説明

ローター式ピッチングマシーン

【課題】
本発明は、ローターでボールを圧縮して保持する際に、過度な保持を避け、ボールの耐久性を上げることを目的に提案されたピッチングマシーンである。

【解決手段】
本発明は、課題を解決するため、ローターにてボールを挟持し、ローターの外方向に向かう回転力でボールを投球するピッチングマシーンにおいて、いずれか一つのローターのローター支持部材とマシーン本体の間に緩衝手段を設けたことを特徴とするピッチングマシーンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローター式ピッチングマシーンの改良に関するものであって、主として、3つの投球用ローターをY型に配置し、3つのローターによりボールを挟持し、ローターの回転力にて、ボールを投球するピッチングマシーンにおいて、3つのローターのうち、少なくとも一つのローターである中央下ローターにクッション装置を備えたことを特徴とする3ローター式ピッチングマシーンを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
ローターの回転力でボールを投球する際に、安定したコントロールを求めるため、3つのローターでボールを挟持して、ボールを投球する3ローター式ピッチングマシーンが利用されていた。
【0003】
この3ローター式ピッチングマシーンは、特許文献1に示されるように、すでに自由実施技術として存在していた。その後、3ローター式ピッチングマシーンには、特許文献2に見られるような映像との組み合わせの技術や、特許文献3に見られるような特殊制御方法を採用した技術が提案されてきた。
【0004】
しかし、ボールを投球する際に3つのローターで挟持する場合、ボールをローターで圧縮することで安定した投球が可能となるが、この圧縮によりボールの傷みも早くなってしまう。この点に関する改良は特許文献1乃至3でも行われていなかった。
【0005】
【特許文献1】実開昭61−14074号公開実用新案公報
【特許文献2】特表2002−537919号公表特許公報
【特許文献3】特許3936539号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ローターでボールを圧縮して保持する際に、過度な保持を避け、ボールの耐久性を上げることを目的に提案されたピッチングマシーンである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上記課題を解決するため、ローターにてボールを挟持し、ローターの外方向に向かう回転力でボールを投球するピッチングマシーンにおいて、いずれか一つのローターのローター支持部材とマシーン本体の間に緩衝手段を設けたことを特徴とするピッチングマシーンを提供する。
【0008】
第2の発明は、3つの投球用ローターをY型に配置し、3つのローターによりボールを挟持し、ローターの外方向に向かう回転力にて、ボールを投球するピッチングマシーンにおいて、3つのローターのうち下方に位置するローターの支持部材に下方に向かって逃げ構造を有する緩衝手段を設けたピッチングマシーンを提供する。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明は、いずれか一つのローターのローター支持部材とマシーン本体の間に緩衝手段を設けたものであるので、ボール挿入空間7でのボールの圧縮が強くなりすぎた場合に、緩衝手段を備えたローターが若干退避することになり、ボールに対する過度の圧縮を防げ、ボールの耐久力を上げることが可能となった。
【0010】
更に、第2の発明の効果ではあるが、3つの投球用ローターをY型に配置したピッチングマシーンにおいて、3つのローターのうち下方に位置するローターの支持部材に下方に向かって逃げ構造を有する緩衝手段を設けたものであるので、簡単な構造で、緩衝手段の設置ができる上、下方への逃げであるためボールコントロールの制御にも複雑な対応をしなくてもよいものとなった。更に、コントロール性能も上がることが投球の実験結果からも判明している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施例にかかる3ローター式ピッチングマシーンの正面説明図であり、図2は、本発明の特徴的部分となるクッション装置を示す拡大側面説明図であり、図3は、同クッション部材を示す拡大正面説明図である。
【0012】
実施例にかかる3ローター式ピッチングマシーン1の概要を説明する。図1に示されるように3ローター式ピッチングマシーン1は、架台2上にローター支持構造体3を設け、ローター支持構造体3に左上ローター4、右上ローター5、中央下ローター6の3個のローター3,4,5をY型に配置し、3個のローター4,5,6の近接する外周面によりボール挿入空間7を形成し、このボール挿入空間7の後方にボール供給用のシューターユニット8を配置したものである。
【0013】
3ローター式ピッチングマシーン1の動作は、ボール挿入空間7にシューターユニット8を介して投球用ボールを供給し、該ボールを3個のローター4,5,6の外周面で挟持し、3個のローター4,5,6の外方向への回転力により、ボールを投球するものである。尚、図中符号11は、投球口である。
【0014】
架台2には移動用の車輪9が前後左右の4カ所に設置されており、移動可能とされている。更に、架台2とローター支持構造体3との間には、図1中詳細は省略されているが、支持構造体3を前後左右に傾斜する角度を調整可能とする角度調整機構10を設けてある。これによりボールの投球の高さや方向が調整可能とされている。
【0015】
3個のローター4,5,6は、円盤形のもので外周面は、投球用のボールを圧縮保持(グリップ)しやすい形状と材質で構成されており、ボール外皮より硬質の素材が用いられる。左上ローター4と右上ローター5は、ローター駆動モータ16,17に連結されている。
【0016】
ローター支持構造体3に固定された固定板12、13には、左右のモータホルダー14,15が固定されている。このモータホルダー14,15が、左上ローター4及び右上ローター5のローター支持部材となる。
【0017】
このモータホルダー14,15には、ローター駆動モータ16,17が固定的に設置されている。該ローター駆動モータ16,17の回転軸が左上ローター4及び右上ローター5の回転軸となるローターシャフト(図1中では示されてはいない)と連結されている。実施例では、左上ローター4,右上ローター5には、本発明の特徴となるクッション装置20は装備されていない。
【0018】
中央下ローター6のローター駆動モータ18も独自に存在するが、ローター駆動モータ18の回転軸19は、中央下ローター6のローターシャフト21に直接連結されたものではない。従って、中央下ローター6の回転力は、ローター駆動モータ18の回転軸19に装着されたモータプーリー22からドライブプーリー23を介して、ローターシャフト21に取り付けられた駆動プーリー24に伝えられることによって付与される。尚、各プーリー22,23,24間の駆動力の伝達は、ベルト25、26によってなされている。
【0019】
中央下ローター6のローターシャフト21は、クッション装置20を介してローター支持構造体3に装着されている。クッション装置20が本発明における緩衝手段となる。ローター支持構造体3の中央下ローター6のローターシャフト21の配置付近には、クッション装置20の支持フレーム27が形成されており、支持フレーム27の下フレーム材28にクッション材となるスプリング29を介してクッション装置20は支持フレーム27に対して、上下動可能に装着されている。
【0020】
スプリング29は、投球に対する最適圧縮力をボール挿入空間7に付与可能に設定されており、更に、ナットなどでその調整も可能にされている。このためクッション装置20はローター支持構造体3に対して上下動可能とされている。
【0021】
クッション装置20の中央部にはローターシャフト21が、クッション装置20に対して回転のみが自在で、上下左右方向には移動ができない状態で装着されている。尚、クッション装置20の上方に装着されたボルトは、クッション装置20の上限位置を規制するための上限位置設定ボルト30である。この上限位置設定のための部材は、ボルトである必要はなく、スプリングであってもよい。
【0022】
上記のように、中央下ローター6のローターシャフト21が、クッション装置20とともにローター支持構造体3に対して上下動するものである。他方、ローター支持構造体3に固定された固定板12,13、固定板12,13に固定されたモータホルダー14,15、モータホルダー14,15に固定された左上ローター4、及び右上ローター5は、ローター支持構造体3に対して位置変動の伴わないものであるため、中央下ローター6は、左上ローター4及び右上ローター5に対して下方向に向かって逃げを有していることになる
【0023】
次に実施例の作用について説明すれば、シューターユニット8よりボールが3つのローター4,5,6の外周面で構成されるボール挿入空間7に送られてくる。ボールはボール挿入空間7で、3個のローター4,5,6の外周面で圧縮保持されながら、各ローター4,5,6の外方向への回転力により投球されるわけであるが、この際、圧縮が強すぎる場合、その圧力により,中央下ローター6が、クッション装置20とともに若干下降し、適正圧縮力にて投球が行われることになる。
【0024】
実施例では、3ローター式ピッチングマシーン1の中央下ローター6にクッション装置20を持たせているが、他のローターの1カ所にクッション装置を持たせてもよく、更に、3ローター式ピッチングマシーン1以外のローター式ピッチングマシーンであっても、ローターの少なくとも1カ所にクッション装置を持たせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例にかかる3ローター式ピッチングマシーンの正面説明図
【図2】クッション装置を示す拡大側面説明図
【図3】クッション部材を示す拡大正面説明図
【符号の説明】
【0026】
1・・・3ローター式ピッチングマシーン
2・・・架台
3・・・ローター支持構造体
4・・・左上ローター
5・・・右上ローター
6・・・中央下ローター
7・・・ボール挿入空間
8・・・シューターユニット
9・・・車輪
10・・角度調整機構
11・・・投球口
12,13・・・固定板
14,15・・・モータホルダー
16,17,18・・・ローター駆動モータ
19・・・回転軸
20・・・クッション装置
21・・・ローターシャフト
22・・・モータプーリー
23・・・ドライブプーリー
24・・・駆動プーリー
25,26・・・ベルト
27・・・支持フレーム
28・・・下フレーム材
29・・・スプリング
30・・・上限位置設定ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターにてボールを挟持し、ローターの外方向に向かう回転力でボールを投球するピッチングマシーンにおいて、いずれか一つのローターのローター支持部材とマシーン本体の間に緩衝手段を設けたことを特徴とするピッチングマシーン。
【請求項2】
3つの投球用ローターをY型に配置し、3つのローターによりボールを挟持し、ローターの外方向に向かう回転力にて、ボールを投球するピッチングマシーンにおいて、3つのローターのうち下方に位置するローターの支持部材に下方に向かって逃げ構造を有する緩衝手段を設けた請求項1記載のピッチングマシーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−57544(P2010−57544A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223414(P2008−223414)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000107701)スナガ開発株式会社 (3)