説明

ロック機構付きポップアップカード

【課題】ロック機構を設けることで、可変情報の姿勢を簡単に維持することができ、さらに商品サンプルを載せることができる販売促進ツールとして、人目を引くポップアップカードを提供する。
【解決手段】二つ折り構造のカード台紙1、2の内面に立体的に可変情報を表現できるポップアップ構造物3、4、5、6を形成し、二つ折り構造のカード台紙1、2内面の折り目付近左右の端部に、箱状ロック構造物7、8を形成する。使用時においては、二つ折り状態にしたポップアップカード台紙1、2を開き、概90度開いたところで箱状のロック構造物7、8にある耳片11、12を折り込み、折込み片を差し込んで箱状ロック構造物7、8を組み立てる。箱状ロック構造物7、8が完成すると、概90度開いたカード台紙1、2が元に戻ろうとしても、箱状ロック構造物7、8が内側から押さえるので起立上体を保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つ折りされたシートを開いた時に可変情報を立体的に表現できるようにするポップアップカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、展示会等においては、展示商品の他、パンフレット、イメージ図や模型、サンプルなどを準備して入場者に宣伝していた。しかし、これだけでは人目を引くのが難しいため、出展者は展示品の配列を変えたり、記念品を配布するなどして自社商品を強くアピールする努力をした。
近頃では、可変情報を立体的に表現できるポップアップカードを用いて人目を引く展示を行うようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3024206号公報
【特許文献2】特開2005−288926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポップアップカードは二つ折りされたシート状の台紙を開いていくと内側に仕組まれた可変情報が立体的に表現できるもので、通常は台紙を概90度又は180度展開した状態で展示するものである。
【0005】
しかし、台紙はコストを抑えるために殆どの材質が紙であるため、立体的になった可変情報や台紙が元に戻ろうとする力が働くので自立した姿勢を維持することが難しいほか、立ち上がった可変情報や台紙が自重で撓んでしまう。
【0006】
目立つようにするために大型のポップアップカードを作ると、腰の強い厚めの紙を用いるしかなく、コストが高くなってしまうので消耗品として使うには割高となってしまう。また、素材が紙である以上、撓みの防止はできなかった。
【0007】
そこで通常は何度も角度を調整し直したり、見えにくい場所に重しを挟んだり粘着テープや粘着剤で固定して使ったり、合成樹脂や金属板等を加工して背もたれとして撓み等を防ぐことが多かった。
【0008】
二つ折りされたシートを開いた時に可変情報を立体的に表現できるポップアップカードの構成は、登録実用新案第3024206号公報や、特開2005−288926号公報等に開示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1で大型のポップアップカードを作る場合、立体的になる可変情報は一枚の台紙を切り抜いているだけなので、概90度に展開している台紙の支点が少なくなり、立体的になった可変情報が元に戻ろうとする力が強く働き自立しても姿勢の維持が難しい。これを保持するには特許文献1の図6〜図8のように側面に壁を設ける方法が一般的だと思われる。しかし、これでも撓みを一時的に減らすことはできても、長い時間撓まずに保持することはできない。
【0010】
特許文献2の場合はダイレクトメールに用いられている図であるが、概90度に展開している台紙の支点は特許文献1に比べてしっかりしているが、側面の支持がない分立体的になる可変情報部分の復元力に左右されてしまう。
【0011】
本発明は、低コストで、側面に壁を用いずに簡単に自立し姿勢を維持することができるポップアップカードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のロック機構付きポップアップカードはこのような問題を解決するために、次のような構成とした。
【0013】
二つ折り構造のカード台紙上面(1)とカード台紙下面(2)の内面に立体的に可変情報を表現できるポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)を形成し、二つ折り構造のカード台紙内面の折り目付近左右の端部に、右側箱状ロック構造物(7)・左側箱状ロック構造物(8)を形成する。
【0014】
使用時においては、二つ折り状態にしたポップアップカード台紙上面(1)とカード台紙下面(2)を開き、カード台紙上面(1)が概90度開いたところで右側箱状ロック構造物(7)・左側箱状ロック構造物(8)にある耳片(11)・(12)を折り込み、折込み片(14)を差し込んで右側箱状ロック構造物(7)・左側箱状ロック構造物(8)を組み立てる。
【0015】
右側箱状ロック構造物(7)・左側箱状ロック構造物(8)が完成すると、概90度開いたカード台紙(1)が元に戻ろうとしても、右側箱状ロック構造物(7)・左側箱状ロック構造物(8)が内側から押さえるので起立上体を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ポップアップ構造が立体的になり完全に自立した状態の説明図
【図2】折り畳まれたポップアップ構造が立ち上がろうとしている状態の説明図
【図3】ポップアップ構造が立体的になりかけた状態の説明図
【図4】ポップアップ構造が立体的になった状態の説明図
【図5】図4のX−X断面図の説明図
【図6】ポップアップ構造を90度以上の角度に展開させる時の説明図
【図7】菱形に変形させる第1の例の右側箱状ロック構造物の展開説明図
【図8】菱形に変形させる第2の例の右側箱状ロック構造物の展開説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1はポップアップ構造が立体的になり完全に自立した状態を示している。
二つ折り構造のカード台紙上面(1)とカード台紙下面(2)は、内面に立体的に可変情報を表現できるポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)を形成している。ポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)は粘着剤等でカード台紙下面(2)に貼着する。
【0018】
カード台紙上面(1)とポップアップ構造物(5)・(6)に挟まれる場所に右側箱状ロック構造物(7)と左側箱状ロック構造物(8)をそれぞれ配置する。右側箱状ロック構造物(7)と左側箱状ロック構造物(8)もポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)と同様に粘着剤等でカード台紙下面(2)に貼着する。
右側箱状ロック構造物(7)と左側箱状ロック構造物(8)はポップアップ構造物(5)・(6)に粘着剤等で貼着するが、カード台紙上面(1)に粘着剤等で貼着する必要はない。
【0019】
ポップアップ構造物(3)・(4)は図5に示すように、背面にポップアップ用補助片(15)・(16)を介してカード台紙上面(1)の動作に追従するよう、ポップアップ構造物(3)・(4)と、ポップアップ用補助片(15)・(16)とカード台紙上面(1)とを粘着剤等で貼着する
【0020】
図2から図4を参照して右側箱状ロック構造物(7)と左側箱状ロック構造物(8)の構造を説明する。可動部は第1耳片(11)、第2耳片(12)、蓋板片(13)、折込み片(14)で構成され、ポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)が起立した状態で第1耳片(11)、第2耳片(12)を内側に折り、折込み片(1
4)を右側箱状ロック構造物の背面板(9)に折込む。第1耳片(11)、第2耳片(12)、蓋板片(13)、折込み片(14)は左側箱状ロック構造物(8)にもあるので同様に折込むとポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)は起立状態の位置から動くことはない。
【0021】
図5は図4のX−X断面図である。ポップアップ構造物(3)・(4)が、ポップアップ用補助片(15)・(16)を介してカード台紙上面(1)とカード台紙下面(2)に連動して起立するよう構成している。
【0022】
図6は図5と同じく図4のX−X断面図であるが、展開しているカード台紙上面(1)がカード台紙下面(2)方向に戻ろうとするのを防止するために左側箱状ロック構造物(8)を菱形に変形させている。
【0023】
この図6でY−Yは垂直線であり、カード台紙上面(1)は垂直線から5度右に傾いた状態である。つまり、カード台紙上面(1)がカード台紙下面(2)から95度の角度にある。
【0024】
この角度は実験すると約3度あれば撓みを防止できることが分かったが、図面上では3度の角度が表現しにくいため5度の図にしてある。カード台紙の素材とカードの大きさに応じて適度な角度に傾けるとよい。
【0025】
図7は右側箱状ロック構造物(7)を菱形に変形させる第1の例の展開図である。5度傾いた菱形になるように第1耳片(11a)、第2耳片(12a)、蓋板片(13a)には5度の角度を持たせている。
【0026】
菱形に変形させる第2の例を図8に示す。この構成は四角形にも菱形にもできるようにしてある。隅を切除した第1耳片(11b)と、同じく隅を切除した第2耳片(12b)と切込み(18)を入れた蓋板片(13b)、折込み片(14b)、折込み片(14c)から構成される。
【0027】
四角形にする場合は第1耳片(11a)と第2耳片(12a)と込み片(14c)を折込めばよく、菱形にする場合には第1耳片(11a)と第2耳片(12a)を折込んだ後、ポップアップ構造物(5)を切込み(18)に挟みながら、折込み片(14b)を折込んで完成する。この場合、蓋板片(13)では高さが合わなくなるので少し背の低い蓋板片(13b)となる。
【0028】
図8では切込み(18)を手前に1つだけ設けたが、切込みの位置を変えたり複数設け、蓋板片(13b)の背丈を調整することで、カード台紙上面(1)とポップアップ構造物(3)・(4)・(5)・(6)の全てを連動して90度未満から90度以上の角度まで任意の角度に固定することができる。
【0029】
切込み(18)でポップアップ構造物(5)を挟み込む場合には、切込み(18)の強度が弱いので、切込み(18)に補強を設けてもよい。
【0030】
本説明では右側箱状ロック構造物(7)と左側箱状ロック構造物(8)の2つに分けたが、ポップアップ構造物(5)から(6)にまたがる1つの箱状ロック構造物にして、ポップアップ構造物(3)・(4)を外したり、位置を変更することで、箱状ロック構造物に商品サンプル品を載せることも可能である。また、箱状ロック構造物を階段状に構成したり、右側箱状ロック構造物の背面板(9)と左側箱状ロック構造物の背面板(10)に多角形や円等の穴を開けておくとペンなどの棒状のものや瓶状のものも立てることができるようになり、従来なかったポップアップカードの新しい活用法が可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 カード台紙上面
2 カード台紙下面
3 ポップアップ構造物
4 ポップアップ構造物
5 ポップアップ構造物
6 ポップアップ構造物
7 右側箱状ロック構造物
8 左側箱状ロック構造物
9 右側箱状ロック構造物の背面板
10 左側箱状ロック構造物の背面板
11 第1耳片
11a 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第1の例の第1耳片
11b 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第2の例の第1耳片
12 第2耳片
12a 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第1の例の第2耳片
12b 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第2の例の第2耳片
13 蓋板片
13a 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第1の例の蓋板片
13b 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第2の例の蓋板片
14 折込み片
14a 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第1の例の折込み片
14b 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第2の例の折込み片
14c 右側箱状ロック構造物を四角形のままで使用する際の第2の例の折込み片
15 ポップアップ用補助片
16 ポップアップ用補助片
17 右側箱状ロック構造物の糊代
18 右側箱状ロック構造物を菱形に変形させる際の第2の例の切込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み状態と展開状態に開閉される台紙からなり、この台紙の内面に商品イメージ等を立体的に起立させるポップアップカードにおいて、概90度に展開した台紙と立体的に起立した商品イメージ等が概90度の位置で保持することを特徴とするポップアップカード。
【請求項2】
展開した台紙と、立体的に起立した商品イメージ等が任意の角度で保持することができることを特徴とする請求項1に記載のポップアップカード。
【請求項3】
展開した台紙と、立体的に起立した商品イメージ等に商品サンプル等を立てておくことができることを特徴とする請求項1に記載のポップアップカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114255(P2013−114255A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273845(P2011−273845)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【特許番号】特許第5035649号(P5035649)
【特許公報発行日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(506142004)有限会社高田紙器製作所 (4)
【Fターム(参考)】