説明

レーザダイオードモジュール

【課題】 光アイソレータからの散乱光がレーザダイオードへ戻らない、動作の安定した2段の光アイソレータをもつレーザダイオードモジュールを得る。
【解決手段】 第1の光アイソレータの偏光子および検光子に反射型偏光子を用いる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に光ファイバ通信で使用されるレーザダイオードモジュールの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信のキーデバイスであるレーザダイオードモジュールにおいては、光ファイバ伝達中の散乱光がレーザダイオードまで戻るとレーザダイオードの動作が不安定になり、雑音の増大、伝達信号の乱れの原因となる。したがって、特に高品質の信号伝送が要求されるレーザダイオードモジュールには、戻り光を除去するため2段の光アイソレータを備えることが必要となる場合がある。図2は例えば1990年電子情報通信学会秋季全国大会講演論文集B−732と同じ光学構成をもつ2段の光アイソレータを搭載したレーザダイオードモジュールの断面図である。図において、1はレーザダイオード、2はケース、3はレーザダイオード1から出射されたレーザ光を平行光にする第1のレンズ、4は第1のレンズ3を透過したレーザ光の光路上に置かれた吸収型偏光子、5は吸収型偏光子4を透過した光の偏光方向を45度回転させる回転子、6は透過偏光方向を回転子5の回転方向に合わせて固定された吸収型検光子、7は透過偏光方向を吸収型検光子6を透過したレーザ光の偏光方向に合わせて固定された吸収型偏光子、8は吸収型偏光子7を透過した光の偏光方向を45度回転させる回転子、9は透過偏光方向を回転子8の回転方向に合わせて固定された吸収型検光子、10は上記回転子5および8の周囲を取り囲むように置かれ回転子5および8が磁気光学効果により透過する光の偏光方向を変化させるよう作用するマグネット、11はマグネット10を支持するマグネットホルダであり、吸収型偏光子4と回転子5と吸収型検光子6とマグネット10、吸収型偏光子7と回転子8と吸収型検光子9とマグネット10でそれぞれ1段づつの光アイソレータを構成している。12は上記吸収型検光子9を透過したレーザ光を集光する第2のレンズ、13は第2のレンズ12を支持するレンズホルダ、14は上記第2のレンズ12で集光されたレーザ光が結合するように配置された光ファイバ、15は光ファイバ14を保持するフェルール、16はフェルールを保持するフェルールホルダである。このような2段の光アイソレータをもつ従来のレーザダイオードモジュールにおいては、レーザダイオード1から出射したレーザ光を光ファイバ14へ結合することができ、かつ光ファイバ14からレーザダイオード1への戻り光を2段の光アイソレータで大きく減衰することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなレーザダイオードモジュールにおいては、吸収型偏光子が微小な散乱光を発生する性質をもつため、この散乱光がレーザダイオードへ戻り、レーザダイオードの動作を不安定にしていた。
【0004】この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、光アイソレータからレーザダイオードへの戻る散乱光のない、動作の安定したレーザダイオードモジュールを得るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明においては、2段の光アイソレータのうち第1の光アイソレータの偏光子および検光子を反射型のものとしてある。
【0006】また、第2の発明においては、2段の光アイソレータのうち第1の光アイソレータの偏光子および検光子を反射型のものとし、第2の光アイソレータを第2のレンズと光ファイバとの間に置かれる構成としてある。
【0007】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1を示すレーザダイオードモジュールである。図において1〜16は上記従来装置と同一のものであるため説明を省略する。17は第1のレンズ3を透過したレーザ光の光路上に置かれた反射型偏光子、18は反射型偏光子17を保持する偏光子ホルダ、19は透過偏光方向を回転子5の回転方向に合わせて固定された反射型検光子、20は反射型検光子19を保持する検光子ホルダである。このように構成されたレーザダイオードモジュールにおいては、第2の光アイソレータを構成している吸収型偏光子で散乱されたレーザ光は、第1の光アイソレータによって大きく減衰される。
【0008】実施の形態2.また、図2はこの発明の実施の形態2を示すもので、第2の光アイソレータを構成している吸収型偏光子で散乱されたレーザ光は、第2のレンズを透過するが、第1の光アイソレータによって大きく減衰される。
【0009】
【発明の効果】以上の発明によれば、たとえ第2の光アイソレータからレーザダイオードへの戻る散乱光があっても、第1の光アイソレータによって戻り光が減衰されるため、動作の安定したレーザダイオードモジュールを得ることができる。
【0010】また、第2の光アイソレータを第2のレンズと光ファイバの間に配置することにより、第2の光アイソレータを小型化することができ、さらに第1の光アイソレータによって第2のアイソレータの散乱光が減衰されるため、安価に動作の安定したレーザダイオードモジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すレーザダイオードモジュールの断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2を示すレーザダイオードモジュールの断面図である。
【図3】 従来のレーザダイオードモジュールを示す断面図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオード、2 ケース、3 第1のレンズ、4 吸収型偏光子、5 回転子、6 吸収型検光子、7 吸収型偏光子、8 回転子、9 吸収型検光子、10 マグネット、11 マグネットホルダ、12 第2のレンズ、13レンズホルダ、14 光ファイバ、15 フェルール、16 フェルールホルダ、17 反射型偏光子、18 偏光子ホルダ、19 反射型検光子、20 検光子ホルダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザダイオードと、レーザダイオードから出射されるレーザ光の光路上にレーザ光を平行光にするように置かれた第1のレンズと、第1のレンズを透過したレーザ光の光軸上に置かれた偏光子、回転子、検光子により構成される第1の光アイソレータと、第1の光アイソレータを透過したレーザ光の光軸上に置かれた偏光子、回転子、検光子により構成される第2の光アイソレータと、第2の光アイソレータを透過したレーザ光を集光させる第2のレンズと、第2のレンズにより集光されたレーザ光を結合させる光ファイバとを備えたレーザダイオードモジュールにおいて、上記第1の光アイソレータの偏光子および検光子に反射型偏光子が用いられることを特徴とするレーザダイオードモジュール。
【請求項2】 レーザダイオードと、レーザダイオードから出射されるレーザ光の光路上にレーザ光を平行光にするように置かれた第1のレンズと、第1のレンズを透過したレーザ光の光軸上に置かれた偏光子、回転子、検光子により構成される第1の光アイソレータと、第1の光アイソレータを透過したレーザ光を集光させる第2のレンズと、第2のレンズを透過したレーザ光の光軸上に置かれた偏光子、回転子、検光子により構成される第2の光アイソレータと、第2の光アイソレータを透過したレーザ光を結合させる光ファイバとを備えたレーザダイオードモジュールにおいて、上記第1の光アイソレータの偏光子および検光子に反射型偏光子が用いられることを特徴とするレーザダイオードモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−81547(P2000−81547A)
【公開日】平成12年3月21日(2000.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−248998
【出願日】平成10年9月3日(1998.9.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】