レーザ封止された毛管スペースを備えるバイオセンサおよび製造方法
【課題】容易、簡単かつコスト効率のよい方法で製造でき、マトクリット障害を低減できるバイオセンサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】電極システムがその上に形成されている基板を備える試験片またはバイオセンサ。1つまたはそれを超える積層が、基板を覆うことにより、中に試薬が付着されている試料受承区画を構成する。試料受承区画からバイオセンサの外部に通ずる開口が設けられている。層と基板は、バイオセンサを保護するためにレーザ溶着されている。層と基板の一方が光透過性を有するために、互いの接触部においてレーザ溶着ができるようになっている。バイオセンサは一連の連続材から形成され、後で切断されて個々のバイオセンサになる。
【解決手段】電極システムがその上に形成されている基板を備える試験片またはバイオセンサ。1つまたはそれを超える積層が、基板を覆うことにより、中に試薬が付着されている試料受承区画を構成する。試料受承区画からバイオセンサの外部に通ずる開口が設けられている。層と基板は、バイオセンサを保護するためにレーザ溶着されている。層と基板の一方が光透過性を有するために、互いの接触部においてレーザ溶着ができるようになっている。バイオセンサは一連の連続材から形成され、後で切断されて個々のバイオセンサになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは被分析物濃度を得るための体液の検査に、より具体的にはそのような検査のための試験片またはバイオセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
試験片は、検査試料中の選ばれた被分析物の存在および/または濃度を測定するためにしばしば用いられる。たとえば、種々の試験片が、糖尿病の人々の血中グルコース濃度を測定して血糖値をモニタするために用いられる。これらの試験片は、配合試薬が付着された反応区画を有する。試験片についての最新の傾向は、検査試料が少量であること、および分析時間が短いことを求める。これにより、身体の感度のより低い部位から得られる少量の血液試料を用いることができるようになり、患者は大きい恩恵を受ける。さらに、短い検査時間およびより正確な検査結果のために、患者は、彼らの血糖値をよりうまく管理することが可能になる。
【0003】
少量の試料に関連しては、試料流体の表面張力および液体がその表面積を最小にするという熱力学的傾向から生ずる現象である毛管作用により試料流体を吸引できるようにするために、非常に小さい反応区画を備える試験片を提供することが知られている。たとえば特許文献1は、毛管作用により試料液体を吸引できるよう十分に小さくされた空洞を備える試験片を開示している。空洞は、板の側部に沿って長さ方向に延在する2つのエポキシ帯片により約1mm離間された2つの平行板により画成されている。空洞は両端部が開いており、その一方は試料を受承し、他方は空気が逃げることができるようになっている。空洞は、電極構造を備え、また、試験片により実施される検査に適切な材料により被覆されている。
【0004】
その他種々の構造の試験片が、試料流体を吸引できる毛管空洞を備え、また、空気が逃げることができる通気口を有するようになっている。理解されているように、最新構造の試験片の毛管流路は、通常非常に小さく、また、検査に要する試料の量を低減するために小さくすることが継続されている。しかし毛管入口の幅が小さくなればなるほど、少量の試料を試験片の毛管に正確に位置付ける(または「狙いを付ける」)ことが困難になる。目標に狙いを付けることは、視力が衰えているおよび/または器用さが低下している人口区分についてはさらに大切であるが、それは、この区分の人々にとっては指を試験片の投与縁に正確に合わせることがより困難だからである。さらに、試料流体は、毛管に吸引されるとき不都合にもしばしばためらい、「投与ためらい」と呼ばれる現象を起こす。試験片構造の小さい毛管に付随する困難を克服することが望ましい。
【0005】
血液の一物質の濃度を測定する電気化学的方法に課される制限は、被分析物の拡散および試薬中の種々の活性成分がもたらす交絡変数の影響である。血中グルコース測定精度についての制限の例は、血液成分または(測定されている観点以外の)状態の変動を含む。たとえば、ヘマトクリット値(赤血球濃度)の変動は、血液試料についての信号生成に影響を与える。短い試験時間後に報告された血中グルコース反応の有効性には、結果が試料の他の変数またはヘマトクリットおよび温度のような障害について補正することなく用いられる場合には疑問がある。
【0006】
血液試料のヘマトクリットに関し、先行技術による方法は、たとえば、ガラス繊維フィルタにより、または血漿だけがフィルムに浸入できるよう細孔を形成できる試薬を含むフィルムを用いて、試料中の血漿から赤血球を分離するようになっている。ガラス繊維フィルタを用いて赤血球を分離することは、測定に要する血液試料の量の増大を引き起こし、それは、測定試験器の使用者の期待に反する。細孔フィルムまたは膜は、ヘマトクリットの影響の低減には部分的にしか有効ではなく、所望の精度を達成するためには、遅延時間の延長および/または特別な測定技術と組み合わせて用いなければならない。従って、ヘマトクリット障害を低減できるバイオセンサを、容易、簡単かつコスト効率のよい方法で製造できるようにすることが望ましい。
【0007】
試験片の種々の層を互いに結合するまたは封止するためには、接着剤が一般に用いられる。大量の試験片生産時の接着剤は、原材料およびとりわけ製造コストの観点の両方から大きいコストとなる。たとえば、複数の製造方法が、好ましくない影響を接着剤から受けている。例として、連続材を切断して帯片を形成するために用いられるスリッタは、接着剤の残りかすが堆積するために時間とともにネバネバになる。このために、スリッタは、定期的に止めて清掃しなければならない。この定期的な製造の中断は、生産量の減少を生ずる。従って、試験片を安価な方法で製造できるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5141868号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の観点は、基板および基板を覆う少なくとも1つの被覆層を備えるバイオセンサに関する。基板および被覆層は、協働してそれらの間に試料受承区画を画成する。試薬が、試料受承区画内に配置される。基板および被覆層は、さらに協働してバイオセンサの縁に沿う、試料受承区画の開口を構成する。基板および被覆層は、レーザ溶着されて試料受承区画を画成する。
【0010】
さらに別の観点は、基板および被覆層を含むバイオセンサに関する。基板および被覆層が協働する1つまたはそれを超えるレーザ溶着部が、血液試料のヘマトクリット障害を低減できる大きさにされた微細毛管区画を画成する。試薬が、血液試料を分析するために微細毛管区画内に配置される。
【0011】
別の観点は、試料受承区画をさらに画成するために、基板と被覆層の間に配置されたスペーサを備えるバイオセンサに関する。スペーサと基板はレーザ溶着され、また、被覆層とスペーサは、同時にまたは連続してレーザ溶着される。試薬が、試料受承区画内に配置される。
【0012】
さらに別の観点は、試薬が基板上に付着される方法に関する。基板と被覆層および任意のスペース層は、互いにレーザ溶着されて、試薬を収容する、バイオセンサの試料受承区画を構成する。
【0013】
本発明、その利点およびそこから得られた目的のより理解のために、本発明の好ましい実施形態が図示されるとともに説明されている図面および添付明細書を参照されたい。
【0014】
ここで図面を参照すると、類似の参照符号および文字が、図面全体を通して対応する構造体を指し示すようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】レーザ溶着を用いる、一実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図2】図1に示した技術に従って組み立てられた帯状バイオセンサの展開図である。
【図3】図1に示した技術による第1のレーザ溶着バイオセンサの拡大図である。
【図4】図1に示した技術による第2のレーザ溶着バイオセンサの拡大図である。
【図5A】レーザ溶着を用いる、別の実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図5B】レーザ溶着を用いる、さらに別の実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図5C】レーザ溶着を用いる、さらに別の実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図6】帯状基板材料に取り付けられようとしているスペース層を示す分解図である。
【図7A】2層バイオセンサの図ある。
【図7B】3層バイオセンサ用のレーザ溶着システムの線図である。
【図8】図7のレーザ溶着システムに用いられるドラム組立体の断面図である。
【図9】図8のドラム組立体の斜視図である。
【図10】図7のレーザ溶着システムの一変形例の正面図である。
【図11】図10のレーザ溶着システムの拡大斜視図である。
【図12】第1の3層バイオセンサの平面図である。
【図13】第2の3層バイオセンサの平面図である。
【図14】図12の第1の3層バイオセンサの分解図である。
【図15】帯状基板のロールの斜視図である。
【図16】図15の帯状基板の拡大図である。
【図17】帯状スペーサのロールの斜視図である。
【図18】図17の帯状スペーサの拡大図である。
【図19】帯状被覆層のロールの斜視図である。
【図20】図19の帯状被覆層の拡大図である。
【図21】組立時に図15の帯状基板に重ね合わされる、図17の帯状スペーサを備える積層体の平面図である。
【図22】組立時に図21の積層体に重ね合わされる、図19の帯状被覆層の平面図である。
【図23】図22の積層体のレーザ溶着領域を示す平面図である。
【図24】図23の積層体から得られた帯状バイオセンサの平面図である。
【図25】第3の3層バイオセンサの分解図である。
【図26】第3の3層バイオセンサのレーザ溶着領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本発明の原理の理解を容易にするために、ここに図示した特定の実施形態について説明するが、当説明には特定の用語が用いられる。しかし、それにより本発明の範囲の制限を意図してはいないと了解されるものとする。説明した方法または装置についての変形例およびさらなる修正例の全て、ならびに、ここに説明した本発明の原理のさらなる適用例の全ては、本発明に関連する当業者には通常想起されるものであると考慮されている。
【0017】
バイオセンサおよびそれらの製造方法は周知である。より具体的には、本発明に好適なバイオセンサおよびそれらの製造方法については、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書(2005年1月27日公開)から知ることができる。この米国特許出願公開のパラグラフ0048〜0249、および図1〜図19Cを特に参照すると、バイオセンサおよび方法は、広く本発明に好適であることが詳細に開示されている。
【0018】
米国特許出願公開第2005/0019212号明細書に開示されているバイオセンサおよび方法は、電気化学的な実施の形態に特に重点を置いて説明されているが、本発明は、電気化学システム、センサおよび方法に制限されるものではない。むしろ、本発明の方法およびバイオセンサは、当業者には周知の光学検出技術との関連においても使用可能である。
【0019】
レーザ封止技術
先の背景技術で説明したように、大量の試験片生産時の接着剤は、原材料およびとりわけ製造コストの観点の両方から大きいコストとなる。接着剤の使用に替えて、試験片の積層構造体を互いにレーザ溶着する種々の技術が以下に説明される。これらのレーザ溶着技術を用いることにより、試験片は、効率よく、また、高いコスト効率で製造できるようになる。たとえば、接着剤に係る材料費を大幅に低減する、または完全に無くすことさえできる。さらに、接着剤を使用することにより生ずる製造上の問題を軽減する、または排除することができる。先に説明したように、試験片の種々の層と構成要素を互いに接合するために接着剤を使用すると、接着剤の残りかすが、試験片の切断に用いられるスリッタに堆積する。このために、一定間隔での洗浄と保守のためにスリッタを定期的に停止させることが必要になり、そのために生産量が低下する。ここに説明したレーザ溶着技術を用いることにより、接着剤に関連する問題を非常に小さくする、または排除することさえもが可能になる。この技術についての説明の焦点はレーザ溶着により毛管流路を形成することであるが、レーザ溶着により試験片のその他の構成要素も互いに接合可能であると了解されるものとする。たとえば、以下に説明するように、試験片の層の全てを互いにレーザ溶着することにより、接着剤の使用を無くすことができる。この接着剤不使用の試験片は、たとえば、積層構造体表面の大部分または全てにレーザを照射する、もしくはその後直ぐに間隔を空けてスポット溶着を行なうことにより実現することができる。
【0020】
本発明のための、2つの積層を互いにレーザ溶着するときの基本的な原則は、所定の種類のレーザの全てについて、レーザのエネルギーを吸収しない(よってそれを通過させる)透明な(または透き通った)材料およびこのエネルギーを吸収する黒い(吸収性を有する)材料があることである。以下にさらに詳細に説明するように、「透明な」および「黒い」の用語は、材料のレーザエネルギー吸収特性のことを指しており、必ずしも透明性、不透明性またはその色を指してはいないことに留意することが重要である。これらの隣接する透明なおよび黒い材料は、化学的および物理的には本質的に同一である(たとえば、同一のまたはほぼ同一の高分子基材、等しいまたはほぼ等しい融点である)ことが望ましい。互いに2層を封止するために、レーザは、2層構造体の透明層に照射される。レーザのエネルギーは、透明層を通過し、黒い層によって吸収される。これにより黒い層は溶け、次いでその物理的反応熱により透明層が溶ける。次いで、溶融部は混ざり合って冷え、溶着部が形成される。透明層および黒い層は、化学的および/または物理的に特性が大きく異なっている場合、この混ざり合いが十分に行なわれないために、弱い、さもなければ不十分な溶着部が形成される。
【0021】
層の溶融は、一般に各々の層の厚さ全域に亘って発生するものではない。すなわち、所定のレーザエネルギーが加えられたとき、黒い層は、一般にその特定の深さだけ溶融する。しかし、2つを超える層が、互いにレーザ溶着可能であるが、それは、連続してまたは同時に実施される。例として、3層を互いにレーザ溶着して、3層構造体を形成することができる。3層構造体の場合、レーザは、外側層に対して別々に照射されるが、それは、レーザ装置と帯状積層体の構成により同時にまたは連続して実施される。たとえば、第1の透明層を中間の黒い層の第1の側にレーザ溶着し、次いで構造体を反転させて、第2の透明層を中間の黒い層の第2の側にレーザ溶着することができる。代替として、構造体のほぼ反対側に2つのレーザを配置して、第1と第2の透明層を黒い層に同時に(またはほぼ同時に)レーザ溶着することができる。このように、3層構造体の場合、両方の外側層は一般に透明であり、中間層は黒色である。
【0022】
以上の説明にも拘らず、その層の厚さが十分に小さい、またはレーザのエネルギーが十分に高い場合には、両側の透明層を同時に溶着させるために黒い層をその厚さ全体に亘って溶融させることも可能である。その場合、透明な外側層に対してレーザを1回照射してそれを黒い中間層に溶着させ、次いで、レーザの裏側の黒いまたは透明な外側層に溶着させることにより3層帯片を形成することができる。
【0023】
また、背景技術の部で説明したように、ヘマトクリット値の変動は、血液試料についての信号生成に影響を与えるために、ヘマトクリット障害を低減できるバイオセンサを容易、簡単かつコスト効率よく製造できるようにすることが望ましい。ヘマトクリットは、微細毛管による物理的分離により大きく低減できることが見出されている。微細毛管は、また、必要な試料の量を大きく減少できるが、それは消費者にとって望ましいことである。しかし、微細毛管のサイズが小さいために、製造時に高度な寸法制御が必要とされる。微細毛管は、レーザ溶着を用いることにより高生産性、低コストおよび高い精度制御のもとで形成できることが判った。レーザ溶着を用いることにより、20〜200nlの(またはそれよりさらに小さい)容積の微細毛管を効率よく、一定寸法になるよう、かつコスト効率よく形成することができる。この技術により形成された微細毛管は、試薬を親水性調整剤として作用させることにより、高価な表面処理箔を用いる必要性を無くす。一般に、これらのヘマトクリットを分離するための微細毛管は、2層構造体が試験片に用いられるときに形成される。
【0024】
原理は、赤血球が比較的大きいために、もし毛管がレーザ照射時に互いに緩く保持されている2つの層を互いに封止したとすると、毛管の高さは、流体が毛管作用により浸入するには十分な高さであるが、赤血球にとっては低過ぎて侵入できない。このために、赤血球は微細毛管流路の入口に集合する。そのような微細毛管流路に対する投与をさらに容易にするために、最上層に凹形の切欠部を形成して、帯片を、最上層投与帯片のようにして接触させるものの、反応領域は毛管流路内にあるようにしてもよい。
【0025】
図1のフロー図600は、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図5〜19に関連して説明したバイオセンサ製造技術に導入できる一実施形態によるレーザ溶着技術の一例を示す。このレーザ溶着技術は、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図5〜19に関連して説明した技術以外のその他のバイオセンサ製造工程にも導入できると了解されるものとする。たとえば、このレーザ溶着技術は、ここに説明するアブレーションによる電極、スロットダイ塗布試薬層などのような特定の実施形態に制限されるものではないと了解されるものとする。すなわち、このレーザ溶着技術は、プリント電極、塗布試薬、通気口などを備える、その他の種類の試験片に適用可能である。一般的に言って、接着剤を用いることに替え、図示した技術においては、区画被覆層240(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図12参照)を図示した技術のバイオセンサのその他の部分に固定するために、レーザ溶着が用いられる。この技術は、試験片を連続しておよび/または個別に製造するために用いられる。たとえば、この技術を用いて連続材処理法により、多量のバイオセンサを大量生産することができる。代替として、ここに説明したレーザ溶着技術により個別の試験片を製造することもできる。
【0026】
ステージ602において、電極182、配線184および接点186(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7参照)のセットが、上述の方法で形成される。一例においては、金または他の貴金属が、基板12を構成する薄くて、透明な電極支持箔の片面にスパッタまたは蒸着される。選ばれた実施形態の支持箔は、厚さ約200μmであり、また、支持箔は、たとえば透明なポリカーボネート(PC)またはポリエステル(PET)の箔である。以下に詳細に説明するが、レーザ溶着加工を容易にするために、支持箔は、レーザ溶着に用いられる種類の放射に対して透明または透き通っているが、別の実施形態において、箔は不透明または半透明であってよいと了解されるものとする。ここで、金属化表面またはフィルム170は、レーザアブレーションが施され、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7に示したように、電極182、配線184および接点186が、その他の構造体とともに形成される。再度述べるが、電極182は、他の技術を用いて形成してもよいと了解されるものとする。
【0027】
上述のように、試薬層190が親水性を有するように調合されるために、高価な表面処理被覆箔は必要ない。ステージ604(図1)において、試薬層190は付着される(必要な場合には乾燥される)。たとえば、試薬を必要とされる位置にだけ非常に正確に付着させることができる電磁ベローズ(EMB)技術が用いられる。EMB式塗布製品は、フィンランド共和国エスポーのフルイロジック(Fluilogic)OY社から市販されている。同様に、別の実施形態においては、ホーム・ダイアグノスティックス社(Home Diagnostics, Inc.)の国際公開第2007/033079号パンフレットに記載されているようなレーザプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザ式インクジェットプリンタまたはレーザアブレーション技術さえも用いることができる。レーザ溶着の場合の試薬層190は、一般に1つまたはそれを超える個別の部分を有するよう不連続に配置される。たとえば、図2に示した実施形態における試薬層190は、電極182上に付着された個別の試薬パッドまたは部分の形態である。試薬層190間には、試薬により被覆されていない不被覆部605がある。不被覆部605は、層間のレーザ溶着を容易にするために、帯状基板188と区画被覆層または連続材240の間にきれいな接触面を構成する。透明層と黒い層の間の溶着位置にある試薬は全て、吸収層または黒い層に照射されたレーザエネルギーを遮るまたはその吸収を阻止する傾向にある。このことは、結果として層間に得られた溶着部を弱くするおよび/または層間の適切な封止を阻止する傾向にある。上述の電磁ベローズ技術は、これらの個別の試薬パッド190および不被覆部605を形成するための好適な一実施形態であり、これにより、汚染を介して試薬が溶着部を弱くする危険性を最小にすることができる。微量の試薬190が部分605に僅かに存在するが、それは、レーザ溶着部の溶着強度および封止の程度に大きい影響は与えないものと考慮されている。また、部分605は、レーザ溶着を容易にするためにも色付けされているおよび/または処理されていてもよいと想定されている。たとえば、部分605は、レーザ溶着を容易にするためにレーザエネルギーを吸収するよう色付けされている、または部分605は、レーザエネルギーが通過して、たとえば、区画被覆層240のような別の面を加熱するよう透明であってもよい。帯状基板188または被覆層240が、各々透明層および黒い層であるか否かは設計上の選択肢であり、ここに添付した特許請求の範囲は、(明確に表明されている場合を除き)構成要素が透明か黒いかによって制限されるものではないと、当業者には了解されるであろう。これに関連し、特定して参照することまたは説明の全ては例示だけを目的とするものである。
【0028】
図2の展開図から判るように、スペース層(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図10の196参照)が無くされている。その代わり、区画被覆層(第2の層)240が帯状基板(第1の層)188に直接取り付けられている。区画被覆層240は一般に平面であるが、特定の実施形態においては、試料受承(微細毛管)流路24を形成するために、区画被覆層240は、ステージ606においてエンボス加工により流路凹み607が形成される。流路凹み607は、個別の試験片の電極182および試薬190と位置が合うように離間している。流路凹み607は、たとえば、引き伸ばし、折り畳みまたは区画被覆層240のその他の変形のようなエンボス加工以外の別の方法により形成できると了解されるものとする。また、流路凹み607は、流路凹み607が区画被覆層240と一体となるよう区画被覆層240の形成時に設けてもよい。流路凹み607は、別の層のような追加要素を区画被覆層240に加えて形成してもよいことも考慮されている。
【0029】
別の実施形態におけるステージ606は、流路凹み607が不必要なために任意である。たとえば、流路凹み607を有しない区画被覆層240は、区画被覆層240と基板188の間の小さい間隙が試料受承区画24を構成するよう、幾分緩く帯状基板材188に取り付けられる。2つの層は、スペーサを用いることなく、また、被覆にエンボス加工による流路を形成せずに互いにレーザ溶着される。それに替えて、層は、一般には互いに緩く重ね合わせて、レーザ溶着される。これにより、ヘマトクリット分離に用いることができる比較的薄い毛管流路が形成できる。先に説明したように、赤血球は、比較的大きいために、もしレーザ溶着時に互いに緩く保持されている2つの層を互いに封止することにより毛管を形成したとすると、毛管の高さは毛管作用により流体が浸入するには十分な高さであるが、赤血球にとっては低過ぎて侵入できない。このために、赤血球は毛管流路の入口に集合する。一形態において、区画被覆層240は、比較的大きい試料受承流路24が形成できるよう取り付け時に緩められるが、別の形態においては、試料受承区画24を比較的薄くすることにより、試料の量を小さくするとともにヘマトクリット分離を促進するために、区画被覆層240はピンと張られる。ステージ606は、図1に示した順序とは異なる順序で実施されてもよいと了解されるものとする。たとえば、ステージ606は、ステージ602と604の前に、その実施中におよび/またはその間に実施してもよい。
【0030】
ステージ608において、区画被覆層240は帯状基板材188にレーザ溶着される。先に説明したように、レーザ溶着は、高生産性、低コストおよび高い精度制御のもとで微細毛管を形成できる。一方では、微細毛管は、小さいサイズのためにヘマトクリット障害を低減することができる。
【0031】
全ての粒子または電磁放射をコヒーレントな状態で発生させる装置は、レーザと見なされると了解されるものとする。多くの場合、「レーザ」は、コヒーレントな光子、すなわち光またはその他の電磁放射の発生源を意味する。頭文字(レーザ)の励起誘導放射による光増幅の「光」という用語は、可視光線の光子に制限されるのではなく、全てのエネルギーの光子のように拡大解釈して一般に用いられる。このために、X線レーザ、赤外線レーザ、紫外線レーザなどがある。たとえば、マイクロ波同等の光学レーザは、一般に「メーザ」と呼ばれるが、ここでの考察のためには、メーザをレーザの一種であると見なしていると了解されるものとする。この技術は光学または光学近似のレーザに関連して説明されるが、別の種類のレーザが、種々の層を互いに溶着するために使用可能であると了解されるものとする。特定の一形態において、レーザ溶着に用いられるレーザは、赤外線(IR)固体レーザである。ステージ608においてレーザ溶着を実施するレーザは、CW式レーザまたはパルス式レーザである。一実施形態において、レーザ溶着機は、スイス連邦ザルネンのライスター・プロセス・テクノロジーズ社(Leister Process Technologies)が市販している種類のものであるが、他の種類のレーザ溶着機が使用可能なことは勿論である。
【0032】
レーザ溶着の考察時に種々の層の光学特性に言及するとき、光学特性は、使用レーザの種類に関係する。たとえば、層が光学的光に対して透明である(または半透明でさえ)あるが、紫外線は吸収するとき、その層は、紫外線レーザが用いられるときには吸収性を有する(または黒い)と、また、光学レーザが用いられるときには透明であるといわれる。この技術についての読者の理解を容易にするために、「黒い」の用語は、個々人が見たときに層が例え実際上黒くなく、たとえば灰色、茶色などのように別の色または光を遮蔽するときであっても、ここではレーザを吸収する層を意味するときに用いる。同様に、「透明」の用語は、ここではレーザ光線に対して透明または半透明であるために、レーザ光線が(少なくとも部分的に)層を通過できるレーザ透過層を指すためにしばしば用いる。一般に、種々の層のレーザ溶着時に、層の1つはレーザ光線を少なくとも1つの別の層より多く透過させ、少なくとも1つの別の層は、レーザエネルギーをより多く吸収する。このことは、また、1つの層は透過性を有し、別の層はレーザエネルギーを吸収するようになっている物質をまず塗布した後に層を互いに付着または溶着される、層がいずれの材料であってもよいという特定の周知のレーザ溶着技術より際立っている。例としては、ペンシルバニア州シンプソンのジェンテックス社(Gentex Corporation)が市販しているクリアウェルド(CLEARWELD process)法(登録商標)がある。しかし、当構造体においては、物質をいずれの層に塗布する必要はなく、また、ほとんどの実施形態において、これは、一般に回避対象となる材料および製造コストである。
【0033】
1つの層が黒く、別の層が光学式レーザに透明であるときのように、1つの層が別の層より吸収性が高いとき、レーザ光線は、透過(透明)層を通過して、吸収(黒い)層により吸収される。レーザ光線を吸収した結果発生した熱は、吸収層の全体または一部を溶かす。次いで、吸収層の熱は透明層を溶かす。次いで、溶融部が混ぜ合わさって冷えると、溶着部が形成される。先に説明したように、透明層および吸収層が大きく異なる化学的および/または物理的特性を有する場合には、この混ざり合いが完全に行われないために、弱い、さもなければ不十分な溶着部が形成される。
【0034】
区画被覆層240は、数多くの方法で試薬被覆層188にレーザ溶着することができる。図3を参照すると、区画被覆層240は、電極182および配線184を被覆して通気口34を構成する通気用部材610から離間している。図示したように、区画被覆層240は、試験片614の端部近くに沿う溶着線612に沿って、および試料受承区画24に沿って溶着される。上述したように、試験片614の端部は、切取線262に沿って切り取ることができるようになっており、個別の試験片614は、分離線264に沿って分離される。溶着線612は、切取り後、少なくとも部分的に試験片に付いた状態を維持することにより、試料採取中に体液が試料受承区画24をバイパスすることを阻止する。
【0035】
溶着時、レーザエネルギーは、透明な(または半透明な/透過性を有する)層を通過し、用いられたレーザ光線の吸収層により吸収され、層全体または一部を溶融する熱を発生し、これにより溶着線612を形成する。一実施形態において、被覆層240は、溶着に用いられたレーザエネルギーに対し一般に吸収性を有し、また、帯状基板188は一般に透明である。特定の一例における被覆層240は黒色(カーボンブラック0.5%)であり、連続材188は透明である。被覆層240は、一般にレーザエネルギーを吸収するが、いくつかの形態における被覆層240は、不可視光レーザ光線が用いられた場合、視覚的には透明である。被覆層240が光学的に透明な(または半透明な/透き通っている)場合、被覆層240は、完全な充填を知るための視覚化窓を構成することができる。この実施形態においては、レーザ光線は連続材側188に照射される。光線が照射されたとき、光線は帯状基板188を通過し、不透明な被覆層240は、レーザ光線のエネルギーを吸収する。レーザ光線のエネルギーを吸収して生じた熱は被覆層240および連続材188を溶かす。被覆層240および連続材188は、溶着線612に沿って両方が溶け、冷えた後に、強力で、液密の封止部を形成する。上述のように、一実施例において、流路凹み607と溶着線612は、試料受承区画24を画成できるようにするが、別の実施形態においては、流路凹み607は、任意選択できるようになっている。
【0036】
代替の実施形態において、被覆層240は一般に透明であり(透過性を有し)、帯状基板188は一般に吸収性を有する(黒い)。この実施形態におけるレーザ光線は、透明な被覆層240を通して照射され、吸収性を有する連続材188により吸収される。連続材188により吸収されたエネルギーは、連続材188と被覆層240を溶かし、溶着線612において互いに溶け合わせる。被覆層240が可視光線に対して透明であるとき、被覆層240は、視覚化窓の構成に用いることができる。
【0037】
上述した実施形態では、レーザ光線は片側に照射されるが、別に実施形態においては、レーザ光線は同時にまたは続けて両側に照射してもよい。たとえば、被覆層240と帯状基板188の両方は黒く、レーザ光線は、ほぼ対向関係にある被覆層240と帯状基板188に同時に照射される。また、種々の層は、均一な吸収性または透明性を有している必要はない。換言すると、透過性は、層の種々の場所で異なっていてよい。一例として、層の溶着させる部分だけが吸収性を有するように、その他の部分は光を反射するまたは散乱させるようにすることにより、試料受承区画24の内部のように溶着させてはならない領域の溶着が阻止されるようになっている。種々の層の全体または一部が、不透明インクを1つまたはそれを超える層に塗布するなどすることにより、レーザエネルギーを一時的にまたは恒久的に吸収するようにしてもよいと了解されるものとする。被覆層240と他の構成要素にグラフィックスを印刷またはグラフィックス付きラベルを貼付してもよいと想定されている。レーザ溶着時に、種々の領域においてレーザ溶着を阻止するまたは促進するために種々のマスキング技術を用いることもできる。
【0038】
必要に応じ、別の構成要素をレーザ溶着により取り付けてもよい。たとえば、通気用部材610はレーザ溶着により取り付けることができる。また、通気用部材610は、被覆層240を連続材188にレーザ溶着する前に、その間にまたは後に取り付けてもよい。レーザ溶着は、種々の層を取り付けるための別の方法とともに用いてもよい。たとえば、層がレーザ溶着により恒久的に取り付けられる前にその層を一時的に固定するために、接着剤を用いることもできる。組立てが終わると、試験片またはセンサ614は、上述の方法で個別に打ち抜き、包装される。代替として、センサ614は、互いに連結した状態で残して、複数回検査メータカートリッジ用のセンサテープに構成してもよい。先の実施形態同様、センサ614は、打ち抜かれる、さもなければ端部投与のために、試験片614の縁に沿って試料受承区画24の開口が設けられるように切断される。
【0039】
図4は、被覆層または箔616が、試料受承区画24から接点186近くまで延在して、電極182と配線184を覆っている代替の実施形態を示す。先の実施形態同様、被覆層616は、帯状基板層188にレーザ溶着されて、2層または2積層構造体を形成する。連続材188と被覆層616は、上述と同じ方法で色付けされていてもよい。すなわち、層は交互に透明層および吸収層となっていて、一方の層はレーザ光線を通過させるが、他方の層はレーザ光線を吸収するようになっている。図3に示したような種類の溶着線612を形成する替わりに、図4の被覆層616は、試料受承区画24を画成する溶着領域618を有する。試料受承区画24からの空気を排気するための通気口620が、被覆層616に打ち抜かれている、さもなければ設けられている。任意で、上述の種類の本体被覆234(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図12参照)が、被覆層616の上に取り付けられて、通気口を部分的に覆うことにより充填表示線を構成するようになっていてもよい。組立てが終わると、個々のセンサ622は、個別用途のために切り離して包装される、またはセンサ622は、複数回検査メータカートリッジ用のセンサテープとして連結した状態で残してもよい。
【0040】
レーザ溶着は、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図10〜13に示したような、3層(またはそれを超える層の)センサ構造にも用いることができると了解されるものとする。帯状基板188、スペース層196および被覆層240は、接着剤を用いることに替えてレーザ溶着により互いに固着される。本体被覆234のような他の構成要素も、所定位置にレーザ溶着される。図5Aのフロー図は、3層を互いにレーザ溶着して3層構造体を形成する技術を示す。ステージ626において、電極、配線および接点のセット(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7の182、184、186参照)が、上述のような方法で形成される。一例では、金が、基板(電極支持基板)を構成する薄くて透明な電極支持箔の片側に蒸着される。選ばれた実施形態の支持箔は、厚さ約200μmであり、また、支持箔は、たとえば透明なポリカーボネート(PC)またはポリエステル(PET)の箔である。ここで、金属化表面またはフィルムは、レーザアブレーションが施され、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7に示したように(符号170、182、184、186参照)、電極、配線および接点が、その他の構造体とともに形成される。配線パターンは、プリント技術などのような別の方法により形成してもよいと了解されるものとする。
【0041】
ステージ628において、試薬層(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図8の190参照)が、基板とスペース層の間の、レーザ溶着されるいずれの位置にも微量の試薬しか残留しないようにするために、十分な精度で決められた位置に配置されるよう、上述のような好適ないずれかの方法により連続材上の電極に付着される。一実施形態において、試薬パッドの間には、試薬により被覆されていない不被覆部605がある。試薬層190は、別の方法でも付着できると了解されるものとする。
【0042】
図6を参照して説明すると、前毛管220a、220b、220cなどを備えるスペース(第2の)層196が、ステージ630において帯状基板材188に重ね合わされて、層はレーザ溶着される。スペース層196は、一実施形態において、厚さ約100μmのPCまたはPETの箔であるが、被覆層240は、別の実施形態においては、異なる厚さおよび/または異なる種類の材料により形成されていてもよいと了解されるものとする。しかし、例えこの場合でも、種々の層は、十分な溶着部強度を確実に得るために、一般に類似の化学的および物理的特性を有する方が好都合である。一例では、スペース層196は、毛管作用により流体は浸入できる十分な高さであるが、赤血球には低過ぎて侵入できないようになっているためにヘマトクリットの分離が促進される厚さを有する。
【0043】
ステージ632において、被覆層240と本体被覆234が、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図12に示されているように、スペース層196と連続材188により構成された組立体230に重ね合わせて、そこにレーザ溶着される。一実施形態において、被覆層240は、厚さ約100μmのPCまたはPETの箔である。しかし、被覆層240は、異なる厚さおよび/または異なる材料から形成されていてもよい了解されるものとする。3つの層が互いにレーザ溶着されると、それらは、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図13に示されている組立体260になる。一実施形態において、帯状基板材188と被覆層240は、一般に透明または透き通っており、スペース層196は一般に黒い(重量比0.5%)。
【0044】
試薬層190を帯状基板188に付着させるときの、画成される毛管流路の大きさの範囲内だけというとりわけ厳しい許容誤差の問題を回避するために、一実施形態において(図5Bのフロー図参照)、スペース層196を帯状基板188(配線パターンは既にそこに形成されている)に重ね合わせ、試薬層190の付着前に互いにレーザ溶着される。次いで、被覆層240をスペース層196に重ね合わせ、互いにレーザ溶着して組立体260が構成される。このように、ステージは、626、630、628、632と進行する。このように進行する、可能な連続処理式実施形態の線図については、図7Bを参照されたい。
【0045】
図5Aと図5Bにおいてレーザ溶着するとき、レーザ光線は、層を互いにレーザ溶着するために、連続材188と被覆層240に連続して照射される。しかし、別の実施形態においては、3層をほぼ同時にレーザ溶着できるようになっている(図5C参照)。このように、ステージ630a、632aにおいて、スペース層196が、(配線パターンが形成され、また、試薬層が十分正確かつ決められたパターンで配置されている)帯状基板188に重ね合わされ、また、被覆層240が、スペース層196に重ね合わされる。ステージ634において、3層は、ほぼ同時に互いにレーザ溶着される。上述のように、このことは、少なくとも2つの異なる方法で達成できる。第1の方法においては、重ね合わされた3層が、ほぼ対向関係にある両側にレーザ光線を照射する複数のレーザによりレーザ溶着される。第2の方法においては、重ね合わされた3層が、3層を一度で互いに溶着できるようになっている単一のレーザによりレーザ溶着されるが、スペース層196は、高い吸収性のまたは黒い層を含み、被覆層240の一方または他方および帯状基板188は、透過性を有するまたは透明な層を含み、層240の他方および連続材188は透明または黒色である。
【0046】
先に説明した例において、連続材188と被覆層240は透明であり、スペース層196は吸収性を有するまたは黒い層であった。しかし、異なる色の組合せを用いてもよい。一例として、連続材188は、黒色またはスペース層196より吸収性が高く、被覆層240は、一般に透明または高い透過性を有するようになっている。ステージ630においてスペース層196を連続材188に重ね合わせた後に、スペース層196は連続材188にレーザ溶着される。スペース層196の溶着後に、スペース層196は、被覆層240のレーザ溶着を容易にするために、暗色インクをスペース層196に印刷する、さもなければスペース層196を暗くすることにより透過性が低減される。この後、比較的透明性の高い被覆層240は、このように暗くされたスペース層196にレーザ溶着される。
【0047】
種々のシステムが、先に考察した溶着技術を実施するために用いられる。ここで、2層バイオセンサを形成するためのレーザ溶着システム640の例について、レーザ溶着システム640の線図である図7Aを参照しつつ、まず説明する。図7Bは、3層バイオセンサを形成するためのレーザ溶着システムの線図であるが、それについては以下により詳細に説明する。図示のように、図7Aのレーザ溶着システム640は、区画被覆層240を形成する帯状被覆層644を供給する被覆供給リール642および電極支持帯状基板層188を形成する帯状基板648を供給する基部または基板供給リール646を有する。図示した実施形態において、帯状被覆層644は、一般に黒いまたはレーザ吸収層であり、帯状基板648は、一般に透明またはレーザ透過層である。しかし、これらの連続材の特性は、反対にすることができると了解されるものとする。すなわち、別の実施形態においては、帯状被覆層644は一般に透明であり、帯状基板648は黒色であってよい。そのような場合、レーザを黒い連続材により吸収できるようにするために、レーザに対する連続材の位置は入れ替える必要があると了解されるものとする。図示した実施形態において、帯状被覆層644はいずれの種類のエンボス加工も施されていないために、形成された毛管流路は、ヘマトクリットの分離を促進できるよう非常に薄くなっているが、別の実施形態においては、帯状被覆層644はエンボス加工されていてもよい。図示した実施形態の帯状基板648は、電極および付着された試薬を有する。連続材644、648の各々に沿って、供給ブレーキまたはサーボ駆動装置650が、連続材644、648の張力および/またはスピードを制御して、それらが、レーザ溶着加工と適切な同期を維持できるようになっている。リール642、646の繰出スピードを制御するために、位置650においてブレーキに替えてサーボ駆動装置を用いた場合には、張力センサが、入力側と出力側の両方に通常必要である。リニア連続材ガイド652が、システム640内において連続材644、648を案内するために用いられる。
【0048】
2つの連続材644、648は、レーザ溶着部654で互いにレーザ溶着される。図7Aから判るように、レーザ溶着部654は、圧縮ロール656とドラム組立体658を有する。図8は、ドラム組立体658の一実施形態の断面図を示し、図9は斜視図を示す。図8を参照して説明すると、ドラム組立体658は、一般にサーボモータ660、フレキシブル継手662、マスク支軸664、ベアリングスペーサ666、マスクホイール668およびアクリルホイール670を有する。サーボモータ660は、フレキシブル継手662を介してマスク支軸664に連結されている。サーボモータ660の反対側には、マスクホイール668がマスク支軸664に装着され、また、アクリルホイール670がマスクホイール668を囲繞するようになっている。ベアリングスペーサ666のために回転自在のアクリルホイール670は、帯状基板648がドラム組立体658に当接するときの接触面を構成する。アクリルホイール670は、光学的に透明なアクリル以外のその他の材料により形成してもよいと了解されるものとする。ベアリングスペーサ666は、サーボモータ660がマスクホイール668を回転させるとき、マスク支軸664に回転支持面を構成する。図示したように、マスクホイール668は、レーザ溶着時に連続材644、648の種々の領域をマスクする一連のマスク部672を有する。マスク部の各々は、連続材644、648上のレーザ溶着領域を画成するレーザマスク開口674を有する。動作時に、レーザは、マスクホイール668の内部に配置され、レーザが、レーザ開口674を通して1つまたはそれを超えるレーザ光線を照射し、レーザ開口674の形状と同一の、連続材644、648間のレーザ溶着部が形成される。マスクホイール668を回転させることにより、連続材644、648を高速で互いにレーザ溶着することが可能になる。図示した実施形態において、レーザ開口674は、マスクホイール668に設けられた物理的開口であるが、別の実施形態においては、レーザ開口674は、光学的に透明な領域の形態であってもよい。図示した実施形態において、レーザ開口は、バイオセンサの毛管流路を囲繞するレーザ溶着部と概ね合致させるためにU字形になっている。別の実施形態においては、レーザ開口は、所望のレーザ溶着形状に応じて異なる形に形成してもよいと了解されるものとする。
【0049】
図7Aを再度参照して説明すると、高速レーザセンサ676が、帯状基板648に沿った、レーザ溶着部654直前の位置に配置されている。高速レーザセンサ676は、帯状基板648上の電極の位置を視覚化することにより、スピードを計測するおよび/または帯状基板648の相対位置を判定する。電極(または他の構成要素)の位置および/またはスピードは、帯状基板648上のターゲットマークを介して間接的に検出されると了解されるものとする。レーザセンサ676を用いることにより、ドラム組立体658のサーボモータ660は、マスクホイール668の回転を帯状基板648の動きと同期させることが可能になる。マスクホイール668の回転を同期させることができるというこの能力のために、溶着時に、誤って違う領域を溶着することがないよう、レーザ開口674を確実に帯状基板648上の適切な位置に配置することが可能になる。可能であれば、レーザセンサ676は、帯状基板648伸長の影響を最小にするために、ドラム組立体658に近接して配置する必要がある。特定の一例において、レーザセンサ676は、測光センサのアロマット(Aromat)UZF321(パナソニック電工(株))であるが、別の種類のセンサも使用可能であると了解されるものとする。
【0050】
レーザ溶着部654において、連続材644、648は、圧縮ロ−ル656とドラム組立体658により圧縮される。マスクホイール668内部のレーザは、レーザ光線を互いに圧縮された連続材644、648に向けて照射する。レーザ光線は、それらが回転して所定の位置にあるときレーザ開口674を通過するが、マスクホイール668は、連続材644、648の残りの部分をマスクしてレーザ光線を遮る。帯状基板648が透明な場合、レーザ開口からのレーザ光線は、帯状基板648を通過して、黒い(または吸収性を有する)帯状被覆644により吸収される。その結果得られる熱が連続材644、648を溶かして、混ぜ合わせ、帯状溶着バイオセンサ678を形成する。レーザ溶着部654の下流に配置された検査カメラ680が、帯状バイオセンサ678の欠陥の有無を検査するとともに、プロセス制御を支える。一形態において、検査カメラ680は、電荷結合素子(CCD)カメラであるが、それは、異なる種類の検査装置であってもよい。レーザ溶着部654下流の主サーボ駆動装置682は、連続材のスピードを概ね一定に保持し、また、帯状溶着バイオセンサ678は、巻戻リール684に巻き取られる。レーザ溶着システム640のサーボ駆動装置およびその他のモータは、ロックウェル・オートメーション(アレン・ブラドリー)(Rockwell Automation(Allen-Bradley))のような種々の供給源から入手可能である。
【0051】
図10は、先に図7Aを参照して説明したレーザ溶着システム640の一変形例の正面図である。図11は、レーザ溶着部654の拡大斜視図である。上述のように、レーザ溶着システム640は、被覆供給リール642、基板供給リール646、供給サーボ駆動装置650、圧縮ロール656とドラム組立体658を備えるレーザ溶着部654、主サーボ駆動装置682および巻戻リール684を有する。図10は、ドラム組立体658内部に配置されたレーザ光線発生のためのレーザ発生器686およびレーザ発生器686に連結してレーザ発生器686の相対位置を調節するためのレーザ調節機構をさらに示す。また、図10は、レーザ発生器に作動的に連結されている制御/電源システム690およびシステムのその他の構成要素を示す。これらの制御/電源システム690は、レーザ発生器686のようなシステム構成要素に電力を供給し、制御するために用いられる。圧縮ロール656を作動させるために、圧縮ロール駆動装置692が圧縮ロール656に取り付けられている。供給ローラ694と排出ローラ696は、連続材をピンと張ってレーザ溶着部を通過できるよう案内するために、ドラム658と三角形を形成するように配置されている。図10のシステムにおけるレーザ溶着加工は、上述と概ね同じ方法で行なわれる。
【0052】
図7Bは、類似の技術、原理およびシステムを用いて3層バイオセンサを製造するためのレーザ溶着法を示す。図7Bのレーザ溶着システム698は、図7Aのレーザ溶着システムと同じ構成要素を数多く備える。簡潔かつ明確にするために、これらの共通要素については以下に詳細な説明は行なわないが、それらについては上述を参照されたい。図7Bに示されている、興味ある1つの追加要素は、上述の個別供給の場合に求められるのと同じ方法で試薬を供給するために用いられる試薬ディスペンサ699である。
【0053】
図12は、上述のレーザ溶着技術を用いて製造できる、第1の実施形態としての3層バイオセンサまたは試験片700の平面図であり、また、図13は、上述のレーザ溶着技術を用いて同様に製造できる、第2の実施形態としての3層バイオセンサまたは試験片702を示す。図示のように、両バイオセンサ700、702は、電極構造を除き、同様の構造を有する。図12のバイオセンサ700は、試料または毛管区画706の側面を貫通する電極704を有するが、図13のバイオセンサ702の電極708は、試料区画706の端面を貫通している。両方の種類のバイオセンサ700、702は、同様の方法で互いにレーザ溶着される。簡潔かつ明確にするために,これらの3層バイオセンサをレーザ溶着する技術については、図12のバイオセンサ700を参照して説明するが、そのレーザ溶着技術は、図12のバイオセンサ702の製造に容易に適用可能である。
【0054】
図14は、透明な基板710、透明な最上基板または被覆層712および黒い毛管基板またはスペース層714を備える第1の3層バイオセンサ700の展開図である。再度述べるが、種々の透明および黒い層は、別の実施形態においては異なっていてもよいと了解されるものとする。基板710は電極704を有しており、電極704は、試料区画706において、少なくとも部分的に試薬により覆われている。スペース層714は、基板710および被覆層712とともに試料区画706を構成する開口716を有する。
【0055】
先に軽く述べたように、バイオセンサ700の種々の層は、バイオセンサを連続加工により製造できるよう、一般にロール状でまたはリールに巻いて供給される。図15は、図16に拡大図が示されている、複数の基板710を含む帯状基板720の、そのようなロール718の1つの斜視図である。図19は、図20に拡大図が示されている、帯状被覆層730を供給するロール728の斜視図である。図17のロール722は、バイオセンサ700のスペース層714を形成する帯状スペーサ724を供給する。帯状スペーサ724の拡大図である図18を参照して説明すると、最終的にスペーサ開口716を構成することになる複数の試料空洞開口726が帯状スペーサ724に画成されている。しかし、試料区画706用の開口726が電極704上の求められる位置に間違いなく適切に配置されるようにするために、開口726を帯状スペーサ724に前もって形成する替わりに、帯状スペーサ724を帯状基板720に重ね合わせる直前に形成してもよいことは了解されるであろう。図7Bを参照して説明すると、打ち抜きまたは切断装置(図示せず)が、リニア連続材ガイド652とサーボ駆動装置650に近接する帯状スペーサ724の周囲に配置されている。ドラム組立体658のセンサは、切断装置による開口726の打ち抜き/切断速度を制御するコントローラにフィードバックを伝達するようになっている。そのようなセンサは、たとえば、連続材720の隣接するバイオセンサに含まれる電極704間の実際の距離を測定して、コントローラに対して開口726を形成する適切な位置を指示することができる。了解されているように、これは、本発明の3層の実施形態を製造する連続材の全てを、間違いなく適切に同期させるための追加的な手段である。
【0056】
図21を参照して説明すると、帯状スペーサ724は、試薬とともに作用電極、対極および/または基準電極を搭載する帯状基板720の端部を覆うように配置されている。帯状スペーサ724は、試料空洞開口が適切な電極および試薬に対して位置が合うことにより試料空洞706が形成されるよう、帯状基板720と位置合わせが行なわれている。図22を参照して説明すると、帯状被覆層730は、試料空洞開口726から僅かに位置がずれるように配置されて、流体が採取されるとき空気を試料空洞706から排出するために用いられる通気口732を構成する。図示した実施形態において、帯状基板720と帯状被覆層730は両方とも透明であるが、帯状スペーサ724は黒色である。レーザ溶着時に、レーザ光線は、透明な基板720と帯状被覆材730を通過し、レーザ光線は、黒い帯状スペーサ724に吸収される。その結果得られる熱が、連続材を溶かして、混ぜ合わせる。図23は、試料区画706を囲繞するU字形のレーザ封止領域734の平面図である。再度述べるが、帯状基板720および帯状被覆層730の帯状スペーサ724に対するレーザ封止は、同時にまたは連続して起こると了解されるものとする。余剰の連続材を切断線736に沿って切り離すことにより帯状バイオセンサ700が得られるが、それは図24に示されている。
【0057】
図25は、以下に説明する数少なく、小さい例外を除き、上述した技術と同様の方法で互いにレーザ溶着された別の実施形態のバイオセンサ740の透視図である。前例同様、バイオセンサ740は、基板742、被覆層712および試料区画706を構成するスペース層714を有する。図示のように、基板742は、先に説明したものとは僅かに異なる電極構造744を有する。図26を参照して説明すると、先の実施形態同様、スペース層714を構成する黒い帯状スペーサ724および被覆層712を構成する透明な帯状被覆層730は、基板742を構成する帯状基板746を横断するように積層されている。帯状基板746、帯状スペーサ724および帯状被覆層730の端縁は、図26に各々線748、750、752により示されている。余剰な連続材を切断線754で除去すると、試料区画706の開口ができる。図23の溶着パターン734と比較したときの、1つの顕著な差異は、図26のバイオセンサ740は異なっていることである。図示のように、図26の溶着パターン756は連続して延在している。
【0058】
以上、本発明の原理を具体化する好ましい実施形態について開示したが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではない。それよりも、本出願は、本発明が属する分野の当業者には周知または慣行として想起される、本発明からのそのような逸脱を包含することを意図するものであり、それらは、添付特許請求の範囲内に限定される。
【0059】
以下は、本発明の好ましい実施形態のリストである。
【0060】
1.基板と、
基板を覆う少なくとも1つの被覆層と、ここで、基板および被覆層は協働して試料受承区画を画成し、
基板と被覆層の一方が、他方より透過性が高い、
試料受承区画内に配置された試薬と、
基板および被覆層が、その間の縁に沿う、試料受承区画の開口を構成する、
基板を被覆層に結合して、試料受承区画を構成するための少なくとも1つのレーザ溶着部とを有するバイオセンサ。
【0061】
2.基板上に形成された電極をさらに有する実施形態1のバイオセンサ。
【0062】
3.電極が、レーザアブレーションにより形成された電極である実施形態2のバイオセンサ。
【0063】
4.透過性が低い方が黒色である実施形態1のバイオセンサ。
【0064】
5.透過性が高い方が実質上透明である実施形態1のバイオセンサ。
【0065】
6.基板が実質上透明であり、被覆層が実質上黒色である実施形態1のバイオセンサ。
【0066】
7.基板が実質上黒色であり、被覆層が実質上透明である実施形態1のバイオセンサ。
【0067】
8.基板上のスペース層をさらに有し、被覆層がスペース層を覆っており、少なくとも1つのレーザ溶着部が、基板をスペース層に結合する少なくとも1つのレーザ溶着部およびスペース層を被覆層に結合する少なくとも1つのレーザ溶着部を有し、そのようにして結合された基板、スペース層および被覆層が、試料受承区画を構成する実施形態1のバイオセンサ。
【0068】
9.被覆層および基板が、スペース層より透過性が高い実施形態8のバイオセンサ。
【0069】
10.基板が実質上透明であり、
スペース層が黒色であり、
被覆層が実質上透明である実施形態9のバイオセンサ。
【0070】
11.基板と被覆層の間にレーザ溶着されて、試料受承区画を画成するスペース層をさらに有する実施形態1のバイオセンサ。
【0071】
12.スペース層に取り付けられた本体被覆をさらに有し、
本体被覆が、被覆層から離間して、試料受承区画からの空気を排出するための通気口を画成する実施形態11のバイオセンサ。
【0072】
13.本体被覆が、スペース層にレーザ溶着されている実施形態12のバイオセンサ。
【0073】
14.試薬が親水性を有する実施形態1のバイオセンサ。
【0074】
15.少なくとも被覆層が、試料受承区画を構成するための流路凹みを有する実施形態1のバイオセンサ。
【0075】
16.基板および被覆層の少なくとも一方が、ポリカーボネートから形成されている実施形態1のバイオセンサ。
【0076】
17.基板および被覆層の少なくとも一方が、ポリエステルから形成されている実施形態1のバイオセンサ。
【0077】
18.被覆層が、試料受承区画からの空気を排出できるように配置された通気口を画成する実施形態1のバイオセンサ。
【0078】
19.基板および被覆層が、試料受承区画の周縁の少なくとも一部がレーザ溶着されている実施形態1のバイオセンサ。
【0079】
20.基板および被覆層が、基板と被覆層が互いに溶着されている位置にレーザ溶着領域を有する実施形態1のバイオセンサ。
【0080】
21.試料受承区画が、約20〜約200nLの容積を有する実施形態1のバイオセンサ。
【0081】
22.基板と、
被覆層と、
基板および被覆層と協働して、血液試料のヘマトクリット障害を低減できる大きさの微細毛管を画成する1つまたはそれを超えるレーザ溶着部と、
微細毛管区画内に配置されて血液試料を分析する試薬とを有するバイオセンサ。
【0082】
23.1つまたはそれを超えるレーザ溶着部が、被覆層を基板に直接溶着する実施形態22のバイオセンサ。
【0083】
24.基板と被覆層の間にレーザ溶着されて、微細毛管区画を画成するスペース層をさらに有する実施形態22のバイオセンサ。
【0084】
25.基板が、血液試料を分析するための1つまたはそれを超える電極を有する実施形態22のバイオセンサ。
【0085】
26.基板および被覆層の一方が、1つまたはそれを超えるレーザ溶着部においてレーザエネルギーを他方より多く吸収するようになっている実施形態22のバイオセンサ。
【0086】
27.試薬を基板に付着させることと、
基板と被覆層を互いにレーザ溶着して、バイオセンサの、試薬を収容する試料受承区画を構成することとを含む方法。
【0087】
28.試料受承区画に連通する通気口を設けることをさらに含む実施形態27の方法。
【0088】
29.基板および被覆層の一方が、透明性が他方より高く、
当該試料受承区画を構成することが、透明性が高い方を通してレーザ光線を照射することにより、透明性が高い方を通してレーザ溶着することを含む実施形態27の方法。
【0089】
30.基板がレーザ光線に対して実質上透明であり、
被覆層がレーザ光線を実質上吸収するようになっており、
当該試料受承区画を構成することが、基板を通してレーザ光線を被覆層に照射することを含む実施形態29の方法。
【0090】
31.基板および被覆層が、共通の、共に延在する縁を有するようになっていることと、
基板および被覆層の共に延在する縁に沿う、試料受承区画のための開口を設けることとをさらに含む実施形態27の方法。
【0091】
32.基板および被覆層の連続材を準備することを含み、
当該レーザ溶着することが、基板および被覆層の連続材を互いにレーザ溶着して、積層体を構成することを含み、積層体が、試薬を収容する複数の試料受承区画を備えている、
試料受承区画の各々に、基板および被覆層の少なくとも一方の縁に沿う開口を設けることとをさらに含む実施形態27の方法。
【0092】
33.当該レーザ溶着することが、
基板および被覆層の連続材が近くを通過するとき、回転式マスクを回転させることと、ここで、回転式マスクが複数のマスク開口を備えている、
マスク開口の少なくとも1つを通してレーザ光線を照射して、連続材の間にレーザ溶着部を形成することとを含む実施形態32の方法。
【0093】
34.マスク開口が前記レーザ溶着時に適切な位置に配置されるよう、基板の連続材のスピードを回転マスクと同期させることをさらに含む実施形態33の方法。
【0094】
35.連続材を複数のバイオセンサ付き試験片に分離することをさらに含む実施形態32の方法。
【0095】
36.当該レーザ溶着することが、試料受承区画の周縁をレーザ溶着することを含む実施形態27の方法。
【0096】
37.当該レーザ溶着することが、試料受承区画の周辺領域を溶着することを含む実施形態27の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは被分析物濃度を得るための体液の検査に、より具体的にはそのような検査のための試験片またはバイオセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
試験片は、検査試料中の選ばれた被分析物の存在および/または濃度を測定するためにしばしば用いられる。たとえば、種々の試験片が、糖尿病の人々の血中グルコース濃度を測定して血糖値をモニタするために用いられる。これらの試験片は、配合試薬が付着された反応区画を有する。試験片についての最新の傾向は、検査試料が少量であること、および分析時間が短いことを求める。これにより、身体の感度のより低い部位から得られる少量の血液試料を用いることができるようになり、患者は大きい恩恵を受ける。さらに、短い検査時間およびより正確な検査結果のために、患者は、彼らの血糖値をよりうまく管理することが可能になる。
【0003】
少量の試料に関連しては、試料流体の表面張力および液体がその表面積を最小にするという熱力学的傾向から生ずる現象である毛管作用により試料流体を吸引できるようにするために、非常に小さい反応区画を備える試験片を提供することが知られている。たとえば特許文献1は、毛管作用により試料液体を吸引できるよう十分に小さくされた空洞を備える試験片を開示している。空洞は、板の側部に沿って長さ方向に延在する2つのエポキシ帯片により約1mm離間された2つの平行板により画成されている。空洞は両端部が開いており、その一方は試料を受承し、他方は空気が逃げることができるようになっている。空洞は、電極構造を備え、また、試験片により実施される検査に適切な材料により被覆されている。
【0004】
その他種々の構造の試験片が、試料流体を吸引できる毛管空洞を備え、また、空気が逃げることができる通気口を有するようになっている。理解されているように、最新構造の試験片の毛管流路は、通常非常に小さく、また、検査に要する試料の量を低減するために小さくすることが継続されている。しかし毛管入口の幅が小さくなればなるほど、少量の試料を試験片の毛管に正確に位置付ける(または「狙いを付ける」)ことが困難になる。目標に狙いを付けることは、視力が衰えているおよび/または器用さが低下している人口区分についてはさらに大切であるが、それは、この区分の人々にとっては指を試験片の投与縁に正確に合わせることがより困難だからである。さらに、試料流体は、毛管に吸引されるとき不都合にもしばしばためらい、「投与ためらい」と呼ばれる現象を起こす。試験片構造の小さい毛管に付随する困難を克服することが望ましい。
【0005】
血液の一物質の濃度を測定する電気化学的方法に課される制限は、被分析物の拡散および試薬中の種々の活性成分がもたらす交絡変数の影響である。血中グルコース測定精度についての制限の例は、血液成分または(測定されている観点以外の)状態の変動を含む。たとえば、ヘマトクリット値(赤血球濃度)の変動は、血液試料についての信号生成に影響を与える。短い試験時間後に報告された血中グルコース反応の有効性には、結果が試料の他の変数またはヘマトクリットおよび温度のような障害について補正することなく用いられる場合には疑問がある。
【0006】
血液試料のヘマトクリットに関し、先行技術による方法は、たとえば、ガラス繊維フィルタにより、または血漿だけがフィルムに浸入できるよう細孔を形成できる試薬を含むフィルムを用いて、試料中の血漿から赤血球を分離するようになっている。ガラス繊維フィルタを用いて赤血球を分離することは、測定に要する血液試料の量の増大を引き起こし、それは、測定試験器の使用者の期待に反する。細孔フィルムまたは膜は、ヘマトクリットの影響の低減には部分的にしか有効ではなく、所望の精度を達成するためには、遅延時間の延長および/または特別な測定技術と組み合わせて用いなければならない。従って、ヘマトクリット障害を低減できるバイオセンサを、容易、簡単かつコスト効率のよい方法で製造できるようにすることが望ましい。
【0007】
試験片の種々の層を互いに結合するまたは封止するためには、接着剤が一般に用いられる。大量の試験片生産時の接着剤は、原材料およびとりわけ製造コストの観点の両方から大きいコストとなる。たとえば、複数の製造方法が、好ましくない影響を接着剤から受けている。例として、連続材を切断して帯片を形成するために用いられるスリッタは、接着剤の残りかすが堆積するために時間とともにネバネバになる。このために、スリッタは、定期的に止めて清掃しなければならない。この定期的な製造の中断は、生産量の減少を生ずる。従って、試験片を安価な方法で製造できるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5141868号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の観点は、基板および基板を覆う少なくとも1つの被覆層を備えるバイオセンサに関する。基板および被覆層は、協働してそれらの間に試料受承区画を画成する。試薬が、試料受承区画内に配置される。基板および被覆層は、さらに協働してバイオセンサの縁に沿う、試料受承区画の開口を構成する。基板および被覆層は、レーザ溶着されて試料受承区画を画成する。
【0010】
さらに別の観点は、基板および被覆層を含むバイオセンサに関する。基板および被覆層が協働する1つまたはそれを超えるレーザ溶着部が、血液試料のヘマトクリット障害を低減できる大きさにされた微細毛管区画を画成する。試薬が、血液試料を分析するために微細毛管区画内に配置される。
【0011】
別の観点は、試料受承区画をさらに画成するために、基板と被覆層の間に配置されたスペーサを備えるバイオセンサに関する。スペーサと基板はレーザ溶着され、また、被覆層とスペーサは、同時にまたは連続してレーザ溶着される。試薬が、試料受承区画内に配置される。
【0012】
さらに別の観点は、試薬が基板上に付着される方法に関する。基板と被覆層および任意のスペース層は、互いにレーザ溶着されて、試薬を収容する、バイオセンサの試料受承区画を構成する。
【0013】
本発明、その利点およびそこから得られた目的のより理解のために、本発明の好ましい実施形態が図示されるとともに説明されている図面および添付明細書を参照されたい。
【0014】
ここで図面を参照すると、類似の参照符号および文字が、図面全体を通して対応する構造体を指し示すようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】レーザ溶着を用いる、一実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図2】図1に示した技術に従って組み立てられた帯状バイオセンサの展開図である。
【図3】図1に示した技術による第1のレーザ溶着バイオセンサの拡大図である。
【図4】図1に示した技術による第2のレーザ溶着バイオセンサの拡大図である。
【図5A】レーザ溶着を用いる、別の実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図5B】レーザ溶着を用いる、さらに別の実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図5C】レーザ溶着を用いる、さらに別の実施形態のバイオセンサを製造する技術のフロー図である。
【図6】帯状基板材料に取り付けられようとしているスペース層を示す分解図である。
【図7A】2層バイオセンサの図ある。
【図7B】3層バイオセンサ用のレーザ溶着システムの線図である。
【図8】図7のレーザ溶着システムに用いられるドラム組立体の断面図である。
【図9】図8のドラム組立体の斜視図である。
【図10】図7のレーザ溶着システムの一変形例の正面図である。
【図11】図10のレーザ溶着システムの拡大斜視図である。
【図12】第1の3層バイオセンサの平面図である。
【図13】第2の3層バイオセンサの平面図である。
【図14】図12の第1の3層バイオセンサの分解図である。
【図15】帯状基板のロールの斜視図である。
【図16】図15の帯状基板の拡大図である。
【図17】帯状スペーサのロールの斜視図である。
【図18】図17の帯状スペーサの拡大図である。
【図19】帯状被覆層のロールの斜視図である。
【図20】図19の帯状被覆層の拡大図である。
【図21】組立時に図15の帯状基板に重ね合わされる、図17の帯状スペーサを備える積層体の平面図である。
【図22】組立時に図21の積層体に重ね合わされる、図19の帯状被覆層の平面図である。
【図23】図22の積層体のレーザ溶着領域を示す平面図である。
【図24】図23の積層体から得られた帯状バイオセンサの平面図である。
【図25】第3の3層バイオセンサの分解図である。
【図26】第3の3層バイオセンサのレーザ溶着領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本発明の原理の理解を容易にするために、ここに図示した特定の実施形態について説明するが、当説明には特定の用語が用いられる。しかし、それにより本発明の範囲の制限を意図してはいないと了解されるものとする。説明した方法または装置についての変形例およびさらなる修正例の全て、ならびに、ここに説明した本発明の原理のさらなる適用例の全ては、本発明に関連する当業者には通常想起されるものであると考慮されている。
【0017】
バイオセンサおよびそれらの製造方法は周知である。より具体的には、本発明に好適なバイオセンサおよびそれらの製造方法については、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書(2005年1月27日公開)から知ることができる。この米国特許出願公開のパラグラフ0048〜0249、および図1〜図19Cを特に参照すると、バイオセンサおよび方法は、広く本発明に好適であることが詳細に開示されている。
【0018】
米国特許出願公開第2005/0019212号明細書に開示されているバイオセンサおよび方法は、電気化学的な実施の形態に特に重点を置いて説明されているが、本発明は、電気化学システム、センサおよび方法に制限されるものではない。むしろ、本発明の方法およびバイオセンサは、当業者には周知の光学検出技術との関連においても使用可能である。
【0019】
レーザ封止技術
先の背景技術で説明したように、大量の試験片生産時の接着剤は、原材料およびとりわけ製造コストの観点の両方から大きいコストとなる。接着剤の使用に替えて、試験片の積層構造体を互いにレーザ溶着する種々の技術が以下に説明される。これらのレーザ溶着技術を用いることにより、試験片は、効率よく、また、高いコスト効率で製造できるようになる。たとえば、接着剤に係る材料費を大幅に低減する、または完全に無くすことさえできる。さらに、接着剤を使用することにより生ずる製造上の問題を軽減する、または排除することができる。先に説明したように、試験片の種々の層と構成要素を互いに接合するために接着剤を使用すると、接着剤の残りかすが、試験片の切断に用いられるスリッタに堆積する。このために、一定間隔での洗浄と保守のためにスリッタを定期的に停止させることが必要になり、そのために生産量が低下する。ここに説明したレーザ溶着技術を用いることにより、接着剤に関連する問題を非常に小さくする、または排除することさえもが可能になる。この技術についての説明の焦点はレーザ溶着により毛管流路を形成することであるが、レーザ溶着により試験片のその他の構成要素も互いに接合可能であると了解されるものとする。たとえば、以下に説明するように、試験片の層の全てを互いにレーザ溶着することにより、接着剤の使用を無くすことができる。この接着剤不使用の試験片は、たとえば、積層構造体表面の大部分または全てにレーザを照射する、もしくはその後直ぐに間隔を空けてスポット溶着を行なうことにより実現することができる。
【0020】
本発明のための、2つの積層を互いにレーザ溶着するときの基本的な原則は、所定の種類のレーザの全てについて、レーザのエネルギーを吸収しない(よってそれを通過させる)透明な(または透き通った)材料およびこのエネルギーを吸収する黒い(吸収性を有する)材料があることである。以下にさらに詳細に説明するように、「透明な」および「黒い」の用語は、材料のレーザエネルギー吸収特性のことを指しており、必ずしも透明性、不透明性またはその色を指してはいないことに留意することが重要である。これらの隣接する透明なおよび黒い材料は、化学的および物理的には本質的に同一である(たとえば、同一のまたはほぼ同一の高分子基材、等しいまたはほぼ等しい融点である)ことが望ましい。互いに2層を封止するために、レーザは、2層構造体の透明層に照射される。レーザのエネルギーは、透明層を通過し、黒い層によって吸収される。これにより黒い層は溶け、次いでその物理的反応熱により透明層が溶ける。次いで、溶融部は混ざり合って冷え、溶着部が形成される。透明層および黒い層は、化学的および/または物理的に特性が大きく異なっている場合、この混ざり合いが十分に行なわれないために、弱い、さもなければ不十分な溶着部が形成される。
【0021】
層の溶融は、一般に各々の層の厚さ全域に亘って発生するものではない。すなわち、所定のレーザエネルギーが加えられたとき、黒い層は、一般にその特定の深さだけ溶融する。しかし、2つを超える層が、互いにレーザ溶着可能であるが、それは、連続してまたは同時に実施される。例として、3層を互いにレーザ溶着して、3層構造体を形成することができる。3層構造体の場合、レーザは、外側層に対して別々に照射されるが、それは、レーザ装置と帯状積層体の構成により同時にまたは連続して実施される。たとえば、第1の透明層を中間の黒い層の第1の側にレーザ溶着し、次いで構造体を反転させて、第2の透明層を中間の黒い層の第2の側にレーザ溶着することができる。代替として、構造体のほぼ反対側に2つのレーザを配置して、第1と第2の透明層を黒い層に同時に(またはほぼ同時に)レーザ溶着することができる。このように、3層構造体の場合、両方の外側層は一般に透明であり、中間層は黒色である。
【0022】
以上の説明にも拘らず、その層の厚さが十分に小さい、またはレーザのエネルギーが十分に高い場合には、両側の透明層を同時に溶着させるために黒い層をその厚さ全体に亘って溶融させることも可能である。その場合、透明な外側層に対してレーザを1回照射してそれを黒い中間層に溶着させ、次いで、レーザの裏側の黒いまたは透明な外側層に溶着させることにより3層帯片を形成することができる。
【0023】
また、背景技術の部で説明したように、ヘマトクリット値の変動は、血液試料についての信号生成に影響を与えるために、ヘマトクリット障害を低減できるバイオセンサを容易、簡単かつコスト効率よく製造できるようにすることが望ましい。ヘマトクリットは、微細毛管による物理的分離により大きく低減できることが見出されている。微細毛管は、また、必要な試料の量を大きく減少できるが、それは消費者にとって望ましいことである。しかし、微細毛管のサイズが小さいために、製造時に高度な寸法制御が必要とされる。微細毛管は、レーザ溶着を用いることにより高生産性、低コストおよび高い精度制御のもとで形成できることが判った。レーザ溶着を用いることにより、20〜200nlの(またはそれよりさらに小さい)容積の微細毛管を効率よく、一定寸法になるよう、かつコスト効率よく形成することができる。この技術により形成された微細毛管は、試薬を親水性調整剤として作用させることにより、高価な表面処理箔を用いる必要性を無くす。一般に、これらのヘマトクリットを分離するための微細毛管は、2層構造体が試験片に用いられるときに形成される。
【0024】
原理は、赤血球が比較的大きいために、もし毛管がレーザ照射時に互いに緩く保持されている2つの層を互いに封止したとすると、毛管の高さは、流体が毛管作用により浸入するには十分な高さであるが、赤血球にとっては低過ぎて侵入できない。このために、赤血球は微細毛管流路の入口に集合する。そのような微細毛管流路に対する投与をさらに容易にするために、最上層に凹形の切欠部を形成して、帯片を、最上層投与帯片のようにして接触させるものの、反応領域は毛管流路内にあるようにしてもよい。
【0025】
図1のフロー図600は、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図5〜19に関連して説明したバイオセンサ製造技術に導入できる一実施形態によるレーザ溶着技術の一例を示す。このレーザ溶着技術は、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図5〜19に関連して説明した技術以外のその他のバイオセンサ製造工程にも導入できると了解されるものとする。たとえば、このレーザ溶着技術は、ここに説明するアブレーションによる電極、スロットダイ塗布試薬層などのような特定の実施形態に制限されるものではないと了解されるものとする。すなわち、このレーザ溶着技術は、プリント電極、塗布試薬、通気口などを備える、その他の種類の試験片に適用可能である。一般的に言って、接着剤を用いることに替え、図示した技術においては、区画被覆層240(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図12参照)を図示した技術のバイオセンサのその他の部分に固定するために、レーザ溶着が用いられる。この技術は、試験片を連続しておよび/または個別に製造するために用いられる。たとえば、この技術を用いて連続材処理法により、多量のバイオセンサを大量生産することができる。代替として、ここに説明したレーザ溶着技術により個別の試験片を製造することもできる。
【0026】
ステージ602において、電極182、配線184および接点186(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7参照)のセットが、上述の方法で形成される。一例においては、金または他の貴金属が、基板12を構成する薄くて、透明な電極支持箔の片面にスパッタまたは蒸着される。選ばれた実施形態の支持箔は、厚さ約200μmであり、また、支持箔は、たとえば透明なポリカーボネート(PC)またはポリエステル(PET)の箔である。以下に詳細に説明するが、レーザ溶着加工を容易にするために、支持箔は、レーザ溶着に用いられる種類の放射に対して透明または透き通っているが、別の実施形態において、箔は不透明または半透明であってよいと了解されるものとする。ここで、金属化表面またはフィルム170は、レーザアブレーションが施され、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7に示したように、電極182、配線184および接点186が、その他の構造体とともに形成される。再度述べるが、電極182は、他の技術を用いて形成してもよいと了解されるものとする。
【0027】
上述のように、試薬層190が親水性を有するように調合されるために、高価な表面処理被覆箔は必要ない。ステージ604(図1)において、試薬層190は付着される(必要な場合には乾燥される)。たとえば、試薬を必要とされる位置にだけ非常に正確に付着させることができる電磁ベローズ(EMB)技術が用いられる。EMB式塗布製品は、フィンランド共和国エスポーのフルイロジック(Fluilogic)OY社から市販されている。同様に、別の実施形態においては、ホーム・ダイアグノスティックス社(Home Diagnostics, Inc.)の国際公開第2007/033079号パンフレットに記載されているようなレーザプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザ式インクジェットプリンタまたはレーザアブレーション技術さえも用いることができる。レーザ溶着の場合の試薬層190は、一般に1つまたはそれを超える個別の部分を有するよう不連続に配置される。たとえば、図2に示した実施形態における試薬層190は、電極182上に付着された個別の試薬パッドまたは部分の形態である。試薬層190間には、試薬により被覆されていない不被覆部605がある。不被覆部605は、層間のレーザ溶着を容易にするために、帯状基板188と区画被覆層または連続材240の間にきれいな接触面を構成する。透明層と黒い層の間の溶着位置にある試薬は全て、吸収層または黒い層に照射されたレーザエネルギーを遮るまたはその吸収を阻止する傾向にある。このことは、結果として層間に得られた溶着部を弱くするおよび/または層間の適切な封止を阻止する傾向にある。上述の電磁ベローズ技術は、これらの個別の試薬パッド190および不被覆部605を形成するための好適な一実施形態であり、これにより、汚染を介して試薬が溶着部を弱くする危険性を最小にすることができる。微量の試薬190が部分605に僅かに存在するが、それは、レーザ溶着部の溶着強度および封止の程度に大きい影響は与えないものと考慮されている。また、部分605は、レーザ溶着を容易にするためにも色付けされているおよび/または処理されていてもよいと想定されている。たとえば、部分605は、レーザ溶着を容易にするためにレーザエネルギーを吸収するよう色付けされている、または部分605は、レーザエネルギーが通過して、たとえば、区画被覆層240のような別の面を加熱するよう透明であってもよい。帯状基板188または被覆層240が、各々透明層および黒い層であるか否かは設計上の選択肢であり、ここに添付した特許請求の範囲は、(明確に表明されている場合を除き)構成要素が透明か黒いかによって制限されるものではないと、当業者には了解されるであろう。これに関連し、特定して参照することまたは説明の全ては例示だけを目的とするものである。
【0028】
図2の展開図から判るように、スペース層(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図10の196参照)が無くされている。その代わり、区画被覆層(第2の層)240が帯状基板(第1の層)188に直接取り付けられている。区画被覆層240は一般に平面であるが、特定の実施形態においては、試料受承(微細毛管)流路24を形成するために、区画被覆層240は、ステージ606においてエンボス加工により流路凹み607が形成される。流路凹み607は、個別の試験片の電極182および試薬190と位置が合うように離間している。流路凹み607は、たとえば、引き伸ばし、折り畳みまたは区画被覆層240のその他の変形のようなエンボス加工以外の別の方法により形成できると了解されるものとする。また、流路凹み607は、流路凹み607が区画被覆層240と一体となるよう区画被覆層240の形成時に設けてもよい。流路凹み607は、別の層のような追加要素を区画被覆層240に加えて形成してもよいことも考慮されている。
【0029】
別の実施形態におけるステージ606は、流路凹み607が不必要なために任意である。たとえば、流路凹み607を有しない区画被覆層240は、区画被覆層240と基板188の間の小さい間隙が試料受承区画24を構成するよう、幾分緩く帯状基板材188に取り付けられる。2つの層は、スペーサを用いることなく、また、被覆にエンボス加工による流路を形成せずに互いにレーザ溶着される。それに替えて、層は、一般には互いに緩く重ね合わせて、レーザ溶着される。これにより、ヘマトクリット分離に用いることができる比較的薄い毛管流路が形成できる。先に説明したように、赤血球は、比較的大きいために、もしレーザ溶着時に互いに緩く保持されている2つの層を互いに封止することにより毛管を形成したとすると、毛管の高さは毛管作用により流体が浸入するには十分な高さであるが、赤血球にとっては低過ぎて侵入できない。このために、赤血球は毛管流路の入口に集合する。一形態において、区画被覆層240は、比較的大きい試料受承流路24が形成できるよう取り付け時に緩められるが、別の形態においては、試料受承区画24を比較的薄くすることにより、試料の量を小さくするとともにヘマトクリット分離を促進するために、区画被覆層240はピンと張られる。ステージ606は、図1に示した順序とは異なる順序で実施されてもよいと了解されるものとする。たとえば、ステージ606は、ステージ602と604の前に、その実施中におよび/またはその間に実施してもよい。
【0030】
ステージ608において、区画被覆層240は帯状基板材188にレーザ溶着される。先に説明したように、レーザ溶着は、高生産性、低コストおよび高い精度制御のもとで微細毛管を形成できる。一方では、微細毛管は、小さいサイズのためにヘマトクリット障害を低減することができる。
【0031】
全ての粒子または電磁放射をコヒーレントな状態で発生させる装置は、レーザと見なされると了解されるものとする。多くの場合、「レーザ」は、コヒーレントな光子、すなわち光またはその他の電磁放射の発生源を意味する。頭文字(レーザ)の励起誘導放射による光増幅の「光」という用語は、可視光線の光子に制限されるのではなく、全てのエネルギーの光子のように拡大解釈して一般に用いられる。このために、X線レーザ、赤外線レーザ、紫外線レーザなどがある。たとえば、マイクロ波同等の光学レーザは、一般に「メーザ」と呼ばれるが、ここでの考察のためには、メーザをレーザの一種であると見なしていると了解されるものとする。この技術は光学または光学近似のレーザに関連して説明されるが、別の種類のレーザが、種々の層を互いに溶着するために使用可能であると了解されるものとする。特定の一形態において、レーザ溶着に用いられるレーザは、赤外線(IR)固体レーザである。ステージ608においてレーザ溶着を実施するレーザは、CW式レーザまたはパルス式レーザである。一実施形態において、レーザ溶着機は、スイス連邦ザルネンのライスター・プロセス・テクノロジーズ社(Leister Process Technologies)が市販している種類のものであるが、他の種類のレーザ溶着機が使用可能なことは勿論である。
【0032】
レーザ溶着の考察時に種々の層の光学特性に言及するとき、光学特性は、使用レーザの種類に関係する。たとえば、層が光学的光に対して透明である(または半透明でさえ)あるが、紫外線は吸収するとき、その層は、紫外線レーザが用いられるときには吸収性を有する(または黒い)と、また、光学レーザが用いられるときには透明であるといわれる。この技術についての読者の理解を容易にするために、「黒い」の用語は、個々人が見たときに層が例え実際上黒くなく、たとえば灰色、茶色などのように別の色または光を遮蔽するときであっても、ここではレーザを吸収する層を意味するときに用いる。同様に、「透明」の用語は、ここではレーザ光線に対して透明または半透明であるために、レーザ光線が(少なくとも部分的に)層を通過できるレーザ透過層を指すためにしばしば用いる。一般に、種々の層のレーザ溶着時に、層の1つはレーザ光線を少なくとも1つの別の層より多く透過させ、少なくとも1つの別の層は、レーザエネルギーをより多く吸収する。このことは、また、1つの層は透過性を有し、別の層はレーザエネルギーを吸収するようになっている物質をまず塗布した後に層を互いに付着または溶着される、層がいずれの材料であってもよいという特定の周知のレーザ溶着技術より際立っている。例としては、ペンシルバニア州シンプソンのジェンテックス社(Gentex Corporation)が市販しているクリアウェルド(CLEARWELD process)法(登録商標)がある。しかし、当構造体においては、物質をいずれの層に塗布する必要はなく、また、ほとんどの実施形態において、これは、一般に回避対象となる材料および製造コストである。
【0033】
1つの層が黒く、別の層が光学式レーザに透明であるときのように、1つの層が別の層より吸収性が高いとき、レーザ光線は、透過(透明)層を通過して、吸収(黒い)層により吸収される。レーザ光線を吸収した結果発生した熱は、吸収層の全体または一部を溶かす。次いで、吸収層の熱は透明層を溶かす。次いで、溶融部が混ぜ合わさって冷えると、溶着部が形成される。先に説明したように、透明層および吸収層が大きく異なる化学的および/または物理的特性を有する場合には、この混ざり合いが完全に行われないために、弱い、さもなければ不十分な溶着部が形成される。
【0034】
区画被覆層240は、数多くの方法で試薬被覆層188にレーザ溶着することができる。図3を参照すると、区画被覆層240は、電極182および配線184を被覆して通気口34を構成する通気用部材610から離間している。図示したように、区画被覆層240は、試験片614の端部近くに沿う溶着線612に沿って、および試料受承区画24に沿って溶着される。上述したように、試験片614の端部は、切取線262に沿って切り取ることができるようになっており、個別の試験片614は、分離線264に沿って分離される。溶着線612は、切取り後、少なくとも部分的に試験片に付いた状態を維持することにより、試料採取中に体液が試料受承区画24をバイパスすることを阻止する。
【0035】
溶着時、レーザエネルギーは、透明な(または半透明な/透過性を有する)層を通過し、用いられたレーザ光線の吸収層により吸収され、層全体または一部を溶融する熱を発生し、これにより溶着線612を形成する。一実施形態において、被覆層240は、溶着に用いられたレーザエネルギーに対し一般に吸収性を有し、また、帯状基板188は一般に透明である。特定の一例における被覆層240は黒色(カーボンブラック0.5%)であり、連続材188は透明である。被覆層240は、一般にレーザエネルギーを吸収するが、いくつかの形態における被覆層240は、不可視光レーザ光線が用いられた場合、視覚的には透明である。被覆層240が光学的に透明な(または半透明な/透き通っている)場合、被覆層240は、完全な充填を知るための視覚化窓を構成することができる。この実施形態においては、レーザ光線は連続材側188に照射される。光線が照射されたとき、光線は帯状基板188を通過し、不透明な被覆層240は、レーザ光線のエネルギーを吸収する。レーザ光線のエネルギーを吸収して生じた熱は被覆層240および連続材188を溶かす。被覆層240および連続材188は、溶着線612に沿って両方が溶け、冷えた後に、強力で、液密の封止部を形成する。上述のように、一実施例において、流路凹み607と溶着線612は、試料受承区画24を画成できるようにするが、別の実施形態においては、流路凹み607は、任意選択できるようになっている。
【0036】
代替の実施形態において、被覆層240は一般に透明であり(透過性を有し)、帯状基板188は一般に吸収性を有する(黒い)。この実施形態におけるレーザ光線は、透明な被覆層240を通して照射され、吸収性を有する連続材188により吸収される。連続材188により吸収されたエネルギーは、連続材188と被覆層240を溶かし、溶着線612において互いに溶け合わせる。被覆層240が可視光線に対して透明であるとき、被覆層240は、視覚化窓の構成に用いることができる。
【0037】
上述した実施形態では、レーザ光線は片側に照射されるが、別に実施形態においては、レーザ光線は同時にまたは続けて両側に照射してもよい。たとえば、被覆層240と帯状基板188の両方は黒く、レーザ光線は、ほぼ対向関係にある被覆層240と帯状基板188に同時に照射される。また、種々の層は、均一な吸収性または透明性を有している必要はない。換言すると、透過性は、層の種々の場所で異なっていてよい。一例として、層の溶着させる部分だけが吸収性を有するように、その他の部分は光を反射するまたは散乱させるようにすることにより、試料受承区画24の内部のように溶着させてはならない領域の溶着が阻止されるようになっている。種々の層の全体または一部が、不透明インクを1つまたはそれを超える層に塗布するなどすることにより、レーザエネルギーを一時的にまたは恒久的に吸収するようにしてもよいと了解されるものとする。被覆層240と他の構成要素にグラフィックスを印刷またはグラフィックス付きラベルを貼付してもよいと想定されている。レーザ溶着時に、種々の領域においてレーザ溶着を阻止するまたは促進するために種々のマスキング技術を用いることもできる。
【0038】
必要に応じ、別の構成要素をレーザ溶着により取り付けてもよい。たとえば、通気用部材610はレーザ溶着により取り付けることができる。また、通気用部材610は、被覆層240を連続材188にレーザ溶着する前に、その間にまたは後に取り付けてもよい。レーザ溶着は、種々の層を取り付けるための別の方法とともに用いてもよい。たとえば、層がレーザ溶着により恒久的に取り付けられる前にその層を一時的に固定するために、接着剤を用いることもできる。組立てが終わると、試験片またはセンサ614は、上述の方法で個別に打ち抜き、包装される。代替として、センサ614は、互いに連結した状態で残して、複数回検査メータカートリッジ用のセンサテープに構成してもよい。先の実施形態同様、センサ614は、打ち抜かれる、さもなければ端部投与のために、試験片614の縁に沿って試料受承区画24の開口が設けられるように切断される。
【0039】
図4は、被覆層または箔616が、試料受承区画24から接点186近くまで延在して、電極182と配線184を覆っている代替の実施形態を示す。先の実施形態同様、被覆層616は、帯状基板層188にレーザ溶着されて、2層または2積層構造体を形成する。連続材188と被覆層616は、上述と同じ方法で色付けされていてもよい。すなわち、層は交互に透明層および吸収層となっていて、一方の層はレーザ光線を通過させるが、他方の層はレーザ光線を吸収するようになっている。図3に示したような種類の溶着線612を形成する替わりに、図4の被覆層616は、試料受承区画24を画成する溶着領域618を有する。試料受承区画24からの空気を排気するための通気口620が、被覆層616に打ち抜かれている、さもなければ設けられている。任意で、上述の種類の本体被覆234(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図12参照)が、被覆層616の上に取り付けられて、通気口を部分的に覆うことにより充填表示線を構成するようになっていてもよい。組立てが終わると、個々のセンサ622は、個別用途のために切り離して包装される、またはセンサ622は、複数回検査メータカートリッジ用のセンサテープとして連結した状態で残してもよい。
【0040】
レーザ溶着は、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図10〜13に示したような、3層(またはそれを超える層の)センサ構造にも用いることができると了解されるものとする。帯状基板188、スペース層196および被覆層240は、接着剤を用いることに替えてレーザ溶着により互いに固着される。本体被覆234のような他の構成要素も、所定位置にレーザ溶着される。図5Aのフロー図は、3層を互いにレーザ溶着して3層構造体を形成する技術を示す。ステージ626において、電極、配線および接点のセット(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7の182、184、186参照)が、上述のような方法で形成される。一例では、金が、基板(電極支持基板)を構成する薄くて透明な電極支持箔の片側に蒸着される。選ばれた実施形態の支持箔は、厚さ約200μmであり、また、支持箔は、たとえば透明なポリカーボネート(PC)またはポリエステル(PET)の箔である。ここで、金属化表面またはフィルムは、レーザアブレーションが施され、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図7に示したように(符号170、182、184、186参照)、電極、配線および接点が、その他の構造体とともに形成される。配線パターンは、プリント技術などのような別の方法により形成してもよいと了解されるものとする。
【0041】
ステージ628において、試薬層(米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図8の190参照)が、基板とスペース層の間の、レーザ溶着されるいずれの位置にも微量の試薬しか残留しないようにするために、十分な精度で決められた位置に配置されるよう、上述のような好適ないずれかの方法により連続材上の電極に付着される。一実施形態において、試薬パッドの間には、試薬により被覆されていない不被覆部605がある。試薬層190は、別の方法でも付着できると了解されるものとする。
【0042】
図6を参照して説明すると、前毛管220a、220b、220cなどを備えるスペース(第2の)層196が、ステージ630において帯状基板材188に重ね合わされて、層はレーザ溶着される。スペース層196は、一実施形態において、厚さ約100μmのPCまたはPETの箔であるが、被覆層240は、別の実施形態においては、異なる厚さおよび/または異なる種類の材料により形成されていてもよいと了解されるものとする。しかし、例えこの場合でも、種々の層は、十分な溶着部強度を確実に得るために、一般に類似の化学的および物理的特性を有する方が好都合である。一例では、スペース層196は、毛管作用により流体は浸入できる十分な高さであるが、赤血球には低過ぎて侵入できないようになっているためにヘマトクリットの分離が促進される厚さを有する。
【0043】
ステージ632において、被覆層240と本体被覆234が、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図12に示されているように、スペース層196と連続材188により構成された組立体230に重ね合わせて、そこにレーザ溶着される。一実施形態において、被覆層240は、厚さ約100μmのPCまたはPETの箔である。しかし、被覆層240は、異なる厚さおよび/または異なる材料から形成されていてもよい了解されるものとする。3つの層が互いにレーザ溶着されると、それらは、米国特許出願公開第2005/0019212号明細書の図13に示されている組立体260になる。一実施形態において、帯状基板材188と被覆層240は、一般に透明または透き通っており、スペース層196は一般に黒い(重量比0.5%)。
【0044】
試薬層190を帯状基板188に付着させるときの、画成される毛管流路の大きさの範囲内だけというとりわけ厳しい許容誤差の問題を回避するために、一実施形態において(図5Bのフロー図参照)、スペース層196を帯状基板188(配線パターンは既にそこに形成されている)に重ね合わせ、試薬層190の付着前に互いにレーザ溶着される。次いで、被覆層240をスペース層196に重ね合わせ、互いにレーザ溶着して組立体260が構成される。このように、ステージは、626、630、628、632と進行する。このように進行する、可能な連続処理式実施形態の線図については、図7Bを参照されたい。
【0045】
図5Aと図5Bにおいてレーザ溶着するとき、レーザ光線は、層を互いにレーザ溶着するために、連続材188と被覆層240に連続して照射される。しかし、別の実施形態においては、3層をほぼ同時にレーザ溶着できるようになっている(図5C参照)。このように、ステージ630a、632aにおいて、スペース層196が、(配線パターンが形成され、また、試薬層が十分正確かつ決められたパターンで配置されている)帯状基板188に重ね合わされ、また、被覆層240が、スペース層196に重ね合わされる。ステージ634において、3層は、ほぼ同時に互いにレーザ溶着される。上述のように、このことは、少なくとも2つの異なる方法で達成できる。第1の方法においては、重ね合わされた3層が、ほぼ対向関係にある両側にレーザ光線を照射する複数のレーザによりレーザ溶着される。第2の方法においては、重ね合わされた3層が、3層を一度で互いに溶着できるようになっている単一のレーザによりレーザ溶着されるが、スペース層196は、高い吸収性のまたは黒い層を含み、被覆層240の一方または他方および帯状基板188は、透過性を有するまたは透明な層を含み、層240の他方および連続材188は透明または黒色である。
【0046】
先に説明した例において、連続材188と被覆層240は透明であり、スペース層196は吸収性を有するまたは黒い層であった。しかし、異なる色の組合せを用いてもよい。一例として、連続材188は、黒色またはスペース層196より吸収性が高く、被覆層240は、一般に透明または高い透過性を有するようになっている。ステージ630においてスペース層196を連続材188に重ね合わせた後に、スペース層196は連続材188にレーザ溶着される。スペース層196の溶着後に、スペース層196は、被覆層240のレーザ溶着を容易にするために、暗色インクをスペース層196に印刷する、さもなければスペース層196を暗くすることにより透過性が低減される。この後、比較的透明性の高い被覆層240は、このように暗くされたスペース層196にレーザ溶着される。
【0047】
種々のシステムが、先に考察した溶着技術を実施するために用いられる。ここで、2層バイオセンサを形成するためのレーザ溶着システム640の例について、レーザ溶着システム640の線図である図7Aを参照しつつ、まず説明する。図7Bは、3層バイオセンサを形成するためのレーザ溶着システムの線図であるが、それについては以下により詳細に説明する。図示のように、図7Aのレーザ溶着システム640は、区画被覆層240を形成する帯状被覆層644を供給する被覆供給リール642および電極支持帯状基板層188を形成する帯状基板648を供給する基部または基板供給リール646を有する。図示した実施形態において、帯状被覆層644は、一般に黒いまたはレーザ吸収層であり、帯状基板648は、一般に透明またはレーザ透過層である。しかし、これらの連続材の特性は、反対にすることができると了解されるものとする。すなわち、別の実施形態においては、帯状被覆層644は一般に透明であり、帯状基板648は黒色であってよい。そのような場合、レーザを黒い連続材により吸収できるようにするために、レーザに対する連続材の位置は入れ替える必要があると了解されるものとする。図示した実施形態において、帯状被覆層644はいずれの種類のエンボス加工も施されていないために、形成された毛管流路は、ヘマトクリットの分離を促進できるよう非常に薄くなっているが、別の実施形態においては、帯状被覆層644はエンボス加工されていてもよい。図示した実施形態の帯状基板648は、電極および付着された試薬を有する。連続材644、648の各々に沿って、供給ブレーキまたはサーボ駆動装置650が、連続材644、648の張力および/またはスピードを制御して、それらが、レーザ溶着加工と適切な同期を維持できるようになっている。リール642、646の繰出スピードを制御するために、位置650においてブレーキに替えてサーボ駆動装置を用いた場合には、張力センサが、入力側と出力側の両方に通常必要である。リニア連続材ガイド652が、システム640内において連続材644、648を案内するために用いられる。
【0048】
2つの連続材644、648は、レーザ溶着部654で互いにレーザ溶着される。図7Aから判るように、レーザ溶着部654は、圧縮ロール656とドラム組立体658を有する。図8は、ドラム組立体658の一実施形態の断面図を示し、図9は斜視図を示す。図8を参照して説明すると、ドラム組立体658は、一般にサーボモータ660、フレキシブル継手662、マスク支軸664、ベアリングスペーサ666、マスクホイール668およびアクリルホイール670を有する。サーボモータ660は、フレキシブル継手662を介してマスク支軸664に連結されている。サーボモータ660の反対側には、マスクホイール668がマスク支軸664に装着され、また、アクリルホイール670がマスクホイール668を囲繞するようになっている。ベアリングスペーサ666のために回転自在のアクリルホイール670は、帯状基板648がドラム組立体658に当接するときの接触面を構成する。アクリルホイール670は、光学的に透明なアクリル以外のその他の材料により形成してもよいと了解されるものとする。ベアリングスペーサ666は、サーボモータ660がマスクホイール668を回転させるとき、マスク支軸664に回転支持面を構成する。図示したように、マスクホイール668は、レーザ溶着時に連続材644、648の種々の領域をマスクする一連のマスク部672を有する。マスク部の各々は、連続材644、648上のレーザ溶着領域を画成するレーザマスク開口674を有する。動作時に、レーザは、マスクホイール668の内部に配置され、レーザが、レーザ開口674を通して1つまたはそれを超えるレーザ光線を照射し、レーザ開口674の形状と同一の、連続材644、648間のレーザ溶着部が形成される。マスクホイール668を回転させることにより、連続材644、648を高速で互いにレーザ溶着することが可能になる。図示した実施形態において、レーザ開口674は、マスクホイール668に設けられた物理的開口であるが、別の実施形態においては、レーザ開口674は、光学的に透明な領域の形態であってもよい。図示した実施形態において、レーザ開口は、バイオセンサの毛管流路を囲繞するレーザ溶着部と概ね合致させるためにU字形になっている。別の実施形態においては、レーザ開口は、所望のレーザ溶着形状に応じて異なる形に形成してもよいと了解されるものとする。
【0049】
図7Aを再度参照して説明すると、高速レーザセンサ676が、帯状基板648に沿った、レーザ溶着部654直前の位置に配置されている。高速レーザセンサ676は、帯状基板648上の電極の位置を視覚化することにより、スピードを計測するおよび/または帯状基板648の相対位置を判定する。電極(または他の構成要素)の位置および/またはスピードは、帯状基板648上のターゲットマークを介して間接的に検出されると了解されるものとする。レーザセンサ676を用いることにより、ドラム組立体658のサーボモータ660は、マスクホイール668の回転を帯状基板648の動きと同期させることが可能になる。マスクホイール668の回転を同期させることができるというこの能力のために、溶着時に、誤って違う領域を溶着することがないよう、レーザ開口674を確実に帯状基板648上の適切な位置に配置することが可能になる。可能であれば、レーザセンサ676は、帯状基板648伸長の影響を最小にするために、ドラム組立体658に近接して配置する必要がある。特定の一例において、レーザセンサ676は、測光センサのアロマット(Aromat)UZF321(パナソニック電工(株))であるが、別の種類のセンサも使用可能であると了解されるものとする。
【0050】
レーザ溶着部654において、連続材644、648は、圧縮ロ−ル656とドラム組立体658により圧縮される。マスクホイール668内部のレーザは、レーザ光線を互いに圧縮された連続材644、648に向けて照射する。レーザ光線は、それらが回転して所定の位置にあるときレーザ開口674を通過するが、マスクホイール668は、連続材644、648の残りの部分をマスクしてレーザ光線を遮る。帯状基板648が透明な場合、レーザ開口からのレーザ光線は、帯状基板648を通過して、黒い(または吸収性を有する)帯状被覆644により吸収される。その結果得られる熱が連続材644、648を溶かして、混ぜ合わせ、帯状溶着バイオセンサ678を形成する。レーザ溶着部654の下流に配置された検査カメラ680が、帯状バイオセンサ678の欠陥の有無を検査するとともに、プロセス制御を支える。一形態において、検査カメラ680は、電荷結合素子(CCD)カメラであるが、それは、異なる種類の検査装置であってもよい。レーザ溶着部654下流の主サーボ駆動装置682は、連続材のスピードを概ね一定に保持し、また、帯状溶着バイオセンサ678は、巻戻リール684に巻き取られる。レーザ溶着システム640のサーボ駆動装置およびその他のモータは、ロックウェル・オートメーション(アレン・ブラドリー)(Rockwell Automation(Allen-Bradley))のような種々の供給源から入手可能である。
【0051】
図10は、先に図7Aを参照して説明したレーザ溶着システム640の一変形例の正面図である。図11は、レーザ溶着部654の拡大斜視図である。上述のように、レーザ溶着システム640は、被覆供給リール642、基板供給リール646、供給サーボ駆動装置650、圧縮ロール656とドラム組立体658を備えるレーザ溶着部654、主サーボ駆動装置682および巻戻リール684を有する。図10は、ドラム組立体658内部に配置されたレーザ光線発生のためのレーザ発生器686およびレーザ発生器686に連結してレーザ発生器686の相対位置を調節するためのレーザ調節機構をさらに示す。また、図10は、レーザ発生器に作動的に連結されている制御/電源システム690およびシステムのその他の構成要素を示す。これらの制御/電源システム690は、レーザ発生器686のようなシステム構成要素に電力を供給し、制御するために用いられる。圧縮ロール656を作動させるために、圧縮ロール駆動装置692が圧縮ロール656に取り付けられている。供給ローラ694と排出ローラ696は、連続材をピンと張ってレーザ溶着部を通過できるよう案内するために、ドラム658と三角形を形成するように配置されている。図10のシステムにおけるレーザ溶着加工は、上述と概ね同じ方法で行なわれる。
【0052】
図7Bは、類似の技術、原理およびシステムを用いて3層バイオセンサを製造するためのレーザ溶着法を示す。図7Bのレーザ溶着システム698は、図7Aのレーザ溶着システムと同じ構成要素を数多く備える。簡潔かつ明確にするために、これらの共通要素については以下に詳細な説明は行なわないが、それらについては上述を参照されたい。図7Bに示されている、興味ある1つの追加要素は、上述の個別供給の場合に求められるのと同じ方法で試薬を供給するために用いられる試薬ディスペンサ699である。
【0053】
図12は、上述のレーザ溶着技術を用いて製造できる、第1の実施形態としての3層バイオセンサまたは試験片700の平面図であり、また、図13は、上述のレーザ溶着技術を用いて同様に製造できる、第2の実施形態としての3層バイオセンサまたは試験片702を示す。図示のように、両バイオセンサ700、702は、電極構造を除き、同様の構造を有する。図12のバイオセンサ700は、試料または毛管区画706の側面を貫通する電極704を有するが、図13のバイオセンサ702の電極708は、試料区画706の端面を貫通している。両方の種類のバイオセンサ700、702は、同様の方法で互いにレーザ溶着される。簡潔かつ明確にするために,これらの3層バイオセンサをレーザ溶着する技術については、図12のバイオセンサ700を参照して説明するが、そのレーザ溶着技術は、図12のバイオセンサ702の製造に容易に適用可能である。
【0054】
図14は、透明な基板710、透明な最上基板または被覆層712および黒い毛管基板またはスペース層714を備える第1の3層バイオセンサ700の展開図である。再度述べるが、種々の透明および黒い層は、別の実施形態においては異なっていてもよいと了解されるものとする。基板710は電極704を有しており、電極704は、試料区画706において、少なくとも部分的に試薬により覆われている。スペース層714は、基板710および被覆層712とともに試料区画706を構成する開口716を有する。
【0055】
先に軽く述べたように、バイオセンサ700の種々の層は、バイオセンサを連続加工により製造できるよう、一般にロール状でまたはリールに巻いて供給される。図15は、図16に拡大図が示されている、複数の基板710を含む帯状基板720の、そのようなロール718の1つの斜視図である。図19は、図20に拡大図が示されている、帯状被覆層730を供給するロール728の斜視図である。図17のロール722は、バイオセンサ700のスペース層714を形成する帯状スペーサ724を供給する。帯状スペーサ724の拡大図である図18を参照して説明すると、最終的にスペーサ開口716を構成することになる複数の試料空洞開口726が帯状スペーサ724に画成されている。しかし、試料区画706用の開口726が電極704上の求められる位置に間違いなく適切に配置されるようにするために、開口726を帯状スペーサ724に前もって形成する替わりに、帯状スペーサ724を帯状基板720に重ね合わせる直前に形成してもよいことは了解されるであろう。図7Bを参照して説明すると、打ち抜きまたは切断装置(図示せず)が、リニア連続材ガイド652とサーボ駆動装置650に近接する帯状スペーサ724の周囲に配置されている。ドラム組立体658のセンサは、切断装置による開口726の打ち抜き/切断速度を制御するコントローラにフィードバックを伝達するようになっている。そのようなセンサは、たとえば、連続材720の隣接するバイオセンサに含まれる電極704間の実際の距離を測定して、コントローラに対して開口726を形成する適切な位置を指示することができる。了解されているように、これは、本発明の3層の実施形態を製造する連続材の全てを、間違いなく適切に同期させるための追加的な手段である。
【0056】
図21を参照して説明すると、帯状スペーサ724は、試薬とともに作用電極、対極および/または基準電極を搭載する帯状基板720の端部を覆うように配置されている。帯状スペーサ724は、試料空洞開口が適切な電極および試薬に対して位置が合うことにより試料空洞706が形成されるよう、帯状基板720と位置合わせが行なわれている。図22を参照して説明すると、帯状被覆層730は、試料空洞開口726から僅かに位置がずれるように配置されて、流体が採取されるとき空気を試料空洞706から排出するために用いられる通気口732を構成する。図示した実施形態において、帯状基板720と帯状被覆層730は両方とも透明であるが、帯状スペーサ724は黒色である。レーザ溶着時に、レーザ光線は、透明な基板720と帯状被覆材730を通過し、レーザ光線は、黒い帯状スペーサ724に吸収される。その結果得られる熱が、連続材を溶かして、混ぜ合わせる。図23は、試料区画706を囲繞するU字形のレーザ封止領域734の平面図である。再度述べるが、帯状基板720および帯状被覆層730の帯状スペーサ724に対するレーザ封止は、同時にまたは連続して起こると了解されるものとする。余剰の連続材を切断線736に沿って切り離すことにより帯状バイオセンサ700が得られるが、それは図24に示されている。
【0057】
図25は、以下に説明する数少なく、小さい例外を除き、上述した技術と同様の方法で互いにレーザ溶着された別の実施形態のバイオセンサ740の透視図である。前例同様、バイオセンサ740は、基板742、被覆層712および試料区画706を構成するスペース層714を有する。図示のように、基板742は、先に説明したものとは僅かに異なる電極構造744を有する。図26を参照して説明すると、先の実施形態同様、スペース層714を構成する黒い帯状スペーサ724および被覆層712を構成する透明な帯状被覆層730は、基板742を構成する帯状基板746を横断するように積層されている。帯状基板746、帯状スペーサ724および帯状被覆層730の端縁は、図26に各々線748、750、752により示されている。余剰な連続材を切断線754で除去すると、試料区画706の開口ができる。図23の溶着パターン734と比較したときの、1つの顕著な差異は、図26のバイオセンサ740は異なっていることである。図示のように、図26の溶着パターン756は連続して延在している。
【0058】
以上、本発明の原理を具体化する好ましい実施形態について開示したが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではない。それよりも、本出願は、本発明が属する分野の当業者には周知または慣行として想起される、本発明からのそのような逸脱を包含することを意図するものであり、それらは、添付特許請求の範囲内に限定される。
【0059】
以下は、本発明の好ましい実施形態のリストである。
【0060】
1.基板と、
基板を覆う少なくとも1つの被覆層と、ここで、基板および被覆層は協働して試料受承区画を画成し、
基板と被覆層の一方が、他方より透過性が高い、
試料受承区画内に配置された試薬と、
基板および被覆層が、その間の縁に沿う、試料受承区画の開口を構成する、
基板を被覆層に結合して、試料受承区画を構成するための少なくとも1つのレーザ溶着部とを有するバイオセンサ。
【0061】
2.基板上に形成された電極をさらに有する実施形態1のバイオセンサ。
【0062】
3.電極が、レーザアブレーションにより形成された電極である実施形態2のバイオセンサ。
【0063】
4.透過性が低い方が黒色である実施形態1のバイオセンサ。
【0064】
5.透過性が高い方が実質上透明である実施形態1のバイオセンサ。
【0065】
6.基板が実質上透明であり、被覆層が実質上黒色である実施形態1のバイオセンサ。
【0066】
7.基板が実質上黒色であり、被覆層が実質上透明である実施形態1のバイオセンサ。
【0067】
8.基板上のスペース層をさらに有し、被覆層がスペース層を覆っており、少なくとも1つのレーザ溶着部が、基板をスペース層に結合する少なくとも1つのレーザ溶着部およびスペース層を被覆層に結合する少なくとも1つのレーザ溶着部を有し、そのようにして結合された基板、スペース層および被覆層が、試料受承区画を構成する実施形態1のバイオセンサ。
【0068】
9.被覆層および基板が、スペース層より透過性が高い実施形態8のバイオセンサ。
【0069】
10.基板が実質上透明であり、
スペース層が黒色であり、
被覆層が実質上透明である実施形態9のバイオセンサ。
【0070】
11.基板と被覆層の間にレーザ溶着されて、試料受承区画を画成するスペース層をさらに有する実施形態1のバイオセンサ。
【0071】
12.スペース層に取り付けられた本体被覆をさらに有し、
本体被覆が、被覆層から離間して、試料受承区画からの空気を排出するための通気口を画成する実施形態11のバイオセンサ。
【0072】
13.本体被覆が、スペース層にレーザ溶着されている実施形態12のバイオセンサ。
【0073】
14.試薬が親水性を有する実施形態1のバイオセンサ。
【0074】
15.少なくとも被覆層が、試料受承区画を構成するための流路凹みを有する実施形態1のバイオセンサ。
【0075】
16.基板および被覆層の少なくとも一方が、ポリカーボネートから形成されている実施形態1のバイオセンサ。
【0076】
17.基板および被覆層の少なくとも一方が、ポリエステルから形成されている実施形態1のバイオセンサ。
【0077】
18.被覆層が、試料受承区画からの空気を排出できるように配置された通気口を画成する実施形態1のバイオセンサ。
【0078】
19.基板および被覆層が、試料受承区画の周縁の少なくとも一部がレーザ溶着されている実施形態1のバイオセンサ。
【0079】
20.基板および被覆層が、基板と被覆層が互いに溶着されている位置にレーザ溶着領域を有する実施形態1のバイオセンサ。
【0080】
21.試料受承区画が、約20〜約200nLの容積を有する実施形態1のバイオセンサ。
【0081】
22.基板と、
被覆層と、
基板および被覆層と協働して、血液試料のヘマトクリット障害を低減できる大きさの微細毛管を画成する1つまたはそれを超えるレーザ溶着部と、
微細毛管区画内に配置されて血液試料を分析する試薬とを有するバイオセンサ。
【0082】
23.1つまたはそれを超えるレーザ溶着部が、被覆層を基板に直接溶着する実施形態22のバイオセンサ。
【0083】
24.基板と被覆層の間にレーザ溶着されて、微細毛管区画を画成するスペース層をさらに有する実施形態22のバイオセンサ。
【0084】
25.基板が、血液試料を分析するための1つまたはそれを超える電極を有する実施形態22のバイオセンサ。
【0085】
26.基板および被覆層の一方が、1つまたはそれを超えるレーザ溶着部においてレーザエネルギーを他方より多く吸収するようになっている実施形態22のバイオセンサ。
【0086】
27.試薬を基板に付着させることと、
基板と被覆層を互いにレーザ溶着して、バイオセンサの、試薬を収容する試料受承区画を構成することとを含む方法。
【0087】
28.試料受承区画に連通する通気口を設けることをさらに含む実施形態27の方法。
【0088】
29.基板および被覆層の一方が、透明性が他方より高く、
当該試料受承区画を構成することが、透明性が高い方を通してレーザ光線を照射することにより、透明性が高い方を通してレーザ溶着することを含む実施形態27の方法。
【0089】
30.基板がレーザ光線に対して実質上透明であり、
被覆層がレーザ光線を実質上吸収するようになっており、
当該試料受承区画を構成することが、基板を通してレーザ光線を被覆層に照射することを含む実施形態29の方法。
【0090】
31.基板および被覆層が、共通の、共に延在する縁を有するようになっていることと、
基板および被覆層の共に延在する縁に沿う、試料受承区画のための開口を設けることとをさらに含む実施形態27の方法。
【0091】
32.基板および被覆層の連続材を準備することを含み、
当該レーザ溶着することが、基板および被覆層の連続材を互いにレーザ溶着して、積層体を構成することを含み、積層体が、試薬を収容する複数の試料受承区画を備えている、
試料受承区画の各々に、基板および被覆層の少なくとも一方の縁に沿う開口を設けることとをさらに含む実施形態27の方法。
【0092】
33.当該レーザ溶着することが、
基板および被覆層の連続材が近くを通過するとき、回転式マスクを回転させることと、ここで、回転式マスクが複数のマスク開口を備えている、
マスク開口の少なくとも1つを通してレーザ光線を照射して、連続材の間にレーザ溶着部を形成することとを含む実施形態32の方法。
【0093】
34.マスク開口が前記レーザ溶着時に適切な位置に配置されるよう、基板の連続材のスピードを回転マスクと同期させることをさらに含む実施形態33の方法。
【0094】
35.連続材を複数のバイオセンサ付き試験片に分離することをさらに含む実施形態32の方法。
【0095】
36.当該レーザ溶着することが、試料受承区画の周縁をレーザ溶着することを含む実施形態27の方法。
【0096】
37.当該レーザ溶着することが、試料受承区画の周辺領域を溶着することを含む実施形態27の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサであって、
該バイオセンサが、
基板と、
該基板上に形成された電極と、
前記基板と協働して試料受承区画を画成する、前記基板を覆う少なくとも1つの被覆層と、
前記試料受承区画内に配置された試薬と、
前記基板を前記被覆層に結合する少なくとも1つのレーザ溶着部とを有し、
前記基板と前記被覆層の一方が他方より透過性が高く、
前記基板および前記被覆層が、その間の縁に沿う、前記試料受承区画の開口を構成し、
前記少なくとも1つのレーザ溶着部が前記試料受承区画を形成することを特徴とするバイオセンサ。
【請求項2】
少なくとも前記被覆層が、前記試料受承区画を構成するための流路凹みを有することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記基板および前記被覆層が、前記試料受承区画の周縁の少なくとも一部がレーザ溶着されていることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記試料受承区画が、20〜200nLの容積を有することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記試料受承区画が、血液試料のヘマトクリット障害を低減できる大きさの微細毛管区画であるとともに、前記微細毛管区画内に配置されて前記血液試料を分析する試薬を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項6】
前記基板および前記被覆層の一方が、前記1つまたはそれを超えるレーザ溶着部において、レーザエネルギーを他方より多く吸収するようになっていることを特徴とする請求項5記載のバイオセンサ。
【請求項7】
試薬を基板に付着させることと、
前記基板と被覆層を互いにレーザ溶着することとを含む方法であって、レーザ溶着部が、バイオセンサの、試薬を収容する試料受承区画を形成し、
前記方法が、さらに、
前記基板および前記被覆層の連続材を準備することであって、前記レーザ溶着することが、前記基板および前記被覆層の前記連続材を互いにレーザ溶着して、積層体を構成することを含み、前記積層体が、試薬を収容する複数の試料受承区画を備えている、前記準備することと、
前記試料受承区画の各々に、前記基板および前記被覆層の少なくとも一方の縁に沿う開口を設けることとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記基板と前記被覆層の一方が、透明性が他方より高いことと、
前記試料受承区画を前記構成することが、透明性が高い方を通してレーザ光線を照射することにより、前記透明性が高い方を通してレーザ溶着することを含むこととを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記レーザ溶着することと、
前記基板および前記被覆層の前記連続材が近くを通過するとき、回転式マスクを回転させることを含み、前記回転式マスクが複数のマスク開口を備えている、
前記マスク開口の少なくとも1つを通してレーザ光線を照射して、前記連続材の間にレーザ溶着部を形成することとを含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記レーザ溶着することが、前記試料受承区画の周縁をレーザ溶着することまたは前記試料受承区画の周辺領域を溶着することを含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項1】
バイオセンサであって、
該バイオセンサが、
基板と、
該基板上に形成された電極と、
前記基板と協働して試料受承区画を画成する、前記基板を覆う少なくとも1つの被覆層と、
前記試料受承区画内に配置された試薬と、
前記基板を前記被覆層に結合する少なくとも1つのレーザ溶着部とを有し、
前記基板と前記被覆層の一方が他方より透過性が高く、
前記基板および前記被覆層が、その間の縁に沿う、前記試料受承区画の開口を構成し、
前記少なくとも1つのレーザ溶着部が前記試料受承区画を形成することを特徴とするバイオセンサ。
【請求項2】
少なくとも前記被覆層が、前記試料受承区画を構成するための流路凹みを有することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記基板および前記被覆層が、前記試料受承区画の周縁の少なくとも一部がレーザ溶着されていることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記試料受承区画が、20〜200nLの容積を有することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記試料受承区画が、血液試料のヘマトクリット障害を低減できる大きさの微細毛管区画であるとともに、前記微細毛管区画内に配置されて前記血液試料を分析する試薬を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項6】
前記基板および前記被覆層の一方が、前記1つまたはそれを超えるレーザ溶着部において、レーザエネルギーを他方より多く吸収するようになっていることを特徴とする請求項5記載のバイオセンサ。
【請求項7】
試薬を基板に付着させることと、
前記基板と被覆層を互いにレーザ溶着することとを含む方法であって、レーザ溶着部が、バイオセンサの、試薬を収容する試料受承区画を形成し、
前記方法が、さらに、
前記基板および前記被覆層の連続材を準備することであって、前記レーザ溶着することが、前記基板および前記被覆層の前記連続材を互いにレーザ溶着して、積層体を構成することを含み、前記積層体が、試薬を収容する複数の試料受承区画を備えている、前記準備することと、
前記試料受承区画の各々に、前記基板および前記被覆層の少なくとも一方の縁に沿う開口を設けることとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記基板と前記被覆層の一方が、透明性が他方より高いことと、
前記試料受承区画を前記構成することが、透明性が高い方を通してレーザ光線を照射することにより、前記透明性が高い方を通してレーザ溶着することを含むこととを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記レーザ溶着することと、
前記基板および前記被覆層の前記連続材が近くを通過するとき、回転式マスクを回転させることを含み、前記回転式マスクが複数のマスク開口を備えている、
前記マスク開口の少なくとも1つを通してレーザ光線を照射して、前記連続材の間にレーザ溶着部を形成することとを含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記レーザ溶着することが、前記試料受承区画の周縁をレーザ溶着することまたは前記試料受承区画の周辺領域を溶着することを含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
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【図10】
【図11】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−208135(P2012−208135A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173148(P2012−173148)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2010−513777(P2010−513777)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2010−513777(P2010−513777)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
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