説明

ロータリーカッタ機構

【課題】装置を小型に構成することを可能としつつ、切断した被切断物が回転刃に貼り付き難くすることが可能なロータリーカッタ機構を提供する。
【解決手段】ロータリーカッタ機構は、回転刃621と対向刃631とを備えている。回転刃621は軸心O回りに回転可能である。回転刃621は、軸心Oから離れる方向である第一方向側の端部に第一刃先部621Aを備えている。第一刃先部621Aは、軸心Oの軸線方向に幅を有する。回転刃621の回転方向側には、突出部材50が設けられている。突出部材50は、回転刃621から回転方向側に突出する。対向刃631は、第二刃先部631Aを備えている。第二刃先部631Aは、第一刃先部621Aが描く回転軌跡80に対向している。ラベル用テープ3Aを切断する場合、突出部材50がラベル用テープ3Aを回転方向側に押す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断物を切断するロータリーカッタ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される被切断物を切断するロータリーカッタ機構が知られている。例えば、特許文献1に記載のシート貼付装置には、粘着テープを切断するロータリーカッタが備えられている。シート貼付装置は、ロータリーカッタとは別途設けられたローラで粘着テープを紙札に対して押え付けながら、ロータリーカッタで粘着テープを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロータリーカッタ機構において粘着テープを切断する場合、複数回の切断によって、ロータリーカッタの回転刃の刃先に粘着テープの粘着剤が堆積する場合がある。この状態で粘着テープを切断すると、ロータリーカッタの回転刃の刃先に堆積した粘着剤に、切断した粘着テープの端部が貼り付く場合があるという問題点があった。この結果、例えば、切断後の粘着テープが回転刃と共に回転し、次回の粘着テープの切断が正常に行えない虞があった。また、特許文献1に記載のシート貼付装置のように、粘着テープをローラによって紙札に押え付けながら、ロータリーカッタによって粘着テープを切断した場合、ローラによって粘着テープが引っ張られるため、粘着テープが回転刃に貼り付き難いと考えられる。しかし、ローラを別途設ける必要があるため、ロータリーカッタ機構を備える装置が大型化するという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、装置を小型に構成することを可能としつつ、切断した被切断物が回転刃に貼り付き難くすることが可能なロータリーカッタ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロータリーカッタ機構は、軸心回りに回転可能に設けられた回転刃であって、前記軸心から離れる方向である第一方向側の端部に前記軸心の軸線方向に幅を有する第一刃先部を備える回転刃と、回転する前記回転刃の前記第一刃先部が描く軌跡に対向して設けられ、前記軸線方向に幅を有する第二刃先部を備え、回転する前記回転刃の前記第一刃先部と前記第二刃先部との間で被切断物を切断する対向刃と、前記回転刃の前記第一方向側の端部に設けられ、前記対向刃との間で前記被切断物を切断する方向である回転方向側に前記回転刃から突出する突出部材とを備えている。
【0007】
例えば、被切断物が粘着テープ等である場合、回転刃と対向刃とによる被切断物の切断を繰り返すと、回転刃の第一刃先部には粘着剤が堆積する。しかし、回転刃の第一方向側の端部には、突出部材が設けられている。突出部材は回転刃から回転方向側に突出しているため、突出部材は、回転刃が被切断物を切断する直前に被切断物を押す。このため、回転刃と対向刃とが被切断物を切断した直後に、切断された被切断物が第一刃先部に対して斜めになる。よって、第一刃先部に堆積した粘着剤に被切断物が接触する接触面積が小さくなる。この場合、回転刃の遠心力や被切断物の剛性(いわゆるコシ)等によって、切断された被切断物が第一刃先部から離れ易くなる。よって、回転刃の第一刃先部に被切断物が貼り付き難くすることができる。また、突出部材は、回転刃に設けられているため、回転刃と離れたところに、被切断物が回転刃に貼り付くことを防止する部材を設ける必要がない。よって、ロータリーカッタ機構を小型に形成することができ、ひいては、ロータリーカッタ機構を備える装置を小型に形成することができる。
【0008】
前記ロータリーカッタ機構において、前記突出部材は、前記回転刃の前記第一方側の端部において、前記第一刃先部が延びる方向に複数設けられ、前記複数の突出部材は、それぞれ離間していてもよい。この場合、複数の突出部材の間に隙間が存在する。被切断物が切断されると、第一刃先部が延びる方向において、突出部材の隙間に位置する被切断物の部位と、突出部材に押される被切断物の部位とができ、被切断物が若干撓む。この撓みが発生すると、被切断物には、その剛性によって撓みを解消するように力が働く。この剛性による力によって、被切断物が第一刃先部から離れ易くなる。よって、被切断物が回転刃にさらに貼り付き難くなる。
【0009】
前記ロータリーカッタ機構において、前記第一刃先部が延びる線は、前記第二刃先部が延びる線に対して傾斜しており、前記回転刃が回転して前記被切断物を切断する場合に、前記第一刃先部は、前記第一刃先部の一端から他端に向けて順に前記第二刃先部と交差してもよい。この場合、第一刃先部は、第一刃先部の一端から他端に向けて順に第二刃先部と交差するので、被切断物は、第一刃先部の一端側の位置する部位から他端側に位置する部位に向けて順に切断される。よって、被切断物が、第一刃先部の延びる方向に亘って一度に切断される場合よりも、切断を行う際の被切断物の抵抗を抑えることができ、確実に被切断物を切断することができる。つまり、ロータリーカッタ機構は、被切断物を確実に切断しつつ、被切断物を回転刃に貼り付き難くすることができる。
【0010】
前記ロータリーカッタ機構において、前記突出部材は、前記回転刃の前記第一方向側の端部における前記他端側の部位に設けられてもよい。第一刃先部の他端側は、被切断物を最後に切断する部位である。この部位に突出部材を設けると、被切断物の最後に切断される部分が、第一刃先部に堆積した粘着剤に接触する接触面積が小さくなる。この場合、回転刃の遠心力や被切断物の剛性等によって、被切断物の最後に切断される部分が第一刃先部から離れ、その離れた部分を起点にして被切断物全体が第一刃先部から離れる。よって、突出部材を設ける面積を小さくしつつ、被切断物が回転刃の第一刃先部に貼り付き難くすることができる。
【0011】
前記ロータリーカッタ機構において、前記突出部材は、前記回転刃の前記第一方向側の端部における前記一端側の部位に設けられてもよい。第一刃先部の一端側は、被切断物を最初に切断する部位である。この部位に突出部材を設けると、被切断物の最初に切断される部分が、第一刃先部に堆積した粘着剤に接触する接触面積が小さくなる。この場合、回転刃の遠心力や被切断物の剛性等によって、被切断物の最初に切断される部分が第一刃先部から離れ、その離れた部分を起点にして被切断物全体が第一刃先部から離れる。よって、突出部材を設ける面積を小さくしつつ、被切断物が回転刃の第一刃先部に貼り付き難くすることができる。
【0012】
前記ロータリーカッタ機構において、前記突出部材は、前記第一刃先部の前記第一方向側の先端より前記軸心側に設けられてもよい。この場合、第一刃先部の第一方向側の先端と突出部材との間に隙間が存在する。仮に隙間がない場合、被切断物が切断される際に、突出部材が対向刃の第二刃先部に接近する。この場合、突出部材に押された被切断物は、対向刃の第二刃先部と突出部材との間で折れ曲がり、回転刃の回転方向の接線と平行になる。すなわち、被切断物が、回転刃の回転方向と同一の方向を向く。よって、回転刃は、被切断物を切断し難くなる。一方、隙間がある場合、突出部材によって押された被切断物は、対向刃の第二刃先部で折れ曲がり、突出部材の回転方向側の端部に向かって斜めに延びる。この場合、被切断物が延びる方向と回転刃が回転する方向とが交差するため、被切断物を確実に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るロータリーカッタ機構を備えたラベル作成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したラベル作成装置の正面図である。
【図3】ラベル作成装置本体を右側面側から見た断面図である。
【図4】印字ラベルの平面図である。
【図5】図1に示したロータリーカッタ機構の斜視図である。
【図6】ロータリーカッタ機構を他の方向から見た斜視図である。
【図7】ロータリーカッタ機構をさらに他の方向から見た斜視図である。
【図8】ロータリーカッタ機構の平面図である。
【図9】ロータリーカッタ機構の背面図である。
【図10】図9における回転刃を下側から見た図である。
【図11】回転刃の第一刃先部に粘着剤が堆積した様子を示す側面図である。
【図12】回転刃が回転してラベル用テープを切断する様子を示す図である。る。
【図13】切断された直後のラベル用テープの状態を示す、回転刃を第一刃先部側から見た図である。
【図14】図10における突出部材の変形例を示す、回転刃を下側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明のロータリーカッタ機構を、印字装置としてのラベル作成装置に適用した場合の実施形態である。以下の説明では、図1の紙面上側、下側、左下側、右上側、左上側、右下側を、それぞれラベル作成装置500の上側、下側、前側、後側、左側、右側と定義して説明する。
【0015】
図1に示すように、ラベル作成装置500は、ラベル作成装置本体1とロータリーカッタ機構6とを備えている。まず、ラベル作成装置本体1の構成を、図1、図2、及び図3を用いて説明する。ラベル作成装置本体1は、長尺状のラベル用テープ3A(図3参照)に種々のキャラクタ(文字、数字、及び図形等)を印字する装置である。図1に示すように、ラベル作成装置本体1は、前後方向に長く、上面が弧状に丸みをおびた直方体の形状をしている。ラベル作成装置本体1は、ラベル作成装置本体1の本体をなす筐体2と、筐体2の上面の一部を覆うカバー5を備えている。筐体2の前端部の上面には、電源スイッチ7や種々の入力キー(図示略)が設けられている。
【0016】
電源スイッチ7の後側には、カバー5が設けられている。カバー5は、ラベル作成装置本体1の後端部の左右方向を支点として開閉自在である。電源スイッチ7とカバー5との間には、カバー5の前端部と筐体2とによって形成された左右方向に長い排出口21が設けられている。印字後のラベル用テープ3A(図3参照)は、排出口21から排出される。
【0017】
図3に示すように、カバー5の下側におけるラベル作成装置本体1の内部の後部には、テープホルダ収納部4が設けられている。テープホルダ収納部4は、側面視で円弧状に下方に凹んでいる。テープホルダ収納部4には、テープホルダ3がその軸線を左右方向に向けて収納されている。テープホルダ3は、所定幅のラベル用テープ3Aが所定の外周径を有する巻芯3Bにロール状に巻回されることで構成されている。巻芯3Bの内周側には、略筒状形状のホルダ軸部材40が設けられている。ホルダ軸部材40は、テープホルダ3を回転可能に支持する。カバー5が開かれている場合、テープホルダ3はテープホルダ収納部4に対して着脱可能である。
【0018】
本実施形態では、ラベル用テープ3Aは、3層構造となっている(図3の部分拡大図参照)。より詳細には、ラベル用テープ3Aは、ロールの外側に巻かれる側(図3の部分拡大図の上側)よりその反対側(図3の部分拡大図の下側)へ向かって、剥離紙301、粘着剤35の層302(以下、「粘着層302」という。)、自己発色性を有する長尺状の感熱紙(いわゆる、サーマルペーパー)303の順序で積層され構成されている。言い換えると、感熱紙303の裏側には、粘着層302によって剥離紙301が接着されている。この剥離紙301は、最終的に完成した印字ラベル305(図4参照)が所定の物品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層302により当該物品等に接着できるようにしたものである。
【0019】
ラベル用テープ3Aのテープホルダ3からの引き出し位置の搬送方向下流側には、所望の印字を行うサーマルヘッド31が設けられている。サーマルヘッド31の上方には、サーマルヘッド31と対向するプラテンローラ26が設けられている。プラテンローラ26は、巻芯3Bに巻回されたラベル用テープ3Aを引き出し、排出口21に至る搬送経路に搬送する。
【0020】
筐体2において、テープホルダ収納部4の左前方には、プラテンローラ26を上下動させるためのレバー(図示略)が設けられている。カバー5が開かれると、巻きバネ(図示略)の付勢力によってレバーが上方に回動し、ローラホルダ25が上方に移動する。これによって、プラテンローラ26がサーマルヘッド31及びラベル用テープ3Aから離間する。この場合、ラベル作成装置本体1は印字不能な状態になる。ユーザは、カバー5を開いた状態で、テープホルダ3を着脱可能である。
【0021】
カバー5が閉じられると、レバーがカバー5によって下方に押圧され、ローラホルダ25が下方に移動する。これによって、プラテンローラ26がラベル用テープ3Aをサーマルヘッド31に押圧する(図3参照)。この場合、ラベル作成装置本体1は印字可能な状態になる。この状態で、プラテンローラ26がパルスモータ(あるいはステッピングモータ)等により回転駆動され、サーマルヘッド31が駆動制御されることによって、ラベル用テープ3Aが搬送される。そして、ラベル用テープが搬送されながら、ラベル用テープ3Aに備えられた印字領域(図示せず)に対してサーマルヘッド31によって所望の印字が行われる。印字済みのラベル用テープ3Aは、排出口21から排出されてから後述するロータリーカッタ機構6によって所望の長さに切断され、印字ラベル305(図4参照)が生成される。なお、図1及び図5中の破線が、搬送されるラベル用テープ3Aの搬送経路を示している。
【0022】
なお、図1に示すように、ラベル作成装置本体1の前方側(排出口21の搬送方向下流側)には、ガイド用載置台700が設置されている。このガイド用載置台700からさらに搬送方向下流側には、ロータリーカッタ機構6が配置されている。ガイド用載置台700は、排出口21から排出された印字済のラベル用テープ3Aを、ロータリーカッタ機構6の回転刃621(図9参照)と対向刃631(図9参照)との間に導く。回転刃621と対向刃631とは、ラベル用テープ3Aを切断する。
【0023】
ロータリーカッタ機構6によってラベル用テープ3Aが切断されることで形成された印字ラベル305の一例を図4に示す。印字ラベル305は、図3のラベル用テープ3Aの部分拡大図に示すように、3層構造となっており、表面側よりその反対側へ向かって、感熱紙303、粘着層302、剥離紙301の順で積層している。そして、感熱紙303の表面に印字306(図4に示す例では「AA−AA」の文字)が印字されている。
【0024】
次に、図5〜図10を参照して、ロータリーカッタ機構6について説明する。図5〜図9に示すように、ロータリーカッタ機構6は、筐体612と、回転体620と、保持体630とを備えている。そして、ロータリーカッタ機構6は、サーマルヘッド31によって印字された状態のラベル用テープ3Aに対し、回転刃621(後述)と、対向刃631(後述)との協働によって直線的な切断を行う。
【0025】
筐体612は、第一壁部613、第二壁部614、及び接続部611を備えている。第一壁部613は、筐体612の右端をなす壁部であり、ロータリーカッタ機構6の右部において、上斜め後方に向かって延びる。第二壁部614は、筐体612の左端をなす壁部であり、ロータリーカッタ機構6の左部において、上斜め後方に向かって延びる。接続部611は、第一壁部613の下部と第二壁部614の下部との間を接続する。接続部611は、筐体612の下部の壁部をなし、その前後の端部が上方に折れ曲がり、やや上側に延びる(図7参照)。
【0026】
なお、図2に示すように、ロータリーカッタ機構6は、筐体612の第一壁部613及び第二壁部614の面方向が鉛直方向からやや左側に傾斜した姿勢で配置される。しかし、説明の便宜及び図示の見易さのために、図5〜図9においては、筐体612を鉛直方向に戻した姿勢で図示を行っている。
【0027】
図5〜図9に示すように、回転体620は、第一壁部613と第二壁部614との間に設けられている。回転体620は、対向刃リットカム616、第一ブラケット622(図5参照)、第二ブラケット623(図7参照)、回転軸650、及び回転刃取付部624を備えている。対向刃リットカム616は、第二壁部614の右側に設けられている。対向刃リットカム616は、回転軸650の周囲に設けられており、回転軸650の回転に伴って回転する。対向刃リットカム616は、軸心Oを軸線とする円柱状の形状をしており、その円柱の外周側面の一部には、先端が漸減するように円柱の一部が切り欠かれた切欠部618が設けられている。切欠部618は、対向刃リットカム616における回転刃621の右側に位置する部位に設けられている。対向刃リットカム616の外周側面において、切欠部618以外の部位は、押圧面617である。押圧面617は、対向刃631の受部644(後述)を後方向に押すための面である。第一ブラケット622は、第二壁部614の右側に設けられている(図5参照)。第二ブラケット623は、第一壁部613の左側に設けられている(図7参照)。回転軸650は、第一ブラケット622と第二ブラケット623との間を接続するように延び、且つ、軸心O回りに回転可能に筐体612に設けられている。回転刃取付部624は、回転軸650に設けられ、左右方向に延びる。回転刃取付部624は、回転刃621を支持している。回転刃621は、回転軸650の回転に伴って軸心O回りに回転する。
【0028】
回転刃621は、軸心Oから離れる方向である第一方向(径方向の外側へ向かう方向)に延びると共に左右方向に延びる、左右方向に長い板状の形状をしている。回転刃621の左右方向の長さは、回転刃取付部624の左右方向の長さよりやや短い。回転刃621の第一方向側の端部(つまり、回転する回転刃621の外周側の端部)には、軸心Oの軸線方向に幅(本実施形態では左右方向への幅)を有する第一刃先部621Aが設けられている。回転体620が回転すると、第一刃先部621Aは軸心Oを中心とした回転軌跡80を描く(図12参照)。回転刃621の回転方向(対向刃631との間でラベル用テープ3Aを切断する方向)は、図12に示す矢印81の方向である。このため、第一刃先部621Aは、第二刃先部631Aに対して上側から下側に向かって移動しつつ、ラベル用テープ3Aを切断する。
【0029】
図9及び図10に示すように、回転刃621には、回転方向側に回転刃621から突出する突出部材50が設けられている。突出部材50は、第一刃先部621Aの延びる方向(図10では紙面左右方向)に複数設けられている。突出部材50は、第一刃先部621Aの第一方向側(図10では紙面上側)の先端よりやや軸心O側(図10では紙面下側)に設けられている。より詳細には、突出部材50は、厚みを有するシート(例えば、合成樹脂製のシート等)である。複数の突出部材50は、それぞれ離間しており、回転刃621の左部、中央部、及び右部に設けられている。突出部材50は、図示略の両面粘着テープによって回転刃621の回転方向側の面に貼り付けられている。突出部材50の厚みは、例えば、1mmである。
【0030】
図6、図8、及び図9に示すように、保持体630は、固定刃としての対向刃631を備えた板状の保持部632を有している。保持部632は、左右両端部に延出部634を備えており、この左右の延出部634を介し、揺動支持機構635(図7参照)によって筐体612に対し揺動可能に支持されている。
【0031】
図6及び図7に示すように、揺動支持機構635は、左右一対のヒンジアーム641、支持軸636、及び巻きバネ637を備えている。左右一対のヒンジアーム641は、筐体612の下部の壁部をなす接続部611から上方に向けて立設されている。支持軸636は、左右一対のヒンジアーム641に回動可能に挿通されている。支持軸636の両端には、保持部632の左右の端部から下方に延びる延出部634が固定されている。支持軸636の左端部の周囲には、巻きバネ637が巻回されている(図6参照)。巻きバネ637の一端(後端)は、接続部611の後端部の壁部に固定され、巻きバネ637の他端(上端)は保持部632の後部に当接している。保持部632は、左右の延出部634に固定された支持軸636がヒンジアーム641に揺動可能に支持されることで、筐体612に対し前後に揺動可能である。巻きバネ637は、保持部632を前方(言い換えれば回転体620へ向かう方向)へ向かって付勢する。この結果、保持部632は、第一刃先部621Aの回転軌跡80(図12参照)に対して遠近可能となるように、筐体612に対し揺動可能となる。なお、ラベル用テープ3Aが切断される場合、第一刃先部621Aが、第二刃先部631Aと交差する前に、対向刃リットカム616の押圧面617が対向刃631の受部644(後述)に当接して回転軌跡80から離れる方向に押すことで、第二刃先部631Aが回転軌跡80からやや離間する。その後、対向刃リットカム616の切欠部618が、受部644と対向すると、巻きバネ637の付勢力によって第二刃先部631Aが回転軌跡80側に移動する。そして、第二刃先部631Aが回転軌跡80側に付勢されながら、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとによってラベル用テープ3Aが切断される。
【0032】
図6及び図7に示すように、保持部632の後面には、対向刃631がネジ633で固定されている。対向刃631は、保持部632の上端よりも上方に突出する。対向刃631は、回転する回転刃621の第一刃先部621Aが描く回転軌跡80に対向している(図12(a)〜(c)参照)。対向刃631の左上部には、上方に突出する受部644が設けられている。受部644は、対向刃リットカム616の押圧面617によって後側に押される部位である。対向刃631の上端において、受部644の右側には、第二刃先部631Aが設けられている。第二刃先部631Aは軸心Oの軸線方向に幅を有する。第二刃先部631Aは、回転する回転刃621の第一刃先部621Aとの間でラベル用テープ3Aを切断する。第一刃先部621Aが延びる線(左右方向)は、第二刃先部631Aが延びる線(やや左上に延びる方向)に対して傾斜している。このため、回転刃621が回転してラベル用テープ3Aを切断する場合に、第一刃先部621Aは第一刃先部621Aの一端(左端)から他端(右端)に向けて順に第二刃先部631Aと交差する。この状態で、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとの間にラベル用テープ3Aを導入することによって、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aは、左端部においてラベル用テープ3Aへの切り込みを開始した後、徐々に右方へと直線的にラベル用テープ3Aを切り進めることができる。また、第一刃先部621Aが延びる線は、第二刃先部631Aが延びる線に対して傾斜しているので、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとがラベル用テープ3Aを切断する場合に、いわゆるシャー角を形成しつつ切断する。
【0033】
回転刃621を回転させる駆動力の伝達について説明する。図5に示すように、筐体612の第二壁部614側の下方には、回転体620の駆動手段として機能するモータ638が設けられている。図7に示すように、第二壁部614の左面には、第二壁部614を貫通したモータ638の駆動軸651と第二壁部614を貫通した回転体620の回転軸650との間を作動連結可能な、ギア列からなる駆動伝達機構639が設けられている。モータ638は、回転刃621の第一刃先部621Aが上方から対向刃631の第二刃先部631Aに近接してゆく方向に、駆動伝達機構639を介して回転体620を回転する。これにより、回転体620と保持体630との間に挿入されたラベル用テープ3Aが、搬送停止することなく走行状態で切断される。
【0034】
ロータリーカッタ機構6においてラベル用テープ3Aの切断が行われると、ラベル用テープ3Aの粘着層302の粘着剤35が第一刃先部621Aの先端に付着する。そして、ラベル用テープ3Aの切断が継続されると、図11に示すように、第一刃先部621Aの先端に粘着剤35が堆積する。このため、切断後のラベル用テープ3Aが第一刃先部621Aに堆積した粘着剤35に貼り付き易くなる。しかし、本実施形態では、第一刃先部621Aの先端に堆積した粘着剤35に切断後のラベル用テープ3Aが貼り付き難くするために、突出部材50が設けられている。以下、ラベル用テープ3Aが第一刃先部621Aに貼り付かないように、ラベル用テープ3Aを切断する態様について説明する。
【0035】
図12(a)に示すように、ラベル用テープ3Aを切断する場合、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとがラベル用テープ3Aを切断する直前に、突出部材50がラベル用テープ3Aを回転方向に押す。これによって、ラベル用テープ3Aが回転方向側に斜めに折れ曲がる。このため、図12(b)に示すように、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとがラベル用テープ3Aを切断した直後に、切断されたラベル用テープ3Aが第一刃先部621Aに対して斜めになる。よって、第一刃先部621Aに堆積した粘着剤35(図11参照)にラベル用テープ3Aが接触する接触面積が小さくなる。そして、ラベル用テープ3Aの右端から左端まで全て切断されると、粘着剤35とラベル用テープ3Aとの接触面積が小さいため、図12(c)に示すように、回転刃621の遠心力や、ラベル用テープ3Aの剛性(いわゆるコシ)等によって、切断されたラベル用テープ3Aが第一刃先部621Aから容易に離れる。このように、本実施形態では、ラベル用テープ3Aが第一刃先部621Aに貼り付き難くすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、複数の突出部材50が設けられ、複数の突出部材50はそれぞれ離間している。この場合、複数の突出部材50に隙間が存在する。この場合において、ラベル用テープ3Aが切断されると、図13に示すように、突出部材50同士の隙間に位置するラベル用テープ3Aの部位308と、突出部材50に押されるラベル用テープ3Aの部位309とができ、ラベル用テープ3Aが若干撓む。この撓みが発生すると、ラベル用テープ3Aには、その剛性によって撓みを解消するように力が働く。これによって、ラベル用テープ3Aがわずかに動いたり、粘着剤35から離れる方向に力が働いたりして、ラベル用テープ3Aが第一刃先部621Aからさらに離れ易くなる。よって、ラベル用テープ3Aが回転刃621にさらに貼り付き難くなる。
【0037】
以上のように、本実施形態におけるラベル作成装置本体1及びロータリーカッタ機構6が構成される。本実施形態では、回転刃621の第一刃先部621Aにラベル用テープ3Aが貼り付き難くすることができる。このため、例えば、切断後のラベル用テープ3Aが回転刃621に貼り付いて回転刃621と共に回転し、次回のラベル用テープ3Aの切断時に、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとの間に巻き込まれることが防止される。
【0038】
また、回転刃621にラベル用テープ3Aが貼り付き難くする突出部材50は、回転刃621に設けられている。このため、回転刃621と離れたところに、例えば、ラベル用テープ3Aを引っ張るためのローラ等、ラベル用テープ3Aが回転刃621に貼り付き難くする部材を設ける必要がない。よって、ロータリーカッタ機構6を小型に形成することができ、ひいては、ロータリーカッタ機構6を備えるラベル作成装置500を小型に形成することができる。
【0039】
また、前述したように、第一刃先部621Aが延びる線(左右方向)は、第二刃先部631Aが延びる線(やや左上に延びる方向)に対して傾斜している。この場合、第一刃先部621Aは、第一刃先部621Aの一端(左端)から他端(右端)に向けて順に第二刃先部631Aと交差するので、ラベル用テープ3Aは、第一刃先部621Aの一端側の位置する部位から他端側に位置する部位に向けて順に切断される。よって、ラベル用テープ3Aが、第一刃先部の延びる方向に亘って一度に切断される場合よりも、切断を行う際のラベル用テープ3Aからの抵抗を抑えることができ、確実にラベル用テープ3Aを切断することができる。言い換えると、第一刃先部621Aと第二刃先部631Aとがシャー角を形成しつつラベル用テープ3Aを切断するので、比較的小さいせん断力で円滑に切断を行うことができる。このように、ロータリーカッタ機構6は、ラベル用テープ3Aを確実に切断しつつ、ラベル用テープ3Aを回転刃621にさらに貼り付き難くすることができる。
【0040】
また、突出部材50は、第一刃先部621Aの第一方向側の先端より、軸心O側(図10の紙面下側)に設けられている。この場合、第一刃先部621Aの第一方向側の端と突出部材50との間に隙間60が存在する(図10及び図12(a)〜(c)参照)。仮に隙間60が無い場合、ラベル用テープ3Aが切断される際に、突出部材50が対向刃631の第二刃先部631Aに接近する。この場合、突出部材50に押されたラベル用テープ3Aは、対向刃631の第二刃先部631Aと突出部材50との間で折れ曲がり、回転刃621の回転方向の接線(図12(b)では、上下方向)と平行になる。すなわち、ラベル用テープ3Aが、回転刃621の回転方向と同一の方向を向く。よって、回転刃621は、ラベル用テープ3Aを切断し難くなる。一方、隙間60がある場合、突出部材50によって押されたラベル用テープ3Aは、対向刃631の第二刃先部631Aで折れ曲がり、図12(a)(b)に示すように、突出部材50の回転方向側の端部に向かって斜めに延びる。この場合、ラベル用テープ3Aが延びる方向と回転刃621が回転する方向とが交差するため、ラベル用テープ3Aを確実に切断することができる。
【0041】
上記実施形態において、ラベル用テープ3Aが本発明の「被切断物」に相当し、回転軌跡80が本発明の「軌跡」に相当する。なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、突出部材50は複数設けられていたが、これに限定されない。例えば、図14(a)に示すように、突出部材50は、第一刃先部621Aが延びる方向に長い1枚のシートであってもよい。この場合でも、上記実施形態と同様に、切断後のラベル用テープ3Aと第一刃先部621Aとの接触面積が小さくなる。よって、ロータリーカッタ機構6及びラベル作成装置500を小型に構成しつつ、切断後のラベル用テープ3Aが回転刃621に貼り付き難くすることができる。
【0042】
また、図14(b)に示すように、突出部材50は、回転刃621の第一方向側の端部における右端側(図14(b)の紙面左側)の部位に設けてもよい。第一刃先部621Aの右端側の部位は、ラベル用テープ3Aを最後に切断する部位である。この部位に突出部材50を設けると、最後に切断されるラベル用テープ3Aの右端部が、第一刃先部621Aに堆積した粘着剤に接触する接触面積が小さくなる。この場合、回転刃621の遠心力やラベル用テープ3Aの剛性等によって、最後に切断されるラベル用テープ3Aの右端部が第一刃先部621Aから離れ、その離れた右端部を起点にしてラベル用テープ3A全体が第一刃先部621Aから離れる。よって、突出部材50を設ける面積を小さくしつつ、ラベル用テープ3Aが回転刃621の第一刃先部621Aに貼り付き難くすることができる。
【0043】
また、図14(c)に示すように、突出部材50は、回転刃621の第一方向側の端部における左端側(図14(c)の紙面右側)の部位に設けてもよい。第一刃先部621Aの左端側の部位は、ラベル用テープ3Aを最初に切断する部位である。この部位に突出部材50を設けると、最初に切断されるラベル用テープ3Aの左端部が、第一刃先部621Aに堆積した粘着剤に接触する接触面積が小さくなる。この場合、回転刃621の遠心力やラベル用テープ3Aの剛性等によって、最初に切断されるラベル用テープ3Aの左端部が第一刃先部621Aから離れ、その離れた左端部を起点にしてラベル用テープ3A全体が第一刃先部621Aから離れる。よって、突出部材50を設ける面積を小さくしつつ、ラベル用テープ3Aが回転刃621の第一刃先部621Aに貼り付き難くすることができる。
【0044】
また、突出部材50が厚みを有するシートであったが、突出部材50の形状、素材等は本実施形態の場合に限定されない。例えば、突出部材50は、板状の金属でもよい。また、突出部材50は、回転刃621の第一方向側の端部に設けられた、左右方向に長い棒状の部材でもよい。また、突出部材50は、円柱状に回転方向側に突出する部材であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、図2に示すように、正面側から見て、ラベル用テープ3Aの搬送経路が(言い換えれば第二刃先部631Aが)水平となり、かつ回転体620の軸心Oが水平方向に対して傾斜するように、回転体620及び保持体630を配置しているが、これに限定されない。例えば、正面側から見て、回転体620の軸心Oが水平となり、かつラベル用テープ3Aの搬送経路が(言い換えれば第二刃先部631Aが)水平方向に対して傾斜するように、回転体620及び保持体630を配置してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、ロータリーカッタ機構6をラベル作成装置本体1の外部に設けたが、これに限定されない。例えば、ロータリーカッタ機構6をラベル作成装置本体1に内蔵させてもよい。この場合でも、上述の実施形態と同様に、回転刃621と離れたところに、例えば、ラベル用テープ3Aを引っ張るためのローラ等、ラベル用テープ3Aが回転刃621に貼り付き難くする部材を設ける必要がないので、ラベル作成装置本体1を小型に形成できる。
【符号の説明】
【0047】
3A ラベル用テープ
6 ロータリーカッタ機構
35 粘着剤
50 突出部材
80 回転軌跡
621 回転刃
621A 第一刃先部
631 対向刃
631A 第二刃先部
O 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心回りに回転可能に設けられた回転刃であって、前記軸心から離れる方向である第一方向側の端部に前記軸心の軸線方向に幅を有する第一刃先部を備える回転刃と、
回転する前記回転刃の前記第一刃先部が描く軌跡に対向して設けられ、前記軸線方向に幅を有する第二刃先部を備え、回転する前記回転刃の前記第一刃先部と前記第二刃先部との間で被切断物を切断する対向刃と、
前記回転刃の前記第一方向側の端部に設けられ、前記対向刃との間で前記被切断物を切断する方向である回転方向側に前記回転刃から突出する突出部材と
を備えたことを特徴とするロータリーカッタ機構。
【請求項2】
前記突出部材は、前記回転刃の前記第一方側の端部において、前記第一刃先部が延びる方向に複数設けられ、前記複数の突出部材は、それぞれ離間していることを特徴とする請求項1に記載のロータリーカッタ機構。
【請求項3】
前記第一刃先部が延びる線は、前記第二刃先部が延びる線に対して傾斜しており、
前記回転刃が回転して前記被切断物を切断する場合に、前記第一刃先部は、前記第一刃先部の一端から他端に向けて順に前記第二刃先部と交差することを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーカッタ機構。
【請求項4】
前記突出部材は、前記回転刃の前記第一方向側の端部における前記他端側の部位に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のロータリーカッタ機構。
【請求項5】
前記突出部材は、前記回転刃の前記第一方向側の端部における前記一端側の部位に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のロータリーカッタ機構。
【請求項6】
前記突出部材は、前記第一刃先部の前記第一方向側の先端より前記軸心側に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のロータリーカッタ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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