説明

ロール状資材の運搬保管用部材

【課題】運搬保管の際にロール状資材の両端に取り付けられる運搬保管用部材として、隣接配置の際の部材間の嵌合の利便性を確保しながら載置の安定性が確保される運搬保管用部材を提供すること。
【解決手段】側壁部12の中央部には、面央凸部32と面央凹部32aとが形成される。端部には、側壁部12から支柱部13に跨る領域が、一方側で面端凸部31と面端凹部31aで二分され、他方側で側壁部12の中心線XXに対して線対称に折り返した場合に一方側の面端凸部31と面端凹部31aがそれぞれ嵌合する面端凹部31aと面端凸部31で二分される。側壁部12を隣接配置する時、側壁部12の長さ方向に対向して嵌合する面央凸部32と面央凹部32aと、側壁部12の厚み方向に対向して嵌合する面端凸部31と面端凹部31aとにより、2方向に嵌合され嵌合強度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状の長尺シートがロール状に巻回されたロール状資材を運搬・保管する際に、ロール状資材の両端部に取り付けられてロール状資材を挟み込んで支持するロール状資材の運搬保管用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム状の長尺シートがロール状に巻回された円筒形のロール状資材を運搬・保管する際に、ロール状資材の両端から当該資材を挟み込んで支持する部材が知られている。こうした部材は、略正方形の平板部と、平板部の中央部にロール状資材を保持する凸状の保持部と、平板部の四方の周縁部に連接された矩形形状の側壁部とを備えている。また、平板部の各隅部には、保持部と同じ方向に突出する脚部が設けられている。
【0003】
従来より開示されている部材の一例として、四方を囲む4辺の側壁部のうち、1辺の側壁部に、一方を反転させて上下に重ね合わせた時に互いに係合する形状を有する凹凸部(係合部)が形成されている部材(プロテクター)が開示されている。他の3辺の側壁部には凹凸部は形成されず、矩形形状の側壁部と両端の隅部から突出する脚部とが略面一に形成されているものが開示されている(特許文献1など)。
【0004】
また、他の例として、4辺の側壁部(側壁)が表面に複数のスタックボスを有しており、スタックボスが立方体の形状を有していて、複数のスタックポケットを形づくっており、側壁が隣接して配置された場合に、一方のスタックポケットの凹所が他方のスタックボスと嵌合する部材が開示されている(特許文献2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−10216号公報
【特許文献2】特許第2639512号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に開示した一例では、互いに係合する凹凸部(係合部)は、四方を囲む4辺の側壁部のうち1辺の側壁部に存在する。他の3辺の側壁部は、側壁部と側壁部の両端の隅部にある脚部が略面一に形成されている。したがって、3辺の面の何れかを、部材に支持された状態のロール状資材をパレット等に載置する際の載置面とすれば、側壁部の方向である平板部の周縁方向と脚部の方向である平板部から突出した方向との2方向の面で載置され、載置の安定性が確保されるものではある。
【0007】
しかしながら、部材に支持されたロール状資材を隣接配置する場合には、隣接面にあって互いに係合する側壁部は4面のうち特定の一面にのみあるため、隣接する互いの面として特定の側壁部を選択しなければならない。隣接配置する際の向きが制限され隣接配置に特別な配慮が必要となる。
【0008】
この点、上記に開示した他の例では、4辺の側壁部(側壁)の各々にスタックボスとスタックポケットが形成されており、隣接配置する際の側壁部(側壁)の選択は自由度が確保されてはいる。
【0009】
しかしながら、4辺の側壁部(側壁)のうち何れかの面は載置面である。この場合、載置面は側壁部(側壁)にあるスタックボスの突出部に限定される。スタックボスの配置領域は側壁部(側壁)の壁厚の範囲内に限定されているため、スタックボスは基本的に側壁部の方向に伸長して形成されることとなる。このため、載置面は側壁部の壁厚の範囲内で側壁部の方向に直線的に存在するにとどまる。部材に支持されたロール状資材を載置する際、載置面の方向に交差する方向、例えば、ロール状資材の軸方向への支持が不安定となるおそれがある。ここで、壁厚の厚みを十分に確保することも考えられるが、この場合、部材の体格および重量の増大を招来することとなり、部材の回収や搬送に支障をきたすおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、ロール状資材を運搬・保管する際にロール状資材の両端に取り付けられロール状資材を挟み込む部材として、隣接配置の際の部材間の嵌合の利便性を確保しながら載置の安定性が確保された載置面を備えるロール状資材の運搬保管用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願に係るロール状資材の運搬保管用部材は、2つ1組で使用され、各個がロール状資材のボビン部の各々の端部を支持することにより、ボビン部を両側から挟み込んでロール状資材の運搬保管に供されるものである。矩形形状の平板部と、平板部の中央部に設けられてロール状資材のボビン部を支持する支持部と、平板部の周縁に連接される矩形形状の側壁部と、平板部の各隅部にあって平板部に立設して設けられる支柱部とを備えている。側壁部の一方の端部には、側壁部から支柱部に跨り、一方の端部の第1位置に配置される第1凸部と、第1位置に隣接する第2位置に配置される第1凹部とを備えている。側壁部の他方の端部には、支持部に支持されるロール状資材の巻回軸と平行な側壁部の中心線に対して、第1凸部を線対称に折り返した場合に嵌合する第1嵌合凹部と、中心線に対して、第1凹部を線対称に折り返した場合に嵌合する第1嵌合凸部とを備えている。各々の側壁部の間で、端部間における第1凸部、第1凹部、第1嵌合凹部、および第1嵌合凸部の位置関係は同一である。
【0012】
ロール状資材の運搬保管用部材は2つ1組で使用される。ロール状資材を巻回軸の両端から挟み込み結束ベルト等で結束することにより、ロール状資材は運搬、保管などの荷役が可能な荷役可能状態となる。ロール状資材の端部の支持は、矩形形状の平板部の中央部に設けられる支持部でロール状資材のボビン部を支持することにより行なわれる。
【0013】
荷役可能状態のロール状資材を左右に並べたり、上下に積載したりする場合、隣接配置されるロール状資材の運搬保管用部材間の側壁部が当接する。このとき、側壁部に形成されている第1凸部、第1凹部、第1嵌合凹部、および第1嵌合凸部は、平板部の各周縁に連接される4辺の側壁部の各々に同一に形成されているので、一方の側壁部の第1凸部と他方の側壁部の第1嵌合凹部、および一方の側壁部の第1凹部と他方の側壁部の第1嵌合凸部とが各々嵌合する。
【0014】
また、4辺にある側壁部のうちの1つは、荷役可能状態のロール状資材を載置する際の載置面(底面)となる。載置面(底面)となる側壁部では、第1凸部および第1嵌合凸部で荷役可能状態にあるロール状資材を支える。
【0015】
また、側壁部は、荷役可能状態とされたロール状資材の巻回軸に平行な側壁部の中心線を挟んで左右対称の位置に、中心線に対して線対称に折り返した場合に互いに嵌合する、少なくとも一対の第2凸部と第2凹部とを備えている。また、各々の側壁部の間で、第2凸部および第2凹部の位置関係は同一である。
【0016】
第1凸部、第1凹部、第1嵌合凹部、および第1嵌合凸部に加えて、側壁部には、少なくとも1対の第2凸部および第2凹部を備えている。
【0017】
これにより、隣接配置の際、一方の側壁部の第1凸部と他方の側壁部の第1嵌合凹部、および一方の側壁部の第1凹部と他方の側壁部の第1嵌合凸部に加えて、一方の側壁部の第2凸部と他方の側壁部の第2凹部、および一方の側壁部の第2凹部と他方の側壁部の第2凸部とが各々嵌合する。
【0018】
また、載置する際の載置面(底面)となる側壁部では、第1凸部、第1嵌合凸部に加えて、第2凸部で荷役可能状態にあるロール状資材を支える。
【0019】
また、第1凸部および第1凹部は、側壁部から支柱部に跨る方向および該方向に交差する方向の2方向に形成される。
【0020】
第1凸部および第1嵌合凸部は、側壁部から支柱部に跨る方向および該方向に交差する方向の2方向で、第1嵌合凹部および第1凹部のそれぞれに嵌合する。また、載置面(底面)となる側壁部において、第1凸部および第1嵌合凸部が、側壁部から支柱部に跨る方向および該方向に交差する方向の2方向で、荷役可能状態にあるロール状資材を支える。
【発明の効果】
【0021】
本願に係るロール状資材の運搬保管用部材によれば、荷役可能状態にあるロール状資材の上下左右の何れの方向についても、他のロール状資材と隣接配置する際に、側壁部間で第1凸部と第1嵌合凹部、および第1凹部と第1嵌合凸部とを各々嵌合させることができる。上下に積載する際、または左右に連結する際、隣接配置される荷役可能状態にあるロール状資材の配置の向きを選ぶ必要はなく、どの向きに配置しても嵌合状態とすることができる。隣接配置する際の作業性の自由度が確保される。
【0022】
また、互いに嵌合される第1凸部と第1嵌合凹部、および第1凹部と第1嵌合凸部とは、何れも側壁部から支柱部に跨って形成されており、側壁部内に形成される場合と比較して長尺状の形状を有している。そのため、互いに嵌合する第1凸部と第1嵌合凹部、および第1凹部と第1嵌合凸部との嵌合状態において対向する辺を十分な長さとすることができる。外力が加わった場合に外力を受けるのは嵌合状態にある対向辺である。対向辺が十分な長さを備えることで、外力に耐えて嵌合状態を維持することができ嵌合強度の向上を図ることができる。
【0023】
更に、荷役可能状態にあるロール状資材を載置する載置面(底面)にあたる側壁部の第1凸部および第1嵌合凸部は、側壁部から支柱部に跨って形成され、側壁部内に形成される場合と比較して長尺状の形状を有しているため、荷役可能状態にあるロール状資材を載置する際の載置面の面積を大きくすることができる。このため、載置時の自立安定性が向上する。
【0024】
また、各側壁部に同一に、少なくとも1対の第2凸部および第2凹部を備えてやれば、これらも隣接配置の際の嵌合に供されると共に載置面としても機能する。嵌合状態および載置の際の自立安定性をより強固にすることができる。
【0025】
また、側壁部から支柱部に跨る方向および該方向に交差する方向の2方向に第1凸部および第1嵌合凸部が形成され、各々、第1嵌合凹部および第1凹部に嵌合すれば、少なくとも2方向で外力に耐えることができる。外力の方向に関わらず嵌合状態を維持することができ、嵌合強度の更なる向上を図ることができる。また、ロール状資材の載置面(底面)においてロール状資材を支持する際にも、第1凸部および第1嵌合凸部が2方向の面を有するので、自立安定性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ロール状資材を運搬保管用部材で支持する際の構成を示す分解斜視図である。
【図2】運搬保管用部材1をロール状資材Rに対向する側から見た斜視図である。
【図3】運搬保管用部材1をロール状資材Rとは反対側から見た斜視図である。
【図4】運搬保管用部材1を側壁部側から見た平面図である。
【図5】運搬保管用部材1が隣接配置する際の側壁部間の嵌合の様子を示す図である。
【図6】運搬保管用部材1が隣接配置された状態を示す図である。
【図7】別例の運搬保管用部材1Aをロール状資材Rに対向する側から見た斜視図である。
【図8】別例の運搬保管用部材1Aを側壁部側から見た平面図である。
【図9】別例の運搬保管用部材1Aが隣接配置する際の側壁部間の嵌合の様子を示す図である。
【図10】運搬保管用部材で支持された荷役可能状態にあるロール状資材を縦横に並べて配置した様子を示す図である。
【図11】回収搬送などのために運搬保管用部材1を積層した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、ロール状資材Rが運搬保管用部材1に支持されて運搬あるいは保管に供される荷役可能状態とする際の構成を示す分解斜視図である。ロール状資材Rはフィルム状の長尺シートがボビン部BOに巻回されて構成される。ロール状資材Rの巻回軸の両端にロール状資材Rを挟んで1対の運搬保管用部材1、1をボビンBOに当接させ結束バンドBAを架け渡す。これにより、ロール状資材Rは1対の運搬保管用部材1、1と共に固定され荷役可能状態となる。本実施形態では、後述する運搬保管用部材1の中央部から突出して設けられている支持部13がボビン部BOの中空孔に挿入されて取り付けられる。荷役可能状態により、運搬保管用部材1はロール状資材Rを保護するように支持し、運搬あるいは保管が可能な状態とされる。
【0028】
図2、3に運搬保管用部材1の斜視図を示す。図2はロール状資材Rに対向する側から見た斜視図であり、図3はロール状資材Rとは反対側から見た斜視図である。
【0029】
先ず、図2を参照してロール状資材Rに対向する面について説明する。ロール状資材Rに対向して矩形形状の平板部11を備えている。平板部11の周縁にある4辺には、平板部11の後方に略直角に屈曲して連接される側壁部12を備えている。
【0030】
平板部11の中央部には、円筒状の支持部13が突出している。支持部13は、例えば、基端部から先端部に向かうに従って横断面の径が順次小さくなる円錐台状の形状を有している。また、外側面に凹凸あるいはリブを備える等の構成を有してもよい。これにより、支持部13をロール状資材Rのボビンの中空孔に挿入する際、両者の嵌合強度を確保することができる。
【0031】
平板部11の4つの頂点に対応する隅部には、支持部13と同じ方向に突出して支柱部14が立設されている。支柱部14の先端には、円盤状の嵌合盤15が形成されている。支柱部14および嵌合盤15は、図11に示すように、運搬保管用部材1の回収のための搬送の際に、運搬保管用部材1を積層するための支柱および積層される運搬保管用部材1への当接部となる。
【0032】
次に、図3を参照してロール状資材Rとは反対側である裏面について説明する。裏面には運搬保管用部材1の強度を確保するための複数のリブが形成されている。
【0033】
中央部にあって支持部13の裏面に対応する位置には支持部13の径より大径の中央円環リブ21が形成されている。回収搬送などのために運搬保管用部材1を積層した状態(図11)で、中央円環リブ21の内側面には支持部13の外側面が当接あるいは近接して収納される。この場合、支持部13の先端は、中央円環リブ21の内側面の奥部に形成される段部21aに近接する位置にまでもぐりこんで収納される。運搬保管用部材1が積層された状態では、支持部13の先端と段部21aとは所定の間隙を有した状態で積層される。運搬保管用部材1の個体間のバラツキや経時変形が生じたとしても、支持部13の先端と段部21aとの当接が、支柱部14の先端に設けられている嵌合盤15と隅部嵌合室内対角リブ23aとの当接より先になることはない。これにより、積層時には、嵌合盤15と隅部嵌合室内対角リブ23aとの当接が確実に行なわれ、安定して積層することができる。
【0034】
各隅部には、交差する2辺の側壁部12とこれに連接される区画壁22aにより略矩形環状に隅部嵌合室22が形成されている。運搬保管用部材1の積層の際、隅部嵌合室22に嵌合盤15が嵌合する。また、対角上に位置する隅部嵌合室22を結ぶ対角線上に、中央円環リブ21と区画壁22aとを連結する対角リブ23が形成されている。更に、対角リブ23から延長される対角線上であって隅部嵌合室22内の対角線に沿って、隅部嵌合室内対角リブ23aが形成されている。ここで、隅部嵌合室内対角リブ23aは対角リブ23に対して、嵌合盤15の厚み分、奥まった位置にリブが形成されている。運搬保管用部材1の積層の際、嵌合盤15の先端部と隅部嵌合室内対角リブ23aとが当接する。
【0035】
更に、互いに対向する2辺の側壁部12の各々は他の辺の側壁部12の長さ方向に平行に側壁連結リブ24が形成されている。中央円環リブ21の両側に1つずつ形成される。また、側壁部12の長さ方向に平行に、隣接する区画壁22aを連結する区画壁連結リブ25が形成されている。また、側壁部12と中央円環リブ21とを連結する側壁・中央円環連結リブ26が形成されている。更に、隣接する側壁連結リブ24を連結し、これを側壁部12に連結する補助リブ27が形成されている。
【0036】
次に、図2ないし図4により、側方の構成について説明する。図4は側壁部12の平面図である。ここで、側壁部12は4辺の何れについても同一の形状を有している。
【0037】
側壁部12の両端部には支柱部14が連接されている。各々の端部において、側壁部12から支柱部14に跨る領域は、鈎型に屈曲したL字状形状の面端凸部31と面端凹部31aとで二分される。一方の端部にある面端凸部31は他方の端部にある面端凹部31aと、支持部13に支持されるロール状資材の巻回軸に平行な側壁部12の中心線XXに対して線対称の位置関係に配置されている。
【0038】
また、側壁部12の中央部には、側壁部12の厚み方向を二分して側壁部12の長さ方向に伸長した矩形形状の面央凸部32と面央凹部32aとが対に形成されている。そして、この対の形状が中心線XXを挟んで左右に並んで形成されている。面央凸部32と面央凹部32aとの厚み方向の配置位置は、中心線XXを挟んで左方と右方とでは反対である。すなわち、一方の側にある面央凸部32と他方の側にある面央凹部32aとは、互いに中心線XXに対して線対称の位置関係に配置されている。
【0039】
ここで、面端凸部31および面央凸部32は、その頂部が側壁部12に平行な面で区画されている。面端凸部31および面央凸部32の基端部から頂部までは同じ高さとされる。したがって、荷役可能状態にあるロール状資材Rをパレット等に載置した場合、その載置面(底面)としてロール状資材Rを支える面は、2つの面端凸部31の頂部および2つの面央凸部32の頂部の合計4つの頂部である。面央凸部32による側壁部12の長さ方向に沿った方向および面端凸部31のうち側壁部12の長さ方向に沿った方向に加えて、面端凸部31のうち支柱部14の立設方向に沿った方向にも載置面(底面)となる頂部を有して載置される。2方向に載置面(底面)を有しており、自立安定性に優れた状態で載置することができる。
【0040】
また、これらの面端凸部31、面端凹部31a、面央凸部32、および面央凹部32aの位置関係は、4辺の側壁部12において同一に形成されている。このため、荷役可能状態にあるロール状資材Rを左右または上下に並べて隣接配置する際、各々のロール状資材Rの配置方向に制約はない。
【0041】
隣接配置する際の側壁部12にある凸部と凹部との嵌合の様子を図5に示す。2辺の側壁部12を対向させた場合、一方の面端凸部31と他方の面端凹部31a、および一方の面央凸部32と他方の面央凹部32aとは、互いに当接して嵌合する位置関係にある。
【0042】
したがって、図6に示すように、荷役可能状態にあるロール状資材Rが隣接配置されると、対向する側壁部12は、各々の面端凸部31と面端凹部31a、面央凸部32と面央凹部32aとが当接し互いに嵌合して、荷役可能状態にあるロール状資材Rが隣接配置される。
【0043】
この場合、側壁部12において、面端凸部31あるいは面端凹部31aと、面央凸部32および面央凹部32aとの間、また、2組の面央凸部32および面央凹部32aの間に、バンド掛渡部33が形成されている。バンド掛渡部33は、ロール状資材Rの両側を1対の運搬保管用部材1で挟み込んで結束する際、結束バンドBAを架け渡す箇所である。隣接配置された際に架け渡されている結束バンドBAにより嵌合が不十分な状態にならないように、結束バンドBAが収まるような幅を設けて形成されている。また、結束バンドBAの厚みに対応する間隙33aが形成されるように形成されている。
【0044】
嵌合は、側壁部12の長さ方向に沿った方向と、支柱部14の立設方向に沿った方向、すなわち側壁部12の長さ方向に交差する厚み方向に沿った方向との2方向に、凸部と凹部とが対向するように構成されている。面央凸部32と面央凹部32aとの嵌合、および面端凸部31と面端凹部31aとの嵌合のうち側壁部12の長さ方向に沿った部分による嵌合により、側壁部12の長さ方向に沿った方向に対向面を有して嵌合される。この対向面により、側壁部12の厚み方向の嵌合強度が確保される。また、面端凸部31と面端凹部31aとの嵌合のうち支柱部14に沿った方向に対向面を有して嵌合される。この対向面により、側壁部12の長さ方向に嵌合強度が確保される。更に、これらの2方向に嵌合強度が確保されることにより、捻り方向にも嵌合強度を確保することができる。
【0045】
図10に示すように、荷役可能状態にあるロール状資材Rの縦方向への段積みや横方向への連結配置などの隣接配置の場合に、縦方向、横方向、および捻り方向の何れの方向への外力に対しても嵌合状態が維持されるため、縦横に並べて運搬保管する際にも相互の位置ズレや荷崩れなどを有効に防止することができる。
【0046】
図7には、別例の運搬保管用部材1Aについて、ロール状資材Rに対向する側から見た斜視図を示す。図8は運搬保管用部材1Aを側壁部側から見た平面図である。尚、平面図は、4辺において同一の形状を有している。
【0047】
運搬保管用部材1Aでは、運搬保管用部材1における面端凸部31と面端凹部31aに代えて、面端凸部41と面端凹部41aとを備えている。その他の構成は運搬保管用部材1の場合と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0048】
側壁部12の各々の端部において、側壁部12から支柱部14に跨る領域は、方形状の面端凸部41と、面端凸部41が嵌合する凹部である面端凹部41aとで二分される。一方の端部にある面端凸部41は他方の端部にある面端凹部41aと、側壁部12の中心線XXに対して線対称の位置に配置されている。
【0049】
面端凹部41aは面端凸部41に隣接した位置にある。一方の端部では、外端部に面端凸部41を備え、その内方に面端凹部41aが隣接する。他方の端部では、外端部に面端凹部41aを備え、その内方に面端凸部41が隣接する。外端部に配置される面端凹部41aは隣接する側壁部12の一方の外端部に配置されている面端凸部41の側壁を兼ねている。
【0050】
面端凸部41は、その頂部が側壁部12に平行な面で区画されており、面央凸部32と共に基端部から頂部までは同じ高さとされる。したがって、運搬保管用部材1Aにより荷役可能状態にあるロール状資材Rをパレット等に載置した場合、その載置面(底面)としてロール状資材Rを支える面は、2つの面端凸部41、および2つの面央凸部32の合計4つの凸部である。面央凸部32による側壁部12の長さ方向に沿った方向に加えて、面端凸部41による支柱部14に沿った方向にも載置面(底面)となる頂部を有して載置される。載置面(底面)を2方向に有しており、運搬保管用部材1の場合と同様に、自立安定性に優れた状態で載置することができる。
【0051】
また、運搬保管用部材1の場合と同様に、運搬保管用部材1Aにおいても、面端凸部41、面端凹部41a、面央凸部32、および面央凹部32aの位置関係は、4辺の側壁部12において同一に形成されている。このため、荷役可能状態にあるロール状資材Rを左右または上下に隣接配置する際、各々のロール状資材Rの配置方向に制約はない。
【0052】
隣接配置する際の側壁部12にある凸部と凹部との嵌合の様子を図9に示す。2辺の側壁部12を対向させた場合、一方の面端凸部41と他方の面端凹部41a、および一方の面央凸部32と他方の面央凹部32aとは、互いに嵌合し合う位置関係である。
【0053】
したがって、運搬保管用部材1の場合(図6)と同様に、運搬保管用部材1Aが隣接配置されると、その対向する側壁部12は、各々の面端凸部41と面端凹部41a、面央凸部32と面央凹部32aとが互いに嵌合して隣接配置することができる。
【0054】
嵌合は、運搬保管用部材1の場合と同様に、側壁部12の長さ方向に沿った方向と、支柱部14の立設方向に沿った方向、すなわち側壁部12の長さ方向に交差する厚み方向に沿った方向との2方向に、凸部と凹部とが対向するように構成されている。これにより、これらの2方向に嵌合強度が確保される。更に、これらの2方向の嵌合により捻り方向にも嵌合強度を確保することができる。
【0055】
図10に示すような縦方向への段積みや横方向への連結配置などの隣接配置の場合に、縦方向、横方向、および捻り方向の何れの方向への外力に対しても嵌合状態が維持されるため、縦横に並べて運搬保管する際にも相互の位置ズレや荷崩れなどを有効に防止することができる。
【0056】
ここで、側壁部12の一方の端部にある面端凸部31、41は第1凸部または第1嵌合凸部の何れか一方の一例であり、側壁部12の他方の端部にある面端凸部31、41は第1凸部または第1嵌合凸部の何れか他方の一例である。同様に、側壁部12の一方の端部にある面端凹部31a、41aは第1凹部または第1嵌合凹部の何れか一方の一例であり、側壁部12の他方の端部にある面端凹部31a、41aは第1凹部または第1嵌合凹部の何れか他方の一例である。また、面央凸部32は第2凸部の一例あり、面央凹部32aは第2凹部の一例である。
【0057】
以上、詳細に説明したように、本発明の実施形態によれば、ロール状資材Rを挟み込み荷役可能状態とする運搬保管用部材1または1Aにより、上下左右の何れの方向に隣接配置する場合にも、運搬保管用部材1または1Aの側壁部12間で、面端凸部31または41と面端凹部31aまたは41a、および面央凸部32と面央凹部32aとが嵌合して、部材間のガタつきなく隣接配置することができる。この場合、隣接配置される荷役可能状態にあるロール状資材Rの配置方向を選ぶ必要はなく、どの向きに配置しても嵌合状態を形成することができる。
【0058】
また、互いに嵌合される、面端凸部31と面端凹部31a、または面端凸部41と面端凹部41aとは、側壁部12から支柱部14に跨がる領域に形成される。側壁部12内に形成される面央凸部32と面央凹部32aとによる側壁部12の長さ方向に沿った嵌合に加えて、支柱部14に沿った方向、すなわち側壁部12の厚み方向にも嵌合される。異なる2方向に嵌合されるため、外力の方向に関わらず嵌合状態を維持することができ、嵌合強度の向上を図ることができる。また、ロール状資材の載置面(底面)とされる場合にも、2方向に載置面(底面)を有してロール状資材Rを支持するので、自立安定性を良好とすることができる。
【0059】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
【0060】
例えば、実施形態では、支持部13は平板部11から突出して形成され、ロール状資材Rのボビン部BOの中空孔に挿入されるとして説明したが、本願はこれに限定されるものではない。ボビン部BOがロール状資材Rの端面から突出する構成であれば、平板部11に開孔を形成することにより支持部とすることもできる。
【0061】
また、側壁部12から支柱部14に跨る領域を二分する構成として、L字状形状を有する面端凸部31および面端凹部31a、または方形状を有する面端凸部41および面端凹部41aを例示して説明したが、本願はこれに限定されるものではない。側壁部12から支柱部14に跨る領域を二分する構成であれば、これ以外の構成とすることも可能である。例えば、三角形形状で二分することができる。また、U字状形状等も可能である。特に、側壁部12の長さ方向と、この方向と交差する厚み方向に嵌合時に対向する壁を有する形状であれば、外力の方向に依らず嵌合状態を保持する強度を有することができる。
【0062】
また、側壁部12に2組の面央凸部32および面央凹部32aを備える構成を例示したが、本願はこれに限定されるものではない。3組以上の構成とすれば、嵌合強度の向上および載置した際の自立安定性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1、1A 運搬保管用部材
11 平板部
12 側壁部
13 支持部
14 支柱部
15 嵌合盤
21 中央円環リブ
22 隅部嵌合室
22a 区画壁
23 対角リブ
23a 隅部嵌合室内対角リブ
24 側壁連結リブ
25 区画壁連結リブ
26 側壁・中央円環連結リブ
27 補助リブ
31、41 面端凸部
31a、41a 面端凹部
32 面央凸部
32a 面央凹部
33 バンド掛渡部
BA 結束バンド
BO ボビン部
R ロール状資材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ1組で使用され、各個がロール状資材のボビン部の各々の端部を支持することにより、前記ボビン部を両側から挟み込んで前記ロール状資材の運搬保管に供されるロール状資材の運搬保管用部材であって、
矩形形状の平板部と、
平板部の中央部に設けられ前記ロール状資材の前記ボビン部を支持する支持部と、
前記平板部の周縁に連接される矩形形状の側壁部と、
前記平板部の各隅部にあって前記平板部に立設して設けられる支柱部とを備え、
前記側壁部の一方の端部には、前記側壁部から前記支柱部に跨り、前記一方の端部の第1位置に配置される第1凸部と、前記第1位置に隣接する第2位置に配置される第1凹部とを備え、
前記側壁部の他方の端部には、前記支持部に支持される前記ロール状資材の巻回軸と平行な前記側壁部の中心線に対して、前記第1凸部を線対称に折り返した場合に嵌合する第1嵌合凹部と、前記中心線に対して、前記第1凹部を線対称に折り返した場合に嵌合する第1嵌合凸部とを備え、
各々の前記側壁部の間で、端部間における前記第1凸部、前記第1凹部、前記第1嵌合凹部、および前記第1嵌合凸部の位置関係は同一であることを特徴とするロール状資材の運搬保管用部材。
【請求項2】
前記側壁部は、前記支持部に平行な前記側壁部の中心線を挟んで左右対称の位置に、前記中心線に対して線対称に折り返した場合に互いに嵌合する、少なくとも一対の第2凸部と第2凹部とを備え、
各々の前記側壁部の間で、前記第2凸部および前記第2凹部の位置関係は同一であることを特徴とする請求項1に記載のロール状資材の運搬保管用部材。
【請求項3】
前記第1凸部および前記第1嵌合凸部は、前記側壁部から前記支柱部に跨る方向および該方向に交差する方向の2方向に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のロール状資材の運搬保管用部材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−67395(P2013−67395A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205455(P2011−205455)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】