レーザーエッチングによってプレス布の空所容積を増加させる方法
水を受け入れるために利用可能な最小圧力の貯蔵所である空所を設けることによって、水が浸透可能であるプレス布がより大きな脱水及び排水能力を与えられる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は抄紙技術に関する。より詳しくは、本発明は空所を設けることによって水が浸透可能なプレス布に、より大きな脱水及び排水能力を与える方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
抄紙過程の間、セルロース繊維のウェブは繊維状のスラリー、すなわち、セルロースの繊維が水分散したものを、抄紙機の形成部において動いている形成布の上に沈積させる事によって形成される。大量の水が形成布を通してスラリーから排出され、形成布の表面にあるセルロースの繊維から出ていく。
【０００３】
新しく形成されたセルロース繊維のウェブは形成部から、一連のプレスニップを含むプレス部へと進む。セルロースの繊維はプレス布、又はしばしばあることだが、２つのそのようなプレス布の間によって支持されるプレスニップを通過する。プレスニップにおいて、セルロース繊維のウェブはそこから水を搾り取り、セルロース繊維のウェブを紙シートにするためにウェブにあるセルロースの繊維を互いに付着させるための圧縮力にかけられる。水は単数又は複数のプレス布によって受け入れられ、理想的には紙シートへとは戻らない。
【０００４】
紙シートは最終的に、蒸気によって内部を加熱された、少なくとも一連の回転式乾燥ドラム又はシリンダーを含む乾燥部へと進む。新しく形成された紙シートは乾燥布によって一連のドラムそれぞれの周囲を連続的に蛇行する通路に向けられる。そこでは、紙シートはドラムの表面に近接して対向するよう保持されている。加熱されたドラムは蒸発脱水を通して紙シートの水分含有量を望ましいレベルまで減少させる。
【０００５】
形成布、プレス布及び乾燥布は全て抄紙機においてエンドレスループ形をなしており、コンベヤーのような機能を果たしていることは認識されるべきである。更に、紙製造はかなりの速度で進行する連続的な過程であることも認識されるべきである。すなわち、繊維状のスラリーは形成部における形成布の上に連続的に沈積させられ、その一方、新たに製造された紙シートは乾燥部から出た後にロールへと連続的に巻かれる。
【０００６】
本発明は主にプレス部において使用される布、つまり、一般的にはプレス布として知られている布に関するが、他の紙工業加工で使用される布においてまた、応用を見つけてもよい。
【０００７】
プレス布は紙製造過程の間において重要な役割を果たす。それらの機能の一つは、上記において含意されているように、プレスニップを通って製造される紙製品を支持及び搬送することである。
【０００８】
プレス布はまた紙シート表面の最後の仕上げに関係する。すなわち、プレス布は滑らかな表面及び均一に弾力性のある構造を有するように設計されており、そのために、プレスニップを通過する進路において、滑らかで傷のない表面が紙に分与されるのである。
【０００９】
おそらく最も重要なことは、プレス布がプレスニップにおいて水を含んだ紙から絞り取られた大量の水を受け入れるということである。この機能を果たすために、一般的には空所容積と言及されている空間が、移動した水のためにプレス布の内部に事実上存在しなければならず、そしてその布はその使用可能期間全期に渡って水に対する適切な浸透性を有しておかないといけない。結局、プレス布は水分を含んだ紙から受け入れた水が、プレスニップから出た紙に戻り、再び紙を濡らしてしまうことを防ぐことが出来なければならない。
【００１０】
現在のプレス布は製造される紙の等級に応じて、それが設置される抄紙機の要請を受けて設計されており、様々な種類の形で使用されている。一般的に、それらは細い不織布の材料のバットが針で打ち込まれている、織られた基礎布から成る。基礎布はモノフィラメント糸、撚られたモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸又は撚られたマルチフィラメント糸から織られてよく、そして単層、多層又はラミネートでよい。糸は一般的に、抄紙機クロージング技術における当業者によってその目的のために使用される、幾つかの合成重合体樹脂、例えばポリアミド及びポリエステル樹脂、の中の一つから押し出し成形される。
【００１１】
織られた布は多くの異なった形をしている。例えば、エンドレス形に織られてよいし、又は平らに織られて、続いて縫い合わされることでエンドレス形にされてもよい。別法では、布は修正エンドレス織りとして一般的に知られている工程によって製造されてよく、その織り方とは基礎布の横方向の端部に、縦方向（ＭＤ）の糸を使用して、縫い合わされた輪を設ける工程である。この工程で、ＭＤ糸は連続的に布の横方向の両端部の間を往復して織り、それぞれの端部は裏返されて縫い合わされた輪を形成する。このやり方で製造された基礎布は抄紙機に設置されている間、エンドレス形にさせられているので、オン−マシーン−シーマブル（ｏｎ−ｍａｃｈｉｎｅ−ｓｅａｍａｂｌｅ）布と呼ばれている。そのように布をエンドレス形へとすることで、二つの横方向の端部が一つに縫い合わされる。縫うことを容易にするために、多くの現在通用している布は、布の二つの端部の横方向の端部に縫い合わせてある輪を有している。縫い合わせてある輪はそれ自体しばしば、布の縦方向（ＭＤ）の糸によって形成されている。その縫い目は一般的に、布の二つの端部を一つに集めること、布の二つの端部で縫い合わせてある輪を互いにかみ合わせること、及び布の二つの端部を一つに組み合わせるために互いにかみ合わせてある、縫い合わされた輪によって定められている通路を通るように、所謂ピン又はピントルを向けることによって形成される。
【００１２】
更に、織られた基礎布は、一つの基礎布を別の基礎布によって形成されたエンドレスループの中に据え、それらを互いに結合させるために基礎布のシート側又は機械側の片方又は両方から両基礎布へと通るようにステープルファイバーバットを針で打ちつけることによってラミネートにされてよい。片方又は両方の織られた基礎布はオン−マシーン−シーマブル型であってよい。
【００１３】
他の構造は、押し出し成形されたメッシュ、ニット状の構造、又はホイル、フィルム若しくはスパンボンドなどの他の不織製品といった、プレス布のための“基礎”布として使用されることが出来る。
【００１４】
いずれにせよ、プレス布はエンドレスループ形をしているか、又はそのような形に縫い合わせることが可能であり、測定すると縦方向への特定の長さ、及び横方向への特定の幅を有している。
【特許文献１】米国特許第４，５４１，８９５号明細書
【特許文献２】米国特許第４，３００，９８２号明細書
【特許文献３】米国特許第４，４４６，１８７号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１５】
上記プレス布の脱水に関する機能に今戻ると、表面の窪み又は空所をプレス布の構造に導入することは布を通過する水の移動性を改善することになり得るということが、以前に示されている。本発明はそれらの改善を行う別法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
従って、本発明は、最終的に出てきた水を浸透させることが可能なプレス布が、水を受け入れるために利用可能な最小圧力を有する貯蔵所であるような裏側の空所を設けることによって、より大きな脱水及び排水能力を与えられる方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
図１は布１０、例えば通常の水浸透性プレス布が、空所１２、又は最小圧力の貯蔵所を、水を受け入れるために利用可能である布の裏側表面１６に設けることによって、より大きな脱水又は排水能力を与えられるという、本発明に従った方法を例示している。レーザー１４を使用することで布１０の裏側表面１６に穴が空けられるとき、微小な空所１２は、例えば約０．３０から１．５０ｍｍの範囲の幅及び深さを有する。
【００１８】
レーザー１４は、例えば小さな医療用レーザーであってもよく、布１０の表面１６に空所１２を選択的にエッチングするために使用される。こうすることで除去される材料を非常に正確な深さを持つ形でコントロールできる。もちろん、その目的に適した他のレーザーエッチング装置もまた、使用されてよい。加えて、通常のレーザーエッチングコントロールシステム（示されてない）が非常に高速で望ましい空所パターン又はその形を分与するために使用されてよく、一方それはまた、非常に柔軟に空所の形と大きさを設けるものでもある。一般的な形態は、図２に示される布２０における半球形の空所２２の四角形の配列２４、又は図３に示される布３０における三角錐の空所３２の四角形の配列３４を含む。他の空所の形及び大きさは、例えば、円形／半球形、正方形／角錐形、長方形／立方形、六辺形、長円形（横方向／縦方向に基づいている）、環状形／半ドーナツ形、溝状のものを含んでよい。他の空所の配列パターンは、例えば、六辺形、擬似乱数、三角形、及び線形／螺旋形（例えば、溝をつけられている）を含んでよい。
【００１９】
加えて、本発明の方法は、空所から除去される繊維及び気体の蒸発作用による副生成物といった偶然に生じるものに対処するための工程（示されていない）を含んでいる。
【００２０】
プレス布に穴をあけるレーザーは以前に提案されたものであるが、本発明は幾つかの重要な点において先行技術とは異なる。例えば、以前の方法のあるもの（特許文献１）は、構造の厚さ全体を連続的に通る水の経路を設けるために、布を組み立てる前に、不浸透性のシートに“穴を通す”レーザーを規定している。他方、本発明は代わりに、水を受け入れるのに利用可能な、レーザーで穴をあけられた裏面の空所又は最小圧力の貯蔵所を設けることによってより大きな脱水及び排水能力を与えることで、水が浸透可能になるようにプレス布を修正する。
【００２１】
他の先行技術（特許文献２）はベルトの裏面に排水空所を設けているが、本発明とは全く異なっており、すなわちそれは、モノフィラメント糸の隆起した圧縮できない島（ｉｓｌａｎｄｓ）を設けることによってなされている。また、他の先行技術（特許文献３）は“ホイル”のように規定される液体が浸透不可能な材料の表面に穴をあけるレーザーを記載している。その目的は、穴をあけるレーザーによって液体が浸透可能にされることで、一様な圧力の分散及び滑らかに紙と接触する表面を有する脱水ベルトを得ることである。反対に、本発明は、脱水を容易にするために、流体の貯蔵所又は低い圧力の領域を設けることで、液体が浸透可能な布の裏側表面に穴をあけるレーザーを明記している。
【００２２】
加えて、又は別法では、布１０の表面の品質に悪影響を与えずに空所容積、流体の流れ、及び脱水性を同様に高めるために、微小の空所が布１０の表側にあけられている。
【００２３】
布に付加的な空所容積を作り出すための方法に関する前記の記述から理解されるように、修正形態は当業者にとって明らかなものであるが、本発明のクレームの範囲を越えて修正される発明をもたらしはしないであろう。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】図１は本発明の方法を示す側面図である。
【図２】図２は図１で示された方法によって製造される空所の配列の一例の平面図である。
【図３】図３は空所の配列の別形態の平面図である。
【符号の説明】
【００２５】
１０ 布
１２ 空所
１４ レーザー
１６ 裏側表面
２０ 布
２２ 空所
２４ 配列
３０ 布
３２ 空所
３４ 配列
【技術分野】
【０００１】
本発明は抄紙技術に関する。より詳しくは、本発明は空所を設けることによって水が浸透可能なプレス布に、より大きな脱水及び排水能力を与える方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
抄紙過程の間、セルロース繊維のウェブは繊維状のスラリー、すなわち、セルロースの繊維が水分散したものを、抄紙機の形成部において動いている形成布の上に沈積させる事によって形成される。大量の水が形成布を通してスラリーから排出され、形成布の表面にあるセルロースの繊維から出ていく。
【０００３】
新しく形成されたセルロース繊維のウェブは形成部から、一連のプレスニップを含むプレス部へと進む。セルロースの繊維はプレス布、又はしばしばあることだが、２つのそのようなプレス布の間によって支持されるプレスニップを通過する。プレスニップにおいて、セルロース繊維のウェブはそこから水を搾り取り、セルロース繊維のウェブを紙シートにするためにウェブにあるセルロースの繊維を互いに付着させるための圧縮力にかけられる。水は単数又は複数のプレス布によって受け入れられ、理想的には紙シートへとは戻らない。
【０００４】
紙シートは最終的に、蒸気によって内部を加熱された、少なくとも一連の回転式乾燥ドラム又はシリンダーを含む乾燥部へと進む。新しく形成された紙シートは乾燥布によって一連のドラムそれぞれの周囲を連続的に蛇行する通路に向けられる。そこでは、紙シートはドラムの表面に近接して対向するよう保持されている。加熱されたドラムは蒸発脱水を通して紙シートの水分含有量を望ましいレベルまで減少させる。
【０００５】
形成布、プレス布及び乾燥布は全て抄紙機においてエンドレスループ形をなしており、コンベヤーのような機能を果たしていることは認識されるべきである。更に、紙製造はかなりの速度で進行する連続的な過程であることも認識されるべきである。すなわち、繊維状のスラリーは形成部における形成布の上に連続的に沈積させられ、その一方、新たに製造された紙シートは乾燥部から出た後にロールへと連続的に巻かれる。
【０００６】
本発明は主にプレス部において使用される布、つまり、一般的にはプレス布として知られている布に関するが、他の紙工業加工で使用される布においてまた、応用を見つけてもよい。
【０００７】
プレス布は紙製造過程の間において重要な役割を果たす。それらの機能の一つは、上記において含意されているように、プレスニップを通って製造される紙製品を支持及び搬送することである。
【０００８】
プレス布はまた紙シート表面の最後の仕上げに関係する。すなわち、プレス布は滑らかな表面及び均一に弾力性のある構造を有するように設計されており、そのために、プレスニップを通過する進路において、滑らかで傷のない表面が紙に分与されるのである。
【０００９】
おそらく最も重要なことは、プレス布がプレスニップにおいて水を含んだ紙から絞り取られた大量の水を受け入れるということである。この機能を果たすために、一般的には空所容積と言及されている空間が、移動した水のためにプレス布の内部に事実上存在しなければならず、そしてその布はその使用可能期間全期に渡って水に対する適切な浸透性を有しておかないといけない。結局、プレス布は水分を含んだ紙から受け入れた水が、プレスニップから出た紙に戻り、再び紙を濡らしてしまうことを防ぐことが出来なければならない。
【００１０】
現在のプレス布は製造される紙の等級に応じて、それが設置される抄紙機の要請を受けて設計されており、様々な種類の形で使用されている。一般的に、それらは細い不織布の材料のバットが針で打ち込まれている、織られた基礎布から成る。基礎布はモノフィラメント糸、撚られたモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸又は撚られたマルチフィラメント糸から織られてよく、そして単層、多層又はラミネートでよい。糸は一般的に、抄紙機クロージング技術における当業者によってその目的のために使用される、幾つかの合成重合体樹脂、例えばポリアミド及びポリエステル樹脂、の中の一つから押し出し成形される。
【００１１】
織られた布は多くの異なった形をしている。例えば、エンドレス形に織られてよいし、又は平らに織られて、続いて縫い合わされることでエンドレス形にされてもよい。別法では、布は修正エンドレス織りとして一般的に知られている工程によって製造されてよく、その織り方とは基礎布の横方向の端部に、縦方向（ＭＤ）の糸を使用して、縫い合わされた輪を設ける工程である。この工程で、ＭＤ糸は連続的に布の横方向の両端部の間を往復して織り、それぞれの端部は裏返されて縫い合わされた輪を形成する。このやり方で製造された基礎布は抄紙機に設置されている間、エンドレス形にさせられているので、オン−マシーン−シーマブル（ｏｎ−ｍａｃｈｉｎｅ−ｓｅａｍａｂｌｅ）布と呼ばれている。そのように布をエンドレス形へとすることで、二つの横方向の端部が一つに縫い合わされる。縫うことを容易にするために、多くの現在通用している布は、布の二つの端部の横方向の端部に縫い合わせてある輪を有している。縫い合わせてある輪はそれ自体しばしば、布の縦方向（ＭＤ）の糸によって形成されている。その縫い目は一般的に、布の二つの端部を一つに集めること、布の二つの端部で縫い合わせてある輪を互いにかみ合わせること、及び布の二つの端部を一つに組み合わせるために互いにかみ合わせてある、縫い合わされた輪によって定められている通路を通るように、所謂ピン又はピントルを向けることによって形成される。
【００１２】
更に、織られた基礎布は、一つの基礎布を別の基礎布によって形成されたエンドレスループの中に据え、それらを互いに結合させるために基礎布のシート側又は機械側の片方又は両方から両基礎布へと通るようにステープルファイバーバットを針で打ちつけることによってラミネートにされてよい。片方又は両方の織られた基礎布はオン−マシーン−シーマブル型であってよい。
【００１３】
他の構造は、押し出し成形されたメッシュ、ニット状の構造、又はホイル、フィルム若しくはスパンボンドなどの他の不織製品といった、プレス布のための“基礎”布として使用されることが出来る。
【００１４】
いずれにせよ、プレス布はエンドレスループ形をしているか、又はそのような形に縫い合わせることが可能であり、測定すると縦方向への特定の長さ、及び横方向への特定の幅を有している。
【特許文献１】米国特許第４，５４１，８９５号明細書
【特許文献２】米国特許第４，３００，９８２号明細書
【特許文献３】米国特許第４，４４６，１８７号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１５】
上記プレス布の脱水に関する機能に今戻ると、表面の窪み又は空所をプレス布の構造に導入することは布を通過する水の移動性を改善することになり得るということが、以前に示されている。本発明はそれらの改善を行う別法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
従って、本発明は、最終的に出てきた水を浸透させることが可能なプレス布が、水を受け入れるために利用可能な最小圧力を有する貯蔵所であるような裏側の空所を設けることによって、より大きな脱水及び排水能力を与えられる方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
図１は布１０、例えば通常の水浸透性プレス布が、空所１２、又は最小圧力の貯蔵所を、水を受け入れるために利用可能である布の裏側表面１６に設けることによって、より大きな脱水又は排水能力を与えられるという、本発明に従った方法を例示している。レーザー１４を使用することで布１０の裏側表面１６に穴が空けられるとき、微小な空所１２は、例えば約０．３０から１．５０ｍｍの範囲の幅及び深さを有する。
【００１８】
レーザー１４は、例えば小さな医療用レーザーであってもよく、布１０の表面１６に空所１２を選択的にエッチングするために使用される。こうすることで除去される材料を非常に正確な深さを持つ形でコントロールできる。もちろん、その目的に適した他のレーザーエッチング装置もまた、使用されてよい。加えて、通常のレーザーエッチングコントロールシステム（示されてない）が非常に高速で望ましい空所パターン又はその形を分与するために使用されてよく、一方それはまた、非常に柔軟に空所の形と大きさを設けるものでもある。一般的な形態は、図２に示される布２０における半球形の空所２２の四角形の配列２４、又は図３に示される布３０における三角錐の空所３２の四角形の配列３４を含む。他の空所の形及び大きさは、例えば、円形／半球形、正方形／角錐形、長方形／立方形、六辺形、長円形（横方向／縦方向に基づいている）、環状形／半ドーナツ形、溝状のものを含んでよい。他の空所の配列パターンは、例えば、六辺形、擬似乱数、三角形、及び線形／螺旋形（例えば、溝をつけられている）を含んでよい。
【００１９】
加えて、本発明の方法は、空所から除去される繊維及び気体の蒸発作用による副生成物といった偶然に生じるものに対処するための工程（示されていない）を含んでいる。
【００２０】
プレス布に穴をあけるレーザーは以前に提案されたものであるが、本発明は幾つかの重要な点において先行技術とは異なる。例えば、以前の方法のあるもの（特許文献１）は、構造の厚さ全体を連続的に通る水の経路を設けるために、布を組み立てる前に、不浸透性のシートに“穴を通す”レーザーを規定している。他方、本発明は代わりに、水を受け入れるのに利用可能な、レーザーで穴をあけられた裏面の空所又は最小圧力の貯蔵所を設けることによってより大きな脱水及び排水能力を与えることで、水が浸透可能になるようにプレス布を修正する。
【００２１】
他の先行技術（特許文献２）はベルトの裏面に排水空所を設けているが、本発明とは全く異なっており、すなわちそれは、モノフィラメント糸の隆起した圧縮できない島（ｉｓｌａｎｄｓ）を設けることによってなされている。また、他の先行技術（特許文献３）は“ホイル”のように規定される液体が浸透不可能な材料の表面に穴をあけるレーザーを記載している。その目的は、穴をあけるレーザーによって液体が浸透可能にされることで、一様な圧力の分散及び滑らかに紙と接触する表面を有する脱水ベルトを得ることである。反対に、本発明は、脱水を容易にするために、流体の貯蔵所又は低い圧力の領域を設けることで、液体が浸透可能な布の裏側表面に穴をあけるレーザーを明記している。
【００２２】
加えて、又は別法では、布１０の表面の品質に悪影響を与えずに空所容積、流体の流れ、及び脱水性を同様に高めるために、微小の空所が布１０の表側にあけられている。
【００２３】
布に付加的な空所容積を作り出すための方法に関する前記の記述から理解されるように、修正形態は当業者にとって明らかなものであるが、本発明のクレームの範囲を越えて修正される発明をもたらしはしないであろう。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】図１は本発明の方法を示す側面図である。
【図２】図２は図１で示された方法によって製造される空所の配列の一例の平面図である。
【図３】図３は空所の配列の別形態の平面図である。
【符号の説明】
【００２５】
１０ 布
１２ 空所
１４ レーザー
１６ 裏側表面
２０ 布
２２ 空所
２４ 配列
３０ 布
３２ 空所
３４ 配列
【特許請求の範囲】
【請求項１】
布の裏側又は非シート側に水を受け入れるために利用可能な最小圧力の貯蔵所である、レーザーでエッチングされた空所を設けることによって、水が浸透可能な抄紙機用布がより大きな脱水及び排水能力を与えられる方法。
【請求項２】
最終的に水が浸透可能である抄紙機用布を設ける工程；及び
レーザーでエッチングされた複数の貫通していない空所を布の表面に形成し、布の脱水能力を高める工程；
から成る、布を修正する方法。
【請求項３】
空所は水を受け入れるために利用可能である最小圧力の貯蔵所である、請求項２の方法。
【請求項４】
修正される布は抄紙機用プレス布である、請求項２の方法。
【請求項５】
表面は布の裏側である、請求項２の方法。
【請求項６】
布の裏側及び表側の両方は形成された空所を有している、請求項２の方法。
【請求項７】
空所の幅及び深さは両方とも約０．３０から１．５０ｍｍの範囲にある、請求項２の方法。
【請求項８】
布の表面の品質に悪影響を与えることなく微小な空所を作り出すために、布の表側又はシートと接触する側において選択的に材料を蒸発させるためにレーザーが使用される、請求項２の方法。
【請求項９】
修正された布は抄紙機のプレス部において使用されるためのものである、請求項２の方法。
【請求項１０】
空所とその配列パターンにおいて非常に柔軟で且つ高速に、各々の空所の形及び空所のパターンをコントロールするために通常のレーザーが使用される、請求項２の方法。
【請求項１１】
各々の空所は円形／半球形、正方形／角錐形、長方形／立方形、六辺形、長円形、環状形／半ドーナツ形、及び溝状のものから成る群より選択された幅／深さの形を有している、請求項２の方法。
【請求項１２】
空所は正方形、六辺形、擬似乱数、三角形、及び線形／螺旋形から成る群より選択された配列パターンを形成する、請求項２の方法。
【請求項１３】
繊維の除去及び気体蒸発による副生成物を処理する工程から更に成る、請求項２の方法。
【請求項１４】
より大きな脱水及び排水能力を与えられた、水が浸透可能な抄紙機用布において、水を受け入れるために利用可能な最小圧力の貯蔵所である、レーザーでエッチングされた空所を設ける工程から成る方法で作られた前記布。
【請求項１５】
最終的に水が浸透可能である抄紙機用布を設ける工程；及び
レーザーでエッチングされた複数の貫通していない空所を布の表面に形成し、布の脱水能力を高める工程；
から成る方法で作られた修正された布。
【請求項１６】
空所は水を受け入れるために利用可能である最小圧力の貯蔵所である、請求項１５の布。
【請求項１７】
修正される布は抄紙機用プレス布である、請求項１５の布。
【請求項１８】
表面は布の裏側である、請求項１５の布。
【請求項１９】
布の裏側及び表側の両方は形成された空所を有している、請求項１５の布。
【請求項２０】
空所の幅及び深さは両方とも約０．３０から１．５０ｍｍの範囲にある、請求項１５の布。
【請求項２１】
布の表面の品質に悪影響を与えることなく微小な空所を作り出すために、布の表側又はシートと接触する側において選択的に材料を蒸発させるためにレーザーが使用される、請求項１５の布。
【請求項２２】
修正された布は抄紙機のプレス部において使用されるためのものである、請求項１５の布。
【請求項２３】
空所とその配列パターンにおいて非常に柔軟で且つ高速に、各々の空所の形及び空所のパターンをコントロールするために通常のレーザーが使用される、請求項１５の布。
【請求項２４】
各々の空所は円形／半球形、正方形／角錐形、長方形／立方形、六辺形、長円形、環状形／半ドーナツ形、及び溝状のものから成る群より選択された幅／深さの形を有している、請求項１５の布。
【請求項２５】
空所は正方形、六辺形、擬似乱数、三角形、及び線形／螺旋形から成る群より選択された配列パターンを形成する、請求項１５の布。
【請求項２６】
繊維の除去及び気体蒸発による副生成物を処理する工程から更に成る、請求項１５の布。
【請求項１】
布の裏側又は非シート側に水を受け入れるために利用可能な最小圧力の貯蔵所である、レーザーでエッチングされた空所を設けることによって、水が浸透可能な抄紙機用布がより大きな脱水及び排水能力を与えられる方法。
【請求項２】
最終的に水が浸透可能である抄紙機用布を設ける工程；及び
レーザーでエッチングされた複数の貫通していない空所を布の表面に形成し、布の脱水能力を高める工程；
から成る、布を修正する方法。
【請求項３】
空所は水を受け入れるために利用可能である最小圧力の貯蔵所である、請求項２の方法。
【請求項４】
修正される布は抄紙機用プレス布である、請求項２の方法。
【請求項５】
表面は布の裏側である、請求項２の方法。
【請求項６】
布の裏側及び表側の両方は形成された空所を有している、請求項２の方法。
【請求項７】
空所の幅及び深さは両方とも約０．３０から１．５０ｍｍの範囲にある、請求項２の方法。
【請求項８】
布の表面の品質に悪影響を与えることなく微小な空所を作り出すために、布の表側又はシートと接触する側において選択的に材料を蒸発させるためにレーザーが使用される、請求項２の方法。
【請求項９】
修正された布は抄紙機のプレス部において使用されるためのものである、請求項２の方法。
【請求項１０】
空所とその配列パターンにおいて非常に柔軟で且つ高速に、各々の空所の形及び空所のパターンをコントロールするために通常のレーザーが使用される、請求項２の方法。
【請求項１１】
各々の空所は円形／半球形、正方形／角錐形、長方形／立方形、六辺形、長円形、環状形／半ドーナツ形、及び溝状のものから成る群より選択された幅／深さの形を有している、請求項２の方法。
【請求項１２】
空所は正方形、六辺形、擬似乱数、三角形、及び線形／螺旋形から成る群より選択された配列パターンを形成する、請求項２の方法。
【請求項１３】
繊維の除去及び気体蒸発による副生成物を処理する工程から更に成る、請求項２の方法。
【請求項１４】
より大きな脱水及び排水能力を与えられた、水が浸透可能な抄紙機用布において、水を受け入れるために利用可能な最小圧力の貯蔵所である、レーザーでエッチングされた空所を設ける工程から成る方法で作られた前記布。
【請求項１５】
最終的に水が浸透可能である抄紙機用布を設ける工程；及び
レーザーでエッチングされた複数の貫通していない空所を布の表面に形成し、布の脱水能力を高める工程；
から成る方法で作られた修正された布。
【請求項１６】
空所は水を受け入れるために利用可能である最小圧力の貯蔵所である、請求項１５の布。
【請求項１７】
修正される布は抄紙機用プレス布である、請求項１５の布。
【請求項１８】
表面は布の裏側である、請求項１５の布。
【請求項１９】
布の裏側及び表側の両方は形成された空所を有している、請求項１５の布。
【請求項２０】
空所の幅及び深さは両方とも約０．３０から１．５０ｍｍの範囲にある、請求項１５の布。
【請求項２１】
布の表面の品質に悪影響を与えることなく微小な空所を作り出すために、布の表側又はシートと接触する側において選択的に材料を蒸発させるためにレーザーが使用される、請求項１５の布。
【請求項２２】
修正された布は抄紙機のプレス部において使用されるためのものである、請求項１５の布。
【請求項２３】
空所とその配列パターンにおいて非常に柔軟で且つ高速に、各々の空所の形及び空所のパターンをコントロールするために通常のレーザーが使用される、請求項１５の布。
【請求項２４】
各々の空所は円形／半球形、正方形／角錐形、長方形／立方形、六辺形、長円形、環状形／半ドーナツ形、及び溝状のものから成る群より選択された幅／深さの形を有している、請求項１５の布。
【請求項２５】
空所は正方形、六辺形、擬似乱数、三角形、及び線形／螺旋形から成る群より選択された配列パターンを形成する、請求項１５の布。
【請求項２６】
繊維の除去及び気体蒸発による副生成物を処理する工程から更に成る、請求項１５の布。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公表番号】特表２００６−５２３７８６（Ｐ２００６−５２３７８６Ａ）
【公表日】平成１８年１０月１９日（２００６．１０．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５０９７５７（Ｐ２００６−５０９７５７）
【出願日】平成１６年４月７日（２００４．４．７）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００４／０１０６３６
【国際公開番号】ＷＯ２００４／０９４７２１
【国際公開日】平成１６年１１月４日（２００４．１１．４）
【出願人】（５９１０９７４１４）アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ＡＬＢＡＮＹ ＩＮＴＥＲＮＡＴＩＯＮＡＬ ＣＯＲＰＯＲＡＴＩＯＮ
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成１８年１０月１９日（２００６．１０．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年４月７日（２００４．４．７）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００４／０１０６３６
【国際公開番号】ＷＯ２００４／０９４７２１
【国際公開日】平成１６年１１月４日（２００４．１１．４）
【出願人】（５９１０９７４１４）アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ＡＬＢＡＮＹ ＩＮＴＥＲＮＡＴＩＯＮＡＬ ＣＯＲＰＯＲＡＴＩＯＮ
【Ｆターム（参考）】
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