説明

レーザー印字フィルム

【課題】レーザービームを用いて簡易に印字を可能にするレーザー印字フィルムを提供する。
【解決手段】本願発明のレーザー印字フィルムは、所定波長のレーザービーム(L)が照射される照射側にある外側面(2a)とこの外側面(2a)の反対側の反照射側にある内側面(2b)とを有するプラスチック材の第1基材フィルム(2)と、第1基材フィルム(2)の内側面側に第1のインキを塗布して形成される第1インキ層(4)と、第1インキ層(4)の反照射側の面に表示色を有する第2のインキを塗布して形成する第2インキ層(6)と、第2インキ層(6)の反照射側の面に密着して形成されるプラスチック材の第2基材フィルム(12)とを備え、第1基材フィルム(2)の外側面(2a)からレーザービーム(L)が照射される場合に、第1インキ層(4)は照射領域に応じて第2インキ層(6)の表示色を外観可能に、第1インキ層を変質させ第1インキ層(4)の第2インキ層(6)に対する遮光度合を減少させる遮蔽減少性を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザーで印字可能なフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルムへ賞味期限やロット番号などを印字する手法として、サーマルプリンタやインクジェットプリンタを用いて、フィルム外面にインキを塗布して印字する方法が採用されている。この場合、フィルム外面にインキを塗布して印字しているため、輸送中のフィルム同士の擦れにより印字が消えてしまう事例や、印字されたインキを消去し再度印字を行い、賞味期限等を改ざんされる事例が存在する。
【0003】
また、プラスチック材からなるフィルム基材ではなく紙材からなる基材を用いたものにあっては、紙材からなる基材上に着色を有するインキを塗布して形成するインキ層を備え、レーザービームを照射して選択的にインキ層を消失させることによって紙材の色を露出させ、レーザビームの照射領域に応じた文字図形等を印字することが知られている。
【特許文献1】特開2005−289401号公報
【特許文献2】特開2007−322621号公報
【特許文献3】特開2004−29726号公報
【特許文献4】特開2007−055110号公報
【特許文献5】特開2006−069086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーザービームを照射し印字を行う方法においては、印字が薄く認識しにくいことや、高価な材料を使用するため、製品コストが高くなる等の課題があった。
【0005】
また、紙材からなる基材を用いたものにあっては、基材が紙材であるが故にインキ層が安定して紙材からなる基材に保持され、このためにレーザビームの照射領域に応じた文字図形等を印字して表示することが可能であると思われる。しかしながら、プラスチック材フィルム層を基材とする場合においては、紙材を基材とする場合とは異なり、レーザービームを照射して選択的にインキ層を消失させることによってインキ層の下層の着色を露出させることについては、安定して行うには条件設定等が厳しすぎるためか、従来においては行われていなかった。
【0006】
本願発明は、本発明者の鋭意な考察に基づき、両面にプラスチック材の第1基材フィルムと第2基材フィルムを設けることによって、プラスチック材フィルム層を基材とする場合において、レーザービームを用いて印字を可能にすることを見出したことに基づくものであり、本願発明の目的は、積層されたフィルムに挟まれた中間の層にレーザービームを照射して印字を行うことが可能で、製造コストが安価で、印字した文字の認識性に優れる印字を行うことが可能なフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明に係るレーザー印字フィルムは、所定波長のレーザービームが照射される照射側にある外側面とこの外側面の反対側の反照射側にある内側面とを有するプラスチック材の第1基材フィルムと、前記第1基材フィルムの内側面側に第1のインキを塗布して形成される第1インキ層と、前記第1インキ層の反照射側の面に着色を有する第2のインキを塗布して形成する第2インキ層と、前記第2インキ層の反照射側の面に密着して形成されるプラスチック材の第2基材フィルムとを備え、前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に、前記第1インキ層は照射領域に応じて前記第2インキ層の着色を外観可能に、前記第1インキ層を変質させ前記第1インキ層の前記第2インキ層に対する遮光度合を減少させる遮蔽減少性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の構成によれば、第2インキ層の反照射側の面に密着して形成されるプラスチック材の第2基材フィルムを備えるので、第1基材フィルムの外側面からレーザービームが照射される場合に、第1インキ層を変質させ第1インキ層の遮光度合を減少させることによって、照射領域に応じて第2インキ層の表示色を第1インキ層等の背景色に対して外観可能にすることができ、レーザービームを用いてレーザー印字フィルムに簡易に文字図形等を表示することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本願発明の実施の形態について説明する。
図面を参照して、本願発明の第1の実施形態について説明する。図1において、Lはレーザビームを表し、レーザビームLはレーザー印字フィルム1の一方の面から照射される。
【0010】
レーザー印字フィルム1は、所定波長のレーザービームLが照射される照射側にある外側面2aと外側面2aの反対側の反照射側にある内側面2bとを有する透明なプラスチック材の第1基材フィルム2と、第1基材フィルム2の内側面2b側に直接的に第1のインキを塗布して形成される第1インキ層4と、第1インキ層の反照射側の面に着色を有する第2のインキを塗布して形成する第2インキ層6と、第2インキ層6の反照射側の面に密着して形成されるプラスチック材の第2基材フィルム12とが層設して構成されている。
【0011】
図1においては、第2基材フィルム12は、第2インキ層6に塗布された接着層8と接着層8に積層されたシーラント用フィルム10とから構成されている例が示されている。接着層8を介在させているために、第2基材フィルム12を第2インキ層6に密着して積層することが可能になる。
【0012】
また、第2基材フィルム12としては、図1に示すように接着層8とシーラント用フィルム10とから構成することに代えて、図4に示す第2基材フィルム12のように単層として構成することも可能である。図4において、第2基材フィルム12は、第2インキ層6に溶融樹脂を塗布して形成された溶融樹脂層である。第2インキ層6に溶融樹脂を塗布しているために、第2基材フィルム12は接着剤を用いることなく第2インキ層6に密着して積層することが可能になる。
【0013】
レーザービームLの前記所定波長は、第1基材フィルム2に対し透過性を有し第1インキ層4に対し吸収性を有するように選択されている。また、レーザービームLの照射強度は、第1インキ層4のみを変質させるように、過度に強すぎたりまた過度に弱すぎないように適度に選択されている。
【0014】
第1インキ層4としては、第1のインキ中にアルミニウムの微粒粉が分散され銀色インキが塗布されて形成されており、銀色を有する。ここで、第1のインキ中に分散されたアルミニウムの微粒粉が、遮光性の主なる役割を担っている。
【0015】
第2インキ層6としては、黒色の表示色を有する第2のインキが塗布されて形成されている。
【0016】
なお、第1のインキとしては銀色に限らず他の色、例えば金色の第1のインキを用いることも可能である。図3は、金色の第1のインキで第1インキ層5を形成した例を示す。金色の第1のインキは、アルミニウムの微粒粉が分散された銀色インキ液中にさらに適量の黄色の顔料を加えることによって容易に得ることができる。ここで、第1のインキ中に分散されたアルミニウムの微粒粉が、遮光性の主なる役割を担っている。
【0017】
第2インキ層6としては、黒色の表示色を有する第2のインキが塗布されて形成されている。
【0018】
レーザービームLは集光され例えば数μmという大きさの微少スポットサイズを有し、図示しないスキャナー等を介して例えば文字図形を描くように偏向制御される。レーザービームLがレーザー印字フィルム1へ照射されるまでは、第2インキ層6は第1インキ層4によって遮蔽されており、第1基材フィルム2の外側面2a側からは第1インキ層4の表面色が見えるだけであり、第2インキ層6の表示色は露出されていない。第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射されると、例えば文字図形として照射された第1インキ層4の領域は、レーザービームLのエネルギーを吸収して変質し、第2インキ層6に対する第1インキ層4の遮光度合が減少し、第1インキ層4は遮蔽減少性を有することになる。この結果、第1インキ層4の照射領域に応じて第2インキ層6の表示色が第1基材フィルム2の外側面2a側から外観可能になり文字図形を視認することが可能になる。
【0019】
ここで、第1インキ層4に生じる上記の遮蔽減少性について説明する。第1インキ層4の遮蔽減少性については、レーザービームLの照射波長、照射強度、照射時間幅やこれらと第1インキ層4の組成との関係等に依存して、種々のことがメカニズムとして想定される。
【0020】
例えば、遮蔽減少性としては、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射される場合に、第1インキ層4中のアルミニウムの微粒粉等のインキ成分が部分的に灰化し、アルミニウムの微粒粉の有する遮光性が希薄化することに基づくことが想定される。
【0021】
また、遮蔽減少性としては、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射される場合に、第1インキ層4中のアルミニウムの微粒粉等のインキ成分がさらに微細化されるかあるいは化学的に反応して透明化することに基づくことが想定される。
【0022】
また、遮蔽減少性としては、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射される場合に、第1インキ層4中のアルミニウムの微粒粉等のインキ成分がレーザービームLのビーム圧力を受け、照射位置から消失することに基づくことが想定される。この場合、レーザービームLのビーム圧力を受けた第1インキ層4中のアルミニウムの微粒粉等のインキ成分は、第1インキ層4と第2インキ層6との両側の境界部4へ消失することや第2インキ層6中へ消失することが想定される。実験的な観察によれば、第2インキ層6の照射位置に相当する位置には、何らの変質変化が認められなかったことを考慮すると、第1インキ層4と第2インキ層6との両側の境界部へ第1インキ層4中のアルミニウムの微粒粉等のインキ成分が追いやられて消失すると考えることができる。
【0023】
また、遮蔽減少性としては、第1インキ層4と第2インキ層6との両側の境界部へ第1インキ層4中のアルミニウムの微粒粉等のインキ成分が追いやられて消失するというほどではないにしても、レーザービームLの照射位置の中央部が周辺部へ向かって圧縮され照射位置の中央部におけるアルミニウムの微粒粉等のインキ成分が希薄になることに基づくことが考えられる。
【0024】
上記の種々のメカニズムとしては、複合して混合的に生じていることも考えられる。
【0025】
いずれにしても、本実施形態では、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射される場合に、第2インキ層6にそれを破断する等の何ら影響を与えることなく、第1インキ層4に上記の遮蔽減少性を生じさせることができる。これは、第2インキ層6の下層に第2基材フィルム12が設けられているために、第1インキ層4及び第2インキ層6が両面側から第1基材フィルム2と第2基材フィルム12とによって密着して支持され、第2基材フィルム12が第2インキ層6に対して(あるいは第1インキ層4及び第2インキ層6に対して)補強的な役割を担い、第2インキ層6(あるいは第1インキ層4及び第2インキ層6)が第2基材フィルム12によって安定に支持されることが可能になり、第2インキ層6(あるいは第1インキ層4及び第2インキ層6)がレーザービームLの照射圧力等や照射による熱等の影響を受けにくいためと考えることができる。
【0026】
本実施形態の構成によれば、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射されると、第1インキ層4の照射領域に遮蔽減少性が生じ、第1インキ層4の照射領域の文字図形等の軌跡に応じて第2インキ層6の表示色である黒色が露出し、また、第1インキ層4の非照射領域はその表面色の銀色を呈する。この結果、第1基材フィルム2の照射面側から第2インキ層6の表示色である黒色の文字図形等の軌跡を認識することが可能になる。
【0027】
次に、図3を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図1における第1インキ層4が第1のインキ中にアルミニウムの微粒粉が分散され銀色インキであったことに対し、図3においては、第1インキ層5は金色インキである。金色インキは、第1のインキ中にアルミニウムの微粒粉が分散され銀色インキ中に黄色の顔料を混ぜることによって構成されている。
【0028】
図3に示す構成によれば、表面色の金色をなす第1インキ層5の表面上に、第2インキ層6の表示色である黒色の文字図形等の軌跡を表示することができる。
【0029】
次に、図2を参照して、本願発明の第2の実施形態について説明する。図2において、第1基材フィルム2と第1インキ層4との間に、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射される場合に第1インキ層4と共に遮蔽減少性を示す補助インキ層3が設けられている。図1等に示した第2の実施形態では、第1基材フィルム2の内側面2bに直接的に第1のインキを塗布して第1インキ層4が形成されていたが、第2の実施形態では、第1基材フィルム2の内側面2bに補助インキを塗布して形成した補助インキ層3が設けられている。
【0030】
補助インキは例えば白色インキであるが、補助インキは白色に限る必要はない。補助インキ層3に第1のインキを塗布して第1インキ層4が設けられている。補助インキ層3は、光を遮蔽する能力としては第1インキ層4よりも低い特性を有するものであり、また、補助インキ層3は、第1基材フィルム2の外側面2aからレーザービームLが照射される場合に第1インキ層4と同様に遮蔽減少性を示すものである。
【0031】
第1インキ層4を設けずに、補助インキ層3を第1基材フィルム2の内側面に直接的に設け補助インキ層3の反照射側の面に単独に第2インキ層6を遮蔽する役割を担わせようとした場合には、補助インキはそれほど遮蔽能力がないので、補助インキ層3の第2インキ層6に対する遮蔽性が十分でない。第2インキ層6に対する遮蔽性を第1インキ層4に担わせ補助インキ層3には表面色の色の選択性を担わせるのである。
【0032】
本実施形態の構成によれば、第1の実施形態の有する作用効果を有すると共に、さらに、次のような効果を有する。すなわち、第1インキ層4の上に補助インキ層3を設けることによって、表面色の色を補助インキの色として種々に選択することが可能になる。この結果、第2インキ層6に対する遮蔽性と表面色の色の選択性とを分離することができるので、用途に応じて、背景色と図形色との間の色コントラストを種々に設定することが可能になる。
【0033】
次に、本実施例形態に係るレーザー印字フィルム1の試作例及び印字条件等について具体的に説明する。
試作例1
第1基材フィルム2としての二軸延伸ポリプロピレンフィルム20μmに、第1のインキとしての銀インキ(DIC株式会社製、ユニビアNT 銀 K1)を約1μm(乾燥後)の厚みで塗布して第1インキ層4を形成し、続いて第2のインキとしての黒インキ(東洋インキ製造株式会社製、ファインスター R92 S 墨)を約1μm(乾燥後)の厚みで塗布して第2インキ層6を形成し、続いて接着剤8を塗布しシーラント用フィルム10としての未延伸ポリプロピレンフィルム30μmと貼り合わせ、レーザー印字フィルム1を作成した。
【0034】
試作例2
第1基材フィルム2としての二軸延伸ナイロンフィルム15μmに、金インキ(DIC株式会社製、ユニビアNT サンゴールド)を約1μm(乾燥後)の厚みで塗布し、続いて第2のインキとしての黒インキ(東洋インキ製造株式会社製、ファインスター R92 S 墨)を約1μm(乾燥後)の厚みで塗布し、続いて接着剤8を塗布しシーラント用フィルム10としての未延伸ポリエチレンフィルム50μmと貼り合わせ、レーザー印字ラミネートフィルムを作成した。
【0035】
上述の試作例1,2について、後述の印字条件等を考慮してレーザー印字を行ったところ、試作例1では銀色の第1インキ層4を背景として第2インキ層6の表示色の黒色で、例えば、A、B、C・・・等の文字図形を鮮明に描くことができ、また、試作例2では金色の第1インキ層5を背景として第2インキ層6の表示色の黒色でA、B、C・・・等の文字図形を鮮明に描くことができた。
【0036】
レーザー印字条件について
試作例1のレーザー印字フィルム1を用いて、YVOレーザマーカ(株式会社キーエンス製、MD−V9900、波長が1.06μm)にて印字を行った。印字条件としては、主に3つのパラメーターを調整することで、最適な印字となるように調整することができた。
【0037】
ここで、3つのパラメーターとは、印字スピード(照射時間)とレーザー出力強度とレーザーパルス繰り返し周波数とである。印字スピード(照射時間)とレーザー出力強度とレーザーパルス繰り返し周波数は第1インキ層4を変質させる程度を決める要因となる。また、レーザーの波長は、第1基材フィルム2にはレーザ光を吸収させずに第1インキ層4に効率的に吸収させることに関係する。
【0038】
3つのパラメーター(印字スピード(照射時間)、レーザー出力強度、レーザー周波数)の最良な組み合わせを選択することで、明瞭な印字が可能となる。パラメーターの組み合わせが悪く、照射するレーザーエネルギーが小さい場合には、印字した文字のコントラスト比が低くなったり、印字した文字が細くなるため、認識性に優れる印字とはならない。また、レーザーエネルギーが大きい場合には、インキ層4、6が膨張しフィルムのデラミネーションが発生し、フィルムの破断が起こる場合もある。
【0039】
フィルムの種類について
使用するフィルムの種類については、特に制約は無く、包装用フィルムとして一般的に使用されている各種フィルムを使用することができる。
【0040】
使用するフィルムの例を挙げるとすれば、次のようなものを挙げることができる。基材フィルムとして、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂を二軸延伸した二軸延伸フィルム、前記二軸延伸フィルムにアルミナ等を蒸着した透明蒸着フィルム、前記二軸延伸フィルムにポリ塩化ビニリデンなどの樹脂をコートしたバリアコートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂などのバリア性能の高い樹脂とポリプロピレン樹脂などを多層で押出しフィルム化した共押出フィルムなどがある。また、シーラント用フィルムとして、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を延伸せずフィルム化した未延伸フィルムなどがある。
【0041】
フィルムの構成について
フィルムの構成について特に制約は無く、包装用フィルム構成として一般的に使用されている構成を使用することができる。
【0042】
使用するフィルム構成の例を挙げるとすれば、次のようなものを挙げることができる。
・二軸延伸フィルム/印刷/接着剤/未延伸フィルム
・二軸延伸フィルム/印刷/接着剤/二軸延伸フィルム/接着剤/未延伸フィルム
【0043】
ラミネートフィルムの貼り合わせ方法について
ラミネートフィルムの製造方法として特に制約は無く、包装用ラミネートフィルムとして一般的に使用されている貼り合わせ方法が使用できる。
【0044】
使用する貼り合わせ方法の例を挙げるとすれば、次のようなものを挙げることができる。フィルムに接着剤をコートし、別のフィルムを貼り合わせたラミネートフィルムや、フィルムにポリエチレンなどの溶融樹脂を押出し、別のフィルムを貼り合わせたラミネートフィルムや、フィルムにポリエチレンなどの溶融樹脂を押出し積層したラミネートフィルムである。
【0045】
印刷層の構成について
印刷層の構成としては、以下組み合わせがある。
・銀(金)インキ/黒(色)インキ
・白インキ/銀(金)インキ/黒(色)インキ
【0046】
使用する銀インキとして、通常の印刷に使用されているインキが使用できる。その中でインキ中の顔料成分(アルミ粉末)の重量比率を適度に選択することにより、レーザー印字した際に明瞭な印字とすることができる。塗布厚みとしては、0.3〜3.0μm程度の厚みで塗布することが好ましく、銀インキに続いて塗布する黒(色)インキが銀インキの背後から透けて見えない程度の隠蔽性を確保できる塗布厚みが好ましい。使用する金インキとしては、上記の銀インキと同様である。
【0047】
使用する黒インキとして、通常の印刷に使用されているインキが使用できる。塗布厚みとしては、0.3μm〜3.0μm程度の厚みで塗布することが好ましく、レーザー印字を行った際に文字が認識できる程度の濃度を実現できる塗布厚みが好ましい。また、黒インキの代わりに、銀(金)インキとのコントラスト比の高い他の色インキを使用することも可能である。
【0048】
使用する白インキとして、通常の印刷に使用されているインキを使用できる。塗布厚みとしては、0.3μm〜3.0μm程度の厚みで塗布することが好ましく、白インキに続いて印刷する銀(金)インキが白インキの背後から透けて見えない程度の隠蔽性を確保できる塗布厚みが好ましい。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態によれば、第2インキ層6の反照射側の面に密着して形成されるプラスチック材の第2基材フィルム12を備えるので、第1基材フィルム2の外側面からレーザービームが照射される場合に、第1インキ層4を変質させ第1インキ層4の遮光度合を減少させることによって、照射領域に応じて第2インキ層6の表示色(例えば、黒色)を第1インキ層4(例えば、銀色や金色)や補助インキ層3(例えば、白色)等の背景色に対して外観可能にすることができ、レーザービームを用いてレーザー印字フィルム1に簡易に文字図形等を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本願発明の第1の実施形態のレーザー印字フィルムを示す図。
【図2】本願発明の第2の実施形態のレーザー印字フィルムを示す図。
【図3】本願発明の第1の実施形態の変形例のレーザー印字フィルムを示す図。
【図4】本願発明の第1の実施形態の変形例のレーザー印字フィルムを示す図。
【符号の説明】
【0051】
1 レーザー印字フィルム
2 第1基材フィルム
2a 第1基材フィルムの外側面
2b 第1基材フィルムの内側面
3 補助インキ層
4 第1インキ層
5 第1インキ層
6 第2インキ層
8 接着層
10 シーラント用フィルム
12 第2基材フィルム
L レーザービーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定波長のレーザービームが照射される照射側にある外側面とこの外側面の反対側の反照射側にある内側面とを有するプラスチック材の第1基材フィルムと、
前記第1基材フィルムの内側面側に第1のインキを塗布して形成される第1インキ層と、
前記第1インキ層の反照射側の面に表示色を有する第2のインキを塗布して形成する第2インキ層と、
前記第2インキ層の反照射側の面に密着して形成されるプラスチック材の第2基材フィルムと
を備え、
前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に、前記第1インキ層は照射領域に応じて前記第2インキ層の表示色を外観可能に、前記第1インキ層を変質させ前記第1インキ層の前記第2インキ層に対する遮光度合を減少させる遮蔽減少性を有する
ことを特徴とするレーザー印字フィルム。
【請求項2】
前記第1インキ層はアルミニウムの微粒粉が分散された銀色インキを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項3】
前記第1基材フィルムと前記第1インキ層の間の前記第1基材フィルムの内側面に補助インキを塗布して形成され、前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に前記第1インキ層と共に遮蔽減少性を示す補助インキ層を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項4】
前記第2基材フィルムは、前記第2インキ層の反照射側に塗布された接着層と、この接着層に積層されたシーラント用フィルムとからなる
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項5】
前記第2基材フィルムは、前記第2インキ層の反照射側に溶融樹脂を塗布して形成された溶融樹脂層である
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項6】
前記遮蔽減少性は、前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に、前記第1インキ層が希薄化することに基づく
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項7】
前記遮蔽減少性は、前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に、前記第1インキ層が透明化することに基づく
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項8】
前記遮蔽減少性は、前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に、前記第1インキ層が照射位置から消失することに基づく
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項9】
前記遮蔽減少性は、前記第1基材フィルムの外側面から前記レーザービームが照射される場合に、前記第1インキ層が前記レーザービームの照射位置の中央部が周辺部へ向かって圧縮されることに基づく
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項10】
前記レーザービームの照射強度は、前記第1インキ層のみを変質させるように選択されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。
【請求項11】
前記レーザービームの前記所定波長は、前記第1基材フィルムに対し透過性を有し前記第1インキ層に対し吸収性を有するように選択されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー印字フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−110922(P2010−110922A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283393(P2008−283393)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(390000387)福助工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】