説明

ロータリ耕耘装置

【課題】耕耘爪の後方を覆うリヤカバーの下端部に整地体を着脱自在に設けるロータリ耕耘装置において、整地体を持ち上げてリヤカバーへの着脱作業を行う際に、整地体を持ち上げるためだけの労力を要求し、格別握力は要求しないロータリ耕耘装置を提供する。
【解決手段】リヤカバー9の左右の下端部に係止部17,18を設けると共に、整地体12に係合部21,22と把持部24とロック部材25を設け、また、ロック部材の解除レバー30は把持部24に隣接して把持部の下方側に臨ませ、解除レバー30に指を掛けて上方に持ち上げると、解除レバー30と把持部24とが重なって整地体12をそのまま持ち上げることができるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の耕耘を行うロータリ耕耘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場の耕耘を行うロータリ耕耘装置は、代掻き作業のように浅く耕耘する場合には連結されるトラクタに対して上昇した位置に保持されるため耕耘土の均平・整地作用を行うリヤカバーが起立姿勢となり、その接地面積乃至接地圧が減少して耕耘土の均平・整地性が悪化する。
そこで、耕耘爪の後方を覆うリヤカバーの下端部に整地体を取り付け、この整地体によって必要な接地面積乃至接地圧を確保して仕上がりを奇麗にすることが行われている。なお、深く耕耘する場合には、リヤカバーが後方側に傾倒姿勢となるためリヤカバー単独での耕耘土の均平・整地作用で足りることとなって、その場合は整地体を取り外して耕耘作業を行っている。
そして、重量物である整地体の取り付けの労力の軽減を図るために、メインカバーの係合部に整地体(サブカバー)の被係合部を係合させると共に、その係合状態を維持するようにロック部材によってロックし、また、ロック部材のロックを解除して係合状態を解き放って整地体を取り外すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4185031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整地体(サブカバー)の取り付けの労力の軽減を図る従来のロータリ耕耘装置にあっては、整地体を持つための把持部の上方側にロック部材のレバー部が延設されていて、レバー部を把持部と一緒に握ることによって整地体を持ち上げてリヤカバーへの着脱を行うようにしている。
しかし、このように構成すると作業者は整地体を持ち上げる荷重の他にロック部材のレバー部を一緒に握るための握力を必要として疲労すると共に、着脱作業に手間取るという問題があった。
そこで、本発明は、係る問題点に鑑みて、整地体を持ち上げてリヤカバーへの着脱作業を行う際に、作業者に整地体を持ち上げるためだけの労力を要求し、格別握力は要求しないロータリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、耕耘爪の後方を覆うリヤカバーの下端部に整地体を着脱自在に設けるロータリ耕耘装置において、前記リヤカバーの左右の下端部に係止部を設けると共に、前記整地体に係合部と把持部とロック部材を設け、また、上記ロック部材の解除レバーは把持部に隣接して把持部の下方側に臨ませ、当該解除レバーに指を掛けて上方に持ち上げると、解除レバーと把持部とが重なって整地体をそのまま持ち上げることができるように構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロータリ耕耘装置によれば、整地体を持ち上げてリヤカバーへの着脱作業を行う際に作業者は解除レバーに指を掛けて上方に持ち上げると、その後、解除レバーと把持部とが重なって、整地体をそのまま持ち上げることができるので、把持部と解除レバーを一緒に握るための握力を必要とせず、着脱のための労力を軽減して着脱作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】トラクタにロータリ耕耘装置を連結した状態を示す側面図である。
【図2】リヤカバーの背面図である。
【図3】整地体の装着状態を示す側面図である。
【図4】整地体の着脱状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、ロータリ耕耘装置1は、トラクタ2の後部に周知の二点リンク機構3によって連結され、左右のリフトアーム4が回動することによってロータリ耕耘装置1は昇降して耕耘深さを変更自在としている。
【0009】
ロータリ耕耘装置1はサイドドライブロータリ式とされ、図示しないギヤケースとギヤケースから左右方向に突設されたパイプフレームにより機枠が構成される。左側のパイプフレームの端部にはチェーンケース5が連結されていると共に、右側のパイプフレームの端部にはサイドプレートが下方に向かって延設されている。チェーンケース5の下端部とサイドプレートの下端部との間には耕耘筒が回転自在に軸支され、耕耘筒には多数の耕耘爪が装着されている。そして、トラクタ2の図示しないPTO軸からヨークジョイントを介して伝達された動力はギヤケース内に伝動され、左側のパイプフレーム内に軸支した伝動軸及びチェーンケース5内のチェーンを介して耕耘筒が回転駆動される。
【0010】
耕耘爪は、その回転軌跡6に沿う円弧状のメインカバー7によって上方が覆われ、側方がサイドカバー8によって覆われている。また、メインカバー7の後端にはリヤカバー9が支点軸Aを介して回動自在に連結してあり、リヤカバー9は耕耘爪の後方を覆うものとなっている。さらに、メインカバー7とリヤカバー9との間には吊りロッド10が介装されていて、吊りロッド10はリヤカバー9の下降側の限界を設定し、リヤカバー9の耕耘爪との接当を阻止する。なお、11は尾輪やその他の作業機を取り付けるツールバーである。
【0011】
次に、リヤカバー9の下端部に取り付ける整地体12の取付構造について説明する。図2及び図3に示すようにリヤカバー9の整地面となる下面と反対側の上面には、前後方向の補強フレーム13,13がそれぞれ左右両端部に溶接されていると共に、補強フレーム13,13のさらに側方には整地体12を装着するブラケット14がボルト15によって取り付けられている。ブラケット14の中央には前後方向の取付プレート16が固設され、この取付プレート16にはガイドピン17とロックピン18がそれぞれ機体の内側に向けて突設されて、係止部Bを構成している。
【0012】
一方、整地体12は上下の板体12a,12bを一体に溶接した中空の本体を備え、下方側の板体12aの下面がリヤカバー9の下端に引き続いて湾曲し、耕耘土を均平・整地する作用面となっている。また、整地体12の長尺な本体の左右端部には延長整地体19が起伏自在に装着してあり、既耕地との境界を均平に均す作用を担う。そして、整地体12の左右方向の端部寄りには、左右の装着プレート20が固着されている。
【0013】
ここで、装着プレート20は、前述のガイドピン17とロックピン18がそれぞれ嵌るガイド溝21とロック溝22を前部側に備え、係合部Cを構成している。また、後部側には把持部Dが設けてあり、把持部Dは装着プレート20に穿たれた指を通すことができる開口23の上部側のグリップ部24で構成される。
【0014】
さらに、装着プレート20の中間部にはロック部材Eが設けてあり、ロック部材Eはフック25とスプリング26から構成される。フック25は装着プレート20に支点ボルト27で回動自在に取り付けられ、スプリング26は装着プレート20とフック25に突設したピン28、29に両端が引っ掛けられ、ロックピン18がロック溝22から離脱しない方向にフック25を付勢している。そして、フック25は支点ボルト27を挟んだ反対側に解除レバー30を備え、解除レバー30の先端側はグリップ部24の下方側の開口23に臨ませている。
【0015】
本発明の実施形態におけるロータリ耕耘装置は、深く耕耘する場合は整地体12をリヤカバー9から外して耕耘作業を行う。また、浅く耕耘する場合は整地体12をリヤカバー9に取り付けて耕耘作業を行う。
そして、リヤカバー9に整地体12を取り付ける場合には、図4に示すように左右の把持部Dの開口23に指を入れて、開口23の機体内方側に隣接する解除レバー30の先端側に指を掛けてこれを持ち上げる。
これに伴って解除レバー30はスプリング26に抗して半時計方向に回動し、解除レバー30の先端側は把持部Dのグリップ部24に側面視で重なりながら、最終的に解除レバー30の先端側の下面とグリップ部24の下面とが一致すると、作業者は解除レバー30とグリップ部24の両者を同時に持ち上げることになって、整地体12を簡単に持ち上げることができる。
なお、この場合、親指はグリップ部24の上面と解除レバー30の上面に軽く添えるだけで良く、親指と他の指との間に握力を掛けてグリップ部24と解除レバー30の両者を握る必要は特にない。
【0016】
次に、持ち上げた整地体12の係合部Cをリヤカバー9の下端部に設けた係止部Bに係合させて、ロック部材Eを用いて整地体12をリヤカバー9の下端部にロックすることになるが、先ずガイドピン17にガイド溝21を嵌めた後、整地体12を下ろすとロックピン18にロック溝22が嵌ることになる。
そして、指をグリップ部24と解除レバー30から離すとフック25はスプリング26によって時計方向に回動して、ロックピン18をロック溝22内に閉じ込めるので整地体12はリヤカバー9に固定されて、取付作業が完了する。
【0017】
また、リヤカバー9から整地体12を取り外す場合には、リヤカバー9に取り付ける場合と同様に、左右の把持部Dの開口23に指を入れて、開口23の機体内方側に隣接する解除レバー30の先端側に指を掛けてこれを持ち上げる。これによりフック25はスプリング26に抗して反時計方向に回動してロック溝22を開放し、そのまま整地体12を後方側に持ち上げると、ガイドピン17とガイド溝21及びロックピン18とロック溝22との係合が解消されて、整地体12をリヤカバー9から取り外すことができる。
【0018】
なお、上記実施例において、左右の把持部Dの開口23に左右の指を入れて同時に整地体12を持ち上げる際に、解除レバー30はグリップ部24の機体内側の側面に密着するように隣接させているため、手のひらが誤ってグリップ部24と解除レバー30の間に挟まれる虞はすくない。しかし、より挟まれ事故を少なくするために例えば、解除レバー30の先端側をグリップ部24側に折曲して指が常に解除レバー30のみに当たるようになすことにより、グリップ部24が常に解除レバー30を介して持ち上げられるようにしても良い。
【符号の説明】
【0019】
7 メインカバー
9 リヤカバー
12 整地体
17 ガイドピン(係止部)
18 ロックピン(係止部)
21 ガイド溝(係合部)
22 ロック溝(係合部)
24 グリップ部(把持部)
25 フック(ロック部材)
30 解除レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪の後方を覆うリヤカバーの下端部に整地体を着脱自在に設けるロータリ耕耘装置において、前記リヤカバーの左右の下端部に係止部を設けると共に、前記整地体に係合部と把持部とロック部材を設け、また、上記ロック部材の解除レバーは把持部に隣接して把持部の下方側に臨ませ、当該解除レバーに指を掛けて上方に持ち上げると、解除レバーと把持部とが重なって整地体をそのまま持ち上げることができるように構成することを特徴とするロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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