説明

ロータリコネクタの保持装置

【課題】ロータリコネクタの振動を抑制する。
【解決手段】ロータリコネクタ1は、同心配置されて互いに相対回転可能な外側回転部材2及び内側静止部材3を備える。外側回転部材2及び内側静止部材3は回転電気端子2E及び静止電気端子3Eをそれぞれ有すると共にこれら回転電気端子2Eと静止電気端子3Eとを互いに電気的に接続する。保持装置5は3つの保持機構5Mを具備する。各保持機構5Mは、回転軸Sに固定された保持部材5Hと、保持部材5Hと外側回転部材2との間に配置された緩衝部材5Dと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリコネクタの保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに平行な回転軸線周りに互いに逆方向に回転する加工ロール及びアンビルロールを備え、これら加工ロールとアンビルロールとの間に供給されたシート状材料を加工ロールによって加工する、シート状材料加工装置が公知である(特許文献1参照)。ここで、加工にはシート状材料の圧搾及び熱融着、切断などが含まれ、シート状材料にはシート材、シート材積層体などが含まれる。
【0003】
シート状材料を圧搾し熱融着する加工を例にとると、加工ロール又はアンビルロールには、電気ヒータ及び温度センサなどが設けられる。この場合、電気ヒータに電源を供給し温度センサからの信号を受け取るために、電気ヒータ及びセンサを加工装置外部の電源及び制御器にそれぞれ電気的に接続する必要がある。
【0004】
一方、回転電気端子と静止電気端子とを互いに電気的に接続するロータリコネクタであって、同心配置されて互いに相対回転可能な外側回転部材及び内側静部材を備え、外側回転部材及び内側静部材は回転電気端子及び静止電気端子をそれぞれ有するロータリコネクタが公知である(特許文献2参照)。
【0005】
そこで、加工ロール又はアンビルロールの回転軸にロータリコネクタを取り付け、ロータリコネクタの回転電気端子に電気ヒータ等を電気的に接続し、ロータリコネクタの静止電気端子に電源等を電気的に接続し、それによって電気ヒータ等と電源等との間の電気的接続を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−289662号公報
【特許文献2】特開2007−141668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、加工ロール及びアンビルロールが回転しシート状材料が加工されると、加工ロール及びアンビルロールに振動が発生する。特に、加工ロールによってシート状材料が間欠的に圧搾される場合には、圧搾状態と非圧搾状態が交互に繰り返されるので、加工ロール及びアンビルロールに比較的大きな振動が発生する。この振動がロータリコネクタに伝達されると、ロータリコネクタ内部で電気的接触不良が生じ、すなわちロータリコネクタが故障するおそれがある。あるいは、加工ロール又はアンビルロールの回転軸線が正規の回転軸線から逸脱し、振動が増幅されるおそれがある。この問題は、シート状材料の加工速度が高くなるにつれて深刻となる。
【0008】
にもかかわらず、上述の特許文献1,2には、ロータリコネクタをどのように保持するかについて、何ら開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ロータリコネクタの保持装置であって、ロータリコネクタは、同心配置されて互いに相対回転可能な外側回転部材及び内側静止部材を備え、外側回転部材及び内側静止部材は回転電気端子及び静止電気端子をそれぞれ有すると共にこれら回転電気端子と静止電気端子とを互いに電気的に接続し、保持装置は、少なくとも1つの保持機構を具備し、保持機構は、回転体に固定された保持部材と、保持部材と外側回転部材との間に配置された緩衝部材と、を含む、ロータリコネクタの保持装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
ロータリコネクタの振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例によるロータリコネクタの保持装置の端面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿ってみた断面図である。
【図3】本発明の第2実施例によるロータリコネクタの保持装置の端面図である。
【図4】図3の線IV−IVに沿ってみた断面図である。
【図5】シート状材料加工装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2は本発明による第1実施例を示している。図1及び図2を参照すると、ロータリコネクタ1は、リング状の外側回転部材2と、外側回転部材2の内部空間に収容された内側静止部材3とを具備する。これら外側回転部材2及び内側静止部材3は同心配置され、互いに相対回転可能になっている。
【0013】
外側回転部材2の中心部には凸状部2Pが設けられており、この凸状部2Pには回転電気端子2Eが設けられる。一方、内側静止部材3には静止電気端子3Eが設けられる。ロータリコネクタ1はこれら回転電気端子2E及び静止電気端子3Eとを互いに電気的に接続している。なお、図1及び図2において、符号4は外側回転部材2の周囲に設けられたブラケットを示している。
【0014】
このロータリコネクタ1は保持装置5によって、回転軸線K回りに回転可能な回転軸Sの一端に保持される。この場合、ロータリコネクタ1は、ロータリコネクタ1の回転軸線が回転軸Sの回転軸線Kに一致するように保持される。
【0015】
保持装置5は少なくとも1つの保持機構5Mを具備する。本発明による実施例では、保持装置5は3つの保持機構5Mを具備し、これら保持機構5Mはロータリコネクタ1の周方向にほぼ等間隔に互いに離間して配置される。
【0016】
各保持機構5Mは、回転軸線Kにほぼ平行に延びる保持部材5Hを含む。この保持部材5Hは、金属又は樹脂といった剛性を有する材料から構成され、ボルト及びナットのような固定具5Fによって回転体Sに固定される。
【0017】
各保持機構5Mはまた、保持部材5Hとブラケット4との間、すなわち保持部材5Hとロータリコネクタ1の外側回転部材2との間に圧縮状態で配置された緩衝部材5Dを含む。図1及び図2に示される例では、緩衝部材5Dは例えばフェルトのような不織布から構成される。しかしながら、緩衝部材5Dをバネ、ゴム、ゲル、スポンジ(発泡体)のような弾性体などから構成することもできる。
【0018】
なお、このように保持装置5が複数の保持機構5Mを具備する場合には保持機構5Mの数は少なくとも3つが好ましい。変更可能には、保持装置5は単一の保持機構5Mを具備することもできる。この場合、保持機構5Mは、それぞれリング状ないし筒状の保持部材5H及び緩衝部材5Dを具備することができる。
【0019】
使用時には、ロータリコネクタ1が保持装置5によって回転体Sに固定される。また、ロータリコネクタ1の回転電気端子2EがコネクタCRを介して、回転体Sと共に回転する回転電気機器に電気的に接続される。同様に、ロータリコネクタ1の静止電気端子3EがコネクタCSを介して、回転体Sの外部に定置された静止電気機器に電気的に接続される。その結果、回転電気機器と静止電気機器がロータリコネクタ1により互いに電気的に接続される。この場合、回転体Sが回転し回転電気機器が回転しても、回転電気機器と静止電気機器との間の電気的接続がロータリコネクタ1によって維持される。
【0020】
回転体Sの回転に伴って振動が生ずる。しかしながら、回転体Sとロータリコネクタ1との間には緩衝部材5Dが設けられているので、ロータリコネクタ1に振動が伝達されるのが抑制される。その結果、ロータリコネクタ1の寿命を長くすることができる。
【0021】
なお、回転電気機器には電気ヒータ、温度センサ、圧力センサなどが含まれ、静止電気機器には電源、コンピュータのような制御器などが含まれる。
【0022】
図3及び図4は本発明による第2実施例を示している。図3及び図4を参照すると、各保持機構5Mは、緩衝特性が互いに異なる複数、例えば2つの緩衝部材5D1,5D2を具備する。これら緩衝部材5D1,5D2は保持部材5Hと外側回転部材2との間に並列して配置される。
【0023】
図3及び図4に示される例では、緩衝部材5D1は複数、例えば2つのバネから構成され、緩衝部材5D2は不織布から構成される。
【0024】
具体的に説明すると、各保持機構5Mはブラケット4に当接する板状部材5Pと、板状部材5Pに固定された案内部材5Gとを更に含む。案内部材5Gは保持部材5Hに形成された貫通孔を通過して延び、したがって板状部材5P及び案内部材5Gは保持部材5Hに対し移動可能になっている。緩衝部材5D1は板状部材5Pと保持部材5Hとの間に圧縮状態で配置される。
【0025】
また、保持部材5Hには、板状部材5Pに対する位置を調節可能な押圧部材5DPが取り付けられる。緩衝部材5D2は板状部材5Pと押圧部材5DPとの間に圧縮状態で配置される。すなわち、押圧部材5DPは緩衝部材5D2が圧縮されるように緩衝部材5D2を板状部材5Pに向けて押圧する。
【0026】
このようにすると、互いに異なる複数の周波数を有する振動を緩衝することができる。その結果、ロータリコネクタ1に伝達される振動を更に良好に抑制することができる。
【0027】
図5は本発明をシート状材料加工装置WMに適用した場合を示している。図5を参照すると、シート状材料加工装置WMは、互いに平行な回転軸線周りに互いに逆方向に回転する加工ロールWR及びアンビルロールARを備え、これら加工ロールWRとアンビルロールARとの間に供給されたシート状材料を加工ロールWRによって加工する。
【0028】
加工ロールWRの回転軸SW及びアンビルロールARの回転軸SAはそれぞれ対応するベアリングBW,BAを介してフレームFに回転可能に支持される。
【0029】
加工ロールWRの回転軸SW及びアンビルロールARの回転軸SAには、本発明による保持装置5W,5Aによってロータリコネクタ1W,1Aがそれぞれ保持される。
【0030】
加工ロールWRには電気ヒータHTW及び温度センサSSWといった回転電気機器が設けられ、アンビルロールARにも電気ヒータHTA及び温度センサSSAといった回転電気機器が設けられる。また、加工装置WM外部には電源PS及び制御器CTといった静止電気機器が設けられる。
【0031】
電気ヒータHTW,HTAはそれぞれ対応するロータリコネクタ1W,1Aを介して電源PSに電気的に接続され、温度センサSSW,SSAはそれぞれ対応するロータリコネクタ1W,1Aを介して制御器CTに電気的に接続される。
【0032】
なお、シート状加工装置WMによる加工には、シート状材料の圧搾及び熱融着、切断などが含まれる。一方、シート状材料にはシート材、シート材積層体などが含まれ、これらシート状材料は例えばオムツや生理用ナプキンのような吸収性物品を製造するのに用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1,1W,1A ロータリコネクタ
2 外側回転部材
2E 回転電気端子
3 内側静止部材
3E 静止電気端子
5 保持装置
5M 保持機構
5H 保持部材
5D 緩衝部材
S 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリコネクタの保持装置であって、ロータリコネクタは、同心配置されて互いに相対回転可能な外側回転部材及び内側静止部材を備え、外側回転部材及び内側静止部材は回転電気端子及び静止電気端子をそれぞれ有すると共にこれら回転電気端子と静止電気端子とを互いに電気的に接続し、
保持装置は、少なくとも1つの保持機構を具備し、
保持機構は、
回転体に固定された保持部材と、
保持部材と外側回転部材との間に配置された緩衝部材と、
を含む、ロータリコネクタの保持装置。
【請求項2】
前記緩衝部材が、緩衝特性が互いに異なる複数の緩衝部材を具備し、これら緩衝部材は前記保持部材と前記外側回転部材との間に並列して配置される、請求項1に記載のロータリコネクタの保持装置。
【請求項3】
少なくとも3つの保持機構を具備し、これら保持機構はロータリコネクタの周方向に互いに離間されて配置される、請求項1又は2に記載のロータリコネクタの保持装置。
【請求項4】
前記回転軸が、シート状材料加工装置のローラの回転軸から構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載のロータリコネクタの保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−138292(P2012−138292A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290832(P2010−290832)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)