ロール状シート材料のためのディスペンサ
シート材料(50)を供給するためのディスペンサ(10)が提供され、このディスペンサは、シート材料のセンターフローロールを収容するべきハウジング(12)を有する。ハウジング(12)は、取り出し口とを有すると共に、第1及び第2の筒状部材(22、40)を備え、シート材料(50)は、迂回経路に沿って、第1及び第2の筒状部材(22、40)の一部を通過した後に、取り出し口に至る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シート材料製品のセンターフローロールのためのディスペンサが、シート材料を供給するためのディスペンサとして普及しつつある。このようなディスペンサは、通常、機械的な手段に依存することなく、ロールを移動し或いは送り出すことができる。センターフローロールに於いては、シート材料製品のロールの内部に空孔が設けられ、回転するロールの円筒形の外周からではなく、固定したロールの空孔からシート材料が送り出される。
【0002】
センターフローロール用のディスペンサに於いては、取り出されるシート材料の量を調節するために、ロールから送り出され、取り出し口を通過するシート材料に対して張力を加えると良い。シート材料に対して加えられる張力が過小であると、シート材料が、ミシン目等のシート切り離し部分にて切り離されることなく送り出され、無駄が生じる。逆に、シート材料に対して加えられる張力が過大であると、シート材料が、ディスペンサハウジング内に於いて、時期尚早に切り離され、シート材料が詰まったり、取り出し口から送り出されなくなり、使用者をいらつかせることになる。
【0003】
このように、センターフローロールとして提供される様々なシート材料製品を供給し、かつ供給が適切に実行されるように、送り出されるシート材料の張力を制御するようなディスペンサが望まれる。このようなディスペンサは、送り出されるシート材料の張力を適切に制御する1つ又は複数の機構を提供し、センターフローロールから一時に1枚のシート材料を供給し、シート材料の無駄や、使用者のいらつきを解消することができる。また、このようなディスペンサは、張力制御機構を調節可能とし、例えば、秤量、キャリパー、機械方向引張強度、タブ強度等のシート材料のタイプや特性等に応じて張力を増減し得るものであることが望まれる。更に、このようなディスペンサは、横置き或いは縦置きされたロールからシート材料を供給し得るものであることが望まれる。
【0004】
定義
本明細書で使用される用語「キャリパー」は、一定の張力下で測定されたシート材料の厚さを意味する。キャリパーは、試験方法番号「TAPPI 411−OM−89」を用いて決定することができる。
【0005】
本明細書で使用される用語「坪量」(以下「BW」)は、サンプルの単位面積当たりの重量であり、1平方メートル当たりのグラム重量として記録することができ、試験手順「ASTM D3776−96」を用いて計算することができる。
本明細書で使用される用語「機械方向」(以下「MD」)は、処理中の材料の順方向と平行な材料の方向を意味する。
【0006】
本明細書で使用される用語「機械方向張力」(以下「MDT」)は、試料を破断させるのに要する機械方向の破断力である。結果は、「グラム重量」として記録し、「gf」と略記することができる。「MDT」は、試験方法番号「ASTM D5035−95」を用いて決定することができる。
【0007】
本明細書で使用される用語「タブ強度」は、シート製品をそのミシン孔等の穿孔に沿って破断させるのに要する機械方向の破断力である。結果は、グラム重量として記録し、「gf」と略記することができる。
【0008】
本明細書で使用される用語「取り出し口」又は「供給ポート」は、ディスペンサから送り出されるシート材料をディスペンサの外に送り出すためにハウジングに設けられた開口を意味する。
【0009】
本明細書で使用される用語「センターフローロール」又は「センターフローロール製品」は、中心軸線周りに円筒形に巻き付けられているが、中心から材料を取り出し得るようにしたシート材料を意味する。望ましくは、センターフローロールが消費されるに従い、最終的には、シート材料がロールの外周から供給されるようになる。センターフローロール製品の供給方法に関しては、以下に限定されるものではないが、Lewisに付与された米国特許第5,370,338号及びTramontinaらに付与された第6,082,663号のような多くの特許に記載されている。
【0010】
本明細書で使用される用語「シート材料」は、その長さ及び幅に比較して薄い材料を意味する。シート材料としては、一般的には、比較的平坦な平面形状を呈し、折り畳む、ロールに巻く、及び積み重ねるなどができるように柔軟であるものが想定される。そのようなシート材料の例としては、以下に限定されるものではないが、紙ティッシュ、紙タオル、ラベルロール、又は、他の繊維状、フィルム、ポリマー、又はフィラメント状の製品を含む。
【0011】
本明細書で使用される用語「ファスナ」は、構成要素同士を互いに締結、接合、結合、固定、保持、又はクランプする装置を意味する。ファスナは、以下に限定されるものではないが、ねじ、ナット及びボルト、リベット、スナップ嵌め、留め鋲、釘、ループファスナ及び釣り針コネクタのような噛み合い式雄/雌コネクタを含む。釣り針コネクタは、その周囲に突起を有する雄部分を含む。雄部分を雌部分内に挿入することにより、2つの部分は、互いに実質的に永久的に固定される。
【0012】
本明細書で使用される用語「ヒンジ」は、或る部品を、固定された部品に対して枢動或いは回動可能に接続するような関節式の或いは柔軟な装置を意味する。ヒンジは、以下に限定されるものではないが、ドアをフレームに結合するような金属製枢支コネクタ、ポリプロピレンヒンジ等と呼ばれる材料の薄肉部を折り曲げることによりヒンジ機能を発揮するもの等が含まれる。ポリプロピレンヒンジは、様々なプラスチックから構成され、2つの部材間に一体的に形成される。ポリプロピレンヒンジは、1つの部材を結合された他の部材に対して回動可能とする。
【0013】
本明細書で使用される用語「連結する」は、以下に限定されるものではないが、接合する、結合する、締結する、連接する或いは、2つのものを一体的又は介在的に互いに結び付けることを含む。また、本明細書で使用される用語「第1の筒状部材」、「第2の筒状部材」、「第1の部材」及び又は「第2の部材」は、以下に限定されるものではないが、少なくともその一部に開口を備えた円筒形の部材を含む。このような部材は、少なくともその一部が円形の断面形状を有するものであるのが望ましい。しかしながら、円形の断面形状に限定されるものではなく、その部材が、一般的に開示或いは記載されている態様をもって機能するものであれば、任意の形状或いは構成又は様々な形状或いは構成の組み合わせを有するものであってよい。
【0014】
このような用語は、本明細書中の他の部分に於いても、他の言葉を用いて逐次定義されるものであることを了解されたい。
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,370,338号
【特許文献2】米国特許第6,082,663号
【発明の開示】
【0016】
上記したような困難及び問題に鑑み、シート材料を供給するためのディスペンサが提供される。ディスペンサはハウジングを有し、ハウジングは、シート材料を支持するためのベースと、カバーと、取り出し口とを含む。ベースは、内部に開口を有する第1の筒状部材を含む。カバーは、第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を含む。第2の筒状部材の少なくとも一部は、第1の筒状部材の開口内に受容される。ディスペンサ内に配置されたシート材料は、迂回経路を経て、第1の筒状部材の一部及び第2の筒状部材の一部を通過し、取り出し口に至る。
【0017】
本発明の別の側面によれば、シート材料を供給するためのディスペンサが提供される。ディスペンサはハウジングを有し、ハウジングは、シート材料を支持するためのベースと、カバーと、取り出し口とを含む。ベースは、内部に開口を有する第1の筒状部材を含む。カバーは、第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を含む。第2の筒状部材の少なくとも一部は、第1の筒状部材の少なくとも一部よりも小さな直径を有する。ディスペンサ内に配置されたシート材料は、迂回経路を経て、第1の筒状部材の一部及び第2の筒状部材の一部を通過し、取り出し口に至る。
【0018】
本発明の更に別の側面によれば、シート材料を供給するためのディスペンサが提供される。ディスペンサはシート材料を支持するためのハウジングを有し、ハウジングは、第1の筒状部材を備えたロールベースと、第1の筒状部材に対向するように配置された第2の筒状部材を備えたカバーとを有する。ハウジングは更に取り出し口を有し、ディスペンサ内に配置されたシート材料は、ハウジングから、迂回経路を経て、第1の筒状部材の一部及び第2の筒状部材の一部を横切り、取り出し口に至る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の好適実施例を説明する。1つ又は複数の実施例が図面に示されている。各実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。例えば、一つの実施例或いは図面において示され或いは記載された特徴は、それらを別の実施例或いは図面に適用することにより、更に別の実施例を生じさせるものであることを了解されたい。また、本発明はそのような変形或いは変更実施例をも含むものであることを了解されたい。
【0020】
図1〜10には、ロール状のシート材料のためのディスペンサ10が示されている。図1に示されるように、ディスペンサ10はディスペンサハウジング12を含む。ディスペンサハウジング12は、ロールベース14及びカバー16を含む。ハウジング12は、内室18を画定し、その内室内にティッシュ、タオルなどのロール状シート材料製品を収容するべく構成されている。ディスペンサハウジング12は更に例えばカバー16に配置された取り出し口20を含む。しかしながら、この配置は単なる一例であって、取り出し口20はディスペンサハウジング12の任意の領域に配置されるものであって良い。
【0021】
ロールベース14は、ディスペンサ10を壁、その他の適当な面(図示せず)上に取り付け得るように構成されているのが好ましい。ロールベース14は、開口23を内部に有する第1の筒状部材22を含む。第1の筒状部材22は、ロールベース14と一体的に結合或いは互いに一体に形成されているものであってよい。第1の筒状部材22は、図4のセンターフローロール24などのようなロール状シート材料製品内の開口を概ね貫通するように延出するものであるのが好ましい。第1の筒状部材22は、その外周に対して概ね凹面形状をなすような1つ又は複数の切欠部又は凹設部26を備えているものであるのが好ましい。第1の筒状部材22については以下に於いて更に詳しく説明する。
【0022】
ロールベース14は更に、図示されない壁又は適当な面(図示せず)に結合することのできる背板28を含むものであるのが望ましい。円筒形の側壁30が、背板28と連結され或いは互いに一体的に形成される。複数のサイドリブ32が、側壁30の下端上に設けられ、ディスペンサ10内のセンターフローロール24(図4)などのロール状シート材料製品を中心位置決めするのを助け、またセンターフローロールの第1の筒状部材22上における摩擦抵抗を低減するようにしている。第1の筒状部材22は、背板28の中心から延出している。
【0023】
カバー16は表板36を含む。円筒形のリップ38を、表板36に連結し或いは互いに一体形成することができる。第2の筒状部材40が、カバー16に対して連結或いは一体的に形成され、表板36の中心から延出する。取り出し口20は、第2の筒状部材40に設けられる。カバー16は、ヒンジ、ファスナ及び又は他の公知の機構を介してロールベース14に連結される。
【0024】
カバー16、ロールハウジング14及び又はそれらいずれかの部分を不透明な材料により形成することができる。それに代えて、カバー16、ロールハウジング14及び又はそれらいずれかの部分を、透明、着色され或いは透光性の材料により形成し、ディスペンサ10に収容されたセンターフローロール24が消費された状態を管理者が確認し得るようにすることができる。カバー16は好ましくは円形をなし、その内部に収容されたセンタロール24の曲率に対して少なくとも部分的に適合しているものであると良い。しかしながら、他の形状を採用することもできる。以上に於いて示し及び又は記述したディスペンサハウジング或いはその部分のいずれについても、本発明を限定するものではなく、所要の機能及び又は美的な要請に基づき、他の任意の形状及び構造を有するものとすることができる。更に、ディスペンサハウジングも任意の材料により構成することができる。
【0025】
図2に示されるように、第2の筒状部材40は、第1の筒状部材22に対して対向するように配置され、かつ第1の筒状部部材22の内周44の内側或いはその内部に嵌合するように構成されている。更に、スペース46が、第2の筒状部材40の外周48と第1の筒状部材22の内周44との間に設けられ、センターフローロール24からのシート材料50がスペース46を通過して送り出されるようにされている(図6〜10)。第1及び第2の筒状部材22、40は同軸的な筒状体をなすように軸線方向に整合しているのが好ましい。或いは、第1及び第2の筒状部材22、40が、互いに軸線方向に整合せずに、即ち偏心筒状体として構成することもできる。第1の筒状部材22及び又は第2の筒状部材40は調節可能であって良い。即ち、第1及び又は第2の筒状部材22、40をテレスコピックに構成し、或いは伸長し、追加し又は取り外し得るような延長部を備えるものとしたり、或いは第1の筒状部材22及び又は第2の筒状部材40の長さの調節を可能にするような、1つ又は複数の部材を備えているものであって良い(図8及び10)。或いは、第1及び第2の筒状部材22、40間のスペース46を小さくするように、別の部材を第1の筒状部材22内に嵌合したり、或いは第2の筒状部材40の外側に嵌装し、横方向の調節を可能とすることもできる(図9)。更に別の態様として、図示しないが、両筒状部材を、ギアなどを利用して半径方向に調節可能な円弧状のセグメントから構成されるものとし、その直径を増減したり、両筒状部材同士間の距離を増減し得るようにすることもできる。また、同様な要領をもって作動する別の筒状部材や他の均等な部材を追加したり或いは取り外すことにより所望の調節作用を得るようにする事もできる。
【0026】
図3、4に示されるように、シート材料50のセンターフローロール24はディスペンサ10のディスペンサハウジング12内に配置される。ロール24は、平坦な両端部54間に位置する外側円筒体52を含むように構成されている。各平坦な端部54の中心を通過するようにかつ円筒体52を貫通してコア58を構成するように空孔56が設けられている。コア58は、ロール24の円筒体52を、その軸線方向に整合するように貫通し、ロール24の内周60を画定する。ロール24は、限定的ではないが、シート材料50を、ロール24の内周60から外周61に向けて引き出すようにして取り出し得るように構成され、それによって使用者によりシート材料50が取り出されるに従い、ロール24を殆ど変位させることなく、ロール24からシート材料を送り出し得るようにしている。
【0027】
シート材料50は、シングルプライ製品或いは複数プライ製品からなるものであって良い。シート材料は、単一の穿孔或いは一列に整合した複数の穿孔を有するものであって良い。或いは、複数プライシート材料製品は、シート材料の2つ又はそれ以上の数のプライに、互いにオフセットするように設けられた1つ又は複数の穿孔を有するものであっても良い。このようなオフセットの一例としては、2プライシート材料製品が、第1のプライの穿孔のほぼ中間位置に第2のプライ上に設けられた穿孔を有するようなものとして構成される場合がある。シート材料を送り出す際に、好ましくは第1のプライがロールから分離され、第2のプライの半分の部分が次の利用のために露出されるようにすると良い。このようなオフセットされた穿孔を設けることは当該技術分野に於いて既に知られており、1975年4月15日にKishiらに付与された米国特許第3,877,576号に詳細に開示及び記載されており、それに言及することをもってその開示内容全体を本発明の一部とする。
【0028】
ロール24は、コア58及び内周60が、第1の筒状部材22を覆うようにして供給される。一方の平坦な端部54は、ロールベース14の背板24に隣接して配置され、他方の平坦な端部54はカバー16の表板36に対向するように配置される。円筒体52の外周61は、ロールベース14の側壁30及びカバー16のリップ38に隣接するように配置される。ディスペンサ10及びロール24は、第1の筒状部材22の開口23を貫通する第1の軸線62がロール24及びディスペンサ10に対して水平に配置されるようにすると良く、ディスペンサ10は、限定的ではないが、概ね垂直な面上に取り付けられると良い。この位置に於いては、凹設部26が、ロール状のシート材料50を取り出し、それによりコア58及び内周60が大きくなるに従って、ロール24の上側層が載置されるようなスペース或いは領域を形成する。1つ又は複数の凹設部26を設けることにより、ロール状のシート材料50をディスペンサ10から引出し或いは取り出すに従って、第1の筒状部材22上のロール24の上側層を概ね平坦な、絡まっていない状態で保持することができる。このようにして、ロール状シート材料50の上側層がディスペンサハウジング12内にて絡まったり、詰まったりすることが回避され、シート材料50が内室18内にて破断して、使用者がシート材料50に到達できないような状態を回避することができる。同様な凹設部を備えた筒状部材が、2000年7月4日にTramontinaらに付与された米国特許第6,082,663号に開示されており、それに言及することをもってその開示内容の全てを本発明の一部とする。
【0029】
図5は、第1の筒状部材22に隣接するロール24の内周60から引き出されたロール状シート材料50の前縁部64を示す。前縁部64は、第2の筒状部材40の開口42を通過し、図6に示されるように取り出し口20から引き出されるように配置される。このようにして、カバー16が閉じられれた時、前縁部64は、使用者がつかみ得る状態となり、ロール状のシート材料50をディスペンサ10から引き出すことが可能となる。
【0030】
シート材料50がロール24から引き出され、取り出し口20から外に向けて取り出される際の経路は、迂回路をなし、本実施例では図6〜10に示されるように横方向から見てS字又はZ字状をなすような蛇行経路66をなしている。即ち、シート材料50は、第1の筒状部材22の遊端68の下側から送り出され、第1の折れ曲がり部70を形成した後に、第1の筒状部材22の内周44と第2の筒状部材40の外周48との間のスペース46を通過し、第2の筒状部材40の遊端72上を通過することによる第2の折れ曲がり部74を形成した後に、開口42及び取り出し口20から取り出される。第2の筒状部材40の遊端72に対する第1の筒状部材22の遊端68の相対距離76及び第1の筒状部材22と第2の筒状部材40との間のスペース46に応じて、シート材料50に対して張力又は摩擦抵抗力が加えられる。
【0031】
第1又は第2の筒状部材22、40の長さを増減することにより、張力又は摩擦抵抗力を変化させることができ、同様に第1及び第2の筒状部材22、40間のスペース46を増減することによっても同様の効果が得られる。第1及び又は第2の筒状部材22、40の一方の又は両方の遊端68、72を延長したり、或いは第1及び第2の筒状部材22、40間のスペース46を小さくすることにより、第1及び又は第2の折れ曲がり部70、74をより鋭角にし、角度を減少させることにより張力又は摩擦抵抗力を増大させることができる。図8に示されるように、或る実施例に於いては、第2の筒状部材40の遊端72を延長すると、第2の折れ曲がり部74の角度を減少されることにより、この角度をより鋭角とし、第2の折れ曲がり部74を通過するシート材料50に対する摩擦抵抗が増大する。図9に示されるように、更に別の実施例に於いては、例えば第2の筒状部材40上に別の筒状部材77を追加し、スペース46を減少させることにより、第1及び第2の折れ曲がり部70、74の角度をいずれもより鋭角とし、それらの角度をより小さくすることにより、通過するシート材料50に対してより大きな張力が加わり、その摩擦抵抗を増大させることができる。
【0032】
逆に、第1及び又は第2の筒状部材22、40の遊端68、72の一方又は両方の長さを減少させたり、第1及び第2の筒状部材22、40間のスペースを増大させることにより、第1及び又は第2の折れ曲がり部70、74の角度の鋭角度を減少させ、シート材料50に対する張力及び摩擦抵抗を減少させることができる。図10に示されるように、更に別の実施例に於いては、第1及び第2の筒状部材22、40の遊端68、72の長さが減少され、第1及び第2の折れ曲がり部70、74の角度を増大させることにより、これら両折れ曲がり部の鋭角度を減少させ、シート材料50がそれらをより円滑に通過し得るようにすることができる。このような対策を様々に組み合わせることにより、例えば一時に1枚のシート材料が取り出されるように、ロール24からシート材料50を引き出すのに適切な張力又は摩擦抵抗を実現することができる。このような調節可能性により、シート材料が過剰に供給されることによる無駄や、シート材料がディスペンサハウジング10内で破断して、使用者に対してシート材料が供給されなくなることによる使用者のいらつきを解消することができる。このような張力及び摩擦抵抗力を制御し調節することは、キャリパー、秤量、機械方向強度、タブ強度等のようなシート材料の特性に基づいて行うことができる。
【0033】
シート材料が、比較的厚く、坪量が大きく及び又はキャリパーが大きいような場合には、より大きな張力及びより大きな摩擦力を加えることによりシート材料がより好適に引き出され或いは供給されるように、1つ又は複数の折れ曲がり部70、74をより鋭角とし、すなわちそれらの角度が小さくなるように調節するとよい。シート材料が、比較的薄く、坪量が小さく及び又はキャリパーが小さいような場合には、1つ又は複数の折れ曲がり部70、74の鋭角度を低減し、すなわちそれらの角度が大きくなるように調節することにより、より小さな張力及びより小さな摩擦力を加えるようにし、シート材料がより好適に引き出され或いは供給されるようにする。すなわち、より厚いシート材料は適切に供給するためにはより大きな抵抗力が必要となり、より薄く強度の小さいシート材料を適切に供給するためにはより小さな抵抗力を必要とする。
【0034】
図3〜6に示されるように、シート材料50をディスペンサ10内に収容する或る方法に於いては、取り出し口20を備えたディスペンサ10が提供される。管理者は、カバー16を、ロールベース14から少なくとも部分的に離すように移動させ、内室18にアクセス可能とするようにディスペンサハウジング12を開く。センターフローロール24を前記したように第1の筒状部材22上に装着し、シート材料50の前縁部64を第1の筒状部材22の外周78から離反する向きに移動させ、第2の筒状部材40内の開口42内を通過させ、最終的に取り出し口20から前縁部64を引き出す。次にカバー16を閉じると、第2の筒状部材40が第1の筒状部材22内に受容されることとなり、第1の筒状部材22の内周44が第2の筒状部材40の外周48と隣接するようになり、両周44、48間にスペース46が画定され、シート材料50が、迂回する蛇行経路66を通過して取り出し口20から引き出される状態となる。
【0035】
図11〜19にロール状シート材料のためのディスペンサ110が示されているが、これは、垂直に配置されたシート材料50のロール24を保持し、かつ好ましくはディスペンサ110の下端134からシート材料を供給するように構成されている点以外については、図1〜10について前記したディスペンサ10と同様の構造を有する。図11、12に示されるように、ディスペンサ110はディスペンサハウジング112を含む。ディスペンサハウジング112はロールベース114及びカバー116を含む。ディスペンサハウジング112は、内室118を画定し、ティシュー、タオルなどのようなロール状のシート材料製品を内室118内に収容するべく構成されている。ディスペンサハウジング112はまた、例えばカバー116に設けられた取り出し口120を有する。しかしながら、このような配置は限定的なものではなく、取り出し口120はディスペンサハウジング112の任意の領域に設けることができる。
【0036】
ロールベース114及び又はカバー116は、ディスペンサ110を図示されない壁或いは適当な表面上に取り付けるべく構成されているとよい。ロールベース114は、上板128を有し、この上板から円筒形の側壁130が延出している。内部に開口123を備えた第1の筒状部材122は、ロールベース114の上板128の中心から下方向に延出し、限定的ではないが、円筒形側壁130と概ね軸線方向に整合する。第1の筒状部材122は、概ねロールベース114により画定される内室118内に突入している。第1の筒状部材122は、図示されていないが、ロールベース114に結合され或いはそれと一体に形成されている。第1の筒状部材122は、図14に示されるようにセンターフローロール24の内孔124を概ね貫通するように延出しているとよい。第1の筒状部材122は、第1の筒状部材122の他の部分に対して凹面を呈する切欠部或いは凹設部126を1つ又は複数備えているとよい。
【0037】
カバー116は、下板134を有し、この下板からは円筒形のリップ138が延出している。円筒形のリップ138に隣接するように複数のスペーサ139が設けられており、図14に示されるようにその上にセンターフローロール24の外周61が保持される。或いは、図示されないが、複数のスペーサ139に代えて単一の円形段部を設けることもできる。
【0038】
第2の筒状部材140はカバー116に連結され或いはそれと一体に形成され、限定的ではないが、カバー116の下板134の概ね中心に配置されている。取り出し口120は、第2の筒状部材140の開口142を貫通し、さらにカバー116の下板134を貫通するように設けられている。ロールベース114及び又はカバー116は、ヒンジ、ファスナ及び又は当該技術分野において知られている任意の機構をもって互いに接続されている。ロールベース114、カバー116及び又はこれら両者のいずれかの部分は、前記したような特性を有するものであってよい。
【0039】
図13、14に示されるように、ロール24は、第1の筒状部材122がロール24のコア58及び内周60に挿入されるように上向きにディスペンサハウジング112内に配置される。第2の筒状部材140は、限定的ではないが第1の筒状部材122と軸線方向に整合するように構成されているとよい。第2の筒状部材140は、第1の筒状部材122よりも小さな直径を有することにより、必要な場合には、第2の筒状部材140は第1の筒状部材122の開口123内に突入するように設けられていることを了解されたい。図15、16に示されるように、第2の筒状部材140の外周148と第1の筒状部材122の内周144との間にはスペース146が設けられ、センターフローロール24からのシート材料がこのスペースを通過し得るようにしてある。第1及び第2の筒状部材122、140は、互いに軸線方向に整合し、互いに同軸をなしているのが好ましいが、軸線方向に整合させることなく互いに偏心した配置とすることもできる。詳しく前記したように、第1の筒状部材122及び又は第2の筒状部材140を調節可能とすることもできる。
【0040】
このようにして、ロール24は、一旦ディスペンサハウジング112内に配置されると、前記したようにコア58及び内周60が第1の筒状部材122に嵌装されるようになり、供給可能な状態となる。ロール24の一方の平坦な端部54は、ロールベース114の上板128に隣接して配置され、他方の平坦な端部54はカバー116の円筒リップ138の周りに配置されたスペーサ139に当接する。
【0041】
円筒体52の外周61は、ロールベース114の側壁130及びカバー116のリップ138の近傍に配置される。ディスペンサ110及びロール24は、第1の筒状部材122の開口123を通過する第1の軸線162が、ディスペンサ110及びロール24に対して概ね垂直をなすように配置されるとよく、ディスペンサ110は、限定的ではないが、概ね垂直な面上に取り付けられるとよい。この配置によれば、凹設部126は、コア58及び内周60が、ロール状のシート材料50が消費されるに従って拡大すると、ロール24の上側層が載置されるべきスペース又は領域を画定する。凹設部126は、ロール状のシート材料50が次々にディスペンサ110から送り出されるに従って、概ね絡むことがないように、ロール24のシート材料50の上側層を第1の筒状部材122上に好適に保持する働きを発揮する。このようにして、ロール状シート材料50の上側層部分が、ディスペンサハウジング112内で絡んだり詰まったりすることが回避され、シート材料50が内室118内にて破断して、使用者がシート材料50に到達できないような状態(図示せず)を回避することができる。
【0042】
シート材料50がロール24から引き出され、取り出し口120から外に向けて取り出される際の経路は、迂回路をなし、本実施例では横方向から見てS字又はZ字状をなすような蛇行経路166をなしている。即ち、シート材料50は、第1の筒状部材122の遊端168の下側から送り出され、第1の折れ曲がり部170を形成した後に、第1の筒状部材122の内周144と第2の筒状部材140の外周148との間のスペース146を通過し、第2の筒状部材140の遊端172上を通過することによる第2の折れ曲がり部174を形成した後に、開口142及び取り出し口120から取り出される。
【0043】
第2の筒状部材140の遊端172に対する第1の筒状部材122の遊端の相対距離176及び第1の筒状部材122と第2の筒状部材140との間のスペース146に応じて、シート材料50に対して張力又は摩擦抵抗力が加えられる。前記したように、第1又は第2の筒状部材122、140の長さを増減することにより、張力又は摩擦抵抗力を変化させることができ、同様に第1及び第2の筒状部材122、140間のスペース146を増減することによっても同様の効果が得られる。このような張力又は摩擦抵抗力を調節可能とすることも、前記したように、シート材料50の特性に応じて設定される。本実施例では、第1及び又は第2の折れ曲がり部170、174は鈍角をなしている。遊端168、172或いはスペース146を変更することにより、折れ曲がり部170、174の鈍角の度合いをより強く或いはより弱くすることができる。更に、前記したように、折れ曲がり部170、174の角度を直角としたり、鋭角とすることもできる。
【0044】
図13、15、16に示されるように、シート材料50をディスペンサ110内に収容する或る方法に於いては、取り出し口120を備えたディスペンサ110が提供される。管理者は、ロールベース114及びカバー116の少なくとも一方を、その他方から少なくとも部分的に離すように移動させ、内室118にアクセス可能とするようにディスペンサハウジング112を開く。センターフローロール24を前記したように第1の筒状部材122上に装着し、シート材料50の前縁部64を第1の筒状部材122の外周178から離反する向きに移動させ、第2の筒状部材140内の開口142内を通過させ、最終的に取り出し口120から前縁部64を引き出す。次にロールベース114及びカバー116の一方を閉じると、ロール24がスペーサ139上に支持されると共に、第2の筒状部材140が第1の筒状部材122内に軸線方向に整合されることとなる。或る実施例では、スペーサは、環状の段部を構成するような複数の柔軟なスペーサからなるものとし(図示せず)、管理者が、ロール24を容易に装着可能とすることができる。第1又は第2の筒状部材122、140を調節したり、延長したりすることにより、例えば、第2の筒状部材140の少なくとも一部を、第1の筒状部材122の開口123内に配置させるようにすることができる(図示せず)。また、例えば、第2の筒状部材140の少なくとも一部が、第1の筒状部材122の開口123内に位置するように(図示せず)、第1及び第2の筒状部材122、140を調節したり、延長することができる。更に、前記したように、スペース146を調節することもできる。いずれの場合も、第1又は第2の筒状部材122、140の両周144、148間に画定されたスペース146及び第1又は第2の筒状部材122、140の遊端168、172により形成される両折れ曲がり部170、174が設けられることにより、シート材料50が、迂回する蛇行経路166を通過して取り出し口120から引き出される状態となるように、シート材料50を配置することができる。シート材料50が上向きに引き出され、その下端を上端とするようにディスペンサ110を逆向きに配置することもできる。
【0045】
以上、いくつかの好ましい実施形態に関してそれらの特徴を説明したが、これらの特徴或いは実施形態の構成要素を、様々な組合せで他の実施例に適用したり、本出願の開示内容或いは示唆内容に基づいて新たな実施例を創出することもできる。また、本発明をいくつかの好ましい実施形態に関して説明したが、本発明によって包含される内容がこれらの特定実施形態に限定されないものであり、むしろ、本発明の内容は、全ての代替形態、修正及び均等物を含むものとし、それらを特許請求の範囲の概念及び範囲に含むものであることを了解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の筒状部材を備えたロールベースが、第2の筒状部材を備えたカバーから離されるようにして、開かれた状態にある、本発明に基づくディスペンサの斜視図である。
【図2】ロールベースがカバーに向けて近寄せられ、第1の筒状部材が第2の筒状部材に対向するように、ハウジングが閉じられた状態にある、図1に示されたディスペンサの断面図である。
【図3】センターフローロールがロールベースの第1の筒状部材上に装着された状態を示す、図1と同様の斜視図である。
【図4】図示を明瞭にするために、ディスペンサ及びロールの一部を省略し、第1の筒状部材及び第2の筒状部材に対するセンターフローロールの位置を示す、図1に示されたディスペンサの斜視図である。
【図5】シート材料の前縁部を第2の筒状部材の開口を通すための方法を示す、図1に示されたディスペンサの斜視図である。
【図6】ハウジングが閉じられたときに、ロールから、取り出し口を通過するシート材料の位置を示す、図1に示されたディスペンサの断面図である。
【図7】ディスペンサから送り出されるシート材料の経路及び折れ曲がり部を示す、図6と同様の断面図である。
【図8】シート材料の経路を変更するために第2の筒状部材の長さを調節する要領を示す、図7と同様の断面図である。
【図9】第1及び第2の筒状部材間のスペースを調節し、シート材料の経路を変更する要領を示す、図8と同様の断面図である。
【図10】シート材料の経路を変更するために第2の筒状部材の長さを調節する別の要領を示す、図7と同様の断面図である。
【図11】カバー及びロールベースを備えたハウジングを含む、本発明に基づくディスペンサの別の実施例の斜視図である。
【図12】図11に示されたディスペンサの別の斜視図である。
【図13】ディスペンサに収容されるべきセンターフローロールと共に示す、図11に示されたディスペンサの側面図である。
【図14】センターフローロールがディスペンサに装着された状態の、図11に示されたディスペンサの断面図である。
【図15】シート材料の前縁部が取り出し口からディスペンサ外に送り出された状態を示す、図14と同様のディスペンサの断面図である。
【図16】センターフローロールから取り出し口を経て送り出されるシート材料の経路及び折れ曲がり部を示す、図11と同様のディスペンサの断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10、110 ディスペンサ
12、112 ディスペンサハウジング
14、114 ロールベース
16、116 カバー
20、120 取り出し口
22、122 第1の筒状部材
40、140 第2の筒状部材
【技術分野】
【0001】
シート材料製品のセンターフローロールのためのディスペンサが、シート材料を供給するためのディスペンサとして普及しつつある。このようなディスペンサは、通常、機械的な手段に依存することなく、ロールを移動し或いは送り出すことができる。センターフローロールに於いては、シート材料製品のロールの内部に空孔が設けられ、回転するロールの円筒形の外周からではなく、固定したロールの空孔からシート材料が送り出される。
【0002】
センターフローロール用のディスペンサに於いては、取り出されるシート材料の量を調節するために、ロールから送り出され、取り出し口を通過するシート材料に対して張力を加えると良い。シート材料に対して加えられる張力が過小であると、シート材料が、ミシン目等のシート切り離し部分にて切り離されることなく送り出され、無駄が生じる。逆に、シート材料に対して加えられる張力が過大であると、シート材料が、ディスペンサハウジング内に於いて、時期尚早に切り離され、シート材料が詰まったり、取り出し口から送り出されなくなり、使用者をいらつかせることになる。
【0003】
このように、センターフローロールとして提供される様々なシート材料製品を供給し、かつ供給が適切に実行されるように、送り出されるシート材料の張力を制御するようなディスペンサが望まれる。このようなディスペンサは、送り出されるシート材料の張力を適切に制御する1つ又は複数の機構を提供し、センターフローロールから一時に1枚のシート材料を供給し、シート材料の無駄や、使用者のいらつきを解消することができる。また、このようなディスペンサは、張力制御機構を調節可能とし、例えば、秤量、キャリパー、機械方向引張強度、タブ強度等のシート材料のタイプや特性等に応じて張力を増減し得るものであることが望まれる。更に、このようなディスペンサは、横置き或いは縦置きされたロールからシート材料を供給し得るものであることが望まれる。
【0004】
定義
本明細書で使用される用語「キャリパー」は、一定の張力下で測定されたシート材料の厚さを意味する。キャリパーは、試験方法番号「TAPPI 411−OM−89」を用いて決定することができる。
【0005】
本明細書で使用される用語「坪量」(以下「BW」)は、サンプルの単位面積当たりの重量であり、1平方メートル当たりのグラム重量として記録することができ、試験手順「ASTM D3776−96」を用いて計算することができる。
本明細書で使用される用語「機械方向」(以下「MD」)は、処理中の材料の順方向と平行な材料の方向を意味する。
【0006】
本明細書で使用される用語「機械方向張力」(以下「MDT」)は、試料を破断させるのに要する機械方向の破断力である。結果は、「グラム重量」として記録し、「gf」と略記することができる。「MDT」は、試験方法番号「ASTM D5035−95」を用いて決定することができる。
【0007】
本明細書で使用される用語「タブ強度」は、シート製品をそのミシン孔等の穿孔に沿って破断させるのに要する機械方向の破断力である。結果は、グラム重量として記録し、「gf」と略記することができる。
【0008】
本明細書で使用される用語「取り出し口」又は「供給ポート」は、ディスペンサから送り出されるシート材料をディスペンサの外に送り出すためにハウジングに設けられた開口を意味する。
【0009】
本明細書で使用される用語「センターフローロール」又は「センターフローロール製品」は、中心軸線周りに円筒形に巻き付けられているが、中心から材料を取り出し得るようにしたシート材料を意味する。望ましくは、センターフローロールが消費されるに従い、最終的には、シート材料がロールの外周から供給されるようになる。センターフローロール製品の供給方法に関しては、以下に限定されるものではないが、Lewisに付与された米国特許第5,370,338号及びTramontinaらに付与された第6,082,663号のような多くの特許に記載されている。
【0010】
本明細書で使用される用語「シート材料」は、その長さ及び幅に比較して薄い材料を意味する。シート材料としては、一般的には、比較的平坦な平面形状を呈し、折り畳む、ロールに巻く、及び積み重ねるなどができるように柔軟であるものが想定される。そのようなシート材料の例としては、以下に限定されるものではないが、紙ティッシュ、紙タオル、ラベルロール、又は、他の繊維状、フィルム、ポリマー、又はフィラメント状の製品を含む。
【0011】
本明細書で使用される用語「ファスナ」は、構成要素同士を互いに締結、接合、結合、固定、保持、又はクランプする装置を意味する。ファスナは、以下に限定されるものではないが、ねじ、ナット及びボルト、リベット、スナップ嵌め、留め鋲、釘、ループファスナ及び釣り針コネクタのような噛み合い式雄/雌コネクタを含む。釣り針コネクタは、その周囲に突起を有する雄部分を含む。雄部分を雌部分内に挿入することにより、2つの部分は、互いに実質的に永久的に固定される。
【0012】
本明細書で使用される用語「ヒンジ」は、或る部品を、固定された部品に対して枢動或いは回動可能に接続するような関節式の或いは柔軟な装置を意味する。ヒンジは、以下に限定されるものではないが、ドアをフレームに結合するような金属製枢支コネクタ、ポリプロピレンヒンジ等と呼ばれる材料の薄肉部を折り曲げることによりヒンジ機能を発揮するもの等が含まれる。ポリプロピレンヒンジは、様々なプラスチックから構成され、2つの部材間に一体的に形成される。ポリプロピレンヒンジは、1つの部材を結合された他の部材に対して回動可能とする。
【0013】
本明細書で使用される用語「連結する」は、以下に限定されるものではないが、接合する、結合する、締結する、連接する或いは、2つのものを一体的又は介在的に互いに結び付けることを含む。また、本明細書で使用される用語「第1の筒状部材」、「第2の筒状部材」、「第1の部材」及び又は「第2の部材」は、以下に限定されるものではないが、少なくともその一部に開口を備えた円筒形の部材を含む。このような部材は、少なくともその一部が円形の断面形状を有するものであるのが望ましい。しかしながら、円形の断面形状に限定されるものではなく、その部材が、一般的に開示或いは記載されている態様をもって機能するものであれば、任意の形状或いは構成又は様々な形状或いは構成の組み合わせを有するものであってよい。
【0014】
このような用語は、本明細書中の他の部分に於いても、他の言葉を用いて逐次定義されるものであることを了解されたい。
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,370,338号
【特許文献2】米国特許第6,082,663号
【発明の開示】
【0016】
上記したような困難及び問題に鑑み、シート材料を供給するためのディスペンサが提供される。ディスペンサはハウジングを有し、ハウジングは、シート材料を支持するためのベースと、カバーと、取り出し口とを含む。ベースは、内部に開口を有する第1の筒状部材を含む。カバーは、第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を含む。第2の筒状部材の少なくとも一部は、第1の筒状部材の開口内に受容される。ディスペンサ内に配置されたシート材料は、迂回経路を経て、第1の筒状部材の一部及び第2の筒状部材の一部を通過し、取り出し口に至る。
【0017】
本発明の別の側面によれば、シート材料を供給するためのディスペンサが提供される。ディスペンサはハウジングを有し、ハウジングは、シート材料を支持するためのベースと、カバーと、取り出し口とを含む。ベースは、内部に開口を有する第1の筒状部材を含む。カバーは、第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を含む。第2の筒状部材の少なくとも一部は、第1の筒状部材の少なくとも一部よりも小さな直径を有する。ディスペンサ内に配置されたシート材料は、迂回経路を経て、第1の筒状部材の一部及び第2の筒状部材の一部を通過し、取り出し口に至る。
【0018】
本発明の更に別の側面によれば、シート材料を供給するためのディスペンサが提供される。ディスペンサはシート材料を支持するためのハウジングを有し、ハウジングは、第1の筒状部材を備えたロールベースと、第1の筒状部材に対向するように配置された第2の筒状部材を備えたカバーとを有する。ハウジングは更に取り出し口を有し、ディスペンサ内に配置されたシート材料は、ハウジングから、迂回経路を経て、第1の筒状部材の一部及び第2の筒状部材の一部を横切り、取り出し口に至る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の好適実施例を説明する。1つ又は複数の実施例が図面に示されている。各実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。例えば、一つの実施例或いは図面において示され或いは記載された特徴は、それらを別の実施例或いは図面に適用することにより、更に別の実施例を生じさせるものであることを了解されたい。また、本発明はそのような変形或いは変更実施例をも含むものであることを了解されたい。
【0020】
図1〜10には、ロール状のシート材料のためのディスペンサ10が示されている。図1に示されるように、ディスペンサ10はディスペンサハウジング12を含む。ディスペンサハウジング12は、ロールベース14及びカバー16を含む。ハウジング12は、内室18を画定し、その内室内にティッシュ、タオルなどのロール状シート材料製品を収容するべく構成されている。ディスペンサハウジング12は更に例えばカバー16に配置された取り出し口20を含む。しかしながら、この配置は単なる一例であって、取り出し口20はディスペンサハウジング12の任意の領域に配置されるものであって良い。
【0021】
ロールベース14は、ディスペンサ10を壁、その他の適当な面(図示せず)上に取り付け得るように構成されているのが好ましい。ロールベース14は、開口23を内部に有する第1の筒状部材22を含む。第1の筒状部材22は、ロールベース14と一体的に結合或いは互いに一体に形成されているものであってよい。第1の筒状部材22は、図4のセンターフローロール24などのようなロール状シート材料製品内の開口を概ね貫通するように延出するものであるのが好ましい。第1の筒状部材22は、その外周に対して概ね凹面形状をなすような1つ又は複数の切欠部又は凹設部26を備えているものであるのが好ましい。第1の筒状部材22については以下に於いて更に詳しく説明する。
【0022】
ロールベース14は更に、図示されない壁又は適当な面(図示せず)に結合することのできる背板28を含むものであるのが望ましい。円筒形の側壁30が、背板28と連結され或いは互いに一体的に形成される。複数のサイドリブ32が、側壁30の下端上に設けられ、ディスペンサ10内のセンターフローロール24(図4)などのロール状シート材料製品を中心位置決めするのを助け、またセンターフローロールの第1の筒状部材22上における摩擦抵抗を低減するようにしている。第1の筒状部材22は、背板28の中心から延出している。
【0023】
カバー16は表板36を含む。円筒形のリップ38を、表板36に連結し或いは互いに一体形成することができる。第2の筒状部材40が、カバー16に対して連結或いは一体的に形成され、表板36の中心から延出する。取り出し口20は、第2の筒状部材40に設けられる。カバー16は、ヒンジ、ファスナ及び又は他の公知の機構を介してロールベース14に連結される。
【0024】
カバー16、ロールハウジング14及び又はそれらいずれかの部分を不透明な材料により形成することができる。それに代えて、カバー16、ロールハウジング14及び又はそれらいずれかの部分を、透明、着色され或いは透光性の材料により形成し、ディスペンサ10に収容されたセンターフローロール24が消費された状態を管理者が確認し得るようにすることができる。カバー16は好ましくは円形をなし、その内部に収容されたセンタロール24の曲率に対して少なくとも部分的に適合しているものであると良い。しかしながら、他の形状を採用することもできる。以上に於いて示し及び又は記述したディスペンサハウジング或いはその部分のいずれについても、本発明を限定するものではなく、所要の機能及び又は美的な要請に基づき、他の任意の形状及び構造を有するものとすることができる。更に、ディスペンサハウジングも任意の材料により構成することができる。
【0025】
図2に示されるように、第2の筒状部材40は、第1の筒状部材22に対して対向するように配置され、かつ第1の筒状部部材22の内周44の内側或いはその内部に嵌合するように構成されている。更に、スペース46が、第2の筒状部材40の外周48と第1の筒状部材22の内周44との間に設けられ、センターフローロール24からのシート材料50がスペース46を通過して送り出されるようにされている(図6〜10)。第1及び第2の筒状部材22、40は同軸的な筒状体をなすように軸線方向に整合しているのが好ましい。或いは、第1及び第2の筒状部材22、40が、互いに軸線方向に整合せずに、即ち偏心筒状体として構成することもできる。第1の筒状部材22及び又は第2の筒状部材40は調節可能であって良い。即ち、第1及び又は第2の筒状部材22、40をテレスコピックに構成し、或いは伸長し、追加し又は取り外し得るような延長部を備えるものとしたり、或いは第1の筒状部材22及び又は第2の筒状部材40の長さの調節を可能にするような、1つ又は複数の部材を備えているものであって良い(図8及び10)。或いは、第1及び第2の筒状部材22、40間のスペース46を小さくするように、別の部材を第1の筒状部材22内に嵌合したり、或いは第2の筒状部材40の外側に嵌装し、横方向の調節を可能とすることもできる(図9)。更に別の態様として、図示しないが、両筒状部材を、ギアなどを利用して半径方向に調節可能な円弧状のセグメントから構成されるものとし、その直径を増減したり、両筒状部材同士間の距離を増減し得るようにすることもできる。また、同様な要領をもって作動する別の筒状部材や他の均等な部材を追加したり或いは取り外すことにより所望の調節作用を得るようにする事もできる。
【0026】
図3、4に示されるように、シート材料50のセンターフローロール24はディスペンサ10のディスペンサハウジング12内に配置される。ロール24は、平坦な両端部54間に位置する外側円筒体52を含むように構成されている。各平坦な端部54の中心を通過するようにかつ円筒体52を貫通してコア58を構成するように空孔56が設けられている。コア58は、ロール24の円筒体52を、その軸線方向に整合するように貫通し、ロール24の内周60を画定する。ロール24は、限定的ではないが、シート材料50を、ロール24の内周60から外周61に向けて引き出すようにして取り出し得るように構成され、それによって使用者によりシート材料50が取り出されるに従い、ロール24を殆ど変位させることなく、ロール24からシート材料を送り出し得るようにしている。
【0027】
シート材料50は、シングルプライ製品或いは複数プライ製品からなるものであって良い。シート材料は、単一の穿孔或いは一列に整合した複数の穿孔を有するものであって良い。或いは、複数プライシート材料製品は、シート材料の2つ又はそれ以上の数のプライに、互いにオフセットするように設けられた1つ又は複数の穿孔を有するものであっても良い。このようなオフセットの一例としては、2プライシート材料製品が、第1のプライの穿孔のほぼ中間位置に第2のプライ上に設けられた穿孔を有するようなものとして構成される場合がある。シート材料を送り出す際に、好ましくは第1のプライがロールから分離され、第2のプライの半分の部分が次の利用のために露出されるようにすると良い。このようなオフセットされた穿孔を設けることは当該技術分野に於いて既に知られており、1975年4月15日にKishiらに付与された米国特許第3,877,576号に詳細に開示及び記載されており、それに言及することをもってその開示内容全体を本発明の一部とする。
【0028】
ロール24は、コア58及び内周60が、第1の筒状部材22を覆うようにして供給される。一方の平坦な端部54は、ロールベース14の背板24に隣接して配置され、他方の平坦な端部54はカバー16の表板36に対向するように配置される。円筒体52の外周61は、ロールベース14の側壁30及びカバー16のリップ38に隣接するように配置される。ディスペンサ10及びロール24は、第1の筒状部材22の開口23を貫通する第1の軸線62がロール24及びディスペンサ10に対して水平に配置されるようにすると良く、ディスペンサ10は、限定的ではないが、概ね垂直な面上に取り付けられると良い。この位置に於いては、凹設部26が、ロール状のシート材料50を取り出し、それによりコア58及び内周60が大きくなるに従って、ロール24の上側層が載置されるようなスペース或いは領域を形成する。1つ又は複数の凹設部26を設けることにより、ロール状のシート材料50をディスペンサ10から引出し或いは取り出すに従って、第1の筒状部材22上のロール24の上側層を概ね平坦な、絡まっていない状態で保持することができる。このようにして、ロール状シート材料50の上側層がディスペンサハウジング12内にて絡まったり、詰まったりすることが回避され、シート材料50が内室18内にて破断して、使用者がシート材料50に到達できないような状態を回避することができる。同様な凹設部を備えた筒状部材が、2000年7月4日にTramontinaらに付与された米国特許第6,082,663号に開示されており、それに言及することをもってその開示内容の全てを本発明の一部とする。
【0029】
図5は、第1の筒状部材22に隣接するロール24の内周60から引き出されたロール状シート材料50の前縁部64を示す。前縁部64は、第2の筒状部材40の開口42を通過し、図6に示されるように取り出し口20から引き出されるように配置される。このようにして、カバー16が閉じられれた時、前縁部64は、使用者がつかみ得る状態となり、ロール状のシート材料50をディスペンサ10から引き出すことが可能となる。
【0030】
シート材料50がロール24から引き出され、取り出し口20から外に向けて取り出される際の経路は、迂回路をなし、本実施例では図6〜10に示されるように横方向から見てS字又はZ字状をなすような蛇行経路66をなしている。即ち、シート材料50は、第1の筒状部材22の遊端68の下側から送り出され、第1の折れ曲がり部70を形成した後に、第1の筒状部材22の内周44と第2の筒状部材40の外周48との間のスペース46を通過し、第2の筒状部材40の遊端72上を通過することによる第2の折れ曲がり部74を形成した後に、開口42及び取り出し口20から取り出される。第2の筒状部材40の遊端72に対する第1の筒状部材22の遊端68の相対距離76及び第1の筒状部材22と第2の筒状部材40との間のスペース46に応じて、シート材料50に対して張力又は摩擦抵抗力が加えられる。
【0031】
第1又は第2の筒状部材22、40の長さを増減することにより、張力又は摩擦抵抗力を変化させることができ、同様に第1及び第2の筒状部材22、40間のスペース46を増減することによっても同様の効果が得られる。第1及び又は第2の筒状部材22、40の一方の又は両方の遊端68、72を延長したり、或いは第1及び第2の筒状部材22、40間のスペース46を小さくすることにより、第1及び又は第2の折れ曲がり部70、74をより鋭角にし、角度を減少させることにより張力又は摩擦抵抗力を増大させることができる。図8に示されるように、或る実施例に於いては、第2の筒状部材40の遊端72を延長すると、第2の折れ曲がり部74の角度を減少されることにより、この角度をより鋭角とし、第2の折れ曲がり部74を通過するシート材料50に対する摩擦抵抗が増大する。図9に示されるように、更に別の実施例に於いては、例えば第2の筒状部材40上に別の筒状部材77を追加し、スペース46を減少させることにより、第1及び第2の折れ曲がり部70、74の角度をいずれもより鋭角とし、それらの角度をより小さくすることにより、通過するシート材料50に対してより大きな張力が加わり、その摩擦抵抗を増大させることができる。
【0032】
逆に、第1及び又は第2の筒状部材22、40の遊端68、72の一方又は両方の長さを減少させたり、第1及び第2の筒状部材22、40間のスペースを増大させることにより、第1及び又は第2の折れ曲がり部70、74の角度の鋭角度を減少させ、シート材料50に対する張力及び摩擦抵抗を減少させることができる。図10に示されるように、更に別の実施例に於いては、第1及び第2の筒状部材22、40の遊端68、72の長さが減少され、第1及び第2の折れ曲がり部70、74の角度を増大させることにより、これら両折れ曲がり部の鋭角度を減少させ、シート材料50がそれらをより円滑に通過し得るようにすることができる。このような対策を様々に組み合わせることにより、例えば一時に1枚のシート材料が取り出されるように、ロール24からシート材料50を引き出すのに適切な張力又は摩擦抵抗を実現することができる。このような調節可能性により、シート材料が過剰に供給されることによる無駄や、シート材料がディスペンサハウジング10内で破断して、使用者に対してシート材料が供給されなくなることによる使用者のいらつきを解消することができる。このような張力及び摩擦抵抗力を制御し調節することは、キャリパー、秤量、機械方向強度、タブ強度等のようなシート材料の特性に基づいて行うことができる。
【0033】
シート材料が、比較的厚く、坪量が大きく及び又はキャリパーが大きいような場合には、より大きな張力及びより大きな摩擦力を加えることによりシート材料がより好適に引き出され或いは供給されるように、1つ又は複数の折れ曲がり部70、74をより鋭角とし、すなわちそれらの角度が小さくなるように調節するとよい。シート材料が、比較的薄く、坪量が小さく及び又はキャリパーが小さいような場合には、1つ又は複数の折れ曲がり部70、74の鋭角度を低減し、すなわちそれらの角度が大きくなるように調節することにより、より小さな張力及びより小さな摩擦力を加えるようにし、シート材料がより好適に引き出され或いは供給されるようにする。すなわち、より厚いシート材料は適切に供給するためにはより大きな抵抗力が必要となり、より薄く強度の小さいシート材料を適切に供給するためにはより小さな抵抗力を必要とする。
【0034】
図3〜6に示されるように、シート材料50をディスペンサ10内に収容する或る方法に於いては、取り出し口20を備えたディスペンサ10が提供される。管理者は、カバー16を、ロールベース14から少なくとも部分的に離すように移動させ、内室18にアクセス可能とするようにディスペンサハウジング12を開く。センターフローロール24を前記したように第1の筒状部材22上に装着し、シート材料50の前縁部64を第1の筒状部材22の外周78から離反する向きに移動させ、第2の筒状部材40内の開口42内を通過させ、最終的に取り出し口20から前縁部64を引き出す。次にカバー16を閉じると、第2の筒状部材40が第1の筒状部材22内に受容されることとなり、第1の筒状部材22の内周44が第2の筒状部材40の外周48と隣接するようになり、両周44、48間にスペース46が画定され、シート材料50が、迂回する蛇行経路66を通過して取り出し口20から引き出される状態となる。
【0035】
図11〜19にロール状シート材料のためのディスペンサ110が示されているが、これは、垂直に配置されたシート材料50のロール24を保持し、かつ好ましくはディスペンサ110の下端134からシート材料を供給するように構成されている点以外については、図1〜10について前記したディスペンサ10と同様の構造を有する。図11、12に示されるように、ディスペンサ110はディスペンサハウジング112を含む。ディスペンサハウジング112はロールベース114及びカバー116を含む。ディスペンサハウジング112は、内室118を画定し、ティシュー、タオルなどのようなロール状のシート材料製品を内室118内に収容するべく構成されている。ディスペンサハウジング112はまた、例えばカバー116に設けられた取り出し口120を有する。しかしながら、このような配置は限定的なものではなく、取り出し口120はディスペンサハウジング112の任意の領域に設けることができる。
【0036】
ロールベース114及び又はカバー116は、ディスペンサ110を図示されない壁或いは適当な表面上に取り付けるべく構成されているとよい。ロールベース114は、上板128を有し、この上板から円筒形の側壁130が延出している。内部に開口123を備えた第1の筒状部材122は、ロールベース114の上板128の中心から下方向に延出し、限定的ではないが、円筒形側壁130と概ね軸線方向に整合する。第1の筒状部材122は、概ねロールベース114により画定される内室118内に突入している。第1の筒状部材122は、図示されていないが、ロールベース114に結合され或いはそれと一体に形成されている。第1の筒状部材122は、図14に示されるようにセンターフローロール24の内孔124を概ね貫通するように延出しているとよい。第1の筒状部材122は、第1の筒状部材122の他の部分に対して凹面を呈する切欠部或いは凹設部126を1つ又は複数備えているとよい。
【0037】
カバー116は、下板134を有し、この下板からは円筒形のリップ138が延出している。円筒形のリップ138に隣接するように複数のスペーサ139が設けられており、図14に示されるようにその上にセンターフローロール24の外周61が保持される。或いは、図示されないが、複数のスペーサ139に代えて単一の円形段部を設けることもできる。
【0038】
第2の筒状部材140はカバー116に連結され或いはそれと一体に形成され、限定的ではないが、カバー116の下板134の概ね中心に配置されている。取り出し口120は、第2の筒状部材140の開口142を貫通し、さらにカバー116の下板134を貫通するように設けられている。ロールベース114及び又はカバー116は、ヒンジ、ファスナ及び又は当該技術分野において知られている任意の機構をもって互いに接続されている。ロールベース114、カバー116及び又はこれら両者のいずれかの部分は、前記したような特性を有するものであってよい。
【0039】
図13、14に示されるように、ロール24は、第1の筒状部材122がロール24のコア58及び内周60に挿入されるように上向きにディスペンサハウジング112内に配置される。第2の筒状部材140は、限定的ではないが第1の筒状部材122と軸線方向に整合するように構成されているとよい。第2の筒状部材140は、第1の筒状部材122よりも小さな直径を有することにより、必要な場合には、第2の筒状部材140は第1の筒状部材122の開口123内に突入するように設けられていることを了解されたい。図15、16に示されるように、第2の筒状部材140の外周148と第1の筒状部材122の内周144との間にはスペース146が設けられ、センターフローロール24からのシート材料がこのスペースを通過し得るようにしてある。第1及び第2の筒状部材122、140は、互いに軸線方向に整合し、互いに同軸をなしているのが好ましいが、軸線方向に整合させることなく互いに偏心した配置とすることもできる。詳しく前記したように、第1の筒状部材122及び又は第2の筒状部材140を調節可能とすることもできる。
【0040】
このようにして、ロール24は、一旦ディスペンサハウジング112内に配置されると、前記したようにコア58及び内周60が第1の筒状部材122に嵌装されるようになり、供給可能な状態となる。ロール24の一方の平坦な端部54は、ロールベース114の上板128に隣接して配置され、他方の平坦な端部54はカバー116の円筒リップ138の周りに配置されたスペーサ139に当接する。
【0041】
円筒体52の外周61は、ロールベース114の側壁130及びカバー116のリップ138の近傍に配置される。ディスペンサ110及びロール24は、第1の筒状部材122の開口123を通過する第1の軸線162が、ディスペンサ110及びロール24に対して概ね垂直をなすように配置されるとよく、ディスペンサ110は、限定的ではないが、概ね垂直な面上に取り付けられるとよい。この配置によれば、凹設部126は、コア58及び内周60が、ロール状のシート材料50が消費されるに従って拡大すると、ロール24の上側層が載置されるべきスペース又は領域を画定する。凹設部126は、ロール状のシート材料50が次々にディスペンサ110から送り出されるに従って、概ね絡むことがないように、ロール24のシート材料50の上側層を第1の筒状部材122上に好適に保持する働きを発揮する。このようにして、ロール状シート材料50の上側層部分が、ディスペンサハウジング112内で絡んだり詰まったりすることが回避され、シート材料50が内室118内にて破断して、使用者がシート材料50に到達できないような状態(図示せず)を回避することができる。
【0042】
シート材料50がロール24から引き出され、取り出し口120から外に向けて取り出される際の経路は、迂回路をなし、本実施例では横方向から見てS字又はZ字状をなすような蛇行経路166をなしている。即ち、シート材料50は、第1の筒状部材122の遊端168の下側から送り出され、第1の折れ曲がり部170を形成した後に、第1の筒状部材122の内周144と第2の筒状部材140の外周148との間のスペース146を通過し、第2の筒状部材140の遊端172上を通過することによる第2の折れ曲がり部174を形成した後に、開口142及び取り出し口120から取り出される。
【0043】
第2の筒状部材140の遊端172に対する第1の筒状部材122の遊端の相対距離176及び第1の筒状部材122と第2の筒状部材140との間のスペース146に応じて、シート材料50に対して張力又は摩擦抵抗力が加えられる。前記したように、第1又は第2の筒状部材122、140の長さを増減することにより、張力又は摩擦抵抗力を変化させることができ、同様に第1及び第2の筒状部材122、140間のスペース146を増減することによっても同様の効果が得られる。このような張力又は摩擦抵抗力を調節可能とすることも、前記したように、シート材料50の特性に応じて設定される。本実施例では、第1及び又は第2の折れ曲がり部170、174は鈍角をなしている。遊端168、172或いはスペース146を変更することにより、折れ曲がり部170、174の鈍角の度合いをより強く或いはより弱くすることができる。更に、前記したように、折れ曲がり部170、174の角度を直角としたり、鋭角とすることもできる。
【0044】
図13、15、16に示されるように、シート材料50をディスペンサ110内に収容する或る方法に於いては、取り出し口120を備えたディスペンサ110が提供される。管理者は、ロールベース114及びカバー116の少なくとも一方を、その他方から少なくとも部分的に離すように移動させ、内室118にアクセス可能とするようにディスペンサハウジング112を開く。センターフローロール24を前記したように第1の筒状部材122上に装着し、シート材料50の前縁部64を第1の筒状部材122の外周178から離反する向きに移動させ、第2の筒状部材140内の開口142内を通過させ、最終的に取り出し口120から前縁部64を引き出す。次にロールベース114及びカバー116の一方を閉じると、ロール24がスペーサ139上に支持されると共に、第2の筒状部材140が第1の筒状部材122内に軸線方向に整合されることとなる。或る実施例では、スペーサは、環状の段部を構成するような複数の柔軟なスペーサからなるものとし(図示せず)、管理者が、ロール24を容易に装着可能とすることができる。第1又は第2の筒状部材122、140を調節したり、延長したりすることにより、例えば、第2の筒状部材140の少なくとも一部を、第1の筒状部材122の開口123内に配置させるようにすることができる(図示せず)。また、例えば、第2の筒状部材140の少なくとも一部が、第1の筒状部材122の開口123内に位置するように(図示せず)、第1及び第2の筒状部材122、140を調節したり、延長することができる。更に、前記したように、スペース146を調節することもできる。いずれの場合も、第1又は第2の筒状部材122、140の両周144、148間に画定されたスペース146及び第1又は第2の筒状部材122、140の遊端168、172により形成される両折れ曲がり部170、174が設けられることにより、シート材料50が、迂回する蛇行経路166を通過して取り出し口120から引き出される状態となるように、シート材料50を配置することができる。シート材料50が上向きに引き出され、その下端を上端とするようにディスペンサ110を逆向きに配置することもできる。
【0045】
以上、いくつかの好ましい実施形態に関してそれらの特徴を説明したが、これらの特徴或いは実施形態の構成要素を、様々な組合せで他の実施例に適用したり、本出願の開示内容或いは示唆内容に基づいて新たな実施例を創出することもできる。また、本発明をいくつかの好ましい実施形態に関して説明したが、本発明によって包含される内容がこれらの特定実施形態に限定されないものであり、むしろ、本発明の内容は、全ての代替形態、修正及び均等物を含むものとし、それらを特許請求の範囲の概念及び範囲に含むものであることを了解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の筒状部材を備えたロールベースが、第2の筒状部材を備えたカバーから離されるようにして、開かれた状態にある、本発明に基づくディスペンサの斜視図である。
【図2】ロールベースがカバーに向けて近寄せられ、第1の筒状部材が第2の筒状部材に対向するように、ハウジングが閉じられた状態にある、図1に示されたディスペンサの断面図である。
【図3】センターフローロールがロールベースの第1の筒状部材上に装着された状態を示す、図1と同様の斜視図である。
【図4】図示を明瞭にするために、ディスペンサ及びロールの一部を省略し、第1の筒状部材及び第2の筒状部材に対するセンターフローロールの位置を示す、図1に示されたディスペンサの斜視図である。
【図5】シート材料の前縁部を第2の筒状部材の開口を通すための方法を示す、図1に示されたディスペンサの斜視図である。
【図6】ハウジングが閉じられたときに、ロールから、取り出し口を通過するシート材料の位置を示す、図1に示されたディスペンサの断面図である。
【図7】ディスペンサから送り出されるシート材料の経路及び折れ曲がり部を示す、図6と同様の断面図である。
【図8】シート材料の経路を変更するために第2の筒状部材の長さを調節する要領を示す、図7と同様の断面図である。
【図9】第1及び第2の筒状部材間のスペースを調節し、シート材料の経路を変更する要領を示す、図8と同様の断面図である。
【図10】シート材料の経路を変更するために第2の筒状部材の長さを調節する別の要領を示す、図7と同様の断面図である。
【図11】カバー及びロールベースを備えたハウジングを含む、本発明に基づくディスペンサの別の実施例の斜視図である。
【図12】図11に示されたディスペンサの別の斜視図である。
【図13】ディスペンサに収容されるべきセンターフローロールと共に示す、図11に示されたディスペンサの側面図である。
【図14】センターフローロールがディスペンサに装着された状態の、図11に示されたディスペンサの断面図である。
【図15】シート材料の前縁部が取り出し口からディスペンサ外に送り出された状態を示す、図14と同様のディスペンサの断面図である。
【図16】センターフローロールから取り出し口を経て送り出されるシート材料の経路及び折れ曲がり部を示す、図11と同様のディスペンサの断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10、110 ディスペンサ
12、112 ディスペンサハウジング
14、114 ロールベース
16、116 カバー
20、120 取り出し口
22、122 第1の筒状部材
40、140 第2の筒状部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料を供給するためのディスペンサであって、
シート材料を支持するべきベースと、カバーと、取り出し口とを有するハウジングを有し、
前記ベースが、内部に開口を有する第1の筒状部材を備え、前記カバーが、前記第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を備え、前記第2の筒状部材の少なくとも一部が、前記第1の筒状部材の前記開口内に位置するようにされ、
当該ディスペンサ内に収容されたシート材料が、迂回経路に沿って、前記第1の筒状部材の一部及び前記第2の筒状部材の一部上を通過した後に、前記取り出し口に至るようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
シート材料を供給するためのディスペンサであって、
シート材料を支持するべきベースと、カバーと、取り出し口とを有するハウジングを有し、
前記ベースが、内部に開口を有する第1の筒状部材を備え、前記カバーが、前記第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を備え、前記第2の筒状部材の少なくとも一部が、前記第1の筒状部材の少なくとも一部よりも小径をなし、
当該ディスペンサ内に収容されたシート材料が、迂回経路に沿って、前記第1の筒状部材の一部及び前記第2の筒状部材の一部上を通過した後に、前記取り出し口に至るようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項3】
シート材料を供給するためのディスペンサであって、
シート材料を支持するべきハウジングを有し、前記ハウジングが、第1の筒状部材を備えたロールベースと、前記第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を備えたカバーと、取り出し口とを有し、
当該ディスペンサ内に収容されたシート材料が、迂回経路に沿って、前記ハウジングから、前記第1の筒状部材の一部及び前記第2の筒状部材の一部上を通過した後に、前記取り出し口を通過するようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項4】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材の少なくとも一方が調節可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材の少なくとも一方が軸線方向に調節可能であることを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材の少なくとも一方が横方向に調節可能であることを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ
【請求項7】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材が互いに軸線方向に整合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記シート材料が、迂回経路に沿って、前記ハウジング内及び前記取り出し口を通過するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記経路が蛇行することを特徴とする請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記経路が少なくとも1つの折れ曲がり部分を含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記経路が第1及び第2の折れ曲がり部分を含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの折れ曲がり部分が、より小さな角度を有するようにしたときに、前記経路を経て供給されるシート材料の張力及び摩擦抵抗力がより大きくなるようにしたことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの折れ曲がり部分が、より小さな角度を有するようにしたときに、前記経路を経て供給されるシート材料の張力及び摩擦抵抗力がより小さくなるようにしたことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項1】
シート材料を供給するためのディスペンサであって、
シート材料を支持するべきベースと、カバーと、取り出し口とを有するハウジングを有し、
前記ベースが、内部に開口を有する第1の筒状部材を備え、前記カバーが、前記第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を備え、前記第2の筒状部材の少なくとも一部が、前記第1の筒状部材の前記開口内に位置するようにされ、
当該ディスペンサ内に収容されたシート材料が、迂回経路に沿って、前記第1の筒状部材の一部及び前記第2の筒状部材の一部上を通過した後に、前記取り出し口に至るようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
シート材料を供給するためのディスペンサであって、
シート材料を支持するべきベースと、カバーと、取り出し口とを有するハウジングを有し、
前記ベースが、内部に開口を有する第1の筒状部材を備え、前記カバーが、前記第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を備え、前記第2の筒状部材の少なくとも一部が、前記第1の筒状部材の少なくとも一部よりも小径をなし、
当該ディスペンサ内に収容されたシート材料が、迂回経路に沿って、前記第1の筒状部材の一部及び前記第2の筒状部材の一部上を通過した後に、前記取り出し口に至るようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項3】
シート材料を供給するためのディスペンサであって、
シート材料を支持するべきハウジングを有し、前記ハウジングが、第1の筒状部材を備えたロールベースと、前記第1の筒状部材に対向する第2の筒状部材を備えたカバーと、取り出し口とを有し、
当該ディスペンサ内に収容されたシート材料が、迂回経路に沿って、前記ハウジングから、前記第1の筒状部材の一部及び前記第2の筒状部材の一部上を通過した後に、前記取り出し口を通過するようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項4】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材の少なくとも一方が調節可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材の少なくとも一方が軸線方向に調節可能であることを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材の少なくとも一方が横方向に調節可能であることを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ
【請求項7】
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材が互いに軸線方向に整合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記シート材料が、迂回経路に沿って、前記ハウジング内及び前記取り出し口を通過するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記経路が蛇行することを特徴とする請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記経路が少なくとも1つの折れ曲がり部分を含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記経路が第1及び第2の折れ曲がり部分を含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの折れ曲がり部分が、より小さな角度を有するようにしたときに、前記経路を経て供給されるシート材料の張力及び摩擦抵抗力がより大きくなるようにしたことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの折れ曲がり部分が、より小さな角度を有するようにしたときに、前記経路を経て供給されるシート材料の張力及び摩擦抵抗力がより小さくなるようにしたことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−504873(P2008−504873A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519229(P2007−519229)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/019155
【国際公開番号】WO2006/007256
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/019155
【国際公開番号】WO2006/007256
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]