説明

ロールベーラ

【課題】安定した梱包資材の成形室への送出を行って梱包資材のロールベールへの巻回を確実に行う。
【解決手段】送出装置3は、送出部31と送出駆動部32と送出駆動伝達部33とテンションローラ34、35、36とを備える。張力調整部4は可動調整部40と駆動する張力調整駆動部41と、張力調整駆動部41の駆動を送出駆動伝達部33及び可動調整部40とに伝達する張力調整駆動伝達部42とを備える。可動調整部40を、送出駆動伝達部33の駆動伝達入力動作にともなって、梱包資材Bを弛める方向に動作するように設けるとともに、送出駆動伝達部33の駆動伝達切断動作にともなって、梱包資材Bに張力を与える方向に動作するように設けて、梱包資材Bの張力を弛ませたときに、送出部31が梱包資材Bの送出動作を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールベールを梱包する梱包資材を成形室に送出する送出装置を備えたロールベーラに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールベールを梱包する梱包資材(ネット、トワイン)を送出する送出装置を備えたロールベーラは、梱包資材の送出動作に制動力を付与することで、梱包資材に張力が作用した状態で梱包資材を引き出すようにしたものが知られている。下記特許文献1に記載のものは、梱包資材を支持するネット軸の回転を制動するブレーキ装置を備えたものであり、梱包資材の送出当初においてブレーキ装置のネット軸への制動力を弱めるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−201564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロールベーラによると、梱包資材の送出当初においてブレーキ装置のネット軸への制動力を弱めるようにしたので、梱包資材に張力を作用させた状態で、梱包資材を引き出すローラ等の空転を抑制することができ、安定した梱包資材の送出を行うことができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のブレーキ装置は、ネット軸に設けられたブレーキドラムに対して接触して制動するブレーキシューの接触圧を強弱することで、制動力の調整を行うものであるため、ブレーキシューの磨耗や破損等が生じた場合に、目的の制動力を発生させることができなくなるという問題がある。また、目的の制動力を維持するということから、接触圧の調整やブレーキシューの交換、更には、定期的にブレーキシューの磨耗・破損状況の点検等の各種メンテナンスが必要であり、この各種メンテナンスによるランニングコストが嵩むという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、ブレーキ装置を用いることなく、しかもランニングコストを低減した上で、梱包資材の送出動作を安定化させ、梱包資材のロールベールへの巻回精度を高めること、梱包資材の送出当初において引き出される梱包資材の張力を弛めることで、安定した梱包資材の引き出しを行うこと、梱包資材のロールベール巻回時において引き出される梱包資材に張力を与えることで、安定した梱包資材の成形室への送出を行って梱包資材のロールベールへの巻回を確実に行うこと、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明によるロールベーラは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0008】
被成形材料を圧縮して円筒状のロールベールを成形するとともに、排出する成形室と、前記ロールベールを梱包する梱包資材を引き出して前記該成形室に送出する送出装置と、引き出される前記梱包資材の張力を強弱する張力調整部と、を備え、前記送出装置は、前記送出装置は、保持部に引き出し自在に保持された梱包資材を引き出して前記成形室に送出する送出部と、前記送出部を送出動作させる方向に駆動する送出駆動部と、前記送出駆動部の駆動を前記送出部に伝達するとともに、該駆動伝達を入力/切断する送出駆動伝達部と、前記保持部と前記送出部の間に配置され、該保持部と前記送出部とに亘る前記梱包資材を巻掛けて、該梱包資材に張力を与えるように支持された複数のテンションローラと、を備え、前記張力調整部は、引き出される前記梱包資材に接触し、該梱包資材に張力を与える方向と該梱包資材の張力を弛める方向とに可動となるように支持された可動調整部と、前記送出駆動伝達部及び前記可動調整部を動作させる方向に駆動する張力調整駆動部と、前記張力調整駆動部の駆動を前記送出駆動伝達部及び前記可動調整部とに伝達する張力調整駆動伝達部と、を備え、前記可動調整部を、前記送出駆動伝達部の駆動伝達入力動作にともなって、前記梱包資材を弛める方向に動作するように設けるとともに、前記送出駆動伝達部の駆動伝達切断動作にともなって、前記梱包資材に張力を与える方向に動作するように設けて、前記梱包資材の張力を弛ませたときに、前記送出部が前記梱包資材の送出動作を行うようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、可動調整部を送出駆動伝達部の駆動伝達入力動作にともなって、梱包資材の張力を弛める方向に動作するように設けるとともに、送出駆動伝達部の駆動伝達切断動作にともなって、梱包資材に張力を与える方向に動作するように設けて、梱包資材の張力を弛ませたときに、送出部が梱包資材の送出動作を行うようにしているので、すなわち、ブレーキ装置を用いることなく、しかもランニングコストを低減した上で、梱包資材の送出動作を安定化させ、梱包資材のロールベールへの巻回精度を高めることができる。詳しくは、梱包資材の送出当初において引き出される梱包資材の張力を弛めることで、安定した梱包資材の引き出しを行うことができ、梱包資材のロールベール巻回時において引き出される梱包資材に張力を与えることで、安定した梱包資材の成形室への送出を行って梱包資材のロールベールへの巻回を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るロールベーラの一例を示す概略構成図。
【図2】送出装置及び張力調整部の構成を示す一部切欠概略断面図。
【図3】送出装置及び張力調整部の構成を示す概略構成図。
【図4】送出装置及び張力調整部の構成を示す一部切欠斜視図。
【図5】梱包資材を弛めた状態を示す送出装置及び張力調整部の動作図。
【図6】梱包資材を送出する状態を示す送出装置及び張力調整部の動作図。
【図7】梱包資材がロールベールに巻回されている状態を示す送出装置及び張力調整部の動作図。
【図8】制御部の制御を実施するプログラムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のロールベーラは、被成形材料を貯留するホッパ等からこの被成形材料を落下させ、落下させた被成形材料をコンベア等によって成形室に供給してロールベールを成形し、成形後に直接圃場等に排出するロールベーラ、このロールベーラの成形室からロールベール排出側に連続して、成形室から排出されたロールベールをラップするラップ装置を備えた複合型ロールベーラ、圃場等の被成形材料を拾い上げるピックアップ装置を備え、拾い上げた被成形材料をコンベア等によって成形室に供給してロールベールを成形し、成形後に直接圃場等に排出するロールベーラ等、各種ロールベーラに適用することができる。
【0012】
また、本発明の被成形材料は、コーンや牧草等の飼料作物、食物加工後の食物残渣等の家畜用飼料に用いる各種材料、籾殻、麦殻、木屑、おがくず、敷料、家畜糞等の肥料に用いる各種材料等を含む。
【0013】
また、本発明の梱包資材は、ネットやトワイン等、成形室内でロールベールを梱包するための各種資材を含む。
【0014】
また、前記可動調整部の前記梱包資材を弛める位置と前記梱包資材に張力を与える位置とを検出して、夫々の位置信号を出力する動作位置検出部と、前記位置信号に基づいて張力調整駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記可動調整部の位置が前記梱包資材を弛める位置であるときに、前記張力調整駆動部を前記可動調整部が前記梱包資材に張力を与える方向に動作するように駆動させる制御と、該制御により動作した前記可動調整部の位置が前記梱包資材に張力を与える位置であるときに、前記張力調整駆動部の駆動を停止させる制御と、を行うことを特徴とする。
【0015】
前記動作位置検出部は、前記張力調整駆動部の駆動により動作する部位に、該部位の動作にともなって位置可変に設けられた被検出部と、該検出部を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記可動調整部の位置が前記梱包資材を弛める位置であるときの前記被検出部の位置と、前記可動調整部の位置が前記梱包資材に張力を与える位置であるときの前記被検出部の位置とを検出するように設けられていることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明に係るロールベーラの実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態ではロールベーラを複合型のロールベーラとして例示する。尚、本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0017】
図1は、ロールベーラ1の構成図である。ロールベーラ1は、細断された被成形材料(図示せず)を圧縮して円柱状のロールベールAを成形する成形室2と、成形室2内に成形されたロールベールAを成形室2内で梱包する梱包資材Bを送出する送出装置3と、送出される梱包資材Bの張力を調整する張力調整部4と、成形したロールベールAをラップフィルム(図示せず)によりラップするラップマシン5と、被成形材料を貯留するホッパ6と、ホッパ6から供給される被成形材料を成形室2内に運搬する運搬コンベア7と、ロールベールAを成形室2からラップマシン5に搬送する搬送コンベア8と、運搬コンベア7からラップマシン5にわたってこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア7側に搬送する搬送部9とを具備している。
【0018】
成形室2は、送出装置3側に区画形成された固定側半部20と、ラップマシン5側に区画形成された可動側半部21と、固定側半部20と可動側半部21とにわたって配置された成形装置22とを備えている。固定側半部20には、運搬コンベア7から運搬される被成形材料を成形室2内に投入する投入口23と、送出される梱包資材Bを成形室2内に挿入する挿入口24とが形成されている。
【0019】
このような成形室2は、運搬コンベア7から投入口23を経て成形室2に投入された被成形材料を、成形装置22により回転させながら圧縮して円柱状のロールベールAに成形するようになっている。また、ロールベールAの成形終了後、成形室2に送出される梱包資材Bが、成形装置22により回転するロールベールAで引き込まれながらこのロールベールAに巻回されることによって、成形されたロールベールAを梱包するようになっている。
【0020】
また、ロールベールAの梱包終了後に可動側半部21を開動させて固定側半部20を開放することによりロールベールAが排出されるようになっており、排出されたロールベールAは、搬送コンベア8によりラップマシン5に搬送されるようになっている。このロールベールAの搬送時においてこぼれ落ちた被成形材料は、搬送部9により運搬コンベア7の上流側に運搬されるとともに、この運搬コンベア7によってすくい上げられて再び成形室2に投入されるようになっている。ラップマシン5は、搬送されたロールベールAにラップフィルム(図示せず)を巻回してラップし、ラップ終了後ロールベールAをロールベーラ1外に排出するようになっている。
【0021】
図2〜7は、送出装置3及び張力調整部4の構成を示す概略構成図である。送出装置3は、梱包資材BのロールB1を回転可能に保持する保持部の一例である受容部30と、梱包資材Bを引き出して成形室2に送出する送出部31と、送出部31を送出動作させる方向に駆動する送出駆動部32と、送出駆動部32の駆動を送出部31に伝達するとともに、この駆動伝達を入力/切断する送出駆動伝達部33と、受容部30と送出部31の間に配置され、受容部30と送出部31とに亘る梱包資材Bを巻掛けて、この梱包資材Bに張力を与えるように支持された複数のテンションローラ34、35、36とを備えている。尚、前述の保持部は、受容部30に限らず、梱包資材BのロールB1を回転可能に保持できる形態であればよく、例えば、ロールB1を回転可能に支持する支持軸が挙げられる(図示せず)。
【0022】
張力調整部4は、テンションローラ34、35の間に位置する梱包資材Bに接触し、この梱包資材Bに張力を与える方向及び梱包資材Bの張力を弛める方向とに可動となるように支持された可動調整部40と、送出駆動伝達部33及び可動調整部40を動作させる方向に駆動する張力調整駆動部41と、張力調整駆動部41の駆動を送出駆動伝達部33及び可動調整部40とに伝達する張力調整駆動伝達部42と、可動調整部40の位置が梱包資材Bに張力を与える位置及び梱包資材Bの張力を弛める位置のいずれにあるかを検出し、夫々の位置信号を出力する動作位置検出部43と、位置信号に基づいて張力調整駆動部41の駆動方向を制御する制御部44と、を備えている。
【0023】
受容部30は、梱包資材BのロールB1を着脱自在に受容するようになっており、受容されたロールB1が、送出部31の送出動作にともなって引き出される梱包支材Bの引張力によって回転するようになっている。
【0024】
送出部31は、ゴム材や合成樹脂材が被覆された駆動ローラ3Aと、駆動ローラ3Aとで梱包資材を挟持する従動ローラ3Bとで構成されている。駆動ローラ3Aは、送出駆動伝達部33を介して伝達される送出駆動部32の駆動により駆動回転するようになっている。従動ローラ3Bは、駆動ローラ3Aに接触するように支持されており、この駆動ローラ3Aの駆動回転に従動して回転するようになっている。
【0025】
送出駆動部32は、成形室2の一部を構成する成形駆動ローラが利用されている。この成形駆動ローラは、成形室2内でロールベールAを回転させるためのものであり、ロールベールAの成形及び梱包資材Bの巻回終了まで回転するものである。尚、この送出駆動部32は、前述の成形駆動ローラとする構成に限られず、独立して設けたモータ等を利用してもよい。
【0026】
送出駆動伝達部33は、駆動ローラ3Aと同軸で一体回転するように支持されたプーリ3Cと、送出駆動部32と同軸で一体回転するように支持されたプーリ3Dと、プーリ3C、3Dに亘って巻掛けられたベルト3Eと、ベルト3Eに接触するとともに、その接触圧を強弱する方向に可動となるように支持されたクラッチローラ3Fとを備えている。
【0027】
ベルト3Eは、クラッチローラ3Fの接触圧の強弱により、送出駆動部32の駆動によるプーリ3Cの回転をプーリ3Dに伝達することができる張力と、送出駆動部32の駆動によるプーリ3Cの回転をプーリ3Dに非伝達状態となる張力となるように巻掛けられている。
【0028】
クラッチローラ3Fは、駆動ローラ3A及びプーリ3Dと同軸上で一体回転するように支持された回転軸3Gに、この回転軸3Gの回転とはかかわりなく独立して、回転軸3Gと同軸で回転するように径方向に突設状に支持された支持体3Hの先端に回転自在に支持されている。このクラッチローラ3Fは、張力調整駆動伝達部42の一方向の駆動伝達による支持体3Hの一方向(図面上反時計方向)の回転にともなって、ベルト3Eへの接触圧を強める方向に移動して、このベルト3Eの張力を、送出駆動部32の駆動によるプーリ3Cの回転をプーリ3Dに伝達することができる張力にするようになっている(図5参照)。また、張力調整駆動伝達部42の他方向の駆動伝達による支持体3Hの他方向(図面上時計方向)の回転にともなって、ベルト3Eへの接触圧を弱める方向に移動して、このベルト3Eの張力を、送出駆動部32の駆動によるプーリ3Cの回転をプーリ3Dに非伝達状態にする張力にするようになっている(図7参照)。尚、支持体3Hは、回転軸3Gと同軸である形態に限らず、張力調整駆動伝達部42の駆動伝達により、クラッチローラ3Fをベルト3Eの張力を強弱する方向に移動させるように支持された形態であればよい(図示せず)。
【0029】
テンションローラ34、35、36は、可動調整部40を含めて梱包資材Bを引き出し方向に互い違いに巻掛けるように配置されており、巻掛けられた梱包資材Bを引き出し方向へ案内する方向に回転自在に支持されている。引き出し方向の最下流側に支持されたテンションローラ34の周面には、巻掛けられた梱包資材Bをテンションローラ34の軸方向外側に向かって拡げる方向に力を加える螺旋体38が設けられており、この螺旋体38により、梱包資材Bをその幅方向に張った状態で案内して、この梱包資材Bに皺や折り曲げ等の発生を防止できるようになっている。
【0030】
可動調整部40は、テンションローラ34と同軸上、且つテンションローラ34の回転とは独立して回転するように設けられた回転軸4Aと、この回転軸4Aに径方向に突設された支持体4Bと、この支持体4Bの先端に回転自在に支持された可動ローラ4Cとから構成されており、可動ローラ4Cがテンションローラ34、35間の梱包資材Bを巻掛けて、回転軸4Aの回転にともなう支持体4Bの回転により、梱包資材Bの張力を強めたり弛めたりする方向に移動するようになっている。尚、回転軸4Aは、テンションローラ34と同軸である形態に限らず、張力調整駆動伝達部42の駆動伝達により、支持体4Bを介して、可動ローラ4Cを梱包資材の張力を強めたり緩めたりする方向に移動させるように支持された形態であればよい(図示せず)。
【0031】
具体的には、可動調整部40は、支持体3Hのクラッチローラ3Fをベルト3Eへの接触圧を強める方向への回転と同期するように、可動ローラ4Cが巻掛けた梱包資材Bの張力を弛める方向(図面上時計方向)に移動するようになっている(図5参照)。また、支持体3Hのクラッチローラ3Fをベルト3Eへの接触圧を弱める方向への回転と同期するように、可動ローラ4Cが巻掛けた梱包資材Bの張力を強める方向(図面上反時計方向)に移動するようになっている(図7参照)。
【0032】
張力調整駆動部41は、油圧等で駆動回転するモータであり、この張力調整駆動部41の駆動回転をチェーン機構(又はベルト機構、ギア列等)からなる駆動伝達部400を介して、張力調整駆動伝達部42に伝達するようになっており、張力調整駆動部41側に支持されたスプロケット4Dと、張力調整駆動伝達部42側に支持されたスプロケット4Eと、スプロケット4D、4Eに巻掛けられたチェーン4Fとを備えている。
【0033】
張力調整駆動伝達部42は、4個のギアからなるギア列構造のものである。この張力調整駆動伝達部42は、スプロケット4Eと一体回転するように支持された第1ギア4Gと、この第1ギア4Gと噛み合うように支持された第2ギア4Hと、この第2ギア4Hと同軸で一体回転するように支持された第3ギア4Iと、この第3ギア4Iと噛み合うように、回転軸4Aに一体回転するように支持された第4ギア4Jとから構成されている。
【0034】
第4ギア4Jは、張力調整駆動部41の駆動回転を支持体3Hに回転伝達するものでもある。具体的には、第4ギア4Jは、回転軸3Gの回転とはかかわりなく独立して、回転軸3Gと同軸で回転するように、支持体3Hの延長線上、且つ反対方向に突設状に支持された支持体3Iに対して引っ張りばね3Jを介して連結されている。支持体3Iと支持体3Hとは、一体に回転するように連結されている。尚、第4ギア4Jの回転を支持体3Iの回転として伝達するための形態は、引っ張りばね3Jで連結した形態に限らず、第4ギア4Jの回転により支持体3Iを回転させることができる形態であればよく、例えば、ロッドにより連結した形態、第4ギア4Jと支持体3Iの間にギア列を介在させた形態等が挙げられる(図示せず)。
【0035】
すなわち、この第4ギア4Jが、張力調整駆動部41の一方向の駆動回転が伝達されて、図面上、時計方向に回転すると、伸長する引っ張りばね3Jを介して支持体3Iを引っ張って反時計方向に回転させる動作をする一方、回転軸4Aを時計方向に回転させる動作をする。このとき、支持体3Hが支持体3Iの回転と一体に回転することによって、クラッチローラ3Fがベルト3Eの張力を強くする方向に移動する一方、回転軸4Aが時計方向に回転することによって、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を弛める方向に移動するようになっている(図5参照)。
【0036】
また、この第4ギア4Jが、張力調整駆動部41の他方向の駆動回転が伝達されて、図面上、反時計方向に回転すると、伸長状態の引っ張りばね3Jを収縮させながら支持体3Iを押して時計方向に回転させる動作をする一方、回転軸4Aを時計方向に回転させる動作をする。このとき、支持体3Hが支持体3Iの回転と一体に回転することによって、クラッチローラ3Fがベルト3Eの張力を弱くする方向に移動する一方、回転軸4Aが時計方向に回転することによって、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を強める方向に移動するようになっている(図7参照)。
【0037】
動作位置検出部43は、第2ギア4Hに固着された被検出部4Kと、テンションローラ34、35、36等を支持するフレームF(図3参照)に設けられた支持フレームF1(図3参照)に固着された検出部4L、4Mとから構成されている。
【0038】
被検出部4Kは、第2ギア4Hの回転にともなってその位置が図面上、左右に移動するようになっており、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を強める位置にある状態(図2、図7参照)では、図面上右側(成形室2側)に位置し、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を弛める位置にある状態(図5、図6参照)では、図面上左側(受容部37側)に位置するようになっている。被検出部4Kの移動距離は、第2ギア4Hの半周分の回転距離と同じ距離であり、図面上、上半分を移動するようになっている。
【0039】
尚、第2ギア4Hの半周分の回転距離は、第4ギア4Jの回転距離を、クラッチローラ3Fを、ベルトEに対する接触圧を最強から最弱にする範囲で移動させる回転距離であり、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力が最強となる状態から弛めた状態となる範囲で移動させる距離である。
【0040】
検出部4Lは、右側に位置した被検出部4Kと対面するように設けられ、検出部4Mは、左側に位置した被検出部4Kと対面するように設けられている。すなわち、検出部4Lは、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を強める位置にあることを検出し、検出部4Mは、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を弛める位置にあることを検出するようになっている。検出部4L、4Mは、制御部44に接続されており、夫々で検出された位置信号を制御部44に出力するようになっている。
【0041】
制御部44は、張力調整駆動部41に接続されており、前述の位置信号に基づいて、張力調整駆動部41の駆動方向を切替えるように制御するようになっている。また、制御部44は、成形室2内で成形されるロールベールAが所定径に至ったことを検出して、所定径信号を出力する所定径検出部45と、梱包資材BのロールベールAへの所定巻回量を検出して、所定巻回量信号を出力する所定巻回量検出部46と、を備えており、所定径信号に基づいて送出装置3及び張力調整部4を梱包資材送出状態とするとともに、運搬コンベア7を停止させるように制御し、所定巻回量信号に基づいて送出装置3及び張力調整部4を梱包資材非送出状態とするとともに、梱包資材Bを切断する切断部47を切断動作させる制御をするようになっている。更に、制御部44は、切断終了を検出し、切断終了信号を出力する切断動作検出部48に接続されており、この切断終了信号に基づいて成形室2を開いてロールベールAを排出する制御をするようになっている。
【0042】
このような動作位置検出部43及び制御部44によって、可動ローラ4Cの動作位置を検出することができるとともに、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を弛める方向に移動させる動作、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を弛める位置で停止させる動作、この位置から可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を強める方向に移動させる動作、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を強める位置で停止させる動作を行うことができる。
【0043】
尚、被検出部4Kを設ける部位は、例示した第2ギア4Hに限られず、張力調整駆動部41の駆動により動作する部位であればよい。例えば、第1ギア4G、第3ギア4I、第4ギア4J、支持体4B等が挙げられ、この各部位のいずれかに設けられた被検出部4Kの移動位置に対面するように検出部4L、4Mを配置すればよい。また、本実施形態の動作位置検出部43は、いわゆる近接スイッチ構造のものであるが、本発明の動作位置検出部43は、角度センサやリミットスイッチ等のようなものでもよく、可動調整部40の動作位置を検出できるものであればよい(図示せず)。
【0044】
所定径検出部45は、ロールベールAが所定径に至ったことを検出できるものであればよく、例えば、成形室2内部に対するロールベールAの接触圧力を検出し、所定の接触圧力を検出したときに、ロールベールAが所定径に至ったとして、前述の所定径信号を出力するようにしたものが挙げられる。所定巻回量検出部46は、梱包資材BのロールベールAに対する巻回量が所定巻回量に至ったことを検出できるものであればよく、例えば、ロールB1の回転数に基づいて梱包資材Bが引き出された量を検出し、所定の引き出し量を検出したときに、所定巻回数に至ったとして、前述の所定巻回量信号を出力するようにしたものが挙げられる。
【0045】
次に、送出装置3及び張力調整部4の動作と、この動作を制御する制御部44の具体的な制御方法を説明する。図2及び図5〜図7は送出装置3及び張力調整部4の動作を示す動作図である。図8は、送出装置3及び張力調整部4の動作を制御する制御部44の制御を実施するプログラムのフローチャートである。このプログラムは、ロールベーラ1を作動させたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
【0046】
ロールベーラ1が作動すると、運搬コンベア7が被成形材料を成形室2に供給する供給動作及び成形室2の成形動作が開始される(ステップS2)。このとき、送出駆動部32の回転が開始されるが、クラッチローラ3Fの位置がベルトEに対する接触圧を最弱状態とする位置であり、送出駆動部32の駆動回転が回転軸3Gに伝達を切断している状態となっている(図2参照)。一方、可動ローラ4Cの位置が梱包資材Bに張力を与える状態となる位置である(図2参照)。
【0047】
ロールベールAが所定径に至ったことが検出されると(ステップS3)、張力調整駆動部41の梱包資材Bの引き出し方向への駆動が開始され(ステップS4)、この駆動にともなう張力調整駆動伝達部42の伝達動作である第4ギア4Jの回転により、クラッチローラ3Fがベルト3Eに対する接触圧を最強とする位置に移動し、送出駆動部32の駆動回転が回転軸3Gに伝達を入力する状態となり、同時に、可動ローラ4Cの位置が梱包資材Bの張力を弛める状態となる位置に移動する(図5参照)。このとき、検出部4Mが、張力調整駆動部41の駆動にともなう張力調整駆動伝達部42の伝達動作である第2ギア4Hの回転によって移動する被検出部4Kを検出すると(ステップS5)、位置信号を出力する(ステップS6)。そして、この位置信号に基づいて張力調整駆動伝達部42の駆動を停止させる(ステップS7)。
【0048】
前述のステップS3〜ステップS7により、可動ローラ4Cが梱包資材Bの張力を弛める状態となる位置に至ると、図5に示すように、梱包資材Bが弛んだ状態となり、この弛みを生じさせることによって送出部31が梱包資材Bを引き出す際の抵抗を低減して、梱包資材Bをスムーズに引き出して、成形室2に送出することができる(図6参照)。
【0049】
張力調整駆動伝達部42の駆動が停止すると、張力調整駆動部41のステップS4の駆動方向と逆方向への駆動が開始される(ステップS8)。この駆動にともなう張力調整駆動伝達部42の伝達動作である第4ギア4Jの回転により、クラッチローラ3Fがベルト3Eに対する接触圧を最弱とする位置に移動し、送出駆動部32の駆動回転の回転軸3Gへの伝達を切断する状態となり、同時に、可動ローラ4Cの位置が梱包資材Bの張力を強める状態となる位置に移動する(図7参照)。このとき、検出部4Lが、張力調整駆動部41の駆動にともなう張力調整駆動伝達部42の伝達動作である第2ギア4Hの回転によって移動する被検出部4Kを検出すると(ステップS9)、位置信号を出力する(ステップS10)。そして、この位置信号に基づいて張力調整駆動伝達部42の駆動を停止させる(ステップS11)。
【0050】
前述のステップS8〜ステップS11により、可動ローラ4Cが梱包資材Bに張力を与える状態となる位置に至ると、この梱包資材Bが張力を保った状態で、成形室2内で回転するロールベールAによって引き出されるとともに、このロールベールAに巻回される(図7参照)。
【0051】
梱包資材Bの巻回量が所定量に至ったことが検出されると(ステップS12)、切断部47が切断動作して梱包資材B切断する(ステップS13)。切断終了を検出すると(ステップS14)、切断終了信号を出力し(ステップS15)、この切断終了信号に基づいて可動側半部21を開動作させて固定側半部20を開放することで、ロールベールAを排出する(ステップS16)。
【0052】
本実施形態のロールベーラ1によると、クラッチローラ3Fの駆動伝達入力状態への移動と同時に、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を弛める位置に移動させて、この梱包資材Bの張力を弛めるようにしているので、梱包資材Bの送出当初における梱包資材Bの抵抗を低減した状態で梱包資材を引き出すことができ、安定した梱包資材Bの送出及びロールベールAへの巻回を行うことができる。また、クラッチローラ3Fの駆動伝達入力状態への移動と、可動ローラ4Cの梱包資材Bの張力を弛める位置への移動を同期させているので、梱包資材Bを緩めた状態で引き出す動作を確実に行うことができる。
【0053】
また、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を弛める方向に移動させる動作、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を弛める位置で停止させる動作、この位置から可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を強める方向に移動させる動作、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を強める位置で停止させる動作を、動作位置検出部43による可動ローラ4Cの位置検出によって制御しているので、各動作を確実に行うことができる。
【0054】
また、動作位置検出部43が、定位置に固定された検出部4L、4Mで、張力調整駆動部41の駆動により回転する第2ギア4Hに固定された被検出部4Kの移動位置を検出する構成としているので、常に、同じ位置で被検出部4Kの検出を行うことができる。したがって、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を弛める位置で停止させる動作、可動ローラ4Cを梱包資材Bの張力を強める位置で停止させる動作を誤差なく行うことができる。
【0055】
なお、本発明は、例示した実施の形態に限定するものでは無く、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1:ロールベーラ 2:成形室 A:ロールベール B:梱包資材 3:送出装置
4:張力調整部 30:受容部(保持部) 31:送出部 32:送出駆動部
33:送出駆動伝達部 34:テンションローラ 35:テンションローラ
36:テンションローラ 40:可動調整部 41:張力調整駆動部
42:張力調整駆動伝達部 43:動作位置検出部 44:制御部 4K:被検出部
4L:検出部 4M:検出部 4H:第2ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成形材料を圧縮して円筒状のロールベールを成形するとともに、排出する成形室と、前記ロールベールを梱包する梱包資材を引き出して前記成形室に送出する送出装置と、引き出される前記梱包資材の張力を強弱する張力調整部と、を備え、前記送出装置は、保持部に引き出し自在に保持された梱包資材を引き出して前記成形室に送出する送出部と、前記送出部を送出動作させる方向に駆動する送出駆動部と、前記送出駆動部の駆動を前記送出部に伝達するとともに、該駆動伝達を入力/切断する送出駆動伝達部と、前記保持部と前記送出部の間に配置され、該保持部と前記送出部とに亘る前記梱包資材を巻掛けて、該梱包資材に張力を与えるように支持された複数のテンションローラと、を備え、前記張力調整部は、引き出される前記梱包資材に接触し、該梱包資材に張力を与える方向と該梱包資材の張力を弛める方向とに可動となるように支持された可動調整部と、前記送出駆動伝達部及び前記可動調整部を動作させる方向に駆動する張力調整駆動部と、前記張力調整駆動部の駆動を前記送出駆動伝達部及び前記可動調整部とに伝達する張力調整駆動伝達部と、を備え、前記可動調整部を、前記送出駆動伝達部の駆動伝達入力動作にともなって、前記梱包資材を弛める方向に動作するように設けるとともに、前記送出駆動伝達部の駆動伝達切断動作にともなって、前記梱包資材に張力を与える方向に動作するように設けて、前記梱包資材の張力を弛ませたときに、前記送出部が前記梱包資材の送出動作を行うようにしていることを特徴とするロールベーラ。
【請求項2】
前記可動調整部の前記梱包資材を弛める位置と前記梱包資材に張力を与える位置とを検出して、夫々の位置信号を出力する動作位置検出部と、前記位置信号に基づいて張力調整駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記可動調整部の位置が前記梱包資材を弛める位置であるときに、前記張力調整駆動部を前記可動調整部が前記梱包資材に張力を与える方向に動作するように駆動させる制御と、該制御により動作した前記可動調整部の位置が前記梱包資材に張力を与える位置であるときに、前記張力調整駆動部の駆動を停止させる制御と、を行うことを特徴とする請求項1記載のロールベーラ。
【請求項3】
前記動作位置検出部は、前記張力調整駆動部の駆動により動作する部位に、該部位の動作にともなって位置可変に設けられた被検出部と、該検出部を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記可動調整部の位置が前記梱包資材を弛める位置であるときの前記被検出部の位置と、前記可動調整部の位置が前記梱包資材に張力を与える位置であるときの前記被検出部の位置とを検出するように設けられていることを特徴とする請求項2記載のロールベーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−211941(P2011−211941A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82066(P2010−82066)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000107653)株式会社IHIスター (36)