説明

ロール紙継ぎ部排出装置

【課題】作業の軽減と作業効率の改善を図ったロール紙継ぎ部排出装置を提供する。
【解決手段】紙端から一定の範囲内に紙継ぎ部が含まれたロール紙の紙継ぎ部を排出させるロール紙継ぎ部排出装置であって、ロール紙を回転させる駆動装置2と、駆動装置2に設置されたロール紙の紙端の検出および位置決めを行い、紙端近傍を吸着して昇降させる吸着・昇降装置3と、吸着・昇降装置3によって吸着された紙端を挟みながら引き込む一対の引込ローラ4と、この引込ローラ4によって送られて来るロール紙の紙端から紙継ぎ部を含んだ範囲をコア6aに巻き取る駆動ドラム7と、コア6aに巻き取られたロール紙を紙継ぎ部の下流側において切除するための切断器具8と、切断器具8によって切除されたコア側の紙端をコアに接着させるための接着装置9とを備えることを特徴とするロール紙継ぎ部排出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライナー紙等のロール紙の紙継ぎ部を除去するために用いて好適なロール紙継ぎ部排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ライナー紙等のロール紙の製造過程において、製造されたロール紙は、一旦大巻きのジャンボロールに巻回された後に、このジャンボロールから巻出されて、スリッターにより所望の幅に分割されつつ小巻きの複数本のログロールへと巻き替えられる。これにより、所望の長さのロール紙がこれらのログロールに巻き替えられた際に、これらのログロールをそれぞれ新しいものに交換すると、同様に、ロール紙は、ジャンボロールから巻出されて、所望の幅に分割されつつ新しい複数本のログロールへと巻き替えられる。そして、巻き終わったログロールの紙端を、それぞれテープ貼り装置によってログロールに接着させている。
上述のようにして、ジャンボロールから巻出されたロール紙は、繰り返し、所望の幅や長さに分割されつつ多数本の小巻のログロールへと巻き替えられる。
【0003】
ところで、このジャンボロールが残り少なくなった場合には、残り少なくなったジャンボロールの紙端に新しいジャンボロールの紙端をつなぎ合わせており、この紙継ぎ処理は、一般に、40分間隔で、1日に30回程度行われている。なお、紙継ぎに関連する文献としては、輪転機に給紙する印刷用の巻取紙を紙継ぎする方法等を開示した特許文献1がある。
【0004】
このため、ジャンボロールからログロールへの巻き替えの際に、上記紙継ぎ部が幅方向に分割された紙ロールを巻き取る全てのログロールにそれぞれ巻き取られてしまい、当該紙継ぎ部を内包するログロールについては、そのまま製品として出荷することができない。
【0005】
ちなみに、上記紙継ぎ部を内包するログロールは、ジャンボロールからログロールへの巻き替え時に、紙継ぎ部がログロールに巻き取られたことを確認した際に、5m以内にロール紙を切断するようにしているため、切断箇所から5mの範囲内に紙継ぎ部が含まれるようになっている。
【0006】
そこで、同一の紙継ぎ部が幅方向に分割されて巻き取られた全てのログロールを、製造ライン外へ排出し、作業者によって紙継ぎ部が出るまで5m程度巻き戻して、手作業によって紙継ぎ部を切除した後、切除したログロールの紙端を接着剤によってログロールに接着し、製造ライン内へと戻していた。
【0007】
また、切除されたロール紙は、通路上に設けられた処理スペース(5m×7m)に重ね、紙継ぎ処理の都度、作業者が処分場まで搬送処分していた。
【0008】
しかしながら、この小巻きにされたログロールは、用途によって巻取り幅が異なり、その最大幅は7mにもなるため、手作業による紙継ぎ部の切除作業は容易ではない。
【0009】
また、手作業による紙継ぎ部の切除作業は、40分間隔で行い、この作業を1日に30回繰り返しているため、作業者が休憩等で一時的に作業現場から離れる場合には、必ず交代要員を確保しておく必要があり、人件費が嵩む要因となっていた。
【0010】
さらに、作業者が紙継ぎ部の切除作業を行うには、通路上に処理スペース(5m×7m)を設ける必要があるため、敷地内に余分なスペースを確保しなければならなかった。
【0011】
なお、ロール原紙の不良部分を除去する装置等としては、特許文献2に示されているように、ロール原紙の巻出し手段と、この巻出し手段から巻き出されたロール原紙を巻き取る巻取り手段と、この巻出し手段と巻取り手段との間に配設された不良部分除去手段とを備えたものが知られている。
ところが、このような装置を用いたとしても、巻出し手段に設置したログロールからロール紙の紙端を自動的に巻出すことができないことから、紙継ぎ部が幅方向に分割されて巻き取られたログロールの紙端から5mの範囲内を次々に巻き戻して、紙継ぎ部を除去する上述の紙継ぎ部の切除作業は、軽減や効率改善を図れるものではなかった。
【0012】
【特許文献1】特開平7−232845号公報
【特許文献2】特許第3720810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑み成されたもので、作業の軽減と作業効率の改善を図ったロール紙継ぎ部排出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、請求項1に記載の本発明は、紙端から一定の範囲内に紙継ぎ部が含まれたロール紙の上記紙継ぎ部を排出させるロール紙継ぎ部排出装置であって、上記ロール紙を回転させる駆動装置と、上記駆動装置に設置された上記ロール紙の上記紙端の検出および位置決めを行い、上記紙端近傍を吸着して昇降させる吸着・昇降装置と、上記吸着・昇降装置によって吸着された上記紙端を挟みながら引き込む一対の引込ローラと、この引込ローラによって送られて来る上記ロール紙の上記紙端から上記紙継ぎ部を含んだ範囲をコアに巻き取る駆動ドラムと、上記コアに巻き取られた上記ロール紙を上記紙継ぎ部の下流側において切除するための切断器具と、上記切断器具によって切除された上記コア側の紙端を上記コアに接着させるための接着装置とを備えることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のロール紙継ぎ部排出装置において、上記吸着・昇降装置は、複数の吸着ヘッドと紙端検出用センサが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2に記載の発明によれば、継ぎ部の切除作業を機械で行うことによって、手作業で行っていた面倒な作業を無くすことができ、作業者への負担を軽減できるだけでなく、人件費を抑えることができる。
【0017】
また、紙継ぎ部の切除作業を機械で行うことによって、通路上の処理スペースを設ける必要が無くなるため、敷地内のスペースを有効活用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1ないし図7に基づいて、本発明に係るロール紙継ぎ部排出装置の実施形態を説明する。
【0019】
本実施形態によるロール紙継ぎ部排出装置は、図1に示すように、複数本の円筒状のログロール1を回転させる駆動装置2と、複数本のログロール1の紙端の検出および位置決めを行い、ログロール1の紙端近傍を吸着して昇降させる吸着・昇降装置3と、吸着・昇降装置3によって吸着、上昇された各ログロール1の紙端を挟みながら引き込む一対の引込ローラ4と、この一対の引込ローラ4によって各ログロール1から送られて来るロール紙の紙端から紙継ぎ部を含んだ範囲を1本の排除紙ロール6のコア6aに巻き取る駆動ドラム7と、排除紙ロール6に巻取り中のロール紙の最上部を回転自在に押さえる押さえローラ6cと、排除紙ロール6に巻き取られた各ロール紙を紙継ぎ部の下流側において切除するためのカッター8(切断器具8)と、カッター8によって切除された排除紙ロール6側の紙端をそれぞれ排除紙ロール6に接着させるためのテープ貼り機9(接着装置9)と、カッター8によって切除されたログロール1側の紙端をそれぞれログロール1に接着させるための既設テープ貼り装置10(既設接着装置10)とを備えている。
【0020】
ここで、複数本のログロール1とは、同一の紙継ぎ部が幅方向に分割されて巻き取られ、同一位置に紙継ぎ部を内包する全てのログロール1を意味するものであり、これらのログロール1は、軸線が一直線上に位置するように並べられて、駆動装置2によって回転させられるものである。
また、吸着・昇降装置3の先端部には、エアーによりログロール1の紙端近傍を吸着させる吸着ヘッド3aが各ログロール1に対してそれぞれ複数設けられており、これらの複数の吸着ヘッド3aは、ログロール1の軸線と排除紙ロール6のコア6aと平行に多数設けられている。各吸着ヘッド3aには、ロール紙の送り方向の中央部に、ログロール1の軸線方向に沿って、超音波センサ3b(紙端検出用センサ3b)が設けられている。
そして、吸着・昇降装置3の先端部は、支軸3cを中心に図示されない駆動モータによって回転可能となっており、昇降シリンダ3dによって昇降可能となっている。
【0021】
また、引込ローラ4は、固定された上部ローラ4aと下部ローラ4bとで構成され、下部ローラ4bは支軸4cを中心に図示されない駆動モータによって回転可能となっている。
【0022】
ここで、押さえローラ6cは、支軸6eを中心に回転可能となっており、支軸6eは、コア6aを支持するアーム6bに設けられており、このアーム6bは、昇降シリンダ6dによって、昇降可能となっている。
【0023】
そして、テープ貼り機9の上部には、昇降シリンダ9aが設けられ、昇降シリンダ9aのログロール1側には図示されない駆動モータが設けられ、図示されない駆動モータの下部には走行レール9bが設けられている。
また、テープ貼り機9のコア6a側下部にはカッター8が設けられ、カッター8の上部には、昇降シリンダ8aが設けられている。
ここで、引込ローラ4と駆動ドラム8の間には、ロール紙の紙端をロール紙の下部より検出する光学式センサ5が設けられている。
【0024】
次に、図2〜図7を用いて、ロール紙継ぎ部排出装置の動作を説明する。
【0025】
まず、図2に示すように、紙継ぎ部の含まれた複数本のログロール1を駆動装置2によって同時に時計回り方向に回転させ、ログロール1に近接した吸着・昇降装置3の先端部に設けた超音波センサ3b(紙端検出用センサ3b)によってロール紙の紙端を検出する。
そして、超音波センサ3bによって紙端を検出した位置から、複数本のログロール1を駆動装置2によって反時計回り方向に規定寸法回転させ、位置決めする。
【0026】
次に、吸着・昇降装置3の先端部に設けた吸着ヘッド3aによって、ロール紙の紙端近傍を吸着した後、図示されない駆動モータによって紙端が水平になるまで支軸3cを中心に時計回り方向へ回転させ、昇降シリンダ3dによって引込ローラ4の上部ローラ4aにロール紙が当接する位置まで上昇させる。
【0027】
これと併行して、図3に示すように、引込ローラ4の下部ローラ4bを、図示されない駆動モータで支軸4cを中心に反時計回り方向へ回転させることによって、ロール紙に当接させる。
そして、引込ローラ4の上部ローラ4aと下部ローラ4bによってロール紙を挟み込み、上部ローラ4aを時計回り方向へ回転させることによって、ロール紙を上下部ローラ4a、4b間に引き込んで行く。
【0028】
すると、図4に示す光学式センサ5(紙端検出用センサ5)によって紙送りされたロール紙の紙端が検出され、駆動装置2と上部ローラ4aが停止する。
次いで、昇降シリンダ9aが下降した後、走行レール9bが水平方向に動くことによって、テープ貼り機9(接着装置9)でロール紙の上面に両面テープ(接着剤)を貼り付ける。
その後、昇降シリンダ9aが上昇し、走行レール9bが水平方向に動くことによって、テープ貼り機9(接着装置9)が原点位置に戻る。
【0029】
これと併行して、紙端上面に両面テープが付着した各ロール紙は、駆動装置2と上部ローラ4aと、駆動ドラム7とを駆動させることによって、図5に示すように紙端上面に付着した両面テープがコア6aに接着し、支軸6eを中心に回転可能な押さえローラ6cよって、巻きシワや巻き垂れを防止しながらコア6aに巻き取られて行く。
【0030】
次に、紙継ぎ部が含まれる5mの範囲をコア6aに巻き取ってから、駆動装置2と上部ローラ4aと、駆動ドラム7とを停止させる。
そして、昇降シリンダ9aが下降した後、走行レール9bが水平方向に動くことによって、テープ貼り機9(接着装置9)でロール紙の上面に両面テープ(接着剤)を貼り付ける。
その後、昇降シリンダ9aが上昇して、走行レール9bが水平方向に動くことによって、テープ貼り機9(接着装置9)が原点位置に戻る。
【0031】
次いで、図6に示すように、ロール紙上面に両面テープを貼り付けた後、駆動装置2と上部ローラ4aと、駆動ドラム7とを駆動してロール紙を巻き取り、ロール紙上面に貼り付けた両面テープがカッター8の下を通過すると、駆動装置2と上部ローラ4aと、駆動ドラム7とが停止することによって巻取りが一時停止し、昇降シリンダ8aが下降した後、走行レール9bが水平方向に動くことによって、カッター8が複数枚のロール紙を切除する。
そして、昇降シリンダ8aが上昇し、走行レール9bが水平方向に動くことによって、カッター8が原点位置に戻る。
【0032】
その後、図7に示すように、駆動装置2と上部ローラ4aと、駆動ドラム7とを駆動し、カッター8によって切除して両面テープが貼り付けられた排除紙ロール側6の紙端上部を、コア6aの排除紙ロール6に接着させ、巻きつける。
【0033】
ここで、排除紙ロール6は、巻き取り量が増えるにつれて径が大きくなるため、コア6aを支持するアーム6bが昇降シリンダ6dによって上昇しながら巻取りを行う。
【0034】
これにより、ロール紙が巻き取られたコア6aを、各ロール紙間の隙間にて切断した後、1日分の排除紙ロール6をクレーン等によってまとめて処分場へ搬送し、処分を行う。
【0035】
一方、切除されたログロール1側のロール紙は、挟みながら引き込んでいる一対の引込ローラ4の下部ローラ4bを、図示されない駆動モータで支軸4cを中心に時計回り方向に回転させて原点位置に戻し、上部ローラ4aと下部ローラ4bによる挟み込みを解除する。
そして、紙継ぎ部が排除された複数本のログロール1を駆動装置2によって時計回り方向に回転させ、既設テープ貼り装置10(既設接着装置10)によって切除されたログロール1側の紙端にそれぞれテープ(接着剤)を貼り付けて各ログロール1に巻き取り、製品として出荷する。
【0036】
したがって、上記構成のロール紙継ぎ部排出装置によれば、作業者がロール紙継ぎ部排出装置の電源を入れるだけで、駆動ドラム2によって複数本のログロール1が回転し、紙継ぎ部がそれぞれログロール1から排除紙ロール6へと自動的に巻き取られるため、作業者は面倒で大変な作業が無くなり、作業者の負担を軽減させることができる。
また、作業者が休憩等で一時的に作業現場から離れる場合、その間も機械が自動で紙継ぎ部の切除作業を行うため、交代要員を確保する必要が無くなり、人件費を抑えることができる。
【0037】
さらに、通路上に切除されたロール紙を重ねるための処理スペースを設ける必要が無くなり、敷地内のスペースを有効活用することが可能となるだけでなく、通行の妨げになることも無い。
【0038】
なお、本発明は、上述の最良の形態に何ら限定されるものでなく、例えば、同一の紙継ぎ部が幅方向に分割されて巻き取られた全てのログロール1の一部が、軸線が一直線上に位置するように並べられて、駆動装置2によって回転させられるものであっても、また、1本のログロール1のみが駆動装置2によって回転させられるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態のロール紙継ぎ部排出装置の正面図である。
【図2】図1のロール紙継ぎ部排出装置の動作を示す正面図である。
【図3】図1のロール紙継ぎ部排出装置の図2とは別の動作を示す正面図である。
【図4】図1のロール紙継ぎ部排出装置の図3とは別の動作を示す正面図である。
【図5】図1のロール紙継ぎ部排出装置の図4とは別の動作を示す正面図である。
【図6】図1のロール紙継ぎ部排出装置の図5とは別の動作を示す正面図である。
【図7】図1のロール紙継ぎ部排出装置の図6とは別の動作を示す正面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 駆動装置
3 吸着・昇降装置
4 引込ローラ
6a コア
7 駆動ドラム
8 カッター(切断器具)
9 テープ貼り機(接着装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙端から一定の範囲内に紙継ぎ部が含まれたロール紙の上記紙継ぎ部を排出させるロール紙継ぎ部排出装置であって、
上記ロール紙を回転させる駆動装置と、
上記駆動装置に設置された上記ロール紙の上記紙端の検出および位置決めを行い、上記紙端近傍を吸着して昇降させる吸着・昇降装置と、
上記吸着・昇降装置によって吸着された上記紙端を挟みながら引き込む一対の引込ローラと、
この一対の引込ローラによって送られて来る上記ロール紙の上記紙端から上記紙継ぎ部を含んだ範囲をコアに巻き取る駆動ドラムと、
上記コアに巻き取られた上記ロール紙を上記紙継ぎ部の下流側において切除するための切断器具と、
上記切断器具によって切除された上記コア側の紙端を上記コアに接着させるための接着装置とを備えることを特徴とするロール紙継ぎ部排出装置。
【請求項2】
上記吸着・昇降装置は、複数の吸着ヘッドと紙端検出用センサが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のロール紙継ぎ部排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−96585(P2009−96585A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269184(P2007−269184)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【出願人】(000231257)日本大昭和板紙株式会社 (18)
【Fターム(参考)】