説明

レーザ発振装置

【課題】本発明は、送風機や熱交換器を配置するレーザガスの循環路を削減できるレーザ発振装置を提供することを目的とする。
【解決手段】レーザガス2を内部に配置した放電管1を備え、放電管1の中心軸に対して略直角方向に放電管1を振動させる振動手段13と、放電管1の外周の少なくとも一部を覆うように冷却部として設けた冷媒通路14を有することにより、放電管1内に拡散したレーザガス2の分子を冷媒通路14で効率よく冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザガスを内部に配置した放電管を備えたレーザ発振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザガスを内部に配置し、このレーザガスへ放電して励起させる従来のガスレーザ発振装置について、図3を用いて説明する。
【0003】
図3に示すように、放電管101の内部にはレーザガス102を流しており、このレーザガス102に放電を行う電極103を放電管101の内部に配置し、この電極103を電源104に接続して電極103を通じて放電を行うようにしている。
【0004】
そして、放電管101の両端方向に部分反射鏡105と全反射鏡106を配置して、放電されたレーザガス102からの励起光を部分反射鏡105と全反射鏡106による光共振器でレーザ発振し、部分反射鏡105からレーザ光107として射出するようにしている。
【0005】
なお、レーザガス102は送風機108で放電管101内部を約100m/sec程度の速度で流すとともに、レーザガスの循環路を循環するようにしており、放電により温度が上昇したレーザガス102を放電管101から循環路に出して熱交換器109で冷却し、送風機108で圧縮されて温度が上昇したレーザガス102を熱交換器110で冷却して放電管101に供給するようにしている。
【0006】
なお、部分反射鏡105や全反射鏡106はフランジ111で保持し、これらフランジ111は連結棒112で並行に保つように保持している。
【0007】
また、フランジ111はジョイント113を介してベース114で保持するように構成し、また、放電管101を保持する支持部115をベース114に接続して、レーザ発振装置を保持する構成としていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−315672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように従来のレーザ発振装置におけるレーザガスの循環は、送風機108を用い、その冷却もレーザガスの循環路に配置した熱交換器109、110を用いることが一般的であり、装置が大きくなるとともにコストがかかるという課題があった。
【0010】
一方、これら送風機や熱交換器を用いずにレーザガスを内部に封じて、熱による自然対流でレーザガスを循環させる構造のものもあったが、レーザガスの冷却効率の面で問題があった。
【0011】
本発明は、これらの課題を解決するもので、送風機や熱交換器を配置するレーザガスの循環路を削減できるレーザ発振装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、レーザガスを内部に配置した放電管を備え、前記放電管の中心軸に対して略直角方向に前記放電管を振動させる振動手段と、前記放電管の外周の少なくとも一部を覆うように設けた冷却部を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記構成により、放電管がその中心軸に対して略直角方向、すなわち中心方向に振動するため放電管の内部に配置したレーザガスの分子が放電管の壁面に衝突し、その結果、放電管全体へレーザガスの分子が拡散する。
【0014】
そして、本発明のレーザ発振器装置は、放電管の外周の少なくとも一部を覆うように冷却部を設けていることにより、放電管全体へ拡散したレーザガスが放電管の壁面近傍で冷却されるので、自然対流に比べてレーザガス全体を効率よく冷却することができるので、装置全体の小型化やコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ発振装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態2におけるレーザ発振装置の概略構成図
【図3】従来のレーザ発振装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるレーザ発振装置について図1を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、実施の形態1におけるレーザ発振装置は、誘電体からなる放電管1の内部にレーザガス2を配置しており、このレーザガス2に放電を行う電極3を放電管1の内部に配置し、この電極3を電源4に接続して電極3を通じて放電を行うようにしている。
【0018】
そして、放電管1の両端方向に部分反射鏡5と全反射鏡6を配置して、放電されたレーザガスからの励起光を部分反射鏡5と全反射鏡6による光共振器でレーザ発振し、部分反射鏡5からレーザ光7として射出するようにしている。
【0019】
なお、部分反射鏡5や全反射鏡6はフランジ8で保持しており、これらフランジ8を連結棒9で並行に保つように保持している。
【0020】
また、フランジ8はジョイント10を介してベース11で保持するように構成し、また、放電管1を保持する支持部12をベース11に接続して、レーザ発振装置を保持している。
【0021】
そして、放電管1は封じ切り構造とし、支持部12と放電管1の間に、放電管1の中心軸(図中一点鎖線)に対して略直角方向、すなわち放電管1の中心方向に振動する振動手段13と、この振動手段13に接続した冷却部とする冷媒通路14を配置して放電管1を振動手段13で振動させるようにしている。
【0022】
また、冷媒通路14には冷媒を循環するクーラー15を接続していて、その接続部分は樹脂性で可撓性を有する接続材を用いる。
【0023】
なお、放電管1のフランジ8の接続部分にはOリングでシールしており、更にその接続部分の近傍に蛇腹部16を設けて放電管1の振動がフランジ8を介して部分反射鏡5や全反射鏡6に伝わらないようにしている。
【0024】
この振動手段13による放電管1の振動幅はレーザ光7の中心位置が実質的にぶれない幅にしている。
【0025】
このように、振動手段13により放電管1が中心方向に振動する。このとき放電管1の内部に配置したレーザガス2の分子は放電管1の壁面に衝突する。そのため放電管1全体へレーザガス2の分子が拡散する。放電管1には冷媒通路14を設けているので放電管1の壁面近傍に位置するレーザガス2は冷却され、上述したように放電管1の振動により放電管1全体へレーザガス2の分子が拡散するので、自然対流に比べてレーザガス全体を効率よく冷却することができる。
【0026】
本実施の形態1では冷却部として冷媒通路14を用いたので、クーラー15と接続する必要があり、若干装置の大きさが大きくなるが、従来の送風機と2つの熱交換器を用いるものに比べて小型化できる。
【0027】
なお、冷却部として冷媒通路の代わりにペルチェ素子を用い、放電管1の外壁に貼り付けた場合、クーラー15を削減でき、更に小型化することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2におけるレーザ発振装置について図2を用いて説明する。
【0028】
なお、本実施の形態2において、上述した実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
本実施の形態2の特徴とする点は、パイレックス(登録商標)ガラスなどの誘電体で放電管1を構成し、この放電管1の管壁内に冷媒通路14を設けたことである。
【0030】
この構成により、レーザガス2の分子が冷媒通路14に直接衝突するので上述した実施の形態1に比べてより効率よく冷却することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のレーザ発振装置は、送風機や熱交換器を配置するレーザガスの循環路を削減でき、装置の小型化やコストダウンを図れるレーザ発振装置として有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 放電管
2 レーザガス
3 電極
4 電源
5 部分反射鏡
6 全反射鏡
7 レーザ光
8 フランジ
9 連結棒
10 ジョイント
11 ベース
12 支持部
13 振動手段
14 冷媒通路
15 クーラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザガスを内部に配置した放電管を備え、前記放電管の中心軸に対して略直角方向に前記放電管を振動させる振動手段と、前記放電管の外周の少なくとも一部を覆うように設けた冷却部を有するレーザ発振装置。
【請求項2】
前記冷却部を、前記放電管を構成する管壁内に設けた冷媒通路で構成した請求項1記載のレーザ発振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−119423(P2011−119423A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275129(P2009−275129)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】