説明

ロール紙カッタ

【課題】コアレスタイプのように巻き癖がきついロール紙を使用しても紙ジャムが発生しないロール紙カッタを提供することを目的とする。
【解決手段】紙ガイド板(4)に、紙ガイド板の下端から下方に延伸する補助ガイド(100)を取り付け、補助ガイドの下端を可動刃(20)の移動範囲外で固定刃(10)の上面に略接するようにし、補助ガイドが紙巾方向の中央部分を含んで両側部へ広がっており、下端がロール紙切断後に停止した可動刃の形状にそってスリット(3)の側に突出しているようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートカッタ、特にロール紙のカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
ECR(電子式金銭登録機)、POS(端末式金銭登録機)、ATM(現金自動支払い機)等ではレシート等を作成するためにロール紙を使用することが多い。この場合、通常フレームの下側に配置されたプリンタ等により各行の印刷が終了する毎にロール紙はフレームに設けたスリットから送り出されてきて全ての印刷が終了すると、フレームに取り付けられている固定刃の上を中央が凹んだ略V字形状の可動刃を摺動させて切断される。そして、ロール紙がスムーズに送りだされるように固定刃の上方に紙ガイドを設けてロール紙が送り出される際にその先端が紙ガイドに当たるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の紙ガイドと固定刃の間には可動刃の摺動を可能にするために隙間が設けられている。
一方、近年、環境問題等から廃材の発生を抑制するために芯材を有さずロール紙を最終部分まで使えるようにしたコアレスタイプのロール紙が使用されることが多いが、コアレスタイプのロール紙では中心部の巻き癖がきついために紙が送り出される際に、先端が紙ガイドと固定刃の間の隙間に入り込み、紙ジャムを発生することがある。
本発明は、上記問題に鑑み、コアレスタイプのように巻き癖がきついロール紙を使用しても紙ジャムが発生しないロール紙カッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、ロール紙が排出されるスリットを有するフレームと、フレームのロール紙排出側において、スリットよりもロール紙の巻き癖側のフレーム上に配設され、スリット側の端部の上縁に刃先を有する固定刃と、ロール紙が所定量出てきた後に、フレーム上をスリットのロール紙の反巻き癖側から巻き癖側に摺動して固定刃と協働してロール紙を切断する可動刃であって、中央部分が反巻き癖側に凹み、側方の両翼部分が巻き癖側に突出した略V字形を有し、切断後は両翼部が略紙ガイドの位置で、中央部分が略スリットの位置、で停止するようにされている可動刃と、スリットよりも巻き癖側において、固定刃の上方でフレームに対して上方に延伸するように配設され、下端が可動刃が移動できるように固定刃から離間されている紙ガイド板と、を有するロール紙カッタにおいて、紙ガイド板に、紙ガイド板の下端から下方に延伸する補助ガイドを取り付け、補助ガイドの下端を可動刃の移動範囲外で固定刃の上面に略接するようにし、補助ガイドが紙巾方向の中央部分を含んで両側部へ広がっており、下端がロール紙切断後に停止した可動刃の形状にそってスリット側に突出しているようにした、ことを特徴とするロール紙カッタが提供される。
【0005】
このように構成されたロール紙カッタではスリットから排出されるロール紙の先端は補助ガイドに当たり、固定刃と紙ガイドの間に入りこまない。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロール紙カッタでは、上記のように、スリットから排出されるロール紙の先端は補助ガイドに当たるので、巻き癖が強いコアレスタイプのロール紙の最終部分においても、固定刃と紙ガイドの間に入りこまず紙ジャムを防止できる。その結果、コアレスタイプのロール紙の使用が促進されて省資源、省ゴミ化に貢献することができる。
そして、補助ガイドが紙巾方向の中央部分を含んで両側部へ広がっており、下端がロール紙切断後に停止した可動刃の形状にそってスリット側に突出しているので、スリットから排出されるロール紙の先端は、広い巾にわたってスリットから排出された直後に補助ガイドに当たり、確実に紙ジャムを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の参考例の側面図である。
【図2】第1の参考例の部分上面図である。
【図3】第1の参考例の部分斜視図である。
【図4】第2の参考例の部分斜視図である。
【図5】第3の参考例の側面図である。
【図6】第3の参考例の部分上面図である。
【図7】第3の参考例の部分斜視図である。
【図8】第4の参考例の部分斜視図である。
【図9】第4の参考例の側面図である。
【図10】第4の参考例の部分上面図である。
【図11】本発明の実施形態の部分斜視図である。
【図12】本発明の実施形態の部分上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は第1の参考例のロール紙カッタを説明する側面図であって、図1を参照すると、ロアフレーム1とアッパフレーム2が隙間を設けて配設されていて、ロアフレーム1にはスリット3が形成されており、アッパフレーム2には従来と同じ形状の紙ガイド4が付設されている。
そして、紙ガイド4に一体成形された補助ガイド100が、紙ガイド4の底部から下方に延びており、その下端は後述の固定刃10の上面に殆ど接する迄延伸している。
【0009】
ロアフレーム1のスリット3より図中右側の部分は図中下方に若干傾斜していて、その傾斜した部分に固定刃10が付設されていて、固定刃10の端面11はスリット3の右側の面3aと面一にされていて、その上部の縁12は鋭利に成形されている。
【0010】
可動刃20は図示しない駆動手段によって図中左右方向に移動せしめられるが、その際、可動刃20の下面が固定刃10の縁12に接するようにされている。
図2はスリット3と紙ガイド4と固定刃10と可動刃20の関係を上面図で示した図である。可動刃20は図2に示されるように、中央が凹んだ略V字形状とされ、両端に小突起21が設けられ、中心には小切り欠き22が設けられている。
そして、切断前には図2において実線でしめされるように両端の小突起21が固定刃10の上にあるような位置で待機し、切断後には図2に一点鎖線で示されるように中央の小切り欠き22がスリット3にかかる位置で停止する。
図1において可動刃20の右端の線は小切り欠き22を示している。
【0011】
図1に戻って、ロアフレーム1の下側には、ロール紙PのコアレスタイプのロールRが、例えば、図示のような断面V字形の受け具30により保持されている。太線で示されるのが現在使用中の最終部分のロールRの最終部分であり、細い一点鎖線で示したのがイニシャル状態のロールRである。ロール紙Pはそこから、ガイド31、および、少なくとも一方が駆動手段33により駆動される一対の送給ローラ32によって、沿ってプリント部34へ送られる。プリント部34はプリンタ35とプリント時に紙を裏から支える裏板36から成る。
なお、図1に示す受け具30、プリント部34の配置は一例に過ぎず、色々な配置が可能である。但し、ロールRは、この場合は、時計回り方向の巻き癖が付く方向に配置することが必要である。
【0012】
次に、上記のように構成された装置の作用を説明する。
前回の切断が終了するとロール紙Pは太い実線で示されるように先端が固定刃10の縁12に接するようにして停止しており、可動刃20はスリット3より左側の待機位置に移動されている。その状態で、今回の印刷をプリント部34のプリンタ35が裏板36と協働して開始する。
【0013】
1行分のプリントが終了すると、送給ローラ32がロール紙を1行分だけ送りだす。何行分かのプリントが終了すると、コアレスのロール紙Pの最終部分では巻き癖が強いために、ロール紙Pの先端は強く時計方向にまわり込むが、太い破線で示されるように紙ガイド4の下に設けた補助ガイド100に当たり、ロアフレーム1とアッパフレーム2の間に隙間Aに入り込み紙ジャムを発生することが防止される。
【0014】
必要な量の印刷が終了すると、例えば、ロール紙Pは太い一点鎖線で示されるような状態で停止せしめられる。
すると、可動刃20が図中右方向に移動してロール紙Pは切断されるが、可動刃20の中心に設けた切り込み22により、中心部は切断されずに、後続の部分とつながっており、風等により飛ばされることが防止される。
なお、この様に後続の部分とつなげることが必要なく完全切断する場合には可動刃20の切り込み22がスリット3より図中右側になるまで可動刃20を移動させるようにするか、あるいは、可動刃20に切り込み22を設けないようにすればよい。
図2において、太い実線で示されるのが、プリント前のロール紙の先端の位置である。
なお、図3は、図2の部分を斜視図で示した図である。
【0015】
次に、第2の参考例について図3と同様な斜視図でしめした図4を参照して説明する。この第2の参考例は図4に示されるように、補助ガイド110が別体に作られて紙ガイド4に取り付けられた点が第1の参考例と異なるが、他の点は第1の参考例と同じであり、作用、効果も第1の参考例と同じである。
【0016】
次に、第3の参考例について説明する。図5、6、7が第3の参考例をそれぞれ側面図、部分上面図、部分斜視図で示したものであって、補助ガイド120が可動刃20の移動を妨げない範囲で可動刃20の側に近づけられており、スリット3から出てきたロール紙Pはより早期に補助ガイド120に当たるので、紙ジャムの発生がより確実に防止できる。
なお、この第3の参考例の補助ガイド120も別体で作ることができる。
【0017】
次に、第4の参考例について説明する。図8、9、10が第4の参考例をとそれぞれ部分斜視図、側面図、部分上面図で示したものであって、補助ガイド130は別部材で立体的に形成され、その下側は絞られて可動刃側の先端は可動刃20の移動を妨げない範囲で可動刃20の切り欠き22の直近まで延伸している。したがって、スリット3から出てきたロール紙Pは直ぐにこの補助ガイド130にガイドされ、紙ジャムの発生がさらに確実に防止できる。
【0018】
次に、本発明の実施形態について説明する。図11、12が本発明の実施形態をそれぞれ部分斜視図、部分上面図で示したものであって、補助ガイド140は別部材で立体的に形成され、第1〜4の参考例が中央部分のみ設けられていたのに対し、横方向に延長されている。したがって、スリット3から出てきたロール紙Pは中央部分のみならず側部も直ぐにこの補助ガイド140にガイドされ、紙ジャムの発生がさらに確実に防止できる。
【符号の説明】
【0019】
1 ロアフレーム
2 アッパフレーム
3 スリット
4 紙ガイド
10 固定刃
20 可動刃
30 (ロール紙のロールの)受け部
34 プリント部
100、110、120、130、140 補助ガイド
P ロール紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙が排出されるスリットを有するフレームと、
フレームのロール紙排出側において、スリットよりもロール紙の巻き癖側のフレーム上に配設され、スリット側の端部の上縁に刃先を有する固定刃と、
ロール紙がスリットから所定量排出された後に、フレーム上をスリットのロール紙の反巻き癖側から巻き癖側に摺動して固定刃と協働してロール紙を切断する可動刃であって、中央部分が反巻き癖側に凹み、側方の両翼部分が巻き癖側に突出した略V字形を有し、切断後は両翼部が略紙ガイドの位置で、中央部分が略スリットの位置、で停止するようにされている可動刃と、
スリットよりも巻き癖側において、固定刃の上方でフレームに対して上方に延伸するように配設され、下端が可動刃が移動できるように固定刃から離間されている紙ガイド板と、を有するロール紙カッタにおいて、
紙ガイド板に、紙ガイド板の下端から下方に延伸する補助ガイドを取り付け、補助ガイドの下端を可動刃の移動範囲外で固定刃の上面に略接するようにし、
補助ガイドが紙巾方向の中央部分を含んで両側部へ広がっており、下端がロール紙切断後に停止した可動刃の形状にそってスリット側に突出している、ようにした、
ことを特徴とするカッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−214556(P2009−214556A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158137(P2009−158137)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【分割の表示】特願2000−191087(P2000−191087)の分割
【原出願日】平成12年6月21日(2000.6.21)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】