説明

ローラ部材および画像形成装置

【課題】微視的電気特性の測定で得られた知見に基づき開発される、濃度ムラや白抜けを発生しない、放電あるいは放電による帯電現象を利用する部材を得ることができるための放電ムラ観察方法を提供する。
【解決手段】ローラ部材1に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極2を有し、電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板7を備え、前記透明電極基板7と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板7と前記ローラ部材1との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置3によって撮影し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ムラ観察方法、放電ムラ観察装置、抵抗測定方法、抵抗測定装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、電子写真方式を用いる画像形成装置に用いられる帯電ローラや転写ローラあるいは転写ベルトやトナーなどの粉体を含む帯電部材に対する放電ムラおよび放電ムラに影響する抵抗を対象とした観察方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる画像形成装置には、画像形成プロセスを実行するための各種部材が装備されており、その中で、放電および放電による帯電現象を利用する部材として帯電装置、転写装置および現像剤として用いられるトナーなどの粉体がある。
【0003】
これら各部材の詳細を、第1番目に転写装置に用いられる部材の一つである転写ローラ、第2番目に帯電装置、第3番目に粉体、第4番目に転写装置に用いられる部材の一つである転写ベルトの順で説明する。
【0004】
第1番目の転写ローラに関して説明すると、転写ローラは、感光体上に現像されたトナー画像を、紙や転写ベルトなどの転写部材に転写する手段として、非接触な状態で転写電界を形成可能なコロナ転写装置に代えて接触若しくは近接対向する部材として用いられる。
【0005】
ローラを用いた転写装置、つまりローラ転写装置は、一般に転写部材の裏面(トナー像が転写される面の反対面)に当接するローラを備え、コロナ転写装置に比べ、転写部材を感光体に確実に密着して搬送するためブレの無い画像が得られることや、転写電流が微少であり、放電によるオゾン発生量が極めて少ないこと等のメリットがある。ローラ転写装置において、基本的にはコロナ転写同様に、感光体と転写部材との間に形成される転写電界によって転写部材に転写されるため、転写ローラの製造時や画像形成装置に搭載する際において、これらの電気特性を把握することは非常に重要である。
【0006】
一般的に転写ローラは、金属製の芯がねの外周に弾性層を被膜し構成され、その電気特性は、被膜された弾性層の表面抵抗率や体積抵抗率を用いて評価される。転写ローラの表面抵抗率や体積抵抗率と転写画像との間には相関があり、一般的に体積抵抗率は106Ωcmから1010Ωcm程度が必要とされている。そのため、弾性層に導電性を付与する目的で、カーボンや金属粉末等の導電性粉体が配合されることがある。また、同様の目的でイオン導電性ポリマーやイオン導電剤を用いることもある。この時、配合する剤の分散が不均一であると、場所により抵抗ムラが生じ、異常画像の原因となる。さらに、分散性と関係なく、転写ローラ端部では抵抗が大きくなる傾向にあり、端部の転写効率が悪くなり画像にムラが生じてしまう。
【0007】
このような問題を解決する手段として、転写ローラの弾性層の厚さを中央部と端部で変化させたりあるいは弾性体層を発泡性とした場合にその発泡倍率を端部側の方が高くなるように設定して抵抗を均一化させたローラを用いる構成(例えば、特許文献1、2)、あるいは、転写ローラの弾性層に半径方向の溝を1又は複数設け、長手方向の抵抗ムラを少なくした構成(例えば、特許文献3)、さらに、転写ローラに用いられる弾性層の特性として、感光体との間で適切なニップ幅を設ける必要から、ある程度の柔軟性を持たせた構成があり、具体的には、ASKER−C硬度が50から70の低硬度にされた弾性層の構成が提案されている(例えば、特許文献4)。
【0008】
転写ローラの弾性層に柔軟性を持たせる目的で多量の軟化材や可塑剤などを配合することも提案されており、例えば、ある大きさのセル径を有するウレタンゴムなどの導電性の発泡弾性体層を表面に設けた構成(例えば、特許文献5)、そして発泡層の材料として、シリコーンゴムや、フッ化ビニリデン系フッ素ゴム(FKN)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)などの材料を用いた例が広く知られている。
【0009】
発泡層を構成した場合には、発泡体表面の空孔部に導電性粉体を充填して表面を平滑化すると共に空孔部も導電性とすることにより前述した特許文献1,2に開示されていると同じ効果を得るようにした構成も提案されている(例えば、特許文献6)。
【0010】
次に第2番目の帯電ローラについて説明する。
従来、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置では、感光体等の像担持体の表面を帯電する装置として、コロナ帯電器が広く用いられていた。コロナ帯電器はその放電開口部が被帯電体に対向するように非接触に配設され、被帯電体表面を放電開口部からのコロナ電流に曝すことで所定の極性の、所定の電位に帯電する。コロナ帯電器には、高電圧電源が必要、帯電効率が低い、コロナ放電によってオゾンや窒素酸化物等の放電生成物が大量に発生する、放電ワイヤが汚れやすい等の問題がある。
【0011】
近年では、低消費電力、高帯電効率、放電生成物の発生量が少ないという特徴を持った接触式帯電装置が実用化されている。これは感光体等の被帯電体に対して導電性の帯電部材を接触させ、帯電部材に電圧を印加して被帯電体に対して放電を行わせて被帯電体表面を所定の電位に帯電させるものである。
【0012】
なお、帯電部材を被帯電体に対して接触させず、帯電部材と被帯電体の間に放電現象を生じうる微小空隙を設けて非接触に対向配設して、帯電部材に所定の帯電バイアスを印加しても、帯電部材を被帯電体と接触させた場合と同様に帯電可能である。帯電部材と被帯電体が接触しないため、被帯電部材表面に残留したトナーや紙粉、汚染物質、トナー添加剤等が帯電部材に付着しにくくなる。帯電部材のクリーニングが不要、もしくは簡易な構成で十分となり、装置の簡略化、少スペース、クリーニング部材との摩擦磨耗による帯電部材の寿命低下を抑制することが可能となるといったメリットがある。
【0013】
本発明でいう接触式帯電装置とは、上記のように帯電部材と被帯電体の間に放電現象を生じうる微小空隙を設けて非接触に対向配設する帯電方式も含むこととする。微小空隙は数μmから数100μmを意味する。
【0014】
帯電部材は、ローラ型・ブレード型・ロッド型・ブラシ型などの形態とすることができる。この中で、帯電部材として導電性ローラを用いたローラ帯電方式は、安定して帯電できるため、多く用いられている。
【0015】
接触式帯電装置には、帯電部材に直流電圧を印加して被帯電体を帯電する「DC帯電方式」と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを印加して被帯電体を帯電する「AC帯電方式」がある。いずれの方式においても、帯電バイアスが印加された接触帯電部材により、被帯電体表面が所定の電位に帯電される。
【0016】
DC帯電方式の場合には、放電の均一化が難しくイオン導電性部材以外では実用化が困難であり、材料の制約が多いといった課題がある。さらにイオン導電性部材は抵抗値の環境依存性が大きく、温度変化に対して抵抗率が0.5桁から1桁変動するといった課題を有しているため非常に扱いにくい。さらにローラ表面の凹凸が帯電ムラとして顕在化しやすいといった課題もあり、装置の高画質化に対しては不利である。表面の凹凸を極力小さくしても、経時でのローラ磨耗やトナーや紙粉の付着によって表面性が低下し、帯電均一性が低下するといった問題もある。
【0017】
一方、AC帯電方式においては、帯電部材は、被帯電体と接触する接触領域と、この領域よりも被帯電体移動方向下流側で被帯電面との距離が大きくなっていく離間面領域とを具備し、直流電圧と交流電圧(ピーク間電圧は、帯電部材に直流電圧を印加して被帯電体の帯電が開始する電圧Vthの2倍以上)を重畳した帯電バイアスを帯電部材に印加する。被帯電面と帯電部材の離間面領域との間に振動電界を形成することで、交流成分が被帯電面の帯電電位を均一にでき、被帯電体表面を所定の電位に収束させることができる。
【0018】
交流電圧の波形として、しばしば正弦波が用いられるが、矩形波、三角波、パルス波であっても良い。AC帯電方式では、過剰な交流電圧を用いると、帯電部材と被帯電体との間に流れる交流放電電流が増える。その為、画像形成装置の被帯電体である像担持体の削れ等の像担持体劣化を促進したり、放電生成物が像担持体に付着することによって高温多湿環境下で画像が流れる等の画像不良が発生する。
【0019】
逆に、過小な交流電圧を用いると、帯電部材と被帯電体との間に流れる交流放電電流は減るが、砂地と呼ばれる画像不良(局所的に過剰に放電することが原因の画像不良)や横筋(被帯電体の長手方向に長く、周方向に短い過剰な放電が原因の画像不良)等の異常画像が発生する。特に帯電部材と被帯電体が非接触の場合には、放電空隙が長くなるため、このような過剰放電が発生しやすく、さらにACバイアスが大きくなる傾向にある。
【0020】
以上から明らかなように、AC帯電方式でのACバイアスはこれらの異常画像が発生しない範囲で、可能な限り小さい値を用いるのが理想であることがわかる。
【0021】
ACバイアスの理想は、異常画像が発生しない範囲において、帯電開始電圧Vthの2倍に可能な限り近づけることである。
【0022】
本発明者は、様々な導電性部材と放電均一性の関係について検討を行ない、異常画像の発生のしやすさは、ローラ構成部材の種類によって異なっており、イオン導電性部材では発生しにくく、逆にカーボン分散導電性部材では発生しやすいといった結果を得た。イオン導電性部材をローラ構成部材として用いた場合には、前述のようにDCバイアスのみでも均一帯電が可能であり、ACバイアスを必要としないため、感光体削れや画像流れといったAC帯電方式での不具合が解消されるといったメリットがある。当然ながらイオン導電性部材を用いた帯電ローラにACを印加した場合には、放電が均一なためACバイアスを小さくすることができ、均一帯電を達成しながら他の課題(感光体削れや画像流れ)を可能な限り抑制できるといったメリットがある。
【0023】
しなしながらイオン導電性物質の抵抗率は環境依存性が大きく、特に温度10℃〜35℃で0.5桁から1桁、物質によってはそれ以上に変動するといった大きな欠点を有している。ローラ抵抗は帯電電位と大きな相関があり、抵抗が低い方が帯電効率がよいと考えられている。しかしながら抵抗が低ければ低いほど帯電効率がよいというわけではない。図23はローラ抵抗と帯電電位の関係である。
【0024】
図23において、ローラ抵抗がある閾値以下の場合には、ローラ抵抗が変動しても帯電電位は一定となり安定していることがわかる。この閾値はプロセス速度に依存し、プロセス速度が速い場合にはこの閾値は低抵抗側にシフトする。例えば図23の場合(プロセス速度200mm/s)には、ローラ抵抗は105Ωm以下が望ましいといえる。よってプロセス速度200mm/sの場合にはイオン導電性物質で抵抗率105Ωm以下の部材をローラに用いれば、環境によってローラ抵抗が変動しても帯電電位は一定となり、安定と言える。しかしながらイオン導電性物質でこのような低抵抗を実現することは困難であり、カーボン等の導電性フィラーを添加することで所望の抵抗を実現する必要があると考えられている。
【0025】
次に第3番目の粉体について説明する。
トナーなどの粉体は、帯電することで静電潜像に静電吸着される関係を持つものである。このため、粉体の帯電特性を観察するには、粉体の抵抗率を計測する方法があり、例えば、株式会社ダイアインスツルメンツのMCP−PD51型 粉体抵抗測定システムが市販されている。これは、4探針や、リング電極を試料に接触させ、電流を検出することにより、粉体の抵抗率を測定する測定装置である。
【0026】
次に第4番目の転写ベルトについて説明する。
複写機やプリンタ等における画像形成プロセスでは、感光体上に現像されたトナー画像が、感光体と転写ベルト(中間転写ベルトを含む)との間に形成される転写電界によって転写ベルトや用紙に転写されるため、転写ベルトの製造時や画像形成装置に搭載する際に、これらの電気特性を把握することは非常に重要である。
【0027】
これらのベルトの電気特性は、JIS K 6911法に基づいて測定される、表面抵抗率や体積抵抗率を用いて評価されるのが最も一般的である。
【0028】
表面抵抗率は、図24に示すように、試料の表面に電極(プローブ)を押し当て、表面を流れる電流を検出して算出され、体積抵抗率は、図25に示すように試料上下の電極間に流れる電流を測定して求められる。
【0029】
また、別の表面抵抗測定方法としては、3個の接触端子を被測定部材に当接してその内の2個の端子を電気的に接続し、他の1個の端子との間の抵抗を並列の合成抵抗として測定することによって表面抵抗率を得る方法なども提案されている(例えば、特許文献7)。
【0030】
一方、転写ベルトの表面抵抗率や体積抵抗率と転写画像との間にはある程度相関があることが経験的に知られており、これらの値を積極的に制御したベルト部材が多く提案されている。例えば、中抵抗のゴムから成る内層と誘電層、および誘電層よりも固有抵抗率が低い材質の表層という組み合わせで、3層で転写ベルトを構成し、用紙の搬送性と分離性を両立すると同時に安定して良好な画像を得ることを実現している(例えば、特許文献8)。
また、導電性の異なる複数種類のカーボンを樹脂に対して膜厚方向に偏在するように分散し、ベルト表面の抵抗を裏面よりも高くすることによって、画像ムラを防止する中間転写ベルトの製造方法が提案されている(例えば、特許文献9)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
ところで、表面抵抗率や体積抵抗率はミリメートルオーダー以上の電極を用いて評価されるものであり、マクロな電気特性を示すため、表面抵抗率や体積抵抗率の測定値だけではベルトの電気特性を完全には把握できないという問題がある。
【0032】
画像形成装置の転写プロセスにおいて、転写材と感光体や、転写材と転写ローラとの間で発生する放電が重要な因子であるため、マクロな意味での表面抵抗率や体積抵抗率の値が同等のローラを用いて、同じ条件で感光体上のトナーを転写ベルトや用紙に転写しても、ハーフトーン画像などで発生する濃度ムラや画像が所々白く抜ける現象(以下、“白抜け”と記す)の傾向が異なるといった問題が多発し、結局のところ、画像形成装置の開発段階においては、多くのローラサンプルについて様々な条件下でトナー画像の転写実験を行い、出力画像を見て好ましいローラを抽出するといった作業が発生していた。このような実情から、より微視的な放電特性や電気特性の評価手法の確立が望まれると同時に、そこで得られる知見に基づいて、濃度ムラや白抜けを発生しない、良好な転写ローラが開発されることが要望されていた。
【0033】
また、転写ローラとしての重要な特性として、転写材との組み合わせによりいかにして電気的に均一なニップ部を形成できるかという点がある。
今日まで用いられている転写ローラの特性を示すための指標としては、ローラ部材の芯金となんらかの対向電極との間に一定のバイアスを印加した際に流れる電流値から算出されるマクロな抵抗値と、顕微鏡などを使って測定されるセル径が主であり、これらの特性値だけではローラ部材の電気特性を完全には把握できない上に、ローラ部材と転写材とが当接した状態では、ローラ部材表面の物理形状や粘弾性分布が影響するために、実際の転写ニップ部において、電気的に均一なニップが形成できているか否かがわからないという問題がある。
その結果、セル径や上述の手法で得られる抵抗値が同等の、別の転写ローラを用いて、同じ転写条件下で感光体上や転写ベルト上のトナーを転写しても、前述した白抜けの傾向が異なるといった問題が頻発してしまうことになる。従って、この場合にも、前述したように、画像形成装置の開発段階において転写実験に基づき好ましいローラを抽出する作業が発生していた。
【0034】
一方、第2番目に挙げた帯電装置を対象とした場合、高画質対応のためAC帯電が有利であるが、感光体膜削れ、画像流れを可能な限り低減するためにACバイアスをできるだけ小さくしたい。放電が均一なイオン導電性物質を用いることで大幅にACバイアスを低減可能であるが、環境による抵抗変動を防止するためにカーボン等のフィラーを添加して低抵抗化して用いている必要がある。フィラーを添加することで温度が変化しても抵抗変動の影響が小さくなり、帯電電位が均一となり、安定した帯電が可能と期待される。カーボンが多いほど電位変動が小さくなるが、しかしながら、フィラー量や分散具合によっては、イオン導電性では発生しなかった過剰放電が発生するようになった。これはカーボン分散量が多い、または分散性が悪いと放電が不安定となり、せっかくのイオン導電性のメリットがなくなってくることが判明した。
理想の帯電ローラはイオン導電性ゴムにカーボンを均一に分散させて、低抵抗化することである。カーボン量は多すぎても問題が発生するため、カーボン量をある範囲に収めなければいけないが、カーボン種類、ヒドリンゴムの製法、混練条件や焼成温度等によって一意には決められない。以上の背景より、ローラの微視的な放電の安定性や電気特性(抵抗や誘電率)を評価する手法が必要とされていた。
【0035】
さらに第3番目に挙げた粉体を対象とした場合には、4探針や、リング電極を用いる抵抗率測定方法では、ミリメートルオーダーの電極を用いて評価されるものであり、マクロな電気特性を示すため、トナーにおけるミクロの電気特性を完全には把握できないという問題がある。例えば、電子写真の画像形成の転写プロセスにおいては、ベルトと感光体や、ベルトと転写ローラとの間で発生する放電が重要な因子である。単にマクロな意味での抵抗率が同じトナーを用いて、同じ条件で感光体上のトナーを転写ベルトや用紙に転写しても、ハーフトーン画像などで発生する濃度ムラや画像が所々白く抜ける現象(以下、“白抜け”と記す)の傾向が異なるといった問題が多発し、結局のところ、画像形成装置の開発段階においては、多くのトナーサンプルについて様々な条件下で、トナー画像の転写実験を行い、出力画像を見て好ましいトナーを選択するといった作業が発生していた。このような実情から、より微視的な放電特性や電気特性の評価手法の確立が望まれると同時に、そこで得られる知見に基づいて、濃度ムラや白抜けを発生しない、良好なトナーが開発されることが要望されていた。
【0036】
また、第4番目に挙げた転写ベルトを対象とした場合においても、転写ローラと同様に表面抵抗率や体積抵抗率はミリメートルオーダーの電極を用いて評価されるものであり、マクロな電気特性を示すため、表面抵抗率や体積抵抗率の測定値だけではベルトの電気特性を完全には把握できないという問題がある。また、画像形成装置の転写プロセスにおいては、ベルトと感光体や、ベルトと転写ローラとの間で発生する放電が重要な因子であるため、実際には抵抗だけではなく、ベルトの表面粗さも大きく影響を及ぼすことが知られており、単にマクロな意味での表面抵抗率や体積抵抗率の値が同等のベルトを用いて、同じ条件で感光体上のトナーを転写ベルトや用紙に転写しても、転写ローラの場合において説明したと同様な白抜けの傾向が異なるといった問題が多発し、結局のところ、画像形成装置の開発段階においては、多くのベルトサンプルについて様々な条件下でトナー画像の転写実験を行い、出力画像を見て好ましいベルトを抽出するといった作業が発生していた。このような実情から、より微視的な放電特性や電気特性の評価手法の確立が望まれると同時に、そこで得られる知見に基づいて、濃度ムラや白抜けを発生しない、良好な転写ベルトが開発されることが要望されていた。また、電子写真方式の複写機やプリンタで使用される用紙の適応性を判定して推奨紙を選別する上でも同様である。
【0037】
本発明の目的は、上記従来の放電および放電による帯電現象を利用する部材における問題に鑑み、微視的電気特性の測定で得られた知見に基づき開発される、濃度ムラや白抜けを発生しない、放電あるいは放電による帯電現象を利用する部材を得ることができるための放電ムラ観察方法、放電ムラ観察装置および抵抗測定方法および測定装置および画像形成装置を提供することにある。
【0038】
特に詳しくは、第1に、転写装置に用いられる転写ローラの微視的な放電特性や電気特性、つまり、放電ムラやこれに影響する抵抗特性が評価可能な、実用的手法と観察装置を提供することにある。
【0039】
第2に、導電性基材にカーボンを分散させた帯電ローラを対象として均一帯電が可能な帯電ローラを規定することができる実用的な評価手法および観察装置を提供することにある。
【0040】
第3に、トナーなどの粉体を対象として、微視的な放電特性等の電気特性を評価可能な実用的測定方法および測定装置を提供することにある。
【0041】
第4に、転写ベルトなどのシートを対象として、微視的な放電特性や電気特性の評価が可能な実用的な測定手法および測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0042】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置によって撮影し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とするローラ部材の放電ムラ観察方法。
【0043】
(2)ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とするローラ部材の放電ムラ観察方法。
【0044】
(3)前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする(2)に記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【0045】
(4)前記透明電極基板と前記ローラ芯金との間に交流バイアスを重畳印加することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【0046】
(5)前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする(2)乃至(4)のいずれかに記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【0047】
(6)前記ローラを回転させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【0048】
(7)(1)乃至(6)のいずれかに記載される放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることを特徴とするローラ部材の放電ムラ観察装置。
【0049】
(8)ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置で撮影し、得られた放電光の強度に基づいて、前記ローラ部材の抵抗を求めることを特徴とするローラ部材の抵抗測定方法。
【0050】
(9)ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、得られた放電光の強度に基づいて、前記ローラ部材の抵抗を求めることを特徴とするローラ部材の抵抗測定方法。
【0051】
(10)前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする(9)に記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【0052】
(11)前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする(9)または(10)に記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【0053】
(12)前記光電子増倍手段の背面に撮影手段を配設し、前記光電子増倍手段で増幅された放電光を撮影し、画像処理によって前記ローラ部材の抵抗を算出することを特徴とする(9)乃至(11)のいずれかに記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【0054】
(13)前記ローラを回転させることを特徴とする(8)乃至(12)のいずれかに記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【0055】
(14)前記撮影手段により撮影された画像データと、予め用意された放電光の明度とローラ部材抵抗の関係式を用いて、ローラ部材の抵抗を算出することを特徴とする(8)乃至(13)のいずれかに記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【0056】
(15)(8)乃至(14)のいずれかに記載の抵抗測定方法を実行するための機構を備えることを特徴とするローラ部材の抵抗測定装置。
【0057】
(16)(1)または(2)に記載のローラ部材の放電ムラ観察方法が適用されるローラ部材として用いられる帯電ローラであって、
前記帯電ローラは、前記撮影手段により観察された放電光が1本または2本の直線状をなす場合に正常帯電可能なものとして判定されることを特徴とする帯電ローラ。
【0058】
(17)前記帯電ローラは、イオン導電性部材にカーボンを分散させて構成されていることを特徴とする(16)に記載の帯電ローラ。
【0059】
(18)前記帯電ローラは、イオン導電性部材にカーボンを分散させた層の上に高抵抗層をコーティングした多層構造とされていることを特徴とする(16)または(17)に記載の帯電ローラ。
【0060】
(19)前記イオン導電性部材がエピクロルヒドリンゴムであることを特徴とする(17)または(18)に記載の帯電ローラ。
【0061】
(20)複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置によって撮影し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とする粉体の放電ムラ観察方法。
【0062】
(21)複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とする粉体の放電ムラ観察方法。
【0063】
(22)前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする(20)または(21)に記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【0064】
(23)前記透明電極基板と前記ローラ芯金との間に交流バイアスを重畳印加することを特徴とする(20)乃至(22)のいずれかに記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【0065】
(24)前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする(20)乃至(23)のいずれかに記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【0066】
(25)前記半透明または透明な電極の表面粗さが算術平均高さRaで0.5mm以下に設定されていることを特徴とする(20)または(21)に記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【0067】
(26)(20)乃至(25)のいずれかに記載される放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることを特徴とする粉体の放電ムラ観察装置。
【0068】
(27)複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記粉体と非接触になるように配設される透明電極基板と、前記粉体を介して前記電極基板に対向する位置に配設される対向電極とを備え、前記透明電極基板と前記対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記粉体との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置で撮影し、得られた放電光の強度に基づいて、前記粉体の抵抗を求めることを特徴とする粉体の抵抗測定方法。
【0069】
(28)複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記粉体と非接触になるように配設される透明電極基板と、前記粉体を介して前記電極基板に対向する位置に配設される対向電極とを備え、前記透明電極基板と前記対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記粉体との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、得られた放電光の強度に基づいて、前記粉体の抵抗を求めることを特徴とする粉体の抵抗測定方法。
【0070】
(29)前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする(28)に記載の粉体の抵抗測定方法。
【0071】
(30)前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする(28)または(29)に記載の粉体の抵抗測定方法。
【0072】
(31)前記光電子増倍手段の背面に撮影手段を配設し、前記光電子増倍手段で増幅された放電光を撮影し、画像処理によって前記粉体の抵抗を算出することを特徴とする(28)乃至(30)のいずれかに記載の粉体の抵抗測定方法。
【0073】
(32)前記透明電極基板の表面粗さが算術平均高さRaで0.5mm以下であることを特徴とする(27)乃至(31)のいずれかに記載の粉体の抵抗測定方法。
【0074】
(33)前記撮影手段により撮影された画像データと、予め用意された放電光の明度と粉体抵抗の関係式を用いて粉体の抵抗を算出することを特徴とする(27)乃至(32)のいずれかに記載される粉体の抵抗測定方法。
【0075】
(34)(27)乃至(33)のいずれかに記載される抵抗測定方法を実行するための機構を備えることを特徴とする粉体の抵抗測定装置。
【0076】
(35)感光体や転写材上のトナー像を、転写材、もしくは他の転写材に転写するための電界を形成するための構成に用いられるローラ部材であって、
前記ローラ部材は、芯金にバイアスを印加される芯金に弾性発泡体層を有する構成を備え、前記転写材との間にニップ部を形成するように透明若しくは半透明の対向電極と対峙して配置され、該対向電極との間に電位差を設定されて該ニップ部の周辺近傍に放電を発生させたとき、該放電に伴って観察される発光領域での前記ニップ幅方向の積算距離の平均値Llight,ave.とし、無発光領域の積算距離の平均値をLdark,ave.としたとき、前記無発光領域の平均積算距離Llight,ave.の前記ニップ周辺近傍領域に対して占める割合が、少なくとも
light,ave./(Ldark,ave.+Ldark,ave.)<0.4
で示されることを特徴とするローラ部材。
【0077】
(36)前記弾性発泡体層の平均セル径が100μm以上350μm未満であることを特徴とする(36)に記載のローラ部材。
【0078】
(37)前記ローラ部材は、電子写真方式の画像形成装置に搭載可能であり、該画像形成装置に搭載された際に、静電潜像保持体の基板部と前記ローラ部材の芯金との間に設けられる電位差と同じ電位差を設けた状況において、上記関係式を満たすことを特徴とする(35)または(36)に記載のローラ部材。
【0079】
(38)前記ローラ部材は、電子写真方式の画像形成装置に搭載可能であり、該画像形成装置に搭載された際に、転写材、もしくは転写材搬送部材との間で形成するニップ幅と同じ幅のニップを設けた状況において上記関係式を満たすことを特徴とする(35)乃至(37)のいずれかに記載のローラ部材。
【0080】
(39)(35)乃至(38)のいずれかに記載されるローラ部材を搭載することを特徴とする画像形成装置。
【0081】
(40)前記ローラ部材がニップを形成する転写材、もしくは転写材搬送部材が無端ベルトで、前記無端ベルトが、樹脂で構成されるベース中に導電性物質が分散されていることを特徴とする(39)に記載の画像形成装置。
【0082】
(41)前記ローラ部材がニップを形成する前記無端ベルトが単層ベルトであり、前記無端ベルトのベースとなる樹脂が、1013Ωcm以上の体積抵抗率を有することを特徴とする(39)または(40)に記載の画像形成装置。
【0083】
(42)前記ローラ部材がニップを形成する前記無端ベルトの体積抵抗率が1011Ωcm以下であることを特徴とする(39)乃至(41)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0084】
(43)シート部材に対し、半透明もしくは透明な電極の表面に蛍光体が塗布された透明電極基板を有し、前記透明電極基板は、蛍光体塗布面が前記シート部材に向けられ、かつ非接触になるように配設され、さらに前記シート部材を介して前記透明電極基板に対向する位置に配設された背後電極と前記透明電極基板の背面に配設される撮像撮影手段、を備え、前記透明電極基板と前記背後対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記シート部材との間の電位差で生じた放電により、前記蛍光体から発生した蛍光を、前記撮像手段によって撮影し、前記シート部材に発生する放電ムラを観測することを特徴とするシート部材の放電ムラ測定方法。
【0085】
(44)前記撮像撮影手段は放電ムラ評価手段に接続され、該放電ムラ評価手段は、該撮像刷撮影手段からの画像データに基づき、放電ムラの特徴量を抽出することを特徴とする(43)に記載の放電ムラ測定方法。
【0086】
(45)前記撮像撮影手段は、記透明電極基板の背面に、等倍イメージセンサーを配置した構成が用いられることを特徴とする(43)または(44)に記載の放電ムラ観察方法。
【0087】
(46)(43)乃至(45)のいずれかに記載の放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることを特徴とする放電ムラ観察装置。
【発明の効果】
【0088】
請求項1および請求項20記載の発明によれば、ローラ部材あるいは粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯がねとの間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置によって撮影することによって、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することが可能となる。
【0089】
請求項2および請求項21記載の本発明によれば、ローラ部材あるいは粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯がねとの間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段することによって、前記ローラ部材に発生する放電ムラを高感度で観察することが可能となる。
【0090】
請求項3,22,29記載の本発明によれば、前記光電子増倍手段としてイメージインテンシファイアを用いることによって、高感度で、かつ時間分解能の高い放電ムラ観察が可能となる。
【0091】
請求項4請求項23記載の本発明によれば、前記透明電極基板と前記ローラ芯がねとの間に交流バイアスを重畳印加することによって、直流バイアスでは継続的な放電が発生しないようなローラ部材に関しても、ローラ部材表面に発生する放電ムラを観察することか可能となる。
【0092】
請求項5,24,30記載の本発明によれば、前記イメージインテンシファイアを複数個直列に配設することによって、微弱な放電ムラをも観察することが可能となる。
【0093】
請求項6記載の本発明によれば、前記ローラ部材を回転させることによって、観察個所を変えながら、ローラ部材表面に発生する放電ムラを観察することか可能となる。
【0094】
請求項7記載の本発明によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載される放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることにより、ローラ部材の放電ムラ観察装置を実現できる。
【0095】
請求項8記載の発明によれば、ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯がねとの間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置で撮影し、得られた放電光の強度に基づいて、前記ローラ部材の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0096】
請求項9記載の発明によれば、ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯がねとの間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、高感度で得られた放電光の強度に基づいて、前記ローラ部材の抵抗や抵抗ムラを高精度に算出することが可能となる。
【0097】
請求項10記載の発明によれば、前記光電子増倍手段としてイメージインテンシファイアを用いることによって、高感度で、かつ高時間分解能の抵抗ムラ測定が可能となる。
【0098】
請求項11記載の発明によれば、前記光電子増倍手段を複数個直列に配設することによって、微弱な抵抗ムラをも測定することが可能となる。
【0099】
請求項12記載の発明によれば、前記光電子増倍手段の背面にCCDを内蔵する撮影手段を配設して前記光電子増倍手段で増幅された放電光を撮影し、これを画像処理することによって前記ローラ部材の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0100】
請求項13記載の発明によれば、前記ローラ部材を回転させることによって、観察個所を変えながら、ローラ部材の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0101】
請求項14記載の発明によれば、前記撮影手段により撮影された画像データと、予め用意された放電光の明度とローラ部材抵抗の関係式を用いて、ローラ部材の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0102】
請求項15記載の発明によれば請求項8乃至14のいずれかに記載される抵抗測定方法を実行するための機構を備えることにより、ローラ部材の抵抗測定装置を実現できる。
【0103】
請求項16記載の発明によれば、異常画像や不均一帯電が発生しない帯電ローラを提供可能となり、均一帯電が可能で高画質に適した帯電ローラが実現可能となる。
【0104】
請求項17記載の発明によれば、イオン導電性部材で構成された帯電ローラにおいて、異常画像や不均一帯電が発生しないカーボン分散量、分散状態をもったローラを提供可能となり、環境変動が少なく、均一帯電が可能で高画質に適した帯電ローラが実現可能となる。
【0105】
請求項18記載の発明によれば、イオン導電性部材で構成され、表面をコーティングしたローラにおいて、異常画像や不均一帯電が発生しないカーボン分散量、分散状態をもったローラを提供可能となり、環境変動が少なく、均一帯電が可能で高画質に適した帯電ローラが実現可能となる。
請求項19記載の発明によれば、イオン導電性部材で構成された帯電ローラにおいて、異常画像や不均一帯電が発生しないカーボン分散量、分散状態をもったローラを提供可能となり、環境変動が少なく、均一帯電が可能で高画質に適した帯電ローラが実現可能となる。
【0106】
請求項25記載の発明によれば、表面粗さが算術平均高さRaで0.5mm以下の、平滑な透明電極基板を用いることによって、粉体の抵抗ムラや形状のみに由来する放電ムラを観察することが可能となる。
請求項26記載の発明によれば、請求項20乃至25のいずれかに記載される放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることにより、粉体の放電ムラ観察装置を実現できる。
【0107】
請求項27記載の発明によれば、粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記粉体と非接触になるように配設される透明電極基板と、前記粉体を介して前記電極基板に対向する位置に配設される対向電極とを備え、前記透明電極基板と前記対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記粉体との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置で撮影し、得られた放電光の強度に基づいて、前記粉体の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0108】
請求項28記載の発明によれば、粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記粉体と非接触になるように配設される透明電極基板と、前記粉体を介して前記電極基板に対向する位置に配設される対向電極とを備え、前記透明電極基板と前記対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記粉体との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、高感度で得られた放電光の強度に基づいて、前記粉体の抵抗や抵抗ムラを高精度に算出することが可能となる。
【0109】
請求項31記載の発明によれば、光電子増倍手段の背面にCCDを内蔵する撮影手段を配設して撮像素子を蛍光面に近接して配置でき、この構成において前記光電子増倍手段で増幅された放電光を撮影してこれを画像処理することによって、省スペースな構成を用いて前記粉体の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0110】
請求項32記載の発明によれば、表面粗さが算術平均高さRaで0.5mm以下の、平滑な透明電極基板を用いることによって、粉体の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0111】
請求項33記載の発明によれば、撮影手段により撮影された画像データと、予め用意された放電光の明度と粉体抵抗の関係式を用いて、粉体の抵抗や抵抗ムラを算出することが可能となる。
【0112】
請求項34記載の発明によれば、請求項20乃至27のいずれかに記載される抵抗測定方法を実行するための機構を備えることにより、粉体の抵抗測定装置を実現できる。
【0113】
請求項35記載の発明によれば、感光体や転写材上のトナー像を、転写材、もしくは他の転写材に転写するための電界を形成するために、芯金にバイアスが印加されて用いられる、電子写真方式の画像形成装置に搭載されるローラ部材で、前記ローラ部材に対してニップを形成するように、透明、もしくは半透明の対向電極を当接させるとともに、前記ローラ部材と前記対向電極との間に電位差を設けて、前記ローラ部材と前記対向電極との前記ニップの周辺近傍に放電を発生させた時、前記放電に伴って観察される発光領域の、ニップ幅方向の平均積算距離をLlight,aveとし、無発光領域の平均積算距離をLdark,aveとした時、前記無発光領域の平均積算距離の前記ニップ周辺近傍領域に対して占める割合を、Llight,ave /(Llight,ave+ Ldark,ave)< 0.4 とすることによって、良好な転写を実現する転写ローラを実現できる。
【0114】
請求項36記載の発明によれば、転写ローラに用いる弾性発泡体層の平均セル径を100μm以上350μm未満とすることによって電気的に均一なニップを形成可能な転写ローラを実現できる。
【0115】
請求項37記載の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置に搭載される際に、静電潜像保持体の基板部と転写ローラの芯金との間に設けられる電位差と同じ電位差を設けた状況において、Llight,ave /(Llight,ave+ Ldark,ave)< 0.4を満足する転写ローラを抽出することによって、良好な転写を実現する転写ローラを提供できる。
【0116】
請求項38記載の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置に搭載される際に、転写ローラと転写材、もしくは転写材搬送部材との間で形成するニップ幅と同じ幅のニップを設けた状況において、Llight,ave /(Llight,ave+ Ldark,ave)< 0.4を満足する転写ローラを抽出することによって、良好な転写を実現する転写ローラを提供できる。
【0117】
請求項39記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載される転写ローラを搭載することによって、良好な転写を実現する電子写真方式の画像形成装置を提供できる。
【0118】
請求項40記載の発明によれば、樹脂で構成されるベース中に導電性物質が分散されている転写ベルトや紙搬送ベルトと請求項1乃至4のいずれかに示される転写ローラとを組み合わせることによって、抵抗変動の環境依存性の低さや耐久性の高さ、膜厚偏差の小ささなどの利点を生かすとともに、高画質転写が可能な電子写真方式の画像形成装置を提供できる。
【0119】
請求項41記載の発明によれば、ベース樹脂の体積抵抗率が1013Ωcm以上の転写ベルトや紙搬送ベルトと請求項1乃至4のいずれかに示される転写ローラとを組み合わせることによって、抵抗の環境依存性が小さく、高画質転写が可能な電子写真方式の画像形成装置を提供できる。
【0120】
請求項42記載の発明によれば、体積抵抗率が1011Ωcm以下の転写ベルトや紙搬送ベルトと請求項1乃至4のいずれかに示される転写ローラとを組み合わせることによって、低負荷で高画質転写が可能な電子写真方式の画像形成装置を提供できる。
【0121】
請求項43および46記載の発明によれば、転写ベルトや複写用紙などのシート状部材の抵抗ムラや表面凹凸に起因する放電ムラを直接観察可能となり、画像に影響のある放電ムラが発生するかどうかの判断が容易となる。また、高画質に適したシート状部材を容易に選別可能となる。
【0122】
請求項44記載の発明によれば、一意に決定できる特徴量を算出することで客観的な放電ムラの評価が可能になる。
【0123】
請求項45記載の発明によれば、撮像素子を蛍光面に近接して配置できることで、光学的に効率良く放電光の像を撮影することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明実施例による放電ムラ観察方法に適用する装置をローラ部材に適用した場合の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した観察装置を用いてサンプルとしたローラ部材の放電ムラの観察結果を示す模式図である。
【図3】図1に示した装置を用いた観察方法によるサンプルとしてのローラ部材の抵抗を求めるための原理を説明する模式図である。
【図4】図1に示した装置で実施される観察手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示した装置の要部の変形例を示す模式図である。
【図6】図1に示す装置を用いてカーボン分散量を変更した場合のローラの一例を対象とした放電光の状態を示す図である。
【図7】図6に示したカーボン分散量と異なる状態の放電光の状態を示す図である。
【図8】図6に示したカーボン分散量と異なる状態でかつ、表面に高抵抗保護層を設けた場合のローラを用いた放電光の状態を示す図である。
【図9】図8に示したカーボン分散量と異なる状態でかつ、表面に高抵抗保護層を設けた場合のローラを用いた放電光の状態を示す図である。
【図10】本発明実施例による放電ムラ観察方法を適用されるローラの環境依存性に関する実験結果を示す線図である。
【図11】本発明による放電ムラ観察方法を粉体を対象とした場合の装置構成を示す模式図である。
【図12】粉体を対象とした放電ムラの観察結果を示す図である。
【図13】図11に示した装置を用いた観察方法によるサンプルとしての粉体の抵抗を求めるための原理を説明する模式図である。
【図14】図11に示した装置の要部の変形例を示す模式図である。
【図15】図11に示した装置で実施される観察手順を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明による放電ムラ観察方法を、発泡弾性層を有する転写ローラを対象とした場合の装置構成を示す模式図である。
【図17】図16に示す装置を用いて発泡弾性層を有する転写ローラを種々のセル径で形成した場合を対象として、電極との間で発生する放電光と実際の画像形成装置に搭載した場合に得られる画像を評価した結果とを示す表図である。
【図18】図16に示した装置を用いて転写ローラのニップ近傍での放電ムラを観察した結果を示す図である。
【図19】図18に示す放電光の発生状態のうちで、画像不良を生じない場合のニップ部とこれに対する放電光との発生状態を説明するための図である。
【図20】転写ベルトを含むシート材を対象とした放電ムラを観察するための装置の構成を説明するための模式図である。
【図21】図21に示した観察装置に用いられる当面電極と撮像手段との配置構成を示す図である。
【図22】図20に示す構成の観察装置に用いられる評価を実行するための構成を説明するためのブロック図である。
【図23】ローラ抵抗と帯電電位との関係を説明するための線図である。
【図24】ベルトの表面抵抗率を算出するための計測構造を示す図である。
【図25】ベルトの表面抵抗率を計測する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0125】
以下、図に示した実施例による本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0126】
図1は、ローラ部材を対象として放電観察方法を採用した放電ムラ観察装置を示す概略図である。
【0127】
本実施例におけるローラ部材の放電ムラ観察装置は、観察対象である転写ローラなどのサンプルローラ1をステージ8の上に置き、電極2に外部から電圧を印加することによってサンプルローラ1とアースに短絡されたITO(Indium−Tin−Oxide)電極7との間に発生する放電光を、ミラー5を介してイメージインテンシファイア4に導入し、増倍された放電画像を、CCDを内蔵するビデオカメラ3などで取り込む構成となっている。
【0128】
本装置では、微小な発光を捕らえることを目的として、イメージインテンシファイア4(浜松フォトニクス(株)社製V1366P)を2つ直列に並べており、それぞれのイメージインテンシファイアの入口側に像を結像するためにレンズ9(PENTAX社製、smc PENTAX−A DENTAL MACRO 1:4 100mm)とレンズ10(PENTAX社製、smc PENTAX−FA 1:2.8 50mm MACRO)が配設されている。サンプルローラ1と透明電極7との距離は、ステッピングモーター12を用いてステージ8を動かすことにより、1μmのオーダーで制御され、ステッピングモーター12はステッピングモータコントローラ13(駿河精機(株)製ステッピングモーターコントローラD70)を介して、パソコン14で制御される。なお、電極2に印加されるバイアスについても、アンプ11(トレック社製、MODEL677A)を介してパソコン14で制御される。尚、サンプルローラをモーター等を用いて回る構成にすることで、サンプルローラの周方向全体を観察できるとともに、実際と同様の条件で観察できる。
【0129】
本装置では最大ルミナンスゲインが6×104 [ft−L/ft−c]のイメージインテンシファイアを直列に配置し、理論上3×109を超えるルミナンスゲインを得ることで、高感度かつ、高時間分解能でサンプルローラ上の微細な放電ムラをも可視化することに成功した。
当然のことながら、これと同等かそれ以上の性能を有するものであれば、どのようなイメージインテンシファイアを使用することも可能であり、また、大まかな放電ムラを観察する場合に関しては、より低いルミナンスゲインの物を使用することも可能である。
【0130】
このような場合は、イメージインテンシファイアを複数個配置することなく、1つだけで観察することも可能であるが、少なくとも1×104 [ft−L/ft−c]以上のルミナンスゲインを有するイメージインテンシファイアを使用することが望ましい。なお、時間分解能を必要としない観察条件に関しては、イメージインテンシファイアの代わりに通常の銀円写真方式のカメラや、CCD、冷却CCD(例えば、Santa Barbara Instrument Group製ST−6)などを用い、露出時間を長くするなどして放電ムラを観察することも可能である。
【0131】
本実施例では、透明電極7としてITO電極を使用しているが、透明性を有する電極であればこれに限るものではなく、例えばガラスやブラスチックなどの透明材料上に金、銀、銅、アルミニウム、白金、インジウム、カーボンなどの、様々な金属をナノメートルオーダで蒸着したものを使用することも可能である。
【0132】
図2は、本実施例によるローラ部材の放電ムラ観察装置を用いて、転写ローラサンプルA、B、Cの、放電ムラを観察した結果の模式図である。
サンプルA、Bはウレタン発泡のローラで発泡の仕方が異なるもの、Cは発泡させていないウレタンのローラであり、各サンプルローラとITO電極を接触させニップ幅一定とし、印加バイアスを変化させて観察を行った。図示されるように、本実施例による放電ムラ観察装置を用いることによって、放電ムラや、その発生傾向の電界依存性の違いを明確に確認できることがわかる。
【0133】
なお、サンプルローラ内に抵抗が高い領域があり、直流バイアスでは継続的な放電が発生しないものに対しては、電極2に振幅の大きいACバイアスを重畳し連続的に放電を発生させることによって、放電ムラの傾向を見ることが可能になるため、放電ムラ観察時にACバイアスを使用することは非常に有効である。放電ムラの観察時は、直流バイアス成分のオフセット値や、交流成分の振幅、周波数などについて、様々な条件で測定することが望ましい。さらに、種々の長波長カットフィルタやバンドパスフィルタなどの光学フィルタをイメージインテンシファイアの前に使用することによって、ノイズを抑えた観察が実現できる。
【0134】
図5は、実施例1とは別の様態の、ローラ部材の放電ムラ観察装置である。本装置では、ミラーを配設せず、レンズやイメージインテンシファイア、CCDなどをベルトに対して垂直に置くことによって、省スペースが図られている。
【実施例2】
【0135】
図3は、実施例1に示されるローラ部材の放電ムラ観察手方法と装置を用いて撮影された放電光観察像から、本発明に基づいてローラ部材の抵抗を求める方法の原理に関する実施例を説明するものである。
【0136】
放電が一定の抵抗を有するサンプルローラと電極との間で発生する場合においては、単位時間当たりに発生する放電の発生量は抵抗に依存して変化し、抵抗が高い材料ほど少なくなる。すなわち、予め一定の電界で発生する放電光の光強度と抵抗の関係がわかっていれば、観察される放電光の強度からサンプルローラの抵抗を求めることが可能になる。
【0137】
本実施例では、実施例1の放電ムラ観察装置を用いて、サンプルローラとITO電極の間にギャップを設け、サンプルローラ上に発生する放電光を観察し、サンプルローラの抵抗を算出した。
なお、図1に示されるビデオカメラ3で撮影された画像データは、本実施例ではパソコン14に取り込まれるようになっている。
【0138】
図4は、本手法を採用した抵抗測定装置の動作のフローを説明する図である。
本装置では、ユーザから本抵抗測定装置に付属のパソコンのキーボードを介して入力されたサンプルローラの厚さや、ITO電極との距離、印加バイアスなどの情報に基づいて、サンプルローラとITO電極との距離を調整後、サンプルローラの芯金に電圧を印加し、放電を発生させる。CCDによって撮影された放電画像データはパソコンへ転送後、画像処理によってグレースケール化され、明度情報に変換される。得られた明度の値と、予め用意された抵抗−明度曲線から、サンプルローラの抵抗や抵抗ムラが算出される。なお、本手法では、実際に発生している放電光の光強度と撮影された画像の明度とが比例する必要があるため、イメージインテンシファイアのルミナンスゲインは一定でなければならない。そのため、イメージインテンシファイアが自動的にルミナンスゲインを調整するような条件では、本手法は使う事はできないので、注意が必要である。また、時間分解能を必要としない測定条件に関しては、イメージインテンシファイアの代わりに通常の銀円写真方式のカメラや、CCD、冷却CCDなどを用い、露出時間を長くするなどして放電ムラを観察することも可能である。
【実施例3】
【0139】
次に、帯電ローラをサンプルとして放電ムラを観察する場合の実施例について説明する。
本例では、図1に示した構成の放電ムラ観察装置が用いられ、各部材のうちで、透明電極7として表面粗さが小さいものが選択されている。具体的には、JISB0601基準の算術平均高さRaで0.5mm以下とされ、これを用いることで良好な放電光の観察を実現している。
【0140】
図6乃至図9は、シリコーンゴムをベースにカーボン分散量を変更して構成した2本のローラを対象とした放電光観察結果を示す模式図である。
図6乃至図9に示す結果が得られたローラは、カーボン分散量が多いもの(便宜上、ローラFと称する)とカーボン分散量が少ないもの(便宜上、ローラGと称する)とが対象となり、ローラFは体積抵抗で103Ωm、ローラGは体積抵抗で105Ωmである。
ローラとITO電極間は50μmの空隙があり、AC2kHz、Vpp=1000Vを印加した場合の結果を、図6(ローラF)、図7(ローラG)に示す。
図6では中心に1本の断線状の放電光が見えるが、図7では途切れのない1本の放電光が観察されている。
【0141】
本方式ではITO電極とローラ間の直接の放電を観察するため、放電の均一性が悪い場合や、ローラ表面に高抵抗のコーティング層を有していない場合には、過剰な放電電流が流れやすく、ITO電極が破壊されたり、ローラが焼けたり、イメージインテンシファイアの劣化が起こるといった不具合が多発する。これを防止するために、ITO電極表面に透明な高抵抗保護層を設けるとよい。
【0142】
図8、図9はITO電極表面に厚さ25μmのポリカーボネートをコーティングし、ローラとコーティング層を接触させた状態で、同様のバイアスを印加した場合の観察結果である。図8ではニップ両側に2本の断線状の放電光が、図9では直線状の放電光が観察されている。このように本放電光観察方法によって、カーボン分散量や分散状態を反映した放電光が観察可能であることがわかる。
【実施例4】
【0143】
本発明のローラ部材の放電ムラ観察装置を用いて、帯電ローラA、B、C、D、Eの、放電ムラを観察した結果を以下に示す。
ローラAはエピクロルヒドリンゴム単体で体積抵抗値2×105Ωm、B〜Eはエピクロルヒドリンゴムに導電性カーボンを分散させたものである。
ローラB〜Cはローラの体積抵抗値は105Ωm前後でばらつきの範囲内でほぼ同じ抵抗値とみなせる。またDとEはローラの体積抵抗値5×104Ωm前後でばらつきの範囲内でほぼ同じ抵抗値とみなせる。
【0144】
各ローラとITO電極の距離を50μm一定とし、直流電圧−400Vと−1000V、Vpp=1500V、周波数2kHzで観察を行った。表で示されるように、本実施例の放電ムラ観察装置を用いることによって、放電ムラや、その発生傾向を明確に確認できることがわかる。
【0145】
Vdc=−500V
ローラA 中心に1本の直線状放電。幅約1.0mm。
ローラB 中心に1本の直線状放電。幅約1.5mm。
ローラC 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラD 中心に1本の直線状放電。幅2.0mm。
ローラE 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
【0146】
Vdc=−1000V
ローラA 中心に1本の直線状放電。幅約1.5mm。
ローラB 中心に1本の直線状放電。幅約2.0mm。
ローラC 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラD 中心に1本の直線状放電。幅2.5mm。
ローラE 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
【実施例5】
【0147】
次にローラを400rpmで回転させながら同じように放電光を観察した結果を示す。
【0148】
Vdc=−500V
ローラA 中心に1本の直線状放電。幅1.0mm。
ローラB 中心に1本の直線状放電。幅1.5mm。
ローラC 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラD 中心に1本の直線状放電。幅2.5mm。
ローラE 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
Vdc=−1000V
ローラA 中心に1本の直線状放電。幅1.5mm。
ローラB 中心に1本の直線状放電。幅2.0mm。
ローラC 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラD 中心に1本の点線状放電。
時間で放電点位置が揺らぐように変動する。
ローラE 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラを回転させなかった場合には、ローラDは均一に直線状放電をしていたが、回転させるとローラDでは不均一な点線状放電となった。これは回転によってローラ表面電位が十分上昇する前に放電するためであり、ローラの抵抗ムラを反映していると考えられる。
(画像との対応例)
実際の電子写真装置で各ローラを用いてアナログハーフトーン画像を形成した結果を以下に示す。条件1は帯電電位を−450Vに、条件2は−900Vに帯電させた際の結果である。帯電ムラの発生するローラは、放電光観察装置において放電が点在しており、対応が取れることがわかる。
よって本評価装置によって、ローラAとローラBが安定であり、次にローラDが安定といえる。
【0149】
条件1
ローラA 均一なハーフトーン画像
ローラB 均一なハーフトーン画像
ローラC うろこ状の帯電ムラが観察される。
ローラD 均一なハーフトーン画像
ローラE うろこ状の帯電ムラが観察される。
【0150】
条件2
ローラA 均一なハーフトーン画像
ローラB 均一なハーフトーン画像
ローラC 条件1よりも大きなうろこ状帯電ムラとなる。
ローラD うろこ状の帯電ムラが観察される。
ローラE 条件1よりも大きなうろこ状帯電ムラとなる。
(帯電特性の環境依存性)
図10は、各ローラを低温低湿であるLL環境(10℃、15%)と常温常湿であるMM環境(23℃、65%)の環境で帯電特性を測定した結果である。なお、通常は高温高湿(HH)環境を加えて3環境で評価するが、MMとHHはほとんど同じ帯電特性を示すため省略した。実施例1,2と図7より最適なローラを考える。ローラAは環境変動の影響が大きいため、補正等の手段を要すると考えられる。ローラBは帯電が均一で、かつ環境変動が少ないため最適となる。また印加電圧が大きくない場合には、条件1で均一帯電可能と判断したローラDも使用可能と判断できる。
【実施例6】
【0151】
ITO電極表面に厚さ25μmのポリカーボネートをコーティングし、ローラと接触させて電圧を印加した。印加電圧は直流電圧−500Vと−1000V、Vpp=1500V、周波数2kHzである。
以下に示されるように、本実施例の放電ムラ観察装置を用いることによって、放電ムラや、その発生傾向を明確に確認できることがわかる。
【0152】
Vdc=−500V
ローラA 中心に2本の直線状放電。幅0.5mm。
ローラB 中心に2本の直線状放電。幅0.8mm。
ローラC 2本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラD 中心に2本の直線状放電。幅1.2mm。
ローラE 2本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
【0153】
Vdc=−1000V
ローラA 中心に2本の直線状放電。幅0.7mm。
ローラB 中心に2本の直線状放電。幅1.0mm。
ローラC 2本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラD 中心に2本の点線状放電。
時間で放電点位置が揺らぐように変動する。
ローラE 2本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
【実施例7】
【0154】
ローラC表面にコーティング層を設けた、C1、C2、C3、C4ローラの放電光を観察した。C1とC2ではコーティング厚さが異なる。C1とC3、C4はコーティング厚さは同じだが、コーティング材料が異なっている。
【0155】
各ローラとITO電極の距離を50μm一定とし、直流電圧−1000V、Vpp=1500V、周波数2kHzで観察を行った。表で示されるように、本実施例の放電ムラ観察装置を用いることによって、放電ムラや、その発生傾向を明確に確認できることがわかる。
【0156】
Vdc=−1000V
ローラC1 中心に1本の直線状放電。幅約1.0mm。
ローラC2 中心に1本の直線状放電。幅約0.7mm。
ローラC3 1本の点線状放電。放電が点在しているとみなせる。
ローラC4 中心に1本の直線状放電。幅約0.7mm。
実機で画像を確認したところ、C3以外は均一なハーフトーン画像が得られ、放電観察結果と画像に対応が取れていることが確認された。
【実施例8】
【0157】
次に粉体を対象とした放電ムラ観察に関する実施例について説明する。
図11粉体の放電ムラ観察装置の構成を示しており、大半の構成は図1に示した構成と同様であるが、観察対象が粉体であるので、電極2上には、トナー1’が付着量0.4mg/cm2の量で載せられている。また、透明電極は、前述した例と同様に、表面粗さがJISB0601基準の算術平均高さRaで0.5mm以下とされている。
【0158】
図12は、本実施例の粉体の放電ムラ観察装置を用いて、トナーサンプルA、B、Cの、放電ムラを観察した結果の模式図である。
トナーAは粉砕型トナー、トナーBは球形度の低い重合型トナー、トナーCは球形度の高い重合型トナーである。
【0159】
トナーA、B、Cについて、株式会社ダイアインスツルメンツのMCP−PD51型 粉体抵抗測定システムで測定したときの抵抗率は等しい値となった。
トナーA、B、Cについて、本放電ムラ観察装置を用い、各トナー試料上面とITO電極の距離を約20μm一定とし、印加バイアスを変化させて観察を行った。
【0160】
図示されるように、本実施例の放電ムラ観察装置を用いることによって、放電ムラや、その発生傾向の電界依存性の違いを明確に確認できることがわかる。
【0161】
なお、トナー試料内に抵抗が高い領域があり、直流バイアスでは継続的な放電が発生しないものに対しては、電極2に振幅の大きいACバイアスを重畳することによって連続的に放電を発生させることによって、放電ムラの傾向を見ることが可能になるため、放電ムラ観察時にACバイアスを使用することは非常に有効である。放電ムラの観察時は、直流バイアス成分のオフセット値や、交流成分の振幅、周波数などについて、様々な条件で測定することが望ましい。さらに、種々の長波長カットフィルタやバンドパスフィルタなどの光学フィルタを使用することによって、ノイズを抑えた観察が実現できる。
【0162】
図14は、実施例1とは別の様態の、粉体の放電ムラ観察装置である。本装置では、ミラーを配設せず、レンズやイメージインテンシファイア、CCDなどをトナーに対して垂直に置くことによって、省スペースが図られている。
【0163】
図13は、実施例8に示される粉体の放電ムラ観察手方法と装置を用いて撮影された放電光観察像から、本発明に基づいて粉体の抵抗を求める方法の原理を説明するものである。
【0164】
平行平板間の空気ギャップに均一電界が働く状況では、空気ギャップ間の電位差が放電限界を超えると放電が発生するのだが、このような放電が一定の抵抗を有するトナーと電極との間で発生する場合においては、単位時間当たりに発生する放電の発生量は抵抗に依存して変化し、抵抗が高い材料ほど少なくなる。すなわち、予め一定の電界で発生する放電光の光強度と抵抗の関係がわかっていれば、観察される放電光の強度からトナーの抵抗を求めることが可能になる。
【0165】
本実施例では、実施例8の放電ムラ観察装置を用いて、トナー上に発生する放電光を観察し、トナーの抵抗を算出した。なお、図1に示されるビデオカメラ3で撮影された画像データは、本実施例ではパソコン14に取り込まれるようになっている。図15は、本手法を採用した抵抗測定装置の動作のフローを説明する図である。
【0166】
本装置では、ユーザから本抵抗測定装置に付属のパソコンのキーボードを介して入力されたトナーの厚さや、ITO電極との距離、印加バイアスなどの情報に基づいて、トナーとITO電極との距離を調整後、トナー下の電極に電圧を印加し、放電を発生させる。CCDによって撮影された放電画像データはパソコンへ転送後、画像処理によってグレースケール化され、明度情報に変換される。得られた明度の値と、予め用意された抵抗−明度曲線から、トナーの抵抗や抵抗ムラが算出される。なお、本手法では、実際に発生している放電光の光強度と撮影された画像の明度とが比例する必要があるため、イメージインテンシファイアのルミナンスゲインは一定でなければならない。そのため、イメージインテンシファイアが自動的にルミナンスゲインを調整するような条件では、本手法は使う事はできないので、注意が必要である。また、時間分解能を必要としない測定条件に関しては、イメージインテンシファイアの代わりに通常の銀円写真方式のカメラや、CCD、冷却CCDなどを用い、露出時間を長くするなどして放電ムラを観察することも可能である。
【0167】
抵抗測定時においては、トナー試料の上面の凹凸が大きいと、凸部で局所的な放電が発生するために、光強度と抵抗の相関をとることが困難になることから、測定前に滑らかな平板で押さえ、トナー試料の上面の高さを揃えるとよい。なお、透明電極に関してはRa0.5mm以下の平滑な表面を有する電極を使用することで、良好な抵抗ムラの測定を実現している。種々の長波長カットフィルタやバンドパスフィルタなどの光学フィルタを使用し、放電光以外の測定ノイズを抑えるのも有効である。
【実施例9】
【0168】
次に弾性発泡層を有するローラ部材を対象とした放電ムラ観察方法に関する実施例について説明する。
【0169】
図16は、本実施例によるローラ部材の放電光を観察するための観察装置を示す概略図である。
本実施例のローラ部材の放電光観察装置は、観察対象であるローラ部材1を絶縁性のステージ2の上に置き、ローラ部材1の芯金に外部から電圧を印加することによって、ローラ部材1とアースに短絡されたITO (Indium−Tin−Oxide)電極7との間に発生する放電光を、ミラー5を介してイメージインテンシファイア4に導入し、増倍された放電画像を、CCDを内蔵するビデオカメラ3などで取り込む構成となっている。本装置では、微小な発光を捕らえることを目的として、イメージインテンシファイア4(浜松フォトニクス(株)社製V1366P)を2つ直列に並べており、それぞれのイメージインテンシファイアの入口側に像を結像するためにレンズ9(PENTAX社製、smc PENTAX−A DENTAL MACRO 1:4 100mm)とレンズ10(PENTAX社製、smc PENTAX−FA 1:2.8 50mm MACRO)が配設されている。ローラ部材1と透明電極7との距離は、ステッピングモーター12を用いてステージ8を動かすことにより、1μmのオーダーで制御され、両者を完全に当接させることによって、任意の幅を有するニップを形成することができる。なお、ステッピングモーター12はステッピングモータコントローラ13(駿河精機(株)製ステッピングモーターコントローラD70)を介して、パソコン14で制御され、ローラ部材の芯金に印加されるバイアスについても、アンプ11(トレック社製、MODEL677A)を介してパソコン14で制御される。
【0170】
本装置では最大ルミナンスゲインが6×104 [ft−L/ft−c]のイメージインテンシファイアを直列に配置し、理論上3×109を超えるルミナンスゲインを得ることで、高感度・高時間分解能でローラ部材と透明電極との間で発生する微細な放電ムラをも可視化することに成功した。当然のことながら、これと同等かそれ以上の性能を有するものであれば、どのようなイメージインテンシファイアを使用することも可能であり、また、大まかな放電ムラを観察する場合に関しては、より低いルミナンスゲインの物を使用することも可能である。このような場合は、イメージインテンシファイアを複数個配置することなく、1つだけで観察することも可能であるが、少なくとも1×104 [ft−L/ft−c]以上のルミナンスゲインを有するイメージインテンシファイアを使用することが望ましい。なお、時間分解能を必要としない観察条件に関しては、イメージインテンシファイアの代わりに通常の銀円写真方式のカメラや、CCD、冷却CCD(例えば、Santa Barbara Instrument Group製ST−6)などを用い、露出時間を長くするなどして放電ムラを観察することも可能である。
【0171】
透明電極7に関しては、透明を有する電極としての多の材料を用いることや表面粗さを実施例1,8と同様な条件としている。
【0172】
図17は、様々なセル径を有する発泡ウレタンゴムを表面に設けた転写ローラサンプルA〜Hに関して、上述の放電光観察装置を用いて、ITO電極との間で発生する放電光を観察したときの結果と、それらの転写ローラを実際の画像形成装置に搭載して得られる一次転写画像を評価した結果との相関を示すものである。
【0173】
図18は、各ローラに放電光を観察した時の様子を示す模式図、図19は、サンプルB,D,Fについての放電観察時のニップ周辺部を説明するための模式図である。
【0174】
評価した転写ローラはいずれもφ8の芯金の周りに厚さ3.5mmの発泡ウレタンゴム層を有するもので、放電光観察時にはローラの芯金とITO電極との間に1500Vのバイアスを印加して行い、また、実際に画像形成装置で画像を出力する際においては、放電光観察時と同じ転写バイアスを転写ローラへ印加するとともに、中間転写ベルト(導電性カーボンを分散した厚さ80μm、体積抵抗率1010Ωcmのポリイミドベルト)とローラとのニップ幅も同じになるように調整して転写を行った。
なお、セルの径や個数の測定はレーザ顕微鏡(キーエンス社製、VK−8500)を用いて行った。
【0175】
図18および図19に示すように、サンプルB、D、Fのような、画像不良を発生しない転写ローラでは、基本的にITOとのニップ部においては放電光が観察されず、ニップの両端部のエアギャップ部においてのみ放電光が観察され、基本的には、セル径や抵抗ムラに起因すると推測されるさまざまな形状をした微細な放電光の粒から成る、2本のラインとして観察されることがわかった。
【0176】
さらにこれらのローラでは、ニップ部における明るい領域(放電発生領域)のニップ幅方向への積算距離Llightの平均値(Llight,ave)の、ニップ周辺領域の幅、すなわち、暗い領域(放電未発生領域)のニップ幅方向の積算距離Ldarkの平均値(Ldark,ave)と明るい領域の積算距離の平均値(Llight,ave)の合計値(Llight,ave+ Ldark,ave)に対する割合 Llight,ave /(Llight,ave+ Ldark,ave) が小さくなる。
これに対し、画像不良を発生するA、C、G、Hなどのローラにおいては、電気的に均一なニップが形成できていないことから、ニップ部でも放電が発生するため、その割合が大きくなることが判明した。
【0177】
出力画像の画質との相関を調査した結果、Llight,ave /(Llight,ave+ Ldark,ave)の値が0.4未満となる転写ローラを一次転写ローラとして選択することにより、画像ムラや白抜けのない、画像形成装置を実現できることが明らかになった。すなわち、本実施例に示した放電光観察方法や装置を用いて、転写ローラの放電光を観察することにより、画像形成装置に最適な転写ローラの選別が容易に可能となり、また、この方法で選別されたローラを転写ローラとして画像形成装置に搭載することによって、高画質転写を実現できる画像形成装置の提供が可能となる。なお、放電観察画像から得られる、暗い領域の積算距離の平均値(Ldark,ave)と明るい領域の積算距離の平均値(Llight,ave)は、例えば、放電観察時に得られた動画からいくつかの静止画(例えばJPEG画像など)を切り出し、これらをグレースケール化(256階調)してローラ軸方向の任意の点に対して、ローラの半径方向における明部と暗部の距離をそれぞれ積算し、これらを測定箇所の数で平均するなどして算出することが可能であり、また、市販の動画処理ソフトなどを用いて連続的に解析を行うことも可能である。この際、得られた画像のネガ−ポジを反転させると、放電部分が黒く表現されるので積算作業が容易となる。
【0178】
一方、図17に示されるように、弾性発泡体層の平均セル径が350μm以上である転写ローラについては、セルの空隙で放電が著しく発生するため、
light,ave /(Llight,ave+ Ldark,ave)< 0.4の関係を満たさず、また、良好な転写画像も得られなかった。
また、平均セル径が100μmよりも小さい弾性発泡層を有する転写ローラでは、ゴム硬度が高く、画像形成装置搭載時においての転写ベルトとのニップ幅が狭くなることから、安定した転写画像の形成が困難となるのに対し、放電光に関しても狭いニップに放電電流が集中するために、上記の関係式を満たすのは困難であった。
【0179】
このことから、転写ローラに用いる弾性発泡体層の平均セル径は、100μm以上350μm未満であることが望ましい。また、放電光観察時においては、評価するローラ部材と透明の対向電極との間に設けられる電位差やニップ幅が、実際の画像形成装置で使用される状態と大きく異なると、実質的な転写ローラとしての性能を評価することが困難となるため、これらの因子についてはなるべく実際の使用環境に近くなるように調整されることが好ましい。
【0180】
ところで、電気的に不均一なニップを形成する転写ローラを、大きな抵抗ムラを有する中間転写ベルトや紙搬送ベルトを搭載した画像形成装置に用いると、著しい転写不良が発生するが、本手法により選別された転写ローラではそのような現象を抑えることが可能であることを確認した。このことから、特に、絶縁性の高い樹脂で構成されるベース中に導電性物質が分散されていて、一般的にPVDF(ポリビニリデンジフルオライド)等のようなイオン導電性のベルトに比べて抵抗ムラが大きいとされるPIベルトやPAIベルトなどの、電子伝導性の中間転写ベルトや紙搬送ベルトを搭載する画像形成装置に対して、本手法によって選別された転写ローラを搭載することは非常に有効である。
【0181】
これにより、PIベルトなどが有する、抵抗変動の環境(湿度など)に対する依存性の低さや耐久性の高さ、および膜厚偏差の小ささなどの利点を生かすとともに、高画質転写が実現可能となる。
抵抗ムラの度合いはベルト抵抗が低くなると顕著になるため、本手法で選別されるローラは、特にベルトそのもの体積抵抗率が1011Ωcm以下の、中抵抗から低抵抗とされる領域のベルトで顕著に効果を発揮し、低負荷で低いバイアスを利用できるシステムを実現できる。
【0182】
なお、本実施例で示したローラの評価手法は一次転写ローラにのみ適用されるものではなく、当然のことながら、二次転写ローラの評価手法としても有効であり、本実施例の手法で選別されたローラを二次転写ローラとして使用することによって画像不良のない、二次転写画像を得られることを確認した。また、発泡層を有する帯電ローラの評価手法としても有効である。また、発泡層の材料に関しても当然のことながら、ウレタンゴムに限るものではなく、シリコーンゴムやFKM,EPDM,NBR,NR,CR等を表層として有するローラの評価について用いることも可能である。
【実施例10】
【0183】
次にベルトを含むシートを対象とした放電ムラ観察に関する実施例について説明する。 図20は、シートの放電ムラ観察装置の構成を示す模式図であり、同図において、放電ムラ観察装置においては、背面電極1004上に測定対象のシート部材1003が密着して配置し、シート部材1003の上に、間隔を置いて、透明電極基板1001を配置する。
【0184】
透明電極基板1001のギャップ方向の面には均一に蛍光体1002が積層されている。
【0185】
透明電極基板1001は、例えばITO電極を用いる。蛍光体1002はエレクトロルミネッセンスによる発光効率が良いものであれば良く、例えばP43のように550nm付近に発光ピークがあれば、視感度が高く目視観察も可能である。
【0186】
撮像手段1005としてはイメージセンサーとしてCCDやCMOSセンサーを用いた静止画または動画用のカメラを用いる。特にリアルタイム性を重視しない場合には、静止画像として露光時間を長くして撮影することにより感度を高くすることが可能である。
【0187】
また、蛍光体1002の発光ピーク波長とイメージセンサーの感度のピーク波長が一致する特性を有する蛍光体とイメージセンサーの組み合わせを適宜選べばよい。マニュアルによる電圧電流設定、または計算機手段7により制御された給電手段1006により、透明電極基板1001と背面電極1004の間に電圧を印加することで、透明電極基板1001とシート部材1003の間には電位差が生じ、適当な電位差になると透明電極基板1001とシート部材1003表面の間で放電が生じる。放電によるエネルギーにより蛍光体1002が発光する。シート部材1003の表面形状や抵抗および誘電率のムラに応じて、放電電流のムラが生じ、蛍光体1002の発光強度のムラとなって現れる。撮像手段1005により発光の画像を計算機手段1007に取り込み、適宜画像処理を施した後、画像表示手段1008に表示させることで、放電ムラの分布を観察することが可能になる。
【実施例11】
【0188】
図2は透明電極基板1001の背面にイメージセンサーを配置した構成を示す図であり、同図において、撮像手段1005として透明基板上1001の上の面に、マイクロレンズアレイ1011を介して等倍イメージセンサー1010が設けられている。
等倍イメージセンサーはCCDセンサー、CMOSセンサーなどの2次元センサーで、面積が1cm2以上あるものを用いる。また高密度に実装されたラインセンサーを用い、シート部材上をスキャンさせることで2次元画像を得るように変更してもよい。
イメージセンサーを、放電による蛍光体の発光面に近接して配置することで、光学的に効率よく画像を撮影することが可能になる。
【実施例12】
【0189】
図22は、放電ムラの評価を行う処理の過程を示すブロック図である。
図22において、撮像手段5で撮影された蛍光面における発光の生画像データ20を、ガンマ変換手段21により物理的な光のパワーに比例する数量に変換し、これを光量分布データ22とする。さらに光量分布データ22に基づきムラ評価手段23により、放電ムラを評価する。
【0190】
放電ムラの特徴を客観的に評価する方法としては、従来から用いられている画像ノイズの評価方法である、RMS粒状度やウィナースペクトル、R.P.Dooleyらにより提案された視覚的な周波数特性を考慮して求められる粒状度を流用し、適宜変更を加えることでムラの評価を行う。(文献:R.P.Dooley, R.Shaw, Journal of Applied Photographic Engineering, Vol.5 (1979) 190−196.)
具体的には、本来のRMS粒状度は、画像濃度の標準偏差であり、またDooleyらによる視覚粒状度は明度に対するノイズ評価量であるが、本発明では光量分布データ1022に対する評価量で置き換える。さらに最大値で規格化した2次元光量データPとする。
【0191】
RMS粒状度(σ)は、空間を離散化した2次元光量データPijに対し式1を用いることにより評価される。ただしNはデータ数、<P>は光量データPijの平均値である。
【0192】
【数1】

【0193】
視覚粒状度(G)は、ここでは連続空間で表現するが、2次元光量データP(x,y)に対し、式2で示される2次元フーリエ変換を行い、空間周波数特性Fを得る。
【0194】
【数2】

【0195】
次に式3により、ウィナースペクトルWSに変換する。ここで(f,θ)は周波数空間の曲座標表現である。
【0196】
【数3】

【0197】
最後に式4により、粒状度Gを算出する。
【0198】
【数4】

【0199】
ここで、VTF(f)は視覚的の空間周波数特性である。Dooleyらによる視覚粒状度の定義では式4にさらに、濃度分布の平均値に基づく補正係数が乗じられているが、ここでは不要である。
【0200】
また、光量と電流密度の関係を予め関数化して、光量分布データを電流密度分布データに変換して上記RMS粒状度および視覚粒状度に適用してもよい。
【0201】
式1は直接プログラム化し、式(2)乃至式(4)は実空間(x,y)と周波数空間(u,v)を離散化した計算アルゴリズムを用いてプログラム化し、計算機手段1007内に実装することで具現化することができる。
【0202】
従来は適宜作製されたランク見本と評価対象を目視により比較し、ムラの良し悪しを判定することが多く行われるが、本発明による放電ムラ評価方法および装置により、客観的な放電ムラのランク評価が可能になる。
【符号の説明】
【0203】
1 サンプルとなるローラ部材
1’ サンプルとなる粉体
2 バイアス電極
3 撮像手段
4 光電子倍増手段
7 透明電極
1003 シート材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0204】
【特許文献1】特開平11−272097公報
【特許文献2】特開平11−338224号公報
【特許文献3】特開平11−52765公報
【特許文献4】特開平11−109770公報
【特許文献5】特開2000ー066535号公報
【特許文献6】特開平9−50161号公報
【特許文献7】実公平7−5419公報
【特許文献8】特開平7−295391公報
【特許文献9】特開平11−109761公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置によって撮影し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とするローラ部材の放電ムラ観察方法。
【請求項2】
ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とするローラ部材の放電ムラ観察方法。
【請求項3】
前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする請求項2に記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【請求項4】
前記透明電極基板と前記ローラ芯金との間に交流バイアスを重畳印加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【請求項5】
前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【請求項6】
前記ローラを回転させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のローラ部材の放電ムラ観察方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載される放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることを特徴とするローラ部材の放電ムラ観察装置。
【請求項8】
ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置で撮影し、得られた放電光の強度に基づいて、前記ローラ部材の抵抗を求めることを特徴とするローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項9】
ローラ部材に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、得られた放電光の強度に基づいて、前記ローラ部材の抵抗を求めることを特徴とするローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項10】
前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする請求項9に記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項11】
前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする請求項9または10に記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項12】
前記光電子増倍手段の背面に撮影手段を配設し、前記光電子増倍手段で増幅された放電光を撮影し、画像処理によって前記ローラ部材の抵抗を算出することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項13】
前記ローラを回転させることを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項14】
前記撮影手段により撮影された画像データと、予め用意された放電光の明度とローラ部材抵抗の関係式を用いて、ローラ部材の抵抗を算出することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載のローラ部材の抵抗測定方法。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれかに記載の抵抗測定方法を実行するための機構を備えることを特徴とするローラ部材の抵抗測定装置。
【請求項16】
請求項1または2に記載のローラ部材の放電ムラ観察方法が適用されるローラ部材として用いられる帯電ローラであって、
前記帯電ローラは、前記撮影手段により観察された放電光が1本または2本の直線状をなす場合に正常帯電可能なものとして判定されることを特徴とする帯電ローラ。
【請求項17】
前記帯電ローラは、イオン導電性部材にカーボンを分散させて構成されていることを特徴とする請求項16に記載の帯電ローラ。
【請求項18】
前記帯電ローラは、イオン導電性部材にカーボンを分散させた層の上に高抵抗層をコーティングした多層構造とされていることを特徴とする請求項16または17に記載の帯電ローラ。
【請求項19】
前記イオン導電性部材がエピクロルヒドリンゴムであることを特徴とする請求項17または18に記載の帯電ローラ。
【請求項20】
複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置によって撮影し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とする粉体の放電ムラ観察方法。
【請求項21】
複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記ローラ部材表面に接触又は非接触となるように配設される透明電極基板を備え、前記透明電極基板と前記ローラの芯金との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記ローラ部材との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、前記ローラ部材に発生する放電ムラを観察することを特徴とする粉体の放電ムラ観察方法。
【請求項22】
前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする請求項20または21に記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【請求項23】
前記透明電極基板と前記ローラ芯金との間に交流バイアスを重畳印加することを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【請求項24】
前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【請求項25】
前記半透明または透明な電極の表面粗さが算術平均高さRaで0.5mm以下に設定されていることを特徴とする請求項20または21に記載の粉体の放電ムラ観察方法。
【請求項26】
請求項20乃至25のいずれかに記載される放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることを特徴とする粉体の放電ムラ観察装置。
【請求項27】
複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記粉体と非接触になるように配設される透明電極基板と、前記粉体を介して前記電極基板に対向する位置に配設される対向電極とを備え、前記透明電極基板と前記対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記粉体との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される撮影装置で撮影し、得られた放電光の強度に基づいて、前記粉体の抵抗を求めることを特徴とする粉体の抵抗測定方法。
【請求項28】
複数粒子からなる粉体に対し、表面に半透明、もしくは透明な電極を有し、前記電極面が前記粉体と非接触になるように配設される透明電極基板と、前記粉体を介して前記電極基板に対向する位置に配設される対向電極とを備え、前記透明電極基板と前記対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記粉体との間に設けられた電位差によって発生する放電光を、前記透明電極基板の背面に配設される光電子増倍手段によって増倍し、得られた放電光の強度に基づいて前記粉体の抵抗を求めることを特徴とする粉体の抵抗測定方法。
【請求項29】
前記光電子増倍手段がイメージインテンシファイアであることを特徴とする請求項28に記載の粉体の抵抗測定方法。
【請求項30】
前記光電子増倍手段を直列に複数個配設することを特徴とする請求項28または29に記載の粉体の抵抗測定方法。
【請求項31】
前記光電子増倍手段の背面に撮影手段を配設し、前記光電子増倍手段で増幅された放電光を撮影し、画像処理によって前記粉体の抵抗を算出することを特徴とする請求項28乃至30のいずれかに記載の粉体の抵抗測定方法。
【請求項32】
前記透明電極基板の表面粗さが算術平均高さRaで0.5mm以下であることを特徴とする請求項27乃至31のいずれかに記載の粉体の抵抗測定方法。
【請求項33】
前記撮影手段により撮影された画像データと、予め用意された放電光の明度と粉体抵抗の関係式を用いて粉体の抵抗を算出することを特徴とする請求項27乃至32のいずれかに記載される粉体の抵抗測定方法。
【請求項34】
請求項27乃至33のいずれかに記載される抵抗測定方法を実行するための機構を備えることを特徴とする粉体の抵抗測定装置。
【請求項35】
感光体や転写材上のトナー像を、転写材、もしくは他の転写材に転写するための電界を形成するための構成に用いられるローラ部材であって、
前記ローラ部材は、芯金にバイアスを印加される芯金に弾性発泡体層を有する構成を備え、前記転写材との間にニップ部を形成するように透明若しくは半透明の対向電極と対峙して配置され、該対向電極との間に電位差を設定されて該ニップ部の周辺近傍に放電を発生させたとき、該放電に伴って観察される発光領域での前記ニップ幅方向の積算距離の平均値Llight,ave.とし、無発光領域の積算距離の平均値をLdark,ave.としたとき、
前記無発光領域の平均積算距離Llight,ave.の前記ニップ周辺近傍領域に対して占める割合が少なくとも
light,ave./(Ldark,ave.+Ldark,ave.)<0.4
で示されることを特徴とするローラ部材。
【請求項36】
前記弾性発泡体層の平均セル径が100μm以上350μm未満であることを特徴とする請求項36に記載のローラ部材。
【請求項37】
前記ローラ部材は、電子写真方式の画像形成装置に搭載可能であり、該画像形成装置に搭載された際に、静電潜像保持体の基板部と前記ローラ部材の芯金との間に設けられる電位差と同じ電位差を設けた状況において、上記関係式を満たすことを特徴とする請求項35または36に記載のローラ部材。
【請求項38】
前記ローラ部材は、電子写真方式の画像形成装置に搭載可能であり、該画像形成装置に搭載された際に、転写材、もしくは転写材搬送部材との間で形成するニップ幅と同じ幅のニップを設けた状況において上記関係式を満たすことを特徴とする請求項35乃至37のいずれかに記載のローラ部材。
【請求項39】
請求項35乃至請求項38のいずれかに記載されるローラ部材を搭載することを特徴とする画像形成装置。
【請求項40】
前記ローラ部材がニップを形成する転写材、もしくは転写材搬送部材が無端ベルトで、前記無端ベルトが、樹脂で構成されるベース中に導電性物質が分散されていることを特徴とする請求項39に記載の画像形成装置。
【請求項41】
前記ローラ部材がニップを形成する前記無端ベルトが単層ベルトであり、前記無端ベルトのベースとなる樹脂が、1013Ωcm以上の体積抵抗率を有することを特徴とする、請求項39または40に記載の画像形成装置。
【請求項42】
前記ローラ部材がニップを形成する前記無端ベルトの体積抵抗率が1011Ωcm以下であることを特徴とする請求項39乃至41のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項43】
シート部材に対し、半透明もしくは透明な電極の表面に蛍光体が塗布された透明電極基板を有し、前記透明電極基板は、蛍光体塗布面が前記シート部材に向けられ、かつ非接触になるように配設され、さらに前記シート部材を介して前記透明電極基板に対向する位置に配設された背後電極と前記透明電極基板の背面に配設される撮像撮影手段、を備え、前記透明電極基板と前記背後対向電極との間に電位差を設け、前記透明電極基板と前記シート部材との間の電位差で生じた放電により、前記蛍光体から発生した蛍光を、前記撮像手段によって撮影し、前記シート部材に発生する放電ムラを観測することを特徴とする、シート部材の放電ムラ測定方法。
【請求項44】
前記撮像撮影手段は放電ムラ評価手段に接続され、該放電ムラ評価手段は、該撮像刷撮影手段からの画像データに基づき、放電ムラの特徴量を抽出することを特徴とする請求項43に記載の放電ムラ測定方法。
【請求項45】
前記撮像撮影手段は、記透明電極基板の背面に、等倍イメージセンサーを配置した構成が用いられることを特徴とする請求項43または44に記載の放電ムラ観察方法。
【請求項46】
請求項43乃至45のいずれかに記載の放電ムラ観察方法を実行するための機構を備えることを特徴とする放電ムラ観察装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−237833(P2011−237833A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185899(P2011−185899)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2006−322589(P2006−322589)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】