説明

レーザー照射を利用したウェーハレベルパッケージの作製方法

【課題】レーザーを利用してウェーハレベルパッケージのデバイスウェーハとリッドウェーハとの結合を行うことにより駆動部に熱影響を与えることなく密封できるウェーハレベルパッケージの作製方法を提供する。
【解決手段】上記デバイスウェーハを上記デバイスウェーハ金属のストリップが上向きになるよう載置台に装着し、上記リッドウェーハの金属ストリップが上記デバイスウェーハの金属ストリップと対向して整列されるよう上記リッドウェーハを上記デバイスウェーハ上に装着する段階S102,S104,S106;上記駆動部に熱影響を与えることなく上記金属ストリップ同士を接合させ上記上下のウェーハと上記金属ストリップとの間に内部空間を密封させるようレーザービームを上記パッケージ領域全体に照射する段階S108;得られた構造体を上記結合した金属ストリップの外周に沿って切断する段階S110、を含むウェーハレベルパッケージの作製方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザーを利用したパッケージの作製方法に関するものである。より具体的にはレーザーを利用してウェーハレベルパッケージ(WLP: Wafer Level Package)のデバイスウェーハ(device wafer)とリッドウェーハ(lid wafer)との結合を行うパッケージの作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜体積弾性波共振器(FBAR: Film Bulk Acoustic Resonator)及び表面弾性波(SAW: Surface Acoustic Wave)フィルターのような電子素子は急激に小型化しており高い信頼性が要される。
【0003】
現在、電子機器はその機能の向上及び消費電力の低減、素子体積の縮小などのニーズにより軽薄短小化が急激に進んでおり、携帯電話などによく用いられるFBAR素子も例外ではない。そこで、パッケージにおいてもチップサイズパッケージ(CSP: Chip Scale Package)が次第に注目され、生産性の向上及び製造価格の低下のためにウェーハレベルパッケージ(WLP: Wafer Level Package)が様々な角度から試みられている。こうしたウェーハレベルパッケージは市場における競争力に最も多大な影響を与える要素として一般に認識されている。
【0004】
上記ウェーハレベルFBAR素子は回路などの微小駆動部が装着されたデバイスウェーハとこのデバイスウェーハ上部に結合されるリッドウェーハまたはキャップウェーハ及びこれらデバイスウェーハとリッドウェーハの外周を結合させながら駆動部のための内部空間、即ちエアキャビティを外部から密封させる接合金属ストリップまたは帯状から成る側壁を設ける。上記キャビティは有害環境や異物による悪影響から内部の電極パターンを保護するためのものである。
【0005】
上記ウェーハレベル電子素子を製造する通常の方法は次のとおりである。先ず、一つのウェーハ原板の上部に駆動部を形成し、この駆動部を囲繞するキャビティを形成し、これに接着剤を利用したり、その他適切な接合方式で保護キャップまたはリッドを被せキャビティを密封するようになる。駆動部の上端にはいかなる物質が蒸着されても素子の性能を低下させてしまうので、リッドを駆動部から所定の間隔ほど離隔させることが重要である。
【0006】
一方、リッドを被せる前に、駆動部とキャビティが複数形成されているウェーハ原板を夫々の駆動部とキャビティを含むパッケージ領域に切断してから、接着剤などを利用してウェーハの上部にリッドを結合する。
【0007】
しかし、このような方法はウェーハ原板を小さい寸法の単位パッケージ領域に切断するので後続する接合作業が難しくなる問題がある。そして、接着剤などでリッドをウェーハに結合させるので接合部が外部の熱衝撃に脆弱であるとの欠点がある。
【0008】
これとは異なる方法として、これらウェーハレベル電子素子をRFデバイスのパッケージ設計技術に基づき、とりわけ金属共融接合を利用してウェーハレベルでパッケージすることができる。
【0009】
上記金属共融接合は低温熱融着(thermal reflow)方式または赤外線ランプ方式を利用してキャップまたはリッドをデバイスウェーハに密封結合させる。具体的には、デバイスウェーハの駆動部周囲にキャビティを形成するよう接合金属ストリップまたは帯を形成し、そのストリップ上にリッドを被せてから、低温熱融着方式または赤外線ランプ方式を利用して接合金属ストリップを溶融させリッドをデバイスウェーハに結合させることができる。一方、接合金属ストリップはデバイスウェーハばかりでなくリッドにも形成して、これら接合金属ストリップを互いに接合させることもできる。
【0010】
しかし、このような低温熱融着方式または赤外線ランプ方式は次のような欠点を有する。先ず、これら接合方式は低温において行われるので必須的に接合金属を長期間熱源に露出し加熱するので接合金属と共にデバイスウェーハの駆動部が過熱される。これは駆動部を長期間熱源に露出させることにより駆動部の温度を過剰に上昇させ、そうして駆動部が熱衝撃を受け特性が悪化する。とりわけ、これら接合方式は比較的長い作業時間(例えば数分)を要するので駆動部の特性劣化の可能性がより高まる。そればかりでなく、接合作業に長時間がかかるので、このような従来の技術は全工程時間を長引かせ、それによりパッケージ作業の生産性が低下する。
【0011】
このような欠点を克服するためには素子駆動部に熱衝撃または熱影響を与えない比較的低温領域において短時間に亘り接合金属ストリップを上下のリッドウェーハまたはデバイスウェーハと接合させなければならない。しかし、素子の駆動部が、例えば金(Au)などの熱に敏感な素材から成ることに鑑みると、こうした素材に熱影響を与えないほど低温において熱融着により素早く接合される金属は極めて限られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は先述した従来の技術の問題を解決するために案出されたもので、本発明の目的はレーザービームによりデバイスウェーハとリッドウェーハの接合金属を素早く接合させることにより駆動部に熱影響を与えることなくリッドウェーハをデバイスウェーハに結合させ内部のキャビティを密封できるウェーハレベルパッケージの作製方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、レーザーを利用してウェーハレベルパッケージのデバイスウェーハとリッドウェーハとの接合を素早く行うことにより全ウェーハレベルパッケージの作製工程にかかる時間を短縮させ、それに応じて作業の生産性を改善させることにある。
【0014】
本発明の他の目的は、レーザーを利用して金属または合金を接合することにより、従来の熱融着方式に比して低い荷重がウェーハに与えられるようにし、金属原子の反発力による接合の均一性及び信頼性の低下を防止することにある。
【0015】
本発明の他の目的は原板状態のデバイスウェーハにリッドウェーハを結合させた後、これを単位ウェーハレベルパッケージに切断することにより、小さい単位ウェーハ上にリッド装着及び接合などの作業を施すことに伴う高エラー率を防止することにある。
【0016】
そして、本発明のさらに他の目的は接合作業をウェーハ原板状態で行うことにより全作業時間を短縮させ、作業の生産性を改善させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
先述した本発明の目的を成し遂げるために本発明の特徴により提供されるウェーハレベルパッケージの作製方法は、
(イ)一つ以上のパッケージ領域内に微小駆動部及び上記駆動部と間隔を置いて上記パッケージ領域の縁端に沿って配された金属ストリップを有するデバイスウェーハを用意する段階;
(ロ)上記デバイスウェーハの金属ストリップと対応して金属ストリップが配されたリッドウェーハを用意する段階;
(ハ)上記デバイスウェーハを上記デバイスウェーハの金属ストリップが上向きになるよう載置台に装着し、上記リッドウェーハの金属ストリップが上記デバイスウェーハの金属ストリップと対向して整列されるよう上記リッドウェーハを上記デバイスウェーハ上に装着する段階;
(ニ)上記駆動部に熱影響を与えずに上記金属ストリップ同士を接合し上記上下のウェーハと上記金属ストリップとの内部空間を密封させるようレーザービームを上記パッケージ領域全体に照射する段階;
(ホ)得られた構造体を上記結合された金属ストリップの外周に沿って切断する段階を含む。
【0018】
本発明による上記(ハ)の装着段階は、レーザービームが上記パッケージ領域を照射するよう上記デバイスウェーハ上に通過させる上部チャックを、上記リッドウェーハ上にさらに装着することを特徴とする。
【0019】
本発明による上記金属ストリップは純粋Sn、共融SnPb、Sn−Ag−Cu、Sn−Ag−Bi、Ag−Sn−Bi−In、Sn−Ag−Bi、Sn−Zn−Bi、Sn−Bi−Ag、Ag−Cu−Ni、AuSn合金から成る群から選ばれる少なくとも一種から成ることを特徴とする。
【0020】
本発明による上記(ニ)の照射段階はレーザービームを単位面積あたり約0.01ないし10秒間照射し、好ましくは0.1ないし1秒間照射することを特徴とする。
【0021】
本発明による上記(ニ)の照射段階は複数のパッケージ領域を同時に照射することを特徴とする。
【0022】
本発明による上記レーザービームの光源はYAG(1064nm)またはTAGレーザー、Laser Diode(808nm)であることを特徴とする。
【0023】
本発明による上記デバイス及びリッドウェーハはSiまたはガラスから成ることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明による上記リッドウェーハは透明な素材から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
先述したように、本発明のウェーハレベルパッケージの作製方法はレーザービームによりデバイスウェーハとリッドウェーハの接合金属を素早く接合させることにより、駆動部に熱影響を与えることなくリッドウェーハをデバイスウェーハに結合させ内部のキャビティを外部から密封することができる。
【0026】
さらに、レーザーを利用してウェーハレベルパッケージのデバイスウェーハとリッドウェーハとの結合を素早く行うことにより、全ウェーハレベルパッケージ作製工程時間を短縮し、それにより作業生産性を改善することができる。
【0027】
そして、原板状態のデバイスウェーハにリッドウェーハを結合させた後、これを単位ウェーハレベルパッケージに切断するので、小さい単位ウェーハ上においてリッド装着及び接合などの作業を行うことに伴う高エラー率を防止することができる。さらに、接合作業をウェーハ原板状態で行うので全作業時間を短縮し作業の生産性を改善することができる。
【0028】
さらに、レーザーを利用して金属または合金を接合することにより、従来の熱融着方式より低い荷重がウェーハに与えられるようにし、金属原子の反発力による接合均一性及び信頼性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の特徴による好ましき実施例を添付の図に係わり詳しく説明する。
【0030】
先ず、本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す順序図である図1を参照しながら本発明の好ましき実施例によるウェーハレベルパッケージの作製工程を全般的に説明する。
【0031】
先ず、適切な厚さと広さのデバイスウェーハ原板を用意し、その一面に複数の駆動部と、その周囲の接合金属ストリップまたは帯を形成する(S102)。一方、記載の便宜上、駆動部と金属ストリップが形成されたウェーハ原板における部分を以下「パッケージ領域」という。次に、適切な厚さと広さのリッドウェーハ原板を用意し、その一面に上記デバイスウェーハ原板の接合金属ストリップに対応する複数の接合金属ストリップを形成する(S104)。そうしてから、デバイスウェーハ原板を載置台に装着し、上記リッドウェーハ金属ストリップが上記デバイスウェーハ金属ストリップと対向して整列されるよう上記リッドウェーハ原板を上記デバイスウェーハ原板上に装着した後、上記デバイスウェーハ上に上部チャックをさらに装着する(S106)。次いで、レーザービームをウェーハ原板の上部から照射し上下に重なったウェーハ原板の接合金属ストリップ同士を接合させてパッケージ原板を形成する(S108)。
【0032】
次いで、レーザー照射により形成されたパッケージ原板を上記パッケージ領域別に切断し(S110)、複数のウェーハレベルパッケージを得る(S112)。
【0033】
図2Aないし2Eは本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す工程断面図である。これらの図において、図2Aはデバイスウェーハ原板に駆動部と接合金属ストリップを形成する段階を示し、図2Bはリッドウェーハ原板に接合金属ストリップを形成する段階を示し、図2Cは載置台とチャックとの間にデバイスウェーハ原板とリッドウェーハ原板を装着する段階を示し、図2Dはレーザービーム照射段階を示し、図2Eは得られたパッケージ原板を切断する段階を示す。
【0034】
図2Aに示したように、適切な厚さと広さの平坦なデバイスウェーハ原板(12)を用意し、その一面に複数の駆動部(14)を形成し、この駆動部(14)の周囲に接合金属帯またはストリップ(16)を形成する。
【0035】
上記ウェーハ原板(12)は、例えばSiやガラスから成り、好ましくは1000μm以内、より好ましくは700μm以内の厚さとされる。夫々の上記パッケージ領域はウェーハレベルパッケージを構成するよう約1mm以内の横及び縦寸法を有し、夫々の上記駆動部(14)は、例えば金属パターンにより形成された回路を備える。
【0036】
上記金属パターンなどは通常Au、Cu、Mo、Pt、Tiまたはこれらの合金から成るが、これらの融点は夫々1064℃、1084℃、2610℃、1772℃、1675℃である。夫々の上記接合金属ストリップ(16)は好ましくは50μm以内の厚さを有し、上記金属パターンを成す素材及びこれらの合金より著しく低い融点を有する素材から成る。適切な例としては、純粋Sn、共融SnPb(63/37)、Sn−Ag−Cu、Sn−Ag−Bi、Ag−Sn−Bi−In、Sn−Ag−Bi、Sn−Zn−Bi、Sn−Bi−Ag、Ag−Cu−Ni、AuSn合金、AuSn(80/20)などを含む。これらの中で、例えば純粋Snは231.97℃の融点を有し、共融SnPb(63/37)は182.8℃の融点を、そしてAuSn(80/20)は280℃の融点を有する。
【0037】
次いで、図2Bに示したように、適切な厚さと広さの平坦なリッドウェーハ原板(18)を用意し、その一面に図2のデバイスウェーハ原板(12)の接合金属ストリップ(16)に対応する複数の接合金属ストリップ(20)を形成する。上記リッドウェーハ原板(18)はSiまたはガラスから成り、好ましくは1000μm以内、より好ましくは700μm以内の厚さとされる。上記接合金属ストリップ(20)はデバイスウェーハ原板(12)の接合金属ストリップ(16)と同一な素材またはそれと優れた接合を示す素材から成ることができる。
【0038】
このようにデバイスウェーハ原板(12)とリッドウェーハ原板(18)が用意されると、図2Cに示したように、デバイスウェーハ原板(12)を駆動部(14)と接合金属ストリップ(16)が上向きになるよう載置台(30)に装着し、上記リッドウェーハ金属ストリップ(20)が上記デバイスウェーハ金属ストリップ(16)と対向して整列されるよう上記リッドウェーハ原板(18)を上記デバイスウェーハ原板(12)上に装着してから、上記リッドウェーハ原板(18)上に(点線で図示した)上部チャック(32)をさらに装着する。
【0039】
上記上部チャック(32)はリッドウェーハ原板(18)をデバイスウェーハ原板(12)に対して位置固定するためのものである。上部チャック(32)はガラスのような透明な素材から成るか、少なくとも上記パッケージ領域に該当する部分が上記レーザービームを透過させるよう構成される。
【0040】
これと異なり、上部チャックの代わりにリッドウェーハ原板(18)の上面を外部に露出させるようその側部を把持してリッドウェーハ原板(18)をデバイスウェーハ原板(12)に対して位置固定するチャックまたは治具を使用してもよい。
【0041】
一方、上記リッドウェーハ原板(18)を上記デバイスウェーハ原板(12)上に装着する際、適切な位置感知手段を使用して上記リッドウェーハの金属ストリップ(20)が上記デバイスウェーハの金属ストリップ(16)と対向して整列されたかを感知し、感知結果に応じて上記リッドウェーハ原板(18)の位置を調整することができる。
【0042】
さらに、上記デバイスウェーハ原板(12)と上部チャック(32)を装着する場合にも適切な位置感知手段を使用すると、これらの位置をより精密に調整することができる。
【0043】
一方、これら感知手段をコンピュータなどの制御装置に連結して利用すると、作業精密度を高められる同時に作業能率も改善することができる。
【0044】
次いで、図2Dに示したように、レーザービームを上下に重なったウェーハ原板(12、18)上部から照射して、ウェーハ原板(12、18)の接合金属ストリップ(16、20)は接合部(22)を形成し、それによって相互完全に接合するようにさせることにより、パッケージ原板を形成する。図2Dにおいて、図示の便宜上、上部のチャック(32)は図示を省略した。
【0045】
ここで、上記レーザービームの光源にはYAG(Yttrium Aluminum Garnet)またはTAG(Terbium Aluminum Garnet)レーザー装置を使用する。例えば、ドイツのPac Tech GmbH社製モデル名Laplaceというレーザー溶接装置がある。ここで、例えば(4インチウェーハ原板基準)約1064nm波長(YAG)または808nm(TAG)、最大1.5kW出力で約0.01ないし10秒間、好ましくは0.1ないし1秒間レーザービームを照射すると、接合金属ストリップ(16、20)はレーザービームにより相互接合するが駆動部(14)の金属パターンなどは熱衝撃を受けない。これは先述したように、金属パターンの構成素材の融点が接合金属の融点より著しく高いため接合金属を溶かすのに要する短時間のレーザー照射作業には実質上影響を受けないためである。さらに、金属パターンは金属層間に合金を形成し融点を低下させられない積層構造となっているので、劣化は発生しない。したがって、例えば水分を要する従来の技術の熱融着方式において問題となっていた駆動部の熱衝撃を克服できるとの本発明の利点が得られる。
【0046】
一方、図2Dにおいてはレーザービームが二つのパッケージ領域にかけて照射されるようレーザー照射作業を行うものを図示したが、レーザー照射作業はレーザービームが一つのパッケージ領域のみを照射したり、三つ以上のパッケージ領域を照射するよう行うことができる。例えば、通常のウェーハレベルパッケージが3×3mm寸法を有し、上記レーザー装置は100mm幅でレーザービームを照射するので、複数のパッケージ領域を一度に照射することができる。
【0047】
このようなウェーハ原板(12、18)の整列段階(図2C)とレーザー照射段階(図 2D)に要される全作業時間は10分以内であり、本発明は7分以内の作業時間を提供することができる。
【0048】
次いで、図2Eに示したように、先述したレーザー照射により接合金属(16、22)が相互完全に接合され側壁(24)を形成したパッケージ原板を得る。そうしてから、パッケージ原板を上記パッケージ領域別に切断線(Lc)に沿って切断し、(図3に示したような)複数のウェーハレベルパッケージを得る。パッケージ原板の切断作業は公知の複数のウェーハ切断方法から選択でき、例えばレーザースクライビング(laser scribing)工程を通してパッケージ原板を複数のウェーハレベルパッケージに切断することができる。
【0049】
一方、先述した作業段階を行う場合、コンピュータなどのように適切な制御装置を通して夫々の段階を制御すれば、作業能率を改善させより精密な作業を行うことができる。
【0050】
このようにすると、デバイスウェーハ原板(12)にリッドウェーハ原板(18)を結合させた後、これを単位ウェーハレベルパッケージに切断するので、小さい単位ウェーハ上においてリッド装着及び接合などの作業を行うことに伴う高エラー率を防止できる。さらに、接合作業をウェーハ原板状態で行うので全作業時間を短縮し作業の生産性を改善させることができる。
【0051】
図3は本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程により作製したウェーハレベルパッケージの一例を示した断面図である。
【0052】
図3に示したように、ウェーハレベルパッケージの作製工程により作製したウェーハレベルパッケージ(10)は上面に駆動部(14)が形成された平坦なデバイスウェーハ(12a)、上記デバイスウェーハ(12a)の上面縁端に結合され上記駆動部(14)の周囲にキャビティを形成する金属ストリップまたは帯状の側壁(24)、及び下面縁端が上記側壁(24)の上端に結合され上記キャビティを密封するリッドウェーハ(18a)を含む。上記リッドウェーハ(18a)は上記デバイスウェーハ(12a)と等しい面積を有し、これらの厚さは等しくても相異してもよい。
【0053】
図4はウェーハレベルパッケージの作製工程において選択的なレーザー照射作業を説明するための概略図である。
【0054】
図4に示したように、一つのリッドウェーハ原板(18)の下側にはn×n個のパッケージ領域(P11、...Pnn)が形成されることができる。この際、これらパッケージ領域を複数個が一つのグループになるようまとめてレーザー照射することができる。例えば、図8のように4個のパッケージ領域(P11、P12、P21、P22)を一つのグループ(G1)としてレーザービームを照射することができる。この場合、先ず第1グループ(G1)にレーザービームを照射し、続いて次のグループ(P13、P14、P23、P24)にレーザービームを順次に照射するスキャニング方式で全パッケージ領域(P11、 ... Pnn)に対するレーザー照射作業を行うことができる。もちろん、この場合にも一つのパッケージ領域を基準にする場合はレーザービームの全面照射が行われる。
【0055】
以下、図5を参照しながら先述したような本発明のウェーハレベルパッケージの作製方法により作製したウェーハレベルパッケージの接合状態を説明する。
【0056】
この際、使用されたウェーハ原板は厚さ700μm、直径4インチで、接合金属には共融Au/Sn(80/20)を使用し、厚さは50μmであった。一方、レーザー光源にはドイツのPac Tech GmbH社製モデル名LaplaceというTAGレーザー溶接装置を使用し、約808nmの波長と400Wの出力により0.1秒間レーザービームを照射した。
【0057】
このように照射作業を行うと、接合金属(24)は図5に示したように一体に接合され上側のリッドウェーハ(18)を下側のデバイスウェーハ(12)に結合し、これら内部のキャビティを外部から密封させる。
【0058】
このような作業は従来の熱融着方式より著しく短時間内に行われるので、金属パターンを有する駆動部に与えかねない熱影響または熱衝撃を最少化することができる。
【0059】
図6と表1は図4に使用されたAu/Snの機械的強度をEDS分析した結果を示す。図6を下記表1と共に参照すると、Au/Snはwt%比率が約8:2の場合に機械的強度が最も優れることが分かる。
【0060】
【表1】

【0061】
一方、この際のAu/Snの融点は280℃なので、本発明の接合素材に適切に使用できることが分かる。
【0062】
上記において本発明の好ましき実施例らを参照し説明したが、当技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内において本発明を様々に修正及び変更することができることが分かるであろう。
【0063】
さらに、本発明の適用対象分野としてFBARとSAWフィルターを開示したが、本発明はエアキャビティを有し、このキャビティの密封を要する全てのウェーハレベルの電子素子に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す順序図である。
【図2A】Aは本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す工程断面図である。
【図2B】Bは本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す工程断面図である。
【図2C】Cは本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す工程断面図である。
【図2D】Dは本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す工程断面図である。
【図2E】Eは本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程を示す工程断面図である。
【図3】本発明のウェーハレベルパッケージの作製工程により作製したウェーハレベルパッケージの一例を示す断面図である。
【図4】ウェーハレベルパッケージの作製工程において選択的なレーザー照射作業を説明するための概略図である。
【図5】本発明により得られたウェーハレベルパッケージにおいて接合金属の接合状態を示す断面図である。
【図6】図5の実験に例示された接合金属の機械的強度を分析したグラフである。
【符号の説明】
【0065】
12 デバイスウェーハ原板
14 駆動部
16、20 接合金属ストリップ
18 リッドウェーハ原板
24 側壁
30 載置台
32 チャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)一つ以上のパッケージ領域内に微小駆動部及び上記駆動部と間隔を置いて上記パッケージ領域の縁端に沿って配された金属ストリップを有するデバイスウェーハを用意する段階;
(ロ)上記デバイスウェーハの金属ストリップと対応して金属ストリップが配されたリッドウェーハを用意する段階;
(ハ)上記デバイスウェーハを上記デバイスウェーハ金属のストリップが上向きになるよう載置台に装着し、上記リッドウェーハの金属ストリップが上記デバイスウェーハの金属ストリップと対向して整列されるよう上記リッドウェーハを上記デバイスウェーハ上に装着する段階;
(ニ)上記駆動部に熱影響を与えることなく上記金属ストリップ同士を接合させ上記上下のウェーハと上記金属ストリップとの間に内部空間を密封させるようレーザービームを上記パッケージ領域全体に照射する段階;
(ホ)得られた構造体を上記結合した金属ストリップの外周に沿って切断する段階、を含むウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項2】
上記(ハ)の2装着段階は、レーザービームが上記パッケージ領域を照射するよう上記デバイスウェーハ上に通過させる上部チャックを、上記リッドウェーハ上にさらに装着することを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項3】
上記金属ストリップは純粋Sn、共融SnPb、Sn−Ag−Cu、Sn−Ag−Bi、Ag−Sn−Bi−In、Sn−Ag−Bi、Sn−Zn−Bi、Sn−Bi−Ag、Ag−Cu−Ni、AuSn合金から成る群から選ばれる少なくとも一種から成ることを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項4】
上記(ニ)の照射段階はレーザービームを約0.01ないし10秒間照射することを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項5】
上記(ニ)の照射段階はレーザービームを約0.1ないし1秒間照射することを特徴とする請求項4に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項6】
上記(ニ)の照射段階は複数のパッケージ領域を同時に照射することを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項7】
上記レーザービームの光源はYAGまたはTAGレーザーであることを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項8】
上記デバイス及びリッドウェーハはSiまたはガラスから成ることを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。
【請求項9】
上記リッドウェーハは透明な素材から成ることを特徴とする請求項1に記載のウェーハレベルパッケージの作製方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−73977(P2006−73977A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324357(P2004−324357)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)