説明

レーザアブレーションを利用する、太陽電池のコンタクトの形成

レーザを利用する太陽電池のコンタクト開口形成について記載する。裏面コンタクト型太陽電池の製造方法は、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階を含む。製造方法はさらに、多結晶材料層の上方に誘電材料積層体を形成する段階を含む。製造方法はまた、レーザアブレーションによって、誘電材料積層体内に複数のコンタクト開口を形成して、コンタクト開口それぞれの内部に多結晶材料層の一部を露呈させる段階と、複数のコンタクト開口内に導電性のコンタクトを形成する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年12月1日に提出した米国仮特許出願番号61/265,652号明細書の恩恵を請求しており、この内容全体をここに参照として組み込むこととする。
【0002】
ここに記載する発明は、米国エネルギー省により契約番号DE−FC36−07GO17043として、政府の援助を受けたものである。従い政府も権利の一部を主張する可能性がある。
【0003】
本発明の実施形態は、再生可能エネルギー分野に係り、特に、レーザを利用して一工程で損傷のない太陽電池のコンタクト開口を形成する技術に係る。
【背景技術】
【0004】
半導体および太陽産業で電気的活性領域に金属コンタクトを形成する際には、一定の活性領域を電気的に絶縁するため、または、不動態化するために形成される場合のある誘電材料(酸化物または窒化物材料等)の除去を伴うことが多い。通常行われてきた方法においては、マスク層の成膜、誘電層の選択的エッチング、そして、マスクの除去、または、レーザを利用するエッチングまたはアニーリング等の後工程といった、幾つかの処理工程が必要となる場合が多い。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の一実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法における各処理を示すフローチャートを示す。
【0006】
【図2A】本発明の一実施形態における、図1のフローチャートの一処理に対応する裏面コンタクト型太陽電池の製造における一段階の断面図を示す。
【0007】
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態における、図1のフローチャートの一処理に対応する裏面コンタクト型太陽電池の製造における一段階の断面図を示す。
【0008】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面コンタクト型太陽電池の製造方法であって、
単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階と、
前記多結晶材料層の上方に誘電材料積層体を形成する段階と、
レーザアブレーションによって、前記誘電材料積層体内に複数のコンタクト開口を形成して、コンタクト開口それぞれの内部に前記多結晶材料層の一部を露呈させる段階と、
前記複数のコンタクト開口内に導電性のコンタクトを形成する段階と
を備える製造方法。
【請求項2】
前記単結晶基板の上方に前記多結晶材料層を形成する段階は、
単結晶シリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記単結晶シリコン基板の上方に前記多結晶シリコン層を形成する段階は、
前記単結晶シリコン基板の上に直接形成された誘電膜の上に直接、前記多結晶シリコン層を形成する段階と、前記多結晶シリコン層の中に、N型ドーピング領域およびP型ドーピング領域両方を形成する段階とを含む請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記単結晶基板の上方に前記多結晶材料層を形成する段階は、
前記単結晶基板内のN型ドーピング領域およびP型ドーピング領域の上方に前記多結晶材料層を形成する段階を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記多結晶材料層の上方に前記誘電材料積層体を形成する段階は、
前記多結晶材料層の上に直接、二酸化シリコン層を形成する段階と、前記二酸化シリコン層の上に直接、シリコン窒化物層を形成する段階とを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記二酸化シリコン層を形成する段階は、
前記層の厚みを約1から50ナノメートルの範囲に形成する段階を含む請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記多結晶材料層の上方に前記誘電材料積層体を形成する段階は、
シリコン窒化物層のみを形成する段階を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記複数のコンタクト開口を形成する段階は、パターニングされたマスクを利用せずに行われる請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記複数のコンタクト開口を形成する段階は、
波長が約1064ナノメートル以下であるレーザを利用してアブレーションを行う段階を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記多結晶材料層はアモルファスシリコンを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
単結晶基板の上方に設けられた多結晶材料層と、
前記多結晶材料層の上方に設けられた誘電材料積層体と、
前記誘電材料積層体内に設けられ、前記多結晶材料層の一部に直接連結されている複数の導電性のコンタクトと、
前記多結晶材料層内に設けられ、前記複数の導電性のコンタクトのうちのいずれかと位置合わせされた、リキャストされたポリシグネチャーと
を備える裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項12】
前記多結晶材料層は、多結晶シリコン層であり、前記単結晶基板は、単結晶シリコン基板である請求項11に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項13】
前記多結晶シリコン層は、誘電膜の上に直接設けられており、前記誘電膜は前記単結晶シリコン基板の上に直接設けられており、前記多結晶シリコン層は、N型ドーピング領域およびP型ドーピング領域を両方含む請求項12に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項14】
前記単結晶シリコン基板は、N型ドーピング領域およびP型ドーピング領域を含む請求項12に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項15】
前記誘電材料積層体は、前記多結晶材料層の上に直接設けられた二酸化シリコン層と、前記二酸化シリコン層の上に直接設けられたシリコン窒化物層とを含む請求項11に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項16】
前記二酸化シリコン層の厚みは約1から50ナノメートルの範囲である請求項15に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項17】
前記誘電材料積層体はシリコン窒化物層のみを含む請求項11に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項18】
前記複数の導電性のコンタクトはそれぞれ丸い形状である請求項11に記載の裏面コンタクト型太陽電池。
【請求項19】
裏面コンタクト型太陽電池の製造方法であって、
単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階と、
前記多結晶材料層の上方に誘電材料積層体を形成する段階と、
前記多結晶材料層内に、リキャストされたポリシグネチャーを形成する段階と、
前記誘電材料積層体内に複数の導電性のコンタクトを形成して、前記多結晶材料層の一部に直接連結して、前記複数の導電性のコンタクトのうち1つを、前記リキャストされたポリシグネチャーと位置合わせする段階と
を備える製造方法。
【請求項20】
前記単結晶基板の上方に前記多結晶材料層を形成する段階は、
単結晶シリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階を含む請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記単結晶シリコン基板の上方に前記多結晶シリコン層を形成する段階は、
前記単結晶シリコン基板の上に直接形成された誘電膜の上に直接、前記多結晶シリコン層を形成する段階と、前記多結晶シリコン層の中に、N型ドーピング領域およびP型ドーピング領域両方を形成する段階とを含む請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記単結晶シリコン基板の上方に前記多結晶シリコン層を形成する段階は、
前記単結晶基板内のN型ドーピング領域およびP型ドーピング領域の上方にアモルファスシリコン層を形成する段階を含む請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
前記多結晶材料層の上方に前記誘電材料積層体を形成する段階は、
前記多結晶材料層の上に直接、二酸化シリコン層を形成する段階と、前記二酸化シリコン層の上に直接、シリコン窒化物層を形成する段階とを含む請求項19に記載の製造方法。
【請求項24】
前記二酸化シリコン層を形成する段階は、
前記層の厚みを約1から50ナノメートルの範囲に形成する段階を含む請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記多結晶材料層の上方に前記誘電材料積層体を形成する段階は、
シリコン窒化物層のみを形成する段階を含む請求項19に記載の製造方法。
【請求項26】
前記複数の導電性のコンタクトはそれぞれ丸い形状である請求項19に記載の製造方法。
【請求項27】
前記リキャストされたポリシグネチャーを形成する段階は、
波長が約1064ナノメートル以下であるレーザを利用してアブレーションを行う段階を含む請求項19に記載の製造方法。

【図2B】図2B'は、本発明の一実施形態における、図1のフローチャートの一処理に対応する裏面コンタクト型太陽電池の製造おける別の段階の断面図を示す。
【0009】
【図2C】本発明の一実施形態における、図1のフローチャートの一処理に対応する裏面コンタクト型太陽電池の製造における一段階の断面図を示す。
【0010】
【図2D】本発明の一実施形態における、図1のフローチャートの一処理に対応する裏面コンタクト型太陽電池の製造における一段階の断面図を示す。
【0011】
【図3A】本発明の一実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の断面図を示す。
【0012】
【図3B】本発明の別の実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法における各処理を示すフローチャートを示す。
【0013】
【図4】本発明の一実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法における各処理を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
レーザを利用する太陽電池のコンタクト開口形成について記載する。以下の記載においては、特定のプロセスフローの処理等の特定の詳細を述べて、本発明の実施形態の完全な理解を促す。当業者には、これらの詳細がなくても本発明の実施形態を行うことができることが明らかである。また、リソグラフィー法等の公知の製造技術については、詳述を避けて、本発明の実施形態を不当に曖昧にすることがないようにしている。さらに、図面に示す様々な実施形態は例示を目的としたものであり、必ずしも実際の縮尺に則って描かれていない点に留意されたい。
【0015】
本書面で、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法を開示する。一実施形態では、方法は、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階を含む。この多結晶材料層の上に誘電材料積層体を形成する。レーザアブレーションによって、誘電材料積層体内に複数のコンタクト開口を形成し、各コンタクト開口内に多結晶材料層の一部を露呈させる。複数のコンタクト開口内に導電性のコンタクトを形成する。一実施形態では、方法は、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階を含む。この多結晶材料層の上に誘電材料積層体を形成する。リキャストされたポリシグネチャー(recast poly signature)を、多結晶材料層内に形成する。複数の導電性のコンタクトが、誘電材料積層体内に形成されて、多結晶材料層の一部に直接連結され、これら導電性のコンタクトのうち1つは、リキャストされたポリシグネチャーと位置合わせされる。本発明の実施形態は、裏面コンタクトの形成に必ずしも限定はされず、前面コンタクトを形成する際に利用することもできる点を理解されたい。
【0016】
さらに本書面で、裏面コンタクト型太陽電池も開示する。一実施形態では、裏面コンタクト型太陽電池は、単結晶基板の上方に設けられた多結晶材料層を含んでいる。この多結晶材料層の上に誘電材料積層体が設けられている。複数の導電性のコンタクトが、誘電材料積層体内に設けられ、多結晶材料層の一部に直接連結されている。リキャストされたポリシグネチャーが多結晶材料層内に設けられ、複数の導電性のコンタクトのうちのいずれかと位置合わせされている。
【0017】
本発明の一実施形態においては、コンタクトの形成が簡単であり、消費財の利用を控え、資本支出を抑え、複雑性を低減させることにより関連する製造費を減らしている。一実施形態では、太陽電池のコンタクトの形成には、直接燃焼式のレーザ法(direct-fire laser approach)により誘電層にコンタクトを形成することが含まれる。本来ならば、この方法を、単結晶基板を利用する太陽電池に使用すると、弊害がある。しかし一実施形態では、単結晶基板を利用する太陽電池の上方に多結晶層を含めている。この実施形態では、損傷または溶融は単結晶基板ではなくて多結晶層のほうで受け取られ、ここに留まる。さらに一実施形態では、多結晶層に対して直接燃焼式のコンタクト形成プロセスを行うことで、単結晶基板における再結合サイトの形成量を減らし、実質的になくすことすらできるようになる。
【0018】
コンタクト製造においてレーザ処理を利用する従来の方法では、レーザが生じる損傷によって、マスクおよびエッチングを利用する標準的な技術に比べて効率性が落ちることが多く、コンタクト抵抗が増し、エミッタと金属との接合部において再結合が多く生じることが多く、熱影響領域(HAZ)として公知の領域において多く再結合が発生していた。このような従来の方法を利用する一例では、エミッタ再結合が数多く生じた結果、コンタクトの再結合により効率低下を最小限にする必要がある一方で、コンタクトの範囲を適切に保つ必要もある、という交絡の問題が強調される。
【0019】
本発明の一実施形態においては、このようなレーザが引き起こす損傷は、超短パルス長(例えばフェムト秒のオーダ)と短波長の光(例えばUV)とを利用する高度に進化したレーザを利用することで最小限に抑えられ、実質的になくなるケースもある。しかし、このようなレーザが一般に入手できない場合(または、多数の産業上の問題(例えば光コーティングの劣化等)により高度に進化したレーザが非常に不安定な場合などにはこのようなレーザ構成をもってしても)、標準的な電池のアーキテクチャでは電気劣化が見られることがある。従って別の実施形態では、このような固有の電気損失を回避するために、さらなるエミッタの再結合サイトを生じさせずに、半導体に対して一般に入手可能で、信頼性をもって試験されたレーザを利用する。一実施形態では、太陽電池に生じる再結合は、損傷が、単結晶基板ではなくてその上の多結晶材料層にとどまることから、レーザが典型的に引き起こす光および熱損傷にはあまり反応しない。一実施形態では、レーザによりコンタクトが形成された後の太陽電池の表面のコンタクト抵抗は、低く留まる。
【0020】
一実施形態では、一般に利用可能なレーザを利用しても、レーザの損傷を多結晶材料層または誘電・パッシベーション層に留めることができるように、多結晶材料層および誘電・パッシベーション層の形成を調節して行う。例えば、ピコ秒のレーザを利用する実施形態では、シリコンの熱貫通深さ(thermal penetration depth)をサブミクロンレベルに留めている。また例えば、約1064ナノメートル未満のレーザの波長を利用する実施形態では、レーザによるコンタクト形成プロセス中のシリコンにおける光貫通深さ(optical penetration depth)を、サブミクロンレベルに留めている。また例えば、吸収層(例えば組成がSixNyであるシリコン窒化物)が追加された実施形態では、熱損傷および光損傷を全て多結晶材料層に留めており、レーザエッチングの後に何の後処理プロセスや選択的なエミッタ形成を行わずとも、太陽電池の高効率が達成される。薄い(例えば約15ナノメートル未満)熱酸化物層を成長させて、熱損傷の軽減およびアブレーション性能の向上を促し、レーザ吸収プロセスを最適化している実施形態もある。別の実施形態では、適切に調節されたポリ/酸化物/窒化物積層体(poly/oxide/nitride stack)を利用して、より長いパルス長(例えばナノ秒)、またはより長い波長(たとえば1064ナノメートル)のレーザに対応することができるようにしている。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法における各処理を示すフローチャート100を示す。図2Aから図2Dは、本発明の一実施形態における、図1のフローチャート100の各処理に対応する裏面コンタクト型太陽電池の製造における段階それぞれの断面図を示す。
【0022】
フローチャート100の処理102および対応する図2Aを参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法は、単結晶基板200の上方に多結晶材料層202を形成する段階を含む。本発明の一実施形態においては、単結晶基板200の上方に多結晶材料層202を形成する段階は、単結晶シリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階を含む。一実施形態では、多結晶材料層202は、約200ナノメートルの厚みに形成される。一実施形態では、図2Aが示すように、単結晶シリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階は、単結晶シリコン基板200の上に直接形成された誘電膜201の上に直接、多結晶シリコン層を形成する段階と、多結晶シリコン層の中に、N型ドーピング領域202AおよびP型ドーピング領域202B両方を形成する段階とを含む。一実施形態では、誘電膜201は、これらに限定はされないが、厚みが約5から15ナノメートルの範囲の二酸化シリコン(SiO)、りんけい酸ガラス(phosphosilicate glass: PSG)、またはホウケイ酸ガラス(borosilicate glass: BSG)等の材料である。特定の実施形態では、誘電膜201は、二酸化シリコンからなり、厚みが1から2ナノメートルの範囲である。特定の実施形態では、誘電膜201は、トンネル酸化物障壁層膜(tunnel oxide barrier layer film)である。別の実施形態では、多結晶材料層202を形成する代わりに、アモルファス層、ポリマー層、または多結晶層等であるがこれらに限定はされない非多結晶吸収材料を形成する。また別の実施形態では、単結晶基板200を利用する代わりに、多結晶基板を利用する。一実施形態では、P型拡散領域とN型拡散領域との間に、トレンチまたは間隙を介在させている(例えば裏面コンタクト型設計の場合)。
【0023】
フローチャート100の処理104および対応する図2Bを参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法はさらに、多結晶材料層202の上方に誘電材料積層体204を形成する段階を含む。本発明の一実施形態においては、多結晶材料層202の上方に誘電材料積層体204を形成する段階は、多結晶材料層202の上に直接、二酸化シリコン層203Aを形成する段階と、二酸化シリコン層203Aの上に直接、シリコン窒化物層203Bを形成する段階とを含む。一実施形態では、二酸化シリコン層203Aの形成には、レーザアブレーションプロセス中に生じるレーザのエネルギーを反射し返さない程度の小さな厚みに形成することが含まれる。しかし別の実施形態では、二酸化シリコン層203Aの形成には、レーザアブレーションプロセス中に、アブレーションストップ層として動作できる程度に大きな厚みに形成することが含まれる。一実施形態では、二酸化シリコン層203Aの形成には、この層の厚みを約1から50ナノメートルの範囲に形成することが含まれる。特定の実施形態では、二酸化シリコン層203Aの形成には、この層の厚みを約5から15ナノメートルの範囲に形成することが含まれる。しかし、図2B'が示すように、別の実施形態では、誘電積層体に層203Aを含めず、シリコン窒化物層203Bのみを含める。
【0024】
フローチャート100の処理106および対応する図2Cを参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法は、さらに、レーザアブレーション206によって、誘電材料積層体204内に複数のコンタクト開口208を設け、コンタクト開口208それぞれ内に、多結晶材料層202の一部を露呈させる段階を含む。本発明の一実施形態では、複数のコンタクト開口208の形成は、パターニングされたマスクを利用せずに行われる。一実施形態では、複数のコンタクト開口208の形成には、波長が約1064ナノメートル以下であるレーザを利用してアブレーションを行うことが含まれる。
【0025】
フローチャート100の処理108および対応する図2Dを参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法は、さらに、複数のコンタクト開口208内にそれぞれ導電性のコンタクト210を形成する段階を含む。
【0026】
上述したようなプロセスを例とするレーザによるコンタクト形成プロセスを利用すれば、製造される太陽電池には、一定のシグナチャーまたはフィーチャを含めることができる。一例である図3Aは、本発明の別の実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の断面図を示す。
【0027】
図3Aに示す裏面コンタクト型太陽電池300は、単結晶基板300の上方に多結晶材料層302Aおよび302Bが設けられている。誘電材料積層体304が、多結晶材料層302Aおよび302Bの上方に設けられている。複数の導電性のコンタクト310が、誘電材料積層体304内に形成されて、多結晶材料層302Aおよび302Bの一部に直接連結されている。リキャストされたポリシグネチャー320が多結晶材料層302Aおよび302B内に設けられ、複数の導電性のコンタクト310のうちのいずれかと位置合わせされている。
【0028】
本発明の一実施形態においては、多結晶材料層302Aおよび302Bは、多結晶シリコン層であり、単結晶基板300は、単結晶シリコン基板である。図3Aに示すように、一実施形態では、多結晶シリコン層は誘電膜301の上に直接設けられ、誘電膜301は単結晶シリコン基板300の上に直接設けられる。さらに図3Aに示すように、特定の実施形態では、多結晶シリコン層は、N型ドーピング領域302AおよびP型ドーピング領域302B両方を含む。図3Aに示すように、一実施形態では、誘電材料積層体304は、多結晶材料層302Aおよび302Bの上に直接設けられた二酸化シリコン層303Aと、二酸化シリコン層303Aの上に直接設けられたシリコン窒化物層303Bとを含む。一実施形態では、二酸化シリコン層303Aの厚みは、約5−15ナノメートルの範囲である。一実施形態では、複数の導電性のコンタクト310それぞれが、丸い形状である。別の実施形態では、多結晶材料層302Aおよび302Bを形成する代わりに、アモルファス層、ポリマー層、または多結晶層等であるがこれらに限定はされない非多結晶吸収材料を形成する。また別の実施形態では、単結晶基板300を利用する代わりに、多結晶基板を利用する。一実施形態では、P型拡散領域とN型拡散領域との間に、トレンチまたは間隙を介在させている(例えば裏面コンタクト型設計の場合)。図3Bに示すように、別の実施形態では、厚みが約5から15ナノメートルの範囲の誘電材料303Bのみを形成して、層303Aは形成しなくてもよい。
【0029】
裏面コンタクト型太陽電池のコンタクト開口をレーザアブレーションプロセスで形成する場合には、裏面コンタクト型太陽電池に、リキャストされたポリシグネチャーを形成すると好適であろう。図4は、本発明の一実施形態における、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法における各処理を示すフローチャート400を示す。
【0030】
フローチャート400の処理402を参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法は、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階を含む。本発明の一実施形態においては、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階は、単結晶シリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階を含む。一実施形態では、単結晶シリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階は、単結晶シリコン基板の上に直接形成された誘電膜の上に直接、多結晶シリコン層を形成する段階と、多結晶シリコン層の中に、N型ドーピング領域およびP型ドーピング領域両方を形成する段階とを含む。別の実施形態では、多結晶材料層を形成する代わりに、アモルファス層、ポリマー層、または多結晶層等であるがこれらに限定はされない非多結晶吸収材料を形成する。また別の実施形態では、単結晶基板を利用する代わりに、多結晶基板を利用する。一実施形態では、P型拡散領域とN型拡散領域との間に、トレンチまたは間隙を介在させる(例えば裏面コンタクト型設計の場合)。
【0031】
フローチャート400の処理404を参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法はさらに、多結晶材料層の上方に誘電材料積層体を形成する段階を含む。本発明の一実施形態においては、多結晶材料層の上方に誘電材料積層体を形成する段階は、多結晶材料層の上に直接、二酸化シリコン層を形成する段階と、二酸化シリコン層の上に直接、シリコン窒化物層を形成する段階とを含む。一実施形態では、二酸化シリコン層の形成には、この層の厚みを約1から50ナノメートルの範囲に形成することが含まれる。特定の実施形態では、二酸化シリコン層の形成には、この層の厚みを約5から15ナノメートルの範囲に形成することが含まれる。
【0032】
フローチャート400の処理406を参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法はさらに、リキャストされたポリシグネチャーを、多結晶材料層内に形成する段階を含む。本発明の一実施形態においては、複数の導電性のコンタクトそれぞれが、丸い形状である。
【0033】
フローチャート400の処理408を参照すると、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法はさらに、誘電材料積層体の中に複数の導電性のコンタクトを形成して、多結晶材料層の一部に直接連結して、これら導電性のコンタクトのうち1つを、リキャストされたポリシグネチャーと位置合わせする段階を含む。本発明の一実施形態では、リキャストされたポリシグネチャーの形成には、波長が約1064ナノメートル以下であるレーザを利用してアブレーションを行うことが含まれる。
【0034】
多結晶層という用語は、多結晶シリコン層の意味で利用される場合には、アモルファスシリコンまたはαシリコンとして説明することができる材料が含まれてよいことを理解されたい。さらに、N型ドーピング領域およびP型ドーピング領域は、多結晶層内に形成する代わりに、またはこれに加えて、単結晶基板上に直接形成することもできることを理解されたい。また、アブレーションには様々なレーザパルス周期を利用することができる点を理解されたい。しかし一実施形態では、レーザアブレーションを、ピコ秒のオーダまたはナノ秒のオーダのレーザパルス長で行うことに限定する場合もある。
【0035】
レーザを利用した太陽電池のコンタクトの製造方法を開示してきた。本発明の一実施形態では、裏面コンタクト型太陽電池の製造方法は、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階を含む。この多結晶材料層の上に誘電材料積層体を形成する。レーザアブレーションによって、誘電材料積層体内に複数のコンタクト開口を形成し、各コンタクト開口内に多結晶材料層の一部を露呈させる。複数のコンタクト開口内に導電性のコンタクトを形成する。一実施形態では、複数のコンタクト開口の形成は、パターニングされたマスクを利用せずに行われる。一実施形態では、複数のコンタクト開口の形成には、波長が約1064ナノメートル以下であるレーザを利用してアブレーションを行うことが含まれる。一実施形態においては、単結晶基板の上方に多結晶材料層を形成する段階は、単結晶のシリコン基板の上方に多結晶シリコン層を形成する段階を含む。
【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512582(P2013−512582A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542005(P2012−542005)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051178
【国際公開番号】WO2011/068590
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(505379467)サンパワー コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】