ロール紙スキュー補正方法及び画像形成装置
【課題】簡単で安価な構成で効率よくスキューを補正することができるロール紙スキュー補正方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録紙に画像を形成する画像形成部２と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部４と、該ロール紙収納部４にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、ロール紙を画像形成部２に向けて搬送するレジストローラ３４と、ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法であり、レジストローラ３４の駆動に対してロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、レジストローラ３４とロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し開始時において、レジストローラ３４の駆動開始をロール紙駆動手段の巻き戻し駆動開始よりも遅らせる。
【解決手段】記録紙に画像を形成する画像形成部２と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部４と、該ロール紙収納部４にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、ロール紙を画像形成部２に向けて搬送するレジストローラ３４と、ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法であり、レジストローラ３４の駆動に対してロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、レジストローラ３４とロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し開始時において、レジストローラ３４の駆動開始をロール紙駆動手段の巻き戻し駆動開始よりも遅らせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、記録紙にロール紙を用いる画像形成装置におけるロール紙スキュー補正方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
記録紙にロール紙を用いる画像形成装置では、ユーザーがロール紙をセットした際に正確に平行にセットされずに曲がっているとスキューとなり、スキューが発生すると、形成された画像にゆがみが生じ、画像品質が低下する。そして、ロール紙のスキューが悪化するとロール紙にシワが発生したり、ロール紙が現像可能領域から外れる等の問題を発生させる。
【０００３】
このようなスキューが発生した際、ロール紙の幅方向に応じたバックテンション力を付与し、スキューによって生じた有効搬送力偏差をなくすことでスキュー補正を行う機構を設けることが特許文献１に開示されている。
【０００４】
しかしながら、特許文献１に記載のスキュー補正方法ではロール紙の幅方向に応じたバックテンション力を付与させる機構であり、構造が複雑でコスト高になることが避けられないという問題があった。
【０００５】
また、特許文献２にはロール紙をセットした後、送り出し方向と巻き戻し方向との間でこれを数回往復させ、紙を正しい位置へ矯正するようにした装置が提案されている。
【０００６】
しかしながら、このような方法でロール紙を正しい位置に修正できるとすれば、ロール紙と搬送ローラ対との間でスリップが発生する必要があり、短時間で確実にスキューが修正されるとは限らない。さらに、カラー画像形成装置ではレジストローラである搬送ローラにスリップを生じやすいものを用いると、色ずれのない高品質のフルカラー画像の作成を阻害させるおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、簡単で安価な構成で効率よくスキューを補正することができるロール紙スキュー補正方法及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し開始時において、前記搬送ローラの駆動開始を前記ロール紙駆動手段の巻き戻し駆動開始よりも遅らせることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【０００９】
また、本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラの加速度を前記ロール紙駆動手段の加速度よりも低くすることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【００１０】
さらにまた、本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記ロール紙駆動手段の線速を増加させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【００１１】
さらにまた、本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記搬送ローラの線速を減少させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【００１２】
なお、本発明は、前記ロール紙の順送りと巻き戻しをスキューが矯正されるまで繰り返し行うと有利である。
さらにまた、本発明は上記目的を達成するため、請求項１ないし５の何れかに記載のロール紙スキュー補正方法を用いることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、装着したロール紙にスキューが生じていても、そのスキューを特別なローラニップ解放機構や、搬送負荷可変機構を設けることなく、短時間で補正することができる。したがって、スキュー補正時間の短縮によるダウンタイム低減やスキュー補正能力不足によるユーザーによるロール紙再セットの必要性低減等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視説明図である。
【図２】同装置の模式的側面説明図である。
【図３】スキュー条件での順送り時の力関係を示した説明図である。
【図４】スキューのない条件での順送り時の力関係を示した説明図である。
【図５】スキュー条件での巻き戻し時の力関係を示した説明図である。
【図６】本発明のスキュー補正動作を示すフローチャートである。
【図７】本発明の一実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【図８】本発明の別の実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【図９】本発明のさらに別の実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【図１０】本発明のさらに別の実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
図１は、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視説明図、図２は同装置の模式的側面説明図である。
【００１６】
ここに示したインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、記録装置本体１の内部には、画像形成部２、記録紙吸引搬送部３、ロール紙収納部４などが配置されている。
【００１７】
画像形成部２は、図示しない両側板又は背面ステーにガイドロッド１３及びガイドレール１４が掛け渡され、これらのガイドロッド１３及びガイドレール１４にキャリッジ１５が矢示Ａ方向に摺動可能に保持されている。キャリッジ１５は、ブラック（Ｋ）、イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド（図示せず）が搭載されている。各記録ヘッドには図示しないが、各記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが一体的に備えられている。そして、キャリッジ１５を移動走査する主走査機構は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ２１と、駆動モータ２１によって回転駆動される駆動プーリ２２と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ２３と、駆動プーリ２２と従動プーリ２３との間に掛け回されたベルト部材２４とを備えている。なお、従動プーリ２３は、図示しないテンションスプリングによって外方（駆動プーリ２２に対して離れる方向）にテンションが掛かっている。ベルト部材２４は、キャリッジ１５の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、矢印Ａで示す主走査方向にキャリッジ１５を牽引する。
【００１８】
また、キャリッジ１５の主走査方向に沿ってキャリッジの主走査位置を検知するためのエンコーダシート（図示せず）が配置され、キャリッジに設けたエンコーダセンサ（図示せず）によってエンコーダシートが読取られる。このキャリッジ１５における主走査領域のうち、記録領域では、記録紙が記録紙吸引搬送部３によってキャリッジ１５の主走査方向と直交する方向、すなわち、矢印Ｂで示す副走査方向に間欠的に搬送される。
【００１９】
また、主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構１８が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又は、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ１９が記録装置本体１に対して着脱自在に装着される。
【００２０】
画像形成部２の下方には、ロール紙収容部４が設けられ、該ロール紙収容部に記録紙としてのロール紙３０がセットされている。ロール紙３０は、その紙軸に両側からフランジ３１を装着し、フランジ受け３２に載置する。フランジ受け３２の内部には、図示しない支持コロが設けられ、支持コロがフランジ３１の外周と当接することでフランジ３１が回転し、ロール紙３０が給送される。なお、フランジ受け３２の位置を調整することで、ロール紙は幅方向（矢印Ａ方向）のサイズが異なるロール紙がセット可能である。また、ロール紙駆動手段とロール紙を巻き出す及び巻き戻す方向に回転するもので、本例では上記支持コロ及びそれを可逆転させる駆動源等でロール紙駆動手段を構成している。
【００２１】
ロール紙収容部４から巻き解かれるロール紙３０は、記録装置本体１が図２の左方を正面とすると、ロール紙駆動手段及びローラ対３３によって搬送され、ロール紙が、図示していない案内手段を介してその後方から上方、そして前方へ向かい、搬送ローラであるレジストローラ３４、３５に挟持されると、ロール紙駆動手段は駆動を停止し、ローラ対３３も駆動を停止してニップを開放する。したがって、印字中のロール紙３０はレジストローラ３４、３５により搬送される。なお、レジストローラは３４が駆動ローラ、３５が従動ローラである。
【００２２】
印字時のロール紙３０はレジストローラ３４、３５によって間欠搬送され、ロール紙が止まる毎にキャリッジ１５を主走査方向に移動し、記録ヘッドが画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、ロール紙３０上に所要の画像が形成される。このとき、ロール紙収容部４には順送りするロール紙に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段が設けられ、ロール紙にバックテンションを付与することによって高精度の間欠搬送が得られる。このバックテンション付与手段の具体例としては、スプール軸の内部にネジリコイルバネを入れたものや、ロール紙と連れ回りするギヤにワンウェイクラッチやトルクリミッタを入れたものであって、ロール紙搬送力に逆らう力を与えている。そして、画像形成後の記録紙は図示していないカッターによって所定の長さにカットされ、装置本体１の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
【００２３】
このように構成されるインクジェット記録装置では、セットしたロール紙３０が曲がっている等によりロール紙３０がスキューしてしまうことがある。図３はロール紙がスキューしている場合の、順送り時に発生するスキューを補正する力である有効搬送力を説明する図である。
【００２４】
ロール紙３０が図３のようにスキューしていた場合、順送りすると、下端部領域はレジストローラ３４とロール紙３０の間で緊張している状態で、逆に上端部領域は弛みが生じている状態となる。よって、弛みが生じている上端部領域はバックテンションによる搬送負荷が減少し、負荷と搬送力のバランスによる有効搬送力分布が均一ではない状態となっている。この状態下で搬送すると、有効搬送力分布が均一になる方向、すなわち下端部の記録紙が張っている方向へ記録紙が移動し、スキューが徐々に改善されていく。
【００２５】
図４は、スキューがない、もしくはスキューが矯正されて安定した状態の模式図である。かかる状態では、紙送り方向がロール紙の軸に直角となると、搬送負荷も有効搬送力も均一となる。
【００２６】
そこで、スキューが生じているロール紙を補正するため、ロール紙を順送りに搬送する。このときの駆動対象はレジストローラ３４、３５のみであり、ロール紙駆動手段は作動せずバックテンションによる搬送負荷があることにより、順送りにおいて有効搬送力分布が均一になるように作用する。
【００２７】
かくして、スキューしているロール紙を順送りすることで不均一であった搬送負荷も有効搬送力も徐々に均一になり、スキューの改善が促される。しかし、このような順送りのみを行い続けると、スキュー補正を終えたころには多量のロール紙が巻き出されてしまい、その巻き出されたロール紙が機外に排出されると、紙がダメージを受ける。
【００２８】
このため、スキュー補正時に一定量順送りした後、巻き戻しを行うようにしてロール紙の必要以上の巻き出しを防止することが好ましい。一般に、ロール紙の巻き戻しはレジストローラ３４とロール紙駆動手段を等速に駆動して行うが、レジストローラ３４とロール紙駆動手段を等速に駆動する巻き戻し時にスキューが補正されることはない。
【００２９】
図５は同じスキュー条件での巻き戻し時の力関係を示した図である。
図５において、スキュー状態でロール紙３０を巻き戻すと、図中の上端部領域に緩みが発生し、紙の張力に偏りが発生し、レジストローラ３４の有効搬送力分布が均一ではない状態となる。この状態下で搬送すると、有効搬送力分布が均一になる方向、すなわち下端分の記録紙が張っている方向へ記録紙が移動するので、巻き戻しでもスキューは徐々に改善されていく。
【００３０】
そこで、本発明ではロール紙の巻き戻し時にもスキュー補正を行うようにするため、次のように構成している。
図６は本発明のスキュー補正動作を示すフローチャートの一例である。
【００３１】
図６において、例えば、キャリッジ１５にセンサ（図示せず）が搭載され、ロール紙が画像形成部２に進入すると、センサがロール紙の位置を確認し、ロール紙に許容を超えるスキューがあることを検出すると（ステップ１）、スキュー補正が開始される（ステップ２）。
【００３２】
スキュー補正は、まずロール紙の順送りを実施する（ステップ３）。その際、駆動対象はレジストローラ３４、３５のみであり、ロール紙駆動手段を作動しないことにより、不均一な有効搬送力分布が徐々に改善される。所定量、例えばロール紙が機外に搬送される直前、もしくは僅かに機外に排出された量の順搬送が行われると、その順送りが停止される（ステップ４）。
【００３３】
次に、レジストローラ３４とロール紙駆動手段を等速に駆動してロール紙の巻き戻しを行うが（ステップ５）、この巻き戻しの際、図７に示す線速のグラフから明らかなように、レジストローラ３４（実線で示す）より先にロール紙駆動手段（点線で示す）を起動することで、ロール紙給紙部とレジストローラ３４間の張力である搬送負荷を確保し、それによって巻き戻し時にもスキューを改善させている。なお、巻き戻し量は先に行った順送り量とほぼ同量である。
【００３４】
そして、ロール紙の巻き戻しが終了すると、センサがスキュー状態を検出してその情報からスキューが改善されたか否かを判断する（ステップ６）。そして、スキューが補正されておればスキュー補正を終了する（ステップ７）が、まだ許容以上のスキューが残っていれば上記ステップ３に戻る。
【００３５】
かくして、本実施形態ではスキューをロール紙の順送り及び巻き戻しの各工程において補正するので、より短時間で効率よく補正することができる。
図８は、本発明の別の実施形態を示すレジストローラ３４の線速（実線で示す）とロール紙駆動手段の線速（点線で示す）のグラフであり、図７ではレジストローラ３４より先にロール紙駆動手段を起動して搬送負荷を確保していたが、本例ではレジストローラ３４とロール紙駆動手段を同時に起動するが、ロール紙駆動手段をレジストローラ３４より急加速してある搬送速度に達するようにしている。これにより、ロール紙の搬送負荷を確保することができる。
【００３６】
図９は、本発明のさらに別の実施形態を示すレジストローラ３４の線速（実線で示す）とロール紙駆動手段の線速（点線で示す）のグラフであり、本例ではレジストローラ３４とロール紙駆動手段を同時に起動し、同時に所定の搬送速度に達した後、等速でロール紙を搬送するが、この等速搬送中に瞬間的にロール紙駆動手段の線速を増加させ、これを適当数繰り返す。この瞬間的なロール紙駆動手段の線速を増加によってロール紙の搬送負荷を確保することができる。
【００３７】
図１０は、本発明のさらに別の実施形態を示すレジストローラ３４の線速（実線で示す）とロール紙駆動手段の線速（点線で示す）のグラフであり、本例ではレジストローラ３４とロール紙駆動手段を同時に起動し、同時に所定の搬送速度に達した後、等速でロール紙を搬送するが、この等速搬送中に瞬間的にレジストローラ３４の線速を減少させ、これを適当数繰り返す。この瞬間的なレジストローラ３４の線速を減少によってロール紙の搬送負荷を確保することができる。
【００３８】
かくして、簡単な構成で巻き戻し時にロール紙駆動手段とレジストローラ３４間のロール紙の搬送負荷が得られることにより、巻き戻し時においても不均一な有効搬送力分布の改善が見込まれ、短時間でスキュー補正をすることができる。
【００３９】
ところで、図７ないし図１０にそれぞれ示したロール紙給紙部とレジストローラ３４間の搬送負荷を確保する方法はそれらを組み合わせて実施することもできる。具体的には、図７のレジストローラ３４より先にロール紙駆動手段を起動する方法は、図９の瞬間的にロール紙駆動手段の線速を増加させる方法や、図１０の瞬間的にレジストローラ３４の線速を減少させる方法と組み合わせて実施することができる。また、図８のロール紙駆動手段をレジストローラ３４より急加速してある搬送速度に達する方法も、図９の瞬間的にロール紙駆動手段の線速を増加させる方法や、図１０の瞬間的にレジストローラ３４の線速を減少させる方法と組み合わせて実施することができる。
【００４０】
このように方法を組み合わせることで、より確実に搬送負荷を得ることができ、スキュー補正の迅速化が期待できる。
【符号の説明】
【００４１】
２ 画像形成部
４ ロール紙収納部
３０ ロール紙
３４ レジストローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【００４２】
【特許文献１】特開２００９−２５６０６１号公報
【特許文献２】特開平０２−１０００６６号公報
【技術分野】
【０００１】
本発明は、記録紙にロール紙を用いる画像形成装置におけるロール紙スキュー補正方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
記録紙にロール紙を用いる画像形成装置では、ユーザーがロール紙をセットした際に正確に平行にセットされずに曲がっているとスキューとなり、スキューが発生すると、形成された画像にゆがみが生じ、画像品質が低下する。そして、ロール紙のスキューが悪化するとロール紙にシワが発生したり、ロール紙が現像可能領域から外れる等の問題を発生させる。
【０００３】
このようなスキューが発生した際、ロール紙の幅方向に応じたバックテンション力を付与し、スキューによって生じた有効搬送力偏差をなくすことでスキュー補正を行う機構を設けることが特許文献１に開示されている。
【０００４】
しかしながら、特許文献１に記載のスキュー補正方法ではロール紙の幅方向に応じたバックテンション力を付与させる機構であり、構造が複雑でコスト高になることが避けられないという問題があった。
【０００５】
また、特許文献２にはロール紙をセットした後、送り出し方向と巻き戻し方向との間でこれを数回往復させ、紙を正しい位置へ矯正するようにした装置が提案されている。
【０００６】
しかしながら、このような方法でロール紙を正しい位置に修正できるとすれば、ロール紙と搬送ローラ対との間でスリップが発生する必要があり、短時間で確実にスキューが修正されるとは限らない。さらに、カラー画像形成装置ではレジストローラである搬送ローラにスリップを生じやすいものを用いると、色ずれのない高品質のフルカラー画像の作成を阻害させるおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、簡単で安価な構成で効率よくスキューを補正することができるロール紙スキュー補正方法及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し開始時において、前記搬送ローラの駆動開始を前記ロール紙駆動手段の巻き戻し駆動開始よりも遅らせることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【０００９】
また、本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラの加速度を前記ロール紙駆動手段の加速度よりも低くすることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【００１０】
さらにまた、本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記ロール紙駆動手段の線速を増加させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【００１１】
さらにまた、本発明は、上記目的を達成するため、記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記搬送ローラの線速を減少させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法を提案する。
【００１２】
なお、本発明は、前記ロール紙の順送りと巻き戻しをスキューが矯正されるまで繰り返し行うと有利である。
さらにまた、本発明は上記目的を達成するため、請求項１ないし５の何れかに記載のロール紙スキュー補正方法を用いることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、装着したロール紙にスキューが生じていても、そのスキューを特別なローラニップ解放機構や、搬送負荷可変機構を設けることなく、短時間で補正することができる。したがって、スキュー補正時間の短縮によるダウンタイム低減やスキュー補正能力不足によるユーザーによるロール紙再セットの必要性低減等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視説明図である。
【図２】同装置の模式的側面説明図である。
【図３】スキュー条件での順送り時の力関係を示した説明図である。
【図４】スキューのない条件での順送り時の力関係を示した説明図である。
【図５】スキュー条件での巻き戻し時の力関係を示した説明図である。
【図６】本発明のスキュー補正動作を示すフローチャートである。
【図７】本発明の一実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【図８】本発明の別の実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【図９】本発明のさらに別の実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【図１０】本発明のさらに別の実施形態を示す巻き戻し時のスキュー補正時のレジストローラとロール紙駆動手段の線速のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
図１は、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視説明図、図２は同装置の模式的側面説明図である。
【００１６】
ここに示したインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、記録装置本体１の内部には、画像形成部２、記録紙吸引搬送部３、ロール紙収納部４などが配置されている。
【００１７】
画像形成部２は、図示しない両側板又は背面ステーにガイドロッド１３及びガイドレール１４が掛け渡され、これらのガイドロッド１３及びガイドレール１４にキャリッジ１５が矢示Ａ方向に摺動可能に保持されている。キャリッジ１５は、ブラック（Ｋ）、イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド（図示せず）が搭載されている。各記録ヘッドには図示しないが、各記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが一体的に備えられている。そして、キャリッジ１５を移動走査する主走査機構は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ２１と、駆動モータ２１によって回転駆動される駆動プーリ２２と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ２３と、駆動プーリ２２と従動プーリ２３との間に掛け回されたベルト部材２４とを備えている。なお、従動プーリ２３は、図示しないテンションスプリングによって外方（駆動プーリ２２に対して離れる方向）にテンションが掛かっている。ベルト部材２４は、キャリッジ１５の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、矢印Ａで示す主走査方向にキャリッジ１５を牽引する。
【００１８】
また、キャリッジ１５の主走査方向に沿ってキャリッジの主走査位置を検知するためのエンコーダシート（図示せず）が配置され、キャリッジに設けたエンコーダセンサ（図示せず）によってエンコーダシートが読取られる。このキャリッジ１５における主走査領域のうち、記録領域では、記録紙が記録紙吸引搬送部３によってキャリッジ１５の主走査方向と直交する方向、すなわち、矢印Ｂで示す副走査方向に間欠的に搬送される。
【００１９】
また、主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構１８が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又は、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ１９が記録装置本体１に対して着脱自在に装着される。
【００２０】
画像形成部２の下方には、ロール紙収容部４が設けられ、該ロール紙収容部に記録紙としてのロール紙３０がセットされている。ロール紙３０は、その紙軸に両側からフランジ３１を装着し、フランジ受け３２に載置する。フランジ受け３２の内部には、図示しない支持コロが設けられ、支持コロがフランジ３１の外周と当接することでフランジ３１が回転し、ロール紙３０が給送される。なお、フランジ受け３２の位置を調整することで、ロール紙は幅方向（矢印Ａ方向）のサイズが異なるロール紙がセット可能である。また、ロール紙駆動手段とロール紙を巻き出す及び巻き戻す方向に回転するもので、本例では上記支持コロ及びそれを可逆転させる駆動源等でロール紙駆動手段を構成している。
【００２１】
ロール紙収容部４から巻き解かれるロール紙３０は、記録装置本体１が図２の左方を正面とすると、ロール紙駆動手段及びローラ対３３によって搬送され、ロール紙が、図示していない案内手段を介してその後方から上方、そして前方へ向かい、搬送ローラであるレジストローラ３４、３５に挟持されると、ロール紙駆動手段は駆動を停止し、ローラ対３３も駆動を停止してニップを開放する。したがって、印字中のロール紙３０はレジストローラ３４、３５により搬送される。なお、レジストローラは３４が駆動ローラ、３５が従動ローラである。
【００２２】
印字時のロール紙３０はレジストローラ３４、３５によって間欠搬送され、ロール紙が止まる毎にキャリッジ１５を主走査方向に移動し、記録ヘッドが画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、ロール紙３０上に所要の画像が形成される。このとき、ロール紙収容部４には順送りするロール紙に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段が設けられ、ロール紙にバックテンションを付与することによって高精度の間欠搬送が得られる。このバックテンション付与手段の具体例としては、スプール軸の内部にネジリコイルバネを入れたものや、ロール紙と連れ回りするギヤにワンウェイクラッチやトルクリミッタを入れたものであって、ロール紙搬送力に逆らう力を与えている。そして、画像形成後の記録紙は図示していないカッターによって所定の長さにカットされ、装置本体１の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
【００２３】
このように構成されるインクジェット記録装置では、セットしたロール紙３０が曲がっている等によりロール紙３０がスキューしてしまうことがある。図３はロール紙がスキューしている場合の、順送り時に発生するスキューを補正する力である有効搬送力を説明する図である。
【００２４】
ロール紙３０が図３のようにスキューしていた場合、順送りすると、下端部領域はレジストローラ３４とロール紙３０の間で緊張している状態で、逆に上端部領域は弛みが生じている状態となる。よって、弛みが生じている上端部領域はバックテンションによる搬送負荷が減少し、負荷と搬送力のバランスによる有効搬送力分布が均一ではない状態となっている。この状態下で搬送すると、有効搬送力分布が均一になる方向、すなわち下端部の記録紙が張っている方向へ記録紙が移動し、スキューが徐々に改善されていく。
【００２５】
図４は、スキューがない、もしくはスキューが矯正されて安定した状態の模式図である。かかる状態では、紙送り方向がロール紙の軸に直角となると、搬送負荷も有効搬送力も均一となる。
【００２６】
そこで、スキューが生じているロール紙を補正するため、ロール紙を順送りに搬送する。このときの駆動対象はレジストローラ３４、３５のみであり、ロール紙駆動手段は作動せずバックテンションによる搬送負荷があることにより、順送りにおいて有効搬送力分布が均一になるように作用する。
【００２７】
かくして、スキューしているロール紙を順送りすることで不均一であった搬送負荷も有効搬送力も徐々に均一になり、スキューの改善が促される。しかし、このような順送りのみを行い続けると、スキュー補正を終えたころには多量のロール紙が巻き出されてしまい、その巻き出されたロール紙が機外に排出されると、紙がダメージを受ける。
【００２８】
このため、スキュー補正時に一定量順送りした後、巻き戻しを行うようにしてロール紙の必要以上の巻き出しを防止することが好ましい。一般に、ロール紙の巻き戻しはレジストローラ３４とロール紙駆動手段を等速に駆動して行うが、レジストローラ３４とロール紙駆動手段を等速に駆動する巻き戻し時にスキューが補正されることはない。
【００２９】
図５は同じスキュー条件での巻き戻し時の力関係を示した図である。
図５において、スキュー状態でロール紙３０を巻き戻すと、図中の上端部領域に緩みが発生し、紙の張力に偏りが発生し、レジストローラ３４の有効搬送力分布が均一ではない状態となる。この状態下で搬送すると、有効搬送力分布が均一になる方向、すなわち下端分の記録紙が張っている方向へ記録紙が移動するので、巻き戻しでもスキューは徐々に改善されていく。
【００３０】
そこで、本発明ではロール紙の巻き戻し時にもスキュー補正を行うようにするため、次のように構成している。
図６は本発明のスキュー補正動作を示すフローチャートの一例である。
【００３１】
図６において、例えば、キャリッジ１５にセンサ（図示せず）が搭載され、ロール紙が画像形成部２に進入すると、センサがロール紙の位置を確認し、ロール紙に許容を超えるスキューがあることを検出すると（ステップ１）、スキュー補正が開始される（ステップ２）。
【００３２】
スキュー補正は、まずロール紙の順送りを実施する（ステップ３）。その際、駆動対象はレジストローラ３４、３５のみであり、ロール紙駆動手段を作動しないことにより、不均一な有効搬送力分布が徐々に改善される。所定量、例えばロール紙が機外に搬送される直前、もしくは僅かに機外に排出された量の順搬送が行われると、その順送りが停止される（ステップ４）。
【００３３】
次に、レジストローラ３４とロール紙駆動手段を等速に駆動してロール紙の巻き戻しを行うが（ステップ５）、この巻き戻しの際、図７に示す線速のグラフから明らかなように、レジストローラ３４（実線で示す）より先にロール紙駆動手段（点線で示す）を起動することで、ロール紙給紙部とレジストローラ３４間の張力である搬送負荷を確保し、それによって巻き戻し時にもスキューを改善させている。なお、巻き戻し量は先に行った順送り量とほぼ同量である。
【００３４】
そして、ロール紙の巻き戻しが終了すると、センサがスキュー状態を検出してその情報からスキューが改善されたか否かを判断する（ステップ６）。そして、スキューが補正されておればスキュー補正を終了する（ステップ７）が、まだ許容以上のスキューが残っていれば上記ステップ３に戻る。
【００３５】
かくして、本実施形態ではスキューをロール紙の順送り及び巻き戻しの各工程において補正するので、より短時間で効率よく補正することができる。
図８は、本発明の別の実施形態を示すレジストローラ３４の線速（実線で示す）とロール紙駆動手段の線速（点線で示す）のグラフであり、図７ではレジストローラ３４より先にロール紙駆動手段を起動して搬送負荷を確保していたが、本例ではレジストローラ３４とロール紙駆動手段を同時に起動するが、ロール紙駆動手段をレジストローラ３４より急加速してある搬送速度に達するようにしている。これにより、ロール紙の搬送負荷を確保することができる。
【００３６】
図９は、本発明のさらに別の実施形態を示すレジストローラ３４の線速（実線で示す）とロール紙駆動手段の線速（点線で示す）のグラフであり、本例ではレジストローラ３４とロール紙駆動手段を同時に起動し、同時に所定の搬送速度に達した後、等速でロール紙を搬送するが、この等速搬送中に瞬間的にロール紙駆動手段の線速を増加させ、これを適当数繰り返す。この瞬間的なロール紙駆動手段の線速を増加によってロール紙の搬送負荷を確保することができる。
【００３７】
図１０は、本発明のさらに別の実施形態を示すレジストローラ３４の線速（実線で示す）とロール紙駆動手段の線速（点線で示す）のグラフであり、本例ではレジストローラ３４とロール紙駆動手段を同時に起動し、同時に所定の搬送速度に達した後、等速でロール紙を搬送するが、この等速搬送中に瞬間的にレジストローラ３４の線速を減少させ、これを適当数繰り返す。この瞬間的なレジストローラ３４の線速を減少によってロール紙の搬送負荷を確保することができる。
【００３８】
かくして、簡単な構成で巻き戻し時にロール紙駆動手段とレジストローラ３４間のロール紙の搬送負荷が得られることにより、巻き戻し時においても不均一な有効搬送力分布の改善が見込まれ、短時間でスキュー補正をすることができる。
【００３９】
ところで、図７ないし図１０にそれぞれ示したロール紙給紙部とレジストローラ３４間の搬送負荷を確保する方法はそれらを組み合わせて実施することもできる。具体的には、図７のレジストローラ３４より先にロール紙駆動手段を起動する方法は、図９の瞬間的にロール紙駆動手段の線速を増加させる方法や、図１０の瞬間的にレジストローラ３４の線速を減少させる方法と組み合わせて実施することができる。また、図８のロール紙駆動手段をレジストローラ３４より急加速してある搬送速度に達する方法も、図９の瞬間的にロール紙駆動手段の線速を増加させる方法や、図１０の瞬間的にレジストローラ３４の線速を減少させる方法と組み合わせて実施することができる。
【００４０】
このように方法を組み合わせることで、より確実に搬送負荷を得ることができ、スキュー補正の迅速化が期待できる。
【符号の説明】
【００４１】
２ 画像形成部
４ ロール紙収納部
３０ ロール紙
３４ レジストローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【００４２】
【特許文献１】特開２００９−２５６０６１号公報
【特許文献２】特開平０２−１０００６６号公報
【特許請求の範囲】
【請求項１】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し開始時において、前記搬送ローラの駆動開始を前記ロール紙駆動手段の巻き戻し駆動開始よりも遅らせることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項２】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラの加速度を前記ロール紙駆動手段の加速度よりも低くすることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項３】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記ロール紙駆動手段の線速を増加させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項４】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記搬送ローラの線速を減少させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項５】
請求項１ないし４の何れかに記載のロール紙スキュー補正方法において、前記ロール紙の順送りと巻き戻しをスキューが矯正されるまで繰り返し行うことを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項６】
請求項１ないし５の何れかに記載のロール紙スキュー補正方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項１】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し開始時において、前記搬送ローラの駆動開始を前記ロール紙駆動手段の巻き戻し駆動開始よりも遅らせることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項２】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラの加速度を前記ロール紙駆動手段の加速度よりも低くすることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項３】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記ロール紙駆動手段の線速を増加させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項４】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、記録紙としてのロール紙を収納及び保持するロール紙収納部と、該ロール紙収納部にセットされたロール紙の巻き戻し駆動を行うロール紙駆動手段と、前記ロール紙を前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラと、前記ロール紙の順送り搬送に対して回転負荷を与えるバックテンション付与手段とを有する画像形成装置のロール紙スキュー補正方法において、
前記搬送ローラの駆動に対して前記ロール紙駆動手段の駆動を停止する順送りと、前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段を逆転駆動してロール紙の巻き戻しを行い、ロール紙の巻き戻し時に前記搬送ローラと前記ロール紙駆動手段が等速になった後、瞬間的に前記搬送ローラの線速を減少させることを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項５】
請求項１ないし４の何れかに記載のロール紙スキュー補正方法において、前記ロール紙の順送りと巻き戻しをスキューが矯正されるまで繰り返し行うことを特徴とするロール紙スキュー補正方法。
【請求項６】
請求項１ないし５の何れかに記載のロール紙スキュー補正方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１２−１１６６４１（Ｐ２０１２−１１６６４１Ａ）
【公開日】平成２４年６月２１日（２０１２．６．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２６９４０６（Ｐ２０１０−２６９４０６）
【出願日】平成２２年１２月２日（２０１０．１２．２）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年６月２１日（２０１２．６．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１２月２日（２０１０．１２．２）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
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