説明

レーザーマーキング装置、レーザーマーカ用の加工情報設定装置及びコンピュータプログラム

【課題】 ワークの材質や形状に応じた適切な加工条件を容易に探知することができるレーザーマーキング装置を提供する。
【解決手段】 加工情報設定装置11は、第1及び第2シンボルをマーキングするための加工情報26a,26bを互いに関連づけて記憶する加工情報記憶部26と、加工パターンを指定する加工パターン指定部21と、第1シンボルの加工条件を指定する加工条件指定部22と、第2シンボルの加工条件の探索範囲を指定する探索範囲指定部24と、第2シンボルの加工条件として、互いに異なる複数の加工条件を決定する加工条件決定部25と、第1及び第2シンボルからなり、第1シンボルが共通の加工条件でマーキングされ、第2シンボルが互いに異なる加工条件でマーキングされた複数の複合シンボルを形成させる加工データを生成する加工データ生成部27と、加工データをレーザーマーカ12へ送信する加工データ送信部28により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーマーキング装置、レーザーマーカ用の加工情報設定装置及びコンピュータプログラムに係り、さらに詳しくは、レーザー光を照射することによりワークにシンボルをマーキングするレーザーマーキング装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーマーキング装置は、ワークにレーザー光を照射し、ワーク上でレーザー光を走査させることにより、文字、記号、図形などのシンボルをマーキングする加工装置である。レーザーマーキング装置に対する加工条件の設定は、レーザー光の出力パワー、走査速度、発振周波数、スポット径などの各加工パラメータに対し、パラメータ値を指定することによって行われる。マーキングされたシンボルの発色は、加工条件が同一であっても、ワークの材質や形状などによって大きく異なることから、加工条件は、ユーザごとに異なり、ユーザ自身が決定する必要がある。
【0003】
このため、加工条件を異ならせた複数のシンボルからなるサンプルパターンをワーク上に形成し、当該サンプルパターンを観察することにより、加工パラメータごとに最適なパラメータ値を決定するという方法が知られている。つまり、上記サンプルパターンは、いずれかの加工パラメータを探索対象とし、そのパラメータ値を所定の探索範囲内において変化させながら、複数のシンボルをマーキングすることにより形成される。ところが、1つのサンプルパターンを形成する際、3以上の加工パラメータを探索対象とし、これらの加工パラメータについて、それぞれパラメータ値を変化させた場合、当該サンプルパターンを観察しても、最適な加工条件を発見することは期待できない。
【0004】
そこで、1又は2つの加工パラメータを選択し、これらの加工パラメータを探索対象とするサンプルパターンを形成し、さらに、残りの加工パラメータについて、同様のステップを繰り返して加工条件を決定することが考えられる。ところが、決定すべき加工パラメータの数が多く、また、各加工パラメータの関係が複雑であることから、加工パラメータの探索順序や探索範囲が適切でなければ、上記ステップを繰り返しても、最適な加工条件を見つけることはできない。また、探索対象ではない未探索の加工パラメータに、どのようなパラメータ値を指定しておくのかも重要であり、最適な加工条件を見つけることは容易ではない。つまり、サンプルパターンを利用しても、所望の発色を実現するための加工条件をユーザが決定することは容易ではなかった。
【0005】
特に、バーコードや2次元コードなどの光学読取コードをマーキングする際、下地加工後にコードパターンを形成する場合がある。この場合、下地加工とコードパターンのマーキングとでは加工条件が異なる。しかも、コードパターンの加工品質は、下地加工の影響を大きく受ける。さらに、コードパターンの加工品質は、下地加工からコードパターン形成までに要する時間にも影響される。このため、この様な光学読取コードのマーキングでは、適切な加工条件を決定するのが極めて困難であった。
【0006】
そこで、光学読取コードの加工条件を探索するために、共通の加工条件で複数の下地加工用のシンボルを予め形成しておき、各下地加工用シンボル上に互いに異なる加工条件でコードパターンからなる光学読取用のシンボルを形成させることが考えられる。しかし、予め形成された各下地加工用シンボルに重ねて光学読取用シンボルを形成させるという加工は非常に複雑であり、そのための加工設定は極めて煩雑なものであった。また、下地加工用シンボルを形成してから光学読取用シンボルを形成するまでに要する時間が、1つの光学読取コードのみをワーク上に形成させる場合に比べて長く、適切な加工条件が探知できないという問題もあった。
【0007】
なお、特許文献1には、ワーク材質に対応づけて加工条件を記憶しているため、ユーザがワーク材質を指定することにより、概ね良好な加工品質が得られる。しかしながら、所望の発色が得られる加工条件は、ワーク材質だけでなく、ワークの厚さ、表面状態などのワーク形状によっても異なることから、予め与えられたワーク材質に応じた加工条件を用いても、実際のワーク上に所望の発色からなるシンボルをマーキングすることはできないという問題があった。また、異なる加工条件で重ねてマーキングされる下地加工とコードパターンについて、それぞれの加工条件が得られるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−15678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ワークの材質や形状に応じた加工条件を容易に探知することができるレーザーマーキング装置を提供することを目的とする。また、互いに異なる加工条件で重複してマーキングされた2つのシンボルからなる複合シンボルの加工条件を容易に探知することができるレーザーマーキング装置を提供することを目的とする。また、複数の複合シンボルをワーク上に形成させるための加工設定を容易化したレーザーマーキング装置を提供することを目的とする。特に、下地加工を伴う光学読取コードの加工条件を容易に探知することができるレーザーマーキング装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、このようなレーザーマーキング装置を構成するレーザーマーカ用の加工情報設定装置を提供することを目的とする。さらに、このようなレーザーマーカ用の加工情報設定装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明によるレーザーマーキング装置は、第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手段と、第1及び第2シンボルの上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手段と、第1シンボルの上記加工条件を指定するための加工条件指定手段と、第2シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手段と、第2シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手段と、互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複合シンボルであって、第1シンボルが、共通の上記加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、互いに異なる上記加工条件でマーキングされた2以上の上記複合シンボルをワーク上に形成するマーキング手段とを備えて構成される。
【0012】
このレーザーマーキング装置では、第1シンボルの加工条件を指定し、第2シンボルの加工条件の探索範囲を指定すれば、第2シンボルの加工条件として探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件が決定され、互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複数の複合シンボルがワーク上に形成される。つまり、各複合シンボルは、第1シンボルが、非探索シンボルとして共通の加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、探索シンボルとして互いに異なる加工条件でマーキングされる。このため、ワーク上に形成された各複合シンボルを観察することにより、第2シンボルの適切な加工条件を容易に探知することができる。従って、ワークの材質や形状に応じた加工条件を容易に探知することができる。特に、第1シンボルの加工条件に応じて、第2シンボルの適切な加工条件を探知することができる。
【0013】
第2の本発明によるレーザーマーキング装置は、上記構成に加え、上記マーキング手段が、第1及び第2シンボルを連続して形成することにより1つの上記複合シンボルを形成し、2以上の上記複合シンボルを順次に形成するように構成される。
【0014】
この様な構成によれば、第1シンボルが形成されてから第2シンボルが形成されるまでの時間間隔を、1つの複合シンボルのみをワーク上に形成させる場合に準じた時間間隔にすることができる。このため、第1及び第2シンボルを形成する時間間隔を考慮して、適切な加工条件を探知することができる。
【0015】
第3の本発明によるレーザーマーキング装置は、上記構成に加え、第2シンボルが、光学読取用のシンボルからなり、第1シンボルが、第2シンボルを包含する領域の下地加工用のシンボルからなるように構成される。
【0016】
この様な構成によれば、下地加工を伴う光学読取コードの加工条件を容易に探知することができる。特に、下地加工用シンボルが、非探索シンボルとして共通の加工条件でマーキングされ、光学読取用シンボルが、探索シンボルとして互いに異なる加工条件で下地加工用シンボルに重ねてマーキングされるので、下地加工用シンボルの加工条件に応じて、光学読取用シンボルの適切な加工条件を探知することができる。
【0017】
第4の本発明によるレーザーマーキング装置は、上記構成に加え、上記加工条件が、少なくとも第1及び第2加工パラメータからなり、上記加工条件指定手段が、第1シンボルの第1及び第2加工パラメータとして、パラメータ値をそれぞれ指定し、上記探索範囲指定手段が、第2シンボルの第1及び第2加工パラメータに対し、パラメータ値の探索範囲をそれぞれ指定し、上記加工条件決定手段が、第2シンボルの第1及び第2加工パラメータについて、上記探索範囲内の互いに異なる2以上のパラメータ値をそれぞれ決定し、上記マーキング手段が、第1加工パラメータを行方向に対応づけ、第2加工パラメータを列方向に対応づけて、上記複合シンボルを2次元配置させるように構成される。
【0018】
この様な構成によれば、第1及び第2加工パラメータを行方向及び列方向にそれぞれ対応づけた複合シンブルの2次元配置がワーク上に形成されるので、これらの加工パラメータについて、適切なパラメータ値を容易に探知することができる。
【0019】
第5の本発明によるレーザーマーキング装置は、上記構成に加え、第1シンボルが、2以上の第2シンボルを包含する領域の下地加工用のシンボルからなるように構成される。この様な構成によれば、第1シンボルが、指定された共通の加工条件でマーキングされ、2以上の第2シンボルが、互いに異なる加工条件で第1シンボルに重ねてマーキングされる。このため、ワーク上に形成された各複合シンボルを観察することにより、第2シンボルの適切な加工条件を容易に探知することができる。従って、ワークの材質や形状に応じた加工条件を容易に探知することができる。特に、下地加工用シンボルの加工条件に応じて、第2シンボルの適切な加工条件を探知することができる。
【0020】
第6の本発明によるレーザーマーキング装置は、マーキングによりワーク上の下地領域内を均一に加工する下地加工と、上記下地領域内にシンボルをマーキングするシンボル加工とを行うレーザーマーキング装置であって、上記下地加工及び上記シンボル加工をそれぞれ行うための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手段と、上記下地加工及び上記シンボル加工の上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手段と、上記下地加工の上記加工条件を指定するための加工条件指定手段と、上記シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手段と、上記シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手段と、拡大された上記下地領域に対し上記下地加工を行うとともに、拡大された上記下地領域内に2以上の上記シンボルを互いに異なる上記加工条件で形成するマーキング手段とを備えて構成される。
【0021】
この様な構成によれば、下地領域内が、指定された加工条件で均一に加工され、各シンボルが、互いに異なる加工条件で形成される。このため、ワーク上に形成された各シンボルを観察することにより、シンボルの適切な加工条件を容易に探知することができる。従って、ワークの材質や形状に応じた加工条件を容易に探知することができる。特に、下地加工の加工条件に応じて、シンボルの適切な加工条件を探知することができる。
【0022】
第7の本発明による加工情報設定装置は、レーザーマーカ用の加工情報設定装置であって、第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手段と、第1及び第2シンボルの上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手段と、第1シンボルの上記加工条件を指定するための加工条件指定手段と、第2シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手段と、第2シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手段と、互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複合シンボルであって、第1シンボルが、共通の上記加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、互いに異なる上記加工条件でマーキングされた2以上の上記複合シンボルをワーク上に形成させるためのサンプル加工データを生成するサンプル加工データ生成手段と、上記サンプル加工データをレーザーマーカへ送信するサンプル加工データ送信手段とを備えて構成される。
【0023】
第8の本発明によるコンピュータプログラムは、レーザーマーカ用の加工情報設定装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手順と、第1及び第2シンボルの上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手順と、第1シンボルの上記加工条件を指定するための加工条件指定手順と、第2シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手順と、第2シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手順と、互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複合シンボルであって、第1シンボルが、共通の上記加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、互いに異なる上記加工条件でマーキングされた2以上の上記複合シンボルをワーク上に形成させるためのサンプル加工データを生成するサンプル加工データ生成手順と、上記サンプル加工データをレーザーマーカへ送信するサンプル加工データ送信手順とからなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるレーザーマーキング装置では、ワーク上に形成された各複合シンボルを観察することにより、第2シンボルの適切な加工条件を容易に探知することができる。従って、複合シンボルについて、ワークの材質や形状に応じた加工条件を容易に探知することができる。
【0025】
また、本発明によるレーザーマーキング装置では、第1シンボルの加工条件に応じて、第2シンボルの適切な加工条件を探知することができるので、複数の複合シンボルをワーク上に形成させるための加工設定を容易に行うことができる。
【0026】
また、本発明によるレーザーマーキング装置では、第1シンボルが形成されてから第2シンボルが形成されるまでの時間間隔を、1つの複合シンボルのみをワーク上に形成させる場合に準じた時間間隔にすることができるので、第1及び第2シンボルを形成する時間間隔を考慮して、適切な加工条件を探知することができる。
【0027】
また、本発明によるレーザーマーキング装置では、下地加工用シンボルが、非探索シンボルとして共通の加工条件でマーキングされ、光学読取用シンボルが、探索シンボルとして互いに異なる加工条件で下地加工用シンボルに重ねてマーキングされるので、下地加工用シンボルの加工条件に応じて、光学読取用シンボルの適切な加工条件を探知することができる。
【0028】
また、上述したレーザーマーキング装置を構成するレーザーマーカ用の加工情報設定装置を提供することができる。さらに、このようなレーザーマーカ用の加工情報設定装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1によるレーザーマーキング装置1の概略構成の一例を示したシステム図である。
【図2】図1のレーザーマーキング装置1における加工情報設定装置11の構成例を示したブロック図である。
【図3】図2の加工情報設定装置11におけるサンプル印字時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図4】図1のレーザーマーキング装置1を用いてワークW上に形成される複合シンボル4の一例を示した図である。
【図5】図1のレーザーマーキング装置1を用いてテストワーク5上に形成されるサンプルパターン31の一例を示した図である。
【図6】図1のレーザーマーキング装置1を用いてサンプルパターン31を形成する際の加工パラメータの探索範囲の一例を模式的に示した説明図である。
【図7】図2の加工情報設定装置11において保持されるサンプル印字用のテンプレートファイルの一例を示した図であり、金属黒色B用のテンプレートが示されている。
【図8】図2の加工情報設定装置11において加工情報の設定時に表示されるメイン設定画面40の一例を示した図である。
【図9】図2の加工情報設定装置11においてサンプル印字の設定時に表示されるサブ設定画面50の一例を示した図であり、テンプレート選択時の画面が示されている。
【図10】図2の加工情報設定装置11においてサンプル印字の設定時に表示されるサブ設定画面50の一例を示した図であり、最初の探索時の画面が示されている。
【図11】図2の加工情報設定装置11において加工情報の設定時に表示される印字条件のクリップ画面70の一例を示した図である。
【図12】図1のレーザーマーキング装置1によるサンプルパターン31の印字例を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態2によるレーザーマーキング装置1を用いて形成される複合シンボルの他の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態1.
<レーザーマーキング装置>
図1は、本発明の実施の形態1によるレーザーマーキング装置1の概略構成の一例を示したシステム図である。このレーザーマーキング装置1は、加工情報設定装置11及びレーザーマーカ12からなり、加工条件を決定するためのサンプルパターンをワークW上に形成することができる。
【0031】
サンプルパターンは、異なる加工条件でマーキングされた複数のシンボルで構成される。ここでは、1又は2つの加工パラメータについて異なるパラメータ値を指定したシンボルからなるサンプルパターンが形成される。また、サンプルパターンを構成する各シンボルは、種類や加工条件の異なる2つのシンボルが互いに重複してマーキングされた複合シンボルである。この様なサンプルパターンを観察することにより、ユーザは、所望のマーキング品質が得られる加工条件を決定することができる。
【0032】
レーザーマーカ12は、レーザー光を照射し、当該レーザー光をワークW上で走査させることにより、文字、記号、図形などからなるシンボルをワークWにマーキングする加工装置であり、上記シンボルには、QRコードなどの光学読取コードも含まれる。レーザー光をワークWに照射することにより、ワークWの表面層の一部が加熱によって変質し、或いは、除去される。本明細書では、ワーク表面のこの様な加工をマーキング又は印字と呼ぶ。
【0033】
このレーザーマーカ12は、パルス発振する固体レーザー型のマーカ、例えば、3次元制御可能なファイバーレーザー型のマーカであり、コントローラ121、LD122、レーザー発振器123、Zスキャナ124及びXYスキャナ125により構成される。ファイバー型のレーザーマーカは、Yb(イッテルビウム)をドープしたファイバーを増幅器として用いるレーザーマーカである。
【0034】
LD(レーザーダイオード)122は、レーザー媒質を励起するための励起光を生成し、レーザー発振器123へ出射する励起光源である。レーザー発振器123は、レーザー媒質(ファイバー)からなり、励起光を吸収して印字用のレーザー光を生成する。Zスキャナ124は、光学レンズを中心軸方向へ移動させることにより、レーザー光の光軸方向にフォーカス位置を制御する。
【0035】
XYスキャナ125は、レーザー光を2次元走査させるための走査装置であり、X軸方向走査用ミラー、Y軸方向走査用ミラー、これらのミラーを回転させるサーボモーターなどからなる。レーザー光は、Zスキャナ124及びXYスキャナ125を経て、ワークWに照射される。
【0036】
コントローラ121は、所定の加工データに基づいて、LD122、レーザー発振器123、Zスキャナ124及びXYスキャナ125を制御する。具体的には、制御指令として、レーザー光の出力パワーを調整するためのパワー指令がLD122へ出力される。また、レーザー発振の周波数を調整するための周波数指令がレーザー発振器123へ出力される。また、レーザー光のスポット径を調整するためのスポット可変指令がZスキャナ124へ出力される。また、レーザー光の走査速度を調整するためのスキャンスピード指令がXYスキャナ125へ出力される。
【0037】
加工情報設定装置11は、レーザーマーカ12に対し、加工パターン及び加工条件からなる加工情報を設定するための端末装置である。この加工情報設定装置11は、例えば、レーザーマーカ12用の所定のアプリケーションプログラムがインストールされたPC(パーソナルコンピュータ)であり、ディスプレイ111及び操作部112を備えている。
【0038】
加工パターンは、シンボルの種類やサイズを規定する加工情報である。加工条件は、一連のシンボルからなる印字データの印字位置や印字方法であり、加工パラメータは、これらの条件を規定する。その様な加工パラメータのうち、加工対象物の発色に影響がある加工パラメータとしては、レーザー光の出力パワー、走査速度、デフォーカス量、レーザー発振の周波数、パルス幅及びレーザー光の重畳回数がある。加工情報件設定装置11は、この様な加工パラメータを決定するためのサンプルパターンをワークW上に形成させるサンプル加工データを生成することができる。
【0039】
レーザーマーカ12では、加工情報設定装置11から転送されたサンプル加工データに基づいて、同じ加工パラメータに対し、異なる複数のパラメータ値を順次に指定してレーザー光を照射することにより、サンプルパターンをワークW上に形成する動作が行われる。
【0040】
<加工情報設定装置>
図2は、図1のレーザーマーキング装置1における加工情報設定装置11の構成例を示したブロック図である。この加工情報設定装置11は、加工パターン指定部21、加工条件指定部22、サンプル印字テンプレート記憶部23、探索範囲指定部24、加工条件決定部25、加工情報記憶部26、サンプル加工データ生成部27、サンプル加工データ送信部28、設定画面表示部29、ディスプレイ111及び操作部112により構成される。
【0041】
加工パターン指定部21は、サンプルパターン用の複合シンボルとして互いに関連付けられる2つのシンボルについて、それぞれ加工パターンを指定する。各シンボルの加工パターンは、例えば、操作部112からの入力信号に基づいて指定される。ここでは、複合シンボルとして互いに関連付けられる2つのシンボルを第1及び第2シンボルと呼ぶ。
【0042】
加工条件指定部22は、第1シンボルを非探索シンボルとし、その加工条件を指定する。加工条件は、多数の加工パラメータからなる。ここでは、レーザーパワー、スキャンスピード、レーザー発振の周波数、デフォーカス量及び印字回数を加工パラメータとして指定することができるものとする。
【0043】
レーザーパワーは、レーザー光の出力パワーを示す加工パラメータであり、印字用のレーザー光の強度に対応する。レーザーパワーが大きければ、小さい場合に比べて、印字濃度が濃くなる。スキャンスピードは、レーザー光をXY面内で走査させる際の走査速度を示す加工パラメータである。
【0044】
周波数は、レーザー発振の周波数を示す加工パラメータであり、レーザー発振器123の周波数に対応する。周波数が高ければ、低い場合に比べて、レーザーパルスのピークパワーは低くなるが、レーザーパルスの繰返し間隔が短くなる。
【0045】
デフォーカス量は、レーザー光をワークWに照射した際のワークW上の照射領域のサイズを規定する加工パラメータであり、レーザースポットの直径(スポット径)に対応する。レーザー光をデフォーカスさせるデフォーカス量を調整することにより、スポット径を大きくすれば、小さい場合に比べて、エネルギー密度は低くなるが、印字線幅が太くなる。印字回数は、レーザー光の重畳回数を示す加工パラメータであり、重ね書き印字させる回数に対応する。印字回数を多くすれば、印字線幅が太くなり、ワーク表面が深堀りされる。
【0046】
上述した加工パラメータは、いずれもワークWにシンボルをマーキングする際のワークWの発色に影響する加工パラメータである。なお、発色に影響する加工パラメータとしては、上述した加工パラメータ以外に、例えば、レーザー光のパルス幅、塗り潰し線の間隔や、塗り潰し方向がある。パルス幅は、パルス発振時のレーザーパルスにおける1パルス当たりの時間幅を示す加工パラメータである。パルス幅が短ければ、長い場合に比べて、ピークパワーの大きなレーザーパルスを出力することができる。
【0047】
加工条件指定部22では、各加工パラメータについて、パラメータ値がそれぞれ指定される。探索範囲指定部24は、第2シンボルを探索シンボルとし、加工条件の探索範囲を指定する。探索範囲とは、同一の加工パラメータに関するパラメータ値の範囲であり、サンプルパターンを構成する各複合シンボルに割り当てられるパラメータ値の範囲のことである。
【0048】
探索範囲指定部24では、操作部112からの入力信号に基づいて、サンプル印字テンプレート記憶部23内に予め保持されるサンプル印字用の複数のテンプレートファイルのいずれかを選択し、当該テンプレートファイルを参照することにより、探索範囲が指定される。
【0049】
サンプル印字用のテンプレートファイルは、加工パラメータごとに、パラメータ値の探索範囲、探索範囲内でパラメータ値を変化させる際のステップ間隔、探索順序、非探索時のパラメータ値を保持するデータファイルであり、ワーク材質に対応付けて作成される。
【0050】
ワーク材質としては、例えば、樹脂、金属(黒色A)、金属(黒色B)、金属(白色)が想定される。金属(黒色A)の場合、金属ワークに対し、ハイパワーのレーザー光を高速で走査させることにより、金属ワークの表面を磨くようにして、黒色に発色させる。具体的には、鉄又はSUS(ステンレス鋼)を黒色に発色させる場合が金属黒色Aに対応する。
【0051】
金属(黒色B)の場合、金属ワークに対し、ハイパワーのレーザー光を低速で走査させることにより、エネルギーを集中させ、金属ワークの表面を荒らしたり、或いは、焦がして、黒色又はこげ茶色に発色させる。具体的には、鉄又はSUS(ステンレス鋼)をこげ茶色に発色させ、或いは、アルミニウムを黒色に発色させる場合が金属黒色Bに対応する。金属(白色)の場合には、金属ワークに対し、レーザー光を高速で走査させるとともに、重ね書き印字することにより、金属ワークの表面を白色に発色させる。
【0052】
探索範囲指定部24は、サンプル印字時にパラメータ値を変化させる加工パラメータ(探索パラメータ)について、それぞれ探索範囲を指定し、パラメータ値を変化させない加工パラメータ(非探索パラメータ)については、テンプレートファイルに基づいて、ワーク材質に応じた固定値を指定する。
【0053】
加工条件決定部25は、第2シンボルの加工条件として、探索範囲指定部24により指定された探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する。具体的には、探索パラメータについて、それぞれ対応する探索範囲内で異なる複数のパラメータ値が決定される。
【0054】
加工情報記憶部26には、第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための2つの加工情報26a,26bが互いに関連づけて保持される。加工情報26aは、加工パターン指定部21により指定された第1シンボルの加工パターンと、加工条件指定部22により指定された第1シンボルの加工条件からなる。加工情報26bは、加工パターン指定部21により指定された第2シンボルの加工パターンと、加工条件決定部25により決定された第2シンボルの加工条件からなる。ここでは、この様に印字しようとするシンボルに対応付けられた加工情報を「印字ブロック」と呼ぶ。
【0055】
サンプル加工データ生成部27は、加工情報記憶部26内の加工情報26a,26bに基づいて、複数の複合シンボルで構成されるサンプルパターンを形成させるためのサンプル加工データを生成し、サンプル加工データ送信部28へ出力する。サンプルパターンは、互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複数の複合シンボルで構成され、第1シンボルが、共通の加工条件でマーキングされるのに対し、第2シンボルは、互いに異なる加工条件でマーキングされる。
【0056】
本実施の形態によるレーザーマーキング装置1では、第1及び第2シンボルを連続して形成することにより1つの複合シンボルが形成され、サンプルパターンを構成する各複合シンボルが順次に形成されるものとする。
【0057】
また、第2シンボルは、バーコードや2次元コードなどの所定の光学読取コードが加工パターンとして指定された光学読取用のシンボルからなり、第1シンボルが、第2シンボルを包含する領域の下地加工用のシンボルからなるものとする。
【0058】
サンプル加工データ送信部28は、サンプル加工データ生成部27により生成されたサンプル加工データをレーザーマーカ12へ送信する。レーザーマーカ12では、サンプル加工データに基づいてレーザー光を照射することにより、加工パラメータのパラメータ値が異なる複数の複合シンボルからなるサンプルパターンがワークW上に形成される。
【0059】
設定画面表示部29は、加工情報の設定を行うためのメイン設定画面や、サンプル印字設定のためのサブ設定画面を表示するための画面データを生成し、ディスプレイ111へ出力する。
【0060】
<サンプル印字>
図3のステップS101〜S108は、図2の加工情報設定装置11におけるサンプル印字時の動作の一例を示したフローチャートである。この加工情報設定装置11では、3以上の加工パラメータについて、最適なパラメータ値を求めるために、サンプルパターンを形成させる動作が繰り返される。つまり、サンプルパターンを形成する探索ステップを繰り返し、探索対象とする加工パラメータが異なる複数のサンプルパターンを順次に形成し、3以上の加工パラメータについて、それぞれ最適なパラメータ値を求めている。
【0061】
まず、加工情報設定装置11は、サンプルパターンを構成する複合シンボルとして互いに関連づける2つのシンボルについて、それぞれの加工パターンを指定する(ステップS101)。
次に、2つのシンボルのうち、加工パターンとして下地加工が指定された下地加工用シンボルについて、その加工条件が指定される(ステップS102)。一方、加工パターンとして光学読取コードが指定された光学読取用シンボルについては、加工条件の探索範囲が指定され(ステップS103)、光学読取用シンボルの加工条件として、探索範囲内の互いに異なる複数の加工条件が決定される(ステップS104)。
【0062】
このとき、テンプレートファイルに基づいて、加工パラメータの中から1又は2つの加工パラメータが探索パラメータとして選択され、探索パラメータについて、パラメータ値の探索範囲と、探索範囲内の互いに異なる複数のパラメータ値が決定される。一方、非探索パラメータについて、固定値が指定される。
【0063】
次に、加工情報設定装置11は、ステップS101からステップS104までの処理手順において生成された下地加工用シンボル及び光学読取用シンボルの各加工情報に基づいて、サンプル加工データを生成し(ステップS105)、レーザーマーカ12にマーキングを指示する(ステップS106)。
【0064】
次に、加工情報設定装置11は、サンプルパターンの形成後、探索パラメータのパラメータ値がユーザ指定されれば、ユーザ指定されたパラメータ値を選択する(ステップS107)。ステップS103からステップS107までの処理手順は、全ての探索ステップが終了するまで繰り返される(ステップS108)。
【0065】
<光学読取コードの印字>
図4は、図1のレーザーマーキング装置1を用いてワークW上に形成される複合シンボル4の一例を示した図である。光学読取コードは、下地加工用シンボル2及び光学読取用シンボル3からなる複合シンボル4としてマーキングされる。この図には、QRコードなどの2次元コードをワークW上に形成する場合が示されている。
【0066】
図中の(a)には、下地加工用シンボル2が示されている。下地加工用シンボル2は、加工パターンとして下地加工用の塗り潰しが指定されたシンボルであり、矩形領域内に塗り潰し線を配列することにより形成される。
【0067】
図中の(b)には、光学読取用シンボル3が示されている。光学読取用シンボル3は、加工パターンとして所定の2次元コードが指定されたシンボルである。下地加工用シンボル2の矩形領域は、光学読取用シンボル3よりも広く、光学読取用シンボル3との間に、クワイエットゾーンと呼ばれる余白部分が形成される。
【0068】
図中の(c)には、複合シンボル4が示されている。複合シンボル4は、下地加工用シンボル2に重ねて光学読取用シンボル3をマーキングすることにより形成される。このとき、光学読取用シンボル3のコードパターン部分と、下地加工用シンボル2からなる背景部分との間で輝度差を大きくする必要があることから、光学読取用シンボル3及び下地加工用シンボル2には、互いに異なる加工条件が指定される。なお、光学読取用シンボル3は、下地加工用シンボル2の中央に配置される。
【0069】
<サンプルパターン>
図5は、図1のレーザーマーキング装置1を用いてテストワーク5上に形成されるサンプルパターン31の一例を示した図である。この図には、材質がアルミニウムのテストワーク5上に形成された探索用のサンプルパターン31が示されている。サンプルパターン31は、最適なパラメータ値をユーザ指定させるためのテストチャートであり、印字対象とするワークWと同じ材質で同じ厚さのテストワーク5上に形成される。
【0070】
このサンプルパターン31は、金属黒色B用のテンプレートファイル2に基づいて形成されたものであり、複数の複合シンボル4が行方向及び列方向にマトリクス状に配置された2次元のサンプルパターンである。行方向(図中では横方向)には、10個の複合シンボル4が配列され、列方向(図中では縦方向)には、7個の複合シンボル4が配列されている。
【0071】
各複合シンボル4は、下地加工用シンボル2上に光学読取用シンボル3を重ねてマーキングしたシンボルである。下地加工用シンボル2は、共通の加工条件が指定される非探索シンボルであり、光学読取用シンボル3は、探索範囲内で異なる加工条件が指定される探索シンボルである。ここでは、1つの下地加工用シンボル2のマーキングを終了した後、次の下地加工用シンボル2のマーキングを開始するよりも前に、下地加工用シンボル2上に光学読取用シンボル3がマーキングされる。
【0072】
このサンプルパターン31では、2つの探索パラメータのうちの一方の探索パラメータが、行方向に対応づけられ、他方の探索パラメータが、列方向に対応づけられている。すなわち、一方の探索パラメータ、例えば、スキャンスピードが互いに異なり、他方の探索パラメータ、例えば、レーザー発振の周波数が共通する探索シンボルを含む複合シンボル4が行方向に配列される。また、スキャンスピードが共通し、周波数が互いに異なる探索シンボルを含む複合シンボル4が列方向に配列される。各複合シンボル4は、互いに重複しないように、一定の間隔を空けて整列配置されている。
【0073】
このサンプルパターン31には、印字条件を示す印字設定情報32、サンプルパターン31内の行を特定するための行指定情報33、及び、列を特定するための列指定情報34が付加されている。印字設定情報32は、行及び列方向に変化させる探索パラメータの種類、探索範囲及びステップ間隔などからなり、列指定情報34の近傍に配置される。
【0074】
行指定情報33は、行を識別するための行番号からなり、列指定情報34は、列を識別するための列番号からなる。行指定情報33及び列指定情報34は、それぞれサンプルパターン31内の行及び列に対応付けて配置される。
【0075】
印字設定情報32、行指定情報33及び列指定情報34は、ユーザにより指定されたワーク材質に対応づけられたパラメータ値を加工パラメータごとに指定して、テストワーク5上に形成される。つまり、印字設定情報32、行指定情報33及び列指定情報34が、サンプル印字用のテンプレートファイルにおいて定められた一定のパラメータ値、すなわち、固定値を指定してマーキングされるのに対し、サンプルパターン31内の各複合シンボル4は、複合シンボル4ごとに異なるパラメータ値を指定してマーキングされる。具体的には、テンプレートファイルにおいて定められた探索範囲内で、パラメータ値を一定のステップ間隔で単調に変化させることにより、各複合シンボル4が形成される。
【0076】
この例では、行ごとに変化させる探索パラメータとして、周波数が指定され、最小値=60kHzから最大値=120kHzまでの探索範囲内で、パラメータ値をステップ間隔=10kHzで単調に増加させている。また、列ごとに変化させる探索パラメータとして、スキャンスピードが指定され、最小値=50mm/sから最大値=500mm/sまでの探索範囲内で、パラメータ値をステップ間隔=50mm/sで単調に増加させている。
【0077】
<探索範囲の特性>
図6は、図1のレーザーマーキング装置1を用いてサンプルパターン31を形成する際の加工パラメータの探索範囲の一例を模式的に示した説明図であり、レーザーパワー及びスキャンスピードの探索範囲がワーク材質ごとに示されている。この図には、縦軸をレーザーパワーとし、横軸をスキャンスピードとして、2次元の探索範囲が示されている。
【0078】
ワークWの材質が樹脂である場合、レーザーパワーは、下限値からレーザーマーカ12の上限値(定格値)までを探索範囲とし、スキャンスピードは、下限値付近から上限値までを探索範囲としてパラメータ値を変化させる必要がある。一方、ワークWの材質が金属であり、黒色に発色させる場合には、レーザーパワーは、上限値近傍のハイパワー域を探索範囲とし、スキャンスピードは、下限値付近の低速域を探索範囲としてパラメータ値を変化させる必要がある。
【0079】
また、ワークWの材質が金属であり、白色に発色させる場合には、レーザーパワーは、下限値付近のローパワー域を探索範囲とし、スキャンスピードは、金属黒色よりも高速域を探索範囲とする必要がある。この様に、ワーク材質によって、探索すべきパラメータ値の範囲が大きく異なるので、適切な探索範囲を指定しなければ、所望の加工品質のパラメータ値が抜け落ちてしまう。
【0080】
本実施の形態によるレーザーマーキング装置1では、ワーク材質を指定することにより適切なテンプレートファイルが選択され、ワーク材質に応じた適切な探索範囲が自動的に指定される。
【0081】
なお、汎用のテンプレートファイルでは、ワークWの材質が樹脂であるか、或いは、金属であるかに関わらず、ある程度の印字品質で探索できるように、レーザーパワーは、下限値から上限値までを探索範囲とし、スキャンスピードは、下限値付近から上限値付近までを探索範囲としている。
【0082】
<サンプル印字用のテンプレートファイル>
図7は、図2の加工情報設定装置11において保持されるサンプル印字用のテンプレートファイルの一例を示した図であり、金属黒色B用のテンプレートが示されている。このテンプレートファイルは、金属黒色Bとしてワーク材質に対応づけられるテンプレートファイルであり、探索ステップごとに、探索パラメータの探索範囲、ステップ間隔、非探索パラメータのパラメータ値(固定値)、探索パラメータの配列方向が保持されている。
【0083】
探索パラメータとは、探索ステップにおいて、探索範囲内でパラメータ値を変化させる加工パラメータのことであり、当該探索ステップにおいて、パラメータ値が探索範囲内の所定値に固定される非探索パラメータとは識別可能に保持される。
【0084】
具体的には、最初の探索ステップ「ステップ1」において、スキャンスピード及び周波数が探索パラメータとして指定され、他の加工パラメータには固定値が割り当てられている。
【0085】
スキャンスピードは、そのパラメータ値を列ごとに変化させる探索パラメータに指定され、最小値=50mm/s、最大値=500mm/sの探索範囲、ステップ間隔=50mm/sが割り当てられている。周波数は、そのパラメータ値を行ごとに変化させる探索パラメータに指定され、最小値=60kHz、最大値=120kHzの探索範囲、ステップ間隔=10kHzが割り当てられている。レーザーパワーには、レーザーマーカ12の上限値(定格値)を100%として、80.0%が指定されている。また、スポット径及び印字回数には、それぞれ0及び1回が指定されている。
【0086】
また、テンプレートファイルには、印字設定情報32、行指定情報33及び列指定情報34の印字設定と、塗り潰し線の間隔が保持されている。印字設定情報32、行指定情報33及び列指定情報34の印字設定としては、各加工パラメータのパラメータ値(固定値)が指定されている。また、塗り潰し線の間隔としては、スポット径が標準モード(基準値=60μm)と、ワイドモード(基準値=80μm)とを切替可能であることに対応して、標準モードにおける固定値(30μm)と、ワイドモードにおける固定値(40μm)とがそれぞれ指定されている。
【0087】
具体的には、印字設定情報32、行指定情報33及び列指定情報34の印字設定として、レーザーパワー、スキャンスピード、周波数、スポット径及び印字回数が、それぞれ80.0%、1000mm/s、60kHz、0及び1回であると指定されている。
【0088】
樹脂、金属黒色A、金属白色、汎用及び新規作成用のテンプレートについても、金属黒色B用のテンプレートファイルと同様に、探索ステップごとの加工条件が指定されている。
【0089】
<メイン設定画面>
図8は、図2の加工情報設定装置11において加工情報の設定時に表示されるメイン設定画面40の一例を示した図である。このメイン設定画面40は、加工情報を設定するための編集画面であり、ディスプレイ111上に表示される。
【0090】
メイン設定画面40には、印字データの表示領域41、ブロック番号の入力欄42、印字データの入力欄43及びサンプル印字の設定ボタン44が配置されている。入力欄42には、印字しようとする1又は2以上にシンボルに適用する加工情報を識別するためのブロック番号が入力される。入力欄43では、印字データの種類、サイズ、位置、印字条件を入力することができる。
【0091】
この図には、下地加工用シンボルの印字設定が示され、印字データの種類として、加工パターン「下地」が選択されている。また、加工情報としてブロック番号「001」が割り当てられ、リンクブロックとして、ブロック番号「000」の光学読取用シンボルの加工情報が関連づけられている。
【0092】
表示領域41には、入力欄43で指定された印字データがプレビュー表示される。設定ボタン44を操作すれば、サンプル印字設定のためのサブ設定画面に切り替えることができる。
【0093】
<サブ設定画面>
図9は、図2の加工情報設定装置11においてサンプル印字の設定時に表示されるサブ設定画面50の一例を示した図であり、テンプレート選択時の画面が示されている。このサブ設定画面50は、サンプルパターンの加工条件を設定するための編集画面であり、メイン設定画面40内の設定ボタン44の操作に基づいて表示される。
【0094】
このサブ設定画面50には、探索シーケンスの表示領域51、サンプルパターンの表示領域52及びワーク材質の選択ボタン53が配置されている。表示領域51は、最適なパラメータ値を得るためのサンプル印字の手順が表示されるガイダンス領域であり、表示領域52及び選択ボタン53よりも上段に配置されている。表示領域52には、サンプルパターンがプレビュー表示される。
【0095】
選択ボタン53は、ワーク材質を選択するための操作アイコンであり、ワーク材質として、樹脂、金属黒色A、金属黒色B、金属白色、汎用又は新規作成のいずれかを択一的に選択することができる。メイン設定画面40から遷移した状態では、表示領域51にガイダンス「テンプレートの選択」がフォーカス表示され、選択ボタン53を操作してワーク材質を選択するための動作モードであることが案内されている。
【0096】
図10は、図2の加工情報設定装置11においてサンプル印字の設定時に表示されるサブ設定画面50の一例を示した図であり、最初の探索時の画面が示されている。このサブ設定画面50は、最初の探索ステップ「ステップ1」の印字設定を行うための編集画面であり、選択ボタン53の操作に基づいて表示される。
【0097】
表示領域51には、ガイダンス「テンプレートの選択」及び探索ステップ「ステップ1」が配置されている。このサブ設定画面50では、ガイダンス「ステップ1」がフォーカス表示され、1回目の探索ステップで形成させるサンプルパターン用の印字設定を行うための動作モードであることが案内されている。
【0098】
このサブ設定画面50には、表示領域52及び選択ボタン53の他に、印字データの種類を選択するための入力欄54a、文字の高さを指定するための入力欄54b、ブロック番号の入力欄、サンプル印字条件の入力欄55、印字条件の表示欄56、レイアウトの入力欄57、印字モードの入力欄58、パラメータ値の選択欄59及び印字条件のコピーボタン60が配置されている。
【0099】
入力欄54aでは、文字、塗り潰し又はブロックのいずれかを選択することができる。文字を選択すれば、同じ文字を配列させたサンプルパターンが形成される。塗り潰しを選択すれば、内部が塗り潰された矩形を配列させたサンプルパターンが形成される。ブロックを選択すれば、ブロック単位で指定された文字列や複合シンボル4を配列させたサンプルパターンが形成される。
【0100】
入力欄54cには、探索シンボルとして指定するシンボルの加工情報を示すブロック番号が入力される。ここでは、ブロック番号「000」が入力され、光学読取用シンボルが探索シンボルとして指定されている。
【0101】
入力欄55には、サンプルパターンに対応づける探索パラメータの印字設定が、選択ボタン53の操作により選択されたワーク材質に対応するテンプレートファイルから読み出され、そのパラメータ値の探索範囲及びステップ間隔が表示される。
【0102】
表示欄56には、固定値が指定された非探索パラメータのパラメータ値が表示される。入力欄57には、サンプルパターンをワーク上に形成する際のレイアウトを指定するために、サンプルパターンの基準点のX座標、Y座標及びシンボルの配列間隔を入力し、或いは、テンプレートファイルで設定されているデフォルト値を変更することができる。
【0103】
このサブ設定画面50では、選択ボタン53の操作により金属黒色B用のテンプレートファイルが選択されており、入力欄55には、周波数及びスキャンスピードが1回目の探索パラメータとして指定されている。周波数は、パラメータ値を行ごとに変化させる縦軸の探索パラメータに指定され、最小値=60kHz、最大値=120kHzの探索範囲がステップ間隔=10kHzで探索される。スキャンスピードは、パラメータ値を列ごとに変化させる横軸の探索パラメータに指定され、最小値=50mm/s、最大値=500mm/sの探索範囲がステップ間隔=50mm/sで探索される。
【0104】
表示欄56には、レーザーパワー、スポット径及び印字回数のパラメータ値が、それぞれ80.0%、0及び1回に指定されている。また、表示領域52には、入力欄54a,54b,54c及び55において指定されたサンプルパターンがプレビュー表示されている。印字データの種類、文字の高さ及びサンプル印字条件は、必要に応じて変更することができ、変更後の印字設定を新たなテンプレートファイルとして保存することもできる。
【0105】
入力欄58には、トリガボタン58aが配置されている。このトリガボタン58aは、レーザーマーカ12に対して印字開始を指示するための操作アイコンであり、トリガボタン58aの操作に基づいて、サンプルパターンがワーク上に形成される。
【0106】
選択欄59には、サンプルパターンの選択欄及び確定ボタン59aが配置されている。ユーザは、サンプルパターンをワーク上に実際に印字した際の印字結果を見て、最適なパラメータ値を選択する。例えば、A列1行目のシンボルの印字品質が最適であれば、当該シンボルを選択して確定ボタン59aを操作することにより、対応するパラメータ値がユーザ指定され、探索ステップ「ステップ1」の印字設定は終了する。
【0107】
このサブ設定画面50において指定された印字設定は、コピーボタン60を操作することにより、印字条件のクリップボードにコピーされ、ブロック単位で指定されたシンボルの印字設定として適用される。
【0108】
図11は、図2の加工情報設定装置11において加工情報の設定時に表示される印字条件のクリップ画面70の一例を示した図である。このクリップ画面70は、印字条件を確認するための確認画面であり、サブ設定画面50内のコピーボタン60の操作に基づいて表示される。
【0109】
クリップ画面70には、ブロックへ貼り付けボタン71、コメントの表示欄72及び印字条件の表示欄73が配置されている。表示欄72には、選択されたワーク材質、探索ステップにおいて選択された特定のシンボルを示す行列番号などが表示される。表示欄73には、各加工パラメータのパラメータ値の確定値が設定値として表示される。
【0110】
この例では、レーザーパワー、スキャンスピード、周波数、スポット径及び印字回数のパラメータ値が、それぞれ80.0%、50mm/s、60kHz、0及び1回に設定されている。ブロックへ貼り付けボタン71を操作すれば、当該印字設定がブロック単位で指定された文字列に適用される。
【0111】
<サンプルパターンの印字例>
図12は、図1のレーザーマーキング装置1によるサンプルパターン31の印字例を示した図であり、金属(アルミニウム)のテストワークに2次元コードを黒色印字した場合が示されている。アルミニウムのように表面が白く削れる金属の場合、下地加工用シンボルをマーキングすることにより、ワーク表面が削られ、白く発色する。その様な下地加工用シンボルに重ねて光学読取用シンボルをマーキングすることにより、当該光学読取用シンボルを黒く発色させ、かつ、良好なコントラストを得ることができる。
【0112】
ワーク材質として金属黒色Bを選択した場合、1回目の探索ステップにおいて、縦軸及び横軸の探索パラメータとして、それぞれ周波数及びスキャンスピードが指定された2次元のサンプルパターンが形成される。
【0113】
このサンプルパターンでは、左上部の領域A1内の複合シンボルが濃く発色しているが、光学読取用シンボル内のセルが潰れてしまっている。一方、右上部の領域A2、左下部の領域A3及び右下部の領域A4内の複合シンボルは、色が薄くなっており、中央部の領域A5内の複合シンボルが、所望の印字品質となっている。
【0114】
本実施の形態によれば、テストワーク5上に形成された各複合シンボル4を観察することにより、複合シンボル4の適切な加工条件を容易に探知することができる。従って、ワークの材質や形状に応じた加工条件を容易に探知することができる。特に、下地加工用シンボル2の加工条件に応じて、光学読取用シンボル3の適切な加工条件を探知することができるので、複数の複合シンボル4をテストワーク5上に形成させるための加工設定を容易に行うことができる。
【0115】
さらに、下地加工用シンボル2が形成されてから光学読取用シンボル3が形成されるまでの時間間隔を、1つの複合シンボル4のみをワークW上に形成させる場合に準じた時間間隔にすることができる。このため、シンボル2,3を形成する時間間隔を考慮して、適切な加工条件を探知することができる。
【0116】
なお、本実施の形態では、下地加工用シンボル2を非探索シンボルとし、光学読取用シンボル3を探索シンボルとしてサンプルパターン31を形成させる場合の例について説明したが、本発明はこの様な構成に限られるものではない。すなわち、光学読取用シンボル3を非探索シンボルに指定し、下地加工用シンボル2を探索シンボルに指定してサンプルパターン31を形成させても良い。
【0117】
また、本実施の形態では、下地加工用シンボル2及び光学読取用シンボル3を連続して形成することにより1つの複合シンボル4を形成し、各複合シンボル4を順次に形成させる場合の例について説明したが、本発明はこの様な構成に限られるものではない。すなわち、サンプルパターン31を構成する各下地加工用シンボル2のマーキングが全て終了してから、光学読取用シンボル3のマーキングを開始させるような構成であっても良い。
【0118】
実施の形態2.
実施の形態1では、サンプルパターン31を構成する各複合シンボル4が、1つの下地加工用シンボル2に重ねて1つの光学読取用シンボル3をマーキングすることにより形成される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、2以上の光学読取用シンボル3が1つの下地加工用シンボル2内にマーキングされる場合について説明する。
【0119】
図13は、本発明の実施の形態2によるレーザーマーキング装置1を用いて形成される複合シンボルの他の一例を示した図である。図中の(a)には、サンプル印字時にテストワーク5上に形成されるサンプルパターンが示されている。このサンプルパターンは、下地加工用シンボル2が、2以上の光学読取用シンボル3を包含する矩形領域からなり、1つの下地加工用シンボル2内に各光学読取用シンボル3がマーキングされている。
【0120】
下地加工用シンボル2の矩形領域は、マーキングにより均一に加工される下地領域である。下地加工の加工条件は、下地加工用シンボル2の加工条件として設定される。下地加工用シンボル2内に光学読取用シンボル3をマーキングするシンボル加工の加工条件は、光学読取用シンボル3の加工条件として設定される。各光学読取用シンボル3は、矩形領域内に整列配置され、互いに異なる加工条件で形成されている。
【0121】
図中の(b)には、実稼動時にワークW上に形成される複合シンボルが示されている。実際のワークWに印字する場合、複合シンボルは、1つの下地加工用シンボル2に重ねて1つの光学読取用シンボル3をマーキングすることにより形成される。
【0122】
つまり、サンプル印字時には、実際のワークWに印字する場合に比べて拡大された下地領域に対し下地加工を行うとともに、その下地領域内に2以上の光学読取用シンボル3が互いに異なる加工条件で形成される。
【0123】
本実施の形態によれば、下地加工用シンボル2が、指定された共通の加工条件でマーキングされ、2以上の光学読取用シンボル3が、互いに異なる加工条件で下地加工用シンボル2に重ねてマーキングされる。このため、テストワーク5上に形成された各複合シンボルを観察することにより、光学読取用シンボル3の適切な加工条件を容易に探知することができる。
【0124】
なお、実施の形態1及び2では、ワーク材質として、樹脂、金属黒色A、金属黒色B、金属白色が選択可能である場合の例について説明したが、樹脂又は金属を複数の項目に細分化し、これらの項目ごとにサンプル印字用のテンプレートファイルを保持するような構成であっても良い。例えば、樹脂として、ABS黒色、ABS白色、POM(ポリアセタール樹脂)、MMA(アクリル樹脂)、PA(ポリアミド樹脂)などの項目を設け、これらの項目ごとにテンプレートファイルが保持される。或いは、金属として、SUS、銅、アルミニウム、鉄、ニッケルめっき、チタンなどの項目を設け、これらの項目ごとにテンプレートファイルが保持される。
【0125】
また、実施の形態1及び2では、レーザーマーカ12としてファイバーレーザー型のマーカを用いる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、レーザーマーカ12として、YVO型のレーザーマーカ、SHG型のレーザーマーカ又はCO型のレーザーマーカを用いるものにも本発明は適用することができる。
【0126】
YVO型のレーザーマーカは、レーザー媒質として、ネオジウムイオンがドープされたYVO(イットリウム−バナデイト)結晶を用いる固体レーザー型のマーカであり、波長1064nmの赤外光が出力される。
【0127】
SHG型のレーザーマーカは、レーザー媒質として、ネオジウムイオンがドープされたYAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)結晶を用い、第2高調波を利用して波長532nmの緑色光を出力するレーザーマーカである。CO型のレーザーマーカは、CO(気体)をレーザー媒質として用い、波長10.6μmの赤外光を出力するレーザーマーカである。テンプレートファイル2は、この様なレーザーマーカのタイプに応じて作成される。
【符号の説明】
【0128】
1 レーザーマーキング装置
2 下地加工用シンボル
3 光学読取用シンボル
4 複合シンボル
5 テストワーク
11 加工情報設定装置
111 ディスプレイ
112 操作部
12 レーザーマーカ
121 コントローラ
122 LD
123 レーザー発振器
124 Zスキャナ
125 XYスキャナ
21 加工パターン指定部
22 加工条件指定部
23 サンプル印字テンプレート記憶部
24 探索範囲指定部
25 加工条件決定部
26 加工情報記憶部
27 サンプル加工データ生成部
28 サンプル加工データ送信部
29 設定画面表示部
31 サンプルパターン
40 メイン設定画面
50 サブ設定画面
70 印字条件のクリップ画面
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手段と、
第1及び第2シンボルの上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手段と、
第1シンボルの上記加工条件を指定するための加工条件指定手段と、
第2シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手段と、
第2シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手段と、
互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複合シンボルであって、第1シンボルが、共通の上記加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、互いに異なる上記加工条件でマーキングされた2以上の上記複合シンボルをワーク上に形成するマーキング手段とを備えたことを特徴とするレーザーマーキング装置。
【請求項2】
上記マーキング手段は、第1及び第2シンボルを連続して形成することにより1つの上記複合シンボルを形成し、2以上の上記複合シンボルを順次に形成することを特徴とする請求項1に記載のレーザーマーキング装置。
【請求項3】
第2シンボルが、光学読取用のシンボルからなり、
第1シンボルが、第2シンボルを包含する領域の下地加工用のシンボルからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーマーキング装置。
【請求項4】
上記加工条件は、少なくとも第1及び第2加工パラメータからなり、
上記加工条件指定手段は、第1シンボルの第1及び第2加工パラメータとして、パラメータ値をそれぞれ指定し、
上記探索範囲指定手段は、第2シンボルの第1及び第2加工パラメータに対し、パラメータ値の探索範囲をそれぞれ指定し、
上記加工条件決定手段は、第2シンボルの第1及び第2加工パラメータについて、上記探索範囲内の互いに異なる2以上のパラメータ値をそれぞれ決定し、
上記マーキング手段は、第1加工パラメータを行方向に対応づけ、第2加工パラメータを列方向に対応づけて、上記複合シンボルを2次元配置させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレーザーマーキング装置。
【請求項5】
第1シンボルが、2以上の第2シンボルを包含する領域の下地加工用のシンボルからなることを特徴とする請求項1に記載のレーザーマーキング装置。
【請求項6】
マーキングによりワーク上の下地領域内を均一に加工する下地加工と、上記下地領域内にシンボルをマーキングするシンボル加工とを行うレーザーマーキング装置において、
上記下地加工及び上記シンボル加工をそれぞれ行うための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手段と、
上記下地加工及び上記シンボル加工の上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手段と、
上記下地加工の上記加工条件を指定するための加工条件指定手段と、
上記シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手段と、
上記シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手段と、
拡大された上記下地領域に対し上記下地加工を行うとともに、拡大された上記下地領域内に2以上の上記シンボルを互いに異なる上記加工条件で形成するマーキング手段とを備えたことを特徴とするレーザーマーキング装置。
【請求項7】
レーザーマーカ用の加工情報設定装置であって、
第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手段と、
第1及び第2シンボルの上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手段と、
第1シンボルの上記加工条件を指定するための加工条件指定手段と、
第2シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手段と、
第2シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手段と、
互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複合シンボルであって、第1シンボルが、共通の上記加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、互いに異なる上記加工条件でマーキングされた2以上の上記複合シンボルをワーク上に形成させるためのサンプル加工データを生成するサンプル加工データ生成手段と、
上記サンプル加工データをレーザーマーカへ送信するサンプル加工データ送信手段とを備えたことを特徴とする加工情報設定装置。
【請求項8】
レーザーマーカ用の加工情報設定装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
第1及び第2シンボルをそれぞれマーキングするための加工情報であって、それぞれが加工パターン及び加工条件からなる2つの上記加工情報を互いに関連づけて記憶する加工情報記憶手順と、
第1及び第2シンボルの上記加工パターンを指定するための加工パターン指定手順と、
第1シンボルの上記加工条件を指定するための加工条件指定手順と、
第2シンボルの上記加工条件の探索範囲を指定するための探索範囲指定手順と、
第2シンボルの上記加工条件として、上記探索範囲内の互いに異なる2以上の加工条件を決定する加工条件決定手順と、
互いに重複してマーキングされた第1及び第2シンボルからなる複合シンボルであって、第1シンボルが、共通の上記加工条件でマーキングされ、第2シンボルが、互いに異なる上記加工条件でマーキングされた2以上の上記複合シンボルをワーク上に形成させるためのサンプル加工データを生成するサンプル加工データ生成手順と、
上記サンプル加工データをレーザーマーカへ送信するサンプル加工データ送信手順とからなることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−61494(P2012−61494A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207770(P2010−207770)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】