説明

ワイプパターン生成装置

【課題】様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、しかも、小型化が容易なワイプパターン生成装置を提供する。
【解決手段】ワイプパターン生成装置は、動的再構成デバイスRCFと、直線パターンに関する距離の逆数を計算する第一回路12を、動的再構成デバイスRCF上に構成する第一回路構成手段32と、角度データθの上位ビットに対応した極座標中心から曲線までの距離データの逆数を保持するメモリ21と、角度データθを用いてメモリ出力を補間する補間手段25とを有する第二回路24を、動的再構成デバイスRCF上に構成する第二回路構成手段32と、角度データθの範囲に応じて第一回路12と第二回路24とを動的に切り替える構成切り替え手段32と、第一回路12の出力または第二回路24の出力と極座標の距離データrとを乗算した結果と、第四係数R4とを比較する比較手段109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像制作等に用いられるワイプパターン生成装置に関し、特に、高解像度の画像に対応し、多種類のワイプパターンを生成可能なワイプパターン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、テレビジョン放送のような動画像として制作される映像においては、通常は時系列で連続する多数のフレーム画像を一定の時間間隔(例えば1/60秒のフレーム周期)で順次に切り替えて出力することになる。しかし、同一の番組内で場面を切り替える場合や、番組自体を切り替えるような場合には、順次に出力されるフレーム画像の連続性が突然途切れるため、不自然な感覚を視聴者に与える可能性がある。このような場合には、前の場面のフレーム画像から後の場面のフレーム画像に徐々に切り替えることにより、場面が遷移することを視聴者に明確に伝えることができる。
【0003】
また、切り替えの際に、同じ画面内に2つの領域を形成し、一方の領域には切り替え前の場面のフレーム画像を表示し、もう一方の領域には切り替え後の場面のフレーム画像を表示することにより、場面の切り替わりをより明確に視聴者に伝えることが可能になる。このような画面上の複数領域の境界としては、最も単純な例では直線を用いることが考えられるが、様々な形状の図形を選択的に用いることにより、効果的に場面を切り替えることができる。このような境界のパターンを生成するために、ワイプパターン生成装置が用いられる。
【0004】
従来のワイプパターン生成装置に関する技術としては、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。この種のワイプパターン生成装置は、表示画面上の各位置を極座標で表現した座標情報を用いて、画面上の中心座標からの各位置の距離と閾値とを比較した結果の値に応じて、2つの映像入力を切り替えて表示する。
【0005】
従来のワイプパターン生成装置は、例えば図21に示すように、極座標変換部103と、図形メモリ106と、乗算器108と、比較器109とを備えている。極座標変換部103の入力には、図22に示すような表示画面上の走査位置を表す座標が、x座標101とy座標102との組み合わせとして入力される。x座標101は画面上の水平方向の画素位置を表し、y座標102は画面上の垂直方向の画素位置を表す。
【0006】
実際には、図22に示す各走査線について(1)、(2)、(3)、(4)の順に走査が実施され、現在の走査位置がx座標101とy座標102との組み合わせとして極座標変換部103に入力される。極座標変換部103は、入力されたx座標101とy座標102との組み合わせを、極座標表現の位置情報に変換する。
【0007】
極座標表現では、各位置の座標は角度θと距離rとで表される。すなわち、図23に示すように、予め定めた極座標原点111を中心とし、基準軸に対する傾きを表す角度θであるθ座標104と、極座標原点111から各位置までの距離rを表すr座標105との組み合わせで座標を表す。
【0008】
図形メモリ106は、θ座標104に対応付けた各アドレスに、該当する図形データを極座標原点111からの距離に対応する値として保持している。従って、図形メモリ106の入力にリードアドレスとしてθ座標104を入力すると、該当する方向の距離のデータが図形メモリ106から読み出される。
【0009】
乗算器108は、図形メモリ106から読み出された距離を表す図形データと外部から入力される係数107とを乗算し、その結果を出力する。また、比較器109は乗算器108が出力する値と、極座標変換部103から出力されるr座標105の値とを比較し、その比較結果をワイプパターン出力110として出力する。
【0010】
例えば、図形メモリ106の内部に三角形の図形パターンを表すデータを格納しておけば、図24に示すように、極座標原点111から三角形の図形パターン上の輪郭の各点までの距離を表す図形データが、入力されるθ座標104の値に応じて図形メモリ106から読み出される。また、図形メモリ106から読み出された図形データは、乗算器108で係数107とを乗算されるので、この乗算によって図形パターンの拡大や縮小の処理を行うことができる。
【0011】
実際には、表示画面が順次に走査され、各走査位置の位置情報がx座標101とy座標102との組み合わせとして極座標変換部103に入力されるので、比較器109から出力されるワイプパターン出力110は図25に示すようになる。つまり、三角形の図形パターン上の輪郭を境界として、図中斜線と白地とで示すように表示画面が2つの領域に区分される。
【0012】
【特許文献1】特開平10−65966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ワイプパターンを生成する際に、現実には更に複雑な図形パターンが必要とされたり、様々な種類の図形パターンが必要とされるのが実情である。ところが、前述のような従来のワイプパターン生成装置においては、様々な図形のワイプパターンを実現しようとすると、大容量の図形メモリが不可欠であった。例えば、三角形、五角形、六角形、・・・のような様々な図形パターンを生成するためには、図26に示すように図形の種類毎にそれぞれデータを格納するための記憶領域を図形メモリに確保する必要があった。
【0014】
近年、表示画面の高解像度化が進んでいるため、ワイプパターンの生成処理についても高速に実行する必要がある。しかし、大容量の図形メモリとして大容量ROM(読み出し専用メモリ)を使用すると、メモリに対するアクセス速度が遅いため、高解像度の表示画面に対するワイプパターン生成は困難になる。
【0015】
一方、最近では、回路構成を動的に再構成しハードウエア資源を効率的に利用して限られた回路資源で多機能回路を実装できる半導体デバイスが登場している。しかし、大容量ROMの使用を前提とした設計では、前記半導体デバイス上に大容量ROMが構成できないために、その利点を生かすことが困難である。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、しかも、小型化が容易なワイプパターン生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のワイプパターン生成装置は、表示画面上の各画素に対応する位置情報が、角度データθと極座標の中心からの距離データrとの組み合わせで表現される極座標データとして入力され、前記極座標データと所定のパターン情報とを比較した結果を出力するワイプパターン生成装置であって、ディジタル信号処理機能を備える動的再構成デバイスと、入力される前記角度データθからsinθを計算するsinθ計算手段と、前記sinθの計算結果と第一係数とを乗算する第一乗算手段と、前記角度データθからcosθを計算するcosθ計算手段と、前記cosθの計算結果と第二係数とを乗算する第二乗算手段と、前記第一乗算手段の出力と第二乗算手段の出力とを加算した結果を第三係数と乗算する第三乗算手段とを有し、極座標の中心から表示画面上の任意の直線までの距離の逆数を計算する第一回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第一回路構成手段と、前記角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの任意の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、前記角度データθを用いて前記メモリ出力を補間する補間手段とを有する第二回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第二回路構成手段と、前記角度データθが属する角度の範囲を識別し、角度データθの範囲に応じて前記第一回路構成手段及び前記第二回路構成手段を制御し、前記第一回路と前記第二回路とを動的に切り替える構成切り替え手段と、前記第一回路の出力または前記第二回路の出力と前記極座標の距離データrとを乗算した結果と、第四係数とを比較する比較手段とを備えるものである。
【0018】
上記構成では、動的再構成(RCF:Reconfigurable Compute Fabric)デバイスを採用することにより、限られたハードウエア資源を効率的に利用して多機能回路の実現を可能にしている。動的再構成デバイス上に構成する第一回路に、sinθ計算手段、第一乗算手段、cosθ計算手段、第二乗算手段、第三乗算手段を設けて、極座標の中心から表示画面上の任意の直線までの距離の逆数を計算する。また、動的再構成デバイス上に構成する第二回路に、角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの任意の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、角度データθを用いてメモリ出力を補間する補間手段とを設ける。また、構成切り替え手段は、角度データθが属する角度の範囲を識別し、角度データθの範囲に応じて第一回路構成手段及び第二回路構成手段を制御し、第一回路と第二回路とを動的に切り替える。
【0019】
ここで、第一回路は、直線パターンを生成するための回路であり、大容量ROMを利用することなく、計算により直線パターンを生成することができる。また、第二回路は曲線パターンを生成するための回路であり、メモリと補間手段との組み合わせにより、大容量ROMを利用することなく、曲線パターンを生成することができる。さらに、第一回路が生成する直線と第二回路が生成する曲線とを組み合わせることにより、生成可能なパターンの種類を大幅に増やすことが可能である。構成切り替え手段によって第一回路と第二回路とを動的に切り替えることで、角度データθの範囲に応じて、第一回路が生成する直線と第二回路が生成する曲線とを様々に組み合わせることができる。これにより、様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、しかも、小型化が容易なワイプパターン生成装置を実現できる。
【0020】
また、本発明のワイプパターン生成装置は、表示画面上の各画素に対応する位置情報が、角度データθと極座標の中心からの距離データrとの組み合わせで表現される極座標データとして入力され、前記極座標データと所定のパターン情報とを比較した結果を出力するワイプパターン生成装置であって、ディジタル信号処理機能を備える動的再構成デバイスと、前記角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの第一の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、前記角度データθを用いて前記メモリ出力を補間する補間手段とを有する第二回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第二回路構成手段と、前記角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの第二の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、前記角度データθを用いて前記メモリ出力を補間する補間手段とを有する第三回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第三回路構成手段と、前記角度データθが属する角度の範囲を識別し、角度データθの範囲に応じて前記第二回路構成手段及び前記第三回路構成手段を制御し、前記第二回路と前記第三回路とを動的に切り替える構成切り替え手段と、前記第二回路の出力または前記第三回路の出力と前記極座標の距離データrとを乗算した結果と、第四係数とを比較する比較手段とを備えるものである。
【0021】
上記構成では、動的再構成デバイス上に構成する第二回路に、角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの第一の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、角度データθを用いてメモリ出力を補間する補間手段とを設ける。また、第三回路に、角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの第二の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、角度データθを用いてメモリ出力を補間する補間手段とを設ける。また、構成切り替え手段は、角度データθが属する角度の範囲を識別し、角度データθの範囲に応じて第二回路構成手段及び第三回路構成手段を制御し、第二回路と第三回路とを動的に切り替える。
【0022】
ここで、第二回路は第一の曲線のパターンを生成するための回路であり、第三回路は第二の曲線のパターンを生成するための回路である。また、第二回路及び第三回路は、メモリと補間手段との組み合わせにより、大容量ROMを利用することなく、曲線パターンを生成することができる。さらに、第二回路が生成する第一の曲線パターンと第三回路が生成する第二の曲線パターンとを組み合わせることにより、生成可能なパターンの種類を大幅に増やすことが可能である。構成切り替え手段によって第二回路と第三回路とを動的に切り替えることで、角度データθの範囲に応じて、第二回路が生成する第一の曲線パターンと第三回路が生成する第二の曲線パターンとを様々に組み合わせることができる。これにより、様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、しかも、小型化が容易なワイプパターン生成装置を実現できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、しかも、小型化が容易なワイプパターン生成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態のワイプパターン生成装置は、従来のワイプパターン生成装置と同様に、映像処理装置等に用いられ、例えばテレビジョン放送のような動画像を画面に表示する場合に、画面上の領域を生成したパターンによって区分するために利用することができるものである。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るワイプパターン生成装置の主要部の第1の構成例を示すブロック図、図2は本発明の第1の実施形態におけるワイプパターン生成装置の主要部の第2の構成例を示すブロック図である。
【0026】
ワイプパターン生成装置は、θ範囲検出部31と、回路構成切替部32と、動的再構成(Reconfigurable Compute Fabric)デバイスRCFと、乗算器11と、比較器109とを備えている。第1の実施形態のワイプパターン生成装置においては、後述するように、ある条件下においては図1に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に第一回路12の機能が構成され、他の条件下においては、図2に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に第二回路24の機能が構成される。
【0027】
動的再構成デバイスRCFとしては、例えばモトローラ社製のMRC6011を利用することができる。図3は動的再構成デバイスの構成例を示すブロック図であり、MRC6011の概略構成が示されている。この動的再構成デバイスRCFは、再構成可能なディジタル信号処理プロセッサ(DSP)により構成され、入力バッファ501、フレームバッファ502、DMAコントローラ503、I−キャッシュ504、D−キャッシュ505、RCコントローラ506、RCアレイ507、コンテキストメモリ508を備えている。動的再構成デバイスRCFの内部には、算術論理演算を行うリコンフィギュラブルセルRCを多数有するRCアレイ507が設けられ、各リコンフィギュラブルセルRCはデータバスを介してアレイ状に結びつけられる。また、多数のリコンフィギュラブルセルRCを制御するためにRCコントローラ506が備わっている。更に、広帯域データを格納するために、入力バッファ501、フレームバッファ502によるメモリバッファが設けてある。
【0028】
動的再構成デバイスRCFにおいて、RCアレイ507が実行する命令であるコンテキストメモリ508に格納されたコンテキストの内容を制御することにより、RCアレイ507の機能そのものを切り替えることができる。つまり、動的再構成デバイスRCFの内部では、機能的な回路構成を再構成することが可能となっている。
【0029】
図4は第1の実施形態のワイプパターン生成装置におけるワイプパターンの具体例を示す模式図である。本実施形態では、図4に示すようなワイプパターンを表示画面に適用する場合を想定している。図4においては、表示画面中の水平方向の画素位置をx座標、垂直方向の画素位置をy座標とし、x座標の原点を画面左上、y座標の原点を画面中央としてある。また、対応する極座標原点111は画面の左中央に位置している。また、図4に示すワイプパターンは、曲線1と直線(y=−(1/3)x+2/3)との組み合わせにより形成されている。
【0030】
ワイプパターン生成装置の入力には、表示画面中の走査位置の画素座標(x座標,y座標)に対応する情報が、極座標として入力される。この極座標は、極座標原点111からの距離を表すr座標105と、基準軸に対する角度を表すθ座標104との組み合わせにより構成される。図1に示す例では、θ座標104は20ビットの並列2値データとして入力される。
【0031】
θ範囲検出部31は、入力されたθ座標104が属している角度の範囲を識別する。具体的には、(0≦θ<π/2)の条件を満たすか否か、及び(−π/2≦θ<0)の条件を満たすか否かをθ範囲検出部31が識別する。
【0032】
回路構成切替部32は、θ範囲検出部31の識別結果に従って、動的再構成デバイスRCFを制御し、動的再構成デバイスRCFの内部に構成される回路を動的に切り替える。すなわち、入力されたθ座標104が(0≦θ<π/2)の条件を満たす場合には、回路構成切替部32は図1に示すような構成の第一回路12を動的再構成デバイスRCFの内部に構成し、入力されたθ座標104が(−π/2≦θ<0)の条件を満たす場合には、回路構成切替部32は図2に示すような構成の第二回路24を動的再構成デバイスRCFの内部に構成する。
【0033】
第一回路12の出力又は第二回路24の出力が乗算器11の入力に接続される。乗算器11は、第一回路12又は第二回路24の出力とr座標105とを乗算しその結果を出力する。また、比較器109は、乗算器11の出力値と係数R4との大小関係を比較し、その結果をワイプパターン出力110として出力する。
【0034】
図1に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に構成される第一回路12は、sinθ計算部1と、cosθ計算部2と、乗算器4と、乗算器6と、加算器8と、乗算器10とを有して構成される。sinθ計算部1は、入力されたθ座標104についてsinθの計算処理を行う。また、cosθ計算部2は、入力されたθ座標104についてcosθの計算処理を行う。
【0035】
また、乗算器4は、sinθ計算部1の出力と係数R1とを乗算しその結果を出力する。乗算器6は、cosθ計算部2の出力と係数R2とを乗算しその結果を出力する。加算器8は、乗算器4の出力と乗算器6の出力とを加算しその結果を出力する。乗算器10は、加算器8の出力と係数R3とを乗算しその結果を出力する。
【0036】
ところで、sinθやcosθの計算機能については、大容量のROMを用いて実現するのが一般的であるが、動的再構成デバイスRCFの内部に大容量のROMを構成することはできないし、ROMを使用するとアクセス速度が遅いため信号処理を高速で実行するのが困難になる。そこで、本実施形態では、図1に示すsinθ計算部1を図5に示すような構成の回路で実現すると共に、cosθ計算部2を図7に示すような構成の回路で実現している。
【0037】
図5は図1に示されたsinθ計算部の具体的な構成を示すブロック図、図6は図5のsinθ計算部の動作特性例を示すグラフである。図7は図1に示されたcosθ計算部の具体的な構成を示すブロック図、図8は図7のcosθ計算部の動作特性例を示すグラフである。
【0038】
図5に示すように、sinθ計算部1は、sinθテーブル301と、sinθ線形補間係数テーブル302と、乗算器303と、加算器304とを備えて構成される。sinθテーブル301はメモリにより構成され、20ビットの精度を有するθ座標104のうち、下位の10ビットが全て0である場合を想定した離散的なsinθの計算結果がθ座標104の上位10ビットの内容に対応するアドレスに保持されている。従って、θ座標104の上位10ビットをsinθテーブル301に与えることにより、sinθテーブル301から該当するsinθの値を読み出すことができる(図6参照)。
【0039】
また、sinθ線形補間係数テーブル302はメモリにより構成され、θ座標104の下位の10ビットの値の1ステップに相当する補間値が保持されている。この補間値については、θ座標104の上位10ビットの内容に応じて適切な値が異なるので、θ座標104の上位10ビットに対応付けたアドレスにそれぞれ異なる補間値が保持されている。従って、θ座標104の上位10ビットをsinθ線形補間係数テーブル302に与えることにより、sinθ線形補間係数テーブル302から適切な補間値を読み出すことができる。
【0040】
乗算器303は、sinθ線形補間係数テーブル302が出力する1ステップ相当の補間値と、θ座標104の下位の10ビットの値とを乗算しその結果を出力する。加算器304は、sinθテーブル301から出力される値と、乗算器303が出力する補間値とを加算しその結果を線形補間されたsinθの値として出力する(図6参照)。
【0041】
図5のように構成されたsinθ計算部1については、10ビット相当のアドレスを有する2つのメモリだけで20ビットのθ座標104に対応できるので、大容量のメモリを必要とせず、動的再構成デバイスRCFの内部に構成可能なサイズで実現できる。
【0042】
図7に示すように、cosθ計算部2は、cosθテーブル401と、cosθ線形補間係数テーブル402と、乗算器403と、加算器404とを備えて構成される。cosθ計算部2はメモリにより構成され、20ビットの精度を有するθ座標104のうち、下位の10ビットが全て0である場合を想定した離散的なcosθの計算結果がθ座標104の上位10ビットの内容に対応するアドレスに保持されている。従って、θ座標104の上位10ビットをcosθテーブル401に与えることにより、cosθテーブル401から該当するcosθの値を読み出すことができる(図8参照)。
【0043】
また、cosθ線形補間係数テーブル402はメモリでにより構成され、θ座標104の下位の10ビットの値の1ステップに相当する補間値が保持されている。この補間値については、θ座標104の上位10ビットの内容に応じて適切な値が異なるので、θ座標104の上位10ビットに対応付けたアドレスにそれぞれ異なる補間値が保持されている。従って、θ座標104の上位10ビットをcosθ線形補間係数テーブル402に与えることにより、cosθ線形補間係数テーブル402から適切な補間値を読み出すことができる。
【0044】
乗算器403は、cosθ線形補間係数テーブル402が出力する1ステップ相当の補間値と、θ座標104の下位の10ビットの値とを乗算しその結果を出力する。加算器404は、cosθテーブル401から出力される値と、乗算器403が出力する補間値とを加算しその結果を線形補間されたcosθの値として出力する(図8参照)。
【0045】
図7のように構成されたcosθ計算部2については、10ビット相当のアドレスを有する2つのメモリだけで20ビットのθ座標104に対応できるので、大容量のメモリを必要とせず、動的再構成デバイスRCFの内部に構成可能なサイズで実現できる。
【0046】
一方、図2に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に構成される第二回路24は、曲線1テーブル21と第一補間回路25とを備えて構成される。曲線1テーブル21の入力には、θ座標104の上位10ビットが読み出しアドレスとして入力される。
【0047】
曲線1テーブル21はメモリにより構成され、所定の曲線(曲線1)のパターンデータをθ座標104の上位10ビットに対応付けたアドレスに保持している。従って、θ座標104を与えることにより、θ座標104に対応する曲線1のパターンデータを曲線1テーブル21から読み出すことができる。但し、曲線1テーブル21が出力するデータは、θ座標104の10ビットの精度しか有していない。そこで、第一補間回路25を用いて高い精度を確保する。
【0048】
図9は図2に示された第一補間回路の具体的な構成を示すブロック図である。第一補間回路25は、曲線1線形補間係数テーブル22と、乗算器23と、加算器26とを備えて構成される。曲線1線形補間係数テーブル22はメモリにより構成され、補間のためのθの1ステップに相当する係数を保持している。また、適切な係数はθ座標104毎に異なるので、θ座標104の上位10ビットの内容に対応付けたアドレスにそれぞれ異なる係数が保持されている。従って、θ座標104の上位10ビットを曲線1線形補間係数テーブル22の読み出しアドレスとして与えることにより、適切な補間用の係数を曲線1線形補間係数テーブル22から読み出すことができる。
【0049】
乗算器23は、曲線1線形補間係数テーブル22から出力される値と、θ座標104の下位10ビットの値とを乗算しその結果を出力する。加算器26は、曲線1テーブル21が出力する値と、乗算器23が出力する値とを加算しその結果を線形補間結果として出力する。
【0050】
次に、第1の実施形態における具体的なワイプパターンを生成するための構成及び動作について説明する。まず、図4に示したワイプパターンにおいて、入力されるθ座標104が(0≦θ<π/2)の範囲内の場合に、図1の第一回路12を用いて(y=−(1/3)x+2/3)の関数で表される直線のパターンを生成する場合を想定する。
【0051】
極座標原点111から前記直線(y=−(1/3)x+2/3)上の任意の点までの距離をrで表し、その逆数(1/r)を次の(1)式により求める。
【0052】
【数1】

【0053】
上記(1)式で表される距離の逆数(1/r)は、グラフ上に表すと図10に示すようになる。図10は第1の実施形態におけるワイプパターンの直線上の点と極座標中心との距離rの逆数とθとの関係を示すグラフである。また、図11は第1の実施形態におけるワイプパターンの一部分を構成する直線を示す模式図である。
【0054】
従って、前記直線(y=−(1/3)x+2/3)のパターンを生成するための距離の逆数(1/r)を第一回路12を用いて出力するためには、上記(1)式の内容に合わせて、前記係数R1に「3」を割り当て、係数R2に「1」を割り当て、係数R3に「1/2」を割り当てればよい。
【0055】
また、比較器109が比較する係数R4に「1」を割り当て、表示画面上を順次に走査して得られる様々な極座標の値をθ座標104及びr座標105として図1に示す回路に入力すると、ワイプパターン出力110としては図11に示すような結果が得られる。つまり、前記直線(y=−(1/3)x+2/3)を境界として、画面上を2つの領域に区分した場合の領域を表す2値信号がワイプパターン出力110として得られる。すなわち、乗算器11が出力する値、すなわち(r/r)が係数R4である「1」と一致する点は、前記直線(y=−(1/3)x+2/3)上に位置する。
【0056】
次に、図4に示したワイプパターンにおいて、入力されるθ座標104が(−π/2≦θ<0)の範囲内の場合に、図2の第二回路24を用いて曲線1のパターンを生成する場合について説明する。
【0057】
図12は図2に示された曲線1テーブルが保持するデータの例を示す模式図である。第二回路24上の曲線1テーブル21には、図12に示すように、20ビットで構成されるθ座標104の下位10ビットを0とした場合に対応する極座標原点111から曲線1上までの離散的な距離の逆数がデータとして保持される。従って、θ座標104の上位10ビットを曲線1テーブル21の読み出しアドレスとして与え、曲線1テーブル21から距離の逆数を読み出す。但し、曲線1テーブル21からは離散的なデータが出力されるので、第一補間回路25を用いて線形補間を行う。
【0058】
第一補間回路25は図9に示したように構成され、曲線1線形補間係数テーブル22には、θ座標104の下位10ビットの1ステップに対応する補間値が保持されている。この補間値には、θ座標104の上位10ビットに対応するアドレス毎に異なる値が割り当てられる。曲線1線形補間係数テーブル22の値とθ座標104の下位10ビットを乗算器23で乗算した結果に、曲線1テーブル21の出力を加算器26で加算することにより、線形補間結果が得られる。
【0059】
極座標原点111から曲線1上の任意の点までの距離をrで表すと、第一補間回路25から出力される線形補間結果は(1/r)になる。曲線1テーブル21の出力及び線形補間結果(1/r)をグラフに表すと、図13に示すようになる。
【0060】
図13は第1の実施形態におけるワイプパターンの曲線1上の点と極座標中心との距離rの逆数とθとの関係を示すグラフである。また、図14は第1の実施形態におけるワイプパターンの一部分を構成する曲線1を示す模式図である。
【0061】
図2及び図9に示すように構成された第二回路24については、10ビット相当のアドレスを有する2つのメモリだけで20ビットのθ座標104に対応できるので、大容量のメモリを必要とせず、動的再構成デバイスRCFの内部に構成可能なサイズで実現できる。
【0062】
また、比較器109が比較する係数R4に「1」を割り当て、表示画面上を順次に走査して得られる様々な極座標の値をθ座標104及びr座標105として図2に示す回路に入力すると、ワイプパターン出力110としては図14に示すような結果が得られる。つまり、曲線1を境界として、画面上を2つの領域に区分した場合の領域を表す2値信号がワイプパターン出力110として得られる。すなわち、乗算器11が出力する値、すなわち(r/r)が係数R4である「1」と一致する点は、前記曲線1上に位置する。
【0063】
実際の本実施形態のワイプパターン生成装置においては、図1及び図2に示すθ範囲検出部31がθ座標104の範囲を識別し、その結果に応じて回路構成切替部32が動的再構成デバイスRCF上の回路構成を動的に切り替える。従って、図4に示すように、θ座標104が(0≦θ<π/2)の範囲にある場合には直線(y=−(1/3)x+2/3)のパターンが第一回路12の働きにより生成され、θ座標104が(−π/2≦θ<0)の範囲にある場合には曲線1のパターンが第二回路24の働きにより生成されるので、直線と曲線とを連続的に組み合わせたワイプパターンを生成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、ワイプパターンを生成するために第一回路12と第二回路24とを利用しているが、動的再構成デバイスRCFを共通の回路資源として利用し構成を切り替えるので、第一回路12と第二回路24とのそれぞれに独立した回路資源を用意する必要がなく、装置の小型化が可能になる。さらに、メモリ資源の共用による小容量化によって、半導体デバイス上に搭載する高速動作可能なメモリを利用しやすくなり、回路全体の高速動作を容易にすることができる。
【0065】
なお、上記の説明においては、具体例として直線(y=−(1/3)x+2/3)のパターンを第一回路12で生成する場合を説明したが、前記各係数R1、R2、R3、の値を適宜変更することにより、他のさまざまな傾きの直線を基にしたワイプパターンを生成することができる。
【0066】
また、前述のsinθ計算部1、cosθ計算部2、第二回路24などの具体的な構成については、動的再構成デバイスRCF上に搭載可能なメモリ容量で実現可能な構成であれば、他の回路構成を採用してもよい。また、曲線1については様々な形状を実現できる。
【0067】
また、上記の例では表示画面上の極座標の角度θを(−π/2)〜(π/2)の範囲に定める場合を説明したが、極座標原点111に定める場所の違いに対応して、(−π/2)〜(π/2)の範囲以外の角度θを使用しても良い。また、回路構成切替部32が回路構成を切り替えるθの境界値については0以外の値を用いても良く、更に複数の値を境界値として利用してもよい。係数R4については、1以外の値を採用したり、値を可変にすることにより、極座標原点111を中心としてワイプパターンを拡大したり縮小することもできる。
【0068】
(第2の実施形態)
図15は本発明の第2の実施形態に係るワイプパターン生成装置の主要部の構成例を示すブロック図である。また、図16は第2の実施形態のワイプパターン生成装置におけるワイプパターンの具体例を示す模式図である。
【0069】
第2の実施形態は、前述した第1の実施形態の変形例である。図15及び図17において、第1の実施形態と対応する同様の要素は同一の符号を付けて示してある。以下の説明においては、第1の実施形態と異なる構成及び動作を主体に説明する。
【0070】
第2の実施形態では、図16に示すようなワイプパターンを表示画面に適用する場合を想定している。図16においては、表示画面中の水平方向の画素位置をx座標、垂直方向の画素位置をy座標とし、x座標の原点を画面左上、y座標の原点を画面中央としてある。また、対応する極座標原点111は画面の左中央に位置している。また、図16に示すワイプパターンは、曲線1と曲線2との組み合わせにより形成されている。
【0071】
ワイプパターン生成装置は、θ範囲検出部31と、回路構成切替部32Bと、動的再構成デバイスRCFと、乗算器11と、比較器109とを備えている。つまり、第1の実施形態とは回路構成切替部32Bの構成だけが異なっている。ここで、第2の実施形態では、回路構成切替部32Bの制御により、動的再構成デバイスRCF上に第二回路24又は第三回路45が形成される。
【0072】
第2の実施形態のワイプパターン生成装置においては、後述するように、ある条件下においては図2に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に第二回路24の機能が構成され、他の条件下においては、図15に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に第三回路45の機能が構成される。
【0073】
ワイプパターン生成装置の入力には、第1の実施形態と同様に、表示画面中の走査位置の画素座標(x座標,y座標)に対応する情報が、極座標として入力される。この極座標は、極座標原点111からの距離を表すr座標105と、基準軸に対する角度を表すθ座標104との組み合わせにより構成される。図15に示す例では、θ座標104は20ビットの並列2値データとして入力される。
【0074】
θ範囲検出部31は、入力されたθ座標104が属している角度の範囲を識別する。具体的には、(0≦θ<π/2)の条件を満たすか否か、及び(−π/2≦θ<0)の条件を満たすか否かをθ範囲検出部31が識別する。
【0075】
回路構成切替部32Bは、θ範囲検出部31の識別結果に従って、動的再構成デバイスRCFを制御し、動的再構成デバイスRCFの内部に構成される回路を動的に切り替える。すなわち、入力されたθ座標104が(0≦θ<π/2)の条件を満たす場合には、回路構成切替部32Bは図15に示すような構成の第三回路45を動的再構成デバイスRCFの内部に構成し、入力されたθ座標104が(−π/2≦θ<0)の条件を満たす場合には、回路構成切替部32Bは図2に示すような構成の第二回路24を動的再構成デバイスRCFの内部に構成する。
【0076】
図2に示す第二回路24の構成及び動作については、前述の第1の実施形態において説明したとおりである。
【0077】
図15に示すように、動的再構成デバイスRCFの内部に構成される第三回路45は、曲線2テーブル41と第二補間回路46とを備えている。曲線2テーブル41の入力にはθ座標104の上位12ビットが入力され、第二補間回路46の2つの入力には、曲線2テーブル41の出力とθ座標104とが入力される。
【0078】
図17は図15に示された第二補間回路の具体的な構成を示すブロック図である。第二補間回路46は、曲線2線形補間係数テーブル42と、乗算器43と、加算器44とを備えて構成される。曲線2線形補間係数テーブル42は、θ座標104の上位12ビットを読み出しアドレスとして入力し、該当する補間係数を出力する。乗算器43は、曲線2線形補間係数テーブル42の出力と、θ座標104の下位8ビットの値とを乗算してその結果を出力する。加算器44は、曲線2テーブル41の出力と乗算器43の出力とを加算してその結果を出力する。
【0079】
次に、第1の実施形態における具体的なワイプパターンを生成するための構成及び動作について説明する。
【0080】
入力されるθ座標104が(−π/2≦θ<0)の範囲内にある場合には、回路構成切替部32Bが動的再構成デバイスRCF上に第二回路24を形成するので、第二回路24の働きにより図16に示す曲線1のパターンが第1の実施形態と同様に生成される。一方、入力されるθ座標104が(0≦θ<π/2)の範囲にある場合には、回路構成切替部32Bが動的再構成デバイスRCF上に第三回路45を形成する。
【0081】
図18は図15に示された曲線2テーブルが保持するデータの例を示す模式図である。第三回路45内の曲線2テーブル41は、極座標原点111から曲線2上の任意の点までの距離rの逆数が、20ビットで構成されるθ座標104の下位8ビットが0である場合を想定した離散的なデータとして保持されている。従って、θ座標104の上位12ビットを曲線2テーブル41に読み出しアドレスとして与えることにより、距離rの逆数のデータが曲線2テーブル41から読み出される。
【0082】
第三回路45内の第二補間回路46は、曲線2テーブル41の出力するデータを線形補間するために設けてある。第二補間回路46に設けられた曲線2線形補間係数テーブル42は、θ座標104の下位8ビットの1ステップに対応する補間係数を保持している。適切な補間係数はθ座標104の上位12ビットの値に応じて異なるので、曲線2線形補間係数テーブル42にはθ座標104の上位12ビットの値に対応付けたアドレスにそれぞれ異なる補間係数を格納してある。従って、曲線2線形補間係数テーブル42の読み出しアドレスにθ座標104の上位12ビットを与えることにより、適切な補間係数が曲線2線形補間係数テーブル42から読み出される。
【0083】
図19は第2の実施形態におけるワイプパターンの曲線2上の点と極座標中心との距離rの逆数とθとの関係を示すグラフである。また、図20は第2の実施形態におけるワイプパターンの一部分を構成する曲線2を示す模式図である。
【0084】
乗算器43は、θ座標104の下位8ビットの値と曲線2線形補間係数テーブル42から出力される補間係数とを乗算してその結果を出力する。加算器44は、曲線2テーブル41が出力する値と乗算器43が出力する値とを加算してその結果を線形補間結果として出力する。この線形補間結果は、前述の距離rの逆数(1/r)である(図19参照)。
【0085】
図15及び図17に示すように構成された第三回路45については、12ビット相当のアドレスを有するメモリと8ビット相当のアドレスを有するメモリだけで20ビットのθ座標104に対応できるので、大容量のメモリを必要とせず、動的再構成デバイスRCFの内部に構成可能なサイズで実現できる。
【0086】
乗算器11は、第二回路24から出力される(1/r)又は第三回路45から出力される(1/r)とr座標105とを乗算してその結果を出力する。比較器109は、乗算器11が出力する値((r/r)又は(r/r))と係数R4とを比較してその結果をワイプパターン出力110として出力する。
【0087】
また、比較器109が比較する係数R4に「1」を割り当て、表示画面上を順次に走査して得られる様々な極座標の値をθ座標104及びr座標105として図15に示す回路に入力すると、ワイプパターン出力110としては図20に示すような結果が得られる。つまり、曲線2を境界として、画面上を2つの領域に区分した場合の領域を表す2値信号がワイプパターン出力110として得られる。すなわち、乗算器11が出力する値、すなわち(r/r)が係数R4である「1」と一致する点は、前記曲線2上に位置する。
【0088】
第2の実施形態では、ワイプパターンを生成するために第二回路24と第三回路45とを利用しているが、動的再構成デバイスRCFを共通の回路資源として利用し構成を切り替えるので、第二回路24と第三回路45とのそれぞれに独立した回路資源を用意する必要がなく、装置の小型化が可能になる。さらに、メモリ資源の共用による小容量化により、半導体デバイス上に搭載する高速動作可能なメモリを利用しやすくなり、回路全体の高速動作を容易にすることができる。
【0089】
なお、第三回路45の構成については、動的再構成デバイスRCF上に搭載可能なメモリ容量で実現可能な構成であれば、図17に示した構成以外の回路構成を採用してもよい。また、曲線2については様々な形状を実現できる。
【0090】
また、上記の例では表示画面上の極座標の角度θを(−π/2)〜(π/2)の範囲に定める場合を説明したが、極座標原点111に定める場所の違いに対応して、(−π/2)〜(π/2)の範囲以外の角度θを使用しても良い。また、回路構成切替部32Bが回路構成を切り替えるθの境界値については0以外の値を用いても良く、更に複数の値を境界値として利用してもよい。係数R4については、1以外の値を採用したり、値を可変にすることにより、極座標原点111を中心としてワイプパターンを拡大したり縮小することもできる。
【0091】
上述した本実施形態のワイプパターン生成装置によれば、大容量ROMを利用することなく様々なパターンを生成することが可能となる。大容量ROMを使用しないため、パターンの生成速度が遅くなるのを防止することができ、高解像度の表示画面にも対応できる。しかも、動的再構成デバイスを利用し、その構成を極座標の角度の範囲に応じて変更することにより生成するパターンを切り替えるので、限られたハードウエア資源を有効に活用して様々な種類のパターンを生成することができる。従って、本実施形態のワイプパターン生成装置は、小型化、高速化した構成によって、様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、映像・画像の制作・編集等が行われる各分野において広く利用することが可能である。
【0092】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、この明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその構成や動作の一部分に変更を加えたり、応用することも可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、様々な図形のワイプパターン発生を高速に実行することができ、しかも、小型化が容易に実現できる効果を有し、映像制作等に用いられ、特に、高解像度の画像に対応し、多種類のワイプパターンを生成可能なワイプパターン生成装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るワイプパターン生成装置の主要部の第1の構成例を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態におけるワイプパターン生成装置の主要部の第2の構成例を示すブロック図
【図3】動的再構成デバイスの構成例を示すブロック図
【図4】第1の実施形態のワイプパターン生成装置におけるワイプパターンの具体例を示す模式図
【図5】図1に示されたsinθ計算部の具体的な構成を示すブロック図
【図6】図5のsinθ計算部の動作特性例を示すグラフ
【図7】図1に示されたcosθ計算部の具体的な構成を示すブロック図
【図8】図7のcosθ計算部の動作特性例を示すグラフ
【図9】図2に示された第一補間回路の具体的な構成を示すブロック図
【図10】第1の実施形態におけるワイプパターンの直線上の点と極座標中心との距離rの逆数とθとの関係を示すグラフ
【図11】第1の実施形態におけるワイプパターンの一部分を構成する直線を示す模式図
【図12】図2に示された曲線1テーブルが保持するデータの例を示す模式図
【図13】第1の実施形態におけるワイプパターンの曲線1上の点と極座標中心との距離rの逆数とθとの関係を示すグラフ
【図14】第1の実施形態におけるワイプパターンの一部分を構成する曲線1を示す模式図
【図15】本発明の第2の実施形態に係るワイプパターン生成装置の主要部の構成例を示すブロック図
【図16】第2の実施形態のワイプパターン生成装置におけるワイプパターンの具体例を示す模式図
【図17】図15に示された第二補間回路の具体的な構成を示すブロック図
【図18】図15に示された曲線2テーブルが保持するデータの例を示す模式図
【図19】第2の実施形態におけるワイプパターンの曲線2上の点と極座標中心との距離rの逆数とθとの関係を示すグラフ
【図20】第2の実施形態におけるワイプパターンの一部分を構成する曲線2を示す模式図
【図21】従来例のワイプパターン生成装置の構成を示すブロック図
【図22】ワイプパターンが適用される表示画面の例を示す正面図
【図23】表示画面上の極座標の例を示す模式図
【図24】従来例のワイプパターン生成装置内のメモリに保持されるデータの例を示す模式図
【図25】生成されたワイプパターンによって表示画面上が区分された状態を示す正面図
【図26】従来例のワイプパターン生成装置内のメモリに保持されるデータの例を示す模式図
【符号の説明】
【0095】
1 sinθ計算部
2 cosθ計算部
4,6,10,11 乗算器
8 加算器
12 第一回路
21 曲線1テーブル
22 曲線1線形補間係数テーブル
23 乗算器
24 第二回路
25 第一補間回路
26 加算器
31 θ範囲検出部
32,32B 回路構成切替部
41 曲線2テーブル
42 曲線2線形補間係数テーブル
43 乗算器
44 加算器
45 第三回路
46 第二補間回路
104 θ座標
105 r座標
109 比較器
110 ワイプパターン出力
111 極座標原点
301 sinθテーブル
302 sinθ線形補間係数テーブル
303 乗算器
304 加算器
401 cosθテーブル
402 cosθ線形補間係数テーブル
403 乗算器
404 加算器
R1,R2,R3,R4 係数
RCF 動的再構成デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上の各画素に対応する位置情報が、角度データθと極座標の中心からの距離データrとの組み合わせで表現される極座標データとして入力され、前記極座標データと所定のパターン情報とを比較した結果を出力するワイプパターン生成装置であって、
ディジタル信号処理機能を備える動的再構成デバイスと、
入力される前記角度データθからsinθを計算するsinθ計算手段と、前記sinθの計算結果と第一係数とを乗算する第一乗算手段と、前記角度データθからcosθを計算するcosθ計算手段と、前記cosθの計算結果と第二係数とを乗算する第二乗算手段と、前記第一乗算手段の出力と第二乗算手段の出力とを加算した結果を第三係数と乗算する第三乗算手段とを有し、極座標の中心から表示画面上の任意の直線までの距離の逆数を計算する第一回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第一回路構成手段と、
前記角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの任意の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、前記角度データθを用いて前記メモリ出力を補間する補間手段とを有する第二回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第二回路構成手段と、
前記角度データθが属する角度の範囲を識別し、角度データθの範囲に応じて前記第一回路構成手段及び前記第二回路構成手段を制御し、前記第一回路と前記第二回路とを動的に切り替える構成切り替え手段と、
前記第一回路の出力または前記第二回路の出力と前記極座標の距離データrとを乗算した結果と、第四係数とを比較する比較手段と
を備えるワイプパターン生成装置。
【請求項2】
表示画面上の各画素に対応する位置情報が、角度データθと極座標の中心からの距離データrとの組み合わせで表現される極座標データとして入力され、前記極座標データと所定のパターン情報とを比較した結果を出力するワイプパターン生成装置であって、
ディジタル信号処理機能を備える動的再構成デバイスと、
前記角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの第一の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、前記角度データθを用いて前記メモリ出力を補間する補間手段とを有する第二回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第二回路構成手段と、
前記角度データθの上位ビットに対応した極座標の中心からの第二の曲線上までの離散的な距離データの逆数を保持するメモリと、前記角度データθを用いて前記メモリ出力を補間する補間手段とを有する第三回路を、前記動的再構成デバイス上に構成する第三回路構成手段と、
前記角度データθが属する角度の範囲を識別し、角度データθの範囲に応じて前記第二回路構成手段及び前記第三回路構成手段を制御し、前記第二回路と前記第三回路とを動的に切り替える構成切り替え手段と、
前記第二回路の出力または前記第三回路の出力と前記極座標の距離データrとを乗算した結果と、第四係数とを比較する比較手段と
を備えるワイプパターン生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−129634(P2007−129634A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322281(P2005−322281)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】