説明

ローラブランケット

本発明は、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を製造及び/又は精選する装置にて、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を脱水するプレス装置のためのローラブランケットであって、該ローラブランケットの外側のブランケット面は、ほぼ周方向(9)に延在する溝(4)を有しており、軸線方向に隣り合う溝(4)は同じ方向に配置されていて、かつ、同じ量だけ互いにずらされて配置されている、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を脱水するプレス装置のためのローラブランケットにおいて、ずれの量は溝長さの10から50%の間にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブを製造及び/又は精選する機械において、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブを脱水するプレス装置のためのローラブランケットであって、ローラブランケットの外側のブランケット面は、ほぼ周方向に延在する溝を有しており、軸線方向に隣り合う溝は同じ方向に配置されていて、かつ、同じ量だけ互いにずらされて配置されている、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブを脱水するプレス装置のためのローラブランケットに関する。
【0002】
この種のローラブランケットは、既にDE19752725において公知になっており、繊細だが徹底した脱水を可能にする。
【0003】
プレスギャップへの溝の進入時に、圧力は周囲の気圧に対する接続によりゆっくりとしか形成されない。溝がプレスギャップ端部を超えると圧力降下が起こり、水は溝から噴き出される。これにより溝の吸水性は溝ギャップへの再進入時には高まり、ひいては脱水性能も高まる。
【0004】
しかし、周方向において溝間に残る、非均一な液圧に基づき繊維ウェブにおいて著しい印付けに繋がることがあるウェブが欠点である。
【0005】
さらに溝の製造には極めて手間がかかる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、溝のための製造手間を減じ、起こり得る印付けを減じることである。
【0007】
本発明によれば上記目的は、オフセットの量が溝長さの10〜50%の間にあることにより達成される。
【0008】
好ましくは、ずれの量は20%である。
【0009】
好ましくは、ずれの量は25%である。
【0010】
好ましくは、ずれの量は33%である。
【0011】
好ましくは、周方向において隣り合う溝の間隔が、5から15mmの間にある。
【0012】
好ましくは、溝は0.4から2mmの幅を有する。
【0013】
好ましくは、隣り合う溝の間の軸線方向の間隔が、2から4mmの間にある。
【0014】
好ましくは、溝の深さが0.5から2mm、有利には1から1.5mmの間にある。
【0015】
好ましくは、溝底部が軸線方向において円弧形状部により形成されており、円弧形状部の曲率半径が0.2から1mm、有利には0.5から0.8mmの間にある。
【0016】
好ましくは、周方向において溝底部は溝端部において円弧形状部によって形成され、円弧形状部の曲率半径は30から150mm、有利には60から100mmの間にある。
【0017】
好ましくは、溝は周方向において50から150mmの長さを有している。
【0018】
好ましくは、溝は周方向において、ローラブランケットが対応ローラと共に形成するプレスギャップの長さの20から60%に相当する長さを有している。
【0019】
好ましくは、ローラブランケットはめくら孔を有している。
【0020】
好ましくは、めくら孔は溝間に位置する。
【0021】
好ましくは、めくら孔は溝内に位置する。
【0022】
好ましくは、ローラブランケットは全ローラ周面にわたって延在するグルーブを有する。
【0023】
好ましくは、グルーブは軸線方向において溝の間に配置されている。
【0024】
好ましくは、軸線方向に並んで配置されている複数のグルーブを備えた少なくとも1つのグルーブ領域が設けられている。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つの前記グルーブ領域はローラ端部に設けられている。
【0026】
好ましくは、ローラブランケットは柔軟な材料から成っており、有利には織物、繊維又は糸から成る補強材を含有している。
【0027】
これにより均一な溝配置がもたらされるだけでなく、溝のフライス加工時には、軸線方向の所定のブランケットラインにおいて始まる比較的多くの溝を一回の作業工程で同時にフライス加工することもできる。
【0028】
ずれの量が20%、25%又は33%であると有利である。これに応じて3〜5つ毎の溝は同じ軸線方向のブランケットラインにおいて始まる。ローラブランケットの開放された大きな面のために、周方向において隣り合う溝間の間隔は5〜15mmにあることが望まれる。同じ関係において、隣り合う溝の軸線方向の間隔は2〜4mmの間にあることが望まれる。
【0029】
高い吸水性を保証するために、溝は0.4〜2mmの幅を有していて、かつ、0.5〜2mm、有利には1〜1.5mmの溝の深さを有していることが望まれる。
【0030】
溝の軸線方向の側壁は、垂直又は軽度に傾いて延在することができる。軸線方向の側壁を面取りすることもできる。
【0031】
側壁と溝底部との移行部に亀裂が発生する危険を低減するために、溝底部は軸線方向において円弧状に形成されていることが望まれる。円弧の曲率半径は0.2〜1mm、有利には0.5〜0.8mmの間にある。
【0032】
溝端部における急な移行部による繊維ウェブにおける印付けを回避するために、溝底部は溝端部において周方向に円弧状に形成されることが望まれる。円弧の曲率半径は30〜150mm、有利には60〜100mmの間にある。
【0033】
溝が周方向において50〜150mmの長さを有していると、有利であることが判った。さらに、溝が周方向において、ローラブランケットが対応ローラと共に形成するプレスギャップの長さの20〜60%に相当する長さを有していると、溝によって吸収された水の、プレスギャップ入口の方向への逆流を妨げる。
【0034】
ローラブランケットの開放された面の拡大、ひいては貯水容量の拡大のために、ローラブランケットがめくら孔を有していると有利であり得る。めくら孔は溝間及び/又は溝に位置することができる。
【0035】
さらに、ローラブランケットが付加的にローラの全周にわたって延在する細い溝若しくはグルーブ(Rille)を有することにより、グルーブの大きな吸水性と溝の改良された脱水特性とを組み合わせることは有利であり得る。
【0036】
脱水性の繊維ウェブの形式及び水の含有量に応じて、グルーブが軸線方向において溝間に設けられている、かつ/又は少なくとも1つのグルーブ領域が軸線方向に相並んで配置されている複数のグルーブが設けられていると、有利であり得る。
【0037】
少なくとも1つのグルーブ領域の配置は、少なくともローラ端部において有利であり得る。
【0038】
ローラブランケットの十分な柔軟性、安定性及び強度を保証するために、ローラブランケットは柔軟な材料から成っていて、かつ、有利には織物、繊維又は糸からなる補強材を含有していることが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シュープレスの概略的な横断面図である。
【図2】ローラブランケット2の一部を示した平面図である。
【図3】図3a及び図3bは溝4の横断面図である。
【0040】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0041】
図1に示したプレス装置の場合、繊維ウェブ1は、プレスフェルトの形式をした両面にそれぞれ吸水性及び透水性の脱水ベルト11,12と一緒に、シュープレスローラ3と対応ローラ6とにより形成されたプレスギャップを通って案内される。
【0042】
繊維ウェブ1から圧搾された水は、脱水ベルト11,12によって吸収され、部分的にローラブランケット2に排出される。吸水性能の向上のために、少なくともシュープレスローラ3のローラブランケット2は、溝付けされて構成されている。
【0043】
繊維ウェブ1を傷めないように繊細ではあるが徹底した脱水のために、プレスギャップは延長されて構成されている。したがって、シュープレスローラ3は繊維補強されたプラスチックから成る柔軟なローラブランケット2を有しており、ローラブランケット2は円筒状の対応ローラ6に対して凹状のプレス面を備えた圧接エレメント10によって押し付けられる。
【0044】
ローラブランケット2の溝付け部は、ほぼ周方向9に延在している溝4によって形成される。ただし溝4にめくら孔及び/又は周方向9に延在し連続したグルーブを補完することができる。
【0045】
可能な限り均一な脱水を保証するために軸線方向において隣り合う溝4は、軸線方向に見て同じ方向に、つまり図2に示したように周方向9に溝長さの33%だけ互いにずらされて配置されている。これにより、軸線方向にて隣り合う3つ目ごとの溝4は、同じ軸線方向のブランケットラインにおいて始まり、複数の溝4は側フライスの使用時に同時にフライス加工することができる。
【0046】
周方向9において隣り合う溝4の間における間隔が5〜15mmの間にある場合、隣り合う溝4の軸線方向の間隔は2〜4mmである。
【0047】
大きな貯水能を獲得するために、溝4は0.4〜2mmの幅と、1〜1.5mmの深さとを有している。
【0048】
溝4の側壁5はほぼ垂直であり溝底部7に通じている。溝底部7はローラブランケット2における応力を軽減するために、図3aに示すように軸線方向に見て、0.5〜0.8mmの曲率半径を有する円弧により形成される。
【0049】
溝4と溝ウェブとの間の可能な限り緩やかな移行部を獲得するために、溝底部7は溝端部8において周方向9に見て、60〜100mmの曲率半径を有する円弧により形成される。このことは可能な限り均一な脱水特性を促進し、周方向9における溝4間の短い溝ウェブを可能にする。
【0050】
溝4内の水がプレスギャップにおいてプレスギャップ入口の方向に逆流できないように、溝4は周方向9において、プレスギャップの長さの20〜60%に相当する、具体的には50〜150mmの長さを有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を製造及び/又は精選する機械にて、前記紙ウェブ、前記板紙ウェブ、前記ティッシュウェブ又は前記他の繊維ウェブ(1)を脱水するプレス装置のためのローラブランケットであって、該ローラブランケットの外側のブランケット面は、ほぼ周方向(9)に延在する溝(4)を有しており、軸線方向に隣り合う溝(4)は同じ方向に配置されていて、かつ、同じ量だけ互いにずらされて配置されている、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を脱水するプレス装置のためのローラブランケットにおいて、
前記ずれの量は溝長さの10から50%の間にあることを特徴とする、紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブ又は他の繊維ウェブを脱水するプレス装置のためのローラブランケット。
【請求項2】
前記ずれの量は20%であることを特徴とする、請求項1記載のローラブランケット。
【請求項3】
前記ずれの量は25%であることを特徴とする、請求項1記載のローラブランケット。
【請求項4】
前記ずれの量は33%であることを特徴とする、請求項1記載のローラブランケット。
【請求項5】
周方向(9)において隣り合う溝(4)の間隔が、5から15mmの間にあることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項6】
溝(4)は0.4から2mmの幅を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項7】
隣り合う溝(4)の間の軸線方向の間隔が、2から4mmの間にあることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項8】
溝(4)の深さが0.5から2mm、有利には1から1.5mmの間にあることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項9】
溝底部(7)が軸線方向において円弧形状部により形成されており、該円弧形状部の曲率半径が0.2から1mm、有利には0.5から0.8mmの間にあることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項10】
周方向(9)において溝底部(7)は溝端部(8)において円弧形状部によって形成され、該円弧形状部の曲率半径は30から150mm、有利には60から100mmの間にあることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項11】
溝(4)は周方向(9)において50から150mmの長さを有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項12】
溝(4)は周方向(9)において、ローラブランケット(2)が対応ローラ(6)と共に形成するプレスギャップの長さの20から60%に相当する長さを有していることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項13】
ローラブランケット(2)はめくら孔を有していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項14】
前記めくら孔は溝(4)の間に位置することを特徴とする、請求項13記載のローラブランケット。
【請求項15】
前記めくら孔は溝(4)内に位置することを特徴とする、請求項13又は14記載のローラブランケット。
【請求項16】
ローラブランケット(2)は全ローラ周面にわたって延在するグルーブを有することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一項記載のローラブランケット。
【請求項17】
前記グルーブは軸線方向において溝(4)の間に配置されていることを特徴とする、請求項16記載のローラブランケット。
【請求項18】
軸線方向に並んで配置されている複数のグルーブを備えた少なくとも1つのグルーブ領域が設けられていることを特徴とする、請求項16又は17記載のローラブランケット。
【請求項19】
少なくとも1つの前記グルーブ領域はローラ端部に設けられていることを特徴とする、請求項18記載のローラブランケット。
【請求項20】
前記ローラブランケットは柔軟な材料から成っており、有利には織物、繊維又は糸から成る補強材を含有していることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一項記載のローラブランケット。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2010−529315(P2010−529315A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510705(P2010−510705)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051826
【国際公開番号】WO2008/148584
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】