レールマウント式門型クレーンの片ターンテーブルによるブロック移動方法及び装置
【課題】
RMT1のブロック間移動を短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用を実現する。
【解決手段】
ブロック30の端部に回転可能に設置したターンテーブル60上に片側の脚部の車輪11を停止させ、もう片方の脚部の車輪11を駆動することで、前記ターンテーブル60を中心として、円弧状の旋回レール62上を自力移動し、複数のブロック30端部を結ぶブロック間移動用レール上に移動し、移動先ブロックにつながる任意の前記旋回レール62を経由して、目的のブロック30に移動する。
RMT1のブロック間移動を短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用を実現する。
【解決手段】
ブロック30の端部に回転可能に設置したターンテーブル60上に片側の脚部の車輪11を停止させ、もう片方の脚部の車輪11を駆動することで、前記ターンテーブル60を中心として、円弧状の旋回レール62上を自力移動し、複数のブロック30端部を結ぶブロック間移動用レール上に移動し、移動先ブロックにつながる任意の前記旋回レール62を経由して、目的のブロック30に移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば港湾等のコンテナヤード内において、コンテナの運搬を行うレールマウント式門型クレーン及びコンテナヤード内の設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾等のコンテナヤードでは、クレーンによって船舶及びトレーラ間の、コンテナの積み下ろしを行っている。図8にコンテナヤード15の概観を示す。
【0003】
コンテナ船等の船舶16によって運搬された20ftあるいは40ftコンテナ等のコンテナ31は、岸壁に設置されたコンテナクレーン17によって荷揚げされ、コンテナヤード15内を走行するトレーラ32に搭載される。トレーラ32に搭載されたコンテナ31は、レール13とコンテナ31を載置する場所であるコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に門型クレーン1によって複数列に整然と並べられ、荷揚げを完了する。これらのコンテナ31は他の船舶16に再び積まれたり、トレーラ32により他の場所へ運搬されたりする。同様のコンテナヤードを内陸地における貨物のターミナルとして利用することもある。
【0004】
ここで、使用されている門型クレーン1は大きく分けて、タイヤにより移動するもの(以下、RTT)と、レール及び車輪の組み合わせで移動するレールマウント式門型クレーン(以下、RMT)がある。RTTはヤード15内を自在に移動することが可能であるが、クレーン自重が増加すると、それを支えるためのタイヤの個数を多くする必要があり、さらに自重が大きい場合は、タイヤでは支えきれなくなるため、レール式のRMTが採用される。
【0005】
また、RMTは、ヤード15内に敷設されたレール13上を移動することで、走行方向が規定され、位置決めが容易となり、吊荷移動の際は荷揺が少ない安定した運搬を実現している。さらに、レール13に沿って移動するため、RMTの側面図である図10に示すケーブルリール20等で給電することが可能となるため、エンジンを搭載したクレーンに比べメンテナンス性が高く、排気ガス等も発生しないため環境性能も高い。
【0006】
他方、RMTは、コンテナヤード15において荷役作業の高効率化や作業の平準化を図るために、例えば図8に示した第1ブロック21(荷役ブロック30)の荷役作業量が少なく、第2ブロック22(荷役ブロック30)の作業量が多い場合に、第1ブロック21のクレーンC1を第2ブロック22に移動させるという要求があり、また、故障時の対策としてRMTをブロック間(例えば第1ブロック21と第2ブロック22)で移動させるという要求があるが、RMTはブロック間を移動する手段を持たないため、あらかじめひとつのブロックに複数のクレーンを配置しておくことで対応しなくてはならず、設備的に無駄が大きく、非効率であるという問題を抱えている。これに対して、RMTのブロック間移動を行うための発明がなされてきた(例えば特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載の発明によれば、RMTのブロック間移動を実現するために、図7に示すように、各ブロック(例えば第1ブロック21、第2ブロック22)に対して垂直に交わる方向に、ブロック間移動用レール33を敷設し、RMT37のブロック間移動を実現している。
【0008】
この時、荷役作業用ブロック端部38に移動したRMT37は、前記RMT37下部に
設置されたジャッキ36によりジャッキアップすることで、車輪11にかかる荷重を抜き、RMT37と車輪11の間に設置された図示しない旋回装置を作動させ、車輪11を90度回転させる。その後、車輪11がブロック間移動用レール33に乗るように、ジャッキアップしたRMT37を降ろすことで、RMT37の方向は変えずに車輪11のみブロック間移動用レール33の方向に回転させ、ブロック間移動用レール33上を移動するよう構成されている。
【特許文献1】特開2004−175515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の記載の方法においては、図7に示すようにRMT37をジャッキアップし、車輪11を旋回させた後、ブロック間移動用レール33を走行し、移動先であるブロックを走行するため再びジャッキアップ及び車輪11の旋回を行うため、ブロック間の移動に時間及び手間がかかるので、RMT37のブロック間移動を容易かつ機動的に行うことは困難である。
【0010】
また、RMT37をジャッキアップするジャッキ36や、車輪11を旋回させるための旋回装置等の機構が必要となり、旋回時にジャッキ36には重量物であるRMT37の重量が常にかかるため、不具合が生じやすくなり、そのためメンテナンス性が低いという問題がある。特に、多忙な港湾で使用される場合は、大きな負荷の加わる機構が潮風の影響を受け、劣化が激しくなり故障の発生頻度が高くなる。
【0011】
更に、図7に示すようにレール13に直角の切断部25が存在し、このレール切断部25をクレーンの車輪11が通過する際、レール切断部25の角で車輪11と接触する部分の摩耗が激しくなり、レール13及びブロック間移動用レール33の交換回数が増加してしまう。
【0012】
特に近年、港湾等のコンテナヤード15は24時間フル稼働となる場合も多く、RMT37のメンテナンス頻度が高くなると、コンテナヤード15の稼働率は著しく低下してしまい、さらに、レール磨耗に伴うレール交換作業中は、そのレール13に関わるRMT1の使用が不可能となるため、コンテナヤード15の稼働率の大幅低下は不可避となってしまう。
【0013】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、RMTのブロック間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMTの効率的な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明に係る片ターンテーブルによるブロック移動方法は、海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レール13で構成されたレーンとコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動し、かつ前記車輪11を水平面で回転可能としたRMT1が、前記ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で他のブロック30に移動するブロック間移動方法であって、ブロック30の端部に回転可能に設置したターンテーブル60上に片側の脚部の車輪11を停止させ、もう片方の脚部の車輪11を駆動することで、前記ターンテーブル60を中心として、円弧状の旋回レール62上を自力移動し、複数のブロック30端部を結ぶブロック間移動用レール上に移動し、移動先ブロックにつながる任意の前記旋回レール62を経由して、目的のブロック30に移動することを特徴とする。
【0015】
具体的には前記RMT1を前記レール13端部に回転可能に設置したターンテーブル60
を利用して旋回させながら、複数の前記ブロック端部を結ぶように設けられたブロック間移動用レール33上に移動し、前記ブロック間移動用レール33を経由して移動先ブロックに移動することを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明に係る片ターンテーブルによるブロック移動装置は、海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レール13で構成されたレーンとコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動し、かつ前記車輪11を水平面で回転可能としたRMT1が、前記ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で他のブロック30に移動するブロック移動装置であって、ブロック30端部に回転可能に設置されたターンテーブル60と、前記ターンテーブル60に前記RMT1の片側の車輪11を中心として円弧状に敷設された旋回レール62と、前記旋回レール62と連結され、かつ複数のブロック30端部を結ぶブロック間移動用レール33を敷設し、前記RMT1が前記ブロック30からブロック間移動用レール33を経由し、任意のブロック30に移動可能としたことを特徴とする。
【0017】
具体的には、上面にターン用レール61を敷設したターンテーブル60を回転可能に複数の前記ブロックの一方のレール端部に設置し、複数の前記ターンテーブル60の前記ターン用レール61を第1ブロック間移動用レール33aで連結し、前記第1ブロック間移動用レール33aと平行に第2ブロック間移動用レール33bを敷設し、前記第2ブロック間移動用レール33bと前記ブロックの他方のレール端部を旋回レール62で連結したことを特徴とする。
【0018】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ブロック30の間の端部に設置した前記ターンテーブル60上に、各ブロック30の走行用レール13の延長線上となる位置にターン用レール61を設け、前記ターン用レール61に前記車輪11を嵌合して、前記車輪11の駆動力で移動可能に構成したことを特徴とする。
【0019】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ターンテーブル60上のターン用レール61は、ターンテーブル60の旋回によって各ブロック30の走行用レール13と一直線になり、かつ前記ブロック間移動用レール33と一直線になる位置に設置し、前記RMT1がブロック30間を移動する際には前記ターン用レール61が前記ブロック間移動用レール33の一部を構成するように構成したことを特徴とする。
【0020】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ターンテーブル60に、前記ターンテーブル60上のターン用レール61と他のレール(走行用レール13又はブロック間移動用レール33)との位置合わせを検知する位置合わせセンサ52を設置し、位置合わせのための動力装置を備えた回転機構63を設置したことを特徴とする。
【0021】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ターンテーブル60、前記ターン用レール61及びクレーン走行用レール13等の上面が、クレーン走行用レール13付近の地平面34と50mm以内、好ましくは10mm以内の段差となるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の片ターンテーブルによるブロック移動方法により、従来の方法に比べ、RMT1がブロック間を移動する際に、ジャッキアップや旋回等の必要な動作がなくなり、必要とする時間が短縮され、より機動的に、容易にRMT1のブロック間移動を実現することが可能となった。
【0023】
RMT1が旋回装置やジャッキ36を具備する必要がないため、単純な機構で構成することが可能となった。そのため、RMT1の故障となる要因が減少し、メンテナンス性が向上した。特に港湾等のコンテナヤード15で使用されるRMT1は、潮風の影響等で金属の劣化が激しくなるため、より単純な構造で故障が少ない機械であることが望まれ、本発明はその要求を満たすものである。
【0024】
RMT1の片方の車輪11を、ターンテーブル60上でブレーキにより固定し、他方の車輪11を旋回レール62上で回転させることで、RMT1はブロック間移動用レールに移動するように構成している。
【0025】
前記ブロック間移動用レールは前記ブロックに対して直角に敷設することで、前記ブロック端部にRMT1がブロックに対して垂直に移動する幅のみが必要となるため、コンテナヤード15に確保できるスペースが少ないものであっても本発明のブロック移動装置を利用することが可能となっている。これは、前記ターンテーブル60を利用することで、RMT1の急旋回を実現したためである。
【0026】
ここで、ターンテーブル60は、RMT1の移動に伴う方向転換の影響で自動的に回転するため、特に大きな動力を必要とせず、結果、ターンテーブル60の構造はクレーン重量を受けるだけの単純な構造とすることができ、メンテナンス性が向上する。
【0027】
RMT1を搭載していない時にターンテーブル60の、ターン用レール61とブロックのレール13との連結部を合わせるために、回転機構63を付加することは可能である。これは、何らかの影響でターンテーブル60上に敷設されたターン用レール61と、連結する他のレールの位置がずれた場合に、有効な機能となる。この時、回転機構63はターンテーブル60の位置合わせのために必要であり、RMT1を搭載した状態で回転させるための大きな動力装置は必要としない。
【0028】
また、ターンテーブル60上に敷設されたターン用レール61及び旋回レール62、ブロック間移動用レール33の上面をコンテナヤード15の地平面34と50mm以内、好ましくは10mm以内の小さな段差となるように敷設することで、トレーラ32の走行に支障が出ないように構成している。
【0029】
さらに、ターンテーブル60のターン用レール61と、ブロックのレール13の位置合わせのための位置合わせセンサ52を設置することで、レールの連絡を正確なものとし、RMT1の脱線や脱輪等の事故を防ぐことを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の概略の平面図であり、ブロック端部にターンテーブル60を設け、ブロック端部に接するように1組の平行なブロック間移動用レール33を敷設している様子を示している。図2はターンテーブル60の拡大平面図、図3は図2のA−A断面図である。図4は本発明であるブロック移動方法及び装置による、RMT1のブロック間移動の様子を示している。図5はブロック間移動用レール33と旋回レール62の交差部の拡大図を示している。図6は本発明のコンテナヤード15内における実施例を示している。図9はRMT1の荷役時の概略図であり、レールマウント式門型クレーンであるRMT1がコンテナ31をトロリ12で吊り上げ、待機しているトレーラ32に搭載する様子を示している。RMT1は移動の際、車輪11を利用する。図10はRMT1の側面図である。RMT1は、下部に配置された支持部35を介して設置された複数の車輪11によりレール13上を移動する。図11乃至図14は本発明の異なる実施例を示している。
【0031】
(実施例1)
図1に示すように、コンテナヤード15内に、RMT1が荷役するために移動するレール13と、前記レール13によって構成されるブロック、例えば第1ブロック21(荷役ブロック30)や第2ブロック22(荷役ブロック30)が配置されている。ブロック端部にはそれぞれ回転体であるターンテーブル60を設置しており、各ブロックに交わるように1組の平行なブロック間移動用レール33が敷設されている。以下に本発明によるRMT1のブロック間移動を説明する。
【0032】
図4に示すように、例えば第1ブロック21にあるRMT1(イ)を、ブロック端部のRMT1(ロ)の位置まで移動させる。ここで、レール13aに連結された、ターン用レール61a上に移動した側の車輪11はブレーキにより固定する。他方のレール13bを走行している車輪11は、ターン用レール61bを通過し、旋回レール62上を走行することで、RMT1(ハ)の位置に移動する。
【0033】
RMT1(ハ)の位置において、RMT1は旋回レール62上を走行することで、RMT1の方向を変える力が働き、この力がブレーキにより固定されている他方の車輪11を介してターンテーブル60に伝わり、ターンテーブル60を回転させる。旋回レール62を走行している側の車輪11は、旋回レール62に連結されたブロック間移動用レール33bまで移動することで、RMT1(ニ)の位置に移動を完了する。この時、ブロック間移動用レール33aは、ターンテーブル60上に敷設されたターン用レール61aに連結する位置に敷設されている。
【0034】
RMT1(ニ)の位置から、ブロック間移動用レール33を、移動目標となるブロックまで走行する。例えば移動先のブロックを第2ブロック22とすると、RMT1(ホ)の位置に移動すればよい。この時、RMT1(ホ)を搭載しているターンテーブル60は、図4−Bは横向きであったが、前記ターンテーブル60の回転機構63により縦向きに方向を替えてRMT1を(ホ)の位置に受入れるよう構成されている。RMT1(ホ)の位置に移動を完了したRMT1は、ターンテーブル60に載置している側の車輪11をブレーキにより固定し、他方の車輪11は旋回レール62上を走行させる。
【0035】
旋回レール62上の走行に伴い、ターンテーブル60は外力を受けて回転し、RMT1は、RMT1(ヘ)の位置に移動する。旋回レール62上を走行している車輪11が、ターン用レール61を経由して、第2ブロック22のレール13上に達する際に、ブレーキにより固定されていた側の車輪11のブレーキを解除し、RMT1(ト)の位置への移動を完了する。以上よりRMT1は、ブロック間の移動を、RMT1のブレーキ操作等の少ない操作で、迅速に行うことが可能となった。
【0036】
上記の作用を実現するために、ターンテーブル60には、図2に示すように、例えば第1ブロック21のレール13b及び旋回レール62と連結するようにターン用レール61bが敷設されている。また、第2ブロック22のレール13aと連結するように敷設されたターン用レール61aは、RMT1の移動時に、車輪11がブレーキにより固定され、RMT1の旋回に伴い回転した際に、ブロック間移動用レール33aに連結可能な位置に配置されている。
【0037】
さらに、RMT1がブロック間を移動する際は、図1に示すように、複数個のターンテーブル60上を通過することが考えられるため、その際に必要となるレールとして、ブロック間移動用レール33aが1本のレールを構成するように、動力を備えた回転機構63によりターンテーブル60は回転し、縦向きになるよう構成されている。
【0038】
図2に示すように、ターンテーブル60上には、ターン用レール61と他のレールとの
連結を監視するための位置合わせセンサ52を設置している。RMT1の移動にあわせてターンテーブル60の方向を替える際や、何らかの影響によりターンテーブル60が回転してしまい、レールの連結にずれが生じた際に、レール13の連結が正確に行われていることを監視し、RMT1の脱輪や転倒を防止する効果を得ることができる。ここで、RMT1の車輪11搭載時には、RMT1の旋回運動によりターンテーブル60に動力が伝わるため、そのための大きな動力は不要となり、ターンテーブル60の上部にRMT1が搭載されていない状態で、回転可能な動力とすればよい。そのため、巨大で複雑な駆動装置を必要としない。
【0039】
また、図2に示すように、ターンテーブル60にRMT1を搭載した際の車輪11の位置を検出するための、車輪センサ53を設置している。これは、RMT1をブロックのレールとブロック間移動用レールを移動させる際、RMT1の旋回の中心側となる車輪11は、ターンテーブル60上でブレーキにより固定される必要があり、そのブレーキを作動させる位置を検出するためのものである。RMT1の車輪11が、ターン用レール61上に収まっていることを確認し、RMT1操作者は、その信号を確認することで、クレーンの停止位置を知ることが可能となっている。
【0040】
図3に示すように、ターンテーブル60の上面は、コンテナヤード15の地平面34と同じ高さ(望ましくは50mm以内の段差、さらに望ましくは10mm以内の段差)にされており、ターン用レール61、位置合わせセンサ52、車輪センサ53も同様である。地平面34の高さに合わせることで、図6に示すコンテナヤード15内におけるトレーラ32の走行時に、トレーラ32の振動、走行タイヤの疲労やレール及びセンサの故障及び不具合等の影響が出ないように構成している。図6に示す、旋回レール62、ブロック間移動用レール33も同様に、レール上面が地平面34と同等の高さになるよう敷設されている。
【0041】
図5は旋回レール62とブロック間移動用レール33bとの交差部を示している。レール切断面での衝撃を弱めレールや車輪の磨耗を低減するため、可能な限りレール切断面を斜めにするよう構成している。
【0042】
また、図6に示すようにメンテナンスブロック49を設けてもよい。RMT1の修理や整備をメンテナンスブロック49上で行うことで、コンテナヤード15内における荷役に影響を与えることなく、作業を行うことが可能である。さらに、予備のRMT1がある場合は、前記メンテナンスブロック49上で保管することで、他のRMT1の荷役や移動を妨げることがなくなる。そのため、コンテナヤード15内におけるRMT1の配置が機動的かつ合理的に行えるようになる。
【0043】
(実施例2)
図11は、本発明をブロック間の距離、第1ブロック21のレール13bと第2ブロック22のレール13aの距離が離されている場合の実施例を示している。図に示すように、ブロック間の距離が大きく離れている場合、ターンテーブル60が巨大になりすぎるため、各ブロックにターンテーブル60を設ける方が効率のよい場合がある。
【0044】
また、荷役ブロック(21,22)の端部と接続するターン用レール61aとブロック間移動用レール33aと接続するターン用レール61cを備えているため、例えば図11に示す旋回中のRMT1がこの後、ブロック間移動用レール33を走行する際、第2ブロック22の端部に設置されているターンテーブル60を回転させなくても、RMT1の走行が可能となっている。
【0045】
そのため、RMT1の移動に伴いターンテーブル60の方向を変える必要がない場合が
あるので、必要となるターンテーブル60の回転操作が減り、RMT1のブロック間移動を機動的に行うことを可能とした。
【0046】
このとき、ターンテーブル60上でレールが直角に交わる所があるので、図7に示すようなレール切断部25が出ているが、従来例と違いブロック間移動用レール33の片側だけであり衝撃は小さくなる。即ちRMT1の両側の車輪11が同時にレール切断部25を通ることはないため、RMT1はレール上を比較的滑らかに進むことを可能としている。
【0047】
(実施例3)
図12はターンテーブル60に1本のターン用レール61aを設置した際の実施例を示している。図12のようにターンテーブル60を構成することで、ターンテーブル60の小型化が可能となる。即ち、ターンテーブル60はRMT1の車輪11をはみ出さず載置する必要があるため、少なくともターン用レール61はRMT1の車輪11の列の長さが必要となり、図12に示した構成はターンテーブル60内に最長のターン用レール61を敷設することを可能としているため、ターンテーブル60の小型化が可能となる。
【0048】
(実施例4)
図13はターンテーブル60において2本のターン用レール61aと61cが中心で垂直に交わるよう構成されている。そのため、前記の図11のターンテーブル60を回転する頻度が減少しRMT1を機動的に移動可能とする効果と、図12のターンテーブル60の小型化の効果を同時に得ることが可能となっている。
【0049】
(実施例5)
図14はターンテーブル60に1本のターン用レール61aを、中心から偏心した位置に敷設した際の実施例を示している。このように構成することで、ブロック端部の走行用レール13とターン用レール61の接続面が平面方向から見て斜めになるため、レール切断面25におけるレール摩耗の抑制、RMT1通過時の衝撃を抑制することが可能となっている。
【0050】
以上の実施例より、対象とするコンテナヤード15で必要となる効果を見定めて、適宜選択し、あるいは組み合わせて実施することが可能となっている。上述のように、本発明の片ターンテーブルによるブロック移動方法及び装置により、RMT1のブロック間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の片ターンテーブルによるブロック移動装置の概略を示した平面図である。
【図2】本発明の片ターンテーブル周辺部の拡大図である。
【図3】本発明の片ターンテーブルの断面図である。
【図4A】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図4B】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図4C】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図4D】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図5】レール交差部の拡大図である。
【図6】本発明をコンテナヤードに実施した際の概略図である。
【図7】従来型ブロック移動装置の概略図である。
【図8】港湾等のコンテナヤード全体を示した概略図である。
【図9】RMTによる荷役の状態を示した概略図である。
【図10】RMTの側面図である。
【図11】本発明の実施例2の概略図である。
【図12】本発明の実施例3の概略図である。
【図13】本発明の実施例4の概略図である。
【図14】本発明の実施例5の概略図である。
【符号の説明】
【0052】
1 レールマウント式門型クレーン(RMT)
11 車輪
13 レール
15 コンテナヤード
21 第1ブロック
22 第2ブロック
29 コンテナスタック
30 荷役ブロック(ブロック)
33 ブロック間移動用レール
52 位置合わせセンサ
53 車輪センサ
60 ターンテーブル
61 ターン用レール
62 旋回レール
63 回転機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば港湾等のコンテナヤード内において、コンテナの運搬を行うレールマウント式門型クレーン及びコンテナヤード内の設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾等のコンテナヤードでは、クレーンによって船舶及びトレーラ間の、コンテナの積み下ろしを行っている。図8にコンテナヤード15の概観を示す。
【0003】
コンテナ船等の船舶16によって運搬された20ftあるいは40ftコンテナ等のコンテナ31は、岸壁に設置されたコンテナクレーン17によって荷揚げされ、コンテナヤード15内を走行するトレーラ32に搭載される。トレーラ32に搭載されたコンテナ31は、レール13とコンテナ31を載置する場所であるコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に門型クレーン1によって複数列に整然と並べられ、荷揚げを完了する。これらのコンテナ31は他の船舶16に再び積まれたり、トレーラ32により他の場所へ運搬されたりする。同様のコンテナヤードを内陸地における貨物のターミナルとして利用することもある。
【0004】
ここで、使用されている門型クレーン1は大きく分けて、タイヤにより移動するもの(以下、RTT)と、レール及び車輪の組み合わせで移動するレールマウント式門型クレーン(以下、RMT)がある。RTTはヤード15内を自在に移動することが可能であるが、クレーン自重が増加すると、それを支えるためのタイヤの個数を多くする必要があり、さらに自重が大きい場合は、タイヤでは支えきれなくなるため、レール式のRMTが採用される。
【0005】
また、RMTは、ヤード15内に敷設されたレール13上を移動することで、走行方向が規定され、位置決めが容易となり、吊荷移動の際は荷揺が少ない安定した運搬を実現している。さらに、レール13に沿って移動するため、RMTの側面図である図10に示すケーブルリール20等で給電することが可能となるため、エンジンを搭載したクレーンに比べメンテナンス性が高く、排気ガス等も発生しないため環境性能も高い。
【0006】
他方、RMTは、コンテナヤード15において荷役作業の高効率化や作業の平準化を図るために、例えば図8に示した第1ブロック21(荷役ブロック30)の荷役作業量が少なく、第2ブロック22(荷役ブロック30)の作業量が多い場合に、第1ブロック21のクレーンC1を第2ブロック22に移動させるという要求があり、また、故障時の対策としてRMTをブロック間(例えば第1ブロック21と第2ブロック22)で移動させるという要求があるが、RMTはブロック間を移動する手段を持たないため、あらかじめひとつのブロックに複数のクレーンを配置しておくことで対応しなくてはならず、設備的に無駄が大きく、非効率であるという問題を抱えている。これに対して、RMTのブロック間移動を行うための発明がなされてきた(例えば特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載の発明によれば、RMTのブロック間移動を実現するために、図7に示すように、各ブロック(例えば第1ブロック21、第2ブロック22)に対して垂直に交わる方向に、ブロック間移動用レール33を敷設し、RMT37のブロック間移動を実現している。
【0008】
この時、荷役作業用ブロック端部38に移動したRMT37は、前記RMT37下部に
設置されたジャッキ36によりジャッキアップすることで、車輪11にかかる荷重を抜き、RMT37と車輪11の間に設置された図示しない旋回装置を作動させ、車輪11を90度回転させる。その後、車輪11がブロック間移動用レール33に乗るように、ジャッキアップしたRMT37を降ろすことで、RMT37の方向は変えずに車輪11のみブロック間移動用レール33の方向に回転させ、ブロック間移動用レール33上を移動するよう構成されている。
【特許文献1】特開2004−175515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の記載の方法においては、図7に示すようにRMT37をジャッキアップし、車輪11を旋回させた後、ブロック間移動用レール33を走行し、移動先であるブロックを走行するため再びジャッキアップ及び車輪11の旋回を行うため、ブロック間の移動に時間及び手間がかかるので、RMT37のブロック間移動を容易かつ機動的に行うことは困難である。
【0010】
また、RMT37をジャッキアップするジャッキ36や、車輪11を旋回させるための旋回装置等の機構が必要となり、旋回時にジャッキ36には重量物であるRMT37の重量が常にかかるため、不具合が生じやすくなり、そのためメンテナンス性が低いという問題がある。特に、多忙な港湾で使用される場合は、大きな負荷の加わる機構が潮風の影響を受け、劣化が激しくなり故障の発生頻度が高くなる。
【0011】
更に、図7に示すようにレール13に直角の切断部25が存在し、このレール切断部25をクレーンの車輪11が通過する際、レール切断部25の角で車輪11と接触する部分の摩耗が激しくなり、レール13及びブロック間移動用レール33の交換回数が増加してしまう。
【0012】
特に近年、港湾等のコンテナヤード15は24時間フル稼働となる場合も多く、RMT37のメンテナンス頻度が高くなると、コンテナヤード15の稼働率は著しく低下してしまい、さらに、レール磨耗に伴うレール交換作業中は、そのレール13に関わるRMT1の使用が不可能となるため、コンテナヤード15の稼働率の大幅低下は不可避となってしまう。
【0013】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、RMTのブロック間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMTの効率的な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明に係る片ターンテーブルによるブロック移動方法は、海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レール13で構成されたレーンとコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動し、かつ前記車輪11を水平面で回転可能としたRMT1が、前記ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で他のブロック30に移動するブロック間移動方法であって、ブロック30の端部に回転可能に設置したターンテーブル60上に片側の脚部の車輪11を停止させ、もう片方の脚部の車輪11を駆動することで、前記ターンテーブル60を中心として、円弧状の旋回レール62上を自力移動し、複数のブロック30端部を結ぶブロック間移動用レール上に移動し、移動先ブロックにつながる任意の前記旋回レール62を経由して、目的のブロック30に移動することを特徴とする。
【0015】
具体的には前記RMT1を前記レール13端部に回転可能に設置したターンテーブル60
を利用して旋回させながら、複数の前記ブロック端部を結ぶように設けられたブロック間移動用レール33上に移動し、前記ブロック間移動用レール33を経由して移動先ブロックに移動することを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明に係る片ターンテーブルによるブロック移動装置は、海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レール13で構成されたレーンとコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動し、かつ前記車輪11を水平面で回転可能としたRMT1が、前記ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で他のブロック30に移動するブロック移動装置であって、ブロック30端部に回転可能に設置されたターンテーブル60と、前記ターンテーブル60に前記RMT1の片側の車輪11を中心として円弧状に敷設された旋回レール62と、前記旋回レール62と連結され、かつ複数のブロック30端部を結ぶブロック間移動用レール33を敷設し、前記RMT1が前記ブロック30からブロック間移動用レール33を経由し、任意のブロック30に移動可能としたことを特徴とする。
【0017】
具体的には、上面にターン用レール61を敷設したターンテーブル60を回転可能に複数の前記ブロックの一方のレール端部に設置し、複数の前記ターンテーブル60の前記ターン用レール61を第1ブロック間移動用レール33aで連結し、前記第1ブロック間移動用レール33aと平行に第2ブロック間移動用レール33bを敷設し、前記第2ブロック間移動用レール33bと前記ブロックの他方のレール端部を旋回レール62で連結したことを特徴とする。
【0018】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ブロック30の間の端部に設置した前記ターンテーブル60上に、各ブロック30の走行用レール13の延長線上となる位置にターン用レール61を設け、前記ターン用レール61に前記車輪11を嵌合して、前記車輪11の駆動力で移動可能に構成したことを特徴とする。
【0019】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ターンテーブル60上のターン用レール61は、ターンテーブル60の旋回によって各ブロック30の走行用レール13と一直線になり、かつ前記ブロック間移動用レール33と一直線になる位置に設置し、前記RMT1がブロック30間を移動する際には前記ターン用レール61が前記ブロック間移動用レール33の一部を構成するように構成したことを特徴とする。
【0020】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ターンテーブル60に、前記ターンテーブル60上のターン用レール61と他のレール(走行用レール13又はブロック間移動用レール33)との位置合わせを検知する位置合わせセンサ52を設置し、位置合わせのための動力装置を備えた回転機構63を設置したことを特徴とする。
【0021】
上記の片ターンテーブルによるブロック移動装置において、前記ターンテーブル60、前記ターン用レール61及びクレーン走行用レール13等の上面が、クレーン走行用レール13付近の地平面34と50mm以内、好ましくは10mm以内の段差となるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の片ターンテーブルによるブロック移動方法により、従来の方法に比べ、RMT1がブロック間を移動する際に、ジャッキアップや旋回等の必要な動作がなくなり、必要とする時間が短縮され、より機動的に、容易にRMT1のブロック間移動を実現することが可能となった。
【0023】
RMT1が旋回装置やジャッキ36を具備する必要がないため、単純な機構で構成することが可能となった。そのため、RMT1の故障となる要因が減少し、メンテナンス性が向上した。特に港湾等のコンテナヤード15で使用されるRMT1は、潮風の影響等で金属の劣化が激しくなるため、より単純な構造で故障が少ない機械であることが望まれ、本発明はその要求を満たすものである。
【0024】
RMT1の片方の車輪11を、ターンテーブル60上でブレーキにより固定し、他方の車輪11を旋回レール62上で回転させることで、RMT1はブロック間移動用レールに移動するように構成している。
【0025】
前記ブロック間移動用レールは前記ブロックに対して直角に敷設することで、前記ブロック端部にRMT1がブロックに対して垂直に移動する幅のみが必要となるため、コンテナヤード15に確保できるスペースが少ないものであっても本発明のブロック移動装置を利用することが可能となっている。これは、前記ターンテーブル60を利用することで、RMT1の急旋回を実現したためである。
【0026】
ここで、ターンテーブル60は、RMT1の移動に伴う方向転換の影響で自動的に回転するため、特に大きな動力を必要とせず、結果、ターンテーブル60の構造はクレーン重量を受けるだけの単純な構造とすることができ、メンテナンス性が向上する。
【0027】
RMT1を搭載していない時にターンテーブル60の、ターン用レール61とブロックのレール13との連結部を合わせるために、回転機構63を付加することは可能である。これは、何らかの影響でターンテーブル60上に敷設されたターン用レール61と、連結する他のレールの位置がずれた場合に、有効な機能となる。この時、回転機構63はターンテーブル60の位置合わせのために必要であり、RMT1を搭載した状態で回転させるための大きな動力装置は必要としない。
【0028】
また、ターンテーブル60上に敷設されたターン用レール61及び旋回レール62、ブロック間移動用レール33の上面をコンテナヤード15の地平面34と50mm以内、好ましくは10mm以内の小さな段差となるように敷設することで、トレーラ32の走行に支障が出ないように構成している。
【0029】
さらに、ターンテーブル60のターン用レール61と、ブロックのレール13の位置合わせのための位置合わせセンサ52を設置することで、レールの連絡を正確なものとし、RMT1の脱線や脱輪等の事故を防ぐことを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の概略の平面図であり、ブロック端部にターンテーブル60を設け、ブロック端部に接するように1組の平行なブロック間移動用レール33を敷設している様子を示している。図2はターンテーブル60の拡大平面図、図3は図2のA−A断面図である。図4は本発明であるブロック移動方法及び装置による、RMT1のブロック間移動の様子を示している。図5はブロック間移動用レール33と旋回レール62の交差部の拡大図を示している。図6は本発明のコンテナヤード15内における実施例を示している。図9はRMT1の荷役時の概略図であり、レールマウント式門型クレーンであるRMT1がコンテナ31をトロリ12で吊り上げ、待機しているトレーラ32に搭載する様子を示している。RMT1は移動の際、車輪11を利用する。図10はRMT1の側面図である。RMT1は、下部に配置された支持部35を介して設置された複数の車輪11によりレール13上を移動する。図11乃至図14は本発明の異なる実施例を示している。
【0031】
(実施例1)
図1に示すように、コンテナヤード15内に、RMT1が荷役するために移動するレール13と、前記レール13によって構成されるブロック、例えば第1ブロック21(荷役ブロック30)や第2ブロック22(荷役ブロック30)が配置されている。ブロック端部にはそれぞれ回転体であるターンテーブル60を設置しており、各ブロックに交わるように1組の平行なブロック間移動用レール33が敷設されている。以下に本発明によるRMT1のブロック間移動を説明する。
【0032】
図4に示すように、例えば第1ブロック21にあるRMT1(イ)を、ブロック端部のRMT1(ロ)の位置まで移動させる。ここで、レール13aに連結された、ターン用レール61a上に移動した側の車輪11はブレーキにより固定する。他方のレール13bを走行している車輪11は、ターン用レール61bを通過し、旋回レール62上を走行することで、RMT1(ハ)の位置に移動する。
【0033】
RMT1(ハ)の位置において、RMT1は旋回レール62上を走行することで、RMT1の方向を変える力が働き、この力がブレーキにより固定されている他方の車輪11を介してターンテーブル60に伝わり、ターンテーブル60を回転させる。旋回レール62を走行している側の車輪11は、旋回レール62に連結されたブロック間移動用レール33bまで移動することで、RMT1(ニ)の位置に移動を完了する。この時、ブロック間移動用レール33aは、ターンテーブル60上に敷設されたターン用レール61aに連結する位置に敷設されている。
【0034】
RMT1(ニ)の位置から、ブロック間移動用レール33を、移動目標となるブロックまで走行する。例えば移動先のブロックを第2ブロック22とすると、RMT1(ホ)の位置に移動すればよい。この時、RMT1(ホ)を搭載しているターンテーブル60は、図4−Bは横向きであったが、前記ターンテーブル60の回転機構63により縦向きに方向を替えてRMT1を(ホ)の位置に受入れるよう構成されている。RMT1(ホ)の位置に移動を完了したRMT1は、ターンテーブル60に載置している側の車輪11をブレーキにより固定し、他方の車輪11は旋回レール62上を走行させる。
【0035】
旋回レール62上の走行に伴い、ターンテーブル60は外力を受けて回転し、RMT1は、RMT1(ヘ)の位置に移動する。旋回レール62上を走行している車輪11が、ターン用レール61を経由して、第2ブロック22のレール13上に達する際に、ブレーキにより固定されていた側の車輪11のブレーキを解除し、RMT1(ト)の位置への移動を完了する。以上よりRMT1は、ブロック間の移動を、RMT1のブレーキ操作等の少ない操作で、迅速に行うことが可能となった。
【0036】
上記の作用を実現するために、ターンテーブル60には、図2に示すように、例えば第1ブロック21のレール13b及び旋回レール62と連結するようにターン用レール61bが敷設されている。また、第2ブロック22のレール13aと連結するように敷設されたターン用レール61aは、RMT1の移動時に、車輪11がブレーキにより固定され、RMT1の旋回に伴い回転した際に、ブロック間移動用レール33aに連結可能な位置に配置されている。
【0037】
さらに、RMT1がブロック間を移動する際は、図1に示すように、複数個のターンテーブル60上を通過することが考えられるため、その際に必要となるレールとして、ブロック間移動用レール33aが1本のレールを構成するように、動力を備えた回転機構63によりターンテーブル60は回転し、縦向きになるよう構成されている。
【0038】
図2に示すように、ターンテーブル60上には、ターン用レール61と他のレールとの
連結を監視するための位置合わせセンサ52を設置している。RMT1の移動にあわせてターンテーブル60の方向を替える際や、何らかの影響によりターンテーブル60が回転してしまい、レールの連結にずれが生じた際に、レール13の連結が正確に行われていることを監視し、RMT1の脱輪や転倒を防止する効果を得ることができる。ここで、RMT1の車輪11搭載時には、RMT1の旋回運動によりターンテーブル60に動力が伝わるため、そのための大きな動力は不要となり、ターンテーブル60の上部にRMT1が搭載されていない状態で、回転可能な動力とすればよい。そのため、巨大で複雑な駆動装置を必要としない。
【0039】
また、図2に示すように、ターンテーブル60にRMT1を搭載した際の車輪11の位置を検出するための、車輪センサ53を設置している。これは、RMT1をブロックのレールとブロック間移動用レールを移動させる際、RMT1の旋回の中心側となる車輪11は、ターンテーブル60上でブレーキにより固定される必要があり、そのブレーキを作動させる位置を検出するためのものである。RMT1の車輪11が、ターン用レール61上に収まっていることを確認し、RMT1操作者は、その信号を確認することで、クレーンの停止位置を知ることが可能となっている。
【0040】
図3に示すように、ターンテーブル60の上面は、コンテナヤード15の地平面34と同じ高さ(望ましくは50mm以内の段差、さらに望ましくは10mm以内の段差)にされており、ターン用レール61、位置合わせセンサ52、車輪センサ53も同様である。地平面34の高さに合わせることで、図6に示すコンテナヤード15内におけるトレーラ32の走行時に、トレーラ32の振動、走行タイヤの疲労やレール及びセンサの故障及び不具合等の影響が出ないように構成している。図6に示す、旋回レール62、ブロック間移動用レール33も同様に、レール上面が地平面34と同等の高さになるよう敷設されている。
【0041】
図5は旋回レール62とブロック間移動用レール33bとの交差部を示している。レール切断面での衝撃を弱めレールや車輪の磨耗を低減するため、可能な限りレール切断面を斜めにするよう構成している。
【0042】
また、図6に示すようにメンテナンスブロック49を設けてもよい。RMT1の修理や整備をメンテナンスブロック49上で行うことで、コンテナヤード15内における荷役に影響を与えることなく、作業を行うことが可能である。さらに、予備のRMT1がある場合は、前記メンテナンスブロック49上で保管することで、他のRMT1の荷役や移動を妨げることがなくなる。そのため、コンテナヤード15内におけるRMT1の配置が機動的かつ合理的に行えるようになる。
【0043】
(実施例2)
図11は、本発明をブロック間の距離、第1ブロック21のレール13bと第2ブロック22のレール13aの距離が離されている場合の実施例を示している。図に示すように、ブロック間の距離が大きく離れている場合、ターンテーブル60が巨大になりすぎるため、各ブロックにターンテーブル60を設ける方が効率のよい場合がある。
【0044】
また、荷役ブロック(21,22)の端部と接続するターン用レール61aとブロック間移動用レール33aと接続するターン用レール61cを備えているため、例えば図11に示す旋回中のRMT1がこの後、ブロック間移動用レール33を走行する際、第2ブロック22の端部に設置されているターンテーブル60を回転させなくても、RMT1の走行が可能となっている。
【0045】
そのため、RMT1の移動に伴いターンテーブル60の方向を変える必要がない場合が
あるので、必要となるターンテーブル60の回転操作が減り、RMT1のブロック間移動を機動的に行うことを可能とした。
【0046】
このとき、ターンテーブル60上でレールが直角に交わる所があるので、図7に示すようなレール切断部25が出ているが、従来例と違いブロック間移動用レール33の片側だけであり衝撃は小さくなる。即ちRMT1の両側の車輪11が同時にレール切断部25を通ることはないため、RMT1はレール上を比較的滑らかに進むことを可能としている。
【0047】
(実施例3)
図12はターンテーブル60に1本のターン用レール61aを設置した際の実施例を示している。図12のようにターンテーブル60を構成することで、ターンテーブル60の小型化が可能となる。即ち、ターンテーブル60はRMT1の車輪11をはみ出さず載置する必要があるため、少なくともターン用レール61はRMT1の車輪11の列の長さが必要となり、図12に示した構成はターンテーブル60内に最長のターン用レール61を敷設することを可能としているため、ターンテーブル60の小型化が可能となる。
【0048】
(実施例4)
図13はターンテーブル60において2本のターン用レール61aと61cが中心で垂直に交わるよう構成されている。そのため、前記の図11のターンテーブル60を回転する頻度が減少しRMT1を機動的に移動可能とする効果と、図12のターンテーブル60の小型化の効果を同時に得ることが可能となっている。
【0049】
(実施例5)
図14はターンテーブル60に1本のターン用レール61aを、中心から偏心した位置に敷設した際の実施例を示している。このように構成することで、ブロック端部の走行用レール13とターン用レール61の接続面が平面方向から見て斜めになるため、レール切断面25におけるレール摩耗の抑制、RMT1通過時の衝撃を抑制することが可能となっている。
【0050】
以上の実施例より、対象とするコンテナヤード15で必要となる効果を見定めて、適宜選択し、あるいは組み合わせて実施することが可能となっている。上述のように、本発明の片ターンテーブルによるブロック移動方法及び装置により、RMT1のブロック間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の片ターンテーブルによるブロック移動装置の概略を示した平面図である。
【図2】本発明の片ターンテーブル周辺部の拡大図である。
【図3】本発明の片ターンテーブルの断面図である。
【図4A】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図4B】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図4C】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図4D】本発明の実施例1のブロック間移動の様子を示した概略図である。
【図5】レール交差部の拡大図である。
【図6】本発明をコンテナヤードに実施した際の概略図である。
【図7】従来型ブロック移動装置の概略図である。
【図8】港湾等のコンテナヤード全体を示した概略図である。
【図9】RMTによる荷役の状態を示した概略図である。
【図10】RMTの側面図である。
【図11】本発明の実施例2の概略図である。
【図12】本発明の実施例3の概略図である。
【図13】本発明の実施例4の概略図である。
【図14】本発明の実施例5の概略図である。
【符号の説明】
【0052】
1 レールマウント式門型クレーン(RMT)
11 車輪
13 レール
15 コンテナヤード
21 第1ブロック
22 第2ブロック
29 コンテナスタック
30 荷役ブロック(ブロック)
33 ブロック間移動用レール
52 位置合わせセンサ
53 車輪センサ
60 ターンテーブル
61 ターン用レール
62 旋回レール
63 回転機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動し、かつ前記車輪を水平面で回転可能としたレールマウント式門型クレーンが、前記ブロックを複数設けたコンテナヤードで他のブロックに移動するブロック間移動方法であって、
ブロックの端部に回転可能に設置したターンテーブル上に片側の脚部の車輪を停止させ、もう片方の脚部の車輪を駆動することで、前記ターンテーブルを中心として、円弧状の旋回レール上を自力移動し、複数のブロック端部を結ぶブロック間移動用レール上に移動し、移動先ブロックにつながる任意の前記旋回レールを経由して、目的のブロックに移動することを特徴とする門型クレーンのブロック移動方法。
【請求項2】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動し、かつ前記車輪を水平面で回転可能としたレールマウント式門型クレーンが、前記ブロックを複数設けたコンテナヤードで他のブロックに移動するブロック移動装置であって、
ブロック端部に回転可能に設置されたターンテーブルと、前記ターンテーブルに前記門型クレーンの片側の車輪を中心として円弧状に敷設された旋回レールと、前記旋回レールと連結され、かつ複数のブロック端部を結ぶブロック間移動用レールを敷設し、前記クレーンが前記ブロックからブロック間移動用レールを経由し、任意のブロックに移動可能としたことを特徴とする門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項3】
前記ブロックの間の端部に設置した前記ターンテーブル上に、各ブロックの走行用レールの延長線上となる位置にターン用レールを設け、前記ターン用レールに前記車輪を嵌合して、前記車輪の駆動力で移動可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項4】
前記ターンテーブル上のターン用レールは、ターンテーブルの旋回によって各ブロックの走行用レールと一直線になり、かつ前記ブロック間移動用レールと一直線になる位置に設置し、前記クレーンがブロック間を移動する際には前記ターン用レールが前記ブロック間移動用レールの一部を構成するように構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項5】
前記ターンテーブルに、前記ターンテーブル上のターン用レールと他のレールとの位置合わせを検知する位置合わせセンサを設置し、位置合わせのための動力装置を備えた回転機構を設置したことを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項6】
前記ターンテーブル、前記ターン用レール及びクレーン走行用レール等の上面が、クレーン走行用レール付近の地平面と50mm以内の段差となるようにしたことを特徴とする請求項2乃至請求項5に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項1】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動し、かつ前記車輪を水平面で回転可能としたレールマウント式門型クレーンが、前記ブロックを複数設けたコンテナヤードで他のブロックに移動するブロック間移動方法であって、
ブロックの端部に回転可能に設置したターンテーブル上に片側の脚部の車輪を停止させ、もう片方の脚部の車輪を駆動することで、前記ターンテーブルを中心として、円弧状の旋回レール上を自力移動し、複数のブロック端部を結ぶブロック間移動用レール上に移動し、移動先ブロックにつながる任意の前記旋回レールを経由して、目的のブロックに移動することを特徴とする門型クレーンのブロック移動方法。
【請求項2】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動し、かつ前記車輪を水平面で回転可能としたレールマウント式門型クレーンが、前記ブロックを複数設けたコンテナヤードで他のブロックに移動するブロック移動装置であって、
ブロック端部に回転可能に設置されたターンテーブルと、前記ターンテーブルに前記門型クレーンの片側の車輪を中心として円弧状に敷設された旋回レールと、前記旋回レールと連結され、かつ複数のブロック端部を結ぶブロック間移動用レールを敷設し、前記クレーンが前記ブロックからブロック間移動用レールを経由し、任意のブロックに移動可能としたことを特徴とする門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項3】
前記ブロックの間の端部に設置した前記ターンテーブル上に、各ブロックの走行用レールの延長線上となる位置にターン用レールを設け、前記ターン用レールに前記車輪を嵌合して、前記車輪の駆動力で移動可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項4】
前記ターンテーブル上のターン用レールは、ターンテーブルの旋回によって各ブロックの走行用レールと一直線になり、かつ前記ブロック間移動用レールと一直線になる位置に設置し、前記クレーンがブロック間を移動する際には前記ターン用レールが前記ブロック間移動用レールの一部を構成するように構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項5】
前記ターンテーブルに、前記ターンテーブル上のターン用レールと他のレールとの位置合わせを検知する位置合わせセンサを設置し、位置合わせのための動力装置を備えた回転機構を設置したことを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【請求項6】
前記ターンテーブル、前記ターン用レール及びクレーン走行用レール等の上面が、クレーン走行用レール付近の地平面と50mm以内の段差となるようにしたことを特徴とする請求項2乃至請求項5に記載の門型クレーンのブロック移動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−105773(P2010−105773A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278912(P2008−278912)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】
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