説明

ロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置

【課題】この発明は、ロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置に関し、耕耘カバ−の回動操作が労力少なく行なえ、耕耘カバ−の位置決めも正確に行なえて耐久性に富む耕深制御装置を得ることを目的とする。
【解決手段】耕耘部16を覆いながら前後方向に回動するロ−タリカバ−17と、このロ−タリカバ−17を回動させるアクチュエ−タ20と、ロ−タリカバ−17の位置を検出するセンサS2と、ロ−タリカバ−17の位置を設定する位置設定器Iを有し、この位置設定器Iで設定した位置にロ−タリカバ−17が移動すべく構成したロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置において、アクチュエ−タ20を直線伸縮式のアクチュエ−タで構成すると共に、このアクチュエ−タ20をロ−タリ耕耘装置の機枠とロ−タリカバ−17との間に介装し、アクチュエ−タ20には伸縮量を検出するセンサS2を並設している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トラクタ−等の動力農機に連結されて土壌を耕起するロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置は、耕耘部の後方を覆う後部カバ−の下縁部を地面に摺接させて地面の凹凸変化を吸収するように構成し、耕深が浅くなる方向に後部カバ−が回動すれば油圧昇降機構を下降側に作動させてロ−タリ耕耘装置全体を下げ、逆に、耕深が深くなる方向に後部カバ−が回動すると油圧昇降機構を上昇側に作動させてロ−タリ耕耘装置全体を上昇させるように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした従来装置は、その後部カバ−の支点位置が前後方向に全く移動しないで一定であったため、浅起こしのときには後部カバ−の長さが不足することになって耕起した土が後方に飛散しやすくなり、反対に深起こしのときには後部カバ−が必要以上に長くなり、例えば畝立器を装着しているときには、畝立器と後部カバ−とが干渉し合うといった問題点を有していた。
【0004】しかも、従来装置の場合、後部カバ−の下縁部で耕起土壌の表面を押圧して均平にする方式であるため、耕深が浅い場合と深い場合とでは耕耘部から後部カバ−下縁部までの距離が大きく変化して均平性能が変わるという問題点を有していた。このため、従来装置の中には、後部カバ−の傾きを耕深の大小に関わらず常に一定にしようとして耕耘カバ−自体を耕耘軸の軸心回りに回動させるものも出現しているが、耕耘カバ−の回動調節は手動の操作レバ−を回して行なう方式であるから、労力を要し、しかも、勘に頼って操作レバ−を回動操作するものであるから、耕耘カバ−の位置決めが不正確となる欠点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、油圧等の強制動力を用いて耕耘カバ−を労力少なく回動させることができるロ−タリ耕耘装置を得ることができると共に、耕耘カバ−の位置決めが正確に行なえ、しかも耐久性に富む装置を得ることを目的とする。このため、この発明は次のような技術的手段を講じた。即ち、耕耘部16を覆いながら前後方向に回動するロ−タリカバ−17と、このロ−タリカバ−17を回動させるアクチュエ−タ20と、ロ−タリカバ−17の前後回動位置を検出するセンサS2と、ロ−タリカバ−17の位置を設定する位置設定器Iを有し、前記位置設定器Iで指示した回動位置にロ−タリカバ−17が移動すべく構成したロ−タリ耕耘装置において、前記アクチュエ−タ20を直線伸縮式のアクチュエ−タで構成すると共に、このアクチュエ−タ20をロ−タリ耕耘装置2の機枠とロ−タリカバ−17との間に介装し、アクチュエ−タ20には伸縮量を検出するセンサS2を並設したことを特徴とするロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置の構成とする。
【0006】
【実施例】以下、図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。図1に側面視を示したように、トラクタ−1にロ−タリ耕耘装置2を、左右下部のロワ−リンク3、3及び中央上部のトップリンク4からなる作業機連結機構5によって連結し、油圧昇降機構6のリフトシリンダ7のリフトピストン8の出入動作によって、左右のリフトア−ム9、9が回動し、左右のリフトロッド10、10を介してロワ−リンク3、3を昇降回動させるように構成している。
【0007】そして、耕深自動制御用として、ボリュ−ムの如きものからなる耕深設定器Iを用いてオペレ−タが設定した耕深設定値に、ロ−タリ耕耘装置2の耕深が一致するまで、上昇用ソレノイド弁11又は下降用ソレノイド弁12のオン、オフ動作指令が、マイクロコンピュ−タの如きものからなる制御部13から上昇用駆動部14又は下降用駆動部15を介して増幅して出力されるように構成している。
【0008】ロ−タリ耕耘装置2の耕耘部16後方を覆うカバ−17を、ロ−タリ耕耘装置2の駆動ケ−ス18及び左右逆側のサイドステ−に支点ピン19、19を用いて上下回動可能に枢支し、油圧アクチュエ−タ20のピストン21の出入動作によってカバ−17を上下回動できるように構成している。この油圧アクチュエ−タ20は、その前端がロ−タリ耕耘装置20の機枠を構成する駆動ケ−ス18に後端がカバ−17に連結されている。
【0009】また、前記カバ−17の後縁部に複数個の耕深センサS1を左右横方向に配置し、カバ−17の後縁部が接地状態にあるとき、耕深センサS1は、その作動子22が接地して、例えばその常開接点がオン動作するように設け、ロ−タリ耕耘装置2の例えば固定カバ−23に対するカバ−17の回動位置を直線摺動式のポテンショメ−タの如きものを用いて構成したストロ−クセンサS2によって検出するように構成している。このストロ−クセンサS2は油圧アクチュエ−タ20の横側方に並設する形で設けられている。
【0010】そして、オペレ−タが耕深設定器Iを操作して耕深設定値を指定すると耕耘部16がこの耕深設定値に位置するときにカバ−17が保たれるべき回動位置を制御部13が算出し、この回動位置にカバ−17が位置するように制御部13の指令が上昇用駆動部24又は下降用駆動部25を介して上昇用ソレノイド弁26又は下降用ソレノイド弁27に与えられる。
【0011】これによって、油圧アクチュエ−タ20のピストン21が出入動作するように構成され、引き続いて耕深センサS1の過半のものがオン作動するをする位置までロ−タリ耕耘装置2が上昇又は下降するように制御部13から油圧昇降機構6に動作指令が出力される。従って、耕深設定器Iを操作して耕深を浅くすると、油圧アクチュエ−タ20内に作動油が送り込まれてカバ−17が下方に移動し、逆に耕深を深くすると、カバ−17が上動する。カバ−17の移動量は上昇側、下降側共に耕深設定器Iによる設定値に対応して決定され、その移動量はストロ−クセンサS2によって監視されている。
【0012】上例において、耕耘作業開始にあたり、オペレ−タが耕深設定器Iを回して耕深を設定し、ロ−タリ耕耘装置2を降下させながらトラクタ−1を前進させて行くと、カバ−17が耕深設定器Iによる設定値に応じて所定の位置まで回動し、略同時に耕深センサS1の幾つかの作動子22が地面に接し、その状態で耕耘作業が継続される。
【0013】耕耘作業中、地面の凹凸変化により耕深センサS1の幾つかの作動子22が地面から離れて耕深が浅くなる方向に耕耘部16が移動しようとすると、油圧昇降機構6が作動してロ−タリ耕耘装置2全体を下げ、逆の場合はロ−タリ耕耘装置2全体を上昇させて耕耘部16を所定の位置に保つように制御される。このため、耕深は常時設定耕深に保たれることになり、カバ−17で押圧された耕土表面は大きく波打たずに均平に整地されることになる。
【0014】
【発明の効果】この発明は、前記の如く、耕耘部16を覆いながら前後方向に回動するロ−タリカバ−17と、このロ−タリカバ−17を回動させるアクチュエ−タ20と、ロ−タリカバ−17の前後回動位置を検出するセンサS2と、ロ−タリカバ−17の位置を設定する位置設定器Iを有し、前記位置設定器Iで指示した回動位置にロ−タリカバ−17が移動すべく構成したロ−タリ耕耘装置において、前記アクチュエ−タ20を直線伸縮式のアクチュエ−タで構成すると共に、このアクチュエ−タ20をロ−タリ耕耘装置2の機枠とロ−タリカバ−17との間に介装し、アクチュエ−タ20には伸縮量を検出するセンサS2を並設したものであるから、作業者が耕深設定器Iを操作することにより、アクチュエ−タ20が直線的に伸縮移動してロ−タリカバ−17が所定の位置に迅速、且つ労力少ない状態で回動移動することになり、この結果、従来装置に比較して操作性が著しく向上するものである。
【0015】また、センサS2は、ロ−タリカバ−17の上方にあって、アクチュエ−タ20の横に並設されているので合理的なレイアウト構成となり、泥土等の飛散の影響が少なく、耐久性が向上する特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロ−タリ耕耘装置とトラクタ−の側面図である。
【図2】制御回路図である。
【図3】カバ−とアクチュエ−タの関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 トラクタ−
2 ロ−タリ耕耘装置
5 作業機連結リンク機構
6 油圧昇降機構
7 リフトシリンダ
8 リフトピストン
9 リフトア−ム
10 リフトロッド
13 制御回路(制御部)
16 耕耘部
17 ロ−タリカバ−
20 アクチュエ−タ(油圧アクチュエ−タ)
1 耕深センサ
2 ストロ−クセンサ
I 耕深設定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】耕耘部16を覆いながら前後方向に回動するロ−タリカバ−17と、このロ−タリカバ−17を回動させるアクチュエ−タ20と、ロ−タリカバ−17の前後回動位置を検出するセンサS2と、ロ−タリカバ−17の位置を設定する位置設定器Iを有し、前記位置設定器Iで指示した回動位置にロ−タリカバ−17が移動すべく構成したロ−タリ耕耘装置において、前記アクチュエ−タ20を直線伸縮式のアクチュエ−タで構成すると共に、このアクチュエ−タ20をロ−タリ耕耘装置2の機枠とロ−タリカバ−17との間に介装し、アクチュエ−タ20には伸縮量を検出するセンサS2を並設したことを特徴とするロ−タリ耕耘装置の耕深制御装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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