説明

ロールベールの重量計測装置

【課題】ラップマシンから放出される成形・被覆されたロールベールを、重量計に載架する作業動作と、重量の計測を終えたところで重量計から取り降ろす作業動作とが、グリッパを用いることなく自動的に行われるようにして、ロールベールを被覆するラップフィルムに穿孔・裂傷が生ずる可能性を小さくし、かつ、作業能率を良くすること。
【解決手段】ダンプシリンダによりダンプ回動する、ラップマシンのテーブルの、ロールベールの放出方向の前面位置に、重量計測機を配置し、それの秤量台を、ラップマシン側に傾く姿勢から水平な姿勢を経てラップマシンと反対側に傾く姿勢との間を揺動回動するよう重量計測機の機体に支架し、この秤量台に、重量計油圧シリンダを、該秤量台の揺動回動を駆動するよう連繋し、その重量計油圧シリンダの油圧回路を、前記ダンプシリンダの油圧回路に接続連通し、テーブルのダンプ回動によるロールベールの放出作動に連動して秤量台の揺動回動による姿勢変更の作動を自動的に行わすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップマシンで被覆されたロールベールの重量を計測するラップマシンにおけるロールベールの重量計測装置についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ハーベスタにより収穫した飼料作物を、ロールベールに成形し、それの周面にストレッチフィルムを巻き付けて被覆・梱包する作業は、通常、図1・図2に示しているように、トラクタにより牽引されて走行する機体1に飼料を受け入れるホッパ2と、このホッパ2から送り出される資料をロールに成形するロールベーラ3と、このロールベーラ3で成形されたロールベールの周面にストレッチフィルムを巻き付けるラップマシン4と、が一連に並列して装架してある細断型コンビラップマシンWと呼ばれる成形・被覆装置を用いて行われる。
【0003】
この細断型コンビラップマシンWをトラクタに牽引させて、圃場の適宜の場所に移動させ、その場所に停止して、牽引させたトラクタの原動機の回転動力及び油圧装置の圧油により、ホッパ2底部に設けた搬送手段及びロールベーラ3のロール成形装置及びラップマシン4の駆動が行われる状態としておいて、ホッパ2に収穫した飼料作物を投入することで、この飼料作物を、ロールベーラ3に送り込み、それがロールベールに成形されたところで、ラップマシン4のテーブル40上に送り出し、ラップマシンアーム41の回動でストレッチフィルムFを巻き付け被覆し、そのフィルムによる被覆が完了したところで、テーブル40をダンプ回動させて、被覆が終了したロールベールRをキッカー42を介し圃場面に転動させて放出することで行われる。
【0004】
このように、ハーベスタで収穫した飼料作物を、ロールベーラでロール形状に成形し、それの周面に、ラップマシンでストレッチフィルムを巻き付け被覆した状態として圃場に放置していくロールベールは、通常、図4、図5に示している如く、トラクタTの車体の前面側にフロントローダMを装架したグリッパを用い、そのフロントローダMの前端側に設けた油圧シリンダで開閉作動する左右に一対のグリップアームGにより、図6の如く、ロールベールRを掴んで、拾い上げ、それを、運搬車に積み込んで収納舎に運び、そこに収納して貯ぞうし、そこから取り出して日々の給飼に用いるが、一部は飼料として販売される。
【0005】
ロールベールに成形された飼料の販売は、成形されたロールベールの重量によって価格を決めることが主流となっている。
【0006】
また、成形されたロールベールは、水分が低い乾草牧草のロールベールでない限り、飼料としての品質低下を防止することと、外気と遮断して乳酸醗酵を促し酸性化して飼料の貯蔵性をよくすることのため、ロールの表面をストレッチフィルムで被覆した状態のものとしておき、この状態で、取り扱い、また、取り引き販売するようにしている。
【0007】
このことから、圃場において、収穫した飼料作物をロールベーラでロールに成形し、ラップマシンで被覆・梱包して、圃場に放出して放置していくロールベールの成形・梱包作業を行うときは、圃場の適宜の場所に、ラップマシンでのストレッチフィルムによる被覆・梱包を終えて放出されるロールベールの重量を秤量し計測する重量計5を設置しておいて、ラップマシンから放出されるストレッチフィルムで被覆されたロールベールを、グリッパで、掴み上げて、この重量計5のあるところまで運び、図7の如く重量計5にのせて重量の計測を行い、かつ、計測した重量値を付設のプリンタによりラベルにプリントさせて出力させ、そのラベルを、ロールベールに被覆したストレッチフィルムの表面に貼付し、ロールベールを、計測し重量値がプリントされたラベルが貼付された状態のものとし、この状態で重量計測機から取り降ろし、グリッパ等のローダーで運搬車に積み込み、収納舎等の所定の積み上げ場所に運び、そこから出荷・販売するようにしている。
【0008】
ロールベールに成形した飼料を、外気に対し遮断した状態に保持するために、ロールベールの外周にストレッチフィルムを巻き付け被覆することで形成される機密性は、ロールベールの周面が他の器物に接触するときの衝撃で、被覆するフィルムに生ずる小さな裂傷・穿孔によっても、簡単に破られ、外気がロールベールの内部に進入するようになって、嫌気的に行わす乳酸醗酵を損なわせ、飼料の品質を低下させる。
【0009】
ロールベールを被覆するストレッチフィルムに生じる裂傷・穿孔は、ロールベールがラップマシンから圃場面に放出されたとき、また放出されて圃場面を転動していくときに、圃場面に存在する小石、飼料作物の刈株などとの接触により生ずる場合の他、放出されて圃場面に放置されたロールベールを、移動・搬送のため、グリッパのグリップアームにより掴み上げる作業の際にグリップアームの接触具合によっても生じてくる。
【0010】
このことから、このロールベーラで成形された飼料作物のロールベールを、ラップマシンで、ストレッチフィルムにより被覆し、このフィルムで被覆されてラップマシンから放出されるロールベールを、さらに、重量計にかけて計測し、その計測値を外面に表示したものとする、というロールベール販売のための作業システムは、ラップマシンから放出されたロールベールを移動・搬送のためにグリッパで掴み上げるのに加えて、重量の計測のために重量計にロールベールを載架し、取り降ろす作業の際に、グリッパで掴む操作が加えられることで、表面に巻き付けたフィルムに裂傷・穿孔が生ずる可能性を増大させる問題を派生させている。
【0011】
また、ラップマシンから放出されたロールベールを、グリッパにより重量計に載置して計量するとき、重量計に計測を行う作業者がついていない場合には、グリッパを運転操作する作業者が、グリッパの機体から一度降りて、重量計の操作スイッチを操作しての計測と、計測値をプリントしたラベルの出力と、そのラベルのロールベールの貼付との作業を行うことが必要となることで、飼料作物をロールに成形し、フィルムで被覆し梱包して、収納舎に搬送する一連の作業の能率を低下させている問題があり、また、重量計に測定のために、専用の作業者を配備すると、作業人員を増大させる問題がでてくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明において解決しようとする課題は、ラップマシンから放出される成形・被覆されたロールベールを、重量計に載架する作業動作と、重量の計測を終えたところで重量計から取り降ろす作業動作とが、グリッパを用いることなく自動的に行われるようにして、ロールベールを被覆するラップフィルムに穿孔・裂傷が生ずる可能性を小さくし、かつ、作業能率を良くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の課題を解決するための手段として、ラップマシンのロールベールを支承するテーブルを、油圧作動のダンプシリンダによりダンプ回動するよう機体に支架し、このテーブルのダンプ回動によるロールベールの放出方向の前面位置に、ロールベールの重量を計測する重量計測機を配置し、その重量計測機の秤量台を、重量計測機の機体に、ラップマシン側に傾いてロールベールを受け入れる姿勢から重量の計測に適応する水平な姿勢を経てラップマシンと反対側に傾いてロールベールを放出する姿勢との間を揺動回動するよう支架し、この秤量台に、油圧作動の重量計油圧シリンダを、作動により該秤量台の揺動回動を駆動するよう連繋し、かつ、その重量計油圧シリンダの油圧回路を、前記ラップマシンのテーブルをダンプ回動させるダンプシリンダの油圧回路に接続連通し、テーブルのダンプ回動によるロールベールの放出作動に連動して秤量台の揺動回動による姿勢変更の作動を自動的に行わすようにしたことを特徴とするラップマシンにおけるロールベールの重量測定装置を提起するものである。
また、これに併せて、油圧装置の油圧圧力によりラップマシンのテーブルをダンプ回動させるダンプシリンダと、重量計測機の秤量台を揺動回動させる重量計油圧シリンダとを、それぞれ複動油圧で作動するよう構成して、これらに往動側の油圧回路と復動側の油圧回路とを接続し、これら油圧回路の、ダンプシリンダに分岐状に接続する油圧回路のそれぞれに、流量を絞る流量調節弁をそれぞれ組み込み、ラップマシンのテーブルのロールベールの放出回動の作動が、秤量台のロールベール受け入れ姿勢への回動作動より遅れて行われ、テーブルの復帰回動の作動が、秤量台のダンプ回動より遅れて行われるように制御せしめたことを特徴とするラップマシンにおけるロールベールの重量測定装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるロールベールの重量計測装置は、ラップマシンのテーブルが、支承するロールベールを放出すべくダンプ回動するよう作動すると、この作動に連動して、ロールベールを受け入れる台皿状に形成してある重量計の秤量台が、ラップマシン側に傾いて、放出されてくるロールベールを受け入れ、その後、水平な姿勢を経て反対側に傾いてロールベールを放出するように作動するから、ロールベールを重量計測のために重量計に載せる作動と、重量の計測を終えたロールベールを重量計から取り降ろす作動とが、グリッパを用いることなく、自動的に行われるので、作業能率を良くし、また、グリッパのグリップアームとの接触によるフィルムの裂傷・穿孔の発生の可能性を小さくする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】細断型コンビラップマシンの平面図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同上のラップマシンの、テーブルをダンプ回動させてロールベールを放出させている状態時の側面図である。
【図4】同上のラップマシンのテーブルから圃場に放出されたロールベールを掴み上げて移動させるグリッパの平面図である。
【図5】同上グリッパの側面図である。
【図6】同上グリッパのグリップアームによりロールベールを掴んだ状態時の前面図である。
【図7】同上のグリッパで掴み上げたロールベールを、圃場に配置しておく重量計に載架して、グリップアームによる掴みを解放した状態の前面図である。
【図8】本発明を実施せるラップマシンにおけるロールベールの重量計測装置の平面図である。
【図9】同上実施例装置の側面図である。
【図10】同上実施例装置に組み合わせた重量計測機の正面図である。
【図11】同上重量計測機の平面図である。
【図12】同上重量計測機の秤量台を揺動回動させる重量計油圧シリンダとラップマシンのテーブルをダンプ回動させるダンプシリンダとの作動を連動させる油圧回路を示す重量計測機及びラップマシンのテーブルの側面図である。
【図13】同上の油圧回路に供給する圧油により、ラップマシンのテーブルをダンプ回動させてロールベールを放出する作動と、重量計測機の秤量台を揺動回動させて、姿勢を変換させる作動と、を連動させて行わす説明図で、油圧回路には圧油の供給がなく、テーブルは水平な姿勢にあり、秤量台はラップマシンと反対側に傾いた姿勢にある状態を示し、この時ロールベールの重量により復動側の油圧回路には圧力が生じており、この圧力により秤量台は図示の状態に保たれる。
【図14】2本の油圧回路のうちの一方(往動側)の油圧回路に油圧圧力が供給されて、前記図13の状態から、ダンプシリンダの作動で、テーブルがダンプ回動し始め、重量計油圧シリンダの作動で、秤量台が、ロールベールを受け入れる姿勢位置に回動した状態を表す説明図である。
【図15】図14の状態から、油圧シリンダによるテーブルのダンプ回動が進み、それによりテーブルから放出されたロールベールが、受け入れ姿勢位置に回動していた秤量台に受け入れられた状態を表す説明図である。
【図16】前記図15の状態から、2本の油圧回路のうちの他方(復動側)の油圧回路に、油圧圧力の供給が切り換わり、テーブルの復帰回動と、秤量台の放出姿勢への回動が始まった状態を示す説明図である。
【図17】前述の図16の状態からさらに作動が進み、秤量台の放出姿勢への回動は終了し、テーブルの復帰回動は、遅れて途上にある状態を表す説明図である。
【図18】遅れていたテーブルの復帰回動が終了した状態を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明手段の実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0017】
図8は本発明の実施例装置の平面図、図9は同上の側面図を示し、これら図において、Wは細断型コンビラップマシン、Yはこれに組み合わせて配置せる重量計測機を示す。
【0018】
細断型コンビラップマシンWは、前端側(図において左端側)に設けた牽引桿10をトラクタ(図示省略)の後部ヒッチに連結して、そのトラクタにより牽引さすことで走行する機体1に、ハーベスタ(図示省略)により収穫されて細断処理された飼料作物を受け入れるホッパ2と、そのホッパ2の床面に設けた搬送装置により後送される飼料をロールに成形するロールベーラ3と、このロールベーラ3の成形室内でロールに成形されて後方に排出されるロールベールの周面にストレッチフィルムを巻き付けて被覆するラップマシン4と、が一連に並列して装架することで構成してある通常の複合機の形態のラッピングマシンである。前記ラップマシン4は、ロールベーラ3の成形室から排出されるロールベールRを支承するテーブル40と、機体1から立ち上がるビーム4aの上端部に軸支されて油圧モータにより回転するラップマシンアーム41と、そのアーム41の回動端に軸支したストレッチフィルムFの巻束とからなる通常の形態のもので、テーブル40は、上面側に、支承するロールベールRを転動させるエンドレスのベルト43(図示省略)が張架してある。
【0019】
前記テーブル40は、支承するロールベールRに対するストレッチフィルムFの巻き付けが終了したときに、油圧作動のダンプシリンダCの作動で、機体1に設けた支点軸44中心に、後方下方に向けてダンプ回動して、ロールベールRを後方に放出するよう機体1に支架してある。
【0020】
そして、この細断型コンビラップマシンWは、圃場の適宜の場所において停止し、スタンド11を立てることで、その場所に固定状態に配置し、牽引してきたトラクタのPTO軸に、機体1前端に設けた伝導軸12を接続し、この伝導軸12を経て伝えられる回転動力により、各作業部を駆動し、また、トラクタに装備されている油圧装置の圧油を、油圧ホースで、機体1に装架してある各作業部の油圧作動の駆動部に導くことで、トラクタ側の油圧装置の圧油によりこれら油圧作動の駆動部を作動させるようにしている。
【0021】
重量計測機Yは、図10、図11に示しているように、基台50を左右に長い長方形状の台盤に形成し、この基台50の上面の左右の両側辺部に、左右の巾を狭くして前後に長い桁杆状に形成した支持枠51をそれぞれ配位して、それら支持枠51のそれぞれの前後の端部を、ロードセル52を介して基台50上面の支持部に支持せしめ、それぞれの支持枠51の前後の中心部位には、左右方向の支軸53を、左右の支持枠51間に渡架するように軸支し、この支軸53に、秤量台54を支架し、この秤量台54に載架したロールベールRの重量による荷重を、秤量台54を支える両サイドの支持枠51から、それら支持枠51の前後の両端部に配設せる4個のロードセル52で受け、そのロードセル52にかかる荷重による該ロードセル52の歪みを、歪みゲージにより電気信号に変換し、その電気信号を、基台50の正面に立設せるコントロールボックス55に組み込まれているコントローラにより重量値(kg)に変換して、表示板56に表示するようにしてある。
【0022】
秤量台54にかかる荷重の表示板56への表示は、常に表示されるようにしてあり、ロールベールRの重量の計測は、秤量台54にロールベールRを載架して、その重量が表示されたところで表示板56に設けてある押し釦57(図示省略)を押すことで、その重量値が記録されて、プリンタから記録紙が出力されることにより行われるようにしてある。
【0023】
しかして、支軸53に対する秤量台54の支架は、この例においては、秤量台54がラップマシン4の機体側に向けて傾く姿勢から、水平な姿勢を経て、ラップマシン4の機体と反対側に向けて傾く姿勢との間を、天秤状に自在に揺動回動する支架としてあり、また、秤量台54は、前後方向における中央部が平板状で、前方の辺縁部が、前方上方に向け斜めに立ち上がり、後方の辺縁部が、後方上方に向け斜めに立ち上がり、かつ、これら辺縁部の左右の両端縁に低い高さに起立する側壁を具備する浅い台皿状に形成してあって、これにより、図12において、左回りに回動させて、ラップマシン4の機体側に傾斜した姿勢としたときは、ラップマシン4のテーブル40から放出されてくるロールベールRを受け入れて支承する状態姿勢となり、また、この姿勢から逆向の右回りに回動させたときは、ロールベールRを受け入れ支承した状態で、水平となる姿勢を経て、機体と反対側に傾き、支承するロールベールRを放出する状態姿勢となるようにしている。
【0024】
このことから、この例では、ラップマシン4から放出されて落下してきて、秤量台54に載架されたロールベールRが、ラップマシン4側に傾いた姿勢から水平な姿勢を経てラップマシン4と反対側に傾く姿勢に回動していく秤量台54の上面を、ラップマシン4側からラップマシン4と反対側に転動していく間に、このロールベールRの重量を計測することになる。
【0025】
ロールベールRが天秤状に揺動回動する秤量台54の上面を動いているとき、秤量台54が水平な姿勢となって、ロールベールRの動きが横方向となったときは、上下方向の加速度は略無視できる状態となる。
【0026】
秤量台54が傾いた姿勢にあるときは、支承するロールベールRの重量が正しく計量されて表示板56に表示されていることにはならないが、秤量台54が水平な姿勢となったときには、秤量台54にかかる荷重がロールベールRの重量に対応し、このときの表示板56に表示される重量値は、正しくロールベールRの重量を表示したものとなる。
【0027】
このことから、表示板56に表示される重量値は、空の秤量台54が水平な姿勢となったところで、零を表示するように設定しておき、ロールベールRを支承した秤量台54が水平な姿勢となった点を、目視で判断して、そのときに、押し釦57を作動させて、その状態時に表示されている重量値を、ロールベールRの重量として計測し、記録させ、プリンタから記録紙を出力させるようにしている。秤量台54が、ラップマシン4側(図14で左側)に傾いた姿勢から、ラップマシン4と反対側(図13で右側)に傾いた姿勢までの回動は、ゆっくりと行われる(この例では4秒)から、水平な姿勢の目視による判断は充分に可能である。
【0028】
このロールベールRの重量を正しく計測するために秤量台54が水平な姿勢となった状態の検出は、マグネットスイッチ等の検出手段で自動的に行い、その検出があったときに、記録とプリンタの出力との作動が自動的で行われるようにしてよい。
【0029】
秤量台54と、基台50との間には、油圧により伸縮作動する重量計油圧シリンダDが渡架装設してあって、この油圧シリンダDの作動で前述の秤量台54の傾斜回動が行われるようにしているが、その油圧シリンダDに対し供給する圧油は、ラップマシン4のテーブル40をダンプ回動させるダンプシリンダCに供給する圧油を利用し、これにより、この秤量台54の回動作動が、ラップマシン4のテーブル40をダンプ回動させてロールベールRを放出する作動と連動して行われるようにしている。
【0030】
この連動は、この実施例においては、秤量台54を回動させる重量計油圧シリンダDを、複動油圧で作動するように構成し、また、ラップマシン4のテーブル40をダンプ回動させるダンプシリンダCも複動油圧で作動するよう構成しておいて、これらを、図12および、図13に示しているよう、往動側の油圧回路Aと復動側の油圧回路Bとの2つの油圧回路A・Bで接続連通させることで行われるようにしている。
【0031】
この実施例では、ラップマシン4のテーブル40上に支承されたロールベールRに対するフィルムの巻き付け被覆が終了したことの検出がなされると、細断型コンビラップマシンWのロールベーラ3の機壁外面に組み付けてあるコントロールボックス30内のコントローラの制御作動で、ダンプシリンダCに接続する油圧回路A・Bを制御する制御弁機構31が作動し、テーブル40をダンプ回動させるダンプシリンダCに圧油が流れると、秤量台54を回動させる重量計油圧シリンダDも一緒に作動するようにすることで連動して行われるようにしている。
【0032】
テーブル40に連繋するダンプシリンダCは、テーブル40上に支承するロールベールRに対するフィルムの巻き付け被覆が終了したときに、支点軸44中心にテーブル40を下降回動させてロールベールRを放出させた後、テーブル40を復帰回動させて、テーブル40を押し上げて水平な姿勢に保持せしめているシリンダであるが、この実施例では、常態においてはピストンがシリンダから伸び出してテーブル40を水平な姿勢に支えている伸長状態にあるよう設定している。
【0033】
また、秤量台54に連繋した重量計油圧シリンダDは、秤量台54を、ラップマシン4のテーブル40から放出されてくるロールベールRをそのまま受け入れるようラップマシン4の機体側に向けて傾く姿勢に回動させる作動と、その姿勢から、受け入れたロールベールRの秤量に適応する水平な姿勢を経て、秤量したロールベールRを重量計測機Yから放出するようラップマシン4と反対側に傾く姿勢に回動させる作動を行わすシリンダであるが、この例では、常態において、ピストンがシリンダから伸び出して、秤量台54を図13にあるようにラップマシン4の機体と反対側に回動させた伸長状態にあり、ピストンを押し込むよう作動させると、秤量台54を、同図13において、支点軸44中心に左回りに回動させて、ラップマシン4に対し斜めに傾いて対面する姿勢とするように設定している。
【0034】
これにより、テーブル40上のロールベールRへのフィルムの巻き付け被覆が終了して、油圧回路A・Bのうちの油圧回路Aの側に、油圧圧力がかけられ、その油圧圧力が、分枝状の油圧回路aを経てダンプシリンダCに導かれてそのダンプシリンダCを収縮作動させ、テーブル40をダンプ回動させるようになると、同時に、油圧回路Aの油圧圧力が、重量計油圧シリンダDに導かれて、そのシリンダDを収縮作動させ、秤量台54を、ラップマシン4に対し斜めに対向する姿勢となるように回動させていくが、油圧回路aに取り付けられた流量調節弁v1によりダンプシリンダCよりも油圧シリンダDに多くの油が流れるので秤量台54がテーブル40よりも先にエンドに至る(図14)。
【0035】
その後、ダンプシリンダCの収縮作動がエンドに達し、ダンプ回動したテーブル40から放出されたロールベールRが、ラップマシン4側に傾斜した秤量台54上に、図15に示しているように受け止められた状態となると、油圧圧力が、油圧回路Bの側に流れるように切り替わり、両シリンダC・Dを伸長作動させ、秤量台54は、図16に示しているよう、支承するロールベールRの秤量に適応する水平な姿勢を経て、図17に示しているように、ラップマシン4と反対側に傾く姿勢となって、ロールベールRを放出し、テーブル40は水平な旧の姿勢に復帰していくようにしている。この時、油圧回路bに取り付けられた流量調節弁v2によりダンプシリンダCよりも油圧シリンダDに多くの油が流れるので秤量台54がテーブル40よりも先にエンドに至る。
【0036】
さらに、v1・v2の役割を詳細に説明すると、図13において、符号v1・v2で示して、油圧回路A・Bを、テーブル40をダンプ回動させるダンプシリンダCに対し接続連通させる分枝状の油圧回路a・bに設けている流量調節弁v1・v2は、上述したように、ラップマシン4のテーブル40を、油圧作動のダンプシリンダCにより、ダンプ回動させて支承しているロールベールRを放出せしめた後、復帰回動させる作動と、重量計測機Yの秤量台54を、油圧作動の重量計油圧シリンダDにより、ラップマシン4側に傾く受け入れ姿勢位置に回動させた後、水平な姿勢を経て、ラップマシン4と反対側に傾く放出姿勢に回動させる作動とを、油圧回路A・Bの接続連通により連動させたときに、テーブル40がロールベールRを放出するようダンプ回動していくときは、テーブル40からロールベールRが放出される前に、秤量台54が、ロールベールRを受け入れる姿勢位置に回動してきているように、テーブル40のダンプ回動の作動速度を遅らせ、このテーブル40が復帰回動するときは、秤量台54がロールベールRを放出する姿勢に回動してから、テーブル40の復帰回動が行われるように、流路a・bを絞り、ダンプシリンダCの作動をコントロールする流量調節弁である。
【0037】
この流量調節弁v1・v2により、図13の状態において、油圧回路A・Bのうちの油圧回路Aに油圧圧力がかけられて、ダンプシリンダCの作動がゆっくり行われることで、図14の如く、テーブル40にロールベールRが支承されている状態において、秤量台54の、ロールベールRを受け入れる姿勢位置への回動が終え、図15にあるよう、テーブル40がロールベールRを放出する姿勢までダンプ回動したときに、秤量台54が放出されてくるロールベールRを適確に受け入れるようになる。
【0038】
また、油圧回路B側に油圧圧力がかけられて、テーブル40が復帰回動するときは、秤量台54が図16にあるように水平な姿勢に回動し、さらに、図17に示しているようラップマシン4と反対側に回動してロールベールRを放出したところに、テーブル40が復帰回動してきて、ロールベールRに干渉することなく、図18にあるよう水平な姿勢に復帰回動するようになる。
【0039】
なお、この実施例では、油圧回路A・Bに供給する油圧圧力によりダンプシリンダCと重量計油圧シリンダDとを作動させて行わすテーブル40の回動作動と秤量台54の回動作動は、図13に示す状態から図15に示す状態まで正の方向の作動が5秒で行われ、この図15の状態のまま2秒経過したところで、逆方向の回動に切り換わりここから2秒経過することで図16にあるよう秤量台54が水平な姿勢になり、さらに2秒経過して、油圧回路の切換時から合計4秒経過すると、秤量台54がロールベールRを放出する図17の状態となり、この状態から5秒の経過で、テーブル40が旧の位置に復帰して図18の状態となって、ワンサイクルの作動が終了するように、コントローラにより制御されている。
【符号の説明】
【0040】
A B 油圧回路
C ダンプシリンダ
D 油圧シリンダ
F ストレッチフィルム
G グリップアーム
M フロントローダ
R ロールベール
T トラクタ
W 細断型コンビラップマシン
Y 重量計測機
a b 油圧回路
v1 v2 流量調節弁
1 機体
10 牽引桿
11 スタンド
12 伝導軸
2 ホッパ
3 ロールベーラ
30 コントロールボックス
31 制御弁機構
4 ラップマシン
4a ビーム
40 テーブル
41 ラップマシンアーム
42 キッカー
43 ベルト(図示省略)
44 支点軸
5 重量計
50 基台
51 支持枠
52 ロードセル
53 支軸
54 秤量台
55 コントロールボックス
56 表示板
57 押し釦(図示省略)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップマシンのロールベールを支承するテーブルを、油圧作動のダンプシリンダによりダンプ回動するよう機体に支架し、このテーブルのダンプ回動によるロールベールの放出方向の前面位置に、ロールベールの重量を計測する重量計測機を配置し、その重量計測機の秤量台を、重量計測機の機体に、ラップマシン側に傾いてロールベールを受け入れる姿勢から重量の計測に適応する水平な姿勢を経てラップマシンと反対側に傾いてロールベールを放出する姿勢との間を揺動回動するよう支架し、この秤量台に、油圧作動の重量計油圧シリンダを、作動により該秤量台の揺動回動を駆動するよう連繋し、かつ、その重量計油圧シリンダの油圧回路を、前記ラップマシンのテーブルをダンプ回動させるダンプシリンダの油圧回路に接続連通し、テーブルのダンプ回動によるロールベールの放出作動に連動して秤量台の揺動回動による姿勢変更の作動を自動的に行わすようにしたことを特徴とするラップマシンにおけるロールベールの重量測定装置。
【請求項2】
油圧装置の油圧圧力によりラップマシンのテーブルをダンプ回動させるダンプシリンダと、重量計測機の秤量台を揺動回動させる重量計油圧シリンダとを、それぞれ複動油圧で作動するよう構成して、これらに往動側の油圧回路と復動側の油圧回路とを接続し、これら油圧回路の、ダンプシリンダに分岐状に接続する油圧回路のそれぞれに、流量を絞る流量調節弁をそれぞれ組み込み、ラップマシンのテーブルのロールベールの放出回動の作動が、秤量台のロールベール受け入れ姿勢への回動作動より遅れて行われ、テーブルの復帰回動の作動が、秤量台のダンプ回動より遅れて行われるように制御せしめたことを特徴とする請求項1記載のラップマシンにおけるロールベールの重量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−45293(P2011−45293A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196770(P2009−196770)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000132909)株式会社タカキタ (34)
【Fターム(参考)】