説明

ロールベーラ

【目的】 ロールベールの肩部分の崩れを防止し成形性を保つ。
【構成】 収穫されて細断された飼料作物等の短い被成形材料を受け入れるホッパ4と、このホッパ4で受け入れた被成形材料を搬送する搬送コンベア36と、この搬送コンベア36で搬送された被成形材料をロールベール24に成形するベール成形室22とを備えたロールベーラ1において、ホッパ4のベール成形室22への搬出口37側の搬送コンベア36上方に、ホッパ4内の被成形材料をローラ成形室22の左右両端側に振り分け移動させるオーガ51を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫されて細断された飼料作物等の短い被成形材料を受け入れるホッパと、このホッパで受け入れた被成形材料を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアで搬送された被成形材料をロールベールに成形するベール成形室とを備えたロールベーラに係り、特にロールベールの肩部分の崩れを防止するように改良されたロールベーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールベーラは、密度が小さい被成形材料を回転させながら圧縮して円柱状のロールベールに成形するために円環状に配置された複数のローラを備えたベール成形室を有している。
【0003】
ロールベーラは、一般にトラクタ等の後方に連結されて牽引されるものであり、刈り倒された飼料作物等の被成形材料を自ら拾い上げるピックアップ装置を備えたものと、ピックアップ装置を備えないで被成形材料を受け入れるホッパを備えたものとがある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
ホッパは、ロールベーラと併走するフォレージハーベスタにより細断されてブロワから排出される飼料作物等の被成形材料が投入されるようになっている。この場合、ブロワからホッパ内にその横方向から吹き込まれる被成形材料は、ホッパ内で左右の一方に偏ることになるので、ホッパ内のフォレージハーベスタから吹き込まれた被成形材料が当たる部分に、被成形材料をベール成形室内に案分して供給するための衝突板が設けられている。この衝突板は、ホッパの側壁と平行に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、細断された被成形材料で成形されたロールベールでは、その肩部分から被成形材料が崩れてロスが大幅に増えたり、甚だしい場合にはロールベールの形状を保てなくなる場合があるので、これを防止するために、ベール成形室で成形されたロールベールの幅より幅の広いネット状或いは粘着性を持つ伸縮性シート状の包装資材を用い、ロールベールの外周面から左右側面の一部にかけて、外周面と肩部分を覆って梱包する梱包装置が上記ロールベーラに備えられていた(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−8525号公報(図3、図4及び図6)
【特許文献2】特開2003−143936号公報(図6及び図12)
【特許文献3】実用新案登録第2508503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記衝突板は、ホッパの側壁と平行に形成されているので、被成形材料の吹込角度と異なる。そのため、被成形材料の吹き込まれる勢いや量の変動により左右の振分量が変わり、左右等分にバランスよくベール成形室に送り込むことができなかった。それが原因で、ロールベールの形状が歪になって成形性を保つことが困難であるといった問題があった。
【0008】
また、上述の包装資材で梱包しても、10mm程度に短く細断された被成形材料でロールベールを成形した場合では、材料同士の絡み付きが無いために、ロールベールの肩部分からの崩れは頻繁に発生してしまい、ロスの増大を防止できないといった問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を解決するために案出されたものであって、その目的は、ロールベールの肩部分の崩れを防止し成形性を保つことができるロールベーラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、収穫されて細断された飼料作物等の短い被成形材料を受け入れるホッパと、このホッパで受け入れた上記被成形材料を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアで搬送された上記被成形材料をロールベールに成形するベール成形室とを備えたロールベーラにおいて、上記ホッパのベール成形室への搬出口側の搬送コンベア上方に、上記ホッパ内の被成形材料を上記ローラ成形室の左右両端側に振り分け移動させるオーガを設けたロールベーラである。
【0011】
そして、上記オーガが、その軸方向両側に左旋回スクリュと右旋回スクリュとを備えたものが好ましい。
【0012】
また、上記オーガの前上方に、上記ホッパに投入された上記被成形材料がオーガ上に落下するのを防止すると共に、上記被成形材料を上記搬送コンベアの上記オーガの位置よりも上流側へ案内するためのカバー板を設けたものが好ましい。
【0013】
さらに、上記カバー板に、上記ホッパに投入された上記被成形材料を上記搬送コンベアの幅方向両側に振り分けるための山形の傾斜板を設けたものが好ましい。
【0014】
また、上記山形の傾斜板が、その稜線が上記ホッパに投入される上記被成形材料の投入方向に沿うように形成されたものが好ましい。
【0015】
さらに、上記搬送コンベアが、間欠駆動可能に形成されたものが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ロールベールの肩部分の崩れを防止し成形性を保つことができるといった優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るロールベーラ1は、収穫されて長さ10mm程度に細断された飼料作物等の短い被成形材料を回転させながら圧縮して円柱状のロールベール24に成形するものであって、牽引フレーム2と、ロールベーラ本体3と、ホッパ4とを備えている。
【0019】
牽引フレーム2は、その前端にトラクタ等の牽引車(図示せず)と連結するための連結桿5を備えている。牽引フレーム2は、その後部が、ロールベーラ本体3を支持するロールベーラ支持フレーム6に一体的に連結されている。牽引フレーム2の上部にはホッパ4が搭載されている。ロールベーラ支持フレーム6の下部には一対の車輪7が設けられている。
【0020】
牽引フレーム2の前部下側には中間軸受け8が設けられ、後部下側にはギヤボックス9が設けられている。中間軸受け8の前面には、前端が牽引車のPTO軸に接続される前方パワージョイント11が接続され、中間軸受け8の後面には、後端がギヤボックス9に接続される後方パワージョイント12が接続されている。これによって、牽引車のPTO軸からの駆動力は、前方パワージョイント11、中間軸受け8及び後方パワージョイント12を介して、ギヤボックス9に伝達される。
【0021】
図3に示すように、ギヤボックス9は、後方パワージョイント12が接続される入力軸13と、左右に延びる左右出力軸16、17とを備えている。ギヤボックス9は、入力軸13より伝達された動力を取り入れ、筒状の左右のハウジング14、15の内部に設けられている左右出力軸16、17を回転駆動させるように、入力軸13と左右出力軸16、17とがベベルギヤ(図示せず)を介してそれぞれ接続されている。
【0022】
ギヤボックス9は、左右のハウジング14、15を介して、左右両側に位置する牽引フレーム2に一体的に接続・固定されている。
【0023】
図2に示すように、ロールベーラ本体3は、左右の側板18、19間に架け渡され、円環状に配置された複数のローラ21を有しており、このローラ21と左右の側板18、19とでベール成形室22を区画・形成している。ローラ21とは、円環状の前部が開口するように配置されており、その開口部が細断された被成形材料を取り入れる取入口23となる。この取入口23から被成形材料をベール成形室22内へと取り入れて、回転させながら圧縮することで円柱状のロールベール24を成形する。
【0024】
ロールベーラ本体3の後部には、ベール成形室22内にネットを供給するネット巻掛け装置25が設けられている。ロールベール24は、ベール成形室22内で所定の大きさに成形された後、ネット巻掛け装置25によりネットを供給され、ネットと共に回転することで外周を梱包される。そして、ベール成形室22の後半分を構成しているローラ22及び左右側板18、19の一部からなる開閉自在のゲート26を開放することで、梱包されたロールベール24は、圃場等に排出される。
【0025】
ロールベーラ本体3への動力は、図3に示すように、ギヤボックス9の左出力軸16に設けられたスプロケット27より、これに巻掛けられたチェーン28を介して、ベール成形室22の取入口23の下部に設けられたローラ21に設けられたスプロケット29へと伝達される。隣接する各ローラ21同士は、チェーン及びスプロケット(共に図示せず)によって互いに同方向に回転するように接続されており、取入口23の下部に設けられたローラ21に伝達された動力によって、ローラ21全体が同一方向に回転する。
【0026】
図1及び図2に示すように、ホッパ4は、上部ホッパ31と下部ホッパ32とを有しており、牽引フレーム2上に載置されている。下部ホッパ32は、垂直の前壁33、左壁34及び右壁35を有しており、その内底部には、上部ホッパ31で受け入れた被成形材料を、ベール成形室22の取入口23へと搬送する搬送コンベア36が設けられ、後部には、ベール成形室22に向かって開放された搬出口37を備えた箱状に形成されている。
【0027】
搬送コンベア36は、後部の搬出口37の下部に設けられた駆動ローラ38と、前部に設けられた従動ローラ39とを有し、これら駆動ローラ38と従動ローラ39には、コンベアベルト41が巻き掛けられている。
【0028】
従動ローラ39は、左壁34及び右壁35にそれぞれ形成された長孔40の長手方向に移動自在且つ固定可能に軸支されている。長時間の使用によりコンベアベルト41が伸びたとき等に、従動ローラ39を長孔40内で移動させることでコンベアベルト41の弛みを取り除き、その張りを調整するようになっている。
【0029】
図3及び図4に示すように、駆動ローラ38は、左壁34と右壁35の搬出口37の下部にそれぞれ設けられた軸受け43間に架け渡されている。駆動ローラ38の表面には、ローラ軸方向に延びてコンベアベルト41の滑りを防止するための滑り止め溝44が周方向に所定ピッチで形成されている。駆動ローラ38の右側端部には従動プーリ45が設けられている。この従動プーリ45と、ギヤボックス9の右出力軸15に設けられた駆動プーリ46との間には、Vベルト47が巻き掛けられている。ギヤボックス9からの動力は、右出力軸15、駆動プーリ46、Vベルト47及び従動プーリ45を介して、駆動ローラ38に伝達されるようになっている。
【0030】
図6及び図7に示すように、搬送コンベア36の下部には、搬送コンベア36を間欠駆動可能にするための、間欠駆動機構61が設けられている。間欠駆動機構61は、Vベルト47を押し付けるテンションプーリ62と、このテンションプーリ62を移動させる電動アクチュエータ63とを備えている。テンションプーリ62は、右壁35に支軸64を介して回動自在に設けられたL字形アーム65の一端に軸支されている。L字形アーム65の他端には電動アクチュエータ63の先端に設けられた揺動ブロック67が取り付けられている。
【0031】
電動アクチュエータ63のロッド68の先端にはブロック69が固定されており、そのブロック69には、ガイド板71及びボルト72がロッド68の延長方向に延出して設けられている。ガイド板71には、その長手方向に延びる長孔73が形成されている。揺動ブロック67には、ボルト72が挿入されるスライド孔70が形成されており、ボルト72側からガイド板71側へと延びて長孔73内を挿通して、L字形アーム65の他端に固定されている。ボルト72には、揺動ブロック67をボルト72の先端側へと付勢すべく、ボルト72に螺合されたナット74と揺動ブロック67との間に、スプリング75が設けられている。ボルト72の先端には、揺動ブロック67がボルト72から離反するのを防止するためのナット76が螺合されている。
【0032】
電動アクチュエータ63の基端部は、牽引フレーム2に固定されたブラケット77に、支軸78を介して揺動自在に取り付けられている。
【0033】
上記構成によれば、電動アクチュエータ63のロッド68が伸長すると、揺動ブロック67が先端側へと押され、L字形アーム65が、図6中矢印に示すように反時計方向に回動し、テンションプーリ62がVベルト47に押し付けられ、Vベルト47と、従動プーリ45及び駆動プーリ46との間に十分な摩擦力がそれぞれ発生して、駆動プーリ46から従動プーリ45へと動力が伝達される。一方、電動アクチュエータ63のロッド68が縮退すると、揺動ブロック67が基端側へと戻り、L字形アーム65が、時計方向に回動し、テンションプーリ62がVベルト47から離反し、Vベルト47と、従動プーリ45及び駆動プーリ46との間の摩擦力が低下するので、駆動プーリ46から従動プーリ45への動力の伝達が遮断される。
【0034】
動力伝達中のVベルト47からの振動は、テンションプーリ62に伝わるが、スプリング75により吸収することができるので、電動アクチュエータ63に振動が伝わるのを防止でき、その破損を未然に防止する。
【0035】
また、長時間の使用によりVベルト47が伸びた場合でも、スプリング75は、L字形アーム65を反時計方向に回動させる方向に付勢しているので、Vベルト47の張力調整は自動的に行われる。
【0036】
図2乃至図6に示すように、下部ホッパ32の搬出口37側には、コンベアベルト41の上方に間隔をあけてオーガ51が設けられている。オーガ51は、ホッパ4内の被成形材料をローラ成形室22の左右両端側に振り分け移動させるものである。オーガ51は、左壁34と右壁35の搬出口37近傍にそれぞれ設けられた軸受け52間に架け渡されている。オーガ51は、回転軸53を有し、その回転軸53の軸方向両側には、コンベアベルト41により搬送される被成形材料を左方向に移動させる左旋回スクリュ54と、右方向に移動させる右旋回スクリュ55とが設けられている。
【0037】
オーガ51の右側端部には従動スプロケット56が設けられている。この従動スプロケット56と、ギヤボックス9の右出力軸15に設けられた駆動スプロケット57との間には、チェーン58が巻き掛けられている。ギヤボックス9からの動力は、右出力軸15、駆動スプロケット57、チェーン58及び従動スプロケット56を介して、オーガ51に伝達されるようになっている。
【0038】
オーガ51は、搬送コンベア36の駆動ローラ38及び従動ローラ39と同方向に回転するようになっており、搬送コンベア36上の被成形材料を左右に振り分け移動するようになっている。これによって、ロールベール24の肩部を形成するベール成形室22の左右両側部分に、多くの被成形材料が取り込まれる。
【0039】
図6に示すように、右壁35には、チェーン58に当接して、このチェーン58を押し付けることでそのテンションを調節するテンションローラ59が設けられている。テンションローラ59は、チェーン58の走行方向に交差する方向に移動自在に設けられている。
【0040】
図1及び図2に示すように、上部ホッパ31は、下部ホッパ32の上部に設けられている。上部ホッパ31は、垂直に配置された前壁81、後壁82(図4参照)と、上方が開くように斜めに配置された左壁83、右壁84とを有している。
【0041】
前壁81と右壁84との接続部分には、上方が開放された切欠部85が連続的に形成されており、右側で併走するフォレージハーベスタから吹き込まれる被成形材料の吹込空間を構成している。
【0042】
図1及び図3乃至図5に示すように、上部ホッパ31内には、内部に吹き込まれた被成形材料を受け止めて搬送コンベア36上に落とす衝突板86が設けられている。衝突板86は、右壁84からホッパ4の幅方向(後壁82と平行)に延出する右衝突板87と、左壁83から被成形材料の吹込方向と直交する方向に延出する左衝突板88とからなる。右衝突板87と左衝突板88とは一枚の板材を平面視へ字状に屈曲して形成されており(図5参照)、右衝突板87の端部は右壁84にボルト(図示せず)等により取り付けられ、左衝突板88の端部は左壁83にボルト(図示せず)等により取り付けられている。右衝突板87は下部ホッパ32の幅の1/3の幅を有しており、その前後位置はオーガ51よりも前方であり、下端部はオーガ51よりも高い部分に位置する。なお、図示しないが、左衝突板88の上部に、上部ホッパ31の上端よりも上方に延びる上部衝突板を設けてもよい。これによれば、フォレージハーベスタからの被成形材料吹込の勢いが強すぎて被成形材料が左衝突板88上を越えようとしても、被成形材料をホッパ4内に落下させることができる。
【0043】
衝突板86の下端部には、ホッパ4に投入された被成形材料がオーガ51上に落下するのを防止すると共に、被成形材料を搬送コンベア36のオーガ51の位置よりも上流側へ案内して落下させるためのカバー板89が設けられている。カバー板89は、前方右側が下になるように傾斜して配置されており、ボルト(図示せず)等によって、右衝突板87と左衝突板88との下端部に固定されている。カバー板89は、右壁84と右衝突板87との交差部下端、右衝突板87と左衝突板88との交差部下端、左衝突板88と左壁83との交差部下端を結んだ三角形状に形成されている。
【0044】
カバー板89の上面には、ホッパ4に投入された被成形材料を搬送コンベア36の幅方向両側に振り分けるための山形の傾斜板91が設けられている。この傾斜板91は、その稜線92がホッパ4に投入される被成形材料の投入方向(略右前方から左後方への向き)に沿うように形成されている。傾斜板91の稜線92の前端部93は、ホッパ4の幅方向中心に位置するようになっており、その下方は山形に広がっているので、フォレージハーベスタから吹き込まれた被成形材料は、搬送コンベア36上の幅方向(左右)両側部に多くの量を案内落下させることができる。
【0045】
次に、上記構成によるロールベーラ1の作業手順と各装置の動作及び作用を図8の説明図に基づいて説明する。
【0046】
まず、トラクタにロールベーラ1とフォレージハーベスタとを一体的に連結しておく。そして、トラクタオペレータが、トラクタのPTOレバーを操作して、PTO軸を駆動させる。すると、ベール成形室22のローラ21とオーガ51が作動する。これと同時に、フォレージハーベスタも作動させる。
【0047】
続いて、トラクタ運転席に設けたロールベーラ1の操作ボックスで、作業開始スイッチ(コンベア作動SW)を入れる。すると、電動アクチュエータ63が伸長し、搬送コンベア36のコンベアベルト41が回転し、圃場に植生している飼料の収穫準備が整う。
【0048】
トラクタを走行させて、フォレージハーベスタにて圃場に植生している飼料(例えば、牧草やコーン等)を収穫する。フォレージハーベスタでは、飼料が10mm程度に細断されて被成形材料が形成され、被成形材料はシュートからホッパ4内へと吹き出される。フォレージハーベスタのシュートは、垂直線に対して左右回動可能であり、その先端には上下回動可能なデフレクタが設けられているので、被成形材料を傾斜板91に向けて吹き出すことができる。
【0049】
このとき、ホッパ4内へ投入された被成形材料は、傾斜板91の稜線92を境に左右両側へ振り分けられ、カバー板89上を滑って、搬送コンベア36上へと落下する。ここで、傾斜板91は、その稜線92が被成形材料の吹き込み方向に沿うように形成されているので、フォレージハーベスタからの吹き出し強さによって、被成形材料の吹き出し距離にバラツキが発生しても、傾斜板91の稜線92が吹き出された被成形材料の中心に常に位置する。よって、被成形材料を左右等分に振り分けることができる。
【0050】
搬送コンベア36上に落下した被成形材料は、コンベアベルト41の回転によって、ベール成形室22の取入口23側へと搬送される。このとき、オーガ51によって、コンベアベルト41上の被成形材料は、幅方向両端側へとさらに移動される。オーガ51には、両端に左旋回スクリュ54と右旋回スクリュ55とがそれぞれ設けられているので、一つの回転機構で同じ方向に回転させるだけで、被成形材料を左右両側へ振り分けることができる。
【0051】
また、オーガ51は、コンベアベルト41の上方に隙間をあけて設けられているので、コンベアベルト41上の隙間分の厚さの被成形材料は振り分けられずオーガ51の下部を通過し、隙間分の厚さより上方の被成形材料のみが、左右に振り分けられる。これによって、幅方向中央部にも適度な量の被成形材料が残り、幅方向にバランスよく被成形材料が分散される。
【0052】
取入口23からベール成形室22へと取り入れられた被成形材料は、ローラ21によって回転されながら圧縮されて、円柱状のロールベール24が成形される。このとき、被成形材料は、左右両側部に多く振り分けられているので、成形されるロールベール24の肩部分は密度が高く、強く圧縮されており、崩れ難く、成形性を保持することができる。
【0053】
ベール成形室22内のロールベール24が所定の大きさ及び密度になると、ゲート26が若干押し開けられ、その開度を検出することで、ロールベール24の成形完了を検知し、ブザーが鳴る。これを聞いたオペレータは、コンベア停止SWを押す。これによって、電動アクチュエータ63が縮退し、コンベアベルト41を駆動させる駆動ローラ38への動力の伝達が遮断され、搬送コンベア36が停止する。これで、ベール成形室22への被成形材料の供給が停止する。
【0054】
次に、オペレータがネット繰出駆動SWを入れる。これにより、ネット巻掛け装置25のネット繰出ローラ30が駆動し、ネットの繰出しが開始される。ネットが繰り出され、ベール成形室22内で回転しているロールベール24の周面に巻き付き、ローラ21とロールベール24とに挟まれてネットは引っ張られ、ネット巻掛け装置25のネット繰出ローラ30の駆動を止めても、ネットの繰り出しは継続する。なお、ネット繰出ローラ30の回転駆動停止は、制御装置(図示せず)のタイマーにより行っている。ネット繰出ローラ30には、ワンウェイクラッチが組み込まれているので、駆動を停止してもネットに引っ張られながら回転している。
【0055】
ロールベール24へのネットの巻き掛け数とネット繰出ローラ30の回転数とは比例しているので、ネット繰出ローラ30の回転数をカウントし、所定回転数となったところでナイフクラッチを作動させ、ネットを切断して、ネット繰出ローラ30は停止し、ネット巻掛け作業は終了する。
【0056】
次に、ゲート開SWを入れて、ゲート26を開放し、ロールベール24を機外に排出する。
【0057】
ここで完成したロールベール24は、崩れが発生しやすい肩部分の密度を特に高くしたことによって強く圧縮されているので、その崩れを防止しでき、成形性を高く保持することができる。また、崩れが発生しないのでロスが発生しない。
【0058】
そして、ゲート閉SWを入れて、ゲート26を閉じる。これで、次のベール成形作業の準備が整い、再度コンベア作動SWを入れると、搬送コンベア36が作動し、ベール成形作業が始まる。
【0059】
搬送コンベア36の作動が停止し、ネット巻掛け作業及びロールベール24の排出作業を行っている間も、フォレージハーベスタにて収穫細断された被成形材料はホッパ4内に吹き出されて溜められている。よって、収穫細断作業を中断することなく、連続して行うことができる。
【0060】
ここで、ホッパ4内に溜められた被成形材料の量が多く、搬送コンベア36を作動させたときに被成形材料の固まりがオーガ51の上を通って供給されたり、ホッパ4内でブリッジになって供給が滞った場合、オペレータは、コンベア間欠作動SWを入れる。そして、電動アクチュエータ63が伸長、縮退を交互に繰り返し、搬送コンベア36が断続作動(間欠駆動)する。これによって、被成形材料に振動を与えることができるので、ブリッジを崩すことができ、安定した供給を行うことができる。また、ベール成形室22内の被成形材料の回転速度に応じた供給量よりも、実際の供給量が過剰の場合には、搬送コンベア36の断続作動(間欠駆動)によって供給量を制限できるので、安定したロールベール24の成形を行うことができる。ブリッジが崩れるか、過剰供給が終わると、コンベア間欠作動SWを切る。
【0061】
電動アクチュエータ63の伸長、縮退の繰り返し動作は、制御装置に組み込まれたマイコンプログラムにより行われる。
【0062】
この搬送コンベア36の断続作動(間欠駆動)は、特に、被成形材料をボンネットワゴンやローダーバケットで大量に荷受けして、それを定置させたロールベーラのホッパに投入したときに大きな効果を発揮する。
【0063】
なお、上述した作業手順によれば、作業開始スイッチ(コンベア作動SW)を入れた以降の各スイッチ操作は手動で行っているが、上述の制御装置は、全自動モードに切り替えることで、各スイッチ操作を自動で行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した斜視図である。
【図2】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した側面図である。
【図3】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した正面断面図である。
【図4】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した要部側面断面図である。
【図5】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した要部平面断面図である。
【図6】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した要部側面断面図である。
【図7】本発明に係るロールベーラの好適な実施の形態を示した要部平面断面図である。
【図8】本発明に係るロールベーラの作業手順を示した説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 ロールベーラ
4 ホッパ
22 ベール成形室
24 ロールベール
36 搬送コンベア
37 搬出口
51 オーガ
54 左旋回スクリュ
55 右旋回スクリュ
89 カバー板
91 傾斜板
92 稜線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫されて細断された飼料作物等の短い被成形材料を受け入れるホッパと、このホッパで受け入れた上記被成形材料を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアで搬送された上記被成形材料をロールベールに成形するベール成形室とを備えたロールベーラにおいて、上記ホッパのベール成形室への搬出口側の搬送コンベア上方に、上記ホッパ内の被成形材料を上記ローラ成形室の左右両端側に振り分け移動させるオーガを設けたことを特徴とするロールベーラ。
【請求項2】
上記オーガが、その軸方向両側に左旋回スクリュと右旋回スクリュとを備えた請求項1記載のロールベーラ。
【請求項3】
上記オーガの前上方に、上記ホッパに投入された上記被成形材料がオーガ上に落下するのを防止すると共に、上記被成形材料を上記搬送コンベアの上記オーガの位置よりも上流側へ案内するためのカバー板を設けた請求項1又は2記載のロールベーラ。
【請求項4】
上記カバー板に、上記ホッパに投入された上記被成形材料を上記搬送コンベアの幅方向両側に振り分けるための山形の傾斜板を設けた請求項3記載のロールベーラ。
【請求項5】
上記山形の傾斜板が、その稜線が上記ホッパに投入される上記被成形材料の投入方向に沿うように形成された請求項4記載のロールベーラ。
【請求項6】
上記搬送コンベアが、間欠駆動可能に形成された請求項1〜5いずれかに記載のロールベーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−61043(P2006−61043A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245815(P2004−245815)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000107653)スター農機株式会社 (36)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 (827)