ローラー式電界紡績装置
【課題】ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、必要とする電圧の閾値が顕著に小さく、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置を提供する。
【解決手段】ローラー式電界紡績装置であって、少なくとも電気紡績溶液を入れるための原料タンク112と、前記原料タンク中に回転するかきあげローラー114とを有する電気紡績溶液浸漬手段110と、前記電気紡績溶液が付着するように前記かきあげローラーに接触するチェーン形印加電極120と、捕集電極130と、前記チェーン形印加電極及び前記捕集電極にそれぞれ接続される高圧電発生手段140とを備える。
【解決手段】ローラー式電界紡績装置であって、少なくとも電気紡績溶液を入れるための原料タンク112と、前記原料タンク中に回転するかきあげローラー114とを有する電気紡績溶液浸漬手段110と、前記電気紡績溶液が付着するように前記かきあげローラーに接触するチェーン形印加電極120と、捕集電極130と、前記チェーン形印加電極及び前記捕集電極にそれぞれ接続される高圧電発生手段140とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡績装置に関するものであり、特にローラー式電界紡績装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界紡績は、ナノ繊維の製造に用いられる技術であって、高分子の電界紡績溶液の表面張力と粘度に関わらず、プラス電極とマイナス電極の間に生じる電界によって、電界紡績溶液を細い繊維に形成させる技術である。従来の電界紡績技術は、まず、印加電極で高分子の電界紡績溶液に高圧電を印加して、電荷を付与させる。次に、電荷が付与された電界紡績溶液をノズルで吐出して、同じ極性の電荷の間の反発力によって、吐出された電界紡績溶液を糸状に分散させる。次に、糸状になった電界紡績溶液が異なる極性の捕集器による吸引力によって補集されて、電界紡績溶液中の溶剤が揮発した後、極細の電界紡績繊維が形成される。
【0003】
従来の紡績法に比べ、電界紡績によってできた繊維は極めて細く、この繊維によって織り上げた布料は、織り目が細かく、表面積が大きいので、注目されている。しかし、従来の電界紡績技術において、電荷が付与された電界紡績溶液をノズルで吐出して捕集器で補集されることによって電界紡績繊維を紡績している。ノズルの口径が極細であるため、設備の使用時間を経つにつれて、ノズル又は管路が詰まってしまい、また、異種類の電界紡績溶液を交換する場合、管路やノズルを洗浄しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ノズルが詰まる問題点を解決するために、TW200827501号案によって、電界紡績溶液をかきあげるローラー構造とワイヤ形印加電極が用いられる電界紡績設備が開示されている。しかし、ワイヤ形印加電極が必要とする電圧の閾値が高く、しかも幅が大きいため、全体に均一な電界紡績の効果に達し難い。
【0005】
このため、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式の電界紡績装置の前記欠点の解決策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、電圧の閾値を低減させ、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置を提供することを課題とする。
【0007】
前記課題を達成するために、本発明は、ローラー式電界紡績装置であって、少なくとも電気紡績溶液を入れるための原料タンクと、前記原料タンク中に回転するかきあげローラーとを有する電気紡績溶液浸漬手段と、前記電気紡績溶液が付着するように前記かきあげローラーに接触するチェーン形印加電極と、捕集電極と、前記チェーン形印加電極及び前記捕集電極にそれぞれ接続される高圧電発生手段とを備えるローラー式電界紡績装置を提供する。
【0008】
チェーン形印加電極は、複数のビーズと、複数のビーズを接続する接続ワイヤを有するビーズチェーンを含んでよい。ビーズは、断面形状が円形、楕円、正方形、多角形、又は不規則な形であってよく、最大直径が0.5mm〜20mm程度であってよい。また、チェーン形印加電極は、互いに連結される複数の環を含んでよい。環は、形状が円形、楕円、三角形、多角形、水滴形、又は不規則な形であってよく、最大外径が0.5mm〜20mm程度であってよい。また、チェーン形印加電極は、互いに連結される複数のディスク構造を含んでよい。チェーン形印加電極は、複数の突起を有し、隣り合う突起の間にピッチが保持される。チェーン形印加電極は、静止又は回転しながら、かきあげローラーに接触する。前記ビーズ、環、及びディスク構造は、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0009】
本発明によれば、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、必要とする電圧の閾値が顕著に小さく、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
下記図面の簡単な説明は、本発明の前記または他の目的、特徴、メリット、実施形態をより分かりやすくするためのものである。
【図1】本発明に係るローラー式電界紡績装置の一つの実施形態を示す模式図。
【図2】本発明に係るローラー式電界紡績装置のチェーン形印加電極の第1の実施形態を示す模式図。
【図3A】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3B】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3C】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3D】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3E】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3F】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3G】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3H】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3I】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図4】本発明に係るチェーン形印加電極の第2の実施形態を示す模式図。
【図5】本発明に係るチェーン形印加電極の第3の実施形態を示す模式図。
【図6】本発明に係るチェーン形印加電極の第4の実施形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面及び詳細な説明によって本発明をより詳しく説明し、当該分野の技術を熟知しているものであれば、本発明の好適な実施形態を理解した後、本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、多様の変動や修正を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明に係るローラー式電界紡績装置の一つの実施形態を示す模式図である。ローラー式電界紡績装置100は、電界紡績溶液浸漬手段110と、チェーン形印加電極120と、捕集電極130と、高圧電発生手段140とを含む。電界紡績溶液浸漬手段110は、電界紡績溶液を入れるための原料タンク112と、絶縁材料からなり、原料タンク112中に回転するかきあげローラー114とを含む。チェーン形印加電極120は、導体材料からなり、静止又は回転しながら、かきあげローラー114に接触して、かきあげローラー114の回転によって、原料タンク112中の電界紡績溶液をチェーン形印加電極120に付着させる。チェーン形印加電極120は1本であってよく、複数本を有しても良い。
【0013】
高圧電発生手段140は、それぞれチェーン形印加電極120及び捕集電極130に接続され、チェーン形印加電極120及び捕集電極130に異なる電気極性を持たせ、チェーン形印加電極120に第1の電気極性を持たせ、捕集電極130に第2の電気極性を持たせる。チェーン形印加電極120は、かきあげローラー114に接触して、原料タンク112中の電界紡績溶液をかきあげローラー114によってチェーン形印加電極120に付着させる。チェーン形印加電極120に付着した電界紡績溶液は、チェーン形印加電極120と同じ電気極性を持ち、高圧電の同じ電気極性の反発力によって、かきあげローラー114から離れ、糸状に分散される。この第1の電気極性が印加された電界紡績溶液は、第2の電気極性を持つ捕集電極130の方に吸引され、捕集電極130によって捕集されて、電界紡績繊維を形成する。
【0014】
ローラー式電界紡績装置100における捕集電極130は、平板電極や円弧電極などの形態でよい。ローラー式電界紡績装置100は、捕集電極130に寄って、捕集電極130とチェーン形印加電極120の間に位置し、捕集電極130に捕集される電界紡績繊維を収集するコンベヤー132を更に含んでもよい。コンベヤー132は、更に織物を含んでよく、電界紡績繊維をコンベヤー132の織物と結合させ、複合織物を形成してもよい。
【0015】
図2は、本発明に係るローラー式電界紡績装置のチェーン形印加電極の第1の実施形態を示す模式図である。チェーン形印加電極200はビーズからなってよい。ビーズからなるチェーン形印加電極200は、複数のビーズ210及びこれらのビーズ210を接続する接続ワイヤ220を含む。複数のビーズ210は、直径が同じであってもよい。また、複数のビーズ210は、固定的に接続ワイヤ220の所定箇所に固定されてもよく、接続ワイヤ220に対し可動的に接続ワイヤ220に貫通されてもよい。接続ワイヤ220は、導体又は絶縁体の材料からなってもよく、ビーズ210は、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0016】
ビーズからなるチェーン形印加電極200は、突起212の立体構造を有するビーズ210からなるため、隣り合う突起212の間にピッチdが保持される。ビーズ210の突起212によって、電界紡績溶液が電界に作用されて吐出され易くなり、電界紡績繊維の形成に必要とする電圧の閾値を有効に低減することができる。また、電界紡績溶液はビーズ210の突起212から吐出される傾向があり、チェーン形印加電極200の幅を含む範囲内で、ビーズ210がやや均等に分布されるため、チェーン形印加電極200の各ビーズ210から電界紡績繊維が安定に吐出され、全体に大幅で均一な電界紡績の効果を達成することができる。
【0017】
電界紡績溶液として濃度が12重量%のPVAを用い、かきあげローラーと捕集電極の間のピッチを12.5cmにし、印加電極の幅を160cmに設定して、電界紡績を行い、直径が1.5mmのワイヤ形電極を印加電極とした場合に、必要とする電圧の閾値は110キロボルトであるが、直径が1.5mmのビーズからなるチェーン形印加電極を用いた場合に、電圧の閾値は85キロボルトになり、直径が2.4mmのビーズからなるチェーン形印加電極を用いた場合に、電圧の閾値は93キロボルトになり、直径が3.0mmのビーズからなるチェーン形印加電極を用いた場合に、電圧の閾値は91キロボルトになった。上記データによれば、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、チェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置に必要とする電圧の閾値が顕著に小さいことが分かる。
【0018】
図3A〜図3Eは、それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図である。図3Aにおいて、断面形状が円形のビーズ210aを示す。図3Bにおいて、断面形状が楕円のビーズ210bを示す。図3Cにおいて、断面形状が正方形のビーズ210cを示す。図3Dにおいて、断面形状が多角形のビーズ210dを示す。図3Eにおいて、断面形状が不規則な形のビーズ210eを示す。
【0019】
図3F〜図3Iは、異なるビーズの実施形態を示す立体図である。図3Fにおいて、円盤形のビーズ210fを示す。図3G〜図3Iにおいて、表面にカッティングされる多面体のビーズ210g、210h、210iを示す。
【0020】
図2に示すビーズからなるチェーン形印加電極200のビーズ210は、同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。また、ビーズ210は、断面形状が円形、楕円、正方形、多角形、不規則な形及びその集合からなる群から選ばれてもよい。また、ビーズ210は、最大直径が0.5mm〜20mm程度であってよく、複数のビーズ210の最大直径が同じであってもよく、異なってもよい。
【0021】
図4は、本発明に係るチェーン形印加電極の第2の実施形態を示す模式図である。ビーズからなるチェーン形印加電極300は、複数の第1のビーズ310と、複数の第2のビーズ320と、第1のビーズ310及び第2のビーズ320を接続する接続ワイヤ330とを含む。第1のビーズ310と第2のビーズ320は、断面形状が異なってもよく、最大直径が異なってもよい。
【0022】
図5は、本発明に係るチェーン形印加電極の第3の実施形態を示す模式図である。チェーン形印加電極400は、互いに連結される複数の環410を含む。環410の形状は円形、楕円、三角形、多角形、水滴形又は不規則な形であってよい。チェーン形印加電極400は、形状と寸法が同じ一種類の環410で連結してなってもよく、二種類以上の環410で連結してなってもよい。環410は、最大外径が0.5mm〜20mm程度であってよく、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0023】
環410は、突起412を有し、隣り合う突起412の間にピッチdが保持される。環410の突起412によって、電界紡績溶液が電界に作用されて吐出され易くなり、電界紡績繊維の形成に必要とする電圧の閾値を有効に低減することができる。また、電界紡績溶液は環410の突起412から吐出される傾向があり、チェーン形印加電極400の幅を含む範囲内で、環410がやや均等に分布されるため、チェーン形印加電極400の各環410から電界紡績繊維が安定に吐出され、全体に大幅で均一な電界紡績の効果を達成することができる。
【0024】
図6は、本発明に係るチェーン形印加電極の第4の実施形態を示す模式図である。チェーン形印加電極500は、複数の互いに連結されるディスク構造510を含む。ディスク構造510の形状は円形、楕円、水滴形、多角形又は不規則な形であってよい。チェーン形印加電極500は、複数の同じディスク構造510で連結してなってもよく、複数の異なるディスク構造510で連結してなってもよい。ディスク構造510は、最大外径が0.5mm〜5mm程度であってよく、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0025】
ディスク構造510は、突起512を有し、隣り合う突起512の間にピッチdが保持される。ディスク構造510の突起512によって、電界紡績溶液が電界に作用されて吐出され易くなり、電界紡績繊維の形成に必要とする電圧の閾値を有効に低減することができる。また、電界紡績溶液はディスク構造510の突起512から吐出される傾向があり、チェーン形印加電極500の幅を含む範囲内で、ディスク構造510がやや均等に分布されるため、チェーン形印加電極500各ディスク構造510から電界紡績繊維が安定に吐出され、全体に大幅で均一な電界紡績の効果を達成することができる。
【0026】
前記本発明の好ましい実施形態により、本発明を応用すれば、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、必要とする電圧の閾値が顕著に小さく、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置が提供される。
【0027】
本発明では好適な実施形態を前述の通り開示したが、これは決して本発明を限定するものではなく、当該分野の技術を熟知しているものであれば、本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、多様の変動や修正を加えることができる。従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0028】
100:ローラー式電界紡績装置
110:電界紡績液浸漬手段
112:原料タンク
114:かきあげローラー
120:チェーン形印加電極
130:捕集電極
132:コンベヤー
140:高圧電発生手段
200:チェーン形印加電極
210、210a、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210h、210i:ビーズ
212:突起
220:接続ワイヤ
300:チェーン形印加電極
310:第1のビーズ
320:第2のビーズ
330:接続ワイヤ
400:チェーン形印加電極
410:環
412:突起
500:チェーン形印加電極
510:ディスク構造
512:突起
d:ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡績装置に関するものであり、特にローラー式電界紡績装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界紡績は、ナノ繊維の製造に用いられる技術であって、高分子の電界紡績溶液の表面張力と粘度に関わらず、プラス電極とマイナス電極の間に生じる電界によって、電界紡績溶液を細い繊維に形成させる技術である。従来の電界紡績技術は、まず、印加電極で高分子の電界紡績溶液に高圧電を印加して、電荷を付与させる。次に、電荷が付与された電界紡績溶液をノズルで吐出して、同じ極性の電荷の間の反発力によって、吐出された電界紡績溶液を糸状に分散させる。次に、糸状になった電界紡績溶液が異なる極性の捕集器による吸引力によって補集されて、電界紡績溶液中の溶剤が揮発した後、極細の電界紡績繊維が形成される。
【0003】
従来の紡績法に比べ、電界紡績によってできた繊維は極めて細く、この繊維によって織り上げた布料は、織り目が細かく、表面積が大きいので、注目されている。しかし、従来の電界紡績技術において、電荷が付与された電界紡績溶液をノズルで吐出して捕集器で補集されることによって電界紡績繊維を紡績している。ノズルの口径が極細であるため、設備の使用時間を経つにつれて、ノズル又は管路が詰まってしまい、また、異種類の電界紡績溶液を交換する場合、管路やノズルを洗浄しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ノズルが詰まる問題点を解決するために、TW200827501号案によって、電界紡績溶液をかきあげるローラー構造とワイヤ形印加電極が用いられる電界紡績設備が開示されている。しかし、ワイヤ形印加電極が必要とする電圧の閾値が高く、しかも幅が大きいため、全体に均一な電界紡績の効果に達し難い。
【0005】
このため、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式の電界紡績装置の前記欠点の解決策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、電圧の閾値を低減させ、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置を提供することを課題とする。
【0007】
前記課題を達成するために、本発明は、ローラー式電界紡績装置であって、少なくとも電気紡績溶液を入れるための原料タンクと、前記原料タンク中に回転するかきあげローラーとを有する電気紡績溶液浸漬手段と、前記電気紡績溶液が付着するように前記かきあげローラーに接触するチェーン形印加電極と、捕集電極と、前記チェーン形印加電極及び前記捕集電極にそれぞれ接続される高圧電発生手段とを備えるローラー式電界紡績装置を提供する。
【0008】
チェーン形印加電極は、複数のビーズと、複数のビーズを接続する接続ワイヤを有するビーズチェーンを含んでよい。ビーズは、断面形状が円形、楕円、正方形、多角形、又は不規則な形であってよく、最大直径が0.5mm〜20mm程度であってよい。また、チェーン形印加電極は、互いに連結される複数の環を含んでよい。環は、形状が円形、楕円、三角形、多角形、水滴形、又は不規則な形であってよく、最大外径が0.5mm〜20mm程度であってよい。また、チェーン形印加電極は、互いに連結される複数のディスク構造を含んでよい。チェーン形印加電極は、複数の突起を有し、隣り合う突起の間にピッチが保持される。チェーン形印加電極は、静止又は回転しながら、かきあげローラーに接触する。前記ビーズ、環、及びディスク構造は、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0009】
本発明によれば、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、必要とする電圧の閾値が顕著に小さく、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
下記図面の簡単な説明は、本発明の前記または他の目的、特徴、メリット、実施形態をより分かりやすくするためのものである。
【図1】本発明に係るローラー式電界紡績装置の一つの実施形態を示す模式図。
【図2】本発明に係るローラー式電界紡績装置のチェーン形印加電極の第1の実施形態を示す模式図。
【図3A】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3B】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3C】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3D】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3E】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3F】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3G】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3H】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図3I】それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図。
【図4】本発明に係るチェーン形印加電極の第2の実施形態を示す模式図。
【図5】本発明に係るチェーン形印加電極の第3の実施形態を示す模式図。
【図6】本発明に係るチェーン形印加電極の第4の実施形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面及び詳細な説明によって本発明をより詳しく説明し、当該分野の技術を熟知しているものであれば、本発明の好適な実施形態を理解した後、本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、多様の変動や修正を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明に係るローラー式電界紡績装置の一つの実施形態を示す模式図である。ローラー式電界紡績装置100は、電界紡績溶液浸漬手段110と、チェーン形印加電極120と、捕集電極130と、高圧電発生手段140とを含む。電界紡績溶液浸漬手段110は、電界紡績溶液を入れるための原料タンク112と、絶縁材料からなり、原料タンク112中に回転するかきあげローラー114とを含む。チェーン形印加電極120は、導体材料からなり、静止又は回転しながら、かきあげローラー114に接触して、かきあげローラー114の回転によって、原料タンク112中の電界紡績溶液をチェーン形印加電極120に付着させる。チェーン形印加電極120は1本であってよく、複数本を有しても良い。
【0013】
高圧電発生手段140は、それぞれチェーン形印加電極120及び捕集電極130に接続され、チェーン形印加電極120及び捕集電極130に異なる電気極性を持たせ、チェーン形印加電極120に第1の電気極性を持たせ、捕集電極130に第2の電気極性を持たせる。チェーン形印加電極120は、かきあげローラー114に接触して、原料タンク112中の電界紡績溶液をかきあげローラー114によってチェーン形印加電極120に付着させる。チェーン形印加電極120に付着した電界紡績溶液は、チェーン形印加電極120と同じ電気極性を持ち、高圧電の同じ電気極性の反発力によって、かきあげローラー114から離れ、糸状に分散される。この第1の電気極性が印加された電界紡績溶液は、第2の電気極性を持つ捕集電極130の方に吸引され、捕集電極130によって捕集されて、電界紡績繊維を形成する。
【0014】
ローラー式電界紡績装置100における捕集電極130は、平板電極や円弧電極などの形態でよい。ローラー式電界紡績装置100は、捕集電極130に寄って、捕集電極130とチェーン形印加電極120の間に位置し、捕集電極130に捕集される電界紡績繊維を収集するコンベヤー132を更に含んでもよい。コンベヤー132は、更に織物を含んでよく、電界紡績繊維をコンベヤー132の織物と結合させ、複合織物を形成してもよい。
【0015】
図2は、本発明に係るローラー式電界紡績装置のチェーン形印加電極の第1の実施形態を示す模式図である。チェーン形印加電極200はビーズからなってよい。ビーズからなるチェーン形印加電極200は、複数のビーズ210及びこれらのビーズ210を接続する接続ワイヤ220を含む。複数のビーズ210は、直径が同じであってもよい。また、複数のビーズ210は、固定的に接続ワイヤ220の所定箇所に固定されてもよく、接続ワイヤ220に対し可動的に接続ワイヤ220に貫通されてもよい。接続ワイヤ220は、導体又は絶縁体の材料からなってもよく、ビーズ210は、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0016】
ビーズからなるチェーン形印加電極200は、突起212の立体構造を有するビーズ210からなるため、隣り合う突起212の間にピッチdが保持される。ビーズ210の突起212によって、電界紡績溶液が電界に作用されて吐出され易くなり、電界紡績繊維の形成に必要とする電圧の閾値を有効に低減することができる。また、電界紡績溶液はビーズ210の突起212から吐出される傾向があり、チェーン形印加電極200の幅を含む範囲内で、ビーズ210がやや均等に分布されるため、チェーン形印加電極200の各ビーズ210から電界紡績繊維が安定に吐出され、全体に大幅で均一な電界紡績の効果を達成することができる。
【0017】
電界紡績溶液として濃度が12重量%のPVAを用い、かきあげローラーと捕集電極の間のピッチを12.5cmにし、印加電極の幅を160cmに設定して、電界紡績を行い、直径が1.5mmのワイヤ形電極を印加電極とした場合に、必要とする電圧の閾値は110キロボルトであるが、直径が1.5mmのビーズからなるチェーン形印加電極を用いた場合に、電圧の閾値は85キロボルトになり、直径が2.4mmのビーズからなるチェーン形印加電極を用いた場合に、電圧の閾値は93キロボルトになり、直径が3.0mmのビーズからなるチェーン形印加電極を用いた場合に、電圧の閾値は91キロボルトになった。上記データによれば、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、チェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置に必要とする電圧の閾値が顕著に小さいことが分かる。
【0018】
図3A〜図3Eは、それぞれの異なるチェーン形印加電極のビーズの実施形態を示す図である。図3Aにおいて、断面形状が円形のビーズ210aを示す。図3Bにおいて、断面形状が楕円のビーズ210bを示す。図3Cにおいて、断面形状が正方形のビーズ210cを示す。図3Dにおいて、断面形状が多角形のビーズ210dを示す。図3Eにおいて、断面形状が不規則な形のビーズ210eを示す。
【0019】
図3F〜図3Iは、異なるビーズの実施形態を示す立体図である。図3Fにおいて、円盤形のビーズ210fを示す。図3G〜図3Iにおいて、表面にカッティングされる多面体のビーズ210g、210h、210iを示す。
【0020】
図2に示すビーズからなるチェーン形印加電極200のビーズ210は、同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。また、ビーズ210は、断面形状が円形、楕円、正方形、多角形、不規則な形及びその集合からなる群から選ばれてもよい。また、ビーズ210は、最大直径が0.5mm〜20mm程度であってよく、複数のビーズ210の最大直径が同じであってもよく、異なってもよい。
【0021】
図4は、本発明に係るチェーン形印加電極の第2の実施形態を示す模式図である。ビーズからなるチェーン形印加電極300は、複数の第1のビーズ310と、複数の第2のビーズ320と、第1のビーズ310及び第2のビーズ320を接続する接続ワイヤ330とを含む。第1のビーズ310と第2のビーズ320は、断面形状が異なってもよく、最大直径が異なってもよい。
【0022】
図5は、本発明に係るチェーン形印加電極の第3の実施形態を示す模式図である。チェーン形印加電極400は、互いに連結される複数の環410を含む。環410の形状は円形、楕円、三角形、多角形、水滴形又は不規則な形であってよい。チェーン形印加電極400は、形状と寸法が同じ一種類の環410で連結してなってもよく、二種類以上の環410で連結してなってもよい。環410は、最大外径が0.5mm〜20mm程度であってよく、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0023】
環410は、突起412を有し、隣り合う突起412の間にピッチdが保持される。環410の突起412によって、電界紡績溶液が電界に作用されて吐出され易くなり、電界紡績繊維の形成に必要とする電圧の閾値を有効に低減することができる。また、電界紡績溶液は環410の突起412から吐出される傾向があり、チェーン形印加電極400の幅を含む範囲内で、環410がやや均等に分布されるため、チェーン形印加電極400の各環410から電界紡績繊維が安定に吐出され、全体に大幅で均一な電界紡績の効果を達成することができる。
【0024】
図6は、本発明に係るチェーン形印加電極の第4の実施形態を示す模式図である。チェーン形印加電極500は、複数の互いに連結されるディスク構造510を含む。ディスク構造510の形状は円形、楕円、水滴形、多角形又は不規則な形であってよい。チェーン形印加電極500は、複数の同じディスク構造510で連結してなってもよく、複数の異なるディスク構造510で連結してなってもよい。ディスク構造510は、最大外径が0.5mm〜5mm程度であってよく、導体又は絶縁体の材料からなってもよい。
【0025】
ディスク構造510は、突起512を有し、隣り合う突起512の間にピッチdが保持される。ディスク構造510の突起512によって、電界紡績溶液が電界に作用されて吐出され易くなり、電界紡績繊維の形成に必要とする電圧の閾値を有効に低減することができる。また、電界紡績溶液はディスク構造510の突起512から吐出される傾向があり、チェーン形印加電極500の幅を含む範囲内で、ディスク構造510がやや均等に分布されるため、チェーン形印加電極500各ディスク構造510から電界紡績繊維が安定に吐出され、全体に大幅で均一な電界紡績の効果を達成することができる。
【0026】
前記本発明の好ましい実施形態により、本発明を応用すれば、ワイヤ形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置よりも、必要とする電圧の閾値が顕著に小さく、全体に均一な電界紡績の効果を達成できるチェーン形印加電極を用いるローラー式電界紡績装置が提供される。
【0027】
本発明では好適な実施形態を前述の通り開示したが、これは決して本発明を限定するものではなく、当該分野の技術を熟知しているものであれば、本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、多様の変動や修正を加えることができる。従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0028】
100:ローラー式電界紡績装置
110:電界紡績液浸漬手段
112:原料タンク
114:かきあげローラー
120:チェーン形印加電極
130:捕集電極
132:コンベヤー
140:高圧電発生手段
200:チェーン形印加電極
210、210a、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210h、210i:ビーズ
212:突起
220:接続ワイヤ
300:チェーン形印加電極
310:第1のビーズ
320:第2のビーズ
330:接続ワイヤ
400:チェーン形印加電極
410:環
412:突起
500:チェーン形印加電極
510:ディスク構造
512:突起
d:ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー式電界紡績装置であって、少なくとも
電気紡績溶液を入れるための原料タンクと、前記原料タンク中に回転するかきあげローラーとを有する電気紡績溶液浸漬手段と、
前記電気紡績溶液が付着するように前記かきあげローラーに接触するチェーン形印加電極と、
捕集電極と、
前記チェーン形印加電極及び前記捕集電極にそれぞれ接続される高圧電発生手段と
を備えるローラー式電界紡績装置。
【請求項2】
前記チェーン形印加電極は、複数のビーズと、前記複数のビーズを接続する接続ワイヤを有するビーズチェーンを含む請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項3】
前記チェーン形印加電極は、互いに連結される複数の環又は互いに連結される複数のディスク構造を含む請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項4】
前記チェーン形印加電極は、複数の突起を有し、隣り合う突起の間にピッチが保持される請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項5】
前記チェーン形印加電極は、静止又は回転しながら、前記かきあげローラーに接触する請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項1】
ローラー式電界紡績装置であって、少なくとも
電気紡績溶液を入れるための原料タンクと、前記原料タンク中に回転するかきあげローラーとを有する電気紡績溶液浸漬手段と、
前記電気紡績溶液が付着するように前記かきあげローラーに接触するチェーン形印加電極と、
捕集電極と、
前記チェーン形印加電極及び前記捕集電極にそれぞれ接続される高圧電発生手段と
を備えるローラー式電界紡績装置。
【請求項2】
前記チェーン形印加電極は、複数のビーズと、前記複数のビーズを接続する接続ワイヤを有するビーズチェーンを含む請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項3】
前記チェーン形印加電極は、互いに連結される複数の環又は互いに連結される複数のディスク構造を含む請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項4】
前記チェーン形印加電極は、複数の突起を有し、隣り合う突起の間にピッチが保持される請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【請求項5】
前記チェーン形印加電極は、静止又は回転しながら、前記かきあげローラーに接触する請求項1に記載のローラー式電界紡績装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−12755(P2012−12755A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11943(P2011−11943)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(504427651)財團法人紡織産業綜合研究所 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(504427651)財團法人紡織産業綜合研究所 (10)
【Fターム(参考)】
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