説明

ロールブラシ

【課題】シャフトの撓みを防止してブラッシング性能の低下を抑制し得るロールブラシを提供する。
【解決手段】クリーニングブラシ22は、シャフト22aとシャフト22aの表面に起毛されたブラシ毛22bとを有し、電子写真装置に使用される。シャフト22aの断面形状は、該シャフト22aの軸方向において不均一となっている。ブラシ毛22bは、シャフト22aの軸方向において該シャフト22aの軸を中心とする一定半径Rの長さを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトと該シャフトの表面に起毛されたブラシ毛とを有し、電子写真装置に使用されるロールブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真装置においては、シャフトの表面にブラシ毛を起毛した各種のロールブラシが設けられている。
【0003】
例えば、図6(a)に示すように、特許文献1に開示された電子写真装置のクリーニング装置100は、感光体101を帯電する帯電ローラ102における感光体回転方向上流側の感光体周面を清掃するクリーニング用ブラシローラ110を有している。
【0004】
ここで、この種のクリーニング用のロールブラシ200は、従来、図7(a)に示すように、その長手方向におけるブラシ毛201の清掃能力が均一となるように、シャフト202のシャフト径D、及びブラシ毛201のブラシ長さLが長手方向において均一となるように構成され、これによって被清掃体の全面を均一に清掃できるようになっている。
【0005】
しかしながら、感光体周面においては、感光体の長手方向において表面の汚れ状態が均一ではなく、一部分の汚れが他の部分の汚れよりも著しくなることがある。上記特許文献1は、この問題を解決するものとなっている。
【0006】
具体的には、特許文献1においては、前記図6(a)に示すように、トナーが、スクリュー型の攪拌機103を介して現像剤担持体104の長手方向片側から該現像剤担持体104の周面に徐々に受け渡され、該現像剤担持体104から感光体101に供給される。その際、トナーに含まれる添加剤の一部には、トナーよりも現像剤担持体104に移行し易いものが存在する。そのため、該添加剤の一部が現像剤担持体104の周面の一端部に多く付着し、感光体101の表面においても一端部に多く移行する。
【0007】
この結果、感光体101の一端側に多量の添加剤が付着することになり、その場合に、クリーニング用ブラシローラの長手方向における清掃能力が一定となっていると、汚れの激しい被清掃体表面部分を充分に清掃できなくなるおそれがある。
【0008】
そこで、特許文献1に開示されたクリーニング装置100におけるクリーニング用ブラシローラ110では、図6(b)に示すように、長手方向一端側E1のブラシ繊維の曲げ剛性を長手方向他端側E2のブラシ繊維の曲げ剛性よりも高くしていると共に、清掃能力の高い長手方向一端側E1の外径を該清掃能力の低い長手方向他端側E2の外径よりも小さく設定している。
【0009】
これにより、クリーニング用ブラシローラ110の清掃能力を、その長手方向全体に亘って高め、被清掃体の全面を効率よく清掃できるようにしている。
【0010】
一方、クリーニング部材においては、感光体の長手方向中央部に比べて端部では、クリーニング部材が当接しておらず、感光体とクリーニング部材との間に働く反発力が逃げ易くなり、長手方向中央部に比べて端部の方において当接圧が低くなり、感光体の長手方向中央部に比べて端部の充分なクリーニングが行えないという問題が発生する場合がある。
【0011】
そこで、この問題を解決するために、図8に示すように、特許文献2に開示されたクリーニング部材300では、シャフト301を長手方向中央部から両端部に向かって徐々に太くなるように形成していると共に、樹脂繊維等からなる毛302の長さを長手方向中央部から両端部に向かって徐々に長くなるように形成している。
【0012】
これにより、感光体に当接してその表面に付着した現像剤を掻き落とすためのクリーニング部材300の感光体に対する当接圧の設定を、その長手方向中央部より両端部に向かって緩やかに高くするよう構成しているので、感光体の長手方向両端部で発生し易い現像剤の融着を防止し、長期に亘って安定した画像を得ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−241603号公報(2003年8月29日公開)
【特許文献2】特開平6−186890号公報(1994年7月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、電子写真装置においては、前述したように、各種のロールブラシが設けられている。すなわち、ロールブラシには、上述したクリーニング装置におけるクリーニング用ロールブラシの他、例えば、帯電装置における帯電用ロールブラシ、現像装置におけるトナー攪拌用ロールブラシ及びトナー供給用ロールブラシ等のシャフトの表面にブラシ毛を起毛した各種のロールブラシが存在する。
【0015】
しかしながら、このようなシャフトの表面にブラシ毛を起毛した各種のロールブラシ200においては、図7(b)に示すように、一般的に、シャフト202の両端部を保持して図示しない対向物へブラシ毛201を当接させたときに、シャフト202の軸方向中央部が撓む。このため、シャフト202の軸方向中央部におけるブラシ毛201の対向物への当接圧が弱くなり、クリーニング不良、帯電不良又はトナー供給不良等のブラッシング性能における低下の原因となるという問題を有している。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、シャフトの撓みを防止してブラッシング性能の低下を抑制し得るロールブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のロールブラシは、上記課題を解決するために、シャフトと該シャフトの表面に起毛されたブラシ毛とを有し、電子写真装置に使用されるロールブラシにおいて、上記シャフトの断面形状は、該シャフトの軸方向において不均一となっていると共に、上記ブラシ毛は、上記シャフトの軸方向において該シャフトの軸を中心とする一定半径の長さを有していることを特徴としている。
【0018】
上記の発明によれば、シャフトの断面形状は、該シャフトの軸方向において不均一となっている。したがって、シャフトにおける撓み易い軸方向中央部を例えば太くすることが可能であり、これによって、シャフトにおける軸方向中央部のシャフト剛性を高くして、シャフトの撓みを防止することができる。
【0019】
ところで、上述のように、シャフトの断面形状を該シャフトの軸方向において不均一とし、さらに、このシャフトの表面に起毛されたブラシ毛の長さをシャフトの軸方向において同一長さとした場合には、シャフト径の太い部分のブラシ毛における、シャフトの軸を中心とする半径が大きくなる。その結果、ブラシ毛の先端が、シャフトの軸方向において、被当接面に接触する部分と接触しない部分とが存在することになり、クリーニング不良、帯電不良又はトナー供給不良等のブラッシング性能における低下の原因となる。
【0020】
そこで、本発明では、ブラシ毛は、シャフトの軸方向において該シャフトの軸を中心とする一定半径の長さを有している。
【0021】
この結果、ブラシ毛の先端を結ぶラインは被当接面に平行になり、ブラシ毛は被当接面の長手方向において均一に接触することになる。
【0022】
したがって、シャフトの撓みを防止してブラッシング性能の低下を抑制し得るロールブラシを提供することができる。
【0023】
本発明のロールブラシでは、前記シャフトの断面形状は円形になっていると共に、上記シャフトの外径寸法は、シャフトの軸方向中央部が軸方向両端部よりも大きいことが好ましい。
【0024】
これにより、シャフトにおいては、一般に、軸方向中央部が撓み易いので、この撓み易い軸方向中央部におけるシャフトの外径寸法を軸方向両端部よりも大きい形成しておくことによって、軸方向中央部のシャフト剛性を高くして、シャフトの撓みを防止することができる。また、シャフトの軸方向中央部におけるブラシ毛の長さが軸方向両端部におけるブラシ毛の長さよりも短くなることにより、ブラシ毛自体の剛性も上がり、被当接面への当接圧が均一化される。
【0025】
また、本発明のロールブラシでは、前記シャフトの断面形状は円形になっていると共に、上記シャフトの表面には、円形断面における半径方向において放射状に突出する複数の放射状シャフト突起部が互いにその挟角を等しくし、かつシャフトの軸に沿って平行に形成されていることが可能である。尚、挟角が互いに等しい放射状シャフト突起部は、シャフトの断面形状において、例えば、挟角180度の2方突起、挟角120度の3方突起、挟角90度の4方突起、挟角72度の5方突起、…等が可能である。
【0026】
これにより、シャフトの材料費を抑えて、効率よく、かつ偏芯を防止してシャフトの剛性を高めることが可能となる。
【0027】
また、本発明のロールブラシでは、前記放射状シャフト突起部には、シャフトの軸方向に沿う欠損部が形成されていることが可能である。
【0028】
これにより、さらに、シャフトの材料費を抑えて、効率よく、シャフトの剛性を高めることが可能となる。また、欠損部にて現像剤を通過させることができるので、現像剤の攪拌効率を高めることができる。
【0029】
また、本発明のロールブラシでは、前記シャフトの断面形状は円形になっていると共に、上記シャフトの表面には、シャフトの軸方向に沿って螺旋状に突出する螺旋状シャフト突起部が形成されていることが可能である。
【0030】
これにより、シャフトの材料費を抑えて、効率よく、かつ偏芯を防止してシャフトの剛性を高めることが可能となる。また、シャフトの回転により、現像剤をシャフトの一端側に搬送させることが可能となる。
【0031】
また、本発明のロールブラシでは、前記シャフトは、樹脂からなっていることが好ましい。
【0032】
これにより、複雑なシャフトの断面形状であっても、金属に比べて容易に成形することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のロールブラシは、以上のように、シャフトの断面形状は、該シャフトの軸方向において不均一となっていると共に、上記ブラシ毛は、上記シャフトの軸方向において該シャフトの軸を中心とする一定半径の長さを有しているものである。
【0034】
それゆえ、シャフトの撓みを防止してブラッシング性能の低下を抑制し得るロールブラシを提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明におけるロールブラシの実施の一形態を示すものであって、ロールブラシとしてのクリーニングブラシの構成を示す断面図である。
【図2】上記クリーニングブラシを備えた電子写真装置の画像形成部を示す全体構成図である。
【図3】(a)はロールブラシにおける変形例の構成を示す断面図であり、(b)は該ロールブラシにおけるシャフトの構成を示す斜視図である。
【図4】(a)はロールブラシにおける他の変形例の構成を示す断面図であり、(b)は該ロールブラシにおけるシャフトの構成を示す斜視図である。
【図5】ロールブラシにおけるさらに他の変形例の構成を示す断面図である。
【図6】(a)は従来の電子写真置の構成を示す断面図であり、(b)は該電子写真置に使用されるロールブラシとしてのクリーニング用ブラシローラの構成を示す斜視図である。
【図7】(a)は従来の他のロールブラシの構成を示す断面図であり、(b)は該ロールブラシの撓みを説明するための断面図である。
【図8】従来のさらに他のロールブラシの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0037】
図2は、本実施の形態のロールブラシを備えた電子写真装置における画像形成部を示す全体構成図である。尚、電子写真装置は、該電子写真装置が備えるスキャナにて読み込まれたデータや、電子写真装置に接続された外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置)からのデータを画像として出力するものである。
【0038】
図2に示すように、画像形成部30は、感光体ドラム1と、帯電装置2と、露光装置3と、現像装置10と、転写ロール4と、搬送ベルト5と、帯電制御装置7と、クリーニング装置20とを備えており、感光体ドラム1の周囲に、回転方向に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置10、転写ロール4及び搬送ベルト5、帯電制御装置7、並びにクリーニング装置20をこの順序で配置した構成となっている。
【0039】
感光体ドラム1は、電子写真装置における静電潜像担持体となるものであり、円柱形状を有している。
【0040】
帯電装置2は、感光体ドラム1と物理的に接触して、感光体ドラム1の表面を一様に所定の電位まで帯電させるためのものである。帯電装置2は、例えば帯電ブラシからなり、感光体ドラム1と互いの回転軸を平行にして隣接対向して設置されている。
【0041】
露光装置3は、帯電装置2によって帯電された感光体ドラム1の表面を、例えばパーソナルコンピュータ等の画像処理装置からのデータに基づき、レーザ光等により露光して、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成させるためのものである。露光装置3として、例えば半導体レーザや発光ダイオードを用いることができる。
【0042】
現像装置10は、感光体ドラム1の表面に現像剤を供給し、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像剤像として顕像化するつまり現像するためのものである。現像装置10では、現像剤攪拌ロール13にて現像剤を攪拌した後、現像剤供給ロール12にて現像ロール11に現像剤が一定厚みに供給され、この現像ロール11が感光体ドラム1に当接することにより、感光体ドラム1の表面に現像剤が供給される。本実施の形態の現像装置10では、例えば非磁性1成分現像剤からなる現像剤が使用されており、いわゆる非磁性1成分現像方式を採用している。尚、本発明においては、必ずしも非磁性1成分現像剤に限らず、全ての現像剤を対象とすることができる。
【0043】
搬送ベルト5は、感光体ドラム1の表面に現像剤像が形成された後に、PPC(Plain Paper Copy)用紙等の記録媒体6を感光体ドラム1に運搬するためのものである。
【0044】
転写ロール4は、感光体ドラム1の表面の現像剤像を、転写材である記録媒体6に転写するためのものであり、板金の面方向と記録媒体6の面方向とを平行にして、搬送ベルト5を間に挟んで感光体ドラム1と隣接対向するように設置されている。尚、記録媒体6は、例えば用紙、OHP等である。転写ロール4は、例えば、ウレタンゴムロールからなっている。
【0045】
帯電制御装置7は、転写後の感光体ドラム1の残存している正極性及び負極性の残存現像剤を例えば全てが負極性になるように帯電制御している。尚、帯電制御装置7は存在しない場合もある。
【0046】
クリーニング装置20は、ロールブラシとしてのクリーニングブラシ22を備えており、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等を除去する。尚、クリーニング装置20については、後で詳述する。
【0047】
上記構成の電子写真装置において、画像を形成する動作を、図2に基づいて説明すると、以下のとおりである。
【0048】
感光体ドラム1の表面は、帯電装置2によって均一に帯電される。表面が帯電された感光体ドラム1は、露光装置3によって、データに基づき露光され、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置10の現像ロール11により、感光体ドラム1の表面に現像剤が供給され、感光体ドラム1の表面の静電潜像が、現像されて顕像化される。続いて、搬送ベルト5によって記録媒体6が感光体ドラム1へ運搬され、転写ロール4によって、感光体ドラム1の表面の現像剤像が、記録媒体6に転写される。そして、転写後の感光体ドラム1は、残留した現像剤や紙粉等が、帯電制御装置7により負極性又は正極性に帯電制御された後、クリーニングブラシ22によって除去される。このようなサイクルで画像形成は行われる。
【0049】
次に、本実施の形態のクリーニング装置20の詳細について、図1〜図5に基づいて以下に説明する。尚、図1は、本実施の形態のクリーニングブラシ22の構成を示す断面図であり、図3〜図5は、クリーニングブラシ22等のロールブラシにおける変形例の構成を示す図である。
【0050】
前述したように、本実施の形態のクリーニング装置20は、図2に示すように、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等の被クリーニング物を除去するものであり、前述したクリーニングブラシ22と、このクリーニングブラシ22に接触する導電ローラ23と、この導電ローラ23に摺察する清掃部材24とを備えている。尚、このクリーニング装置20は、一例であり、例えば、導電ローラ23及び清掃部材24が存在しない場合もある。
【0051】
上記クリーニングブラシ22は、感光体ドラム1と物理的に接触して、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等の被クリーニング物を除去する。このクリーニングブラシ22に接触する導電ローラ23は、例えば正極性に帯電されることにより、クリーニングブラシ22の正極性からなるブラシ毛22bの先端にて吸着した負極性の残存現像剤を吸着すると共に、導電ローラ23に吸着された残存現像剤は、この導電ローラ23に摺察する清掃部材24によって除去されるものとなっている。
【0052】
本実施の形態では、上記クリーニングブラシ22は、特徴的な構成を有している。以下、この特徴のあるクリーニングブラシ22の構成について詳述する。
【0053】
本実施の形態のクリーニングブラシ22は、図1に示すように、シャフト22aと該シャフト22aの表面に起毛されたブラシ毛22bとを有するロールブラシからなっている。上記ブラシ毛22bは、太さが例えば6デシテックス(dtex)のナイロン繊維からなっており、例えば、シャフト22aに接着剤を塗布したものに直接静電植毛したものからなっている。これにより、クリーニングブラシ22を容易に製造することができるようになっている。
【0054】
尚、クリーニングブラシ22の製造方法は、必ずしもこれに限らず、例えば、縦糸と横糸とからなる地糸に織り込まれたパイル糸からなるブラシ毛22bであってもよい。この場合、地糸に織り込まれたパイル糸からなるブラシ毛22bをシャフト22aに巻き付けることになる。そして、パイル糸の先端は、先端ラインが揃うように例えばカットされる。その他の製造方法として、フィルム等の柔軟性を持つ基材にブラシ毛22bを植毛したものでもよい。
【0055】
ここで、本実施の形態では、シャフト22aの断面形状つまりシャフト22aの軸方向に直交する方向の断面形状は、該シャフト22aの軸方向において不均一となっている。具体的には、シャフト22aの断面形状は円形になっていると共に、シャフト22aにおける軸方向中央部の外径寸法D1は、シャフト22aにおける軸方向両端部の外径寸法D2よりも大きくなっている。そして、ブラシ毛22bは、シャフト22aの軸方向において該シャフト22aの軸を中心とする一定半径Rの長さを有している。上記外径寸法D1は例えば7mmであり、外径寸法D2は例えば6mmであり、一定半径Rは例えば5mmである。したがって、ブラシ毛22bの長さは、1.5〜2mmとなっている。ただし、これらの寸法は、必ずしもこれに限らない。
【0056】
すなわち、図7(a)に示す従来のロールブラシ200のように、シャフト202のシャフト径D、及びブラシ毛201のブラシ長さLが長手方向において均一となるように構成されている場合には、図7(b)に示すように、一般的に、シャフト202の両端部を保持して図示しない対向物へブラシ毛201を当接させたときに、シャフト202の軸方向中央部が撓む。このため、シャフト202の軸方向中央部におけるブラシ毛201の対向物への当接圧が弱くなり、クリーニング不良、帯電不良又はトナー供給不良等のブラッシング性能における低下の原因となるという問題を有している。
【0057】
そこで、本実施の形態のクリーニングブラシ22では、上述の構成を有している。すなわち、本実施の形態のクリーニングブラシ22では、シャフト22aの断面形状は、該シャフト22aの軸方向において不均一となっている。したがって、シャフト22aにおける撓み易い軸方向中央部を太くすることが可能であり、これによって、シャフト22aにおける軸方向中央部のシャフト剛性を高くして、シャフト22aの撓みを防止することができる。
【0058】
ところで、上述のように、シャフト22aの断面形状を該シャフト22aの軸方向において不均一とし、さらに、このシャフト22aの表面に起毛されたブラシ毛22bの長さをシャフト22aの軸方向において同一長さとした場合には、シャフト径の太い部分のブラシ毛22bにおける、シャフト22aの軸を中心とする半径が大きくなる。その結果、ブラシ毛22bの先端が、シャフト22aの軸方向において、被当接面である感光体ドラム1に接触する部分と接触しない部分とが存在することになり、クリーニング不良、帯電不良又はトナー供給不良等のブラッシング性能における低下の原因となる。
【0059】
そこで、本実施の形態では、ブラシ毛22bは、シャフト22aの軸方向において該シャフト22aの軸を中心とする一定半径Rの長さを有している。
【0060】
この結果、ブラシ毛22bの先端を結ぶラインは感光体ドラム1に平行になり、ブラシ毛22bは感光体ドラム1の長手方向において均一に接触することになる。
【0061】
したがって、シャフト22aの撓みを防止してブラッシング性能の低下を抑制し得るクリーニングブラシ22を提供することができる。
【0062】
そして、本実施の形態のクリーニングブラシ22では、特に、シャフト22aの断面形状は円形になっていると共に、シャフト22aの外径寸法は、シャフトの軸方向中央部が軸方向両端部よりも大きい。これにより、シャフト22aにおいては、一般に、軸方向中央部が撓み易いので、この撓み易い軸方向中央部におけるシャフト22aの外径寸法を軸方向両端部よりも大きい形成しておくことによって、軸方向中央部のシャフト剛性を高くして、シャフト22aの撓みを防止することができる。また、シャフト22aの軸方向中央部におけるブラシ毛22bの長さが軸方向両端部におけるブラシ毛22bの長さよりも短くなることにより、ブラシ毛22b自体の剛性も上がり、感光体ドラム1への当接圧が均一化され、クリーニング性もよくなる。
【0063】
ここで、本実施の形態のクリーニングブラシ22では、シャフト22aは、例えばABS樹脂等の樹脂からなっている。これにより、複雑なシャフト22aの断面形状であっても、金属に比べて容易に成形することが可能となる。
【0064】
ところで、上記においてはロールブラシとしてのクリーニングブラシ22について説明したが、本実施の形態のロールブラシは、クリーニングブラシ22に限らず、他のロールブラシにも適用が可能である。
【0065】
例えば、上述した帯電装置2の帯電ブラシ、現像装置10内の現像ロール11、現像剤供給ロール12、現像剤攪拌ロール13等のロールブラシにも適用することができる。これにより、クリーニング不良、帯電不良又はトナー供給不良等のブラッシング性能の低下を抑制することができる。
【0066】
尚、本実施の形態においては、シャフト22aの断面形状が該シャフト22aの軸方向において不均一となっている例示として、図1に示すように、シャフト22aにおける軸方向中央部の外径寸法D1が、シャフト22aにおける軸方向両端部の外径寸法D2よりも大きくなっているものについて説明した。このような形状のロールブラシは、上述したクリーニングブラシ22、帯電装置2の帯電ブラシ、又は現像装置10内の現像ロール11、現像剤供給ロール12として好ましい。
【0067】
しかし、本発明においては、必ずしもこの形状に限定することはない。
【0068】
例えば、図3(b)に示すように、シャフト41の断面形状として円形に形成すると共に、シャフト41の表面には、円形断面における半径方向において放射状に突出する複数の放射状シャフト突起部41aが互いにその挟角を等しくし、かつシャフト41の軸に沿って平行に連続して形成することが可能である。尚、挟角が互いに等しい放射状シャフト突起部は、シャフトの断面形状において、例えば、挟角180度の2方突起、挟角120度の3方突起、挟角90度の4方突起、挟角72度の5方突起、…等が可能である。
【0069】
そして、図3(a)に示すように、このシャフト41の表面にブラシ毛42を起毛することにより、ロールブラシ40が完成される。これにより、シャフト41の材料費を抑えて、効率よく、かつ偏芯を防止してシャフト41の剛性を高めることが可能となる。この形態のロールブラシ40では、現像剤の縦搬送が容易となり、トルクの減少が可能である。したがって、現像剤供給ロール12、現像剤攪拌ロール13への適用が好ましい。
【0070】
尚、上記のロールブラシ40において、図4(a)(b)に示すように、放射状シャフト突起部41aに、シャフト41の軸方向に沿う欠損部41bを形成しておくことも可能である。これにより、さらに、シャフト41の材料費を抑えて、効率よく、シャフト41の剛性を高めることが可能となる。また、欠損部41bにて現像剤を通過させることができるので、現像剤の攪拌効率を高めることができる。この形態のロールブラシ40では、現像剤の縦搬送が容易となり、トルクのさらなる減少が可能である。したがって、現像剤供給ロール12、現像剤攪拌ロール13への適用が好ましい。
【0071】
また、本実施の形態のロールブラシでは、例えば、図5に示すように、シャフト51の断面形状は円形になっていると共に、シャフト51の表面には、シャフト51の軸方向に沿って螺旋状に突出する螺旋状シャフト突起部51aが形成されたロールブラシ50とすることが可能である。上記シャフト51及び螺旋状シャフト突起部51aには、ブラシ毛52が植毛されている。
【0072】
これにより、シャフト51の材料費を抑えて、効率よく、かつ偏芯を防止してシャフト51の剛性を高めることが可能となる。また、シャフト51の回転により、現像剤をシャフト51の一端側に搬送させることが可能となる。この形態のロールブラシ50では、現像剤の横搬送が容易となる。したがって、クリーニングブラシ22、現像装置10内の現像ロール11、現像剤供給ロール12、現像剤攪拌ロール13への適用が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、シャフトと該シャフトの表面に起毛されたブラシ毛とを有し、電子写真装置に使用されるロールブラシに関するものであり、例えば、クリーニングブラシ、帯電装置の帯電ブラシ、現像装置内の現像ロール、現像剤供給ロール、現像剤攪拌ロール等のロールブラシに適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 感光体ドラム(被当接面)
2 帯電装置
10 現像装置
11 現像ロール
12 現像剤供給ロール
13 現像剤攪拌ロール
20 クリーニング装置
22 クリーニングブラシ
22a シャフト
22b ブラシ毛
30 画像形成部
40 ロールブラシ
41 シャフト
41a 放射状シャフト突起部
41b 欠損部
42 ブラシ毛
50 ロールブラシ
51 シャフト
51a 螺旋状シャフト突起部
52 ブラシ毛
D1 外径寸法
D2 外径寸法
R 一定半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと該シャフトの表面に起毛されたブラシ毛とを有し、電子写真装置に使用されるロールブラシにおいて、
上記シャフトの断面形状は、該シャフトの軸方向において不均一となっていると共に、
上記ブラシ毛は、上記シャフトの軸方向において該シャフトの軸を中心とする一定半径の長さを有していることを特徴とするロールブラシ。
【請求項2】
前記シャフトの断面形状は円形になっていると共に、
上記シャフトの外径寸法は、シャフトの軸方向中央部が軸方向両端部よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のロールブラシ。
【請求項3】
前記シャフトの断面形状は円形になっていると共に、
上記シャフトの表面には、円形断面における半径方向において放射状に突出する複数の放射状シャフト突起部が互いにその挟角を等しくし、かつシャフトの軸に沿って平行に形成されていることを特徴とする請求項1記載のロールブラシ。
【請求項4】
前記放射状シャフト突起部には、シャフトの軸方向に沿う欠損部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のロールブラシ。
【請求項5】
前記シャフトの断面形状は円形になっていると共に、
上記シャフトの表面には、シャフトの軸方向に沿って螺旋状に突出する螺旋状シャフト突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のロールブラシ。
【請求項6】

前記シャフトは、樹脂からなっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のロールブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−248276(P2011−248276A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124058(P2010−124058)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(390026147)東英産業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】