説明

ログのテール位置移動装置

【課題】切断機移送時におけるログのテール位置のズレを防止する。
【解決手段】ログアキュームレーターBから排出されたログRが載るコンベア手段1と、コンベア手段1上に載せられたログRを支持するログ支持手段2とを備え、前記コンベア手段1が、前記ログ受け入れ位置30Xの上方に位置されているとともに、それ自体が水平方向に移動可能に構成され、かつ、前記ログ支持手段2が、前記コンベア手段1の駆動および水平移動にともなうログRの回転を許しログの移動を抑制するようにログを支持することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログのテール位置移動装置に関する。ログとは、トイレットペーパーの原反シートやキッチンペーパーの原反シートを製品直径になるように、原反ロールから巻き取ったものである。直径は市場で流通する100〜120mm程度であり、長さは原反ロールの幅と同じである。通常は、数mの長さを有する。このログから、長さを製品寸法に切断することにより、製品としてのトイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールが得られる。
【背景技術】
【0002】
ログは、巻きの緩みを防止するとともに、製品時における最初の使用時にペーパー端を摘みやすくするため、ログを構成するペーパーの巻き取り端部の少し内側を接着剤でロール部分に接着するとともに、この接着部分よりも末端側を未接着として自由端部を形成している。この自由端部は通常テールと呼ばれる。
【0003】
ところで、ログは既述のごとく、一定の長さに切断して製品に仕上げるが、この切断作業はログ切断機によって行われる。図4および5に示されるように、ログ切断機Aの基本構成は、ログ受け入れ装置30と、2枚または1枚の丸鋸31Cを高速で自転させながら共通の軸31Sで公転させる構成となっているカッター31と、カッティング時にログを押えるクランプ32とを備える。ログ受け入れ装置30は送り込みコンベア30Cを備え、送り込みコンベア30C上にはログRをガイドする桶状の送りガイド30Gが設けられている。ログRは当該送りガイド30Gでガイドされつつ送り込みコンベヤ30Cにより間欠的にカッター31の下方に送られ、そして送り停止中にカッター31で所定長さに切断されていく。
【0004】
一方、ログRをログ切断機Aに供給する装置はログアキュームレーターB(ログストッカーとも呼ばれる)といわれる。このログアキュームレーターBは図示するように、ログRの両端を支持する支持金具40を多数取り付けた2本のチェーン41を用い、この2本のチェーン41,41を循回させて、多数のログRを保管しつつ、1本ずつ排出することが可能な公知の装置である。ログアキュームレーターBのログ排出位置BXには、支持金具40を傾斜させるカム42とシュート43が取り付けられており、この排出位置BXに支持金具40が移動してくると、支持金具40が傾斜してログRが転がり出てシュート43を通ってログ切断機Aに向かう。
【0005】
他方、ログアキュームレーターBから排出されたログRをログ切断機Aの受け入れ装置30に移動させる手段として従来装置ではログダンパ50,50が採用される。このログダンパ50,50は前記ログアキュームレーターBのシュート43を転がってくる2本のログRを受取ると、左右に開くかあるいは回動して、ログRをログ切断機Aの受け入れ位置30Xに落下させるように構成される。
【0006】
ところで、ログ切断機AにてログRを間欠送りする際には、送りガイド30Gやクランプ32とログRの外周が接触する。送り動作中は、クランプ32はログRの外径よりやや大きく開き、送りガイド30GもログRの直径よりやや大きいのであるが、ログRの外周で自由となってヒラヒラした状態で浮いているテールRtが接触して引っかかり破れてしまうことがある。このようなテールRtに起因するログRの破れを防止すべく、ログRのテール位置をクランプ32や送りガイド30Gに接触しづらい位置に移動せしめるテール位置移動装置が知られる。かかるテール位置移動装置は、例えば、特許3461771号公報に開示される。このテール位置移動装置C(特許3461771号公報中ではテール位置決め送込み装置と呼ばれている)は、図6に示されるように、ログダンパ50,50の前段に上コンベア51と下コンベア52とを設置して、ログRがこれらコンベア51,52間に挿入されるように構成されている。ログRが上下コンベア51,52間に挿入された状態で当該上下コンベア51,52を駆動させることによりログRのテール位置を適宜の位置に移動させ、その後に上下コンベア51,52からログダンパ50,50上にログRを排出することによって、ログダンパ50,50上におけるログRのテール位置を適当な位置とならしめる。
【特許文献1】特許3461771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来テール位置移動装置Cは上下コンベア51,52によるログRの挟持によって、ログRが変形したり、ログRが凹んだり、挟持跡が残ったり、付与エンボスが消失したりするおそれがある。また、上下コンベア51,52間でログRを回動させる際にテールRtが引っかかり破損するおそれも皆無ではない。
【0008】
他方、このテール位置移動装置Cは、ログダンパ50,50の前段に設置されるものであるため、上下コンベア51,52内からログダンパ50、50上にログRを排出する間にテール位置がずれることがある。また、ログダンパ50,50上のログRをログ切断機Aの受け入れ位置(送りガイド30G内)30Xに移動させるにあたってログダンパ50,50を左右に観音開きのように開いたりしてログRを下方に落下させる構成のため、このさいにもログRがログダンパ50,50上を転動してテール位置が適当位置からずれることがある。
【0009】
そこで、本発明はかかる事情に鑑み、ログ切断機Aのログ受け入れ位置30XにログRを移動する際のテール位置のずれを防止した、適切なテール位置で確実にログRをログ切断機Aの受け入れ位置30に移送させることができる、ログRのテール位置移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
ログアキュームレーターの排出位置とログ切断機のログ受け入れ位置との間に配置されたログのテール位置移動装置であって、
ログアキュームレーターから排出されたログが載るコンベア手段と、コンベア手段上に載せられたログを支持するログ支持手段とを備え、
前記コンベア手段が、前記ログ受け入れ位置の上方に位置されているとともに、それ自体が水平方向に移動可能に構成され、かつ、
前記ログ支持手段が、前記コンベア手段の駆動および水平移動にともなうログの回転を許しログの移動を抑制するようにログを支持する、
ことを特徴とするログのテール位置移動装置。
【0011】
<請求項2記載の発明>
ログ支持手段が、コンベア手段の移動方向に直行して配置された回転軸と、この回転軸の軸心周りに回動自在に軸支された支持ローラとを備え、
前記支持ローラがコンベア手段上のログよりもコンベア手段の水平移動方向側に位置され、支持ローラ周面がコンベア移動方向側からログ周面に当接してコンベア手段上のログを支持するように構成されている請求項1記載のログのテール位置移動装置。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記コンベア手段の上方に、ログのテール位置を検出するためのテール位置検出手段が設けられている請求項1または2記載のテール位置移動装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によればログが、ログを変形等させることなくテール位置を移動せしめることができ、しかも、適当なテール位置を維持したままログ切断機の受け入れ位置に移動せしめることができるので、ログ切断機内でテールが送りガイドやクランプと接触することなく、ログペーパーの破れが確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態に係るテール位置移動装置Cの概略図、図2はテール位置移動装置の要部拡大図、図3はログの位置移動動作の説明図である。
【0015】
図1において、Aはログ切断機、Bはログアキュームレーターである。このログ切断機AとログアキュームレーターBとの間にログのテール位置移動装置Cが配置されている。このテール位置移動装置Cは、ログRが載るコンベア手段1、およびコンベア手段1上のログRを支持するログ支持手段2とから主として構成されている。
【0016】
次に、前記テール位置移動装置Cの詳細を図2に基づき説明する。なお、図1においてテール位置移動装置Cは2機設けられているが、図2においては、ログアキュームレーターに近い側のテール位置移動装置のみを取り上げて説明する。図1における側面視でこれと対抗する他方のテール位置移動装置についても同様の構成を採る。
【0017】
図2において、コンベア手段1は、水平方向に延在するアーム10と、このアーム10に取り付けられた水平に並ぶ一連の水平プーリ11,11…と、これら水平プーリ11,11…に巻き掛けられたベルト12で構成されている。前記アーム10は、例えばレールおよびモータ等で構成される駆動装置14によって水平移動可能とされており、このアームの水平移動ともなって水平プーリおよびベルト12も水平に移動される。
【0018】
コンベア手段1の駆動、すなわち本形態におけるベルト12の移動は、水平プーリ11,11…の下方位置でガイドローラ15を介してベルト12が巻きかけられる駆動プーリ13およびこの駆動プーリ13に連結される図示されないサーボモータのON、OFFにより行なわれる。なお、駆動プーリ13を設けずに、サーボモータを水平プーリ11,11…のいずれかに連結するように構成してもよいし、駆動プーリ13やサーボモータごと水平移動するように構成してもよい。
【0019】
他方、ログ切断機Aのログ受け入れ位置30Xの上方にはコンベア手段1上に載せられたログRを支持する支持手段2が設けられている。このログ支持手段2は、ベルト12の流れ方向Yに対して直行する方向に配された回転軸20、およびこの回転軸20の軸心周りに回動自在に軸支された支持ローラ21を備える。前記支持ローラ21および回転軸20は、シュート43の先端(図1における対抗する他方のテール位置移動装置では機枠70)に固定された支持材22によってコンベア手段1上のログ位置よりも、コンベア手段1の水平移動方向側に位置される。前記支持材22は、シュート43の先端に固定されているため、ログ支持手段2自体はベルト12の移動やコンベア手段1自体の水平移動にともなって移動はされない。なお、ログ支持手段2は、コンベア手段1上でログR自体の回転を許しつつ、ログRの移動を抑制するように構成すればよく、図示例の形態に限らない。例えば、コンベア手段上の所定位置でログの芯に回動可能な回転軸を挿入して、回転を許しつつ位置をロックするように構成することもできる。
【0020】
前記コンベア手段1の上方には図示されない支持ブラケットに支持されたテール位置検出器60が取り付けられている。このテール位置検出器60はテールRtが、例えば図示の位置に来たとき、これを検知する。テール位置検出装置60の具体例としては、光電管などの非接触型センサを使用したものが挙げられる。すなわち、テールRtはログRの巻部から離間しているため、テールRtとその他の巻き部とでは光の反射が異なる。従って、ログを自転させつつログに向かって検出光を照射し、その反射光等を測定すればテール位置を光学的に検出することができる。ここで、コンベア手段1上で回転するログRのテールRtにエアーを吹き付けるエアーノズルを設ければ、テールRtをログ本体部から離れさせることができ、テール位置の検出をより確実なものとすることができる。
【0021】
他方、ログアキュームレーターBからコンベア手段1上へのログRの供給は、送り込み手段4により行なわれる。送り込み手段は、図1および2に示すように、側面視L字形のアクセプター44と、シュート43の下部に取り付けた回転軸45とからなり、アクセプター44は回転軸45に回転自在に取り付けられている。図1および2の状態では、ログアキュームレーターBから排出されたログRを受取って保持している状態であるが、しかる後にアクセプター44を矢印Wで示すように、回転軸周りに適宜回転させることにより、コンベア手段1上にログRが二本ずつ供給される。
【0022】
つぎに、上記テール位置移動装置Cによりテールの位置決め作用を説明する。まず、コンベア手段1は、アキュームレーターBからログRが供給される時には、前記ログ切断機Aの受け入れ装置(受け入れ装置)30の上方に位置されている。この状態で、L字形のアクセプターが90°反転すると、ログRが転がり出て、コンベア手段1上に転がっていく。このアクセプター44により、ログアキュームレーターBのシュート43を転がってきたログRがいったん受け止められ、動慣性が無くされた状態で供給されるので、コンベア手段1を越えて外にオーバシュートされることなく適切な位置に確実に送り込まれる。
【0023】
次いで、ログRがコンベア手段1上に載せられた状態で、コンベア手段1のベルト12を送り方向(矢印Y方向)に走行させ、ログRをその場で回転させてテール位置の移動を図る。ベルト12の走行によってコンベア手段1上のログRはベルト走行方向Yに移動しようとするが、支持手段2に支持されて移動が抑制される。このとき支持ローラ21の周面がログRの周面に対してコンベア移動方向側から当接する。支持ローラ21は回動自在な状態であるため、ログRがその場で図中Z方向に回転するとともに支持ローラ20がログと反対方向に回転する。かかるログRの回転によってログRのテール位置Rtは、コンベア手段1上のその場で移動せしめられる。このように本発明では、ログRをコンベア手段1上に載せた状態でログRを回転させてテール位置を移動させるのでログが挟持されることがなく、ログが変形したり、ログが凹んだり、挟持跡が残ったり、付与エンボスが消失したりするおそれが格段に低減される。
【0024】
ログRをコンベア手段1上で回転させている間に、エアーノズルでテールを浮き上らせ、テール検出器でテールを検出する。テール位置検出機によりテール位置が適当位置と検出されたならば、コンベア手段1のサーボモータを停止させて駆動(ベルト12の移動)を停止する。そして、図3に示すように、コンベア手段1を、受け入れ位置30Xの上方から外れた位置に水平移動させる。このコンベア手段1の水平移動の際、支持ローラ21は支持材22を介してシュート43の先端あるいは機枠70に固定されているため移動されない。従って、コンベア手段1上のログRは、コンベア手段1の水平移動にとともに水平移動しようとするが、支持ローラ21が当接して移動が抑制されその場に止まる。なお、コンベア手段1の水平移動の間には、ログRの自重によりログ自体の回転は抑制されるので、ログRが自転してテール位置が適宜位置からズレることはないが、より好適には、支持ローラ21の回転をロックする機構を設けて、コンベア手段1の水平移動のさいには支持ローラ21の回転をロックする。コンベア手段水平移動時のログRの自転をより確実に抑制できる。
【0025】
このようにコンベア手段1を水平移動させると、ログRはログ下方側の支えを失い、下方のログ切断機Aの受け入れ位置30Xに自然落下して送りコンベア30C上に載る。ここで、コンベア手段1をログRの両端部近傍の下部に複数配置して、それぞれのコンベア手段を別途に水平移動させるように構成すれば、ログRを一端ずつログ切断機Aの受け入れ位置30Xに落下させることができる。このようにすると落下時の衝撃を和らげることができる。
【0026】
以上のようにしてログ切断機Aの受け入れ位置30Xに移送されるログRは、そのテールRtの位置が送りガイド30Gやクランプ32に接触しない位置となっている。よって、ログ切断機Aでログが送られている間、テールRtが送りガイド30Gやクランプ32に接触して破れることがない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、トイレットペーパーの原反シートやキッチンペーパーの原反シートを製品直径になるように、原反ロールから巻き取ったものであるログのほか、布、不織布、PPシート等の各種シートを巻き取ってロール状にしたものを対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るテール位置移動装置の概略図である。
【図2】テール位置移動装置の要部拡大図である。
【図3】ログの位置移動動作の説明図である。
【図4】ログ切断機とログアキュームレーターの概略側面図である。
【図5】ログ切断機とログアキュームレーターの概略正面図である。
【図6】ログ切断機とログアキュームレーター、および従来のテール位置移動装置の概略側面図である。
【符号の説明】
【0029】
A…ログ切断機、B…ログアキュームレーター、Bx…ログ排出位置、C…テール位置移動装置、1…コンベア手段、10…アーム、11…水平プーリ、12…ベルト、13…駆動プーリ、14…アーム駆動装置、2…ログ支持手段、20…回転軸、21…支持ローラ、22…支持材、30…ログ受け入れ装置、30C…送りコンベア、30G…送りガイド、30X…ログ受け入れ位置、31…カッター、31C…丸鋸、31S…丸鋸共通軸、32…クランプ、40…支持金具、41…チェーン、42…カム、43…シュート、44…アクセプター、45…アクセプター回転軸、50…ログダンパ、60…ログテール位置検出手段、W…アクセプター開閉方向、X…コンベア手段水平移動方向、Y…ベルト流れ方向、Z…ログ回転方向、R…ログ、Rt…テール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ログアキュームレーターの排出位置とログ切断機のログ受け入れ位置との間に配置されたログのテール位置移動装置であって、
ログアキュームレーターから排出されたログが載るコンベア手段と、コンベア手段上に載せられたログを支持するログ支持手段とを備え、
前記コンベア手段が、前記ログ受け入れ位置の上方に位置されているとともに、それ自体が水平方向に移動可能に構成され、かつ、
前記ログ支持手段が、前記コンベア手段の駆動および水平移動にともなうログの回転を許しログの移動を抑制するようにログを支持する、
ことを特徴とするログのテール位置移動装置。
【請求項2】
ログ支持手段が、コンベア手段の移動方向に直行して配置された回転軸と、この回転軸の軸心周りに回動自在に軸支された支持ローラとを備え、
前記支持ローラがコンベア手段上のログよりもコンベア手段の水平移動方向側に位置され、支持ローラ周面がコンベア移動方向側からログ周面に当接してコンベア手段上のログを支持するように構成されている請求項1記載のログのテール位置移動装置。
【請求項3】
前記コンベア手段の上方に、ログのテール位置を検出するためのテール位置検出手段が設けられている請求項1または2記載のテール位置移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−264815(P2006−264815A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82456(P2005−82456)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】