説明

ワイヤ類クランプ

【課題】ロック解除時に生じるズレを防止して、微妙な調整ができるワイヤ類クランプを提供する。
【解決手段】クランプ本体1にワイヤ類2を貫通して、当該ワイヤ類2を摺動可能とし、且つ、前記クランプ本体1を前記ワイヤ類2の所望の位置で牽制させるロック手段3、4を備え、前記ロック手段3、4は、前記クランプ本体1をワイヤ類2の一方向にのみ牽制する第1ロック部31と、前記クランプ本体1をワイヤ類2の他方向にのみ牽制する第2ロック部41と、より構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内及び/又は屋外において、ワイヤ類を張りわたしたり、張りわたされるワイヤ類どうしを継足したり、ワイヤ類を介して天井、壁、支柱、梁、杭などの支持体にテントシート、防災シート、斜光幕、映写幕(スクリーン)、たれ幕、ワイヤフェンスなどの展張材を張設したり、ワイヤ類を介して蛍光灯などの灯具、吊下式黒板、吊下式掲示板、各種装飾品、看板、配管、ペンダントスイッチ等などを前記支持体に吊下げたりするためにワイヤ類を固定するワイヤ類クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランプ本体にワイヤ類を貫通して、当該ワイヤ類を摺動可能とし、且つ、前記クランプ本体を前記ワイヤ類の所望の位置で牽制させるロック手段を備えたワイヤ類クランプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記ロック手段には、1つの操作部が設けられており、これをアンロック側に操作すれば、前記クランプ本体がフリーな状態となって、前記ワイヤ類を自由に摺動可能となり、一方、前記操作部をロック側に操作すれば、前記クランプ本体が牽制されて、前記ワイヤ類を摺動不能となる。
【0004】
このように、従来のワイヤ類クランプは、1つのロック手段の操作によって、前記クランプ本体を前記ワイヤ類の所望の位置で牽制して、前記ワイヤ類の長さを調節するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−150622号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のワイヤ類クランプは、ロック手段を操作してロックを解除すると同時に、クランプ本体が完全にフリーとなり、ワイヤ類の上、下(又は前、後)の何れの方向にも移動可能となる。
【0007】
そのため、例えば、ワイヤ類の一方に張力や荷重が負荷されている場合には、ロック解除と同時にクランプ本体が一方に移動してロック時の基準位置がズレ易く、微妙な調整が困難であり、又、このようにクランプ本体が基準位置からズレると、再調整などが必要になる結果、作業性が悪くなるなどの問題があった。
【0008】
このため、従来のワイヤ類クランプにおいて、作業性を向上させるには、ロック解除時に一人の作業者がクランプ本体を手で支えて当該クランプ本体を基準位置に保持し、他の一人がワイヤ類を上、下(又は前、後)の何れの方向に移動させて基準位置でロック手段でロックする必要性が発生する場合が有り、この場合,二人の作業者が必要となる結果、極めて不経済になるなどの問題があった。
【0009】
本発明は、前記課題を解決することを目的とするものであって、クランプ本体に相反する一方向にのみ牽制する専用のロック部(第1ロック部、第2ロック部)を設けて、ロック解除時に生じるズレを防止して、微妙な調整ができるようにしたワイヤ類クランプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明に係るワイヤ類クランプは、クランプ本体にワイヤ類を貫通して、当該ワイヤ類を摺動可能とし、且つ、前記クランプ本体を前記ワイヤ類の所望の位置で牽制させるロック手段を備えたワイヤ類クランプにおいて、前記ロック手段は、前記クランプ本体をワイヤ類の一方向にのみ牽制する第1ロック部と、前記クランプ本体をワイヤ類の他方向にのみ牽制する第2ロック部と、より構成したことを特徴とするものである。
【0011】
即ち、本発明においては、クランプ本体をワイヤ類の一方向にのみ牽制する第1ロック部と、前記クランプ本体をワイヤ類の他方向にのみ牽制する第2ロック部とを具備することによって、一人の作業者がロック解除時に生じるズレを防止して、微妙な調整ができるようにした点に特徴を有するのである。
【0012】
具体的には、前記前記クランプ本体は、軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔と、このワイヤ挿通孔から一方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する第1横孔と、前記ワイヤ挿通孔から他方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する第2横孔とを有し、前記第1ロック部は、前記第1横孔に挿入され、この第1横孔から前記ワイヤ挿通孔に出没するワイヤ押圧部材と、このワイヤ押圧部材を前記ワイヤ挿通孔に進出する方向に付勢する弾性体と、前記弾性体の付勢に抗して前記ワイヤ押圧部材を後退する牽制手段と、よりなり、又、前記第2ロック部は、前記第2横孔に挿入され、この第2横孔から前記ワイヤ挿通孔に出没するワイヤ押圧部材と、このワイヤ押圧部材を前記ワイヤ挿通孔に進出する方向に付勢する弾性体と、前記弾性体の付勢に抗して前記ワイヤ押圧部材を後退する牽制手段と、より構成されている。
【0013】
本発明において、ワイヤ類とは、細長く延びた部材、即ち、線材を全般的に含むものであり、針金、電線などの意味で一般的にワイヤと呼ばれている金属線材(金属線)の他に、樹脂からなる線材(樹脂線)、各種金属細線、各種樹脂細線、各種動・植物性細線のうちから選択された1種類又は2種類以上の細線を撚り合わせて形成したワイヤロープ、鋼線、樹脂製ロープ、紐などが挙げられる。
【0014】
又、本発明においては、前記ワイヤ類の表面に塗料を塗布したものや、ワイヤ類の表面を樹脂でコーティングしたものなどが挙げられる。
【0015】
本発明において、クランプ本体は、その形状が特に限定されるものではないが、主として軸状のものが挙げられるのであり、この軸状とは、断面形状が、軸方向に一様であるものと、軸方向の位置によって変化するものとが含まれるのであり、これら断面形状の変化には形状的変化と寸法的変化とが含まれ、更に、これらの変化にはそれぞれ連続的な変化と、段階的な変化とが含まれる。
【0016】
もちろん、この断面形状は、特に限定されず、円形や略円形、楕円形や略楕円形、三角形や略三角形、多角形や略多角形など任意の形状を採用することができる。
【0017】
本発明において、クランプ本体には、加工を容易にするために、相反する方向に向けて第1横孔及び第2横孔を貫通、形成している。
【0018】
更に、このクランプ本体には、必要に応じて、その外周面に、引っ張られる任意の他物に取付けるための取付部を設けることが好ましい。
【0019】
本発明における第1ロック部及び第2ロック部は、ワイヤ類を牽制可能な構造であれば、特に限定されるものではないが、これら第1ロック部及び第2ロック部を、前述のようにすれば、簡易な構造にすることができる上、操作上のミスが少なく、誤操作を防止できるのである。
【0020】
また、本発明において、第1ロック部及び第2ロック部のワイヤ押圧部材は、ワイヤ類との接触抵抗(摩擦力)を高めて、牽制を確実に行うために、表面に凹凸を有する球状に形成したり、又、この第1ロック部及び第2ロック部のワイヤ押圧部材は、例えばギアーで構成するのが良い。
【0021】
又、本発明において、前記ワイヤ押圧部材は、前記横孔に挿入され、かつ、この横孔から前記ワイヤ挿通孔に出没するように構成されていればよく、前述のものの他、例えば、カムやアーム或いは爪を用いることができる。
【0022】
更に、本発明において、横孔からワイヤ挿通孔に出没するとは、ワイヤ挿入孔にワイヤ押圧部材の全体が没することは必要ではなく、要は、前記ワイヤ押圧部材の出没によって、前記ワイヤ類を十分に牽制又は解除できる程度であれば良いのである。
【0023】
もっとも、前記クランプ本体に固定できるワイヤ類の径の多様性を高める上では、ワイヤ挿入孔にワイヤ押圧部材の全体が没するように構成されていることが好ましい。
【0024】
本発明における弾性体は、ワイヤ押圧部材をワイヤ挿通孔に進出付勢するものであればよく、例えば圧縮バネ、引張りバネ、捩りバネなどを用いることができる。
【0025】
又、圧縮バネとしては、圧縮コイルバネ、皿バネ、筍バネの他に、いわゆる、ガススプリングとよばれる空気バネやゴムなどを用いることも可能であり、捩りバネとしては捩り棒バネ(トーションバー)や弦巻バネが用いることもできる。
【0026】
この弾性体により、前記ワイヤ押圧部材を付勢するためには、クランプ本体とワイヤ押圧部材との間に直接に弾性体を介在させるか、或いは、クランプ本体に支持させた牽制手段とワイヤ押圧部材との間に弾性体を介在させてもよい。
【0027】
更に、本発明に係るワイヤ類クランプの第1ロック部及び第2ロック部の牽制手段には、例えば、色・形状・文字等によって、これら第1ロック部及び第2ロック部を識別可能な目印を設けても良く、このような目印を設けておけば、ロック解除する際の誤操作を確実に防止できる。
【0028】
具体的には、例えば、第1ロック部の操作部外面を赤色に着色すると共に、第2ロック部の操作部外面を白色に着色したり、又、第1ロック部の操作部形状を円形に形成すると共に、第2ロック部の操作部形状を角形に形成したり、又、第1ロック部の操作部外面に「上方向」等の文字、或いは、上向き矢印を付設すると共に、第2ロック部の操作部外面に「下方向」等の文字、或いは、下向き矢印を付設するなどして、ロック解除する際の誤操作を確実に防止するのである。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るワイヤ類クランプによれば、例えば、ワイヤ類の一方に張力や荷重が負荷されている場合でも、ワイヤ類の他方にのみ牽制するロック部のロックを解除しても、ワイヤ類の一方にのみ牽制するロック部が牽制しているため、前記ワイヤ類の他方にのみ牽制するロック部のロック解除と同時にクランプ本体がワイヤ類の張力に引っ張られて一方に移動されることがない。
【0030】
そのため、ロック時の基準位置がズレることがなく、当該基準位置から他方に向けてクランプ本体を移動することができるので、一人の作業者が微妙な調整を確実に行うことができるのであり、又、このようにクランプ本体が基準位置からズレることがないから、再調整が不要であり、その結果、作業性が著しく向上するのである。
【0031】
このため、本発明のワイヤ類クランプにおいては、一人の作業者が微妙な調整を確実に行うことができるので、極めて経済的なのである。
【0032】
ところで、前記張力や荷重が負荷されている方向である一方のロック部を解除した場合には、従来同様、これら張力や荷重を利用して、容易にワイヤ類を所望の位置まで調整できる。
【0033】
また、本発明に係るワイヤ類クランプによれば、ワイヤ押圧部材の表面に凹凸を形成することによって、ワイヤ類に確実に噛合してワイヤ類の滑りを防止し、ワイヤ類を所望の位置で、一層確実に牽制できるのである。
【0034】
更に、本発明に係るワイヤ類クランプにおいて、第1ロック部及び第2ロック部の牽制手段には両者を識別するための目印を設けると、微妙な調整を行う際、誤操作も確実に防止することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係るワイヤ類クランプを実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に且つ具体的に説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明に係るワイヤ類クランプAの一実施例を概略的に示す縦断面図である。
なお、図1で示したワイヤ類クランプAは、本発明を概念的に示した一例に過ぎず、この形状や構造に限定されるものではない。
【0037】
又、図2及び図3は、図1で示したワイヤ類クランプAの作用を示した概略動作図であり、図2(a)〜(c)は、第1ロック部31を動作させた状態を示す概略動作図であり、
図3(a)〜(c)は、第2ロック部41を動作させた状態を示す概略動作図である。
【0038】
すなわち、このワイヤ類クランプAは、クランプ本体1にワイヤ類2を貫通して、当該ワイヤ類2を摺動可能とし、且つ、クランプ本体1をワイヤ類2の所望の位置で牽制させる2つのロック手段3、4を備えており、これらのロック手段3、4は、各々クランプ本体1をワイヤ類2の一方向にのみ牽制する第1ロック部31と、クランプ本体1をワイヤ類2の他方向にのみ牽制する第2ロック部41と、より構成されてなる。
【0039】
具体的には、クランプ本体1は、軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔11と、このワイヤ挿通孔11から一方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する第1横孔12と、ワイヤ挿通孔11から他方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する第2横孔13と、を有してなる。
【0040】
第1ロック部31は、第1横孔12に挿入され、この第1横孔12からワイヤ挿通孔11に出没するワイヤ押圧部材14と、このワイヤ押圧部材14をワイヤ挿通孔11に進出する方向に付勢する弾性体15と、この弾性体15の付勢に抗してワイヤ押圧部材14を後退する牽制手段16と、より構成している。
【0041】
一方、第2ロック部41は、第2横孔13に挿入され、この第2横孔13からワイヤ挿通孔11に出没するワイヤ押圧部材14’と、このワイヤ押圧部材14’をワイヤ挿通孔11に進出する方向に付勢する弾性体15’と、この弾性体15’の付勢に抗してワイヤ押圧部材14’を後退する牽制手段16’と、より構成している。
【0042】
なお、本実施例で示した第1ロック部31及び第2ロック部41は、製造コストを安価にするため、同一の部材を用いて構成しているが、これら第1ロック部31及び第2ロック部41を異なる構成にすることも可能である。
【0043】
また、ワイヤ押圧部材14、14’は、単なる球体でも構わないが、表面に凹凸14a,14a’を形成することで、ワイヤ類2との滑りを防止して、ワイヤ類2を所望の位置に確実に牽制できるように構成するのが望ましい。
【0044】
そのため、本実施例では、ワイヤ押圧部材14、14’をセラミック製のギアーで構成しており、該ギアー表面の凹凸14a、14a’が、ワイヤ類2に確実に噛合してワイヤ類2の滑りを防止して、ワイヤ類2を所望の位置で確実に牽制できるように構成している。
【0045】
前記第1ロック部31の弾性体15は、コイルバネ等のバネ部材を用い、この弾性体15の一方向の端部には、第1横孔12に埋設される栓部材17を固着しており、同様にして、第2ロック部41の弾性体15’の他方向の端部には、第2横孔13に埋設される栓部材17’を固着している。
【0046】
第1ロック部31の牽制手段16は、ワイヤ押圧部材14を弾性体15の付勢に抗して後退可能であれば良く、本実施例では、ワイヤ挿通孔11から他方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する横孔16aを形成すると共に、この横孔16aにコイルバネ16bを外挿した出没ピン16cを内挿し、図2bに示すように、この出没ピン16cの基端に設けた操作部16dを押圧すると、コイルバネ16bの弾性に抗しながら、これを縮めると共に、出没ピン16cの先端がワイヤ挿通孔11に突出して、ワイヤ押圧部材14を弾性体15の付勢に抗して後退可能に構成している。
【0047】
なお、第2ロック部41の牽制手段16’についても、第1ロック部31の牽制手段16と同様に構成しているため、重複説明を避けるためその説明は省略する。
又、図1及び図2において、図1と共通する部材には、同一の符号を付して、各部材の重複する説明は省略する。
【0048】
以上のように構成した本発明に係るワイヤ類クランプAは、以下のようにして作用する。
先ず、図1の状態は、ワイヤ類2が第1ロック部31及び第2ロック部41によって牽制しており、クランプ本体1は、ワイヤ類2の何れの方向にも移動できない状態に保持されている。
【0049】
なお、図2では、ワイヤ類2が図中左方向に張力や荷重が負荷されており、図3では、ワイヤ類2が図中右方向に張力や荷重が負荷されているものとして説明する。
【0050】
この図1の状態から、ワイヤ類2を右方向に移動する必要が生じた場合には、第1ロック部31の牽制手段16に設けた操作部16dを図中矢印で示すように押圧すると、コイルバネ16bの弾性に抗しながら、出没ピン16cの先端がワイヤ挿通孔11に突出して、図中破線矢印で示すように、ワイヤ押圧部材14が弾性体15の付勢に抗しながら後退する〔図2(a)参照〕。
【0051】
このとき、ワイヤ類2は、ワイヤ押圧部材14による牽制が解除されるが、第2ロック部41のワイヤ押圧部材14’によって、ワイヤ類2が図中左方向に移動することを牽制しているため、ワイヤ類2が移動することがないのである。
【0052】
次に、操作部16dを押圧したまま、ワイヤ類2を掴んで図中右方向に移動させる(又は、クランプ本体1を掴んで図中左方向に移動させる。)と、ワイヤ押圧部材14による牽制が解除されているため、ワイヤ類2は牽制されることなく、所望の位置まで容易に図中右方向に移動できる〔図2(b)参照〕。
【0053】
そして、ワイヤ類2(又は、クランプ本体1)を所望の位置に到達したとき、第1ロック部31の操作部16dを離せば、図中破線矢印で示すように、コイルバネ16bの弾性によって、出没ピン16cが元の位置に戻されると共に、ワイヤ押圧部材14が弾性体15の付勢によって、ワイヤ類2を所望の位置で牽制するのである〔図2(c)参照〕。
【0054】
一方、ワイヤ類2が図中右方向に張力や荷重が負荷されている場合であって、ワイヤ類2を左方向に移動する必要が生じた場合には、図3(a)〜(c)で示すように、第2ロック部41の牽制手段16’に設けた操作部16dを図中矢印で示すように押圧すれば、図2と同じ要領で、ワイヤ類2は牽制されることなく、所望の位置まで容易に図中左方向に移動できるのである〔図3(a)・(b)参照〕。
【0055】
そして、ワイヤ類2(又は、クランプ本体1)を所望の位置に到達したとき、第2ロック部41の操作部16dを離せば、図中破線矢印で示すように、コイルバネ16bの弾性によって、出没ピン16cが元の位置に戻されると共に、ワイヤ押圧部材14’が弾性体15’の付勢によって、ワイヤ類2を所望の位置で牽制するのである〔図3(c)参照〕。
【0056】
このように、本発明に係るワイヤ類クランプAによれば、第1ロック部31のロック解除の場合と同様にクランプ本体1がワイヤ類2の張力に引っ張られて図中左方向に移動されることがない。
【0057】
そのため、ロック時(図1の状態)からの基準位置がズレることなく、微妙な調整を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明に係るワイヤ類クランプの一実施例を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1で示したワイヤ類クランプの作用を示す概略動作図であり、図2において(a)〜(c)は、第1ロック部を動作させた状態を示す概略動作図である。
【図3】図3は、図1で示したワイヤ類クランプの作用を示す概略動作図であり、図3において(a)〜(c)は、第2ロック部を動作させた状態を示す概略動作図である。
【符号の説明】
【0059】
A ワイヤ類クランプ
1 クランプ本体
11 ワイヤ挿通孔
12 第1横孔
13 第2横孔
14、14’ ワイヤ押圧部材
14a、14a’ 凹凸
15、15’ 弾性体
16、16’ 牽制手段
2 ワイヤ類
3 ロック手段
31 第1ロック部
4 ロック手段
41 第2ロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ本体にワイヤ類を貫通して、当該ワイヤ類を摺動可能とし、且つ、前記クランプ本体を前記ワイヤ類の所望の位置で牽制させるロック手段を備えたワイヤ類クランプにおいて、
前記ロック手段は、前記クランプ本体をワイヤ類の一方向にのみ牽制する第1ロック部と、
前記クランプ本体をワイヤ類の他方向にのみ牽制する第2ロック部と、より構成したことを特徴とするワイヤ類クランプ。
【請求項2】
クランプ本体は、軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔と、このワイヤ挿通孔から一方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する第1横孔と、前記ワイヤ挿通孔から他方向の外周面に向けて傾斜されて貫通する第2横孔とを有し、
第1ロック部は、前記第1横孔に挿入され、この第1横孔から前記ワイヤ挿通孔に出没するワイヤ押圧部材と、このワイヤ押圧部材を前記ワイヤ挿通孔に進出する方向に付勢する弾性体と、前記弾性体の付勢に抗して前記ワイヤ押圧部材を後退する牽制手段と、よりなり、
第2ロック部は、前記第2横孔に挿入され、この第2横孔から前記ワイヤ挿通孔に出没するワイヤ押圧部材と、このワイヤ押圧部材を前記ワイヤ挿通孔に進出する方向に付勢する弾性体と、前記弾性体の付勢に抗して前記ワイヤ押圧部材を後退する牽制手段と、よりなる請求項1に記載のワイヤ類クランプ。
【請求項3】
第1ロック部及び第2ロック部のワイヤ押圧部材は、表面に凹凸を有する球状に形成されてなる請求項2に記載のワイヤ類クランプ。
【請求項4】
第1ロック部及び第2ロック部のワイヤ押圧部材は、ギアーで構成されている請求項2又は請求項3のいずれかに記載のワイヤ類クランプ。
【請求項5】
第1ロック部及び第2ロック部の牽制手段には、両者を識別するための目印を設けている請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のワイヤ類クランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−121869(P2008−121869A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309535(P2006−309535)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(501390965)大阪コートロープ株式会社 (9)