ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給するための方法およびシステム
【課題】無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】一態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法は、実質的に変調されていない信号を生成するステップを含む。当該方法は
、実質的に変調されていない信号に基づき、送信アンテナを介して、実質的に変調されていない無線周波数(Radio Frequency;RF)信号を充電式デバイスに放射するステップをさらに含む。当該方法は、実質的に変調されていないRF信号によって送達される電力により、充電式デバイスに電力供給または充電するステップをさらに含む。
【解決手段】一態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法は、実質的に変調されていない信号を生成するステップを含む。当該方法は
、実質的に変調されていない信号に基づき、送信アンテナを介して、実質的に変調されていない無線周波数(Radio Frequency;RF)信号を充電式デバイスに放射するステップをさらに含む。当該方法は、実質的に変調されていないRF信号によって送達される電力により、充電式デバイスに電力供給または充電するステップをさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2006年1月18日出願の、「Method and System for Charging an Electronic Device via a Wireless Link」と題された、米国仮特許出願第60/760,064号に基づく優先権を主張する、2006年4月21日に出願された本出願と同題の米国実用新案出願第11/408,793号に基づく優先権を主張するものであり、前述のそれぞれは、参照することによりその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して、電子デバイスに電力供給または充電するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年の技術の発展により、ノート型コンピュータ、携帯電話、およびPDA(Personal Digital Assistant;携帯情報端末)等のいくつかの電子デバイスは、種々のマルチメディアアプリケーションを実行することが可能になっている。しかしながら、これらの新たなマルチメディアアプリケーションは、実行するために大量の電力を必要とする。この課題に対する良い解決策は、コンセントにプラグを差し込まなくてもこれらの電子デバイスに充電することができるシステムであり得る。そのようなデバイスのいずれか、例えば携帯電話が、電源線と接続する必要なく十分に充電された状態に保たれている場合、利便性および安全性における大きな利益もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
一態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するように構成されるシステムを提供する。当該システムは、充電式デバイスに電力供給または充電するための、実質的に変調されていない信号を生成するように構成される送信機を備える。当該システムは、送信機から実質的に変調されていない信号を受信し、実質的に変調されていない無線周波数(RF)信号を充電式デバイスに放射するように構成される送信アンテナをさらに備える。
【0005】
別の態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するように構成されるシステムを提供する。当該システムは、第1のアンテナを介して、充電式デバイスに電力供給または充電するための第1の信号を送信するように構成される第1の送信機を備える。当該システムは、第2のアンテナを介して、充電式デバイスに電力供給または充電するための第2の信号を送信するように構成される第2の送信機をさらに備え、第1および第2の信号の組み合わせによって、充電式デバイスに電力供給または充電する。
【0006】
別の態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法を提供する。当該方法は、実質的に変調されていない信号を生成するステップを含む。当該方法は、実質的に変調されていない信号に基づき、送信アンテナを介して、実質的に変調されていない無線周波数(RF)信号を充電式デバイスに放射するステップをさらに含む。当該方法は、実質的に変調されていないRF信号によって送達される電力により、充電式デバイスに電力供給または充電するステップをさらに含む。
【0007】
別の態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法を提供する。当該方法は、第1のアンテナを介して、充電式デバイスに第1の信号を送信するステップを含む。当該方法は、第2のアンテナを介して、充電式デバイスに第2の信号を送信するステップをさらに含む。当該方法は、第1および第2の信号の組み合わせによって送達される電力により、充電式デバイスに電力供給または充電するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシ ステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。
【図2A】電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る電気信号の例を示す。
【図2B】電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る電気信号の例を示す。
【図2C】電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る電気信号の例を示す。
【図3】エネルギーを搬送および送達するための無線周波数信号をアンテナからデバイスへ伝達するシステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。
【図4】図1に示す充電式デバイス14の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシステムの、別の例示的な実施形態の概観を示す。
【図6A】2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。
【図6B】2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。
【図6C】2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。
【図7】充電式デバイスに電力供給または充電するために、2つの無線周波数信号を同時に送信するシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図8】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。
【図9】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する2つの無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。
【図10】電子デバイスに同相で到達するように、2つの無線周波数信号間の位相差を調整する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明の一部の特定の実施形態を対象とするものである。しかしながら、本発明は、特許請求の範囲によって定義および網羅されているように、多数の異なる手法で具現化され得る。本説明においては図面を参照し、全図面中、類似の部分には類似の数字が指定されている。
【0010】
「例示的な」という語は、本願において使用される場合、「例、事例、または例証としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的な」ものとして本願に記載されているいかなる実施形態も、その他の実施形態よりも好適または有利なものとして解釈される必要はない。
【0011】
概して電子デバイスの電池等の携帯電源に充電するための方法およびシステムに関する一部の実施形態を開示する。より具体的には、これらの実施形態は、無線周波数(RF)波を使用する等により、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力を供給することに関する。
【0012】
図1は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。例示的な実施形態において、当該システムは、それぞれ、1つ以上の送信アンテナ18とそれぞれ通信を行っている1つ以上の送信機12を含む。1つ以上の送信機12と通信を行っている1つ以上の電子デバイス14を図1に示す。
【0013】
送信機12は、電力またはエネルギーを搬送する信号を生成し、送信機をアンテナに接続する送給ライン(図示せず)を介して、そのような信号を送信アンテナ18へ送る。一部の実施形態において、電力またはエネルギーを搬送する信号は、無線周波数(RF)信号を含み得る。一実施形態において、送信機12は、無線周波数信号源および増幅器を備えてもよい。無線周波数信号源は、特定の周波数で、限定された電力の無線周波数信号を生成する。続いて増幅器は、信号源によって生成された信号を増幅し、当該増幅された信号を、適切なインタフェース(例えば、RFケーブル)を介して送信アンテナに送給する。
【0014】
一実施形態において、送信アンテナ18は、全方位性であってもまたは指向性であってもよい。全方位性アンテナは、実質的にアンテナの周囲全体に無線信号を放射し、一方、指向性アンテナは、特定の角度、例えば180度未満の角度に無線信号を集中させる。アンテナによって提供される信号サービスエリアの角度は一般に、ビーム幅によって計測される。別の実施形態において、0.1乃至20度のビーム幅を有する指向性アンテナ等の指向性アンテナを、送信アンテナ18として使用することが望ましい。例えば、ビーム幅は、約0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.5、0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20度以上で選択され得る。また、送信アンテナ18は、妥当なゲイン内で放射される信号の周波数において動作するように選択される。
【0015】
一部の実施形態において、充電式デバイス14に十分な電力が送信されるように、送信アンテナ18として高い電力ゲインを有するアンテナを選択することが望ましい(図1参照)。一実施形態において、送信アンテナ18の電力ゲインは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16デシベル(dBd)以上であってもよい。本書において、「dBd」という用語は、よく知られている、ビーム中心における電力強度の、その他の点では同程度の半波長ダイポールアンテナの電力強度に対する対数比率を表現するものである。例えば12デシベルの電力ゲインを有するアンテナを使用する場合、送信アンテナ18は、電力強度が、単純な半波長ダイポールアンテナからの電力強度の約16倍となるように、受信する信号を集中させることができる。
【0016】
上述のように、送信アンテナ18は、電力またはエネルギーを搬送する無線周波数信号を送信機12から受信し、ワイヤレスリンク16を介して、そのような信号を電子デバイス14に放射する。電子デバイス14は、メディアプレーヤー、携帯情報端末(PDA)、携帯型コンピュータ(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)、モバイルまたはセルラー式電話(携帯電話)、時計、電子ディスプレイ、または、任意で充電式電池等の携帯源からの電力を利用するその他任意のデバイスのうちの少なくとも1つを備える、いかなる充電式または非充電式デバイスであってもよい。電子デバイス14に電力供給または充電するために受信したエネルギーを使用する一般的なシステムおよび方法に関する説明は、少なくとも米国特許公開第2005/0194926号ならびに米国特許第6,127,799号および第7,012,405号において見ることができ、これらは参照することにより本願に組み込まれる。
【0017】
図2A、2B、および2Cは、電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る信号波形の例を示す。図2Aは、純(例えば、実質的に変調されていない)正弦波信号の2次元グラフである。縦軸は純正弦波信号の振幅を表し、一方、横軸は時間を表す。本願において考察される波形のいずれについても、状況に応じて、振幅は、電圧(ボルトで計測される)、電界強度(ボルト/メートルで計測される)、電流(アンペアで計測される)、または磁界強度(アンペア/メートルで計測される)を表す場合がある。図示するように、純正弦波信号は、時間の周期関数である。図2Bは、矩形波信号の2次元グラフである。縦軸は矩形波信号の振幅を表し、一方、横軸は時間を表す。図示するように、矩形波信号は、時間の周期関数である。図2Cは、周波数変調された正弦波信号の2次元グラフである。縦軸は周波数変調された正弦波信号の振幅を表し、一方、横軸は時間を表す。周波数変調された正弦波は、時間の関数として示されている。図2Cにおいて、期間0〜t1における周波数変調された信号の周波数は、期間t1〜t2中における周波数とは異なる。電子デバイス14に電力を搬送および送達するために、例えば、連続波(Continuous‐Wave;CW)単一周波数信号、図2Cに示す周波数変調された信号以外の変調された正弦波信号、およびその他の周期信号を含むその他の波形の信号を使用してもよい(図1参照)。
【0018】
変調とは、情報を伝達するために、搬送波信号(例えば、正弦信号)の計測可能な特性(振幅、周波数、もしくは位相、またはそれらの何らかの組み合わせ等)を変動させるプロセスをいうことに留意すべきである。結果として生じる変動信号を、変調信号と称する。
【0019】
一部の実施形態において、送信機12は、ワイヤレスリンク16を介して充電エネルギーを搬送するために、実質的に変調されていない信号を生成するように構成される(図1参照)。実質的に変調されていない信号の例は、上記の図2Aに示すような純正弦波信号であってもよいが、これに限定されない。一実施形態において、充電電力を搬送および送達するために、純(例えば、実質的に変調されていない)正弦波信号が使用される。純正弦波信号は、実質的に単一の基本周波数を中心とする比較的狭い帯域幅を特徴とする。別の実施形態において、基準正弦波および少なくとも1つの高調正弦波で構成される、矩形、パルス、三角、鋸歯状、または不規則信号等、その他の周期波信号を使用してもよい。一般に、基準正弦波信号は、基本周波数と呼ばれ、最も低い周波数を有し、一般に最大振幅を有する。高調正弦波信号は、基本周波数の整数倍の周波数を有し、一般に基準正弦波信号よりも低い振幅を有する。その他の周期波信号は少なくとも1つの高調正弦波信号を包含するため、純正弦波信号よりも広い帯域幅を有する。図2Cに示すもの等の周波数変調された(Frequency Modulated;FM)正弦信号も、実質的に異なる周波数の正弦波を包含することから、純正弦波信号よりも広い帯域幅を有する。エネルギーを搬送するために純正弦波信号を使用することは、その他の種類の信号よりも多くの利点を提供するため、一部の実施形態において、他の代替案よりも選ばれ得る。
【0020】
一実施形態において、送信機12は、純正弦信号を使用して有利に高い電力伝送効率を実現することができる。第1に、純正弦波信号は狭い周波数帯域幅を有し、これにより、アンテナおよびその他のデバイスが周波数において正確に一致し、高い電力伝送効率を実現することを可能にする。第2に、送信されたビームの単一周波数の純度は、収束された送信を可能にし、ビームの広がりを限定し、高い電力伝送効率をもたらす。
【0021】
別の例は、純正弦波信号を使用することによってシステム設計を簡略化し、変調が必要とされないため製造コストを削減することである。さらに、純正弦波信号は狭い周波数帯域幅を有するため、純正弦波信号を使用することにより、干渉効果を最小限に保つ。
【0022】
エネルギーを送達するために使用される信号は、充電式デバイス14に充電するために十分な電力を搬送および送達するのに適した、任意の所望の周波数および電力レベルで選択され得る。概して、例示的な無線周波数信号は、3MHz乃至30GHzの周波数を有する。例えば、エネルギーを送達するために使用される信号は、約30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、800、900MHz、または1GHzの周波数のものであってもよい。
【0023】
FCC(Federal Communications Commission;連邦通信委員会)によって許可されたヒトのRF曝露等、技術的および非技術的な多くの要因が、電力を搬送および送達する信号用の周波数を発見するための探索に影響を及ぼし得る。例えば、受信アンテナの等価口径が大きいことも望ましい。アンテナの有効口径は、波長の二乗に比例するため、より低い周波数において著しく増大する。結果として、送達される電力は増大する。アンテナの等価口径は、平方メートルで計測され、入来無線波から当該アンテナによって受信された電力(単位:ワット)の、当該波の電力強度(単位:ワット/平方メートル)に対する比率である。より低い周波数を使用することにより有効口径は大きくなるが、一方で、より低い周波数において、ダイポールアンテナ等の受信アンテナのサイズは、携帯電話機等のアプリケーションにとっては邪魔となる場合がある。一実施形態において、信号は、1GHz乃至40GHz、好ましくは12GHz乃至36GHzの周波数のものが選択され得る。別の実施形態において、信号は、30MHz乃至300MHz、好ましくは88MHz乃至108MHzの周波数のものが選択され得る。88MHzから108MHzの範囲の周波数帯域は、FM放送のために世界中で使用されている。この帯域は、200kHz間隔で100のチャネルに分割される。本発明に関与する送信は現存するFMチャネルに干渉しないため、チャネル間の間隔において単一周波数送信として二重用途に適用することが可能である。例えば、本願において考察する伝送は、100.1MHzおよび100.3MHzの隣接するチャネルのそれぞれから100kHz離れた、100.2MHzの周波数において行われ得る。
【0024】
図3は、エネルギーを搬送および送達するための無線周波数信号をアンテナからデバイスへ伝達するシステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。例示的な実施形態において、送信アンテナ18は、純正弦波無線周波数信号17を充電式デバイス14の受信アンテナ148へ送る。送信アンテナ18は、指向性であってもよいし全方位性であってもよい。
【0025】
無線周波数信号17は、変調されていてもよいし、実質的に変調されていなくてもよい。一部の実施形態において、無線周波数信号17は実質的に変調されていない。システム内の欠陥により、信号は、その振幅、周波数、または位相において小さな偏差を有する場合があるが、それによって本発明への適用性を著しく損なうものではない。その他の実施形態において、送信機の法的識別、あるいは、据付、調整、もしくはトラブルシューティングのために、どの送信機が特定の無線信号を発生させているかを識別することを目的として、時折、一時的に、信号の振幅、周波数、もしくは位相を意図的に変調することが望ましい。一部の実施形態において、FCCまたはその他の政府機関によって、無線送信機の法的識別が必要とされる場合がある。例えば、法的識別は、当該送信機の呼び出し符号のモールス符号表現を提供するための、無線信号送信中における一連の短い中断を用いて実施され得る。例示的な実施形態において、純正弦波無線周波数信号17が使用される。
【0026】
受信アンテナ148は、図1にそれぞれ示す送信機14に含まれる。あるいは、受信アンテナ148を、充電式14に外部から取り付けてもよい。充電式デバイス14がデータ通信用のアンテナを有する場合、受信アンテナは、データ通信に使用されるものと同じアンテナであってもよいし、そうでなくてもよい。一部の実施形態において、受信アンテナ148は、全方位性であり、したがってユーザが複数の配向のうちの1つに充電式デバイスを設置することを可能にするように構成される。充電式デバイス14については、図4に関連してさらに詳細に説明する。
【0027】
無線周波数信号(電磁波としても知られている)は、電界波および磁界波に由来する、横波の複合放射波である。電波または電圧波(ボルト/メートルで計測される電界E)は、アンテナの2つの部分間、例えばダイポールアンテナの2つの導電性棒部分間に電圧差が存在する場合に生成される。磁気波または電流波(アンペア/メートルで計測される磁界H)は、電流がアンテナの任意の部分を通って進行する場合、例えば、ダイポールアンテナ内の2本の棒の長さ軸に沿って電流が流れる場合に生成される。電界Eおよび磁界Hの積は、無線周波数波の電力強度(ワット/平方メートルで計測される)を生じさせる。概して、電磁波の偏波とは、電磁波の電界成分の空間的配向をいう。アンテナの偏波は、当該アンテナによって放射された電磁波の偏波である。受信アンテナの偏波方向が入来電磁波の電界配向に対して平行である場合、アンテナのその他の配向と比較して、当該波からアンテナへ最大の電力が送達される。無線周波数波の偏波の概念は、少なくとも米国特許第5,936,575号において開示されており、当該特許は参照することにより本願に組み込まれる。
【0028】
一部の実施形態において、送信アンテナ18および受信アンテナ148の偏波は、最大電力伝送のために一直線に並べられる。ユーザが所望の配向で設置された充電式デバイス14を設置することを可能にすることが望ましいため、送信アンテナ18の偏波は、無線周波数信号17の電界を回転させることにより、アライメントを一致させるように調整され得る。
【0029】
一実施形態において、送信アンテナ18および受信アンテナ148はいずれも、送信のために固定されたポイントツーポイントワイヤレスリンクが確立されるような指向性アンテナである。
【0030】
図4は、図1に示す充電式デバイス14の一実施形態を示すブロック図である。デバイス14は、受信機ユニット142および充電式電池146を備えてもよい。充電式電池146は、充電式デバイス14に電力を供給するように構成される、いかなる充電式電力蓄積ユニットであってもよい。受信機ユニット142は、充電電力を搬送する信号を受信し、当該受信した電力を充電式電池146に充電するように構成される。受信機ユニット142は、例示的な実施形態において、充電式デバイス14内に統合され得るが、受信機ユニット142は、ワイヤまたはケーブルを介して多種多様な種類の充電式デバイス14に取り付けられ、ワイヤまたはケーブルによって確立されたリンクを介して充電式デバイス14に充電エネルギーを送達することができる、スタンドアロンユニットであってもよい。
【0031】
充電式デバイス14は、送信アンテナ18によって放射された、送信された無線周波数電力の一部を集め(図1参照)、これらのAC信号を整流器152へ送達する、受信アンテナ148を備える。続いて整流器152は、受信アンテナ148からのAC電気エネルギーを単方向性脈動信号へ、および/または最終的に充電式電池146を充電するのに適したDC信号へ変換する。例示的な整流器152は、低レベル信号を受信した場合における整流器152の始動を可能にするために、低障壁または閾値電圧を特徴とするゲルマニウムベースの整流器(すなわち、低電力オン整流器)を備えてもよい。さらにシリコン、ガリウムヒ素、および他の半導体材料を使用して整流器を作製してもよい。整流器152は、当該整流器152による充電式デバイス14からの電力の使用を最小化するために、受動RF電力センサとして特徴付けられるものであってもよい。
【0032】
一実施形態において、受信機ユニット142は、電圧レギュレータ154を備える。電圧レギュレータ154は、整流器152と統合、またはそれに加えられ、所定のレベルで充電式電池146に供給される電圧を調節または限定する。電圧レギュレータ154は、充電式デバイス14の物理的移動が、受信アンテナ148によって受信した信号の電圧を著しく変動させる際に、特に動作し得る。この変動は、送信アンテナ18から受信アンテナ148への幾何学的信号経路の変動による場合がある。
【0033】
一実施形態において、受信機ユニット142は、一対のダイオード144および156も備え、それらのダイオードは、充電式電池146が、有線充電ユニット158または受信アンテナ148によって受信した信号のどちらによってでも充電されることを可能にする。充電式電池146は、有線充電ユニット158がワイヤを介して標準的なAC電源コンセント等のAC電源に接続されている場合はいつでも、当該有線充電ユニットによって充電される。充電式電池は、有線充電ユニットが充電電力を提供しない場合、受信アンテナ148によって受信した信号によって充電することができる。有線充電ユニット158の例は、携帯電話等、殆どの充電式電子デバイスにおいて見ることができる。
【0034】
一実施形態において、受信機ユニット14は、受信アンテナ148において受信された信号の電力強度を検出するための信号電力検出器162をさらに備えてもよい。信号電力検出器は、受信アンテナ148、整流器152、またはレギュレータ154と直接的に接続されてもよい。一実施形態において、信号電力検出器162は、整流器152からの信号出力を検出するために接続される。
【0035】
図7に関連して説明するように、続いて送信アンテナ164は、受信した充電信号の電力強度を示す信号を送信機12へ送信する(図1参照)。送信アンテナ164は、指向性または全方位性であってもよい。送信アンテナ164は、受信アンテナ148と統合されてもよいし、当該アンテナから分離していてもよい。充電式デバイス14が無線通信用のアンテナを有する場合、送信アンテナ164は、データ通信に使用されるものと同じアンテナであってもよいし、そうでなくてもよい。送達された無線信号強度を報告する信号を運搬するために、その他多数の代替的手段が適している。例えば、そのような情報は、可視光または非可視光(赤外線または紫外線光)を用いて、ヒトに可聴または非可聴である音声または音響信号を用いて、または接続ワイヤを用いて、報告され得る。
【0036】
図5は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシステムの、別の例示的な実施形態の図式的概観を示す。本実施形態において、システムは、それぞれが電子デバイスに充電するためにエネルギーを搬送および送達するための実質的に変調されていない無線周波数信号を伝達する、少なくとも2つの送信アンテナ18aおよび18bとそれぞれ連結された、少なくとも2つの送信機(図中には示さず)を備える。第1の送信アンテナ18aは、第1の無線周波数信号17Aを充電式デバイス14の受信アンテナ148へ送る。第2の送信アンテナ18bは、第2の無線周波数信号17Bを受信アンテナ148へ送る。これらの無線周波数信号17Aおよび17Bは、図2A、2B、および2Cに関連して上記で考察した、充電電力を送信するために使用される信号と同様に選択され得る。これらの無線周波数信号17Aおよび17Bは、変調されていてもよいし、実質的に変調されていなくてもよい。この例示的な実施形態においては、純正弦波無線周波数信号17Aおよび17Bが使用される。その他の実施形態において、2つを超える送信機を使用してもよく、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10以上の送信機を同時に使用してもよい。
【0037】
一部の実施形態において、充電式デバイス14によって受信される電力を最大化し、効率的な電力移送を実現するために、第1および第2の信号17Aおよび17Bが、実質的に同相で受信アンテナ148に到達することが望ましい。2つの信号は、位相差が約0度である場合に同相であるといえる。一実施形態において、第1および第2の信号17Aと17Bは、送信アンテナ18aおよび18bによって送信された際、それらの信号の間に位相オフセットがあることを除き、実質的に同じである。位相オフセットは、それぞれ各送信アンテナによる送信後に異なるワイヤレスリンクを介して進行する第1および第2の信号17Aおよび17Bが、約0度の位相差で受信アンテナ148に到達するように、算出され得る。別の実施形態において、第1および第2の実質的に変調されていない信号17Aおよび17Bは、同じ単一周波数の純正弦無線周波数信号である。
【0038】
図6A、6B、および6Cは、2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。図6Aおよび6Bは、2つの同一な正弦無線周波数信号を示し、当該信号の振幅は時間の周期関数である。各信号の振幅は、当該信号によって生成された電界の強度を示す。これら2つの信号は、同じ地点に到達した際、互いに干渉する。図6Cは、そのような干渉の結果として生じる信号を示す。図6Cに示すように、結果として生じる信号は、図2Aおよび6Bに示す各原信号の振幅の2倍の振幅を有する。無線周波数信号の電力強度は電界強度の二乗に比例するため、図6Cにおける信号の電力強度は、個々に考えて、図6Aおよび6Bに示す2つの信号のいずれもの電力の4倍である。例においては正弦信号が使用されているが、その他の種類の変調された、または実質的に変調されていない信号についても同様の結果が起こり得る。また、図6Aおよび図6Bに示す例示的な信号は同じものであるが、互いに積極的に干渉するために、同じ振幅のものでなくてもよい。
【0039】
図7は、充電式デバイスに電力供給または充電するために、2つの無線周波数信号を同時に送信するシステムの一実施形態を示すブロック図である。システム31は、共通のクロック信号を生成し、当該クロック信号をコントローラ34へ送るクロック信号生成器32を備える。一実施形態において、クロック信号生成器32は、発振器であってもよい。コントローラ34の種々の実施形態があり得る。一実施形態において、コントローラ34はプロセッサであり、当該プロセッサは、任意の適切な汎用シングルもしくはマルチチップマイクロプロセッサ、またはデジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくはプログラマブルゲートアレイ等、任意の適切な特殊用途マイクロプロセッサであってもよい。従来のように、プロセッサは1つ以上のプログラムされた命令を実行するように構成されてもよい。
【0040】
コントローラ34は、共通のクロック信号に基づいて、送信機12aおよび12bによって生成する2つの無線周波数信号17Aおよび17Bが共通のタイムフレームにあるように、両信号を整合する。各送信機は、受信した無線周波数信号を充電式デバイス14へ送信する別個の送信アンテナに接続される。充電式デバイス14に到達した無線周波数信号17Aおよび17Bは、続いて互いに干渉し、組み合わせ信号を生成する。当該組み合わせ信号内で搬送されたエネルギーは、続いて充電式デバイス14によって受信される。無線周波数信号17Aおよび17Bの性質は、図5において考察した信号17Aおよび17Bの性質と同様のものであってもよい。
【0041】
信号17Aおよび17Bは、それぞれ独自の経路を介して充電式デバイス14へ進行する。信号17Aおよび17Bがとる経路は多くの場合異なるため、これらの信号が送信アンテナ17Aまたは17Bから充電式デバイス14へ進行するまでに要する時間は異なり得る。したがって、信号17Aおよび17Bが0度の位相差で送信アンテナ12aおよび12bから送信されても、充電式デバイス14に到達する際には、信号17Aと17Bとの間に位相差がある場合がある。そのような位相差は、少なくとも部分的に、送信アンテナ12a、12bと充電式デバイス14との間の経路の長さに応じて変動する。コントローラ34は、これらの信号が実質的に同相で充電式デバイス14に到達するように、異なる経路で進行することによって導入された位相差を補償するために、送信機12aおよび12bが、信号17Aおよび17B間に位相オフセットを導入するようにさせることができる。
【0042】
一部の実施形態において、コントローラ34は、充電式デバイス14における充電信号の信号強度を追跡することができる。上述したように、充電式デバイス14は、信号電力検出器162および送信アンテナ164を備えてもよい(図4参照)。信号電力検出器162は、充電式デバイス14によって受信した充電信号の信号強度を検出し、送信アンテナ164を介して、そのような信号強度を示すフィードバック信号を送る。システム31は、受信機36に接続された受信アンテナ38をさらに備える。受信アンテナ38および受信機36は、充電式デバイス14における信号強度を示す信号を受信し、同信号をコントローラ34へ転送する。既述のように、デバイスからコントローラへの信号は、光、音声、または無線以外のその他の手段を使用して実現され得る。
【0043】
一部の実施形態において、送信アンテナ18aおよび18bにおける信号17Aと17Bとの間の位相オフセットの適切な値は、範囲全体の位相オフセットを増加的に調整し、充電式デバイスによって受信された充電信号の対応する信号強度を監視することによって判断され得る。一実施形態において、無線周波数信号17Bは、これらの信号が放射される前に、これらの信号間に位相差があることを除き、無線周波数信号17Aと同じである。
【0044】
一実施形態において、充電式デバイス14からのフィードバック信号は、受信アンテナ148の偏波と合致するように、送信アンテナ18aおよび18bの偏波を調整するためにも使用される(図3参照)。図3に関連して考察したように、送信アンテナと受信アンテナとの間の電力移送は、両アンテナの偏波が互いに合致する際に最大となる。コントローラ34は、送信アンテナ18aによって生成された電磁波の電界の配向を、例えば0から90度回転させることにより、送信アンテナ18aの偏波を増加的に調整する。デバイス14からのフィードバック信号は、最大電力移送が実現される角度を判断するために監視される。初めに、当該角度は、おおよその最適な角度を発見するために、10度ごと等の増分で、調整され得る。ほぼ最適な角度が判断されると、当該角度は、最適角度により近い角度を発見するために、0.5度ごと等の増分で、徐々に調整され得る。送信アンテナ18aの偏波が受信アンテナ148の偏波と一致するように調整されると、18b等の他の送信アンテナの偏波を調整するために、同じプロセスが繰り返され得る。
【0045】
アンテナの偏波を調整するためには多数の手法があり得る。一実施形態において、送信アンテナ12aおよび12bは、コントローラ34によって送られた信号により、機械的に回転制御される。別の実施形態において、送信アンテナ12aおよび12bのそれぞれは、垂直に装着された放射素子および水平に装着された放射素子を備える。垂直に装着された素子と水平に装着された素子との間のアンテナに印加された電圧を増加的に分割および反転させることにより、アンテナの偏波は0から90度まで調整され得る。
【0046】
送信アンテナおよび受信アンテナの偏波を一致させる方法の、上記で考察した実施形態は、図3に示す実施形態に組み込まれ得ることが十分に理解されるであろう。
【0047】
図8は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。当該方法は、図1、3、および4に関連して上記で説明したような、電子デバイスに充電するためのシステムを使用して実行される。
【0048】
当該方法はブロック810から開始し、ここで送信機12は電気信号を生成し、それをアンテナ18へ送る(図1参照)。図1において考察したように、アンテナ18は全方位性または指向性のいずれであってもよい。次にブロック820において、アンテナ18は電気信号を受信し、無線周波数信号を充電式デバイス14に放射する(図1参照)。無線周波数信号については、図2A、2B、および2Cに関連して上記で考察している。無線周波数信号は、変調されていてもよいし、実質的に変調されていなくてもよい。無線周波数信号は、単一周波数のものであってもよい。一実施形態において、無線周波数信号は、純正弦波信号であってもよい。
【0049】
ブロック830に移動すると、充電式デバイス14の受信アンテナ148は、無線周波数信号を受信し、当該信号を電気AC信号に変換する。次にブロック840において、整流器152は、電気AC信号を電力信号に変換する。電力信号は、図4において上記で考察したように、デバイスに電力供給すること、および/または充電式電池に充電することに適した、脈動単方向性信号またはDC信号であってもよい。
【0050】
次にブロック850において、電圧レギュレータ154は、図3において上記で考察したように、必要に応じて電力信号の電圧レベルを調節する。一部の実施形態では、ブロック850を除去してもよいことが十分に理解されるであろう。最後にブロック860において、図3において上記で考察したように、充電式デバイス14の充電式電池146に充電するために、電力信号が印加される。
【0051】
図9は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する2つの無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。当該方法は、図5、6、および7に関連して上記で説明したような、電子デバイスに充電するためのシステムを使用して実行される。
【0052】
当該方法はブロック910Aから開始し、ここで第1の送信機12aは第1の電気信号を生成し、当該信号を第1のアンテナ18aへ送る。次にブロック920Aにおいて、第1のアンテナ18aは第1の電気信号を受信し、第1の無線周波数信号17Aを充電式デバイス14に放射する。同様に、当該方法はブロック910Bおよび920Bを提供し、これらは、ブロック910Aおよび920Aと実質的に同時に実行される。ブロック910Bおよび920Bにおいて、第2の送信機12bおよび第2のアンテナ18bは、第2の無線周波数信号17Bを充電式デバイス14に放射する。送信機、アンテナ、およびRF信号は、図5、6、および7において考察したものと同じである。
【0053】
次にブロック930において、充電式デバイス14は第1および第2のRF信号の組み合わせを受信する。ブロック940、950、960、および970において、受信された組み合わせRF信号は、図8における上記の考察と同様に、デバイス14に充電するために使用される。
【0054】
図10は、電子デバイスに同相で到達するように、2つの無線周波数信号間の位相差を調整する方法を説明するフローチャートである。例示的な方法において、送信アンテナ18aおよび18bにおける信号17Aと17Bとの間の位相オフセットの適切な値は、位相オフセットを増加的に調整し、充電式デバイスによって受信された充電信号の対応する信号強度を監視することによって判断され得る。信号17Aおよび17Bが充電式デバイス14に同相で到達することを可能にする位相オフセットは、充電式デバイス14における最高または最高に近い信号強度に対応する。例示的な実施形態において、当該方法は、図7に示すような充電式デバイスに充電するために、2つのRF信号を送信するシステム31に適用される。
【0055】
当該方法はブロック1010から開始し、ここでアンテナ18aおよび18bは送信機12aおよび12bから2つの電気信号を受信し、2つの無線周波数信号を充電式デバイス14に放射する(図7参照)。ブロック1020において、充電式デバイス14は、組み合わせられた2つの無線周波数信号を受信する。次にブロック1030において、信号電力検出器162は、充電式デバイス14において受信される信号電力p(T)を検出する(図7参照)。続いて、デバイス14の送信アンテナ164は、計測された信号電力を示すフィードバック信号をコントローラ34へ送る。ブロック1040に移動すると、受信機36は、受信アンテナ38を介してフィードバック信号を受信し、計測された信号電力に関連する信号をコントローラ34へ送る。既述のように、このフィードバック信号を搬送するために、無線以外の他の代替的手段を使用してもよい。
【0056】
ブロック1050において、コントローラ34は、最適な位相オフセットが実現されたか否か、例えば、最大信号強度の組み合わせられたRF信号が充電式デバイス14によって受信されたか否かを判断する。最適な位相オフセットは、2つの無線周波数信号18aおよび18bを実質的に同相で充電式デバイス14に到達させる位相オフセットである。このブロック1050において、p(T)は現在の電力計測結果を表し、p(T−l)はp(T)の直前の計測結果を表し、p(T−2)はp(T−l)の直前の計測結果を表す。直前の電力計測結果p(T−l)が、その時間順で直に隣接するp(T−2)およびp(T)のいずれよりも大きい場合、コントローラ34は、直前の計測中に最適な位相オフセットが実現されたと断定する。一実施形態において、p(T)がp(T−2)およびp(T)のいずれよりも大きい、またはそれらと等しい場合、コントローラ34は、直前の計測中に最適な位相オフセットが実現されたと断定し得る。最初の2つの計測について、コントローラ34は、p(T−l)およびp(T−2)のうちの少なくとも1つが利用できないため、最適な位相オフセットは実現されていないと断定するように構成される。例えば、p(T−l)およびp(T−2)のいずれも未だに利用できない場合、それらにはデフォルト値0が割り当てられ得る。最適な位相オフセットが実現された場合、当該方法はブロック1080へ進み、ここで2つの送信アンテナ18aおよび18bは、直前の位相設定に基づいて2つの無線周波数信号を放射し続ける。一部の実施形態では、ブロック1050において、現在計測されている信号電力が所定または所望の値、例えば数学的に推定され得る信号電力値を超える場合、コントローラ34は位相調整を停止することができる。
【0057】
ブロック1050において、p[t−l]がp[t]およびp[t−2]のいずれよりも大きくないとコントローラ34が判断した場合、当該方法はブロック1060へ移動する。ブロック1060において、コントローラ1060は、現在の位相設定および対応する計測された信号電力を後の使用のために保存する。次にブロック1070において、コントローラは、これら2つの無線周波数信号の位相設定を調整する。一実施形態において、一方の無線周波数信号の位相は一定のままであるが、他方の無線周波数信号の位相は調整される。無線周波数信号の位相は、例えば10度ずつの増分で増大され得る。増分は、位相調整をどの程度正確に行う必要があるかに応じて、より大きくても小さくてもよい。
【0058】
一部の実施形態において、充電式デバイス14は、ユーザが移動するとともにに移動することができ、したがって、2つの無線周波数信号18aおよび18bが同相であるか否かをコントローラ34によって時折確認することが必要になる。コントローラ34が適正な位相設定を発見し、ブロック1080に示すように2つの無線周波数信号を当該位相設定で放射し続けた後、当該方法はブロック1080へ移動し、ここでコントローラ34は、コントローラ34が最後の位相調整を終えてから所定の長さT0(例えば、1、2、5、10分またはそれ以上)の期間が経過したか否かを確認する。回答が「いいえ」であれば、当該方法はブロック1080へ戻る。回答が「はい」であれば、当該方法はブロック1030へ移動し、ここでコントローラ34は位相調整の新たな一連の過程をを開始する。
【0059】
前述の説明は、本発明の一部の実施形態を詳述するものである。しかしながら、本発明は多数の手法で実践され得ることが十分に理解されるであろう。例えば、デバイスの受信アンテナにおける電磁波の位相および偏波を最適化するために実行可能な方法を本願において説明しているが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明に適用可能な最適化のためのその他多くの方法があり得る。本発明のいくつかの特徴および態様を説明する際における特定の術語の使用は、当該術語が関連する本発明の特徴または態様のあらゆる特定の性質を含むことに限定されるように、本願において再定義されていることを暗示するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。特定の例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の広範な精神を逸脱することなく、これらの実施形態に種々の修正および変更が為され得ることは明白であろう。したがって、あらゆる図面を含む明細書の記述は、限定的意味ではなく例示的意味のものとしてみなされるべきである。
【符号の説明】
【0060】
12 送信機
14 電子デバイス
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2006年1月18日出願の、「Method and System for Charging an Electronic Device via a Wireless Link」と題された、米国仮特許出願第60/760,064号に基づく優先権を主張する、2006年4月21日に出願された本出願と同題の米国実用新案出願第11/408,793号に基づく優先権を主張するものであり、前述のそれぞれは、参照することによりその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して、電子デバイスに電力供給または充電するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年の技術の発展により、ノート型コンピュータ、携帯電話、およびPDA(Personal Digital Assistant;携帯情報端末)等のいくつかの電子デバイスは、種々のマルチメディアアプリケーションを実行することが可能になっている。しかしながら、これらの新たなマルチメディアアプリケーションは、実行するために大量の電力を必要とする。この課題に対する良い解決策は、コンセントにプラグを差し込まなくてもこれらの電子デバイスに充電することができるシステムであり得る。そのようなデバイスのいずれか、例えば携帯電話が、電源線と接続する必要なく十分に充電された状態に保たれている場合、利便性および安全性における大きな利益もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
一態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するように構成されるシステムを提供する。当該システムは、充電式デバイスに電力供給または充電するための、実質的に変調されていない信号を生成するように構成される送信機を備える。当該システムは、送信機から実質的に変調されていない信号を受信し、実質的に変調されていない無線周波数(RF)信号を充電式デバイスに放射するように構成される送信アンテナをさらに備える。
【0005】
別の態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するように構成されるシステムを提供する。当該システムは、第1のアンテナを介して、充電式デバイスに電力供給または充電するための第1の信号を送信するように構成される第1の送信機を備える。当該システムは、第2のアンテナを介して、充電式デバイスに電力供給または充電するための第2の信号を送信するように構成される第2の送信機をさらに備え、第1および第2の信号の組み合わせによって、充電式デバイスに電力供給または充電する。
【0006】
別の態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法を提供する。当該方法は、実質的に変調されていない信号を生成するステップを含む。当該方法は、実質的に変調されていない信号に基づき、送信アンテナを介して、実質的に変調されていない無線周波数(RF)信号を充電式デバイスに放射するステップをさらに含む。当該方法は、実質的に変調されていないRF信号によって送達される電力により、充電式デバイスに電力供給または充電するステップをさらに含む。
【0007】
別の態様において、無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法を提供する。当該方法は、第1のアンテナを介して、充電式デバイスに第1の信号を送信するステップを含む。当該方法は、第2のアンテナを介して、充電式デバイスに第2の信号を送信するステップをさらに含む。当該方法は、第1および第2の信号の組み合わせによって送達される電力により、充電式デバイスに電力供給または充電するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシ ステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。
【図2A】電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る電気信号の例を示す。
【図2B】電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る電気信号の例を示す。
【図2C】電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る電気信号の例を示す。
【図3】エネルギーを搬送および送達するための無線周波数信号をアンテナからデバイスへ伝達するシステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。
【図4】図1に示す充電式デバイス14の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシステムの、別の例示的な実施形態の概観を示す。
【図6A】2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。
【図6B】2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。
【図6C】2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。
【図7】充電式デバイスに電力供給または充電するために、2つの無線周波数信号を同時に送信するシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図8】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。
【図9】ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する2つの無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。
【図10】電子デバイスに同相で到達するように、2つの無線周波数信号間の位相差を調整する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明の一部の特定の実施形態を対象とするものである。しかしながら、本発明は、特許請求の範囲によって定義および網羅されているように、多数の異なる手法で具現化され得る。本説明においては図面を参照し、全図面中、類似の部分には類似の数字が指定されている。
【0010】
「例示的な」という語は、本願において使用される場合、「例、事例、または例証としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的な」ものとして本願に記載されているいかなる実施形態も、その他の実施形態よりも好適または有利なものとして解釈される必要はない。
【0011】
概して電子デバイスの電池等の携帯電源に充電するための方法およびシステムに関する一部の実施形態を開示する。より具体的には、これらの実施形態は、無線周波数(RF)波を使用する等により、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力を供給することに関する。
【0012】
図1は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。例示的な実施形態において、当該システムは、それぞれ、1つ以上の送信アンテナ18とそれぞれ通信を行っている1つ以上の送信機12を含む。1つ以上の送信機12と通信を行っている1つ以上の電子デバイス14を図1に示す。
【0013】
送信機12は、電力またはエネルギーを搬送する信号を生成し、送信機をアンテナに接続する送給ライン(図示せず)を介して、そのような信号を送信アンテナ18へ送る。一部の実施形態において、電力またはエネルギーを搬送する信号は、無線周波数(RF)信号を含み得る。一実施形態において、送信機12は、無線周波数信号源および増幅器を備えてもよい。無線周波数信号源は、特定の周波数で、限定された電力の無線周波数信号を生成する。続いて増幅器は、信号源によって生成された信号を増幅し、当該増幅された信号を、適切なインタフェース(例えば、RFケーブル)を介して送信アンテナに送給する。
【0014】
一実施形態において、送信アンテナ18は、全方位性であってもまたは指向性であってもよい。全方位性アンテナは、実質的にアンテナの周囲全体に無線信号を放射し、一方、指向性アンテナは、特定の角度、例えば180度未満の角度に無線信号を集中させる。アンテナによって提供される信号サービスエリアの角度は一般に、ビーム幅によって計測される。別の実施形態において、0.1乃至20度のビーム幅を有する指向性アンテナ等の指向性アンテナを、送信アンテナ18として使用することが望ましい。例えば、ビーム幅は、約0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.5、0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20度以上で選択され得る。また、送信アンテナ18は、妥当なゲイン内で放射される信号の周波数において動作するように選択される。
【0015】
一部の実施形態において、充電式デバイス14に十分な電力が送信されるように、送信アンテナ18として高い電力ゲインを有するアンテナを選択することが望ましい(図1参照)。一実施形態において、送信アンテナ18の電力ゲインは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16デシベル(dBd)以上であってもよい。本書において、「dBd」という用語は、よく知られている、ビーム中心における電力強度の、その他の点では同程度の半波長ダイポールアンテナの電力強度に対する対数比率を表現するものである。例えば12デシベルの電力ゲインを有するアンテナを使用する場合、送信アンテナ18は、電力強度が、単純な半波長ダイポールアンテナからの電力強度の約16倍となるように、受信する信号を集中させることができる。
【0016】
上述のように、送信アンテナ18は、電力またはエネルギーを搬送する無線周波数信号を送信機12から受信し、ワイヤレスリンク16を介して、そのような信号を電子デバイス14に放射する。電子デバイス14は、メディアプレーヤー、携帯情報端末(PDA)、携帯型コンピュータ(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)、モバイルまたはセルラー式電話(携帯電話)、時計、電子ディスプレイ、または、任意で充電式電池等の携帯源からの電力を利用するその他任意のデバイスのうちの少なくとも1つを備える、いかなる充電式または非充電式デバイスであってもよい。電子デバイス14に電力供給または充電するために受信したエネルギーを使用する一般的なシステムおよび方法に関する説明は、少なくとも米国特許公開第2005/0194926号ならびに米国特許第6,127,799号および第7,012,405号において見ることができ、これらは参照することにより本願に組み込まれる。
【0017】
図2A、2B、および2Cは、電力を送信するために、図1の送信機12によって使用され得る信号波形の例を示す。図2Aは、純(例えば、実質的に変調されていない)正弦波信号の2次元グラフである。縦軸は純正弦波信号の振幅を表し、一方、横軸は時間を表す。本願において考察される波形のいずれについても、状況に応じて、振幅は、電圧(ボルトで計測される)、電界強度(ボルト/メートルで計測される)、電流(アンペアで計測される)、または磁界強度(アンペア/メートルで計測される)を表す場合がある。図示するように、純正弦波信号は、時間の周期関数である。図2Bは、矩形波信号の2次元グラフである。縦軸は矩形波信号の振幅を表し、一方、横軸は時間を表す。図示するように、矩形波信号は、時間の周期関数である。図2Cは、周波数変調された正弦波信号の2次元グラフである。縦軸は周波数変調された正弦波信号の振幅を表し、一方、横軸は時間を表す。周波数変調された正弦波は、時間の関数として示されている。図2Cにおいて、期間0〜t1における周波数変調された信号の周波数は、期間t1〜t2中における周波数とは異なる。電子デバイス14に電力を搬送および送達するために、例えば、連続波(Continuous‐Wave;CW)単一周波数信号、図2Cに示す周波数変調された信号以外の変調された正弦波信号、およびその他の周期信号を含むその他の波形の信号を使用してもよい(図1参照)。
【0018】
変調とは、情報を伝達するために、搬送波信号(例えば、正弦信号)の計測可能な特性(振幅、周波数、もしくは位相、またはそれらの何らかの組み合わせ等)を変動させるプロセスをいうことに留意すべきである。結果として生じる変動信号を、変調信号と称する。
【0019】
一部の実施形態において、送信機12は、ワイヤレスリンク16を介して充電エネルギーを搬送するために、実質的に変調されていない信号を生成するように構成される(図1参照)。実質的に変調されていない信号の例は、上記の図2Aに示すような純正弦波信号であってもよいが、これに限定されない。一実施形態において、充電電力を搬送および送達するために、純(例えば、実質的に変調されていない)正弦波信号が使用される。純正弦波信号は、実質的に単一の基本周波数を中心とする比較的狭い帯域幅を特徴とする。別の実施形態において、基準正弦波および少なくとも1つの高調正弦波で構成される、矩形、パルス、三角、鋸歯状、または不規則信号等、その他の周期波信号を使用してもよい。一般に、基準正弦波信号は、基本周波数と呼ばれ、最も低い周波数を有し、一般に最大振幅を有する。高調正弦波信号は、基本周波数の整数倍の周波数を有し、一般に基準正弦波信号よりも低い振幅を有する。その他の周期波信号は少なくとも1つの高調正弦波信号を包含するため、純正弦波信号よりも広い帯域幅を有する。図2Cに示すもの等の周波数変調された(Frequency Modulated;FM)正弦信号も、実質的に異なる周波数の正弦波を包含することから、純正弦波信号よりも広い帯域幅を有する。エネルギーを搬送するために純正弦波信号を使用することは、その他の種類の信号よりも多くの利点を提供するため、一部の実施形態において、他の代替案よりも選ばれ得る。
【0020】
一実施形態において、送信機12は、純正弦信号を使用して有利に高い電力伝送効率を実現することができる。第1に、純正弦波信号は狭い周波数帯域幅を有し、これにより、アンテナおよびその他のデバイスが周波数において正確に一致し、高い電力伝送効率を実現することを可能にする。第2に、送信されたビームの単一周波数の純度は、収束された送信を可能にし、ビームの広がりを限定し、高い電力伝送効率をもたらす。
【0021】
別の例は、純正弦波信号を使用することによってシステム設計を簡略化し、変調が必要とされないため製造コストを削減することである。さらに、純正弦波信号は狭い周波数帯域幅を有するため、純正弦波信号を使用することにより、干渉効果を最小限に保つ。
【0022】
エネルギーを送達するために使用される信号は、充電式デバイス14に充電するために十分な電力を搬送および送達するのに適した、任意の所望の周波数および電力レベルで選択され得る。概して、例示的な無線周波数信号は、3MHz乃至30GHzの周波数を有する。例えば、エネルギーを送達するために使用される信号は、約30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、800、900MHz、または1GHzの周波数のものであってもよい。
【0023】
FCC(Federal Communications Commission;連邦通信委員会)によって許可されたヒトのRF曝露等、技術的および非技術的な多くの要因が、電力を搬送および送達する信号用の周波数を発見するための探索に影響を及ぼし得る。例えば、受信アンテナの等価口径が大きいことも望ましい。アンテナの有効口径は、波長の二乗に比例するため、より低い周波数において著しく増大する。結果として、送達される電力は増大する。アンテナの等価口径は、平方メートルで計測され、入来無線波から当該アンテナによって受信された電力(単位:ワット)の、当該波の電力強度(単位:ワット/平方メートル)に対する比率である。より低い周波数を使用することにより有効口径は大きくなるが、一方で、より低い周波数において、ダイポールアンテナ等の受信アンテナのサイズは、携帯電話機等のアプリケーションにとっては邪魔となる場合がある。一実施形態において、信号は、1GHz乃至40GHz、好ましくは12GHz乃至36GHzの周波数のものが選択され得る。別の実施形態において、信号は、30MHz乃至300MHz、好ましくは88MHz乃至108MHzの周波数のものが選択され得る。88MHzから108MHzの範囲の周波数帯域は、FM放送のために世界中で使用されている。この帯域は、200kHz間隔で100のチャネルに分割される。本発明に関与する送信は現存するFMチャネルに干渉しないため、チャネル間の間隔において単一周波数送信として二重用途に適用することが可能である。例えば、本願において考察する伝送は、100.1MHzおよび100.3MHzの隣接するチャネルのそれぞれから100kHz離れた、100.2MHzの周波数において行われ得る。
【0024】
図3は、エネルギーを搬送および送達するための無線周波数信号をアンテナからデバイスへ伝達するシステムの、例示的な一実施形態の概観を示す。例示的な実施形態において、送信アンテナ18は、純正弦波無線周波数信号17を充電式デバイス14の受信アンテナ148へ送る。送信アンテナ18は、指向性であってもよいし全方位性であってもよい。
【0025】
無線周波数信号17は、変調されていてもよいし、実質的に変調されていなくてもよい。一部の実施形態において、無線周波数信号17は実質的に変調されていない。システム内の欠陥により、信号は、その振幅、周波数、または位相において小さな偏差を有する場合があるが、それによって本発明への適用性を著しく損なうものではない。その他の実施形態において、送信機の法的識別、あるいは、据付、調整、もしくはトラブルシューティングのために、どの送信機が特定の無線信号を発生させているかを識別することを目的として、時折、一時的に、信号の振幅、周波数、もしくは位相を意図的に変調することが望ましい。一部の実施形態において、FCCまたはその他の政府機関によって、無線送信機の法的識別が必要とされる場合がある。例えば、法的識別は、当該送信機の呼び出し符号のモールス符号表現を提供するための、無線信号送信中における一連の短い中断を用いて実施され得る。例示的な実施形態において、純正弦波無線周波数信号17が使用される。
【0026】
受信アンテナ148は、図1にそれぞれ示す送信機14に含まれる。あるいは、受信アンテナ148を、充電式14に外部から取り付けてもよい。充電式デバイス14がデータ通信用のアンテナを有する場合、受信アンテナは、データ通信に使用されるものと同じアンテナであってもよいし、そうでなくてもよい。一部の実施形態において、受信アンテナ148は、全方位性であり、したがってユーザが複数の配向のうちの1つに充電式デバイスを設置することを可能にするように構成される。充電式デバイス14については、図4に関連してさらに詳細に説明する。
【0027】
無線周波数信号(電磁波としても知られている)は、電界波および磁界波に由来する、横波の複合放射波である。電波または電圧波(ボルト/メートルで計測される電界E)は、アンテナの2つの部分間、例えばダイポールアンテナの2つの導電性棒部分間に電圧差が存在する場合に生成される。磁気波または電流波(アンペア/メートルで計測される磁界H)は、電流がアンテナの任意の部分を通って進行する場合、例えば、ダイポールアンテナ内の2本の棒の長さ軸に沿って電流が流れる場合に生成される。電界Eおよび磁界Hの積は、無線周波数波の電力強度(ワット/平方メートルで計測される)を生じさせる。概して、電磁波の偏波とは、電磁波の電界成分の空間的配向をいう。アンテナの偏波は、当該アンテナによって放射された電磁波の偏波である。受信アンテナの偏波方向が入来電磁波の電界配向に対して平行である場合、アンテナのその他の配向と比較して、当該波からアンテナへ最大の電力が送達される。無線周波数波の偏波の概念は、少なくとも米国特許第5,936,575号において開示されており、当該特許は参照することにより本願に組み込まれる。
【0028】
一部の実施形態において、送信アンテナ18および受信アンテナ148の偏波は、最大電力伝送のために一直線に並べられる。ユーザが所望の配向で設置された充電式デバイス14を設置することを可能にすることが望ましいため、送信アンテナ18の偏波は、無線周波数信号17の電界を回転させることにより、アライメントを一致させるように調整され得る。
【0029】
一実施形態において、送信アンテナ18および受信アンテナ148はいずれも、送信のために固定されたポイントツーポイントワイヤレスリンクが確立されるような指向性アンテナである。
【0030】
図4は、図1に示す充電式デバイス14の一実施形態を示すブロック図である。デバイス14は、受信機ユニット142および充電式電池146を備えてもよい。充電式電池146は、充電式デバイス14に電力を供給するように構成される、いかなる充電式電力蓄積ユニットであってもよい。受信機ユニット142は、充電電力を搬送する信号を受信し、当該受信した電力を充電式電池146に充電するように構成される。受信機ユニット142は、例示的な実施形態において、充電式デバイス14内に統合され得るが、受信機ユニット142は、ワイヤまたはケーブルを介して多種多様な種類の充電式デバイス14に取り付けられ、ワイヤまたはケーブルによって確立されたリンクを介して充電式デバイス14に充電エネルギーを送達することができる、スタンドアロンユニットであってもよい。
【0031】
充電式デバイス14は、送信アンテナ18によって放射された、送信された無線周波数電力の一部を集め(図1参照)、これらのAC信号を整流器152へ送達する、受信アンテナ148を備える。続いて整流器152は、受信アンテナ148からのAC電気エネルギーを単方向性脈動信号へ、および/または最終的に充電式電池146を充電するのに適したDC信号へ変換する。例示的な整流器152は、低レベル信号を受信した場合における整流器152の始動を可能にするために、低障壁または閾値電圧を特徴とするゲルマニウムベースの整流器(すなわち、低電力オン整流器)を備えてもよい。さらにシリコン、ガリウムヒ素、および他の半導体材料を使用して整流器を作製してもよい。整流器152は、当該整流器152による充電式デバイス14からの電力の使用を最小化するために、受動RF電力センサとして特徴付けられるものであってもよい。
【0032】
一実施形態において、受信機ユニット142は、電圧レギュレータ154を備える。電圧レギュレータ154は、整流器152と統合、またはそれに加えられ、所定のレベルで充電式電池146に供給される電圧を調節または限定する。電圧レギュレータ154は、充電式デバイス14の物理的移動が、受信アンテナ148によって受信した信号の電圧を著しく変動させる際に、特に動作し得る。この変動は、送信アンテナ18から受信アンテナ148への幾何学的信号経路の変動による場合がある。
【0033】
一実施形態において、受信機ユニット142は、一対のダイオード144および156も備え、それらのダイオードは、充電式電池146が、有線充電ユニット158または受信アンテナ148によって受信した信号のどちらによってでも充電されることを可能にする。充電式電池146は、有線充電ユニット158がワイヤを介して標準的なAC電源コンセント等のAC電源に接続されている場合はいつでも、当該有線充電ユニットによって充電される。充電式電池は、有線充電ユニットが充電電力を提供しない場合、受信アンテナ148によって受信した信号によって充電することができる。有線充電ユニット158の例は、携帯電話等、殆どの充電式電子デバイスにおいて見ることができる。
【0034】
一実施形態において、受信機ユニット14は、受信アンテナ148において受信された信号の電力強度を検出するための信号電力検出器162をさらに備えてもよい。信号電力検出器は、受信アンテナ148、整流器152、またはレギュレータ154と直接的に接続されてもよい。一実施形態において、信号電力検出器162は、整流器152からの信号出力を検出するために接続される。
【0035】
図7に関連して説明するように、続いて送信アンテナ164は、受信した充電信号の電力強度を示す信号を送信機12へ送信する(図1参照)。送信アンテナ164は、指向性または全方位性であってもよい。送信アンテナ164は、受信アンテナ148と統合されてもよいし、当該アンテナから分離していてもよい。充電式デバイス14が無線通信用のアンテナを有する場合、送信アンテナ164は、データ通信に使用されるものと同じアンテナであってもよいし、そうでなくてもよい。送達された無線信号強度を報告する信号を運搬するために、その他多数の代替的手段が適している。例えば、そのような情報は、可視光または非可視光(赤外線または紫外線光)を用いて、ヒトに可聴または非可聴である音声または音響信号を用いて、または接続ワイヤを用いて、報告され得る。
【0036】
図5は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するためのシステムの、別の例示的な実施形態の図式的概観を示す。本実施形態において、システムは、それぞれが電子デバイスに充電するためにエネルギーを搬送および送達するための実質的に変調されていない無線周波数信号を伝達する、少なくとも2つの送信アンテナ18aおよび18bとそれぞれ連結された、少なくとも2つの送信機(図中には示さず)を備える。第1の送信アンテナ18aは、第1の無線周波数信号17Aを充電式デバイス14の受信アンテナ148へ送る。第2の送信アンテナ18bは、第2の無線周波数信号17Bを受信アンテナ148へ送る。これらの無線周波数信号17Aおよび17Bは、図2A、2B、および2Cに関連して上記で考察した、充電電力を送信するために使用される信号と同様に選択され得る。これらの無線周波数信号17Aおよび17Bは、変調されていてもよいし、実質的に変調されていなくてもよい。この例示的な実施形態においては、純正弦波無線周波数信号17Aおよび17Bが使用される。その他の実施形態において、2つを超える送信機を使用してもよく、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10以上の送信機を同時に使用してもよい。
【0037】
一部の実施形態において、充電式デバイス14によって受信される電力を最大化し、効率的な電力移送を実現するために、第1および第2の信号17Aおよび17Bが、実質的に同相で受信アンテナ148に到達することが望ましい。2つの信号は、位相差が約0度である場合に同相であるといえる。一実施形態において、第1および第2の信号17Aと17Bは、送信アンテナ18aおよび18bによって送信された際、それらの信号の間に位相オフセットがあることを除き、実質的に同じである。位相オフセットは、それぞれ各送信アンテナによる送信後に異なるワイヤレスリンクを介して進行する第1および第2の信号17Aおよび17Bが、約0度の位相差で受信アンテナ148に到達するように、算出され得る。別の実施形態において、第1および第2の実質的に変調されていない信号17Aおよび17Bは、同じ単一周波数の純正弦無線周波数信号である。
【0038】
図6A、6B、および6Cは、2つの同相信号がいかにして積極的に干渉するかを示す。図6Aおよび6Bは、2つの同一な正弦無線周波数信号を示し、当該信号の振幅は時間の周期関数である。各信号の振幅は、当該信号によって生成された電界の強度を示す。これら2つの信号は、同じ地点に到達した際、互いに干渉する。図6Cは、そのような干渉の結果として生じる信号を示す。図6Cに示すように、結果として生じる信号は、図2Aおよび6Bに示す各原信号の振幅の2倍の振幅を有する。無線周波数信号の電力強度は電界強度の二乗に比例するため、図6Cにおける信号の電力強度は、個々に考えて、図6Aおよび6Bに示す2つの信号のいずれもの電力の4倍である。例においては正弦信号が使用されているが、その他の種類の変調された、または実質的に変調されていない信号についても同様の結果が起こり得る。また、図6Aおよび図6Bに示す例示的な信号は同じものであるが、互いに積極的に干渉するために、同じ振幅のものでなくてもよい。
【0039】
図7は、充電式デバイスに電力供給または充電するために、2つの無線周波数信号を同時に送信するシステムの一実施形態を示すブロック図である。システム31は、共通のクロック信号を生成し、当該クロック信号をコントローラ34へ送るクロック信号生成器32を備える。一実施形態において、クロック信号生成器32は、発振器であってもよい。コントローラ34の種々の実施形態があり得る。一実施形態において、コントローラ34はプロセッサであり、当該プロセッサは、任意の適切な汎用シングルもしくはマルチチップマイクロプロセッサ、またはデジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくはプログラマブルゲートアレイ等、任意の適切な特殊用途マイクロプロセッサであってもよい。従来のように、プロセッサは1つ以上のプログラムされた命令を実行するように構成されてもよい。
【0040】
コントローラ34は、共通のクロック信号に基づいて、送信機12aおよび12bによって生成する2つの無線周波数信号17Aおよび17Bが共通のタイムフレームにあるように、両信号を整合する。各送信機は、受信した無線周波数信号を充電式デバイス14へ送信する別個の送信アンテナに接続される。充電式デバイス14に到達した無線周波数信号17Aおよび17Bは、続いて互いに干渉し、組み合わせ信号を生成する。当該組み合わせ信号内で搬送されたエネルギーは、続いて充電式デバイス14によって受信される。無線周波数信号17Aおよび17Bの性質は、図5において考察した信号17Aおよび17Bの性質と同様のものであってもよい。
【0041】
信号17Aおよび17Bは、それぞれ独自の経路を介して充電式デバイス14へ進行する。信号17Aおよび17Bがとる経路は多くの場合異なるため、これらの信号が送信アンテナ17Aまたは17Bから充電式デバイス14へ進行するまでに要する時間は異なり得る。したがって、信号17Aおよび17Bが0度の位相差で送信アンテナ12aおよび12bから送信されても、充電式デバイス14に到達する際には、信号17Aと17Bとの間に位相差がある場合がある。そのような位相差は、少なくとも部分的に、送信アンテナ12a、12bと充電式デバイス14との間の経路の長さに応じて変動する。コントローラ34は、これらの信号が実質的に同相で充電式デバイス14に到達するように、異なる経路で進行することによって導入された位相差を補償するために、送信機12aおよび12bが、信号17Aおよび17B間に位相オフセットを導入するようにさせることができる。
【0042】
一部の実施形態において、コントローラ34は、充電式デバイス14における充電信号の信号強度を追跡することができる。上述したように、充電式デバイス14は、信号電力検出器162および送信アンテナ164を備えてもよい(図4参照)。信号電力検出器162は、充電式デバイス14によって受信した充電信号の信号強度を検出し、送信アンテナ164を介して、そのような信号強度を示すフィードバック信号を送る。システム31は、受信機36に接続された受信アンテナ38をさらに備える。受信アンテナ38および受信機36は、充電式デバイス14における信号強度を示す信号を受信し、同信号をコントローラ34へ転送する。既述のように、デバイスからコントローラへの信号は、光、音声、または無線以外のその他の手段を使用して実現され得る。
【0043】
一部の実施形態において、送信アンテナ18aおよび18bにおける信号17Aと17Bとの間の位相オフセットの適切な値は、範囲全体の位相オフセットを増加的に調整し、充電式デバイスによって受信された充電信号の対応する信号強度を監視することによって判断され得る。一実施形態において、無線周波数信号17Bは、これらの信号が放射される前に、これらの信号間に位相差があることを除き、無線周波数信号17Aと同じである。
【0044】
一実施形態において、充電式デバイス14からのフィードバック信号は、受信アンテナ148の偏波と合致するように、送信アンテナ18aおよび18bの偏波を調整するためにも使用される(図3参照)。図3に関連して考察したように、送信アンテナと受信アンテナとの間の電力移送は、両アンテナの偏波が互いに合致する際に最大となる。コントローラ34は、送信アンテナ18aによって生成された電磁波の電界の配向を、例えば0から90度回転させることにより、送信アンテナ18aの偏波を増加的に調整する。デバイス14からのフィードバック信号は、最大電力移送が実現される角度を判断するために監視される。初めに、当該角度は、おおよその最適な角度を発見するために、10度ごと等の増分で、調整され得る。ほぼ最適な角度が判断されると、当該角度は、最適角度により近い角度を発見するために、0.5度ごと等の増分で、徐々に調整され得る。送信アンテナ18aの偏波が受信アンテナ148の偏波と一致するように調整されると、18b等の他の送信アンテナの偏波を調整するために、同じプロセスが繰り返され得る。
【0045】
アンテナの偏波を調整するためには多数の手法があり得る。一実施形態において、送信アンテナ12aおよび12bは、コントローラ34によって送られた信号により、機械的に回転制御される。別の実施形態において、送信アンテナ12aおよび12bのそれぞれは、垂直に装着された放射素子および水平に装着された放射素子を備える。垂直に装着された素子と水平に装着された素子との間のアンテナに印加された電圧を増加的に分割および反転させることにより、アンテナの偏波は0から90度まで調整され得る。
【0046】
送信アンテナおよび受信アンテナの偏波を一致させる方法の、上記で考察した実施形態は、図3に示す実施形態に組み込まれ得ることが十分に理解されるであろう。
【0047】
図8は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。当該方法は、図1、3、および4に関連して上記で説明したような、電子デバイスに充電するためのシステムを使用して実行される。
【0048】
当該方法はブロック810から開始し、ここで送信機12は電気信号を生成し、それをアンテナ18へ送る(図1参照)。図1において考察したように、アンテナ18は全方位性または指向性のいずれであってもよい。次にブロック820において、アンテナ18は電気信号を受信し、無線周波数信号を充電式デバイス14に放射する(図1参照)。無線周波数信号については、図2A、2B、および2Cに関連して上記で考察している。無線周波数信号は、変調されていてもよいし、実質的に変調されていなくてもよい。無線周波数信号は、単一周波数のものであってもよい。一実施形態において、無線周波数信号は、純正弦波信号であってもよい。
【0049】
ブロック830に移動すると、充電式デバイス14の受信アンテナ148は、無線周波数信号を受信し、当該信号を電気AC信号に変換する。次にブロック840において、整流器152は、電気AC信号を電力信号に変換する。電力信号は、図4において上記で考察したように、デバイスに電力供給すること、および/または充電式電池に充電することに適した、脈動単方向性信号またはDC信号であってもよい。
【0050】
次にブロック850において、電圧レギュレータ154は、図3において上記で考察したように、必要に応じて電力信号の電圧レベルを調節する。一部の実施形態では、ブロック850を除去してもよいことが十分に理解されるであろう。最後にブロック860において、図3において上記で考察したように、充電式デバイス14の充電式電池146に充電するために、電力信号が印加される。
【0051】
図9は、ワイヤレスリンクを介して電子デバイスに電力供給または充電するために、エネルギーを搬送する2つの無線周波数信号を使用する方法を説明するフローチャートである。当該方法は、図5、6、および7に関連して上記で説明したような、電子デバイスに充電するためのシステムを使用して実行される。
【0052】
当該方法はブロック910Aから開始し、ここで第1の送信機12aは第1の電気信号を生成し、当該信号を第1のアンテナ18aへ送る。次にブロック920Aにおいて、第1のアンテナ18aは第1の電気信号を受信し、第1の無線周波数信号17Aを充電式デバイス14に放射する。同様に、当該方法はブロック910Bおよび920Bを提供し、これらは、ブロック910Aおよび920Aと実質的に同時に実行される。ブロック910Bおよび920Bにおいて、第2の送信機12bおよび第2のアンテナ18bは、第2の無線周波数信号17Bを充電式デバイス14に放射する。送信機、アンテナ、およびRF信号は、図5、6、および7において考察したものと同じである。
【0053】
次にブロック930において、充電式デバイス14は第1および第2のRF信号の組み合わせを受信する。ブロック940、950、960、および970において、受信された組み合わせRF信号は、図8における上記の考察と同様に、デバイス14に充電するために使用される。
【0054】
図10は、電子デバイスに同相で到達するように、2つの無線周波数信号間の位相差を調整する方法を説明するフローチャートである。例示的な方法において、送信アンテナ18aおよび18bにおける信号17Aと17Bとの間の位相オフセットの適切な値は、位相オフセットを増加的に調整し、充電式デバイスによって受信された充電信号の対応する信号強度を監視することによって判断され得る。信号17Aおよび17Bが充電式デバイス14に同相で到達することを可能にする位相オフセットは、充電式デバイス14における最高または最高に近い信号強度に対応する。例示的な実施形態において、当該方法は、図7に示すような充電式デバイスに充電するために、2つのRF信号を送信するシステム31に適用される。
【0055】
当該方法はブロック1010から開始し、ここでアンテナ18aおよび18bは送信機12aおよび12bから2つの電気信号を受信し、2つの無線周波数信号を充電式デバイス14に放射する(図7参照)。ブロック1020において、充電式デバイス14は、組み合わせられた2つの無線周波数信号を受信する。次にブロック1030において、信号電力検出器162は、充電式デバイス14において受信される信号電力p(T)を検出する(図7参照)。続いて、デバイス14の送信アンテナ164は、計測された信号電力を示すフィードバック信号をコントローラ34へ送る。ブロック1040に移動すると、受信機36は、受信アンテナ38を介してフィードバック信号を受信し、計測された信号電力に関連する信号をコントローラ34へ送る。既述のように、このフィードバック信号を搬送するために、無線以外の他の代替的手段を使用してもよい。
【0056】
ブロック1050において、コントローラ34は、最適な位相オフセットが実現されたか否か、例えば、最大信号強度の組み合わせられたRF信号が充電式デバイス14によって受信されたか否かを判断する。最適な位相オフセットは、2つの無線周波数信号18aおよび18bを実質的に同相で充電式デバイス14に到達させる位相オフセットである。このブロック1050において、p(T)は現在の電力計測結果を表し、p(T−l)はp(T)の直前の計測結果を表し、p(T−2)はp(T−l)の直前の計測結果を表す。直前の電力計測結果p(T−l)が、その時間順で直に隣接するp(T−2)およびp(T)のいずれよりも大きい場合、コントローラ34は、直前の計測中に最適な位相オフセットが実現されたと断定する。一実施形態において、p(T)がp(T−2)およびp(T)のいずれよりも大きい、またはそれらと等しい場合、コントローラ34は、直前の計測中に最適な位相オフセットが実現されたと断定し得る。最初の2つの計測について、コントローラ34は、p(T−l)およびp(T−2)のうちの少なくとも1つが利用できないため、最適な位相オフセットは実現されていないと断定するように構成される。例えば、p(T−l)およびp(T−2)のいずれも未だに利用できない場合、それらにはデフォルト値0が割り当てられ得る。最適な位相オフセットが実現された場合、当該方法はブロック1080へ進み、ここで2つの送信アンテナ18aおよび18bは、直前の位相設定に基づいて2つの無線周波数信号を放射し続ける。一部の実施形態では、ブロック1050において、現在計測されている信号電力が所定または所望の値、例えば数学的に推定され得る信号電力値を超える場合、コントローラ34は位相調整を停止することができる。
【0057】
ブロック1050において、p[t−l]がp[t]およびp[t−2]のいずれよりも大きくないとコントローラ34が判断した場合、当該方法はブロック1060へ移動する。ブロック1060において、コントローラ1060は、現在の位相設定および対応する計測された信号電力を後の使用のために保存する。次にブロック1070において、コントローラは、これら2つの無線周波数信号の位相設定を調整する。一実施形態において、一方の無線周波数信号の位相は一定のままであるが、他方の無線周波数信号の位相は調整される。無線周波数信号の位相は、例えば10度ずつの増分で増大され得る。増分は、位相調整をどの程度正確に行う必要があるかに応じて、より大きくても小さくてもよい。
【0058】
一部の実施形態において、充電式デバイス14は、ユーザが移動するとともにに移動することができ、したがって、2つの無線周波数信号18aおよび18bが同相であるか否かをコントローラ34によって時折確認することが必要になる。コントローラ34が適正な位相設定を発見し、ブロック1080に示すように2つの無線周波数信号を当該位相設定で放射し続けた後、当該方法はブロック1080へ移動し、ここでコントローラ34は、コントローラ34が最後の位相調整を終えてから所定の長さT0(例えば、1、2、5、10分またはそれ以上)の期間が経過したか否かを確認する。回答が「いいえ」であれば、当該方法はブロック1080へ戻る。回答が「はい」であれば、当該方法はブロック1030へ移動し、ここでコントローラ34は位相調整の新たな一連の過程をを開始する。
【0059】
前述の説明は、本発明の一部の実施形態を詳述するものである。しかしながら、本発明は多数の手法で実践され得ることが十分に理解されるであろう。例えば、デバイスの受信アンテナにおける電磁波の位相および偏波を最適化するために実行可能な方法を本願において説明しているが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明に適用可能な最適化のためのその他多くの方法があり得る。本発明のいくつかの特徴および態様を説明する際における特定の術語の使用は、当該術語が関連する本発明の特徴または態様のあらゆる特定の性質を含むことに限定されるように、本願において再定義されていることを暗示するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。特定の例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の広範な精神を逸脱することなく、これらの実施形態に種々の修正および変更が為され得ることは明白であろう。したがって、あらゆる図面を含む明細書の記述は、限定的意味ではなく例示的意味のものとしてみなされるべきである。
【符号の説明】
【0060】
12 送信機
14 電子デバイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するように構成されるシステムであって、
第1のアンテナを介して、前記充電式デバイスに電力供給または充電するための第1の信号を送信するように構成される第1の送信機と、
第2のアンテナを介して、前記充電式デバイスに電力供給または充電するための第2の信号を送信するように構成される第2の送信機と、を備え、
前記第1および第2の信号の組み合わせによって、前記充電式デバイスに電力供給または充電する、システム。
【請求項2】
前記第1および第2のアンテナのそれぞれは、指向性アンテナを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各指向性アンテナのビーム幅は、0.05乃至20度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に変調されていないRF信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に変調されていないRF信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に単一の周波数信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、本質的に、実質的に単一の周波数信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に単一の周波数信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記単一の周波数は、30MHz乃至3GHzである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記単一の周波数は、88MHz乃至108MHzである、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、正弦波RF信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、本質的に正弦波RF信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、正弦波RF信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に情報のないRF信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的にRF搬送波信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記充電式デバイスは、メディアプレーヤーと、携帯情報端末と、携帯型コンピュータと、モバイルまたはセルラー式電話(携帯電話)と、時計と、電子ディスプレイと、の携帯型デバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1および第2の信号の前記組み合わせの振幅は、前記第1および第2の信号のうちの少なくとも1つの振幅よりも高い、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記充電式デバイスの位置における前記第1の信号と前記第2の信号との間の位相差は、実質的に0度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記充電式デバイスは、充電受信アンテナをさらに備え、前記第1および第2の信号間の位相差が、前記充電受信アンテナの位置において実質的に0度となるように、前記第1および第2の信号間の前記位相差を調整するように構成されるコントローラをさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラは、前記充電式デバイスによって送られたフィードバック信号に基づいて前記位相差を調整し、前記フィードバック信号は、前記第1および第2の信号の前記組み合わせの電力を示す、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記充電式デバイスは、充電受信アンテナをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記充電受信アンテナの偏波と実質的に一致させるために、前記第1および第2のアンテナの偏波を調整するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1および第2のアンテナのそれぞれの偏波は、前記第1および第2の信号のそれぞれの前記電界成分の配向を示す、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法であって、
第1のアンテナを介して、充電式デバイスに第1の信号を送信するステップと、
第2のアンテナを介して、前記充電式デバイスに第2の信号を送信するステップと、
前記第1および第2の信号の組み合わせによって送達される電力により、前記充電式デバイスに電力供給または充電するステップと、を含む、方法。
【請求項25】
前記充電式デバイスに充電するために、前記第1および第2の信号を組み合わせるステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2の信号間の位相差が、前記充電式デバイスの位置において実質的に0度となるように、前記第1および第2の信号間の前記位相差を調整するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2のアンテナのそれぞれは、指向性アンテナを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、正弦波を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に変調されていない信号を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記実質的に変調されていない信号は、実質的に単一の周波数信号から成る、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するためのシステムであって、
充電式デバイスに第1の信号を送信するための手段と、
充電式デバイスに第2の信号を送信するための手段と、を含み、
前記充電式デバイスは、前記充電式デバイスに電力供給または充電するための前記第1および第2の信号の組み合わせによって与えられる電力を受けるシステム。
【請求項32】
第1の信号を送信するための前記手段は、第1のアンテナを含む第1の送信機を含み、第2の信号を送信するための前記手段は、第2のアンテナを含む第2の送信機を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項1】
無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するように構成されるシステムであって、
第1のアンテナを介して、前記充電式デバイスに電力供給または充電するための第1の信号を送信するように構成される第1の送信機と、
第2のアンテナを介して、前記充電式デバイスに電力供給または充電するための第2の信号を送信するように構成される第2の送信機と、を備え、
前記第1および第2の信号の組み合わせによって、前記充電式デバイスに電力供給または充電する、システム。
【請求項2】
前記第1および第2のアンテナのそれぞれは、指向性アンテナを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各指向性アンテナのビーム幅は、0.05乃至20度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に変調されていないRF信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に変調されていないRF信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に単一の周波数信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、本質的に、実質的に単一の周波数信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に単一の周波数信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記単一の周波数は、30MHz乃至3GHzである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記単一の周波数は、88MHz乃至108MHzである、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、正弦波RF信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、本質的に正弦波RF信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、正弦波RF信号から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に情報のないRF信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的にRF搬送波信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記充電式デバイスは、メディアプレーヤーと、携帯情報端末と、携帯型コンピュータと、モバイルまたはセルラー式電話(携帯電話)と、時計と、電子ディスプレイと、の携帯型デバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1および第2の信号の前記組み合わせの振幅は、前記第1および第2の信号のうちの少なくとも1つの振幅よりも高い、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記充電式デバイスの位置における前記第1の信号と前記第2の信号との間の位相差は、実質的に0度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記充電式デバイスは、充電受信アンテナをさらに備え、前記第1および第2の信号間の位相差が、前記充電受信アンテナの位置において実質的に0度となるように、前記第1および第2の信号間の前記位相差を調整するように構成されるコントローラをさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラは、前記充電式デバイスによって送られたフィードバック信号に基づいて前記位相差を調整し、前記フィードバック信号は、前記第1および第2の信号の前記組み合わせの電力を示す、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記充電式デバイスは、充電受信アンテナをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記充電受信アンテナの偏波と実質的に一致させるために、前記第1および第2のアンテナの偏波を調整するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1および第2のアンテナのそれぞれの偏波は、前記第1および第2の信号のそれぞれの前記電界成分の配向を示す、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供する方法であって、
第1のアンテナを介して、充電式デバイスに第1の信号を送信するステップと、
第2のアンテナを介して、前記充電式デバイスに第2の信号を送信するステップと、
前記第1および第2の信号の組み合わせによって送達される電力により、前記充電式デバイスに電力供給または充電するステップと、を含む、方法。
【請求項25】
前記充電式デバイスに充電するために、前記第1および第2の信号を組み合わせるステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2の信号間の位相差が、前記充電式デバイスの位置において実質的に0度となるように、前記第1および第2の信号間の前記位相差を調整するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2のアンテナのそれぞれは、指向性アンテナを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、正弦波を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記第1および第2の信号のそれぞれは、実質的に変調されていない信号を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記実質的に変調されていない信号は、実質的に単一の周波数信号から成る、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
無線周波数リンクを介して充電式デバイスに電力を提供するためのシステムであって、
充電式デバイスに第1の信号を送信するための手段と、
充電式デバイスに第2の信号を送信するための手段と、を含み、
前記充電式デバイスは、前記充電式デバイスに電力供給または充電するための前記第1および第2の信号の組み合わせによって与えられる電力を受けるシステム。
【請求項32】
第1の信号を送信するための前記手段は、第1のアンテナを含む第1の送信機を含み、第2の信号を送信するための前記手段は、第2のアンテナを含む第2の送信機を含む、請求項31に記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−75320(P2012−75320A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285417(P2011−285417)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2008−551432(P2008−551432)の分割
【原出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2008−551432(P2008−551432)の分割
【原出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】
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