説明

ロール紙取扱装置およびロール紙の取扱い方法

【課題】ロール紙をロール紙繰出し部およびロール紙搬送部により繰出し搬送して印字部による印字を行いロール紙カット部により所定の長さにカットを行うロール紙取扱装置において、従動ローラにロータリーエンコーダを接続する構造であるために、構造が複雑になり、さらに、ロータリーエンコーダから送信されるパルス信号をカウントする機構を設けなければならないという問題がある。
【解決手段】ロール紙繰出し部5のロール紙10のロール紙径を検知する2つの透過センサ11、12をロール紙10に並べて配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り出されるロール紙が搬送ローラとロールとの間でスリップ等によって発生するロール紙の送り量のばらつきをなくして所定の裁断寸法を得ることができるようにするロール紙取扱装置およびロール紙の取扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロール紙の弛み定量装置は、ロール紙をパルスモータによって駆動される定寸送りローラの回転により送り出し、所定量送り出されたロール紙をカット段でカットするものにおいて、前記送りローラの回転により送り出されるロール紙の先端部をセンサによって検知し、さらに、送りローラと従動ローラとによりロール紙を挟持し、ロール紙の送り出しに伴って従動ローラに接続されているロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントし、所定のカウント数になるまで送りローラを回転させてロール紙を送り出し、送り出されたロール紙をカット手段でカットする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−208039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、従動ローラにロータリーエンコーダを接続する構造であるために、構造が複雑になり、さらに、ロータリーエンコーダから送信されるパルス信号をカウントする機構を設けなければならないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本発明は、ロール紙をロール紙繰出し部およびロール紙搬送部により繰出し搬送して印字部による印字を行いロール紙カット部により所定の長さにカットを行うロール紙取扱装置において、ロール紙繰出し部のロール紙のロール紙径を検知する2つの透過センサをロール紙に並べて配置したことを特徴とする。
さらに、上記装置において、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときの、ロール紙搬送部のパルスモータの搬送量(パルス数)をAパルスとし、両透過センサが共にONしている場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータの搬送量(パルス数)をBパルスとし、ロール紙に対して外側に位置している透過センサがOFFで、内側に位置する透過センサがONの場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータの搬送量(パルス数)をCパルスとし、両透過センサが共にOFFしている場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータの搬送量(パルス数)をDパルスとし、上記搬送量(パルス数)の関係を、B>C>A=Dとしたことを特徴とする。
【0005】
そこで、このようなロール紙取扱装置において、ロール紙径が大きく両透過センサが共にOFFしている状態ではロール紙繰出し部のパルスモータの搬送量(パルス数)は多くし、ロール紙に対して外側に位置している透過センサがOFFで、内側に位置している透過センサがONの場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータの搬送量(パルス数)を中間とし、両透過センサが共にOFFしている状態ではロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータの搬送量(パルス数)は少なくするようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、ロール紙のカット位置までの弛みを一定量に保つことができ、ロール紙径によってカットしたカット媒体の長さが短くなったり弛みが原因でロール紙が折れ曲がったりすることがないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による実施例を発券装置を用いて説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例を示す構成ブロック図、図2は構成例を示す説明図である。
図において、1は券面印字データを管理・保有している情報センタ、2は印字データ毎のレイアウトを管理して発券を指示する制御部、3はこの制御部2から指示された発券動作を行う発券装置、4は制御部2からの指示を解析し、装置内の各処理部を制御する発券制御部、5はロール紙10を繰り出すロール紙繰出し部、6はロール紙10を搬送するロール紙搬送部、7は搬送されたロール紙10の所定箇所に印字を行う印字部、8は繰り出されたロール紙10を所定長さにカットするロール紙カット部である。
【0009】
11、12はロール紙10の径を測るために設けた2つの透過センサである。
上記ロール紙繰出し部5は、ロール紙10に当接してロール紙10を回転させてロール紙10を繰出す繰出しローラ14をパルスモータ13により駆動する。また、ロール紙搬送部6はパルスモータ15により搬送ローラ16を駆動してロール紙10を搬送する。
17はカットされたカット紙の排出用ローラである。18はロール紙10の先端検出センサである。
【0010】
上述した構成の作用について説明する。
まず、大きな流れを説明する。
(1)情報センタ1から発券装置3へ、発券コマンドを送信する。
(2)発券装置3は、ロール紙繰出し部5とロール紙搬送部6によりロール紙10を繰り出してパルスモータ13、15が予めセットしてある規定パルス数回転したところ(もしくは図示しないセンサがロール紙の先端を検知したこと。)より印字部7により印字を開始し、搬送に従って印字が進行・終了し、さらに規定パルス数回転したところでパルスモータ13、15を停止してロール紙10の搬送を停止する。
(3)ロール紙カット部8によりロール紙10をカットする。
(4)上記(2)で停止した際にロール紙10の先端を先端検出センサ18が検出すると排出用ローラ17が駆動を始める。
(5)上記(3)でカットされたカット券を排出用ローラ17によって発券装置3から排出する。
【0011】
上記(2)において、ロール紙カット部8まで搬送するときに、ロール紙繰出し部5のパルスモータ13とロール紙搬送部6のパルスモータ15による搬送距離を同じにすれば、ロール紙10は弛んだり引っ張られてきつくなったりはしないはずであるが、ロール紙10の径が大きい間は、ロール紙10の重量が大きいためにロール紙繰出し部5に負荷がかかり、ロール紙繰出し部5の繰出し量が少なくなる。そのため、ロール紙繰出し部5のパルスモータ13とロール紙搬送部6のパルスモータ15の搬送量が同じである場合には、ロール紙径が大きい間は、「ロール紙搬送部6の搬送量>ロール紙繰出し部5の繰出し量」となり、ロール紙搬送部6がロール紙繰出し部5のロール紙10を引っ張る状態になり、弛みがなくなってロール紙10がぴんと張ってしまい、図3に示す如く、搬送する距離がΔ分短くなり、カット位置がずれてカットしたカット券の券長が短くなってしまう。
【0012】
また、券長が短くなるのを防ぐために、ロール紙繰出し部5の繰出し量を多くすると、図4に示すようなロール紙径が大きい間は問題がないが、ロール紙径が小さくなるに従い重量が小さくなるために負荷が小さくなり、その結果「ロール紙繰出し部5の繰出し量>ロール紙搬送部6の搬送量」となり、図5に示す如く、弛みが大きくなってロール紙10が折れ曲がる原因になる。
【0013】
そこで本発明は、ロール紙径を測る所定の間隔をあけて並べて設けた2つの透過センサ11、12により、ロール紙径を3段階で判断するようにした。
まず、ロール紙10のカット位置をロール紙カット部8まで搬送するときの、ロール紙搬送部6のパルスモータ15による搬送量(パルス数)をAパルスとする。
透過センサ11と12が共にONしている場合に、ロール紙10のカット位置をロール紙カット部8まで搬送するときのロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)をBパルスとする(図6)。
【0014】
ロール紙10に対して外側に位置している透過センサ11がOFFで、内側に位置する透過センサ12がONの場合に、ロール紙10のカット位置をロール紙カット部8まで搬送するときのロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)をCパルスとする(図7)。
透過センサ11と12が共にOFFしている場合に、ロール紙10のカット位置をロール紙カット部8まで搬送するときのロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)をDパルスとする(図8)。
【0015】
上記搬送量(パルス数)の関係は、B>C>A=Dとする。
そこで、予め発券装置3の発券制御部4で上記搬送量(パルス数)A〜Dの値を持っておき、ロール紙径によりロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)をB〜Dの間で切り替える。なお、このB〜Dのパルス数は、保守で補正値を設定できるようにしてある。なお、この搬送中に印字部7による印字が行われる。
【0016】
したがって、ロール紙径が大きく透過センサ11と12が共にOFFしている状態ではロール紙10の重量が大きいためにロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)は大となり(図6)、透過センサ11がOFFで透過センサ12がONの場合に、ロール紙10のカット位置をロール紙カット部8まで搬送するときのロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)は中であり(図7)、ロール紙径が小さく透過センサ11と12が共にOFFしている状態ではロール紙10の重量が小さくなったために、ロール紙10のカット位置をロール紙カット部8まで搬送するときのロール紙繰出し部5のパルスモータ13による繰出し量(パルス数)は少となってロール紙搬送部6のパルスモータ15による搬送量と同じとなる(図8)。
【0017】
以上により、ロール紙のカット位置までの弛みを一定量に保つことができ、ロール紙径によってカットしたカット媒体の長さが短くなったり弛みが原因でロール紙が折れ曲がったりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例を示すブロック図
【図2】実施例を示す説明図
【図3】問題点を示す説明図
【図4】作動状態を示す説明図
【図5】問題点を示す説明図
【図6】作動状態を示す説明図
【図7】作動状態を示す説明図
【図8】作動状態を示す説明図
【符号の説明】
【0019】
1 情報センタ
2 制御部
3 発券装置
4 発券制御部
5 ロール紙繰出し部
6 ロール紙搬送部
7 印字部
8 ロール紙カット部
10 ロール紙
11、12 透過センサ
13 パルスモータ
14 繰出しローラ
15 パルスモータ
16 搬送ローラ
17 排出用ローラ
18 先端検出センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙をロール紙繰出し部およびロール紙搬送部により繰出し搬送して印字部による印字を行いロール紙カット部により所定の長さにカットを行うロール紙取扱装置において、
ロール紙繰出し部のロール紙のロール紙径を検知する2つの透過センサをロール紙に並べて配置したことを特徴とするロール紙取扱装置。
【請求項2】
請求項1において、
ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときの、ロール紙搬送部のパルスモータの搬送量(パルス数)をAパルスとし、
両透過センサが共にONしている場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータによる繰出し量(パルス数)をBパルスとし、
ロール紙に対して外側に位置している透過センサがOFFで、内側に位置する透過センサがONの場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータによる繰出し量(パルス数)をCパルスとし、
両透過センサが共にOFFしている場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータによる繰出し量(パルス数)をDパルスとし、
上記搬送量(パルス数)の関係を、B>C>A=Dとしたことを特徴とするロール紙取扱装置。
【請求項3】
請求項1記載のロール紙取扱装置において、
ロール紙径が大きく両透過センサが共にOFFしている状態ではロール紙繰出し部のパルスモータによる繰出し量(パルス数)は大とし、ロール紙に対して外側に位置している透過センサがOFFで、内側に位置している透過センサがONの場合に、ロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータによる繰出し量(パルス数)を中とし、両透過センサが共にOFFしている状態ではロール紙のカット位置をロール紙カット部まで搬送するときのロール紙繰出し部のパルスモータによる繰出し量(パルス数)を少とするロール紙の取扱い方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−69843(P2010−69843A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243011(P2008−243011)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】