説明

ローラコンベア

【課題】制動手段が誤った位置のまま作業をしてしまうことを防止することができるローラコンベアを提供する。
【解決手段】ローラコンベアは、貨物の搬送方向(図中の前後方向)に沿って配設されるローラトレイ9と、このローラトレイ9に回転自在に軸支され、前後方向に並んで配置される複数のローラ10と、制動部材20と、位置検出センサ30とを備える。制動部材20は、ローラ10の形成する搬送面より上方に突出する阻止位置、及び、前記搬送面より下方となる退避位置に切り替え可能に構成されている。位置検出センサ30は、制動部材20が阻止位置又は退避位置の何れの位置にあるかを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物を搬送する多数のローラを備えたローラコンベアに関し、特に、ローラ上の貨物の移動を制限するための制動手段を備えたローラコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貨物を搬送する手段として、貨物の搬送方向に沿って配設されるローラトレイと、ローラトレイに回転自在に軸支され、搬送方向に並んで配置される複数のローラと備えるローラコンベアが用いられている。このようなローラコンベアでは、貨物をローラ上に載せてローラを回転させることにより、貨物をスムーズに搬送することができる。
【0003】
このようなローラコンベアには、例えば、特許文献1、2に開示されているような制動手段が取り付けられる場合がある。この制動手段は、ローラの上端により形成される搬送面よりも上方となる阻止位置と、この搬送面より下方になる退避位置とに切り替え可能に構成されている。制動手段を阻止位置にすると、貨物が制動手段に乗り上げて停止するため、ローラコンベアから貨物が落下するのを防止することができる。一方、制動手段を退避位置にすると、貨物は制動手段に当接することなく、ローラによって搬送される。
【0004】
なお、特許文献1の制動手段は、阻止位置と退避位置とを手動により切り替えるものである。また、特許文献2の制動手段は、ローラトレイを昇降させてローラの上端を貨物が載置される床面に対して昇降させるリフトアップ式のローラコンベアに用いられるものであって、ローラトレイの上昇と連動して自動的に退避位置から阻止位置に切り替えられるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような制動手段では、作業者が位置を切り替えるのを忘れてしまう場合や、故障や誤作動により位置が切り替わらない場合がある。例えば、制動手段を阻止位置に切り替えてローラ上の貨物を搬出する場合に、制動手段が退避位置のままで作業を行ってしまうと、貨物をローラコンベアから落下させてしまう虞がある。また、制動手段を退避位置に切り替えてローラ上に貨物を積み込む場合に、制動手段が阻止位置のままで作業を行ってしまうと、貨物の底面を制動手段で傷つけてしまう虞がある。
【0006】
本発明の目的は、制動手段が誤った位置のまま作業をしてしまうことを防止することができるローラコンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のローラコンベアは、貨物の搬送方向に沿って配設されるローラトレイと、前記ローラトレイに回転自在に軸支され、前記搬送方向に並んで配置される複数のローラと、前記ローラの形成する搬送面より上方に突出する阻止位置、及び、前記搬送面より下方となる退避位置に切り替え可能な制動手段と、前記制動手段が前記阻止位置と前記退避位置の何れの位置にあるかを検出する位置検出部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このローラコンベアにおいては、制動手段を、ローラの形成する搬送面より上方に突出する阻止位置にすることにより、貨物の転動を阻止することができ、制動手段を搬送面より下方となる退避位置にすることにより、貨物が制動手段に当接することなく貨物をローラによって搬送できる。また、ローラコンベアは、制動手段が阻止位置と退避位置の何れの位置にあるかを検出する位置検出部を備えている。そのため、例えば、位置検出部の検出結果を作業者に知らせたり、位置検出部の検出結果に応じてローラの回転をロックしたりすることによって、制動手段が誤った位置のまま作業をしてしまうことを防止できる。
【0009】
請求項2に記載のローラコンベアは、請求項1において、前記制動手段は、停止板と、前記停止板の両側より下方へ垂設され、前記ローラトレイに設けられたシャフトに回転自在に支持される一対の側板とを有し、前記側板の前記シャフトに対する支持部分は、前記側板を前記シャフトに隣接して設けられる別のシャフト側に引き出せるように長溝に形成され、さらに、前記側板には、前記別のシャフトに引っ掛け自在な切欠溝が形成されており、前記切欠溝を前記別のシャフトに引っ掛けることにより、前記停止板が阻止位置をとることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、切欠溝が前記別のシャフトに引っ掛けられていない状態では、停止板は退避位置をとる。退避位置にある制動手段を、長溝に沿って前記別のシャフト側に引き出して、切欠溝を前記別のシャフトに引っ掛けることにより、停止板を阻止位置に切り替えることができる。また、その逆の動作により制動手段を阻止位置から退避位置に切り替えることができる。このように、制動手段の位置を手動により切り替えることができる。制動手段の位置を作業者が切り替える場合、切り替え忘れが生じる虞があるが、本発明では、位置検出部によって制動手段の位置が検出されるため、切り替え忘れが生じても、制動手段が誤った位置のまま作業をしてしまうことを防止できる。
【0011】
請求項3に記載のローラコンベアは、請求項1又は2において、前記ローラトレイが、貨物が載置される床面に対して昇降自在に設置されており、前記ローラトレイの下に設置されるとともに、前記ローラの上端が前記床面より上方に突出する搬送位置、及び、前記床面より下方となる沈降位置に切り替わるように、前記ローラトレイを昇降させる昇降手段を備えることを特徴とする。
【0012】
このローラコンベアにおいては、貨物の搬出搬入時には、昇降手段によりローラトレイを上昇させて、ローラ上端が床面より上方となる搬送位置にする。また、貨物を搬送しないときには、昇降手段によりローラトレイを下降させて、ローラ上端が床面より下方となる沈降位置にする。これにより、貨物は床面上に載置されてローラの回転により転動することがない。また、貨物の搬入時には、制動手段を退避位置とすることにより、制動手段が貨物の搬入の邪魔にならない。貨物の搬出時には、制動手段を阻止位置とすることにより、貨物がローラコンベアから落下するのを防止するとともに、搬出作業がしやすい状態で貨物を停止させることができる。
【0013】
請求項4に記載のローラコンベアは、請求項3において、前記制動手段が前記退避位置にあり、前記昇降手段により前記ローラトレイを上昇させるための信号が入力されたときに、警報を発する警報手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、作業者が制動手段を阻止位置に切り替えるのを忘れた場合や、誤作動又は故障によって阻止位置に切り替わらなかった場合に、制動手段が退避位置のまま、昇降手段によりローラトレイを上昇させようとすると、警報手段が警報を発する。これにより、制動手段が誤った位置であることを作業者に知らせることができる。
【0015】
請求項5に記載のローラコンベアは、請求項3又は4において、前記昇降手段は、前記制動手段が前記退避位置にあり、前記ローラトレイを上昇させるための信号が入力されたときに、前記ローラトレイを上昇させないことを特徴とする。
【0016】
この構成によると、作業者が制動手段を阻止位置に切り替えるのを忘れた場合や、誤作動又は故障によって阻止位置に切り替わらなかった場合に、制動手段が退避位置のまま、昇降手段によりローラトレイを上昇させようとしても、昇降手段はローラトレイを上昇させない。これにより、貨物がローラ上を転動するのを防止することができる。
【0017】
請求項6に記載のローラコンベアは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記位置検出部が、非接触式センサであることを特徴とする。この構成によると、位置検出部は、非接触で制動手段の位置を検出するため、破損が少ない。また、非接触式センサを用いることにより位置検出部を簡易な構成とすることができるとともに、設置が容易である。
【0018】
請求項7に記載のローラコンベアは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記位置検出部が、接触式センサであることを特徴とする。この構成によると、位置検出部は、接触により制動手段の位置を検出するため、より確実に検出できる。また、接触式センサを用いることにより位置検出部を簡易な構成とすることができるとともに、設置が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のローラコンベアを用いたバン型トラックの荷台構造を示す上面図である。
【図2】図1のA―A線断面図である。
【図3】図2のB―B線断面図であって、制動手段が退避位置にある状態を示す図である。
【図4】第1実施形態のローラコンベアに設けられた制動手段の斜視図である。
【図5】図2のB―B線断面図であって、制動手段が阻止位置にある状態を示す図である。
【図6】図2のB―B線断面図であって、制動手段が阻止位置にある状態を示す図である。
【図7】変更形態のローラコンベアを示す図であって、図3に相当する図である。
【図8】変更形態のローラコンベアを示す図であって、図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、本発明のローラコンベアが、リフトアップ式ロールコンベアに構成され、バン型トラックの荷台に用いられた例を挙げて説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のローラコンベア6が設置されるトラック荷台1は、後方(図1中の下方)に観音開き状の扉2を有する車輪付きの箱型構造を有する。ローラコンベア6は、チャンネル7と、ローラトレイ9と、ローラトレイ9に回転自在に軸支された複数のローラ10と、ローラトレイ9を昇降させる気密性筒状体8(昇降手段)と、気密性筒状体8に接続される配管12a〜12fと、コントロールボックス13と、スイッチボックス15と、ローラトレイ9に取り付けられる制動部材20と、この制動部材20の位置を検出する位置検出センサ30と、警報器(警報手段)40等を備えている。また、チャンネル7と、ローラトレイ9と、複数のローラ10と、気密性筒状体8とによって、貨物100を搬送するローラコンベア本体6aが構成されている。
【0022】
トラック荷台1には、3本のローラコンベア本体6aがトラック荷台1の長手方向(図1中の上下方向)に直列接続されたものが、平行に4本配列されており、貨物100をトラック荷台1の長手方向に搬送できるようになっている。なお、以下のローラコンベア6の説明において、図1中の上下方向を前後方向、図1中の左右方向を左右方向と定義する。なお、ローラコンベア本体6aの数は、上記に限定されるものではない。
【0023】
図2に示すように、トラック荷台1の基盤(図示省略)の上には横根太3が配置され、この横根太3の上に縦根太4及び床板5が設置されている。ローラトレイ9の下降時には、床板5の上面5a(以下、床面5aという)には、貨物100が載置される。
【0024】
チャンネル7及びローラトレイ9は、前後方向に延びる断面略凹型の部材である。チャンネル7は、横根太3の上であって、隣接する2本の縦根太4及び床板5の間に設置されている。ローラトレイ9は、チャンネル7内に収納されており、床面5aに対して昇降自在に設置されている。チャンネル7の底板の上には、全長にわたって気密性筒状体8が配置されており、ローラトレイ9は、気密性筒状体8の上に載置されている。また、チャンネル7の両側板の内面には、ストッパー7a、7bが突設され、ローラトレイ9の両側板9a、9bの外面には、係止部9d、9eが突設されている。係止部9d、9eとストッパー7a、7bとは、気密性筒状体8の膨張時にそれぞれ係合して、ローラトレイ9の上昇を規制するためのものである。
【0025】
また、図1に示すように、12本のローラコンベア本体6aの気密性筒状体8は、左右に隣接する2列のローラコンベア本体6aの気密性筒状体8が1本の配管を共有するように、配管12a〜12fに接続されている。気密性筒状体8は、この配管12a〜12fを介して内部に空気が送入されて膨張するようになっている。配管12a〜12fは、電磁弁を内蔵したコントロールボックス13に接続されている。
【0026】
コントロールボックス13は、圧縮空気源14に接続されるとともに、ケーブル16によりスイッチボックス15に接続されている。コントロールボックス13は、スイッチボックス15の操作によって、コントロールボックス13内の電磁弁を開閉することにより、配管12a〜12fに圧縮空気を供給する機能を有している。本実施形態では、スイッチボックス15の操作により、隣接する2列のローラトレイ9ごとに昇降されるようになっているが、ローラトレイ9が一斉に昇降するようになっていてもよい。スイッチボックス15は、トラック荷台1後方の、内部又は/及び外部の操作可能な位置に設置されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、ローラトレイ9の側板9a、9bの間には、多数のローラ10が前後方向に等間隔に並んで配置されている。各ローラ10は、側板22を貫通するシャフト11に回転自在に支持されている。ローラ10の上端が貨物100を搬送する搬送面10a(図4、5参照)を構成する。
【0028】
図2に示すように、気密性筒状体8が膨張していないときには、ローラ10の上端は床面5aより下方にある。このときのローラトレイ9の位置を沈降位置とする。また、気密性筒状体8を膨張させると、ローラトレイ9が上昇し、ローラ10の上端が床面5aよりも上方となる。このときのローラトレイ9の位置を搬送位置とする。ローラトレイ9を搬送位置にすることにより、貨物100をローラ10上を転動させてスムーズに移動させることができる。
【0029】
また、図1に示すように、12本のローラコンベア本体6aのうち、後端に位置する4本のローラコンベア本体6aのローラトレイ9には、それぞれ制動部材20と位置検出センサ30とが設けられている。
【0030】
図3に示すように、制動部材20が設けられたローラトレイ9において、後方から2番目に設けられたシャフト11(以下、第1シャフト11aという)には、ローラ10が支持されておらず、制動部材20が回転自在に支持されている。また、制動部材20が設けられたローラトレイ9の最後端のシャフト11(以下、第2シャフト11bという)には、通常のローラ10に比べて軸方向長さが短い幅小ローラ10bが支持されている。幅小ローラ10bの端面とローラトレイ9の側板9a、9bと間には、比較的大きい隙間が生じるため、この隙間に後述する制動部材20の側板22を配置することが可能となっている。
【0031】
図3及び図4に示すように、制動部材20は、停止板21と、停止板21の左右両側より下方に垂設された2枚の側板22とから構成されている。
【0032】
側板22の停止板21に直交する方向の長さは、後方ほど長くなっている。側板22の前端部には、長溝23が形成され、側板22の後端部には、第1切欠溝24と第2切欠溝25とが後方から順に形成されている。
【0033】
長溝23には第1シャフト11aが貫通しており、側板22は、長溝23によって第1シャフト11aに回転自在に支持されている。また、長溝23は、側板22の下端に平行に延びて形成されている。これにより、側板22は、第1シャフト11aに対して前後方向に摺動可能となっている。また、図3に示すように、長溝23の後端は、第1シャフト11aを長溝23の後端に配置した状態において、側板22の後端が第2シャフト11bに当接しないような位置に形成されている。また、図5に示すように、長溝23の前端は、第2切欠溝25が第2シャフト11bまで届くような位置に形成されている。
【0034】
第1切欠溝24及び第2切欠溝25は、側板22を長溝23に沿って後方に摺動させたときに、第2シャフト11bに引っ掛け可能に形成されている。第1切欠溝24及び第2切欠溝25は、下方に開口した導入溝と後方に屈曲した収容溝とが連続したカギ状に形成されている。
【0035】
図3に示すように、第1シャフト11aが長溝23の後端に位置して、第1切欠溝24及び第2切欠溝25の両方とも第2シャフト11bに係止していない状態では、側板22は、後側下端がローラトレイ9の底板に接し、停止板21は、床板とほぼ平行であって、ローラ10の上端(搬送面10a)より下方となる退避位置をとる。一方、図4及び図5に示すように、第1シャフト11aが長溝23の中央付近又は前端に位置して、第1切欠溝24又は第2切欠溝25が第2シャフト11bに係止した状態では、停止板21は、ローラトレイ9の底板9cに対して傾斜し、ローラ10の上端(搬送面10a)よりも上方に突出する阻止位置をとる。
【0036】
退避位置にある制動部材20を、第1シャフト11aを軸に回動させながら長溝23に沿って後方に向けて引き出して、第1切欠溝24又は第2切欠溝25を第2シャフト11bに引っ掛けることにより、制動部材20は阻止位置に切り替えられる。また、その逆の動作により、阻止位置の制動部材20は退避位置に切り替えられる。このように、制動部材20は、阻止位置と退避位置とを手動により切り替え可能となっている。
【0037】
また、図5及び図6に示すように、第2切欠溝25を第2シャフト11bに係止した場合では、第1切欠溝24を第2シャフト11bに係止した場合に比べて、停止板21のローラ10の上端からの突出高さが高く、且つ、停止板21の底板9cに対する傾斜角度が大きい。従って、第2切欠溝25を第2シャフト11bに係止した場合、第1切欠溝24を第2シャフト11bに係止した場合に比べて、停止板21が貨物100に対してより大きい抵抗を与えることができる。
【0038】
なお、側板22に形成される切欠溝の数は、2つの限定されるものではなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0039】
制動部材20とローラトレイ9には、一対のマグネットセンサからなる位置検出センサ30が取り付けられている。4つの位置検出センサ30は、ケーブル33a〜33dにより、コントロールボックス13に接続されている。
【0040】
位置検出センサ30は、マグネット部32とセンサ部31とから構成されており、センサ部31は、ローラトレイ9の底板9cの左右方向の略中央部にボルト等によって固定され、マグネット部32は、取付板32aを介して停止板21に取り付けられている。なお、マグネット部32がローラトレイ9の底板9cに取り付けられ、センサ部31が停止板21に取り付けられてもよい。
【0041】
センサ部31とマグネット部32とは、制動部材20が退避位置のときにマグネット部32とセンサ部31とが近接してセンサ部がマグネット部32の磁気を検出できるような位置に取り付けられている。従って、位置検出センサ30は、制動部材20が阻止位置又は退避位置の何れの位置にあるかを検出することが可能となっている。位置検出センサ30は、非接触で制動部材20の位置を検出できるため、破損が少ない。また、位置検出センサ30は、センサ部31とマグネット部32とからなり、構成が簡易であるとともに、設置が容易である。
【0042】
警報器34は、トラック荷台1の後方のスイッチボックス15付近に取り付けられており、ケーブル35によりコントロールボックス13に接続されている。警報器34は、4つの制動部材20のうちの何れかが退避位置にあり、この退避位置にある制動部材20が設置されているローラトレイ9を上昇させるための信号が入力されたときに、コントロールボックス13からの信号を受けて、警報音と警報ランプの点滅によって警報を発するようになっている。
【0043】
次に、ローラコンベア6の動作について説明する。
貨物100をトラック荷台1に積み込む際は、まず、ローラトレイ9を上昇させて搬送位置にする。このとき、制動部材20が阻止位置であれば、退避位置に切り替える。これにより、停止板21がローラ10の上端より下方に位置し、貨物100の搬入に邪魔にならない。そして、貨物100の積み込みが終了すると、トラックの走行中に貨物100がローラ10上を移動しないように、ローラトレイ9を下降させて沈降位置にする。
【0044】
一方、貨物100をトラック荷台1から搬出する際には、まず、退避位置の制動部材20を阻止位置に切り替える。そして、沈降位置のローラトレイ9を上昇させて搬送位置に切り替える。これにより、トラック荷台1の後方の貨物100は、停止板21に乗り上げて停止するため、トラック荷台1から貨物100が後方に落下するのを防止するとともに、搬出作業がしやすい状態で貨物100を停止させることができる。
【0045】
ここで、作業者が制動部材20を阻止位置に切り替えるのを忘れて、制動部材20が退避位置のまま、ローラトレイ9を上昇させようとした場合、警報器34が作動する。これにより、制動部材20が退避位置であることを作業者に知らせることができるため、制動部材20が誤った位置のまま作業してしまうことを防止することができる。
【0046】
また、警報器34は、退避位置にある制動部材20が設置されているローラトレイ9を上昇させるための信号が入力されたときに、警報を発するように構成されている。そのため、上昇させるローラトレイ9に設置されている制動部材20が阻止位置にあれば、上昇させないローラトレイ9に設置されている制動部材20が退避位置であっても、警報器34は警報を発することがなく、警報器34が不要に作動しない。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、前記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
【0048】
1]マグネット部32とセンサ部31の取付位置は、停止板21の下面とローラトレイ9の底板9cに限定されるものではない。例えば、マグネット部32が左側(又は右側)の側板22の内面に取り付けられ、センサ部31がローラトレイ9の底板9cの左端部(又は右端部)に取り付けられていてもよい。
【0049】
2]前記実施形態では、位置検出センサ30は、制動部材20が退避位置にあることを検知できるような位置に取り付けられているが、制動部材20が阻止位置にあることを検知できるような位置に取り付けられていてもよい。但し、前記実施形態のように、切欠溝が2つ形成され、阻止位置が2つある場合には、マグネット部32又はセンサ部31を2つ設ける必要がある。一方、前記実施形態では、マグネット部32とセンサ部31を1つずつ設ければよいため、この点においては第1実施形態の方が好ましい。
【0050】
3]位置検出センサ30としては、光学センサや近接センサ等のマグネットセンサ以外の非接触式のセンサを用いてもよい。また、リミットスイッチやマイクロスイッチ等の接触式のセンサを用いてもよい。接触式の位置検出センサを用いる場合、例えば、図7及び図8に示すように、ローラトレイ9の底板9cの左端又は右端に位置検出センサ33が設置され、制動部材20が退避位置のときに、側板22の下端とセンサとが接触するように構成されていてもよい。また、ローラトレイ9の底板9cの略中央に接触式の位置検出センサ33が設置され、制動部材20が退避位置のときに、停止板21の下面(又は、停止板21の下面に固定した接触用部材)とセンサとが接触するように構成されていてもよい。接触式の位置検出センサは、接触により制動部材20の位置を検出するため、より確実に検出できる。また、接触式センサからなる位置検出センサ33は、構成が簡易であるとともに、制動部材20及びローラトレイ9への設置が容易である。
【0051】
4]ローラコンベア6は、警報器34に代えて、制動部材20が阻止位置と退避位置の何れであるかを作業者に知らせる報知手段を備えていてもよい。報知手段としては、色の異なる2つのランプからなり、制動部材20の位置に応じて一方のランプが点灯するように構成されていてもよい。これにより、制動部材20の位置を作業者に知らせることができるため、制動部材20の位置を切り替えるのを忘れても、制動部材20が誤った位置のまま作業をするのを防止することができる。
【0052】
5]ローラコンベア6は、4つの制動部材20のうちの何れかが退避位置にあり、この退避位置にある制動部材20が設置されているローラトレイ9を上昇させるための信号が入力されたときに、ローラトレイ9を上昇させないように構成されていてもよい。具体的には、コントロールボックス13は、位置検出センサ30から4つの制動部材20のうちの何れかが退避位置にあることを示す信号を受けている場合、この退避位置にある制動部材20が設置されているローラトレイ9を上昇させるための信号を受けても、配管12a〜12fに空気を供給するための電磁弁を閉じた状態を維持するように構成される。また、このようにローラトレイ9を上昇させないように作動した後、制動部材20を阻止位置に切り替えると、再度スイッチボックス15を操作しなくても、ローラトレイ9を上昇させるように構成されることが好ましい。このように、制動部材20が退避位置のときにローラトレイ9を上昇させないことによって、制動部材20を阻止位置に切り替えるのを忘れても、貨物100がローラ10上を転動するのを防止することができる。なお、この場合、警報器34は、設けられてなくてもいなくてもよい。
【0053】
6]ローラコンベア6は、前記実施形態の構成に加えて、ローラ10にブレーキをかけることのできるブレーキ機構を備えていてもよい。ブレーキ機構は、4つの制動部材20のうちの何れかが退避位置にあり、この退避位置にある制動部材20が設置されているローラトレイ9を上昇させるための信号が入力されたときに、上昇するローラトレイ9に設置されているローラ10にブレーキをかけるように構成される。これにより、制動部材20の位置を切り替えるのを忘れても、貨物100がローラ10上を転動するのを防止することができる。なお、この場合、警報器34は、設けられていてもいなくてもよい。
【0054】
7]ローラコンベア6は、貨物100の有無を検出するために、床板5に例えば歪ゲージなどの荷重検出センサ(図示省略)が設置され、トラック荷台1に貨物100が積載されている場合にのみ、警報器34が作動するように構成されていてもよい。これにより、トラック荷台1に貨物100が無い状態でローラトレイ9を上昇させようとした際、制動部材20が退避位置であっても、警報器34が不要に作動することがない。
【0055】
8]前記実施形態の制動手段(制動部材20)は、手動によって阻止位置と退避位置に切り替え可能に構成されているが、例えばモーターやシリンダーによって位置を切り替えることができるように構成されていてもよい。この場合、作業者が制動手段の位置を切り替えるためのスイッチを操作するのを忘れたり、誤作動や故障により切り替わらなかったとしても、位置検出センサ30が制動手段の位置を検出するため、制動手段が誤った位置のまま作業を行うのを防止できる。
【0056】
9]前記実施形態のローラコンベア6では、阻止位置に切り替える必要があるときに制動部材20が誤った位置(退避位置)にあることを防止するように構成されているが、退避位置に切り替える必要があるときに制動部材20が誤った位置(阻止位置)にあるのを防止するように構成されていてもよい。
【0057】
10]本発明のローラコンベアは、特許文献2に開示されているような、ローラトレイの上昇に連動して、制動手段が退避位置から阻止位置に切り替わるローラコンベアに適用することもできる。この場合、位置検出部として接触式センサ又は非接触式センサを用いる場合、制動手段が退避位置のときに検知できるような位置にセンサを取り付けることが好ましい。このローラコンベアでは、ローラトレイの上昇後に、制動手段が阻止位置に達していない場合(即ち、位置検出部により制動手段が阻止位置にあることが検出されない場合)に、ローラトレイの上昇を停止して下降させるように構成されていてもよいが、警報器34により警報を発するように構成されていてもよい。また、その両方であってもよい。これにより、誤作動や故障によって、制動手段が阻止位置に切り替わらなかった場合に、誤った位置のまま作業してしまうことを防止できる。また、ローラトレイの上昇前の状態で、退避位置にある制動手段の上に貨物が載っていると、貨物の重さによっては、ローラトレイを上昇させても制動手段が阻止位置に切り替わらない場合があるが、このような場合にも、誤った位置のまま作業をしてしまうのを防止することができる。
【0058】
11]前記実施形態では、本発明のローラトレイをリフトアップ式ローラトレイに構成した例を挙げて説明したが、本発明の適用対象は、リフトアップ式のローラコンベアに限定されるものではなく、単にローラトレイ9とローラ10からなるローラコンベアに本発明を適用してもよい。また、例えば、モーターによって駆動されるローラ10を備えたローラコンベアに本発明を適用してもよい。また、例えば、ローラ10にブレーキを掛けることができるブレーキ機構を備えたローラコンベアに本発明を適用してもよい。ブレーキ機構を備えたローラコンベアでは、貨物の搬入搬出時にローラ10を回転自在にし、トラックの走行時には、ローラ10にブレーキを掛けて貨物が移動しないようにする。また、ブレーキ機構は、ブレーキを解除するための信号が入力され、且つ、位置検出センサ30により制動部材20が退避位置にあることが検出されたときに、ブレーキを解除しないように構成されていてもよい。これにより、制動部材20の位置を切り替えるのを忘れても、貨物がローラ10上を転動するのを防止することができる。
【0059】
12]前記実施形態では、本発明のローラコンベアをトラック荷台1に設置した例を挙げて説明したが、本発明のローラコンベアは、トラックなどの輸送体の荷台に設置されるもの限定されない。例えば、物流センターや工場等に設置されるローラコンベアであって、貨物を一時的に滞留させるために、搬送路の先頭又は途中部分に制動手段が設けられたものであってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第4141568号公報
【特許文献2】特許第4111595号公報
【符号の説明】
【0061】
1 トラック荷台
5a 床面
6 ローラコンベア
6a ローラコンベア本体
7 チャンネル
8 気密性筒状体(昇降手段)
9 ローラトレイ
9a、9b 側板
9c 床板
10 ローラ
10a 搬送面
10b 幅小ローラ
11 シャフト
11a 第1シャフト
11b 第2シャフト
13 コントロールボックス
15 スイッチボックス
20 制動部材(制動手段)
21 停止板
22 側板
23 長溝
24 第1切欠溝
25 第2切欠溝
30、36 位置検出センサ(位置検出手段)
31 センサ部
32 マグネット部
34 警報器(警報手段)
100 貨物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物の搬送方向に沿って配設されるローラトレイと、
前記ローラトレイに回転自在に軸支され、前記搬送方向に並んで配置される複数のローラと、
前記ローラの形成する搬送面より上方に突出する阻止位置、及び、前記搬送面より下方となる退避位置に切り替え可能な制動手段と、
前記制動手段が前記阻止位置と前記退避位置の何れの位置にあるかを検出する位置検出部と、
を備えることを特徴とするローラコンベア。
【請求項2】
前記制動手段は、
停止板と、
前記停止板の両側より下方へ垂設され、前記ローラトレイに設けられたシャフトに回転自在に支持される一対の側板とを有し、
前記側板の前記シャフトに対する支持部分は、前記側板を前記シャフトに隣接して設けられる別のシャフト側に引き出せるように長溝に形成され、
さらに、前記側板には、前記別のシャフトに引っ掛け自在な切欠溝が形成されており、
前記切欠溝を前記別のシャフトに引っ掛けることにより、前記停止板が阻止位置をとることを特徴とする請求項1に記載のローラコンベア。
【請求項3】
前記ローラトレイが、貨物が載置される床面に対して昇降自在に設置されており、
前記ローラトレイの下に設置されるとともに、前記ローラの上端が前記床面より上方に突出する搬送位置、及び、前記床面より下方となる沈降位置に切り替わるように、前記ローラトレイを昇降させる昇降手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラコンベア。
【請求項4】
前記制動手段が前記退避位置にあり、前記昇降手段により前記ローラトレイを上昇させるための信号が入力されたときに、警報を発する警報手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のローラコンベア。
【請求項5】
前記昇降手段は、
前記制動手段が前記退避位置にあり、前記ローラトレイを上昇させるための信号が入力されたときに、前記ローラトレイを上昇させないことを特徴とする請求項3又は4に記載のローラコンベア。
【請求項6】
前記位置検出部が、非接触式センサであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のローラコンベア。
【請求項7】
前記位置検出部が、接触式センサであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のローラコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−254403(P2010−254403A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104608(P2009−104608)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】