ロール状フィルム体の収納箱
【目的】 蓋の閉止性を確保しながら、閉止手段を設けるための余分な工程を不要とできるとともに、蓋を閉じた状態での開口部分をなくして衛生を保つ。
【構成】 箱本体Cにおける前面板11の上端部左右両側に、閉止片20,20を、箱組立時のガイドフラップ15の折曲げによって外向きほぼ水平に突出する状態で設け、この閉止片20を、蓋前板16の左右両側に設けられた切り込み22にこれを押し開いて係止させることによって閉止状態を確保するように構成した。
【構成】 箱本体Cにおける前面板11の上端部左右両側に、閉止片20,20を、箱組立時のガイドフラップ15の折曲げによって外向きほぼ水平に突出する状態で設け、この閉止片20を、蓋前板16の左右両側に設けられた切り込み22にこれを押し開いて係止させることによって閉止状態を確保するように構成した。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は食品等包装用のラップフィルムやアルミホイル、クッキングペーパー等のロール状に巻かれたフィルム体を収納し、必要量ずつ引き出してカットするロール状フィルム体の収納箱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品等を包装するラップフィルムの収納箱を例にとって従来技術を説明する。
【0003】
この収納箱は、一般的には、図9,10に示すように、前面板1と底面板2と後面板3と左右両側面板4,4とによって上面が開口した直方体状に構成された箱本体Aと、この箱本体Aの上面開口部を開閉しうるように後面板3に連設された蓋Bとから成っている。
【0004】
蓋Bは、前板5と、上板6と、左右両側板(図9に片側のみ示す)7とから成り、本体後面板3と上板6のなす稜線部(折り目)6aをヒンジ部として、前板5が箱本体Aの前面板1の外側に重なる状態で閉じられる。また、前板5の下端に、フィルム切断用の鋸歯付きカッター8が取付けられる。
【0005】
一方、箱本体Aにおける前面板1の上端にガイドフラップ9が前面板全長に亘って内向きほぼ水平に折曲げ形成され、このガイドフラップ9により、フィルム引出し時に■ フィルムFが前面板1の上端エッジに引っ掛かったりせずにスムーズに引出され(フィルムガイド作用)、 ■ フィルム引っ張り力によるフィルムFの箱外への飛び出しが防止される(フィルム飛び出し防止作用)。
【0006】
ところが、この一般的な収納箱によると、蓋Bを閉じた状態(以下、閉止状態という)に保持する手段をもたないため、蓋Bが、外部から閉じ力が加えられないフリー状態で弾性復元力によって図10仮想線で示すように半開き状態となる。
【0007】
この半開き状態となると、 (イ)塵やごみ等が侵入するため、主に食品を包装するラップフィルムにとって不衛生となり、 (ロ)切断後、本体前面板1の前面に密着保持されるべきフィルム端部が、蓋前板5による押え込み作用を受けられないことによって箱内に巻戻り易くなり、 (ハ)カッター8が前方に大きく突出するため、誤って手指等を傷つけるおそれがある 等の種々の不都合が生じていた。
【0008】
そこで、従来、この点の対策として、実開平4−89732号、実公昭52−35219号、実開平3−75131号、実開平6−37127号に示されているように、箱本体と蓋の一方に突起、他方に係合孔を設け、これらを相係合させることにより蓋を閉止状態に保持する手段が提案された。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、これら公知の構成によると、 (イ)箱組立時に、本来の組立工程とは別の工程で突起を切起こし形成する等、閉止手段を設けるための余分な工程が必要となるためコスト高となり、 (ロ)係合孔によって箱が常時外部に開口した状態となるため、衛生を保つという所期の目的が十分達成されない という欠点があった。
【0010】
そこで本考案は、蓋の閉止性を確保しながら、この閉止手段を設けるための余分な工程を不要とできるとともに、閉止状態での開口部分をなくして衛生を保つことができるロール状フィルム体の収納箱を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の考案は、前面板と底面板と後面板と左右両側面板とによって上面が開口した直方体状に構成された箱本体と、上板と前板とを備え上記箱本体の上面開口部を開閉しうるように箱本体の後面板に連設された蓋とから成り、かつ、上記箱本体における前面板の上端にガイドフラップが内向きほぼ水平に折曲げ形成されたロール状フィルム体の収納箱において、上記箱本体における前面板の上端部に、閉止片が、予め設けられた切れ目により、上記ガイドフラップの折曲げ形成時に外向きほぼ水平に突出する状態で設けられる一方、上記蓋における前板の上端部に、蓋が閉じられた状態で上記閉止片により押し開かれて閉止片が係止しうる線状の切り込みが設けられてなるものである。
【0012】
請求項2の考案は、請求項1の構成において、切り込みの両端に、少なくとも上下一方向に延びる補助切れ目が設けられたものである。
【0013】
請求項3の考案は、請求項1または2の構成において、蓋の前板と上板のなす稜線部における切り込みに対応する個所に薄肉部が形成されたものである。
【0014】
【作用】
上記構成によると、蓋閉止状態で閉止片が線状の切り込みにこれを押し開いて係止することにより閉止性が確保される。
【0015】
しかも、閉止片は■ 箱素材である紙板の打ち抜き時に蓋前板に切り込みを入れておき、 ■ 箱組立時にガイドフラップを折曲げる ことによって形成することができる。すなわち、本来の箱組立工程とは別の工程で閉止片を切起こし形成する等の閉止手段を設けるための余分な工程が不要となる。
【0016】
また、切り込みは、閉止片が係止するのに必要な分だけ開き、しかもこの開いた部分は閉止片によって塞がれるため、閉止状態で外部に開口する部分がなく、衛生を保つことができる。
【0017】
一方、請求項2の構成によると、補助切れ目によって切り込みが開き易くなるため、閉止片がこの切り込みに無理なく確実に係止する。
【0018】
さらに、請求項3の構成によると、切り込みの上縁部が薄肉部をヒンジ部として切り込み開閉方向に弾性変形し易くなるため、切り込みに対する閉止片の係脱作用がより一層確実に行われる。
【0019】
【実施例】
以下の実施例では、従来説明に合わせてラップフィルムの収納箱を適用対象として例にとっている。
【0020】
第1実施例(図1〜図4参照)
箱本体Cは、従来同様、前面板11と、底面板12と、後面板13と、左右両側面板14,14とによって上面が開口した細長の直方体状に構成され、前面板11の上端に、フィルム引出しガイド兼飛び出し防止用のガイドフラップ15が前面板全長に亘って内向きほぼ水平に設けられている。
【0021】
一方、蓋Dは、前板16と、上板17と、左右両側板(図1に片側のみ図示)
18とから成り、前板16の下端にフィルム切断用の鋸歯付きカッター19が取付けられている。
【0022】
この収納箱においては、箱本体Cにおける前面板11の上端部左右両側、すなわち前面板11とガイドフラップ15のなす稜線部L1の左右両側に閉止片20,20が外向きほぼ水平に突設されている。
【0023】
この閉止片20は、図3に示すように、■ 箱素材としての紙板の打ち抜き時に稜線部L1の下側にU字形の切れ目21を入れておき、 ■ 箱組立時にガイドフラップ15を内向きほぼ水平に折曲げる ことにより、切れ目21の上縁部が水平方向に起き上がって形成される。
【0024】
一方、蓋Dには、前板16の上端部左右両側に、閉止片20とほぼ同じ長さの線状の切り込み22が、前板16と上板17のなす稜線部L2と平行に設けられている。
【0025】
また、この切り込み22の両端上下両側に、外向き湾曲線状の補助切れ目23…が設けられている。
【0026】
この収納箱の作用を図4によって説明する。
【0027】
蓋Dが閉じられる前は、同図(イ)に示すように切り込み22は閉じた状態(線状のまま)にある。
【0028】
この状態から蓋Dが閉じられると、同図(ロ)に示すようにその閉じ終りに閉止片20の先端が切り込み22に、これを押し開いて入り込み、係止する。
【0029】
この場合、図示のように切り込み22の上縁部22aが稜線部L2をヒンジとして開き方向に弾性変形することにより、閉止片20の先端が切り込み下縁部22bに係止し、この係止作用によって蓋Dが閉止状態に保持される。
【0030】
これにより、 (i)塵やごみ等の侵入が防止され、 (ii)フィルム切断後、フィルム端部が蓋前板16により本体前面板11の前面に押え込まれて密着保持されるため、フィルム端部の箱内への巻戻りが防止され、 (iii)カッター19が本体前面板11の前面に接し、前方に大きく突出しないため、このカッター19によって誤って手指等を傷つけるおそれがなくなる。
【0031】
しかも、閉止片20は前記したように箱組立時にガイドフラップを折曲げ形成すると同時に形成できるため、閉止片を別途切起こし形成する等の余分な工程が不要となる。
【0032】
また、切り込み22は、図4(ロ)に示すように閉止片20が係止するのに必要な分だけ押し開かれ、しかもこの開いた部分は閉止片20によって内側から塞がれるため、閉止状態で外部に開口する部分がなく、衛生を保つことができる。
【0033】
さらに、切り込み22の両端上下両側に設けられた補助切れ目23…によって切り込み22が開き易くなるため、閉止片20がこの切り込み22に無理なく確実に係止する。
【0034】
一方、フィルム切断に際して蓋Dを開くときは、図4(ハ)に示すように閉止片20および切り込み下縁部22bが互いに逃げる方向に弾性変形し、過大な抵抗なしにスムーズに開くことができる。
【0035】
第2実施例(図5,6参照)
第1実施例との相違点のみを説明すると、蓋Dの前板16と上板17のなす稜線部L2における両側切り込み22に対応する個所(左右両側、図では片側のみを示す)に薄肉部24が設けられている。
【0036】
この薄肉部24は、紙板打ち抜き時に、折り目である稜線部L2の両端部に非貫通の線状切れ目を入れておくことによって形成することができる。
【0037】
この構成によると、切り込み22の上縁部22aが薄肉部24をヒンジ部として切り込み開閉方向により一層弾性変形し易くなるため、切り込み22に対する閉止片20の係止作用がより確実に行われる。
【0038】
その他の実施例 (1)閉止片20の形状は、上記実施例で示した長方形以外に、図7(イ)に示す台形状、(ロ)に示す逆台形状、(ハ)に示す平行四辺形、(ニ)に示す鋸歯状等、種々変更可能である。
【0039】
(2)上記実施例では、切り込み両端の補助切れ目23…を外向き湾曲状に設けたが、他のバリエーションとして、図8(イ)に示すように同切れ目23…を内向き湾曲状に形成してもよい。
【0040】
こうすれば、補助切れ目23…を外向き湾曲状に形成した場合と比較して、同じ切り込み長さで切り込み上縁部22aおよび下縁部22bが弾性変形し易くなる。
【0041】
また、図8(ロ)(ハ)に示すように補助切れ目23を下向きまたは上向きのみに設けてもよい。
【0042】
(3)本発明は、上記実施例で示したラップフィルムの収納箱に限らず、アルミホイル、クッキングペーパー等、ロール状に巻かれたフィルム体の収納箱として広く適用することができる。
【0043】
【考案の効果】
上記のように本考案によるときは、箱本体における前面板の上端部左右両側に、閉止片を、箱組立時のガイドフラップの折曲げによって外向きほぼ水平に突出する状態で設け、この閉止片を、蓋前板の左右両側に設けられた切り込みにこれを押し開いて係止させることによって閉止状態を確保するように構成したから、箱組立時に、本来の組立工程とは別の工程で閉止片を切起こし形成する等の余分な工程が不要となる。
【0044】
従って、閉止手段を設けることによる工程増を招かず、コストが安くてすむ。
【0045】
また、切り込みは、閉止片が係止するのに必要な分だけ開き、しかもこの開いた部分は閉止片によって塞がれるため、閉止状態で外部に開口する部分がなく、衛生を保つことができる。
【0046】
一方、請求項2の考案によると、補助切れ目によって切り込みが開き易くなるため、閉止片がこの切り込みに無理なく確実に係止する。
【0047】
さらに、請求項3の考案によると、切り込みの上縁部が薄肉部をヒンジ部として切り込み開閉方向に弾性変形し易くなるため、切り込みに対する閉止片の係脱作用がより一層確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる収納箱の斜視図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】同収納箱において閉止片を形成する方法を説明するための一部側断面図である。
【図4】(イ)は蓋を閉じる途中の側断面図、(ロ)は蓋を閉じた状態の側断面図、(ハ)は蓋の開き始めの側断面図である。
【図5】本発明の第2実施例にかかる収納箱の部分斜視図である。
【図6】同収納箱の拡大側断面図である。
【図7】(イ)は閉止片を台形状に形成した場合、(ロ)は逆台形状に形成した場合、(ハ)は平行四辺形に形成した場合、(ニ)は鋸歯状に形成した場合をそれぞれ示す図である。
【図8】(イ)は切り込み両端の補助切れ目を内向き湾曲状に形成した場合、(ロ)は下向きのみに設けた場合、(ハ)は上向きのみに設けた場合をそれぞれ示す図である。
【図9】従来の収納箱を示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線拡大断面図である。
【符号の説明】
C 箱本体
11 箱本体の前面板
12 同底面板
13 同後面板
14 同側面板
15 ガイドフラップ
D 蓋
16 蓋の前板
17 同上板
20 閉止片
21 閉止片を形成するための切れ目
22 切り込み
23 切り込み両端の補助切れ目
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は食品等包装用のラップフィルムやアルミホイル、クッキングペーパー等のロール状に巻かれたフィルム体を収納し、必要量ずつ引き出してカットするロール状フィルム体の収納箱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品等を包装するラップフィルムの収納箱を例にとって従来技術を説明する。
【0003】
この収納箱は、一般的には、図9,10に示すように、前面板1と底面板2と後面板3と左右両側面板4,4とによって上面が開口した直方体状に構成された箱本体Aと、この箱本体Aの上面開口部を開閉しうるように後面板3に連設された蓋Bとから成っている。
【0004】
蓋Bは、前板5と、上板6と、左右両側板(図9に片側のみ示す)7とから成り、本体後面板3と上板6のなす稜線部(折り目)6aをヒンジ部として、前板5が箱本体Aの前面板1の外側に重なる状態で閉じられる。また、前板5の下端に、フィルム切断用の鋸歯付きカッター8が取付けられる。
【0005】
一方、箱本体Aにおける前面板1の上端にガイドフラップ9が前面板全長に亘って内向きほぼ水平に折曲げ形成され、このガイドフラップ9により、フィルム引出し時に
【0006】
ところが、この一般的な収納箱によると、蓋Bを閉じた状態(以下、閉止状態という)に保持する手段をもたないため、蓋Bが、外部から閉じ力が加えられないフリー状態で弾性復元力によって図10仮想線で示すように半開き状態となる。
【0007】
この半開き状態となると、 (イ)塵やごみ等が侵入するため、主に食品を包装するラップフィルムにとって不衛生となり、 (ロ)切断後、本体前面板1の前面に密着保持されるべきフィルム端部が、蓋前板5による押え込み作用を受けられないことによって箱内に巻戻り易くなり、 (ハ)カッター8が前方に大きく突出するため、誤って手指等を傷つけるおそれがある 等の種々の不都合が生じていた。
【0008】
そこで、従来、この点の対策として、実開平4−89732号、実公昭52−35219号、実開平3−75131号、実開平6−37127号に示されているように、箱本体と蓋の一方に突起、他方に係合孔を設け、これらを相係合させることにより蓋を閉止状態に保持する手段が提案された。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、これら公知の構成によると、 (イ)箱組立時に、本来の組立工程とは別の工程で突起を切起こし形成する等、閉止手段を設けるための余分な工程が必要となるためコスト高となり、 (ロ)係合孔によって箱が常時外部に開口した状態となるため、衛生を保つという所期の目的が十分達成されない という欠点があった。
【0010】
そこで本考案は、蓋の閉止性を確保しながら、この閉止手段を設けるための余分な工程を不要とできるとともに、閉止状態での開口部分をなくして衛生を保つことができるロール状フィルム体の収納箱を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の考案は、前面板と底面板と後面板と左右両側面板とによって上面が開口した直方体状に構成された箱本体と、上板と前板とを備え上記箱本体の上面開口部を開閉しうるように箱本体の後面板に連設された蓋とから成り、かつ、上記箱本体における前面板の上端にガイドフラップが内向きほぼ水平に折曲げ形成されたロール状フィルム体の収納箱において、上記箱本体における前面板の上端部に、閉止片が、予め設けられた切れ目により、上記ガイドフラップの折曲げ形成時に外向きほぼ水平に突出する状態で設けられる一方、上記蓋における前板の上端部に、蓋が閉じられた状態で上記閉止片により押し開かれて閉止片が係止しうる線状の切り込みが設けられてなるものである。
【0012】
請求項2の考案は、請求項1の構成において、切り込みの両端に、少なくとも上下一方向に延びる補助切れ目が設けられたものである。
【0013】
請求項3の考案は、請求項1または2の構成において、蓋の前板と上板のなす稜線部における切り込みに対応する個所に薄肉部が形成されたものである。
【0014】
【作用】
上記構成によると、蓋閉止状態で閉止片が線状の切り込みにこれを押し開いて係止することにより閉止性が確保される。
【0015】
しかも、閉止片は
【0016】
また、切り込みは、閉止片が係止するのに必要な分だけ開き、しかもこの開いた部分は閉止片によって塞がれるため、閉止状態で外部に開口する部分がなく、衛生を保つことができる。
【0017】
一方、請求項2の構成によると、補助切れ目によって切り込みが開き易くなるため、閉止片がこの切り込みに無理なく確実に係止する。
【0018】
さらに、請求項3の構成によると、切り込みの上縁部が薄肉部をヒンジ部として切り込み開閉方向に弾性変形し易くなるため、切り込みに対する閉止片の係脱作用がより一層確実に行われる。
【0019】
【実施例】
以下の実施例では、従来説明に合わせてラップフィルムの収納箱を適用対象として例にとっている。
【0020】
第1実施例(図1〜図4参照)
箱本体Cは、従来同様、前面板11と、底面板12と、後面板13と、左右両側面板14,14とによって上面が開口した細長の直方体状に構成され、前面板11の上端に、フィルム引出しガイド兼飛び出し防止用のガイドフラップ15が前面板全長に亘って内向きほぼ水平に設けられている。
【0021】
一方、蓋Dは、前板16と、上板17と、左右両側板(図1に片側のみ図示)
18とから成り、前板16の下端にフィルム切断用の鋸歯付きカッター19が取付けられている。
【0022】
この収納箱においては、箱本体Cにおける前面板11の上端部左右両側、すなわち前面板11とガイドフラップ15のなす稜線部L1の左右両側に閉止片20,20が外向きほぼ水平に突設されている。
【0023】
この閉止片20は、図3に示すように、
【0024】
一方、蓋Dには、前板16の上端部左右両側に、閉止片20とほぼ同じ長さの線状の切り込み22が、前板16と上板17のなす稜線部L2と平行に設けられている。
【0025】
また、この切り込み22の両端上下両側に、外向き湾曲線状の補助切れ目23…が設けられている。
【0026】
この収納箱の作用を図4によって説明する。
【0027】
蓋Dが閉じられる前は、同図(イ)に示すように切り込み22は閉じた状態(線状のまま)にある。
【0028】
この状態から蓋Dが閉じられると、同図(ロ)に示すようにその閉じ終りに閉止片20の先端が切り込み22に、これを押し開いて入り込み、係止する。
【0029】
この場合、図示のように切り込み22の上縁部22aが稜線部L2をヒンジとして開き方向に弾性変形することにより、閉止片20の先端が切り込み下縁部22bに係止し、この係止作用によって蓋Dが閉止状態に保持される。
【0030】
これにより、 (i)塵やごみ等の侵入が防止され、 (ii)フィルム切断後、フィルム端部が蓋前板16により本体前面板11の前面に押え込まれて密着保持されるため、フィルム端部の箱内への巻戻りが防止され、 (iii)カッター19が本体前面板11の前面に接し、前方に大きく突出しないため、このカッター19によって誤って手指等を傷つけるおそれがなくなる。
【0031】
しかも、閉止片20は前記したように箱組立時にガイドフラップを折曲げ形成すると同時に形成できるため、閉止片を別途切起こし形成する等の余分な工程が不要となる。
【0032】
また、切り込み22は、図4(ロ)に示すように閉止片20が係止するのに必要な分だけ押し開かれ、しかもこの開いた部分は閉止片20によって内側から塞がれるため、閉止状態で外部に開口する部分がなく、衛生を保つことができる。
【0033】
さらに、切り込み22の両端上下両側に設けられた補助切れ目23…によって切り込み22が開き易くなるため、閉止片20がこの切り込み22に無理なく確実に係止する。
【0034】
一方、フィルム切断に際して蓋Dを開くときは、図4(ハ)に示すように閉止片20および切り込み下縁部22bが互いに逃げる方向に弾性変形し、過大な抵抗なしにスムーズに開くことができる。
【0035】
第2実施例(図5,6参照)
第1実施例との相違点のみを説明すると、蓋Dの前板16と上板17のなす稜線部L2における両側切り込み22に対応する個所(左右両側、図では片側のみを示す)に薄肉部24が設けられている。
【0036】
この薄肉部24は、紙板打ち抜き時に、折り目である稜線部L2の両端部に非貫通の線状切れ目を入れておくことによって形成することができる。
【0037】
この構成によると、切り込み22の上縁部22aが薄肉部24をヒンジ部として切り込み開閉方向により一層弾性変形し易くなるため、切り込み22に対する閉止片20の係止作用がより確実に行われる。
【0038】
その他の実施例 (1)閉止片20の形状は、上記実施例で示した長方形以外に、図7(イ)に示す台形状、(ロ)に示す逆台形状、(ハ)に示す平行四辺形、(ニ)に示す鋸歯状等、種々変更可能である。
【0039】
(2)上記実施例では、切り込み両端の補助切れ目23…を外向き湾曲状に設けたが、他のバリエーションとして、図8(イ)に示すように同切れ目23…を内向き湾曲状に形成してもよい。
【0040】
こうすれば、補助切れ目23…を外向き湾曲状に形成した場合と比較して、同じ切り込み長さで切り込み上縁部22aおよび下縁部22bが弾性変形し易くなる。
【0041】
また、図8(ロ)(ハ)に示すように補助切れ目23を下向きまたは上向きのみに設けてもよい。
【0042】
(3)本発明は、上記実施例で示したラップフィルムの収納箱に限らず、アルミホイル、クッキングペーパー等、ロール状に巻かれたフィルム体の収納箱として広く適用することができる。
【0043】
【考案の効果】
上記のように本考案によるときは、箱本体における前面板の上端部左右両側に、閉止片を、箱組立時のガイドフラップの折曲げによって外向きほぼ水平に突出する状態で設け、この閉止片を、蓋前板の左右両側に設けられた切り込みにこれを押し開いて係止させることによって閉止状態を確保するように構成したから、箱組立時に、本来の組立工程とは別の工程で閉止片を切起こし形成する等の余分な工程が不要となる。
【0044】
従って、閉止手段を設けることによる工程増を招かず、コストが安くてすむ。
【0045】
また、切り込みは、閉止片が係止するのに必要な分だけ開き、しかもこの開いた部分は閉止片によって塞がれるため、閉止状態で外部に開口する部分がなく、衛生を保つことができる。
【0046】
一方、請求項2の考案によると、補助切れ目によって切り込みが開き易くなるため、閉止片がこの切り込みに無理なく確実に係止する。
【0047】
さらに、請求項3の考案によると、切り込みの上縁部が薄肉部をヒンジ部として切り込み開閉方向に弾性変形し易くなるため、切り込みに対する閉止片の係脱作用がより一層確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる収納箱の斜視図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】同収納箱において閉止片を形成する方法を説明するための一部側断面図である。
【図4】(イ)は蓋を閉じる途中の側断面図、(ロ)は蓋を閉じた状態の側断面図、(ハ)は蓋の開き始めの側断面図である。
【図5】本発明の第2実施例にかかる収納箱の部分斜視図である。
【図6】同収納箱の拡大側断面図である。
【図7】(イ)は閉止片を台形状に形成した場合、(ロ)は逆台形状に形成した場合、(ハ)は平行四辺形に形成した場合、(ニ)は鋸歯状に形成した場合をそれぞれ示す図である。
【図8】(イ)は切り込み両端の補助切れ目を内向き湾曲状に形成した場合、(ロ)は下向きのみに設けた場合、(ハ)は上向きのみに設けた場合をそれぞれ示す図である。
【図9】従来の収納箱を示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線拡大断面図である。
【符号の説明】
C 箱本体
11 箱本体の前面板
12 同底面板
13 同後面板
14 同側面板
15 ガイドフラップ
D 蓋
16 蓋の前板
17 同上板
20 閉止片
21 閉止片を形成するための切れ目
22 切り込み
23 切り込み両端の補助切れ目
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 前面板と底面板と後面板と左右両側面板とによって上面が開口した直方体状に構成された箱本体と、上板と前板とを備え上記箱本体の上面開口部を開閉しうるように箱本体の後面板に連設された蓋とから成り、かつ、上記箱本体における前面板の上端にガイドフラップが内向きほぼ水平に折曲げ形成されたロール状フィルム体の収納箱において、上記箱本体における前面板の上端部に、閉止片が、予め設けられた切れ目により、上記ガイドフラップの折曲げ形成時に外向きほぼ水平に突出する状態で設けられる一方、上記蓋における前板の上端部に、蓋が閉じられた状態で上記閉止片により押し開かれて閉止片が係止しうる線状の切り込みが設けられてなることを特徴とするロール状フィルム体の収納箱。
【請求項2】 切り込みの両端に、少なくとも上下一方向に延びる補助切れ目が設けられたことを特徴とする請求項1記載のロール状フィルム体の収納箱。
【請求項3】 蓋の前板と上板のなす稜線部における切り込みに対応する個所に薄肉部が形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のロール状フィルム体の収納箱。
【請求項1】 前面板と底面板と後面板と左右両側面板とによって上面が開口した直方体状に構成された箱本体と、上板と前板とを備え上記箱本体の上面開口部を開閉しうるように箱本体の後面板に連設された蓋とから成り、かつ、上記箱本体における前面板の上端にガイドフラップが内向きほぼ水平に折曲げ形成されたロール状フィルム体の収納箱において、上記箱本体における前面板の上端部に、閉止片が、予め設けられた切れ目により、上記ガイドフラップの折曲げ形成時に外向きほぼ水平に突出する状態で設けられる一方、上記蓋における前板の上端部に、蓋が閉じられた状態で上記閉止片により押し開かれて閉止片が係止しうる線状の切り込みが設けられてなることを特徴とするロール状フィルム体の収納箱。
【請求項2】 切り込みの両端に、少なくとも上下一方向に延びる補助切れ目が設けられたことを特徴とする請求項1記載のロール状フィルム体の収納箱。
【請求項3】 蓋の前板と上板のなす稜線部における切り込みに対応する個所に薄肉部が形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のロール状フィルム体の収納箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【登録番号】第3018025号
【登録日】平成7年(1995)8月30日
【発行日】平成7年(1995)11月14日
【考案の名称】ロール状フィルム体の収納箱
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−4461
【出願日】平成7年(1995)5月12日
【出願人】(000177911)山下印刷紙器株式会社 (12)
【登録日】平成7年(1995)8月30日
【発行日】平成7年(1995)11月14日
【考案の名称】ロール状フィルム体の収納箱
【国際特許分類】
【出願番号】実願平7−4461
【出願日】平成7年(1995)5月12日
【出願人】(000177911)山下印刷紙器株式会社 (12)
[ Back to top ]