説明

ローソク

【課題】 従来のローソクは、ワックスが浸漬された芯を使用しているため、点火しづらく点火に時間を要する不便さがあった。
【解決手段】ローソク本体から突出した燃焼芯を有するローソクであって、該突出した燃焼芯にワックスが被覆され、かつ燃焼芯の先端部のワックス被覆量が、他の突出部に被覆されたワックスの被覆量に対し、5〜50%であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼芯への点火が容易なローソク、特にイベント等で多数のローソクを並べて同時に点火する際、点火時間を大幅に短縮できるローソクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ローソクは燃焼芯に点火した後、ローソク本体への燃焼の移行を良好なものとするため燃焼芯がワックスで被覆されている。ワックスで被覆された燃焼芯を有するローソクは、例えば予め溶融ワックス液中に浸漬して被覆した燃焼芯をローソク本体に埋設させて製造するか、又はワックスで被覆されていない燃焼芯をローソク本体に埋設させた後、燃焼芯のローソク本体から突出した部分を溶融ワックス液中に浸漬して被覆することにより製造される。
【0003】
また、一般に「ウォーマーキャンドル」と呼ばれる小型ローソクは、その使用数量及び目的より安価でなければならず大量生産することで需要に応えている。その生産は、全自動設備で成形されている場合が多く、成形機で燃焼芯を挿入する挿入孔が中心に設けられたローソク本体を成形した後、燃焼芯挿入機で挿入孔にワックスで被覆された燃焼芯を挿入している。ローソク本体に設けられた挿入孔へ芯を確実に挿入させるために、燃焼芯にこしを持たせるため、通常のローソクより多めのワックスが被覆された燃焼芯を使用している。また、最近ローソクの点火時間を短くするために、燃焼芯の先端部に着火剤等を付与させることが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらワックスで被覆された燃焼芯を有するローソクを点火する際、燃焼芯に被覆されたワックスをまず溶融させ、次いで燃焼芯が溶融したワックスを加熱・気化させる必要があるため、ローソクの点火に3〜5秒間かかることは避けられない。さらに、比較的多くのワックスが被覆された燃焼芯を使用する「ウォーマーキャンドル」は、被覆されたワックスの溶融に時間を要するため、さらに点火時間が長くなる。また、燃焼芯の先端部に着火剤等を付与する方法は、取り扱いに注意する必要があり、又コストアップが避けられない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ローソク本体から突出した燃焼芯を有するローソクであって、該突出した燃焼芯にワックスが被覆され、かつ燃焼芯の先端部のワックス被覆量が、他の突出部に被覆されたワックスの被覆量に対し、5〜50%であることを特徴とするローソクであり、本発明のローソクにより、従来のローソクの点火に要する時間の短縮と不便さが解消され、従来行われてきた着火性を高めるために燃焼芯先端部に着火剤等を付与させる必要もない。
さらに、該燃焼芯の先端部がほぐされてなることを特徴とするローソクである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のローソクは、燃焼芯に被覆されたワックスを燃焼芯先端部より除去し燃焼芯を露出させるという簡便安価な対応で、格段に点火時間を短縮させることができる。また、燃焼芯の先端部がほぐされることでいっそう点火しやすくすることができ、点火時間の短縮が可能となる。
【0007】
さらに、点火しやすくすることで、例えばお年寄りが毎日のおつとめでローソクにマッチで点火する際に、点火しにくいということで軸木の火が手元にきて、やけどしたり、火種を落とすなどの危険性を防止することができる。
【0008】
また、ローソクが多数配置された際の点火に要する時間の短縮は、例えば披露宴会場やレストランの場合であれば、短時間に確実に点火できるため作業がスムーズに進み、人を省力化できるなどの利点を生じる。
【0009】
さらにまた、ローソクがさらに多数配置された場合、例えば屋外イベントでの何百、何千のローソクを点火してゆく場合の点火開始と点火終了の時間の短縮は演出上、作業効率上、大きな利点を生み出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のローソクは、予めワックスが被覆された燃焼芯の先端部のワックスを除去した燃焼芯をローソクの成形に用いても良いし、あらかじめ成形しておいたローソク本体の挿入孔に挿入したものでも良い。
【0011】
さらに、ローソクを成形した後に、ワックスが被覆された燃焼芯の先端部のワックスを除去し芯を露出させてもよい。
【0012】
芯の露出手段としては、特に限定されないが、熱で融かしワックスを除去しても良いし、機械的にこそぎとったりしても良い。また、露出芯のほぐし手段に関しても、特に限定されないが、引っかき、芯切断の際にささくれ状に切断しても良い。さらにまた、歯車に挟むことでワックスの除去と露出芯のほぐしを同時に行なっても良い。
【0013】
また、ローソクの燃焼芯の被覆に用いるワックス及びローソク成形に用いられるワックスとは、従来公知のワックスであり限定されるものではなく、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリルアルコールなどの高級アルコール、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルやパームオイル硬化油などの各種硬化油、ポリエチレンワックスなどの合成ワックスなどが用いられ、目的用途に応じ、配合ワックスとして使用できる。
【比較例1】
【0014】
直径36mm、高さ20mm、重量17gの中央部に直径2。2mmの挿入孔を有するローソク本体を使用した。また、市販の135パラフィンワックスにマイクロクリスタリンワックスを30%配合し80℃に溶融させた芯浸漬用ワックス中を燃焼芯を冷却しながら3回くぐらせ直径2mmのワックス被覆処理芯とした。
次ぎに、30mmに切断したワックス被覆芯を上記ローソク本体に挿入装着させ、内径38mm、深長24mmのポリカーボネイト製容器に入れ、さらに開口部径53mm、深長55mmのガラス容器に収容させた。そしてローソクを収容させたガラス容器同士を密着させ横並びに一直線状に12個配置したものを2組用意した。これを比較例1とした。
【比較例2】
【0015】
比較例1のワックス浸漬処理の際の3回くぐらせるところ2回くぐらせる以外は、同様であるものを比較例2とした。
【実施例1】
【0016】
比較例1のワックス浸漬処理の際の3回くぐらせるところ1回くぐらせる以外は、同様であるものを実施例1とした。
【実施例2】
【0017】
比較例1で用いた処理芯で、スチール製のつめ状具で被覆ワックスをこそぎ落としたもの以外は、同様であるものを実施例2とした。
【実施例3】
【0018】
比較例1で用いた処理芯を100℃溶融パラフィンワックスに漬けこみ、被覆ワックスを融かし除去したもの以外は、同様であるものを実施例3とした。なお、ワックスの被覆量は、30mmの長さの各被覆芯の重量を測定し比較例1とし、他は比較例1に対する残存率とした。
【実施例4】
【0019】
実施例2で用いたワックス処理芯を切断する際に、露出芯の編みをほぐすようにしたもの以外は、同様であるものを実施例4とした。
【0020】
まず、比較例1の2組の内、1組目を実験者Aが意識的に早く、点火用ライターを用い、12個すべてのローソクの芯に点火し、点火に要した時間を計測した。次ぎにもう1組の12個のローソクを実験者Bが同様に点火作業を行ない、点火に要した時間を計測した。
【0021】
次ぎに、比較例2及び実施例1ないし実施例4においても同様の作業を行ない、点火に要した時間を計測した。その結果を表1に示す。
【表1】

【0022】
比較例1は、燃焼芯に被覆されたワックスを溶融するのに長時間要し、1個当たりの平均点火時間が3.8秒かかった。
また、比較例2は、比較例1に比べ燃焼芯のワックス被覆量が60%であるためワックスを溶融するのに時間の短縮はあったものの、1個当たりに平均点火時間が3.4秒と、比較例1と比較してわずかな時間短縮にしかならなかった。
【0023】
実施例1は、比較例1に対して燃焼芯のワックス被覆量が33%であり、1個当たりの平均点火時間が3.0秒と点火時間の短縮に効果的となっていた。
また、実施例2及び実施例3に比較例1に対する燃焼芯のワックス被覆量が24%、19%であり、被覆ワックスも容易に溶融でき1個当たりの平均点火時間も、2.8秒、さらに2.3秒と点火が容易となり、点火に要する時間が格段に短縮された。
【0024】
実施例4は、実施例2の燃焼芯の先端部の編みがほぐされており、点火の際に、ほぐされた芯糸に容易に点火し1個当たりの点火時間も1.3秒と格段に点火しやすかった。
【0025】
また、比較例1で用いたワックス被覆芯の先端よりそれぞれ1mm、3mm及び5mmワックスを刺抜きでこそぎ取った燃焼芯を用いた以外は比較例1と同様とし、点火時間の計測を行った。その結果を表2に示すように、すべて点火時間に有意な差を認めなかった。
【表2】

【0026】
このことは、ローソクの燃焼芯への点火時間に影響を与えるのは、燃焼芯の最先端のワックスの被覆量如何であり、さらに該燃焼芯の先端部のほぐれ程度であることがわかった。
ただし、先端部の1mmしか被覆ワックスをこそぎ落としていないものは、点火当初、ゴマ粒ほどの炎でしかなく、少々の風でも容易に消える様であるため少なくとも3〜5mm程度の被覆ワックスの除去が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
点火性に優れ、点火時間を大幅に短縮できるローソクを提供することで、結婚披露宴会場やレストランでの多数のローソクを点火する際、より短時間に点火作業が可能となり点火に要する手間と労苦の軽減がはかれる。さらには、屋外イベントのような何千という多数のローソクの点火作業を効率的に短時間で行なえることより、省力化のみならず、短時間の内に炎の演出表現ができることは見学者により大きな感動と満足感を与えられるなどの演出効果をもたらす。さらに作業時間の短縮、動員人数および人件費の削減などの大きな利点を生み出す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 従来ローソクの正面図である。(比較例1で用いたローソク)
【図2】 本発明のローソクで、燃焼芯の先端部のワックスを除去し芯を露出させたローソクである。(実施例1および実施例2で用いたローソク)
【図3】 図2のローソクの燃焼芯の先端部がほぐされている状態を示す。(実施例4で用いたローソク)
【符号の説明】
【0029】
1 ローソク本体
2 ワックスが被覆されたローソクの燃焼芯
3 燃焼芯先端部の被覆ワックスが除去された芯
4 ほぐされた燃焼芯先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローソク本体から突出した燃焼芯を有するローソクであって、該突出した燃焼芯にワックスが被覆され、かつ燃焼芯の先端部のワックス被覆量が、他の突出部に被覆されたワックスの被覆量に対し、5〜50%であることを特徴とするローソク。
【請求項2】
該燃焼芯の先端部がほぐされてなることを特徴とする請求項1記載のローソク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−327021(P2007−327021A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186074(P2006−186074)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(593121782)ペガサスキヤンドル株式会社 (9)
【Fターム(参考)】