成した。また、レンズ形成ローラ50aの表面は、トナーの離型性を確保するために、フッ素コートした。フッ素コートの厚みは約10μmとした。
なお、レンズ形成部5aはベルト形状としても良い。ベルト形状とすることで熱容量を小さくできる結果、ウォームアップ時間の短縮等が可能となる。
【0208】
この発明の第2実施形態に係る加圧ローラ51は、外径29.76mm、内径23.76mm、肉厚3mmの絞り構造の無い鉄製の鉄製芯金の外周面上に、弾性体として厚さ5mmのシリコンゴム層を設けた。シリコンゴムは、JIS−A硬度が30°品とした。製品外径は40.0mmのローラである。また、芯金の軸線方向長さは313mmであり、弾性層の軸線方向長さは312mmである。
【0209】
なお、表面層523の厚さは10μm〜50μmであることが好ましい。今回使用したレンズ形成用加圧ローラ51の表面層523としては50μmのPFAチューブを使用した。
レンズ形成用加圧ローラ51は、図示しない加圧機構によって、軸線方向において一様な押圧力であって総荷重が400Nである押圧力で、レンズ形成ローラ50aを押圧している。
【0210】
以下、第2実施形態に係るレンズ形成部5aの詳細な形状について説明する。
【0211】
図17(A)に示すように、レンズ形成ローラ50aの表面には、記録媒体RSの一面に形成された透明トナー層TLを凹凸形状のレンズ層に成型できるように所定ピッチで複数本の溝が形成されている。図17(B)は、図17(A)のE部の拡大図である。これらの図に示すように、第2実施形態において、溝の形成方向は、レンズ形成ローラ50aのローラの軸方向DLRAに沿って形成されている。このような溝の加工方法としては、金属製のバイト等による機械加工や、レーザによる加工等が挙げられる。
【0212】
レンズ形成部5aにおいて、記録媒体RSの一方面にレンチキュラーレンズLLが形成されたシートは、図13に示されるように、搬送経路30cを経由して記録媒体排出トレイ9bに搬送され、3D画像形成装置200の外部に排出される。一方、記録媒体RS上にレンチキュラーレンズLLを形成せずに通常の画像のみを形成する場合、画像形成部1y,1m,1c,1bおよび定着部4cによって記録媒体RSに通常の画像のみを形成し、搬送経路30bにスイッチバックせずに、そのまま搬送経路30aを通って記録媒体排出トレイ9aに搬送すればよい。
【0213】
なお、3D画像形成装置200においては、記録媒体RS上のレンチキュラー画像LIと、対応するレンズ形成ローラ50a表面の溝との接触位置がずれないように調整を行う。
例えば、記録媒体RS上に位置合わせのためのトンボを形成し、透明トナー層TLが形成された記録媒体RSが所定の位置を通過する際、トンボの位置を読み取り、レンズ形成ローラの位置を調整する。具体的には、図18に示されるように、記録媒体RSの所定位置に接触するレンズ形成ローラ50a表面に溝の位置を算出し、レンズ形成ローラの表面層513aの溝の(i)の部分が対応する画像部分に整合するように調整する。
【0214】
一方、レンチキュラー画像LIについては、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置を用いて、レンチキュラーレンズのレンズ数に対応するように画像を分割し、分割した画像をレンチキュラーレンズの幅に対応するよう線状画像に加工する。3D画像形成装置200においては、線状画像に加工する際、レンズ形成部材の形状に応じて画像を加工している。例えば、レンズ形成部材の形状が図18(A)のようになっていた場合、図18(B)に示されるように、それぞれの溝の幅d1,d2,d3に応じて、それぞれの幅に合う線状画像t1,t2,t3を形成する。第2実施形態においては、画像の後端部からd1,d2,d3等に対応するように線状画像の形成を行った。その後、レンチキュラーレンズの配置に対応するピッチで配列し、それぞれの線状画像を画像が変化する順番でずらして重ね合わせる処理を行う。このようにして、レンズ形成ローラ50a表面の溝部の形状バラツキに応じたレンチキュラー画像LIを形成することが出来る。
【0215】
画像位置の具体的な調整方法としては、副走査方向の書き込みタイミングの調整で対応可能である。感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に、静電潜像をそれぞれ光走査部13y,13m,13c,13bにより形成する。書き込み光学系が1200dpiの解像度の場合、約21μmピッチでの制御が可能であり、21μmピッチで±6段階の調整機構を設けることで、たとえ『ずれ』が生じたとしても21μmのピッチで調整可能となる。
【0216】
一方、レンズ形成ローラ50a上にその溝の凹凸を示すマーキングを行っておく。マークの位置は、凸部を示す位置でも凹部を示す位置でも問題ない。ここで、(図示しない)反射型のフォトセンサーをレンズ形成ローラ50a表面の溝部の対向面に設置して、レンズ形成ローラ50aを回転させながら溝部からの反射光を読み取り、当該反射光情報に基づいてレンズ形成ローラ50aの表面の溝部の凹凸を検知し、当該検知情報に基づいて書き込み位置を制御することで、副走査方向の『ずれ』を補正することが可能となる。なお、調整機構はオペレーションパネルに表示して、ユーザーが調整可能とすることも可能である。
【0217】
≪第3実施形態≫
最後に、図19〜図23に基づき、この発明の第3実施形態に係る第2の3D画像形成装置について説明する。
【0218】
この発明の第3実施形態に係る第2の3D画像形成装置200aは、レンチキュラーレンズ形成装置を備える画像形成装置であり、単一の装置で3D画像を形成するものである。一方、記録媒体にレンチキュラーレンズ形成を行わないことにより、通常の画像を印刷することもできる。以下、3D画像形成装置200aの詳細な構成について説明する。
なお、3D画像形成装置200aは、第1実施形態に係るレンチキュラーレンズ形成装置100を備えるものであってもよく、レンチキュラーレンズ形成装置100または3D画像形成装置200と一部類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0219】
図19は、この発明の第3実施形態に係る3D画像形成装置200aの構成を示す図である。3D画像形成装置200aは、画像形成部1y,1m,1c,1bと、透明トナー層形成部1wと、転写部2y,2m,2c,2b,2wと、記録媒体供給部3,3bと、レンズ形成部5bと、記録媒体排出部6と、中間転写部7と、2次転写部8と、光走査部13と、図示しない表示部、操作部および制御部とを備える。
記録媒体収容トレイ314は、3D画像形成装置200aの外部に接続されたトレイであり、ピックアップローラ324は、記録媒体収容トレイ314内の記録媒体を1枚ずつ記録媒体搬送経路30内に繰り出すローラ状部材である。記録媒体RSは、搬送ローラ33a,33b,33c、レジストローラ34を経由して、2次転写部に送られる。搬送ローラ35a,35bは、記録媒体RSをスイッチバックするための経路である。
【0220】
この発明の第3実施形態に係る第2の3D画像形成装置200aの構成は、基本的には、第2実施形態に係る第1の3D画像形成装置200の構成と同じである。3D画像形成装置200aにおいては、画像用トナーによりレンチキュラー画像LIを形成し、次いで透明トナー層TLを形成した後、レンズ形成部5bで一気に定着を行う。しかしながら、第2実施形態の場合と同様に、レンチキュラー画像LIを一度定着してから、その上に透明トナー層TLを形成し、その後に再度定着をしてもよい。また、レンチキュラー画像LI形成用の定着装置と、透明トナー層TL定着用の定着装置を別途設け、必要に応じて記録媒体の進行を変更してもよい。このような構成にすれば、通常画像のみの印字も可能となる。またはレボルバー式に定着ローラとレンズ形成ローラを切り替えても良い。この場合、透明トナーも含めて定着する場合は、画像用トナーのみを定着する場合よりも、定着温度を大きく設定しても良い。例えば、通常のトナーの定着温度は180℃の場合、透過性樹脂層も定着する場合は190℃以上とする。その理由は、画像用トナーのみの場合よりも透過性材料を付着させた場合の方が、全体のトナー付着量は多くなるため、より多くの熱用を必要とするからである。
【0221】
次に、この発明の第3実施形態に係る3D画像形成装置200aの制御システムの構成について説明する。
図20に示されるように、第3実施形態に係る制御システムは、制御部201と、透明トナー層形成制御部202と、入力部203と、表示部204と、読取部205と、画像処理部206と、画像形成部207と、周辺機器制御部208と、画像情報検出部209と、演算部210と、記憶部211とを備えている。
【0222】
図21は、第3実施形態に係るレンズ形成部5bの熱量制御のフローチャートである。図21に示すように、制御部201は、読取部205に原稿画像を読み取らせ、画像処理部206に前記原稿画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成させ、画像形成部207に該画像データに対応するレンチキュラー画像LIを記録媒体RS上に形成させる(ステップS11)。次に、制御部201は、前記画像データに基づき、画像情報検出部209に画素ごとの画像情報を検知させる(ステップS12)。続いて、制御部201は、演算部210に前記画像情報に基づき画素ごとのレンチキュラー画像LIの厚みを算定させ(ステップS13)、続くステップS14において、画素ごとに塗布すべき透明トナー層TLの厚みを計算させ、画素ごとの透明トナーの現像量を決定させる(ステップS14)。最後に、制御部201は、透明トナー層形成制御部202に透明トナーの現像量を制御させ、透明トナー用の書き込み用レーザを画素ごとに制御させる(ステップS15)。
ところで、この発明の第3実施形態においては、画素ごとに処理する例を示したが、解像度等に応じて他の単位ごとに処理してもよい。
【0223】
なお、制御部201は、入力部203および出力部204に、それぞれスキャナの入力および出力を行わせる。また、制御部201は、周辺機器制御部208に後処理装置であるフィニッシャーやソーターなどの周辺機器を制御させる。さらに、制御部201は、記憶部211にプロセス速度と紙搬送開始信号を検出するアクチュエータの信号を元に印字開始信号を受信してから記録部材が定着装置内のレーザ照射部までの到達時間を記憶させる。
【0224】
≪実施例1≫
次に、図22に基づき、第3実施形態の3D画像形成装置200aを用いた実施例1について詳述する。
【0225】
<トナー>
樹脂:ポリエステル樹脂(94.5部)
帯電制御剤:ベンジル酸誘導体の金属酸化物(0.5部)
ワックス:ポリエチレンワックス(5.0部)
外添剤:以下のものを使用した。
小粒径シリカ トナーに対して1.0部
酸化チタン トナーに対して1.5部
なお、画像用トナーの場合は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色について、最適な顔料が選択され、3部から8部程度の範囲で使用する。
(現像剤)
2成分現像剤で現像剤に対するトナー比率が8%で現像剤を作製した。
【0226】
<レンズ形成ローラ>
レンズ形成ローラは、外径39.6mm、内径38.3mm、肉厚0.65mmで、両端部を絞った鉄製の薄肉芯金とした。
外径40mm、肉厚2mm、胴部長さ315mmのアルミニウム製のローラに対して、その表面を機械的に加工して、ローラ周方向にピッチ約250μm、深さ約30μmの溝を約300mmの幅で形成した。
表面は、トナーの離型性を確保するために、フッ素コートした。フッ素コートの厚みは約10μmとした。
【0227】
<加圧ローラ>
外径29.76mm、内径23.76mm、肉厚3mmの絞り構造の無い鉄製の鉄製芯金の外周面上に、弾性体として厚さ5mmのシリコンゴム層を設けた。シリコンゴムは、JIS−A硬度が30°品とした。表面層としては50μmのPFAチューブ層とした。製品外径は40.0mmのローラである。また、芯金の軸線方向長さは313mmであり、弾性層の軸線方向長さは312mmである。
加重は400Nとした。
<ランプ>
定着ローラ内部には、ローラを内部から加熱するためにハロゲンランプを設けた。
【0228】
ここで、通常の複合機で使用される記録媒体RS上に3Dの画像情報に応じてレンチキュラー画像LIを形成した後、画像情報に応じて、画像層の厚い部分は透明トナーを多く、画像層の薄い部分は透明トナーを多く形成するようにすることで、透明トナー層TLを全体で均一に厚さ50μm以上になるように形成する。50μm以下の場合、レンチキュラー画像LI層の凹凸の影響を受けやすくなる。なお、好ましくは80μm以上150μm以下が、画像層の凹凸の影響やレンチキュラーレンズとの関係から望ましい。今回は100μmとした。レンズ形成ローラの温度約150℃、50mm/secの速度で定着を行い、記録媒体RS上にレンズ形成を行った。その状態のイメージの断面図を図22(B)に示す。実施例1において、250μmピッチで高さが約30μmの良好なレンチキュラーレンズをA4シート全面に形成することができた。
【0229】
ところで、従来技術においては、図22(A)に示されるように、透明トナーTTを記録媒体RS上に一様に塗布した場合、透明トナーTTの塗布前に形成された画像用トナーGTの分布に応じて、表面の均一性が損なわれることがある。それゆえ、レンズ形成部5bによるレンズ形成を行うことにより、画像用トナーGT付近にレンズの不均一部分UEのあるレンチキュラーレンズLLが形成されてしまう。
一方、図22(B)に示されるように、実施形態3においては、記録媒体RS上に形成された画像用トナーGTの分布に応じて、表面が均一になるように透明トナーTTを形成した後、レンズ形成部5bによるレンズ形成を行うため、ムラのない良好なレンチキュラーレンズLLが形成可能となる。
【0230】
なお、画像用トナーが1色、または2色しか使用されず、最大付着量部分が少ない場合には、透明トナー形成後の均一に厚さ100μm以下にしても良い。そうすることで、透明トナーの消費量を減らすことができる。
【0231】
≪実施例2≫
次に、図23に基づき、第3実施形態の3D画像形成装置200aを用いた実施例2について詳述する。
【0232】
当該実施例2において、画像用トナーの代わりにインクジェットプリンタ用のインクを用いる。図23(A)に示すように、通常のインクジェットプリンタと同様にインクジェットヘッドIJHのノズルから3Dの画像情報に応じて搬送ベルトTBにより搬送される記録媒体RSに3D画像のインクINKを吐出する。その後に、透明樹脂を塗布ローラCRで100μmの厚みに塗布し、その後、実施例に用いられる凹凸のあるレンズ形成部5bにより、定着する。TRTは透明樹脂タンクである。この実施例では、透明樹脂の塗布に塗布ローラCRを使用したが、図23(B)に示すように、80℃以上から150℃程度まで加熱された透明樹脂ヘッドTRHを用いても良い。この場合、記録媒体RSの一部分のみに透明化材料を塗布することが可能となる。なお、インクジェットヘッドIJH,TRH、インクINK自体は一般的なものが使用できる。
【0233】
塗布ローラCRは、外径Φ30でフェルト材料のものを使用する。図示しない離接機構により、塗布時にのみ記録媒体RSに接するように配置され、記録媒体RSの動きに従動して回転する。
一方、3D印刷をせず、通常の画像のみを出力する場合には、図示しない機構にて塗布ローラは離間し、および、図示しない構成によりレンズ形成部5bも離間させる。
なお、画像形成層は透明トナーやインクジェットプリンタのインクに限定されず、装置は複雑になるが印刷や昇華用のインクでも良い。
【0234】
<透明樹脂>
透明樹脂としては、上記トナー用の樹脂が使用可能であるが、その中でも、結晶性のポリエステルがとくに優れている。
樹脂:結晶性ポリエステル樹脂(95部)
ワックス:ポリエチレンワックス(5.0部)
融点80℃
<塗布ローラ>
φ10mm程度の鉄(SUM24)製シャフト上に、耐熱性の繊維を被覆する。塗布ローラCRの外径は30mm程度。塗布時には透明樹脂タンクは150℃以上に加熱され、塗布ローラも内蔵されるハロゲンヒータにより150℃以上に加熱される。
【0235】
透明樹脂はWAX系の樹脂がより好ましい。ポリエステル系等の樹脂よりも、溶融粘度が低く、容易にノズルからの吐出や塗布ローラCRによるコートが可能となるとなるからである。WAX系樹脂としては、具体的にはパラフィンワックス、石油系ワックス、植物系ワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、および高級アルコール、ステアロン、ラウロン等のケトン、脂肪酸エステルアミド、飽和あるいは不飽和脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0236】
この発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についてもこの発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0237】
1,1a,1w:透明トナー層形成部
1b,1c,1m,1y:画像形成部
2,2a,2b,2c,2m,2w,2y:転写部
3,3b:記録媒体供給部
4,4a,4b,4c:定着部
5,5a,5b:レンズ形成部
6:記録媒体排出部
7:中間転写部
8:2次転写部
9a,9b:記録媒体排出トレイ
10,10a,10b:ユニット
11,11a,11b,11c,11m,11w,11y:感光体ドラム
12,12a,12b,12c,12m,12w,12y:帯電部
13,13a,13b,13c,13m,13w,13y:光走査部
14,14a,14b,14c,14m,14w,14y:現像部
15,15a:現像剤補給容器
16,16a,16b,16c,16m,16w,16y:ドラムクリーナ
17,17a:感光体除電部
18:ベルトクリーナ
21,21a,21b,21c,21m,21w,21y:転写ローラ
22a,22b,22c:支持ローラ
23:2次転写ローラ
30,30a,30b,30c:記録媒体搬送経路
33,33a,33b,33c,35a,35b:搬送ローラ
34,34a:レジストローラ
40,40a,45:定着ローラ
41,41a:加圧ローラ
40b,41b:加熱ヒータ
42,42a:定着クリーニング部
43,43a,43b,44,53,54:内部ヒータランプ
46:定着ベルト
47:定着ローラ側サーミスタ
47a:定着ベルト用サーミスタ
48:加圧ローラ側サーミスタ
49:加熱ローラ
50,50a:レンズ形成ローラ
51:レンズ形成用加圧ローラ
57:レンズ形成ローラ側サーミスタ
60,61:排出ローラ
70:中間転写ベルト
100,100a,100b:レンチキュラーレンズ形成装置
130:光源
140b,140c,140m,140y:2成分現像剤
141,141a,141y:現像槽
142,142a,142y:現像ローラ
143,143a,143ya,143yb:攪拌ローラ
144y:層厚規制部材
200,200a:3D画像形成装置
201:制御部
202:透明トナー層形成制御部
203:入力部
204:表示部
205:読取部
206:画像処理部
207:画像形成部
208:周辺機器制御部
209:画像情報検出部
210:演算部
211:記憶部
311,311a,312,313,314:記録媒体収容トレイ
321,321a,322,323,324:ピックアップローラ
401,411,451,491,511,511a,521:芯金
402,412,452,462,522:弾性層
403,413,453,513,513a,523:表面層
421:ウェブ
422:ウェブ送出ローラ
423:ウェブ圧接ローラ
424:ウェブ巻取りローラ
461:基材層
463:離型層
600:定着情報制御部
601:定着温度計測部
602:定着時間計測部
603:定着熱量記録部
604:トナー層厚み計測部
610:制御部
611:トナー層厚み変化量算出部
612:レンズ形成熱量決定部
613:レンズ形成熱量調整部
614:定着熱量情報記憶部
620:レンズ形成熱量制御部
621:レンズ形成温度制御部
622:レンズ形成時間制御部
α,β:視点
1α,2α,3α,4α,1β,2β,3β,4β:光の経路
ChHTL:レンズ形成前後のトナー層の厚みの変化量
CN:クリーニングニップ部
CR:塗布ローラ
DFB:定着ベルトの回転方向
DFR:定着ローラの回転方向
DHR:加熱ローラの回転方向
DLPR:レンズ形成加圧ローラの回転方向
DLR:レンズ形成ローラの回転方向
DLRA:レンズ形成ローラの軸方向
DPR:加圧ローラの回転方向
DRS:記録媒体の搬送方向
DTB:中間転写ベルトの回転方向
DW:ウェブ送り方向
d1,d2,d3,d4:レンズ形成ローラ表面の溝部を構成する各溝の幅
FN:定着ニップ部
GP:溝部
GT:画像用トナー
HLG:レンズ形成ローラの溝の深さ
HLL:レンチキュラーレンズの厚みの最大値
HOlimit:ホットオフセットの熱量上限
HRS:記録媒体の厚み
HRTL:溝による変形を受けない透明トナー層の部分の厚み
HTL:透明トナー層の厚み
IJH:インクジェットヘッド
INK:インク
LI:レンチキュラー画像
LL:レンチキュラーレンズ
LN:レンズ形成ニップ部
PLR:レンズ形成ローラの溝のピッチ間隔
RS:記録媒体
SATL:透明トナー層の溝のピッチ当たりの全断面積
SG:ピッチ当たりの溝の断面積
SNTL:透明トナー層の溝による変形を受けない部分のピッチ当たりの断面積
SVTL:透明トナー層の溝による変形を受ける部分のピッチ当たりの断面積
TB:搬送ベルト
TL:透明トナー層
TL1:透明トナー下層
TL2:透明トナー上層
TRH:透明樹脂ヘッド
TRT:透明樹脂タンク
TS:透明シート
TT:透明トナー
t1,t2,t3,t4:レンチキュラー画像を構成する各線条画像
UE:レンズの不均一部分
WCN:クリーニングニップ幅
WFN:定着ニップ幅
WGP:レンズ形成部の溝部の幅
WLN:レンズ形成ニップ幅
WRS:記録媒体の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物上に透明トナーを塗布し、単位面積あたり熱量H1を与えて定着し、前記対象物上に厚みD1の透明トナー層を形成するための透明トナー層形成部と、前記透明トナー層に単位面積あたり熱量H2を与えて加熱し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した最大厚みD2の複数の凸レンズを形成するためのレンズ形成部とを備え、
前記レンズ形成部は、前記熱量H1と、前記厚みの差D2−D1とに基づき、前記熱量H2を決定するための熱量決定部を備えることを特徴とするレンチキュラーレンズ形成装置。
【請求項2】
前記熱量決定部は、前記熱量H1と前記厚みの差D2−D1との予め設定された相関関係に基づき、前記熱量H2を決定する請求項1に記載のレンチキュラーレンズ形成装置。
【請求項3】
前記レンズ形成部は、前記厚みD2を算出するためのレンズ層厚算出部をさらに備え、
前記レンズ層厚算出部は、前記厚みD1と、溝型の断面形状とから前記厚みD2を算出する請求項1または2に記載のレンチキュラーレンズ形成装置。
【請求項4】
基材面上に画像用トナーを塗布してレンチキュラー画像を形成するための画像形成部と、前記レンチキュラー画像上に透明トナー層を形成し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した複数の凸レンズを形成するためのレンチキュラーレンズ形成装置と、前記溝型の凹凸形状を検出するための検出部と、画像制御部を備え、
前記検出部は、前記溝型の凹凸形状を検出し、
前記画像形成部は、前記凹凸形状に対応する前記レンチキュラー画像を前記基材面上に形成し、
前記画像制御部は、前記溝型および前記基材の相対位置を調整して前記凹凸形状を対応する前記レンチキュラー画像に整合させ、
前記レンチキュラーレンズ形成装置は、前記レンチキュラー画像の対応する位置に前記各凸レンズを形成することにより3D画像を形成することを特徴とする3D画像形成装置。
【請求項5】
前記画像制御部は、前記基材の所定の位置を基準に、前記基材面に平行かつ溝と直交する方向に前記溝型の位置を調整することにより、前記溝型の凹部または凸部を前記レンチキュラー画像の対応する位置に整合させる請求項4に記載の3D画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部は、前記溝型の形状および前記ピッチに応じて前記レンチキュラー画像を形成する請求項4または5に記載の3D画像形成装置。
【請求項7】
基材面上に画像用材料を塗布してレンチキュラー画像を形成させるための画像形成部と、前記レンチキュラー画像上に透明トナー層を形成し、前記透明トナー層を溝型で加圧成形して所定のピッチで配列した複数の凸レンズを形成するためのレンチキュラーレンズ形成装置と、前記レンチキュラー画像の単位面積あたりの厚みを検出する画像層厚検出部と、前記基材面上への前記透明トナーの単位面積あたりの塗布量を調整する透明トナー塗布量調整部とを備え、
前記画像形成部は、前記レンチキュラー画像を前記基材面上に形成し、前記レンチキュラーレンズ形成装置は、前記レンチキュラー画像が形成された前記基材面上に前記各凸レンズを前記レンチキュラー画像と整合する位置に形成することによって3D画像を形成し、
前記透明トナー塗布量調整部は、前記レンチキュラー画像の厚みに応じて前記透明トナーの塗布量を調整することにより、前記レンチキュラー画像と前記透明トナー層とを合わせた全体の厚みを均一にすることを特徴とする3D画像形成装置。
【請求項8】
前記透明トナー塗布量調整部は、前記レンチキュラー画像層の厚みの最大値に応じて、前記全体の厚みを調整する請求項7に記載の3D画像形成装置。
【請求項9】
前記全体の厚みは、少なくとも前記レンチキュラー画像層の凹凸の差よりも大きい請求項7または8に記載の3D画像形成装置。
【請求項10】
前記画像用材料は、トナーである請求項7ないし9のいずれか1つに記載の3D画像形成装置。
【請求項11】
前記画像用材料は、インクである請求項7ないし9のいずれか1つに記載の3D画像形成装置。
【請求項12】
前記レンズ形成部は、ローラ形状からなる請求項7ないし11のいずれか1つに記載の3D画像形成装置。
【請求項13】
前記透明トナー層形成部は、前記レンチキュラー画像層を構成する画像用材料の量に応じて前記凸レンズの形成時の熱量を変化させる請求項7ないし12のいずれか1つに記載の3D画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−242668(P2012−242668A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113752(P2011−113752)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】