説明

ワクチン、免疫療法剤およびそれらの使用法

【課題】病原体感染/ヒト疾患に対し予防的または治療的に個体を免疫化するのに有効促進された弱毒化生ワクチン、無発病性ベクターを使用する組換えワクチンおよびDNAワクチンの開発。
【解決手段】制御要素に作動可能なように連結された免疫原、および制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含むプラスミドであって、免疫調節タンパク質は:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−3、CD2、IL−18、CD40、血管成長因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、等より選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良されたワクチン、免疫原に対して個体を予防的および/または治療的に免疫化するための改良された方法、および改良された免疫療法組成物および改良された免疫療法に関している。
【背景技術】
【0002】
本出願は1998年2月28日に”改良されたワクチン”と題して出願された仮出願第60/076,207号(本明細書において援用される)に対して優先権を請求する。免疫療法とは身体の免疫応答を調節して望まれる治療効果を与えることを指している。免疫療法剤とは、個体に投与された場合、望ましくない免疫応答により起こされる症状および症状の原因を減少させ、または望ましい免疫応答を増加させることにより症状を緩和または症状の原因を除去/減少させるのに十分なように個体の免疫を調節するような組成物を指している。いくつかの場合、免疫療法はワクチン接種プロトコールの一部であり、そこでは個体にワクチンが投与されて個体が免疫原にさらされる。そのような場合、免疫療法は特定の状態、感染または疾患を処置または予防するのに望ましい免疫応答を増加させおよび/または免疫応答の一部を選択的に促進させる。いくつかの場合、免疫療法剤は免疫原なしで送達される。そのような場合免疫療法剤は、免疫応答を減少または抑制させ、免疫応答を促進または増加させ、免疫応答の一部を減少または抑制させ、または免疫応答の一部を促進または増加させることにより免疫系を調節するために提供される。いくつかの場合、免疫療法剤は抗体を含んでおり、それはインビボで投与された場合に免疫応答調節に関係するタンパク質に結合する。抗体およびそのようなタンパク質の相互作用は免疫応答の変化を生じさせる。もしタンパク質が自己免疫疾患に関係しているならば、抗体は自己免疫疾患におけるタンパク質の活性を阻害でき、症状または疾患を軽減または除去できる。
【0003】
ワクチンはアレルゲン、病因抗原またはヒト疾患に関係する細胞に関連した抗原のような標的抗原に対して個体を免疫化するのに有用である。
そのようなワクチンの設計においては、ワクチン接種された個体の細胞中に標的抗原を産生するようなワクチンは免疫系の細胞兵器誘導に有効であることが認められている。特に、弱毒化ワクチン、無発病性ベクターを使用する組換えワクチンおよびDNAワクチンはすべてワクチン接種された個体の細胞に抗原の産生を導き、免疫系の細胞兵器を誘導する。一方、タンパク質および殺したまたは不活性化したワクチンのみから成り、ヒトでの応答を誘導しないサブユニットワクチンは良好な細胞性免疫応答を誘導しない。
【0004】
細胞性免疫応答はしばしば、病原体感染に対しての保護に、および病原体感染、癌または自己免疫疾患を処置するための有効な免疫仲介治療に必要とされる。従って、弱毒化生ワクチン、無発病性ベクターを使用する組換えワクチンおよびDNAワクチンのような、ワクチン接種された個体の細胞中に標的抗原を産生するようなワクチンが好まれている。
【0005】
そのようなワクチンはしばしば、病原体感染またはヒト疾患に対して予防的または治療的に個体を免疫化するのに有効であるので、改良されたワクチンが必要とされている。促進された免疫応答を産生する組成物および方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許番号第08/008,342号、
【特許文献2】米国特許番号第08/029,336号
【特許文献3】米国特許番号第08/125,012号
【特許文献4】国際出願番号第PCT/US94/00899号
【特許文献5】米国特許番号第08/221,579号
【特許文献6】米国特許第4,772,848号
【特許文献7】米国特許第5,017,487号
【特許文献8】米国特許第5,077,044号
【特許文献9】米国特許第5,110,587号
【特許文献10】米国特許第5,112,749号
【特許文献11】米国特許第5,174,993号
【特許文献12】米国特許第5,223,424号
【特許文献13】米国特許第5,225,336号
【特許文献14】米国特許第5,240,703号
【特許文献15】米国特許第5,242,829号
【特許文献16】米国特許第5,294,441号
【特許文献17】米国特許第5,294,548号
【特許文献18】米国特許第5,310,668号
【特許文献19】米国特許第5,387,744号
【特許文献20】米国特許第5,389,368号
【特許文献21】米国特許第5,424,065号
【特許文献22】米国特許第5,451,499号
【特許文献23】米国特許第5,453,364号
【特許文献24】米国特許第5,462,734号
【特許文献25】米国特許第5,470,734号
【特許文献26】米国特許第5,482,713号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Howell,M.D.et al.,1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10921−10925
【非特許文献2】Paliard,X.,et al.,1991 Science 253:325−329
【非特許文献3】Williams,W.V.,et al.,1992 J.Clin.Invest.90:326−333
【非特許文献4】Wucherpfennig,K.W.,et al.,1990 Science 248:1016−1019
【非特許文献5】Oksenberg,J.R.,et al.,1990 Nature 345:344−346
【非特許文献6】Kabat,et al.,1987 Sequence ofProteins of Immunological Interest,U.S.Departmentof Health and Human Services,BethesdaMD
【非特許文献7】Chaudhary,V.K.,et al.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066
【非特許文献8】Harlow,E.およびD.Lane,(1988)ANTIBODIES:ALaboratory Manual,ColdSpring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor NY
【非特許文献9】Nature Med.3,526−532
【非特許文献10】Kim,J.J.,et al.(1998)Eur.J.Immunol.28,1089−1103
【非特許文献11】Kim,J.J.,et al.(1998)J.Clin.Invest.102,1112−1124
【非特許文献12】Kim,J.J.,et al.Nature Biot.15,641−645
【非特許文献13】Springer,T.A.,et al.1987,Ann.Rev.Immunol.5:223−252
【非特許文献14】Osbom,L.,et al.1989.Cell.59:1203−1211
【非特許文献15】Elices,M.J.,et al.1990 Cell.60:577−584
【非特許文献16】Pachuk,et al.1998 Current topicsMicrobiol.Immunol.226,79
【発明の概要】
【0008】
本発明は免疫応答を促進および/または調節する免疫調節タンパク質またはそれをコードしている核酸分子を含む組成物、ならびにそのようなタンパク質および核酸分子の使用法に関している。免疫調節タンパク質の送達は免疫療法ならびにワクチン送達に関連した免疫応答を促進またはさもなければ適合させることに有用である。免疫調節タンパク質とは以下のものであろう:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8およびRANTESを含むケモカイン;L−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチンのようなセレクチンを含む接着分子、CD34、GlyCAM−1およびMadCAM−1のようなムチン様分子、LFA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95のようなインテグリンファミリーの一員;およびPECAM−1、ICAM類(ICAM−1、ICAM−2およびICAM−3)、CD2およびLFA−3のようなイムノグロブリンスーパーファミリーの一員;M−CSF、G−CSF、GSF、IL−4、IL−18の突然変異形のようなサイトカイン;CD40およびCD40Lのような共刺激分子;血管成長因子、IL−7、神経成長因子および血管内皮細胞増殖因子を含む増殖因子;Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6を含むレセプター分子;カスパーゼ(ICE)を含むその他のもの。
【0009】
本発明は真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列および真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含むプラスミドに関している。免疫原とは好適には病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関係した細胞に関連した抗原である。
【0010】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列および個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含むプラスミドを個体に投与する工程から成る、免疫原に対して個体の免疫応答を誘導する方法に関している。
【0011】
本発明はまた、個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列および個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含むプラスミドを個体に投与する工程から成る、病原体、癌または自己免疫疾患に対して個体を免疫化する方法に関しており、ここで、免疫原とは好適には病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関係した細胞に関連した抗原である。
【0012】
本発明は真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む第一のプラスミドおよび真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含む第二のプラスミドを含んでいる組成物に関している。いくつかの好適な態様において、免疫原とは好適には病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関係した細胞に関連した抗原である。
【0013】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む第一のプラスミドおよび個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含む第二のプラスミドを含んでいる組成物を個体に投与する工程から成る、病原体、癌または自己免疫疾患に対して個体を免疫化する方法に関しており、ここで、免疫原とは好適には病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関係した細胞に関連した抗原である。
【0014】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む第一のプラスミドおよび個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含む第二のプラスミドを含んでいる組成物を個体に投与する工程から成る、免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関している。
【0015】
本発明は真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列および真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された標的抗原をコードしているヌクレオチド配列を含む改良された組換え体ワクチンに関している。好適な態様において、標的抗原は病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関係した細胞に関連した抗原である。
【0016】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列および個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された標的抗原をコードしているヌクレオチド配列を含む組換え体ワクチンベクターを個体に投与する工程から成る、病原体、癌または自己免疫疾患に対して個体を免疫化する方法に関しており、ここで、標的抗原とは好適には病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関係した細胞に関連した抗原である。
【0017】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列および個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された標的抗原をコードしているヌクレオチド配列を含む組換え体ワクチンベクターを個体に投与する工程から成る、標的抗原に対する免疫応答を誘導する方法に関している。
【0018】
本発明は真核細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む改良された弱毒化生ワクチンに関している。
【0019】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む弱毒化されたワクチンを個体に投与する工程から成る、病原体、癌または自己免疫疾患に対して個体を免疫化する方法に関している。
【0020】
本発明は個体の細胞における発現に必要な制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む弱毒化されたワクチンを個体に投与する工程から成る、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関している。
【0021】
本発明は個体の免疫系を調節するための組成物および方法に関している。本発明の方法はタンパク質の投与、または発現ベクターまたは発現可能な形で個体へヌクレオチド配列を送達できる他の運搬体の一部として免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列の投与により個体へ免疫調節タンパク質を送達することから成っている。
【0022】
本発明は自己免疫疾患を持つ個体を処置する組成物および方法に関している。本発明の方法はそのような個体へMCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8およびRANTESを含むケモカインへ特異的に結合する抗体を含んでいる組成物を投与することから成っている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1Aは実施例2で議論されるような再加工されたおよび成熟IL−18を示している。
【図1B】図1Bは実施例2で議論されるような再加工されたおよび成熟IL−18を示している。
【図2】図2はpCDNA3発現ベクター内へクローン化されたICAM−1(pCICAM−1)、LFA−3(pCLFA−3)およびVCAM−1(pCVCAM−1)の遺伝子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は特定のタンパク質が免疫応答を促進および/または調節するという発見から考え出された。従って、そのようなタンパク質は免疫療法剤としてまたはワクチン中の成分として送達されるであろう。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語”免疫調節タンパク質”とは、免疫応答を促進および/または調節する本発明に従ったタンパク質および核酸分子発現産物を指すことを意味している。従って、免疫調節タンパク質は免疫療法剤としてまたはワクチン中の成分として送達されるであろう。
【0026】
免疫調節タンパク質にはケモカイン、接着分子、サイトカイン、共刺激分子、増殖因子およびレセプター分子が含まれる。
免疫調節タンパク質であるケモカインにはMIP−1α、MIP−1β、RANTES、IL−8およびMCP−1が含まれる。
【0027】
免疫調節タンパク質である接着分子にはセレクチンファミリー構成物、ムチン様分子、インテグリンファミリー構成物およびイムノグロブリンスーパーファミリー構成物が含まれる。
【0028】
免疫調節タンパク質であるセレクチンファミリー構成物にはL−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチンが含まれる。
ムチン様分子はセレクチンファミリー構成物のリガンドである。免疫調節タンパク質であるムチン様分子にはCD34、GlyCAM−1およびMadCAM−1が含まれる。
【0029】
免疫調節タンパク質であるインテグリンファミリーの構成物にはLFA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95が含まれる。
免疫調節タンパク質であるイムノグロブリンスーパーファミリー構成物にはPECAM−1、ICAM類、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2およびLFA−3が含まれる。
【0030】
免疫調節タンパク質であるサイトカインにはM−CSF、GM−CSF、G−CSF、CSF、IL−4およびIL−18の突然変異形(タンパク質の前形には存在するが成熟形には存在しない最初の約35アミノ酸残基の欠失を含んでいる)が含まれる。
【0031】
免疫調節タンパク質である共刺激分子にはCD40およびCD40リガンド(CD40L)が含まれる。免疫調節タンパク質である増殖因子には血管成長因子、IL−7、神経成長因子および血管内皮細胞増殖因子が含まれる。
【0032】
免疫調節タンパク質であるレセプター分子にはFas”致死遺伝子”発現産物、腫瘍壊死因子TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6が含まれる。
【0033】
他の分子としてはカスパーゼ(ICE)が含まれる。
本発明のいくつかの態様によると、免疫調節タンパク質は核酸分子(それは細胞に取り込まれた場合、発現されて免疫調節タンパク質を発現する)を投与することにより送達される。本発明のいくつかの態様では、免疫調節タンパク質はタンパク質それ自身を投与することにより送達される。本発明のいくつかの態様では、免疫調節タンパク質は核酸かまたはタンパク質を投与することにより送達される。本発明のいくつかの態様では、免疫調節タンパク質は核酸およびタンパク質を同時に投与することにより送達される。
【0034】
本発明のいくつかの態様では、免疫調節タンパク質(タンパク質またはタンパク質をコードしている核酸分子として)は組成物またはさもなくばワクチン組成物とともに補給物として投与される。ワクチンはサブユニット、不活性化ワクチン、弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組換え体ワクチン、または核酸またはDNAワクチンのいずれかであろう。弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組換え体ワクチン、または核酸またはDNAワクチンの場合、免疫調節タンパク質はこれらのワクチンの核酸分子によりコードされているであろう。
【0035】
免疫調節タンパク質は細胞傷害性T細胞(CTL)応答を誘導および促進し、および/または抗体応答を誘導および促進し、および/またはT細胞増殖応答を誘導および促進するのに有用である。
【0036】
CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、細胞内病原体に対する、または自己免疫疾患または癌に関係する細胞に対するワクチンとともにまたはそのの一部として投与された場合に特に有用である。CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組換え体ワクチン、および核酸/DNAワクチンとともに投与された場合に特に有用である。もしくは、CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、癌または細胞内感染を患っている患者に投与される免疫療法剤として有用である。CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は免疫無防備状態の患者に投与された場合に有用である。
【0037】
抗体応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は細菌、他の細胞外病原体、またはB型肝炎ウイルスのような抗体応答が保護的であるウイルスに対するワクチンとともにまたはその一部として投与された場合に特に有用である。抗体応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、サブユニットワクチンとともに投与された場合に特に有用である。もしくは、抗体応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、望ましくないCTL免疫応答を示している患者に投与される免疫療法剤として有用である。抗体応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は免疫無防備状態の患者に投与された場合に有用である。
【0038】
T細胞増殖応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、ワクチンとともにまたはその一部として投与された場合に特に有用である。もしくは、T細胞増殖応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は免疫療法剤として有用である。T細胞増殖応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は免疫無防備状態の患者に投与された場合に有用である。
ケモカイン: ケモカインまたはケモカインをコードしている核酸分子の投与は細胞によるケモカインの発現を増加させる。
【0039】
MCP−1はCD8+CTLを誘導および促進するのに特に有用である。MIP−1αは抗体の誘導に特に有用である。IL−8は抗体の誘導に特に有用であり、Tヘルパー応答の強力な誘導剤である。
RANTESはTH1ならびにCTL応答を誘導する。
MIP−1β(pCDNA3内へクローン化されpCDNA3−MIP−1βを発生させた構築物として)も使用されるであろう。
接着分子: セレクチンファミリー構成物L−セレクチン P−セレクチン E−セレクチン。
【0040】
ムチン様分子 CD34 GlyCAM−1(pCDNA3内へクローン化されpCDNA3−GlyCAM−1を発生させた構築物として)
MadCAM−1。
【0041】
インテグリンファミリー構成物 LFA−1VLA−1 Mac−1 p150.95。
イムノグロブリンスーパーファミリー構成物 PECAM−1 ICAM類 ICAM−1ICAM−2 ICAM−3 CD2 LFA−3。
【0042】
接着分子は核酸分子として投与された場合に最も有用である。
接着分子は核酸分子として、ワクチン、特に弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組換え体ワクチン、および核酸/DNAワクチンとともにまたはその一部として投与された場合に最も有用である。
【0043】
接着分子は核酸分子として腫瘍内または病巣内に送達された場合に有用である。
好適な接着分子にはICAM−1、LFA−3およびE−セレクチンが挙げられる。
ICAM−1はCTL増殖には最適である。
サイトカイン: M−CSF G−CSF GSF IL−4IL−18の突然変異形。
共刺激分子: CD40(CD40をコードしているcDNAがpCDNA3内へクローン化され、pCDNA3−CD40を発生させた構築物として使用される)CD40L。
増殖因子: 血管成長因子(血管成長因子をコードしているcDNAがpCDNA3内へクローン化され、pCDNA3−VGFを発生させた構築物として使用される)
IL−7 神経成長因子 血管内皮細胞増殖因子。
レセプター分子: Fas”致死遺伝子”発現産物 TNFレセプター FltApo−1 p55 WSL−1 DR3 TRAMPApo−3 AIR LARD NGRF DR4DR5 KILLER TRAIL−R2 TRICK2 DR6。
その他 カスパーゼ(ICE)。
【0044】
表1は前記免疫調節タンパク質の各々のおよびCD86(B7.2)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列のためのGENBANK受託番号および引用雑誌が一覧表になっている。
【0045】
DNAワクチンはPCT/US90/01515、PCT/US93/02338、PCT/US93/048131およびPCT/US94/00899に記載されており、優先出願がそこに引用されている(それらは各々本明細書において援用される)。これらの出願に記載されている送達プロトコールに加え、DNA送達の別の方法が米国特許第4,945,050号および5,036,006号(両方とも本明細書において援用される)に記載されている。
【0046】
本発明のいくつかの態様は遺伝子構成要素によりコードされているタンパク質およびペプチドに対する免疫応答を誘導するために、個体の細胞内へ遺伝子構成要素を導入する方法に関している。本方法は所望のペプチドまたはタンパク質をコードしているヌクレオチド配列および免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む単一の核酸分子、または二つの核酸分子(一つは所望のペプチドまたはタンパク質をコードしてヌクレオチド配列を含んでおりおよび一つは免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる)を持っている組成物を該個体の組織へ投与する工程を含んでいる。核酸分子はプラスミドDNA(組換え体ベクターの核酸分子)として、または弱毒化または細胞ワクチンに含まれる遺伝子構成要素の一部として提供されるであろう。もしくはいくつかの態様においては、免疫調節タンパク質はタンパク質として送達されるであろう。
【0047】
いくつかの態様によると、二つまたはそれ以上の免疫調節タンパク質の組み合わせが個体に投与される。いくつかの態様において、二つまたはそれ以上の免疫調節タンパク質の組み合わせをコードしている遺伝子が、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質および免疫調節タンパク質をコードしている遺伝子の組み合わせが、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、二つまたはそれ以上の免疫調節タンパク質が、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。
【0048】
いくつかの態様によると、免疫調節タンパク質は共刺激分子CD86(B7.2)と組み合わせて個体へ投与される。いくつかの態様において、CD86および一つまたはそれ以上の免疫調節タンパク質の組み合わせをコードしている遺伝子が、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、CD86タンパク質および免疫調節タンパク質をコードしている遺伝子の組み合わせが、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質およびCD86タンパク質をコードしている遺伝子の組み合わせが、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、CD86および一つまたはそれ以上の免疫調節タンパク質の組み合わせが、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、CD86および一つまたはそれ以上のケモカインおよび/または接着分子の組み合わせが、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。いくつかの態様において、CD86およびICAM−1の組み合わせをコードしている遺伝子が、免疫原および/または免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子と一緒にワクチンプロトコールの一部として個体に投与される。
【0049】
本発明のいくつかの態様によると、病原体または異常な疾患関連細胞に対して個体を予防的におよび/または治療的に免疫化する組成物および方法が提供される。ペプチドまたはタンパク質をコードしている遺伝子構成要素は標的とされるべき病原体または細胞に観察される免疫原性タンパク質および免疫調節タンパク質をコードしている遺伝子構成要素と少なくともエピトープを共有している。もしくは、いくつかの態様において、免疫調節タンパク質はタンパク質として送達されるであろう。
【0050】
遺伝子構成要素は個体の細胞で発現され、免疫応答が惹起される免疫原性標的として働く。生じる免疫応答は広範囲のものである:体液性免疫応答に加え、細胞性免疫応答の両方の力が惹起される。本発明の方法は予防的および治療的免疫性を与えるのに有用である。従って、免疫化の方法には、免疫原に対して免疫化しおよび従って例えば、病原体攻撃または特定の細胞の存在または増殖から個体を保護する方法、ならびに病原体感染、過増殖性疾患または自己免疫疾患を患っている個体を処置する方法の両方が含まれている。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語”標的タンパク質”とは免疫応答の標的タンパク質として働く本発明の遺伝子構築物によりコードされているペプチドおよびタンパク質を指していることを意味している。用語”標的タンパク質”および”免疫原”は相互交換的に使用され、それに対して免疫応答が惹起できるタンパク質を指している。標的タンパク質は、免疫化が必要とされる病原体または癌細胞または自己免疫疾患に関係している細胞のような望まれない細胞型のタンパク質と少なくともエピトープを共有している免疫原性タンパク質である。標的タンパク質に対する免疫応答は、標的タンパク質が関係する特定の感染または疾患から個体を保護し、それらを患っている個体を処置できるであろう。
【0052】
本発明は標的タンパク質に対する広い免疫応答を惹起するのに有用である、即ち、特に病原体、アレルゲンまたは個体自身の”異常な”細胞に関係するタンパク質。本発明は病原体タンパク質に対する免疫応答が病原体に対する保護的免疫性を与えるように、病原性因子および生物体に対して個体を免疫化するのに有用である。本発明は、特に過増殖性細胞に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を惹起することにより、癌のような過増殖性疾患および障害と戦うのに有用である。本発明は特に自己免疫状態に関与する細胞関連の標的タンパク質に対する免疫応答を惹起することにより、自己免疫疾患および障害と戦うのに有用である。
【0053】
本発明のいくつかの態様によると、標的タンパク質および免疫調節タンパク質をコードしているDNAまたはRNAが個体の組織細胞内へ導入され、そこで発現され、標的タンパク質を生成する。標的タンパク質および免疫調節タンパク質をコードしているDNAまたはRNA配列は個体の細胞中での発現に必要とされる制御要素に連結されている。DNA発現のための制御要素にはプロモーターおよびポリアデニル化シグナルが含まれる。加えて、コザック領域のような他の要素もまた遺伝子構築物に含まれているであろう。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語”遺伝子構築物”とは、標的タンパク質をコードし、およびワクチン接種された個体の細胞内での発現を指示できる、プロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含んでいる制御要素に作動可能なように連結された開始および終止シグナルを含むヌクレオチド配列、および/または免疫調節タンパク質をコードし、およびワクチン接種された個体の細胞内での発現を指示できる、プロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含んでいる制御要素に作動可能なように連結された開始および終止シグナルを含むヌクレオチド配列を含んでいる。いくつかの態様において、標的タンパク質をコードしている発現可能形配列および免疫調節タンパク質をコードしている発現可能形配列は同一の核酸分子上に存在しており、それが個体へ送達される。いくつかの態様において、標的タンパク質をコードしている発現可能形配列は、免疫調節タンパク質をコードしている発現可能形配列を含む核酸分子とは別の核酸分子上に存在する。そのような場合、両方の分子が個体へ送達される。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語”発現可能形”とは、個体の細胞中に存在する場合にコード配列が発現されるであろうように、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードしているコード配列へ作動可能に連結された必要制御要素を含んでいる遺伝子構築物を指している。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語”エピトープを共有している”とは、別のタンパク質のエピトープと同一であるまたは実質的に同じである少なくとも一つのエピトープを含むタンパク質を指している。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語”実質的に同じであるエピトープ”とは、タンパク質のエピトープとは同一の構造を持ってはいないが、それにも関わらず、そのタンパク質と交叉反応する細胞性または体液性免疫応答を引き起こすエピトープを指すことを意味している。
【0058】
遺伝子構築物は、遺伝子発現に必要とされる制御要素に作動可能なように連結された標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる。本発明によると、標的タンパク質をコードしているヌクレオチド配列の発現可能形から成る遺伝子構築物および免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列の発現可能形から成る遺伝子構築物を含む遺伝子構築物の組み合わせが提供される。遺伝子構築物の組み合わせを含むDNAまたはRNAの生きている細胞内への取り込みにより、DNAまたはRNAの発現および標的タンパク質および免疫調節タンパク質の産生が生じる。標的タンパク質に対する促進された免疫応答が生じる。
【0059】
細胞により取り込まれた場合、遺伝子構築物は機能的染色体外分子として残存し、および/または細胞の染色体DNAへ組み込まれる。DNAは細胞内へ導入され、プラスミド形の別の遺伝子成分として残っているかもしれない。もしくは、染色体内へ組み込むことができる直鎖状DNAが細胞内へ導入されてもよい。DNAが細胞内へ導入された時、染色体内へのDNA組込みを促進する試薬が加えられる。組込みを促進するために有用なDNA配列はDNA分子に含まれていてもよい。もしくは、RNAが細胞に投与されてもよい。遺伝子構築物は動原体、テロメアおよび複製起点を含んでいる線状ミニクロモソームとして提供されることも意図されている。遺伝子構築物は弱毒化生ワクチンまたは組換え体微生物ベクター中に遺伝子構成要素の一部として残存し、細胞中で生きている。遺伝子構築物は組換え体ウイルスワクチンのゲノムであってもよく、遺伝子構成要素は細胞の染色体内へ組み込まれるかまたは染色体外に残存する。
【0060】
遺伝子構築物は核酸分子の遺伝子発現に必要な制御要素を含んでいる。その要素には:プロモーター、開始コドン、停止コドンおよびポリアデニル化シグナルが含まれる。加えて、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードしている配列の遺伝子発現にエンハンサーがしばしば必要とされる。これらの要素は所望のタンパク質をコードしている配列へ作動可能なように連結されていること、および制御要素はそれらが投与された個体で作動可能であることが必要である。
【0061】
開始コドンおよび停止コドンは一般的に所望のタンパク質をコードしているヌクレオチド配列の一部であると考えられている。しかしながら、これらの要素は遺伝子構築物が投与された個体中で機能的であることが必要である。開始および停止コドンはコード配列の読み枠内に存在しなければならない。
【0062】
使用されるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルは個体の細胞内で機能的でなければならない。
本発明の実施に有用なプロモーターの例としては(特にヒトに対する遺伝子ワクチンの製造において)、シミアンウイルス40(SV40)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(HIV長い末端反復配列(LTR)プロモーターのような)、モロニーウイルス、ALV、サイトメガロウイルス(CMV)(CMV前初期プロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)からのプロモーター類、ならびにヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびヒトメタロチオネインのようなヒト遺伝子からのプロモーター類が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0063】
本発明の実施に有用なポリアデニル化シグナルの例としては(特にヒトに対する遺伝子ワクチンの製造において)、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナルおよびLTRポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。特に、pCEP4プラスミド中に存在するSV40ポリアデニル化シグナル(Invitrogen,SanDiego,CA、SV40ポリアデニル化シグナルと称される)が使用される。
【0064】
DNA発現に必要とされる制御要素に加え、他の要素もDNA分子に含まれているであろう。そのような追加の要素にはエンハンサーが含まれる。エンハンサーは:ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびCMV、RSVおよびEBVからのエンハンサーのようなウイルスエンハンサーから成る群より選択されるであろうが、それらに制限されるわけではない。
【0065】
遺伝子構築物を染色体外に維持するためおよび細胞中で構築物の多数のコピーを生成するために、構築物は哺乳類複製起点とともに提供できる。Invitrogen(SanDiego,CA)からのプラスミドpCEP4およびpREP4はエプスタインバーウイルス複製起点および組込みなしで高コピーエピソーム複製を生み出す核抗原EBNA−1コード領域を含んでいる。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質をコードしているcDNAがpCDNA3内へ挿入される。
【0066】
免疫化応用に関するいくつかの好適な態様において、標的タンパク質、免疫調節タンパク質、およびそのうえにそのような標的タンパク質に対する免疫応答をさらに促進するタンパク質のための遺伝子をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子が送達される。そのような遺伝子の例はα−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10およびIL−12のような他のサイトカインおよびリンホカインをコードしているものである。いくつかの態様において、GM−CSFの遺伝子が免疫化組成物で使用される遺伝子構築物に含まれていることが好適である。
【0067】
何らかの理由で遺伝子構築物を受けている細胞を除去することが望ましいのであれば、細胞破壊の標的として働く追加の要素が加えられるであろう。発現可能形のヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子を遺伝子構築物に含ませることができる。薬剤ガングシクロビルが個体へ投与でき、本薬剤はtkを産生している細胞を選択的に殺すので、遺伝子構築物を含む細胞を選択的に破壊する手段が提供される。
【0068】
タンパク質産生を最大にするため、構築物が投与される細胞内での遺伝子発現に適した制御配列が選択される。さらに、細胞内で最も効率的に転写されるコドンが選択されるであろう。当業者は細胞内で機能的であるDNA構築物を製造できる。
【0069】
投与経路には筋肉内、鼻腔内、腹腔内、経皮、皮下、静脈内、動脈内、眼内および経口ならびに局所、経皮、吸入または坐剤により、または膣、直腸、尿管、口腔および舌下組織への潅注によるような粘膜組織へなどが含まれるが、それらに制限されるわけではない。好適な投与経路には粘膜組織、筋肉内、腹腔内、皮内および皮下注射が挙げられる。遺伝子構築物は伝統的注射器、針無し注入装置または”微小弾丸衝撃遺伝子銃”を含む(それらに制限されるわけではない)手段によって投与されてもよい。
【0070】
本発明による医薬組成物は約1ナノグラムから約2000マイクログラムのDNAを含んでいる。いくつかの好適な態様において、本発明による医薬組成物は約5ナノグラムから約1000マイクログラムのDNAを含んでいる。いくつかの好適な態様において、本発明による医薬組成物は約10ナノグラムから約800マイクログラムのDNAを含んでいる。いくつかの好適な態様において、本発明による医薬組成物は約0.1から約500マイクログラムのDNAを含んでいる。いくつかの好適な態様において、本発明による医薬組成物は約1から約350マイクログラムのDNAを含んでいる。本発明による医薬組成物は約25から約250マイクログラムのDNAを含んでいる。本発明による医薬組成物は約100から約200マイクログラムのDNAを含んでいる。
【0071】
本発明の医薬組成物は使用されるべき投与様式に従って処方される。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合、それらは無菌であり、発熱物質および粒子状物質を含んでいない。好適には等張処方が使用される。一般に、等張性のための添加物には塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースが使用できる。いくつかの場合、リン酸緩衝液のような等張溶液が好適である。安定化剤にはゼラチンおよびアルブミンが含まれる。いくつかの態様において、処方に血管収縮剤が添加される。
【0072】
いくつかの態様において、核酸分子はポリヌクレオチド機能促進剤または遺伝子ワクチン助長剤の投与と連結して細胞へ送達される。ポリヌクレオチド機能促進剤は1993年1月26日に出願された米国特許番号第08/008,342号、1993年3月11日に出願された米国特許番号第08/029,336号、1993年9月21日に出願された米国特許番号第08/125,012号、および1994年1月26日に出願された国際出願番号第PCT/US94/00899号(これらは各々が本明細書において援用される)に説明されている。遺伝子ワクチン助長剤は1994年4月1日に出願された米国特許番号第08/221,579号(本明細書において援用される)に説明されている。核酸分子とともに投与される共薬剤は核酸分子との混合物として投与されるか、または核酸分子と同時に、投与前にまたは投与後に別々に投与される。さらに、トランスフェクト剤および/または複製剤および/または催炎物質として機能するであろう、およびGVFと共投与されるであろう他の物質にはα−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNF、上皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10およびIL−12のような成長因子、サイトカインおよびリンホカインが含まれ、ならびに線維芽細胞成長因子、免疫刺激複合体(ISCOMS)のような表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質A(MPL)を含むLPS類似体、ムラミールペプチド、キノン類似体およびスクアレンおよびスクアレンのようなベシクル、およびヒアルロン酸もまた遺伝子構築物とともに投与されるのに使用されるであろう。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質はGVFとして使用されるであろう。
【0073】
本発明により細胞へ送達される核酸分子は、予防的および/または治療的免疫化剤として機能するタンパク質のための鋳型として働くであろう。好適な態様において、核酸分子は動物の細胞内でのコード領域の転写および翻訳のために必要な制御配列を含んでいる。
【0074】
本発明はウイルス、原核生物および真核生物体(単細胞病原性生物体および多細胞寄生虫のような)のようなすべての病原体に対して個体を免疫化するために使用されるであろう。本発明は細胞に感染し、およびウイルスおよび原核生物(淋菌、リステリアおよび赤痢菌のような)のような被包性でない病原体に対して個体を免疫化するのに特に有用である。加えて、本発明はまた、それらが細胞内病原体である生活周期の段階を含む原虫に対して個体を免疫化するのにも有用である。本明細書で使用される場合、用語”細胞内病原体”とはその生殖または生活周期の少なくとも一部で、宿主細胞内に存在しおよびそこで病原タンパク質を産生するまたは産生する原因となるウイルスまたは病原性生物体を指すことを意味している。表2は本発明によるワクチンが作製できるいくつかのウイルスファミリーおよび属のリストである。表に掲げた抗原のような病原体抗原上に示されるエピトープと同一かまたは実質的に同じである少なくとも一つのエピトープを含むペプチドをコードしているDNA配列含有DNA構築物はワクチンに有用である。さらに、本発明はまた、原核生物および真核生物を含む他の病原体ならびに表3に掲げてあるような多細胞寄生虫に対して個体を免疫化するのにも有用である。
【0075】
病原体感染に対して保護する遺伝子ワクチンを製造するため、保護的免疫応答が準備できる免疫原性タンパク質をコードしている遺伝子構成要素は、標的のためのコード配列として遺伝子構築物中に含まれていなければならない。病原体感染が細胞内(それに対して本発明は特に有用である)であるにせよまたは細胞外であるにせよ、すべての病原体抗原が保護的応答を惹起することはありそうもない。DNAおよびRNAは両方とも比較的小さくおよび比較的容易に製造できるので、本発明は多病原体抗原を含むワクチン接種を可能にするさらなる利点を提供する。遺伝子ワクチンに使用される遺伝子構築物は多くの病原体抗原をコードしている遺伝子構成要素を含むことができる。例えば、数個のウイルス遺伝子を単一の構築物に含ませてもよく、それにより複数の標的を持つものが提供される。
【0076】
表2および3は、感染から個体を保護するために遺伝子ワクチンが製造されるいくつかの病原性因子および生物体のリストである。いくつかの好適な態様において、病原体に対して個体を免疫化する方法はHIV、HTLVまたはHBVに向けられたものである。
【0077】
本発明の別の態様は、過増殖性疾患に特徴的である過増殖している細胞に対する広範囲な保護的免疫応答を与える方法、および過増殖性疾患を患っている個体を処置する方法を提供する。本明細書で使用される場合、用語”過増殖性疾患”とは細胞の過増殖により特徴付けられるような疾患および障害を指していることを意味している。過増殖性疾患の例にはすべての形の癌および乾癬が含まれる。
【0078】
免疫原性の”過増殖している細胞”関連タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を個体の細胞内へ導入すると、ワクチン接種された個体の細胞にこれらのタンパク質が産生されることが見いだされている。本明細書で使用される場合、用語”過増殖性関連タンパク質”とは過増殖性疾患に関連するタンパク質を指していることを意味している。過増殖性疾患に対して免疫するため、過増殖性疾患に関連したタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物が個体に投与される。
【0079】
過増殖性関連タンパク質が有効な免疫原性標的であるようにするため、それは正常な細胞と比較して、過増殖性細胞中で独占的にまたは高レベルで産生されるようなタンパク質でなければならない。標的抗原にはそのようなタンパク質に観察される少なくとも一つのエピトープを含むタンパク質、それらの断片およびペプチドが含まれる。いくつかの場合、過増殖性関連タンパク質はタンパク質をコードしている遺伝子の突然変異による生成物である。突然変異した遺伝子は正常のタンパク質とほとんど同じであるが、正常タンパク質では観察されない異なったエピトープを生じるわずかに異なったアミノ酸配列を持つタンパク質をコードしている。そのような標的タンパク質にはmyb、myc、fynのような癌遺伝子、および転座遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trkおよびEGRFによりコードされているようなタンパク質が含まれる。標的抗原としての癌遺伝子生成物に加え、抗癌処置および保護的計画のための標的タンパク質には、B細胞リンパ球により作られる抗体の可変領域およびT細胞リンパ球のT細胞レセプター可変領域が含まれ、それらはいくつかの態様において自己免疫疾患のための標的抗原としても使用される。腫瘍細胞において高レベルで観察されるタンパク質(モノクローナル抗体17−1Aにより認識されるタンパク質および葉酸結合タンパク質を含む)のような他の腫瘍関連タンパク質が標的タンパク質として使用できる。
【0080】
本発明は一つまたはそれ以上の癌のいくつかの形に対して個体を免疫化するために使用されるであろうが、本発明は特定の癌が発現しやすい人または以前に癌を発病し、従って再発しやすい人のような個体を予防的に免疫化するのに特に有用である。遺伝学および技術ならびに疫学の発展は、個体における癌発生の可能性および危険事前評価の決定を可能にしている。遺伝子スクリーニングおよび/または家族健康履歴を用いて、特定の個人がいくつかの型の癌のどれか一つを発生する可能性を予測することが可能である。
【0081】
同様に、すでに癌が発生している、および癌を取り除く処置を受けたまたは寛解期にある個体は特に再発しやすい。処置計画の一部として、そのような個体は再発と戦うために、持っていると診断された癌に対して免疫できる。従って、個体が癌の一つの型を持っていたことがあり、再発の危険性があることが解ったら、癌の将来の出現と戦う免疫系を準備するために免疫化できる。
【0082】
本発明は過増殖性疾患を患っている個体を処置する方法を提供する。そのような方法において、遺伝子構築物の導入は、標的タンパク質を産生する過増殖性細胞と戦うために個体の免疫系を向けさせるおよび促進する免疫療法剤として働く。
【0083】
本発明は、自己免疫性に関係し、細胞レセプターおよび”自己”指向性抗体を産生する細胞を含んだ標的に対して広範囲な保護的免疫応答を与えることにより、自己免疫疾患および障害を患っている個体を処置するための方法を提供する。
【0084】
T細胞仲介自己免疫疾患にはリウマチ様関節炎(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インシュリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、脈管炎、ヴェグナー肉芽腫症、クローン病および潰瘍性大腸炎が含まれる。これらの疾患の各々は、内因性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連した炎症性カスケードを開始させるT細胞レセプターにより特徴付けられる。T細胞の可変領域に対するワクチン接種はCTLが関与する免疫応答を惹起し、これらのT細胞を除去する。
【0085】
RAにおいて、この疾患に関与するT細胞レセプター(TCR)のいくつかの特異的可変領域が同定されている。これらのTCRにはVβ−3、Vβ−14、Vβ−17、およびVα−17が含まれる。従って、これらのタンパク質の少なくとも一つをコードしているDNA構築物でのワクチン接種はRAに関与するT細胞を標的とするであろう免疫応答を惹起するであろう。Howell,M.D.etal.,1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:10921−10925;Paliard,X.,et al.,1991 Science 253:325−329;Williams,W.V.,etal.,1992 J.Clin.Invest.90:326−333(これらの各々は本明細書において援用される)を参照されたい。
【0086】
MSにおいて、この疾患に関与する抗体のいくつかの特異的可変領域が同定されている。これらのTCRにはVβ−7、およびVα−10が含まれる。従って、これらのタンパク質の少なくとも一つをコードしているDNA構築物でのワクチン接種はMSに関与するT細胞を標的とするであろう免疫応答を惹起するであろう。Wucherpfennig,K.W.,etal.,1990 Science 248:1016−1019;Oksenberg,J.R.,et al.,1990 Nature 345:344−346(これらの各々は本明細書において援用される)を参照されたい。
【0087】
強皮症において、この疾患に関与するT細胞レセプター(TCR)のいくつかの特異的可変領域が同定されている。これらのTCRにはVβ−6、Vβ−8、Vβ−14、およびVα−16、Vα−3C、Vα−7、Vα−14、Vα−15、Vα−16、Vα−28、およびVα−12が含まれる。従って、これらのタンパク質の少なくとも一つをコードしているDNA構築物でのワクチン接種は強皮症に関与するT細胞を標的とするであろう免疫応答を惹起するであろう。
【0088】
T細胞仲介自己免疫疾患を患っている患者を処置するためには(特にTCRの可変領域がまだ同定されていない場合)、滑液生検が実施できる。存在するT細胞の試料を取り出すことができ、それらのTCRの可変領域が標準法を使用して同定される。遺伝子ワクチンはこの情報を用いて製造できる。
【0089】
B細胞仲介自己免疫疾患には狼蒼(SLE)、グレーブス病、重症筋無力症、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、原発性胆汁性硬化症、および悪性貧血が含まれる。これらの疾患の各々は、内因性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連した炎症性カスケードを開始させる抗体により特徴付けられる。抗体の可変領域に対するワクチン接種はCTLが関与する免疫応答を惹起し、この抗体を産生するB細胞を除去する。
【0090】
B細胞仲介自己免疫疾患を患っている患者を処置するためには、自己免疫活性に関与する抗体の可変領域を同定しなければならない。生検が実施でき、炎症部位に存在する抗体の試料を取り出すことができる。抗体の可変領域が標準法を使用して同定できる。遺伝子ワクチンはこの情報を用いて製造できる。
【0091】
SLEの場合、一つの抗原がDNAであると信じられている。従ってSLEに対して免疫化されるべき患者においては、血清を抗DNA抗体でスクリーニングし、血清中に観察されたそのような抗DNA抗体の可変領域をコードしているDNA構築物を含むワクチンが製造できる。
【0092】
TCRおよび抗体両方の可変領域間に共通の構造的特色はよく知られている。特定のTCRまたは抗体をコードしているDNA配列は一般的にKabat,etal.,1987 Sequence of Proteins ofImmunological Interest,U.S.Departmentof Health and Human Services,BethesdaMD(本明細書において援用される)に説明されているようなよく知られた方法に従って見出すことができる。加えて、抗体からの機能的可変領域クローニングの一般法はChaudhary,V.K.,etal.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:1066(本明細書において援用される)に見ることができる。
【0093】
遺伝子ワクチンを改良するために免疫調節タンパク質コード配列の発現可能形を使用するのに加え、本発明は抗原をコードしている外来遺伝子を送達するために改良された弱毒化生ワクチンおよび組換え体ベクターを使用する改良されたワクチンに関している。外来抗原を運ぶための弱毒化生ワクチンおよび組換え体ベクターを使用するワクチンの例は米国特許第4,772,848;5,017,487;5,077,044;5,110,587;5,112,749;5,174,993;5,223,424;5,225,336;5,240,703;5,242,829;5,294,441;5,294,548;5,310,668;5,387,744;5,389,368;5,424,065;5,451,499;5,453,364;5,462,734;5,470,734および5,482,713号(これらの各々は本明細書において援用される)に説明されている。発現を達成するためにワクチン中で機能できる制御配列へ作動可能なように連結されている免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物が提供される。遺伝子構築物は弱毒化生ワクチンおよび組換え体ワクチンへ取り込まれて本発明に従った改良されたワクチンが製造される。
【0094】
本発明は、ワクチン組成物(DNAワクチン、弱毒化生ワクチンおよび組換え体ワクチンを含む)の一部として個体の細胞へ遺伝子構築物を送達する工程から成る、個体を免疫化する改良された方法を提供する。遺伝子構築物は免疫調節タンパク質をコードしおよびそれが発現を達成するためにワクチン中で機能できる制御配列へ作動可能なように連結されているヌクレオチド配列から成っている。改良されたワクチンは高められた細胞性免疫応答を生じる。
【0095】
本発明の別の態様は強い抗体応答またはヘルパーT細胞応答が特に望まれるDNAワクチンと組み合わされたGM−CSFまたはGM−CSFをコードしている核酸分子またはそれらの両方の使用に関している。そのようなワクチンの一つの例はB型肝炎に対するワクチンである。他の例としては細胞外病原体およびアレルゲンが挙げられる。DNAワクチンと組み合わされたGM−CSFまたはGM−CSFをコードしている核酸分子またはそれらの両方の投与はまた免疫無防備状態であると同定された個体のワクチン接種にも有用である。
【0096】
本発明の別の態様は自己免疫疾患を患っている患者を処置するための抗ケモカイン抗体の使用に関している。自己免疫疾患は前に簡単に説明されている。抗ケモカイン抗体にはMCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8またはRANTESに特異的な抗体が含まれる。抗ケモカイン抗体はそのような疾患を患っていると疑われる患者に症状を軽減または緩和するのに十分な量で投与されるであろう。
【0097】
自己免疫疾患を処置するために医薬組成物はケモカインに特異的な抗体および医薬として受容可能な担体を含んでいる。無菌で、発熱物質および粒子状物質を含んでいない注射可能組成物は一つまたはそれ以上のケモカインに特異的な抗体および医薬として受容可能な担体または注射賦形剤を含んでいる。
【0098】
抗体はモノクローナル抗体を製造するための通常の方法に従って作製される。担体は当業者にはよく知られているものから選択される。担体の一つの例は無菌塩類溶液である。
当業者は標準技術および容易に入手可能な材料を用いてMCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8またはRANTESに特異的に結合するモノクローナル抗体を製造することができる。モノクローナル抗体を製造するための技術はHarlow,E.およびD.Lane,(1988)ANTIBODIES:ALaboratory Manual,ColdSpring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor NY(本明細書において援用される)に説明されており、ハイブリドーマおよび標的タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体製造のための詳細な手引きが示されている。
【0099】
簡単には、ケモカインをマウスに注射する。マウスの脾臓を除去し、脾臓細胞を単離して不死化マウス細胞と融合させる。ハイブリッド細胞(またはハイブリドーマ)を培養し、抗体を分泌する細胞を選択する。抗体を分析し、問題とするタンパク質に特異的に結合することが観察されたら、それらを産生するハイブリドーマを培養して抗原特異的抗体を連続的に供給する。
【0100】
本発明に従うと、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8またはRANTESに特異的な抗体は自己免疫疾患を処置するために使用される。従って、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8またはRANTESはハイブリドーマを発生させるために使用される。これらのタンパク質をコードしている遺伝子は広く知られており、当業者は容易に入手可能である。従って、当業者は本発明の実施に有用な抗体を作製できる。齧歯類抗体に加えて、本発明はヒト抗体、ヒト化抗体、Fabsおよびキメラ抗体に関しており、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8またはRANTESに特異的に結合するFabsは当業者により日常的に製造されているであろう。
【0101】
当業者は自己免疫疾患を患っているまたは疑われる患者を容易に同定できる。
組成物はそれをより有効にするための追加の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物は異なったケモカインに特異的な抗体および同一のケモカインの異なったエピトープに特異的な抗体を含む多数の抗ケモカイン抗体を含んでいてもよい。
【0102】
約5μgから5000mgの抗体が投与されるであろう。いくつかの好適な態様においては、50μgから500mgの抗体が投与されるであろう。別の好適な態様においては、500μgから50mgの抗体が投与されるであろう。好適な態様においては、5mgの抗体が投与される。
【0103】
組成物は、例えば、経口、鼻腔内、筋肉内、腹腔内または皮下投与のような適した経路により投与されるであろう。いくつかの態様において、静脈内投与が好適である。
最初の投与に続いて、個体は再投与により追加免疫されるであろう。いくつかの好適な態様において、多数回投与が実施される。
【実施例】
【0104】
実施例1

免疫応答におけるケモカインの特異的役割を分子的に詳細に検討するため、α−ケモカインIL−8をコードしているcDNAならびにβ−ケモカインMIP−1α、RANTESおよびMCP−1をコードしているcDNAを個々に発現ベクター内へクローン化し、HIV−1エンベロープまたはgag/polタンパク質をコードしているDNA免疫原と一緒に共免疫感作した。モデル抗原としてこれらのDNAワクチン構築物を用い、そのような免疫感作に続いて誘導された抗原特異的体液性および細胞性免疫応答の分析を通して免疫応答の発生に果たすケモカイン遺伝子発現の特異的役割を検討した。ケモカインは抗原特異的免疫応答の活性化および調節に特異的で同定可能な役割を持っていることが観察された。
【0105】
結果
DNAワクチン接種によるケモカインの誘導
マウスを50μgのpCDNA3(対照)、pCEnvまたはpCGag/polで免疫した。2週間後、マウスを殺し、それらの脾臓をとり、リンパ球を単離した。これらの細胞は抗原特異的刺激(固定化組換え体ワクシニア感染刺激細胞を用いて)によりインビトロで5日間刺激した。エフェクター細胞からの培養上清液を集め、ケモカインMIP−1α、MIP−1βおよびRANTESの放出を試験した。pCEnvまたはpCGag/polによるDNA免疫感作は対照ベクターと比較してβ−ケモカインMIP−1α、MIP−1βおよびRANTES発現レベルの著しい増加を誘導した。この増加は最初の免疫感作後早くも2週間で存在しており、β−ケモカインがインビボで免疫応答を調節できたことを示唆している。抗原特異的応答に対するケモカインの影響を決定するため、次にDNAワクチンにより誘導される免疫応答に対するそれらの影響を調べた。
【0106】
ケモカイン発現カセットの構築
ケモカインIL−8、MIP−1α、MCP−1α、MCP−1およびRANTES遺伝子をKim,J.J.,D/B/Weiner(1997)SpringerSem Immunopathol19,174−195;Kim,J.J.,et al.,(1997)Nature Biot.15,641−645;およびKim,J.J.,etal.,(1997)J.Immunol.158,816−826(これらの各々は本明細書において援用される)に説明されている方法を用いてpCDNA3プラスミド発現ベクター内へ個々にクローン化した。これらのケモカイン発現カセットは全挿入物(5’および3’両方の隣接配列を含んで)の配列分析により確認された。加えて、これらのケモカイン構築物はインビトロでRD細胞へトランスフェクトされ、これらの構築物の発現が関連抗体を使用する免疫沈降により、またはケモカインELISAにより確認された。IL−8、MIP−1α、MCP−1およびRANTESのための発現構築物はまたワクチンとしても使用され、マウスを免疫した。材料および方法に説明されているインビボ発現技術により、これらの構築物はインビボでマウス筋肉組織中にそれらがコードしているケモカインを発現したことが決定された。
【0107】
IL−8はTヘルパー応答の強力な誘導剤である
ワクチン誘導応答に対する種々のケモカインの影響が個々に分析された。pCEnvおよびpCEnv+IL−8免疫マウスからの抗血清を集め、ELISAによりHIV−1gp120タンパク質に対する特異的抗体応答を分析した。DNA免疫感作後0、2、4および6週に集められた血清からのgp120特異的抗体力価が測定された。1:128希釈において、pCEnv+IL−8で免疫した群からの血清はgp120タンパク質に対する抗体応答を示し、それはpCEnv単独で免疫した群からの応答よりも高かった。同様の結果がpCGag/polで免疫した群で観察された。さらに、IL−8遺伝子の共投与により誘導されたgp120特異的IgGのサブクラスが決定された。IgG1型の生成はTh2型サイトカインにより誘導されるが、IgG2型の生成はTh1型サイトカインにより誘導される。IgG2aに対するIgG1(Th1に対するTh2)の相対比が測定された。pCEnv免疫化群はIgG2aに対するIgG1の比が1.3であった。一方、pCEnv+IL−8の共注射は相対比を0.9に減少させ、Th1型応答への移行を示している。従って、IL−8は抗原特異的応答の質および量の両方に影響を及ぼした。
【0108】
Tヘルパー細胞増殖応答に対するIL−8発現の影響もまた試験された。HIV−1免疫原(pCEnvまたはpCGag/pol)とIL−8の共発現は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の劇的なレベルを生じた。増殖の増加は4から6倍の間であった(抗原特異的応答の著しい亢進)。加えて、誘導されたCTL応答に対するIL−8共発現の影響も調べられた。対照動物からはバックグラウンドレベルの特異的溶解が観察されたが、pCEnv単独で免疫した動物は小さいが、しかし一貫したレベルのCTL応答を示した。IL−8共投与は抗原特異的CTL応答に対して促進効果を持っていなかった。同様なCTL結果がpCGag/pol+IL−8共免疫感作で観察された。
【0109】
サイトカインは免疫応答の間、免疫細胞の方向付けおよび標的化に鍵となる役割を果たしている、例えば、IFN−γはT細胞仲介細胞障害性免疫応答の制御に複雑に関与しており、一方、IL−4はB細胞仲介免疫応答において支配的な役割を果たしている。TNF−αは活性化マクロファージおよび単球、好中球、活性化リンパ球およびNK細胞により産生され、他の前炎症性サイトカイン合成の制御に中枢の役割を果たしていると示唆されている。我々はCTLアッセイのためにインビトロで刺激されたエフェクター細胞からの上清を分析し、サイトカインIFN−γ、IL−4およびTNF−αの放出を試験した。IL−8発現はTNF−αレベルをほんのわずか増加させたが、サイトカインIFN−γおよびIL−4レベルには影響しなかった。体液性応答に対するIL−8の共送達の劇的な影響は、IL−4に対する顕著な影響を持っていることを期待させるのでこのことは幾分驚くべきことである。しかしながら、それは観察されなかった。
【0110】
MIP1−αは抗体応答の強力な誘導剤である
MIP1−αの共発現は抗原特異的体液性応答の誘導においてIL−8よりも劇的な影響を示した。pCEnv+MIP−1α共免疫感作はエンベロープ特異的抗体応答の劇的な促進を生じた。同様な結果がpCGag/polで免疫した群で観察された。pCEnv+MIP−1αを共投与した後のIgG2aに対するIgG1の相対比が決定された。pCEnv免疫群はIgG2aに対するIgG1の比が1.3であった。一方、pCEnv+MIP−1αの同時注射は相対比を1.7に上昇させ、Th2型応答への移行を示している。HIV−1免疫原(pCEnvまたはpCGag/pol)とMIP−1αの共発現は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の促進を生じた。対照的に、MIP−1α免疫感作は抗原特異的CTL応答またはサイトカイン誘導にはほとんど影響しなかった。IL−8の分析で観察されたように、サイトカイン産生に対する影響については、IL−4レベルには再び何の影響も観察されなかった。
【0111】
RANTESはTh1ならびにCTL応答を誘導する
次にワクチン誘導免疫応答に対するRANTES共送達の影響が試験された。IL−8およびMIP−1αと異なりpCEnvとRANTESの共発現はHIV−1エンベロープ特異的抗体応答を促進しなかった。加えて、pCEnv+RANTES共免疫感作は、pCEnv単独での免疫化群と比較した場合、IgG1−IgG2a比に対して何の影響も与えなかった。抗体応答とは対照的に、HIV−1免疫原(pCEnvまたはpCGag/pol)とRANTESの共ワクチン接種は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の著しい増加を生じた。さらに、pCEnv+RANTESを共投与した群からは2倍高いレベルのTh1サイトカインIFN−γおよびTNF−α発現が観察された。CTL活性には極微の影響しか与えないpCEnv+IL−8またはpCEnv+MIP−1αでの共注射と異なり、HIV−1エンベロープを発現しているワクシニア(vMN462)感染標的の特異的溶解のより劇的な増加がpCEnv+RANTESの共注射後に観察された。50:1のエフェクター:標的(E:T)比でpCEnv+RANTESを共注射後、標的細胞の36%を超える特異的溶解が観察された。同様に、pCGag/pol+RANTESで免疫したマウスではHIV−1gag/polを発現しているワクシニア(vVK1)感染標的の抗原特異的CTL溶解が著しく促進された。RANTES共送達は生じる応答をTh1型表現型に偏らせるが、再び、IL−4に対しては影響を及ぼさなかった。
【0112】
MCP−1はCTL応答を誘導する
次にMCP−1 cDNAのアジュバント特性が観察された。MCP−1はpCEnv免疫感作により誘導される特異的抗体結合プロフィールには極微の影響しか及ぼさないようである。さらに、HIV−1免疫原(pCEnvまたはpCGag/pol)とMCP−1の共発現は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の促進に対して陽性ではあるが比較的小さな(2倍)促進を示した。pCEnv+MCP−1を共投与した後のIgG2aに対するIgG1の相対比が決定された。pCEnv免疫群はIgG2aに対するIgG1の比が1.3であった。一方、pCEnv+MCP−1の共注射は相対比を1.0に減少させ、Th1型応答への移行を示している。pCEnv+MCP−1の共注射後に特異的溶解のより劇的な増加が観察された。50:1のエフェクター:標的(E:T)比でpCEnv+MCP−1を共注射後、標的細胞の36%を超える特異的溶解が観察された。同様に、pCGag/pol+MCP−1で免疫したマウスではHIV−1gag/polを発現している標的の抗原特異的CTL溶解が著しく促進された。pCEnv+MCP−1免疫マウスによるIFN−γ放出レベルは、pCEnv免疫または対照群よりも著しく高かった。再び、すべての群からのIL−4放出レベルは同様であった。さらに、pCEnv+MCP−1免疫マウス群によるTNF−α放出レベルは、pCEnv免疫または対照群よりも著しく高かった。これらのサイトカイン放出データはCD8+ CDLの活性化におけるMCP−1の役割を明瞭にする我々のCTL結果を支持している。
【0113】
CTL応答におけるCD8制限の決定
MCP−1およびRANTESでの共発現によるCTL応答の増加がCD8+T細胞に制限されていたかどうかを決定するため、balb/cマウスでMHCクラスI制限CTLの特異的エピトープであることが示されているHIV−1エンベロープペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)を用いてCTLアッセイが実施された。マウスは50μgの各々のDNA構築物で2週間あけて免疫感作し、第二の免疫感作1週間後に脾臓を採取した。CTLアッセイはインビトロでエンベロープ特異的ペプチドを用いて刺激した後に脾臓細胞に対して実施された。MCP−1およびRANTESでの共注射後の両方において、50:1のE:T比で各々35%および26%特異的溶解でのCTL応答の著しい促進が観察された。補体溶解によりエフェクター細胞集団からCD8+T細胞を除去した後にCTL活性を測定することにより前記の観察を確認した。CD8+T細胞の除去はMCP−1およびRANTESでの共注射後に観察された抗原特異的CTL促進を抑制した。これらの結果は、細胞溶解活性の促進は抗原特異的、クラスI制限およびCD8+T細胞依存的であったことを示している。
【0114】
ケモカイン発現の促進
これらの特異的ケモカイン抗原増強免疫原のケモカイン産生それ自身に対する影響を決定するのは重要である(もしあれば)。免疫化動物から集められた刺激された細胞によるケモカインMIP−1α、MIP−1β、RANTESおよびMCP−1の発現を調べた。ケモカイン共注射はケモカイン特異的パターンでケモカイン産生を調節した。いくつかの重要な観察が行われた。さらに、ケモカイン遺伝子との共免疫感作により刺激された細胞によるケモカイン発現が増加することが観察された。例えば、MIP−1α発現はpCEnv+MCP−1の共免疫感作により、pCEnv免疫感作単独により発現されたレベルより劇的に促進できたことが観察された。加えて、MIP−1β発現はpCEnv+MCP−1およびpCEnv+RANTES免疫感作(二つの最も顕著なCTL応答の誘導剤)により劇的に促進されたことも観察された。さらに、pCEnv+MIP−1α、pCEnv+MCP−1およびpCEnv+RANTES共免疫感作は刺激された細胞によるRANTES発現を著しく促進させた。最後に、MCP−1の発現はpCEnv+MIP−1αおよびpCEnv+MCP−1共免疫感作で最も高かった。
【0115】
考察
炎症性反応の免疫の開始は、細胞性接着分子、サイトカインおよびケモカインの厳しく調整された発現を含んだ複雑な過程である。ケモカインは血管から宿主防御の末端部位への白血球やりとりの分子的制御に特に重要である。ケモカインのスーパーファミリーは20を超す関連タンパク質のアレイから成っている。ケモカインは保存されているシステイン残基の存在および位置に基づいて大きく三つのファミリー、C−X−C(α)、C−C(β)およびC(γ)、に分割される。αファミリー構成物においては、最初の二つのシステインが別のアミノ酸により引き離されており、一方βファミリー構成物ではお互いに隣に置かれている。これまでのところ、γファミリーは二つの構成物しか同定されていないが、それらの両方ともそのN末端には二つのシステインの代わりに一つのシステインしか含まれていない。
【0116】
各々のサブファミリーの構成物は独特のならびに重複する活性を持っている。正確な生理学的および病理学的機能は未だに明確には定義されていないが、文献からある種の簡単な一般性は作成することができる。一般に、C−X−Cファミリー構成物は、好中球、好酸球および好塩基球を含む多形核白血球の化学誘引剤および活性化剤であると報告されている。対照的に、C−Cファミリーは単球およびリンパ球のような単核細胞の走化性因子として働く。一方、C−X−Cケモカイン、IL−8およびIL−10はTリンパ球の走化性因子として伝えられており、C−Cケモカイン、MCP−1、MPC−3、RANTESおよびMIP−1αもまた好塩基球の走化性因子である。一般に、ケモカインの機能は炎症部位での白血球の補充および活性化であるようである。
【0117】
炎症性および免疫応答におけるそれらの機能に加え、いくつかのケモカインはAIDSの原因であるHIV−1および2の伝播および進行に重要な役割を果たしている。10年の間、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120のCD40への結合はウイルス融合および進入には十分ではないと予想されており、HIV感染のための追加の細胞表面補因子の必要性が示唆されている。最近の研究からT細胞指向性およびマクロファージ指向性ウイルスとそれらの標的細胞の融合に必要とされる補レセプターは各々CXCR−4およびCCR−5であると同定された。
【0118】
CXCR−4(LESTRとしても知られている)は元々ケモカインレセプターと構造類似性を持つオーファンレセプターとして発見された。CXCR−4は続いてT細胞指向性HIVウイルスのCD4+細胞内への侵入のために必要な補因子として同定された。β−ケモカインSDF−1はCXCR−4のリガンドであり、T細胞指向性HIV−1株による感染の強力な阻害剤である。同様に、β−ケモカインMIP−1α、MIP−1βおよびRANTESはCCR−5の天然のリガンドであり、マクロファージ指向性(しかしT細胞指向性ではない)HIV単離物のためのCD8+T細胞により産生される主HIV抑制因子の一つである。
【0119】
これらの研究において、DNA免疫原を注射した後に著しいレベルのケモカイン発現が観察されている。これらの結果は、免疫応答の重要な活性化剤および制御剤としてのケモカインの潜在的役割を暗示している。免疫誘導および調節におけるこれらのケモカインの特異的役割を評価するため、抗原送達モデルとしてケモカインDNA発現カセットの共送達を利用した。DNAワクチンはMHCクラスIおよびII経路を経て体液性および細胞性免疫応答の両方を誘導するので、DNA共免疫感作はケモカインのインビボでの機能を調べるのに適したモデルである。さらに、我々および他の研究者はDNAワクチンに対する抗原特異的免疫応答が、共刺激性分子およびサイトカイン遺伝子とDNA免疫原カセットを共注射することにより調節できることを示している。従って、ケモカイン発現ベクターとHIV−1DNA免疫原を共免疫感作し、免疫活性化に対するケモカイン発現の影響を調べた。α−ケモカインIL−8およびβ−ケモカインMIP1−α、RANTESおよびMCP−1は抗原特異的免疫応答の活性化に特異的で同定可能な役割を持っていた。
【0120】
例えば、IL−8は好中球の走化性因子であり、それらを血流中から放出して周囲の組織へ移行させる。IL−8はCD4+T細胞の強力な誘導剤であることが観察され、それは強いTヘルパー細胞増殖応答ならびに抗体応答により示された。IL−8共発現はまた、免疫応答型のTh−1型への移行を調節し、それはIgG2aに対するIgG1の比の減少および促進されたIFN−γ発現により示された。一方、IL−8共発現はCTL応答に対して何の促進効果を持っていなかったので、CD8+T細胞に対しては注目に値する影響を及ぼさない。
【0121】
MIP−1αは好酸球を化学誘引および脱顆粒できる。MIP−1αはまた、好塩基球および肥満細胞からのヒスタミン放出を誘導し、好塩基球およびB細胞の走化性因子でもある。これらの報告はMIP−1αが抗体応答に対して最も大きな効果を持っているという我々の観察を支持している。加えて、MIP−1αはまたCD4+T細胞の強力な誘導剤でもあり、良好なTヘルパー細胞増殖応答を示した。MIP−1α共発現はまた、免疫応答のTh−2型への移行も調節し、それはIgG2aに対するIgG1の比の増加により示された。対照的に、MIP−1α共発現はCD8+T細胞に対しては軽微な影響しか示さなかった。
【0122】
IL−8およびMIP−1αの効果と異なり、RANTES共免疫感作は抗体応答に対して軽微な影響しか示さなかった。RANTESは単球化学誘引剤である。加えて、RANTESは非刺激CD4+/CD45RO+記憶T細胞および刺激CD4+およびCD8+T細胞を化学誘引できる。DNA免疫感作部位へCD4+およびCD8+T細胞を化学誘引するRANTESの能力がTヘルパー細胞増殖応答およびCTL応答の誘導において重要な役割を果たすことが観察された。Th1応答の促進された活性化は、Th1サイトカインIFN−γおよびTNF−α発現の増加により支持された。RANTES発現により誘導された高レベルのCTL応答は、クラスI制限およびCD8+T細胞依存性であることから決定された。
【0123】
単球の強力な走化性因子であるので、MCP−1は慢性炎症性疾患の最も重要なケモカインの一つと考えられる。MCP−1は単球を血流から移動させて組織マクロファージにすることを誘導する。MCP−1は活性化された記憶サブセットのTリンパ球を化学誘引することが観察されている。試験されたすべてのケモカインの中で、MCP−1はCD8+CTLの最も強力な活性化剤である。MCP−1発現により誘導されるCTL応答の促進は、クラスI制限およびCD8+T細胞依存性であると決定された。促進されたCTL結果はTh1サイトカインIFN−γおよびTNF−α発現の増加およびIgG2aに対するIgG1の比の減少により支持される。RANTESと異なり、MCP−1は陽性、しかし中程度のTヘルパー細胞増殖応答に対する効果を持っていた。この比較から、体液性TヘルパーおよびT細胞毒性応答はお互いに独立して調節できることが強調される。
【0124】
免疫応答に対する直接的な影響に加え、ケモカイン遺伝子の共発現は自己分泌様式での発現が増加した。例えば、MIP−1α発現がpCEnv+MIP−1αで共免疫感作することにより、pCEnv免疫感作単独で発現されるレベルよりも劇的に促進できたことが観察された。RANTESの同様の増加がRANTES共送達で観察され、MCP−1が増加した。
【0125】
さらに、ケモカインの共発現でもまた他のケモカインの発現が促進された。これらの結果は、これらのケモカインは免疫応答を調節する直接的な役割を持っているばかりではなく、他のケモカインの産生を制御するようにも働くことを暗示している。
【0126】
重要な観察は、ケモカインRANTESおよびMCP−1がTNF−α発現を誘導する役割であった。TNF−αは活性化マクロファージおよび単球、好中球、活性化リンパ球およびNK細胞により産生され、一方TNF−βはリンパ球により産生される。TNF−αはまたグラム陰性細菌感染後の敗血症性ショックおよびリウマチ様関節炎にも暗示されている。さらに、TNF−αは他の前炎症性サイトカイン合成の制御に中枢の役割を果たしている。種々の病気におけるTNF−αの決定的な役割を仮定し、リウマチ様関節炎のような状態の処置可能性として、インビボでTNF−αレベルを低下させることが努力されてきた。我々の実験において、RANTESまたはMCP−1の共発現はTNF−α発現の促進が生じることが観察された。これらの結果は、RANTESおよびMCP−1を阻害することで、インビボでTNF−α発現を変化させるための適切な戦略を組み立てることができることを暗示している。
【0127】
Th1対Th2表現型は独立して他の免疫機能を分離するように見えることは興味が持たれる。IL−8は体液性応答を押し上げるが、これらの応答をTh1型の方へ駆り立て、IgG/IgG2a比を半分にする。一方、MIP−1α(多分血清学での最も多くの駆動体)はIgG/IgG2a比を劇的にTh2応答の方へ変化させる。この操作はお互いに独立して、一次抗原特異性免疫応答の誘導を所望の表現型ならびにイムノグロブリンアイソタイプへ方向付けることができることは明らかである。さらに、細胞性に対してより高い体液性応答の誘導は比較的偏向された免疫機能であるようである。それらのケモカインは体液性応答に対して最も劇的な効果を示す。IL−8およびMIP−1αはCTL応答に対してはほとんど影響を与えないが、一方、CTL応答に対して最も劇的な影響を仲介するもの、RANTESおよびMCP−1は血清学的には極微の影響しか与えない。同一のCTL駆動ケモカインRANTESおよびMCP−1は両方ともIFN−γおよびTNF−αを刺激し、その間、体液性応答発生剤は免疫活性化のこれらのサイトカイン刺激剤に対して極微の影響しか及ぼさない。
【0128】
実施例2
IL−8をコードしているヌクレオチド配列がワクチンまたは免疫療法剤の一部としてある種の細胞へ送達された場合、完全長形では不活性であり成熟形にプロセッシングされた場合にのみ活性になるのであまり有効ではない。図1Aに示したように、IL−8の最初の35アミノ酸はカスパーゼ−1(ICE)により切断される。突然変異体IL−18ヌクレオチド配列が構築され、それは図1Bに示した突然変異体IL−18へ翻訳される。このIL−18の突然変異体形は本発明による有効な免疫調節タンパク質として働く。免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされた突然変異体IL−18をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。突然変異体形をコードしているヌクレオチド配列はpCDNA3内へ挿入されるであろう。
【0129】
実施例3
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたCD40をコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0130】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたCD40をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたCD40Lをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0131】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたFasをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたICAM−1をコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0132】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたICAM−1をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたLFA−3をコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0133】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたLFA−3をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたVCAM−1をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0134】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたPECAM−1をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたE−セレクチンをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0135】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたM−CSFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたG−CSFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0136】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたM−CSFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたG−CSFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0137】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたIL−4をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたE−セレクチンをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0138】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたIL−7をコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたNGFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0139】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたVEGFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたIL−7をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0140】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたNGFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたVEGFをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0141】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたMCP−1をコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたRANTESをコードしているヌクレオチド配列の送達によりCTL応答が促進される。
【0142】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたMCP−1をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたRANTESをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0143】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたMIP−1αをコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたIL−8をコードしているヌクレオチド配列の送達によりヘルパーT細胞応答が促進される。
【0144】
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたMCP−1、RANTES、MIP−1αおよびIL−8の任意の一つの送達により抗体応答が促進される。
MCP−1またはRANTESの任意の一つの送達によりTNF−α産生が促進される。
免疫原をコードしているヌクレオチド配列と組み合わされたMCP−1、RANTES、MIP−1αおよびIL−8の任意の一つの送達によりIFN−γ産生が促進される。
【0145】
実施例4
M−CSF(マクロファージ−コロニー刺激因子)、G−CSF(顆粒球−CSF)およびGM−CSF(顆粒球/単球−CSF)のための遺伝子発現カセットならびにHIV−1DNA免疫原構築物の共送達後の抗原特異的免疫応答に対する影響を試験した。これらのサイトカインのための遺伝子は個々にサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター制御下の発現ベクター内へクローン化した。遺伝子プラスミド発現カセットは次にHIV−1免疫原のためのDNAワクチンカセットとともにマウスに注射された。抗原特異的免疫応答の方向性および程度に対するこれらの遺伝子アジュバントカセットでの共注射の免疫学的効果を分析した;これらの結果は原型Th1およびTh2型サイトカイン(各々IL−12およびIL−4)遺伝子の共送達で観察された結果と比較された。モデル抗原としてこれらのDNAワクチン構築物を用い、CSFがインビボで抗原特異的免疫応答を劇的におよび明白に制御でき、およびワクチン特異的様式でβ−ケモカイン産生を駆動していることが観察された。
【0146】
材料および方法DNAプラスミド
HIV−1エンベロープタンパク質(pCEnv)およびgag/polタンパク質(pCGag/Pol)を発現しているDNAワクチンはBoyer,J.D.,etal.(1997)Nature Med.3,526−532(本明細書において援用される)に説明されているように製造された。ヒトG−CSFおよびM−CSFならびにマウスGM−CSFのための遺伝子はKim,J.J.,etal.(1998)Eur.J.Immunol.28,1089−1103およびKim,J.J.,etal.(1998)J.Clin.Invest.102,1112−1124(本明細書において援用される)に説明されているようにpCDNA3発現ベクター(Invitrogen,Inc.,SanDiego,CA)内へクローン化された。ヒトG−CSFおよびM−CSFはマウス細胞中で活性であることが報告されている。きれいなプラスミドは細菌中で製造され、QiagenMaxi Prepキット(Qiagen,SantaClara,CA)を用いて精製された。
【0147】
試薬および細胞株
マウス肥満細胞腫P815細胞株はATCC(Rockville,MD)から入手した。HIV−1エンベロープ(vMN462)、gag/pol(vVK1)およびβ−ガラクトシダーゼ(vSC8)を発現している組換え体ワクチンはNIHAIDS Research and Reference ReagentProgramから入手した。組換え体gp120またはp24タンパク質はImmunoDiagnostics,Inc.(Bedford,MA)から入手した。
【0148】
マウスのDNA接種
6から8週齢のメスBALB/cマウス(Harlan Sprague Dawley,Inc.,Indianapolis,IN)の大腿4頭筋にリン酸緩衝液(PBS)および0.25%ブピバカイン−HCl(Sigma,St.Louis,MO)に処方した問題とする各々のDNA構築物50μgを注射した。種々の遺伝子発現カセットの投与は、注射前に選択されたプラスミドを混合することにより行った。対照マウスは50μgのpCDNA3ベクターで免疫した。各々の研究の組は3度実施され、代表的な組の結果が示されている。マウスには2回の免疫感作(各々50mg)を2週間の間隔で行った。追加注射1週間後、マウスを殺し、脾臓を採取してリンパ球を単離し、細胞応答を試験した(ThまたはCTL)。すべての動物は温度制御し、明暗を反復させたペンシルバニア大学の施設で飼い、それらの世話は米国国立保健研究所およびペンシルバニア大学のガイドラインに沿っていた。
【0149】
ELISA
0.1M炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(pH9.5)で2mg/ml濃度に希釈した15μgのp24またはgp120タンパク質を4℃で一夜、マイクロタイターウェルに吸着させた。プレートはPBS−0.05%トウィーン−20で洗浄し、37℃で1時間3%BSAのPBS−0.05%トウィーン−20溶液でブロックした。マウス抗血清は0.05%トウィーン−20で希釈し、37℃で1時間インキュベートし、次にHRP−結合ヤギ抗マウスIgG(Sigma,St.Louis,MO)とインキュベートした。プレートを洗浄し、3’3’5’5’TMB(Sigma)緩衝溶液で発色させた。gp120特異的IgGサブクラスの相対レベルの決定には、抗マウスIgG−HRPを抗マウスIgG1およびIgG2a結合HRP(Zyrned,SanFrancisco,CA)に置換した。続いてABTS基質溶液(Chemicon,Temecula,CA)が添加された。各々の工程において、プレートは洗浄緩衝液(PBS+0.05%トウィーン−X)で3回洗浄された。プレートはDynatechMR5000プレートリーダー上、450nmの光学密度が読みとられた。
【0150】
Tヘルパー細胞増殖アッセイ
リンパ球は脾臓から採取され、赤血球を除去することによりおよび新鮮な培地で数回洗浄することによりエフェクター細胞として調製された。単離された細胞懸濁液は5x106細胞/mlの濃度で再懸濁した。5x105細胞を含んでいる100μlをすぐに96ウェルマイクロタイター平底プレートの各々へ加えた。5μg/mlおよび1μg/mlの最終濃度で組換え体p24またはgp120タンパク質をウェルに3重に加えた。細胞は5%CO2中、37℃で3日間インキュベートした。各々のウェルに1mCiのトリチウム化チミジンを加え、細胞は37℃で12から18時間インキュベートした。プレートをとり、取り込まれたトリチウム化チミジンの量をBetaPlateリーダー(Wallac,Turku,Finland)で測定した。刺激指数は式:刺激指数(SI)=(実験的カウント/自発的カウント)から決定された。自発的カウントウェルは不適切タンパク質対照として働く10%ウシ胎児血清を含んでいる。
【0151】
細胞障害性Tリンパ球アッセイ
ワクシニア感染標的を使用して5時間の51Cr放出CTLアッセイが実施された。アッセイはインビトロでのエフェクター刺激で実施され、エフェクターは適切なワクシニア感染細胞(エンベロープに対してはvMN462およびgag/polに対してはvVK1)で刺激され、それは5日間、CTL培養培地中5x106細胞/mlで、0.1%グルタルアルデヒドを用いて固定された。エフェクターはRPMI1640(Gibco−BRL,GrandIsland,NY)、10%ウシ胎児血清(Gibco−BRL)およびCon Aを含まない10%RAT−T−STIM(Becton Dickinson Labware,Bedford,MA)から成るCTL培養培地で2日間、非特異的に刺激された。ワクシニア感染標的は37℃で5から12時間、10−20の感染多重度(MOI)で3x106のP815細胞を感染させることにより調製された。標準クロム放出アッセイが実施され、そこで標的細胞は100mCi/mlNa251CrO2で60から120分間標識され、刺激エフェクター脾臓細胞と37℃で6時間インキュベートされた。CTL溶解は50:1から12.5:1の範囲のエフェクター:標的(E:T)比で決定された。上清を採取し、LKBCliniGammaガンマ−カウンターで計数された。パーセント特異的溶解は式:
100x実験的放出−自発的放出/最大放出−自発的放出
から決定された。最大放出は1%トリトンX−100含有培地中の標的細胞の溶解により決定された。”自発的放出”のカウントが”最大放出”の20%を超えたならば、アッセイは正当とは考えられなかった。
【0152】
CD8+T細胞の補体溶解
CD8+T細胞はα−CD8モノクローナル抗体(Pharmingen,San Diego,CA)による処理により脾臓細胞から取り出され、続いてウサギ補体(Sigma)と37℃で45分間インキュベートした。
【0153】
サイトカイン/ケモカイン発現分析
CTLアッセイのために刺激されたエフェクターからの上清が6日目に集められ、IFN−γおよびIL−4(Biosource International,Inc.,Camarillo,CA)およびMIP−1α(R&D Systems,Minneapolis,MN)、MIP−lβおよびRANTES(Intergen,Pace,NY)のためのELISAキットを使用してサイトカインおよびケモカインプロフィールが試験された。
【0154】
結果サイトカイン発現カセットの構築
サイトカイン遺伝子は個々にpCDNA3プラスミド発現ベクター内へクローン化された。サイトカイン構築物がそれらの適切なタンパク質を発現しているかどうかを試験するため、それらをRD筋肉細胞株内へトランスフェクトし、これらの構築物の発現をサイトカインELISAにより分析した。結果は各々の発現カセットが特異的サイトカインを産生していることを示している(G−CSF〜40−60pg/ml;GM−CSF >70pg/ml;M−CSF 〜60−70pg/ml)。
【0155】
G−CSFはTヘルパー応答の促進を誘導する
G−CSFはマクロファージ、線維芽細胞、内皮細胞および骨髄間質細胞により産生される増殖因子である。G−CSFは好中球、内皮細胞および血小板を活性化するが、抗原提示細胞には直接的な影響をほとんど及ぼさないと考えられている。抗原特異的抗体応答に対するG−CSF共発現の影響が試験された。pCEnvおよびpCEnv+G−CSF免疫マウスからの抗血清を集め、ELISAによりHIV−1gp120タンパク質に対する特異的抗体応答を分析した。DNA免疫感作6週間後に集められた血清からのgp120特異的抗体力価が測定された。G−CSF共免疫感作はgp120特異的抗体応答レベルには有意な影響を与えなかった。同様な結果がpCGag/polで免疫した群で観察された。さらに、G−CSF遺伝子の共投与により誘導されたgp120特異的IgGのサブクラスが決定された。IgG1型の産生はTh2型サイトカインにより誘導され、一方、IgG2a型の産生はTh1型サイトカインにより誘導されることが報告されている。IgG1(Th2)に対するIgG2a(Th1)の相対比が測定された。pCEnv免疫群は0.8のIgG1に対するIgG2aの比を持っていた。一方、原型Th1サイトカインIL−12遺伝子の共免疫感作は比を1.28に増加させ、Th2サイトカインIL−4遺伝子は比を0.68に減少させた。G−CSFの共投与は比を1.1に増加させ、Th1型応答への移行を示している。
【0156】
Tヘルパー細胞増殖応答に対するG−CSFの影響もまた試験された。Tヘルパーリンパ球はB細胞を経る体液性免疫応答およびCD8+細胞障害性T細胞を経る細胞性免疫応答の両方に決定的な役割を果たしている。IL−12遺伝子の共免疫感作は抗原特異的Th増殖応答レベルを劇的に促進した。対照的に、IL−4遺伝子の共注射はTh増殖応答に極微な影響しか及ぼさなかった。HIV−1免疫原とのG−CSF共発現は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の正の促進を生じた。
【0157】
加えて、CTL応答に対するサイトカイン共発現の影響も調べられた。対照動物からはバックグラウンドレベルの特異的溶解が観察されたが、pCEnvまたはpCGag/polで免疫した動物は小さいがしかし陽性のレベルの抗原特異的CTL応答を示した。IL−12遺伝子の共注射は抗原特異的CTL応答のレベルを劇的に促進した。対照的に、IL−4遺伝子の共免疫感作はこの応答には極微な影響しか及ぼさなかった。同様に、G−CSF共投与は抗原特異的CTL応答に何の促進効果も持っていなかった。
【0158】
サイトカインは免疫応答の間、免疫細胞の方向付けおよび標的化に鍵となる役割を果たしている、例えば、IFN−γはT細胞仲介細胞障害性免疫応答の制御に複雑に関与しており、一方、IL−4はB細胞仲介免疫応答において支配的な役割を果たしている。CTLアッセイのためにインビトロで刺激されたエフェクター細胞からの上清液を分析し、サイトカインIFN−γおよびIL−4の放出を試験した。G−CSF発現はIFN−γレベルを増加させるが(2倍)、IL−4産生には影響しないことが見いだされた。
【0159】
GM−CSFは抗体およびTヘルパー応答の強力な誘導剤である
GC−CSFは顆粒球細胞を活性化および分化させ、内皮細胞、赤血球系細胞、巨核球およびTヘルパー細胞の増殖因子として働くことができる。GM−CSFがキラーT細胞に影響を及ぼすことができるかどうかは明確ではない。G−CSF共発現と対照的に、GM−CSF共発現は抗原特異的体液性応答の誘導において著しい促進効果(すべての群で最も高い)を持っていた。IL−4共注射と同様に、GM−CSF共免疫感作は最も高いレベルのエンベロープ特異的抗体応答を生じさせた。同様な結果がpCGag/polで免疫した群で観察された。一方、pCEnv+GM−CSF共免疫感作はpCEnv単独で免疫した群と比較した場合、IgG2a/IgG1比には何の影響も及ぼさなかった。さらに、IL−12共免疫感作とともに、HIV−1免疫原(pCEnvまたはpCGag/pol)とのGM−CSF共発現は最も高いレベルの抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答を生じた。GM−CSF発現はIFN−γレベルを増加させるが(2倍)、IL−4産生には影響しないことも観察された。対照的に、GM−CSF共免疫感作は抗原特異的CTL応答にはわずかな影響しか及ぼさなかった。
【0160】
M−CSFはCTL応答の強力な誘導剤である
M−CSFはマクロファージならびにマクロファージ前駆細胞の強力な活性化剤である。M−CSFレセプターは制限された発現パターンを持っており、再びマクロファージに限られている。そういうものであるので、このAPC集団に対するM−CSF共送達の直接効果が評価できる。GM−CSFと異なり、pCEnvとのM−CSFの共発現はHIV−1エンベロープ特異的抗体応答に対して陽性の促進効果を持っていた(しかしIL−4またはGM−CSFよりは小さい)。pCEnv+M−CSFでの共投与後のIgG1に対するIgG2aの相対比が決定された。pCEnv免疫群は0.8のIgG1に対するIgG2aの比を持っていた。一方、pCEnv+M−CSFの共注射は比を1.2に増加させ、Th1型応答への強い移行を示している。さらに、HIV−1免疫原(pCEnvまたはpCGag/pol)とのM−CSF共発現は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の著しい増加を生じた。CTL活性にほとんど影響を及ぼさないpCEnv+G−CSFまたはpCEnv+GM−CSF共注射と異なり、pCEnv+M−CSF共注射後に、HIV−1エンベロープを発現しているワクシニア感染標的(vMN462)の特異的溶解における、より劇的な増加が生じた。50:1のエフェクター:標的(E:T)比でのpCEnv+M−CSF共注射後に、標的細胞のほとんど40%の特異的溶解が観察された。同様に、pCGag/pol+M−CSFで免疫したマウスでは、HIV−1gag/polを発現しているワクシニア感染標的(vVK1)の抗原特異的CTL溶解の著しい促進が生じた。pCEnv+M−CSFで免疫したマウスによるIFN−γ放出レベルは、pCEnv免疫または対照群よりも著しく高かった。一方、これらの群のIL−4レベルは類似していた。
【0161】
M−CSF共免疫感作によるCTL応答の促進はCD8T細胞制限的である
M−CSF共発現を経るCTL応答の増加がCD8+T細胞に制限されているかどうかを決定するため、balb/cマウスでMHCクラスI制限CTLの特異的エピトープであることが示されているHIV−1エンベロープペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)を用いてCTLアッセイが実施された。マウスは50μgの各々のDNA構築物で2週間あけて免疫感作し、第二の免疫感作1週間後に脾臓を採取した。CTLアッセイは前記のようにインビトロでエンベロープ特異的ペプチドを用いて刺激した後に単離脾臓細胞に対して実施された。M−CSF両方の共注射後、50:1のE:T比で40%の特異的溶解を示すCTL応答の著しい促進が観察された。補体溶解によりエフェクター細胞集団からCD8+T細胞を除去した後にCTL活性を測定することによりこの観察を確認した。CD8+T細胞の除去はM−CSFの共注射後に観察された抗原特異的CTL促進を抑制した。これらの結果は、細胞溶解活性の促進は抗原特異的、クラスI制限およびCD8+T細胞依存的であったことを示している。
【0162】
M−CSF遺伝子の共送達は刺激されたT細胞によるβ−ケモカイン産生を調節する
刺激されたT細胞からのβ−ケモカイン(MIP−1α、MIP−βおよびRANRES)発現プロフィールが試験された。これらのβ−ケモカインはマクロファージ指向性(しかしT細胞指向性ではない)ウイルスに対してCD8+T細胞により産生される主HIV抑制因子である。さらに、これらのCD8+T細胞産生ケモカインは末梢における細胞性免疫展開に決定的な役割を果たしていることが示されている。特に、我々はpCEnvによるDNA免疫感作はβ−ケモカインMIP−1α、MIP−βおよびRANRESを誘導することを観察した。さらに、造血サイトカイン遺伝子による共免疫感作は、刺激されたT細胞によるケモカインの発現を増加させることが観察された。例えば、MIP−α発現はpCEnv+G−CSFによる共免疫感作により、pCEnv単独の免疫感作により発現されるレベルよりも劇的に促進できることが観察された。加えて、MIP−β発現はpCEnv+M−CSF共免疫感作により劇的に促進されることが観察された。一方、pCEnv+M−CSF、pCEnv+G−CSFおよびpCEnv+GM−CSF共免疫感作は、刺激されたエフェクター細胞によるRANTES発現の促進を、DNAワクチンカセット単独により誘導されるレベルよりも著しく高めなかった。しかしながら、興味あることに、M−CSFは遺伝子免疫感作それ自身により誘導されるよりも低いレベルにMIP−1αを下方調節するようである。このデータはMIP−1αはCTL応答の駆動に直接的に関与しているのではなく、実際にはその誘導を妨害しているのであろう。
【0163】
考察
局所免疫環境(注入部位または筋肉中の局所リンパ節の末梢)の処置は免疫応答の程度および方向性の両方に影響されるであろう。DNAワクチンのための分子アジュバントとしてG−CSF、GM−CSFおよびM−CSF遺伝子共送達により引き出される免疫効果が試験された。
【0164】
G−CSF、GM−CSFおよびM−CSF構築物はすべてDNAワクチンの免疫プロフィールを独自に調節することが観察された。G−CSFは好中性顆粒球系列の造血細胞の増殖、分化および活性化に特異的効果が最も知られている多面発現性サイトカインである。それは主として、エンドトキシン、IL−1,TNF−αおよびINF−γを含む種々の刺激による活性化により単球およびマクロファージで産生される。それは好中性顆粒球前駆体の増殖および成熟を制御し、成熟好中球に直接的に作用して食細胞活動、ADCC、スーパーオキシド発生、細胞遊走および細胞表面接着分子の発現を促進する。G−CSFのインビトロ投与は、骨髄造血前駆細胞からの好中球コロニー形成を刺激できる。臨床的には、G−CSFは化学療法および放射線療法誘導好中球減少症の処置のために最も普通に投与される。G−CSF共免疫感作は抗体応答全体にほとんど影響を及ぼさないことが観察された。G−CSF共発現は免疫応答をTh1型への移行を調節し、それはIgG2a/IgG1比の増加およびINF−γの促進された発現により示された。総合的にいえば、G−CSFは直接的に抗原提示には影響しないが、最善の状態では抗原特異的免疫応答に中程度の効果を持っている。
【0165】
GM−CSFは種々の造血細胞の増殖、成熟および機能を刺激できる多面発現性サイトカインである。GM−CSFは最初は好中球、単球/マクロファージおよび好酸球コロニー形成を刺激するその能力で認知された。それはサイトカインまたは免疫および炎症性刺激に応答して、T細胞、B細胞、マクロファージ、肥満細胞、内皮細胞および線維芽細胞を含む種々の細胞型により産生される。GM−CSFはCD4+Th細胞の強力な誘導剤であることが観察され、それは強いTヘルパー増殖応答ならびに抗体応答の強い押し上げにより示された。一方、pCEnv+GM−CSF共免疫感作はIgG2a/IgG1比に対しては何の効果も持っていなかった。加えて、GM−CSF共投与はCD8+T細胞に対して注目に値する影響を及ぼさないようであり、そらは抗原特異的CTL応答誘導に対して影響を及ぼさないことにより示された。従って、このサイトカインによるワクチン補助は全面的にTヘルパー細胞に焦点が当てられる。これらの結果は、分子アジュバントとしてのGM−CSFcDNA構築物の使用に関する以前の研究を支持および拡張するものである。狂犬病ウイルス糖タンパク質を発現しているプラスミドおよびマウスGM−CSFをコードしているプラスミドの筋肉内共接種はBおよびTヘルパー細胞活性を促進したことが報告されている。同様に、我々はGM−CSFcDNAとDNAワクチン構築物の共免疫感作は抗原特異的抗体およびTh細胞増殖応答を増加させたことを報告した。対照的に、これらの研究ではGM−CSF遺伝子ではCTL誘導に対してはほとんど効果がなかったことが観察されている。同様な発見がインフルエンザ核タンパク質(NP)をコードしているDNA免疫原とのGM−CSのF共送達を用いて報告されている。我々はまたHSV−2gDタンパク質をコードしているDNA発現構築物とGM−CSFcDNA構築物を共送達した。生じる免疫表現型およびHSV致死的感染後の免疫化動物の死亡率および罹患率が分析された。GM−CSF遺伝子共投与は生存率を高めるだけでなく、膣内HSV感染に続くヘルペス性病変の頻度および重症度が減少することが観察された。
【0166】
M−CSFは単核食細胞の成長、分化および機能の制御因子であることが示されている。それはまた、接着分子およびFcレセプターの発現を増加させ、殺腫瘍性活性を増加させ、IL−1、TNF−αおよびIFN−βを含むサイトカインの二次放出を促進する。M−CSFは元々血清、尿および他の生物学的液体中に、骨髄造血前駆細胞からのマクロファージコロニー形成を刺激できる因子として発見された。線維芽細胞、子宮内膜の分泌上皮細胞、骨髄間質細胞、脳アストロサイト、骨芽細胞、腎メサンギウム細胞、ケラチノサイトおよびLSPまたはサイトカイン活性化マクロファージ、B細胞、T細胞および内皮細胞を含む多くの細胞がM−CSFを産生できる。試験されたCSFの中で、M−CSFは最も強力なCD8+CTLの活性化剤であった。M−CSF発現により誘導されたCTL応答の促進は、MHCクラスI制限およびCD8+T細胞両方に依存性であった。促進されたCTLの結果は、促進されたINF−γの産生および増加したIgG2a/IgG1比により支持された。GM−CSFの影響と異なり、M−CSF共発現は抗体応答には弱い影響しか及ばさなかった。GM−CSFの影響と同様に、HIV−1免疫原とのM−CSF共発現は抗原特異的Tヘルパー細胞増殖応答の増加を生じた(ただしより低い程度で)。CTL経路はこのサイトカインにより特に影響を受けるようである。
【0167】
Th1/Th2型サイトカインおよびCSF遺伝子の免疫調節効果を比較するのは興味を持たれた。例えば、GM−CSF共注射は、IL−4共免疫感作と同様に抗体応答レベルを正に調節した。一方、IL−4共免疫感作はIgG2a/IgG1比の劇的な減少に見られるように、より高いTh2型応答を導いた。さらに、Th増殖性応答に対するGM−CSF共注射の劇的な促進効果は、IL−12共投与の効果とのみ一致した。一方、M−CSF遺伝子の共送達は、CD8+T細胞制限CTL応答の著しい促進を生じたが、G−CSFまたはGM−CSFでは生じなかった。これらの結果は、免疫活性化部位でのこれらの増殖因子の産生がインビボでDNAワクチン誘導免疫応答レベルを制御できることを示している。さらに、これらの結果はこれらの増殖因子は、伝統的なTh1およびTh2型サイトカインの分野で以前に考えられていた免疫応答カスケードにおける役割よりもより活性な役割を果たすことができることを暗示している。
【0168】
細胞に基づいた応答の分析に加え、CSF遺伝子の共発現により生じるケモカイン産生の調節も試験された。ケモカインは免疫および炎症性応答の重要な調節因子である。それらは血管から宿主防御末梢部位への白血球やりとりの分子調節に特に重要である。さらに、いくつかのケモカインは末梢における免疫発現の制御に決定的な役割を果たしていることが示されている。CD8+エフェクターT細胞はケモカイン発現を上昇させる間にそれらは免疫応答を開始することが観察され、抗原特異的免疫応答の拡大段階におけるこれらの最終段階エフェクター細胞に対する制御的役割を示唆している。炎症性および免疫応答におけるそれらの機能に加え、いくつかのケモカインはAIDSの伝播および進行に重要な役割を果たしているであろう。10年の間、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120のCD40への結合はウイルス融合および進入には十分ではないと予想されており、HIV感染のための追加の細胞表面補因子の必要性が示唆されている。最近の研究からT細胞指向性およびマクロファージ指向性ウイルスとそれらの標的細胞の融合に必要とされる補レセプターは各々CXCR−4およびCCR−5であると同定された。β−ケモカインMIP−1α、MIP−1βおよびRANTESはCCR−5の天然のリガンドであり、マクロファージ指向性(しかしT細胞指向性ではない)HIV単離物のためのCD8+T細胞により産生される主HIV抑制因子の一つである。
【0169】
インビボ刺激細胞によるMIP−1α、MIP−1βおよびRANTESの発現が試験され、CSF遺伝子の共免疫感作により抗原刺激T細胞によるケモカイン発現の増大が生じることが観察された。MIP−1α産生はpCEnv+G−CSFによる共免疫感作により、pCEnv単独の免疫感作により産生されるレベルよりも劇的に促進することができることが観察された。特に、MIP−1β発現はpCEnv+M−CSF共免疫感作により劇的に促進されたことが見いだされた。対照的に、刺激されたエフェクター細胞によるRANTES発現の有意な促進は共注射法のいずれによっても生じなかった。観察された別の一つの新規効果はRANTESおよびMIP−1βの劇的な上昇、および同じ時期のMIP−1αの減少であった。実際、M−CSFにより誘導されたMIP−1αレベルは本当に対照レベルより低かった。このデータはCCR1、CCR4およびCCR5を通したMIP−1α信号伝達は、CCR3またはCCR9を通して送達される信号とは異なった信号を生じていることを示唆している。この発見から免疫応答に対するこれらの推定レセプター効果が識別されるかもしれない。
【0170】
これらの結果は増殖因子cDNA構築物の共送達は体液性および細胞性(ケモカインの産生を含んで)免疫応答の両方を調節することを示している。特に、M−CSFの共注射は抗原特異的CTL誘導およびケモカイン産生に最も大きい制御効果を持っていた。
【0171】
実施例5:ICAM−1はT細胞共刺激およびケモカイン産生を提供する
ケモカインにより密接に制御されている三つの特異的接着分子の免疫調節効果が試験された。インビボでの免疫活性化におけるICAM−1、LFA−3およびVCAM−1の役割を探査するためにDNAワクチン技術を利用した。特定的に、ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1の遺伝子を個々にサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下にある発現ベクター内へクローン化した。これらの構築物は次にHIV−1エンベロープまたはgag/pol抗原をコードしているDNA免疫原とともに共免疫感作された。抗原特異的免疫応答レベルに対するこれらの接着分子カセット共注射の免疫学的影響が分析された。
【0172】
抗原特異的T細胞応答がDNA免疫原と接着分子ICAM−1およびLFA−3の共発現により促進できた。しかしながら、ICAM−1およびLFA−3は抗原特異的体液性応答の発現には何の役割も果たしていないようである。LFA−3はCD4+T細胞応答を促進し、CD8+T細胞機能にはほとんど影響を及ぼさなかった。より重要なことは、ICAM−1共投与はCD4+およびCD8+T細胞応答の両方を劇的に増加させた。ICAM−1共発現はまた、抗原特異的β−ケモカイン産生を劇的に促進し、末梢T細胞展開におけるLFA−1の結合に対する重要な役割を示唆している。これらの分子の活性化表現型は原型CD80/CD86共刺激分子とは異なっているようである。これらの結果は、サイトカイン、ケモカインおよび接着分子の末梢ネットワークがエフェクター機能部位でエフェクターT細胞応答を整合的に制御していることを支持している。
【0173】
材料および方法DNAプラスミド
HIV−1エンベロープタンパク質(pCEnv)およびgag/polタンパク質(pCGag/Pol)を発現しているDNAワクチンはKim,J.J.,etal.Nature Biot.15,641−645(本明細書において援用される)に説明されているように製造された。ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1の遺伝子はpCDNA3発現ベクター(Invitrogen,Inc.,SanDiego,CA)内へクローン化され、きれいなプラスミドDNAはKim,J.J.,etal.(1998)Eur.J.Immunol.28,1089−1103に説明されているように製造された。
【0174】
試薬および細胞株
ヒト横紋筋肉腫(RD)およびマウス肥満細胞腫P815細胞株はATCC(Rockville,MD)から入手した。HIV−1エンベロープ(vMN462)、gag/pol(vVK1)およびβ−ガラクトシダーゼ(vSC8)を発現している組換え体ワクチンはNIHAIDS Research and Reference ReagentProgramから入手した。組換え体gp120またはp24タンパク質はImmunoDiagnostics,Inc.(Bedford,MA)から入手した。
【0175】
接着分子発現構築物の発現
ICAM−1、LFA−3、およびVCAM−1構築物の発現はそれらをRD細胞へトランスフェクトすることにより分析された。細胞はトランスフェクション72時間後に採取し、ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1のためのフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合モノクローナル抗体(Pharmingen,SanDiego,CA)で分析された。
【0176】
マウスのDNA接種
6から8週齢のメスBALB/cマウス(Harlan Sprague Dawley,Inc.,Indianapolis,IN)の大腿4頭筋にリン酸緩衝液(PBS)および0.25%ブピバカイン−HCl(Sigma,St.Louis,MO)に処方した問題とする各々のDNA構築物50μgを注射した。種々の遺伝子発現カセットの投与は、注射前に選択されたプラスミドを混合することにより行った。対照マウスは50μgのpCDNA3ベクターで免疫した。各々の研究の組は3度実施され、代表的な組の結果が示されている。マウスには2回の免疫感作(各々50mg)を2週間の間隔で行った。追加注射1週間後、マウスを殺し、脾臓を採取してリンパ球を単離し、細胞応答を試験した(ThまたはCTL(細胞障害性Tリンパ球))。
【0177】
ELISA
0.1M炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(pH9.5)で2mg/ml濃度に希釈した15μgのp24またはgp120タンパク質を4℃で一夜、マイクロタイターウェルに吸着させた。プレートはPBS−0.05%トウィーン−20で洗浄し、37℃で1時間3%BSAのPBS−0.05%トウィーン−20溶液でブロックした。マウス抗血清は0.05%トウィーン−20で希釈し、37℃で1時間インキュベートし、次にHRP−結合ヤギ抗マウスIgG(Sigma,St.Louis,MO)とインキュベートした。プレートを洗浄し、3’3’5’5’TMB(Sigma)緩衝溶液で発色させた。プレートはDynatechMR5000プレートリーダー上、450nmの光学密度が読みとられた。
【0178】
Tヘルパー細胞増殖アッセイ
リンパ球を脾臓から採取し、赤血球を除去することによりおよび新鮮な培地で数回洗浄することによりエフェクター細胞として調製された。単離された細胞懸濁液は5x106細胞/mlの濃度で再懸濁した。5x105細胞を含んでいる100μlをすぐに96ウェルマイクロタイター平底プレートの各々へ加えた。5μg/mlおよび1μg/mlの最終濃度で組換え体p24またはgp120タンパク質をウェルに3重に加えた。細胞は5%CO2中、37℃で3日間インキュベートした。各々のウェルに1mCiのトリチウム化チミジンを加え、細胞は37℃で12から18時間インキュベートした。プレートを採取し、取り込まれたトリチウム化チミジンの量をBetaPlateリーダー(Wallac,Turku,Finland)で測定した。刺激指数は式:刺激指数(SI)=(実験的カウント/自発的カウント)から決定された。自発的カウントウェルは不適切タンパク質対照として働く10%ウシ胎児血清を含んでいる。加えて、pCEnvまたは対照免疫動物は決まりきってPr55タンパク質に対して1のSIを持っている。同様に、pCGag/polまたは対照は決まりきってgp120タンパク質に対して1のSIを持っている。細胞が健康であるのを確かめるため、PHAまたはconA(Sigma)がポリクローナル刺激物質陽性対照として使用された。PHAまたはconA対照試料は20−40のSIを持っていた。
【0179】
細胞障害性Tリンパ球アッセイ
ワクシニア感染標的を使用して5時間の51Cr放出CTLアッセイが実施された。アッセイはインビトロでのエフェクター刺激で実施され、エフェクターは適切なワクシニア感染細胞(エンベロープに対してはvMN462およびgag/polに対してはvVK1)で刺激され、CTL培養培地中(5x106細胞/ml)で、0.1%グルタルアルデヒドを用いて5日間固定された。エフェクターはRPMI1640(Gibco−BRL,GrandIsland,NY)、10%ウシ胎児血清(Gibco−BRL)およびCon Aを含まない10%RAT−T−STIM(Becton Dickinson Labware,Bedford,MA)から成るCTL培養培地で2日間、非特異的に刺激された。ワクシニア感染標的は37℃で5から12時間、10−20の感染多重度(MOI)で3x106のP815細胞を感染させることにより調製された。標準クロム放出アッセイが実施され、そこで標的細胞は100mCi/mlNa251CrO2で60から120分間標識され、刺激エフェクター脾臓細胞と37℃で6時間インキュベートされた。CTL溶解は50:1から12.5:1の範囲のエフェクター:標的(E:T)比で決定された。上清を採取し、LKBCliniGammaガンマ−カウンターで計数された。パーセント特異的溶解は式:
100x実験的放出−自発的放出/最大放出−自発的放出
から決定された。最大放出は1%トリトンX−100含有培地中の標的細胞の溶解により決定された。”自発的放出”のカウントが”最大放出”の20%を超えたならば、アッセイは正当とは考えられなかった。
【0180】
CD8+T細胞の補体溶解
CD8+T細胞はα−CD8モノクローナル抗体(Pharmingen,San Diego,CA)による処理により脾臓細胞から取り出され、続いてウサギ補体(Sigma)と37℃で45分間インキュベートした。
【0181】
サイトカイン/ケモカイン発現分析
CTLアッセイのために刺激されたエフェクターからの上清が6日目に集められ、IFN−γおよびIL−4、およびMIP−1α、MIP−lβおよびRANTESのためのELISAキットを使用して発現が試験された(Biosource,Camarillo,CA;R&DSystems,Minneapolis,MN;Intergen,Purchase,NY)。
【0182】
結果
ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1はトランスフェクトされた細胞により発現できる
ICAM−1(pCICAM−1)、LFA−3(pCLFA−3)およびVCAM−l(pCVCAM−1)遺伝子は個々にpCDNA3発現ベクター(図2)内へクローン化された。ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1構築物がそれらの適切なタンパク質を発現できるかどうかを試験するため、それらをヒト横紋筋肉腫(RD)細胞株内へトランスフェクトした。FACS分析を使用し、ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1発現カセットのトランスフェクションが、各々ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1の特異的発現を生じさせたことが観察された。また、二つのDNA発現カセットの筋肉内共免疫感作により、同じ筋肉細胞内で両方のコードされたタンパク質が共発現していることもインビボで観察した。
【0183】
接着分子の共発現はAg特異的体液性免疫応答に影響しない
次に、抗原特異的免疫応答の誘導に対する接着分子共発現の影響を調べた。すべての実験において、50μgの各々のDNA発現構築物が、週0および2にBALB/cマウスの筋肉内へ注射された。調べられた第一の免疫パラメーターは抗原特異的体液性応答であった。週0、2および6に免疫マウスからの抗血清が集められ、ELISAによりHIV−1gp120タンパク質に対する特異的抗体応答が分析された。ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1の共発現はpCEnv免疫感作により誘導された特異的抗体結合プロフィールに極微の影響しか及ぼさなかったようである。同様の結果がpCGag/polで共免疫した群で観察された。
【0184】
ICAM−1またはLFA−3の共発現はAg特異的Th増殖性応答を促進する
細胞性免疫応答の程度に対する接着分子共発現の影響もまた調べられた。CD4+Tヘルパー細胞増殖性応答の誘導は、Th細胞がB細胞を経る体液性免疫応答およびCD8+T細胞を経るCTL応答の両方に決定的な役割を果たしているので重要である。pCGag/polで免疫したマウスのTh増殖性応答およびICAM−1、LFA−3およびVCAM−1で共免疫した該応答が測定された。組換え体gp120HIV−1エンベロープタンパク質(5μg/mlおよび1μg/ml)がT細胞増殖の特異的刺激のために各々のウェルに加えられた。また、無関係なタンパク質を用いてT細胞の非特異的刺激をこれらの群で分析し、非特異的抗原はインビトロでT細胞増殖性応答を誘導しないことを観察した。バックグラウンドレベルの増殖が対照ベクターで免疫した対照群で観察され、中レベルの増殖がpCEnv単独で免疫した群で観察された。対照的に、pCICAM−1またはpCLFA−3で共免疫した群は著しく高いレベルの増殖性応答を持っていた。一方、VCAM−1遺伝子で共免疫した群は抗原特異的Th応答の促進を示さなかった。同様の結果がpCGag/polで共免疫した群で観察された。どちらか一方の免疫原を使用した反復実験で、pCICAM−1またはpCLFA−3の共送達は抗原特異的増殖性応答の3から4倍の増加を生じた。
【0185】
ICAM−1またはLFA−3の共発現はAg特異的CTL応答を促進する
細胞免疫性の促進をさらに調べるため、pCEnvおよびpCGag/polで共免疫したマウスの脾臓細胞を使用してCTLアッセイを実施した。特異的および非特異的ワクシニア感染またはペプチド処理標的からのクロム放出測定に先立ってエフェクター脾臓細胞のインビトロ刺激が実施された。標的の特異的溶解を計算するため、特異的標的のパーセント溶解から無関係標的のパーセント溶解が差し引かれた。バックグラウンドレベルの特異的溶解がpCDNA3、pCICAM−1、pCLFA−3またはpCVCAM−1で免疫感作した対照動物で観察され、pCEnvで免疫感作した動物は低レベルのCTL応答を示した。一方、pCEnv+pCICAM−1による共免疫感作はCTL活性の劇的な増加を生じた。HIV−1エンベロープワクシニア(vMN462)感染標的の40%を超える特異的溶解が、50:1のエフェクター:標的(E:T)比でのpCEnv+pCICAM−1による共免疫感作後に観察された。CTL活性は12.5:1のE:T比では20%特異的溶解に減少した。対照的に、pCEnv+pCLFA−3による共免疫感作はCTL活性のより穏やかな増加を生じた。同様のCTLの結果がpCGag/pol+pCICAM−1およびpCGag/pol+pCLFA−3による共免疫感作後に観察された。
【0186】
pCICAM−1およびpCLFA−3の共発現を経るCTL応答の増加がCD8+T細胞に限定されているかどうかを決定するため、補体溶解によりエフェクター細胞集団からCD8+T細胞を除去してまたは除去しないでCTL活性を測定することによるCTLアッセイが実施された。CD8+T細胞の除去はpCICAM−1およびpCLFA−3の共注射後に観察された抗原特異的CTL促進の抑制を生じた。これらの結果は細胞溶解性活性の促進は抗原特異的およびCD8+T細胞依存的であったことを示している。
【0187】
ICAM−1またはLFA−3の共発現は刺激T細胞によるIFN−γ産生を増加させる
免疫化動物における刺激CTLによるサイトカイン産生の分析は観察されたCTLの結果を支持している。サイトカインは免疫応答発生の間、免疫細胞の方向付けおよび標的化に鍵となる役割を果たしている、例えば、IFN−γはT細胞仲介細胞障害性免疫応答の制御に複雑に関与しており、一方、IL−4はB細胞仲介免疫応答において支配的な役割を果たしている。CTLアッセイのためにインビトロで刺激されたエフェクター細胞からの上清液を分析し、サイトカインIFN−γおよびIL−4の放出を試験した。pCICAM−1の共注射はIFN−γレベルを著しく増加させることが観察された。pCLFA−3の共注射ではIFN−γ産生の増加はより穏やかなものであった。一方、すべての群から放出されたIL−4のレベルは同様であった。
【0188】
ICAM−1の共発現は刺激T細胞によるβ−ケモカイン産生を増加させる
最近、我々は感染末梢部位での特定のケモカイン産生を通してインビボでのCD8+エフェクターT細胞が抗原特異的応答を拡大させることを報告した。従って、刺激CTLによるβ−ケモカインの産生を分析した。CTLのためにインビトロで刺激されたエフェクター細胞からの上清を分析し、β−ケモカインMIP−1α、MIP−βおよびRANTESの放出が試験された。前に観察されたように、pCEnvでのDNA免疫感作は、対照ベクターよりも著しく高いMIP−1α、MIP−βおよびRANTES発現レベルを誘導した。さらに、pCEnv+pCLFA−3の共注射は、pCEnv免疫群よりもβ−ケモカイン産生レベルを増加させた。なおさらに著しいことに、pCEnv+pCICAM−1による共免疫感作ではpCEnv免疫群よりもβ−ケモカイン産生の劇的な促進が生じた。対照的に、pCICAM−1による共投与はケモカイン発現を促進しなかった。これらの結果は、ICAM−1およびLFA−3は直接的T細胞共刺激を提供するということを支持している。
【0189】
ICAM−1およびCD86の共発現はAg特異的CTL応答を相乗的に促進する
B7(CD80およびCD86)経路はT細胞応答を開始および拡大するための決定的な第二のシグナル送達のための主共刺激経路であると考えられている。これらの分子はDNAワクチン関連では調節因子として試験されてきた。この関連において、CD86分子はワクチンアジュバントとして送達された場合、CD8+細胞障害性Tリンパ球の抗原特異的誘導に突出した役割を果たしているようである。DNA免疫原とともにCD86cDNAを共投与すると抗原特異的CD8+CTL応答が劇的に増加した。ICAM−1およびLFA−3の効果はB7−CD28シグナル依存的であるかもしれないし、またはインビボでCTL誘導を駆動するための別の相乗的経路を代表しているかもしれない。従って、ICAM−1およびLFA−3分子がCD86分子と共発現された場合、CTL誘導レベルを相乗的に促進することができるかどうかをさらに探査した。ICAM−1およびCD86分子の共発現は抗原特異的CTL応答を相乗的に促進できることが観察された。一方、LFA−3およびCD86分子の共発現はCTL応答レベルを改良しなかった。これらの結果は、ICAM−1/LFA−3経路はCD86/CD28経路と独立したT細胞共刺激シグナルを提供することを示しており、インビボではそれらはT細胞応答を拡大するために相乗的に働いているのであろう。
【0190】
刺激されたCTLによるIFN−γおよびβ−ケモカインMIP−1α、MIP−βおよびRANTES産生レベルはさらにこれらの結果を支持しており、ICAM−1/LFA−1シグナルはCD86/CD28シグナルと独立して働き、T細胞応答を拡大するために調和して働くことを示している。前記の方法を用いてエフェクターT細胞からの上清を分析した場合、LFA−3およびCD86の共投与は劇的に高いレベルのIFN−γ、MIP−1α、MIP−βおよびRANTESを生じさせた。これらの結果はさらにT細胞活性化におけるICAM−1およびCD86の相乗的性質を暗示している。
【0191】
考察
免疫または炎症性反応の間、抗原がふれた部位へリンパ球が運ばれる。リンパ球および内皮細胞の接着分子が、直接の細胞接触および白血球の移動の方向付けに重要な役割を果たしている。加えて、接着分子はAPCへのTリンパ球の結合に重要な役割を果たしている。ICAM−1(CD54)は90−114kDの分子であり、内皮細胞、マクロファージおよび樹状細胞上に発現され、LFA−1およびMac−1に結合する。Tリンパ球を含むほとんどすべての白血球はLFA−1を発現するが、Mac−1発現は単球、マクロファージおよび顆粒球に制限されている。LFA−3(CD58)はAPCを含む種々の細胞型により発現される55−70kDの表面分子である(Springer,T.A.,etal.1987,Ann.Rev.Immunol.5:223−252、本明細書において援用される)。血管細胞接着分子−1(VCAM−1)は活性化内皮細胞および平滑筋細胞上に発現される110kDの表面分子である(Osbom,L.,etal.1989.Cell.59:1203−1211、本明細書において援用される)。VCAM−1は、好酸球、リンパ球、単球および好塩基球を含むほとんどの単核白血球で構成的に発現される最後期抗原−4(VLA−4)を認識し結合するが、好中球には存在しない(Elices,M.J.,etal.1990 Cell.60:577−584、本明細書において援用される)。VCAM−1/VLA−4相互作用は白血球移動および血管外遊出に重要な役割を果たしている。
【0192】
本研究においては、T細胞活性化および展開に必要とされる刺激シグナルの提供におけるこれらの細胞表面接着分子の役割を調べるためにDNA免疫原モデルが利用された。二つのシグナルT細胞活性化モデルにおいて、第一の活性化シグナルはT細胞レセプターへの抗原性ペプチド−MHC複合体の結合により仲介される。第二の共刺激シグナルはCD80/CD86共刺激分子とT細胞上に存在するそれらのレセプター(CD28/CTLA−4)との結合を通して提供される。この2シグナルモデルは概念的に簡単であり、実験結果からよく支持されているが、T細胞活性化過程間に供給される共刺激シグナルはB7(CD80/CD86)分子のみに制限されているわけではない。APC上の接着分子のような追加の細胞表面分子もまた共刺激の提供に重要な機能を持っているであろうが、CD4+およびCD8+T細胞への直接的シグナルの提供におけるそれらの役割は調査中である。
【0193】
接着分子は白血球のやりとり、炎症性細胞の補充および免疫監視に重要である。最近、T細胞活性化における接着分子の役割が示唆された。接着分子のサブセット(すべてT細胞上のリガンドに結合する)を使用してその役割が調べられた。三つの関連分子ICAM−1(CD54)、LFA−3(CD58)およびVCAM−1(CD106)が選択された。ICAM−1、LFA−3およびVCAM−1をコードしているDNA発現カセットをDNA免疫原とともに利用し、抗原に加えた接着分子の共発現の特異的効果を捜し求めた。抗原特異的T細胞(CD4+およびCD8+T細胞の両方)応答はDNA免疫原および接着分子ICAM−1およびLFA−3の共発現により促進できたことが観察された。DNA免疫原に加えたICAM−1またはLFA−3の共発現はTh細胞増殖性応答の著しい促進を生じた。加えて、pCICAM−1の共免疫感作はCD8限定CTL応答の劇的な促進を生じた(pCLFA−3ではより穏やかな)。これらの観察結果は、LFA−3の共注射で刺激されたCD8+T細胞によるIFN−γならびにβ−ケモカインMIP−1α、MIP−βおよびRANTESの産生レベルが増加したという発見によりさらに支持された。より印象的なことは、ICAM−1の共免疫感作はIFN−γおよびβ−ケモカインのより劇的な促進が生じたことである。増加した細胞接触または細胞の並置だけでは抗原特異的T細胞仲介応答を促進するには十分でないことに注目するのも重要である。ICAM−1およびVCAM−1は同じような分子量を持ってはいるが、VCAM−1の共注射はT細胞応答に測定可能な影響を与えなかった。一方、ICAM−1共発現はCD4+およびCD8+T細胞の両方のレベルを劇的に促進させた。これらの結果はT細胞刺激効果はそれらの接着特性または分子の大きさに固有のものではないことを暗示している。CTLを促進する両方のCTL駆動接着分子(ICAM−1およびLFA−3)が種々のAPCで発現されるのは興味深い。実際、最も良好なCTL促進接着分子、ICAM−1、は樹状細胞上で発現されていることは重要なことであろう。
【0194】
促進されたCTL誘導と、CD86発現で促進されたCTL誘導を比較した。CD86分子とICAM−1の発現を一緒にすると抗原特異的CTL応答を促進できた(LFS−3分子ではできなかった)ことが観察された。これらの結果は末梢で免疫活性化の重要な役割を果たしているIFN−γならびにβ−ケモカインMIP−1α、MIP−βおよびRANTESの著しく促進された産生によりさらに支持された。これらの分子の生物学的重要性の評価はさらなる研究を必要とするけれども、最近の研究でケモカインMIP−1βおよびRANTESとCTL応答間の関係が見いだされている。追加の研究がこれらの分子の共刺激的役割についてのさらなる見識を提供することができるであろうが、これらの結果はICAM−1分子はCD86とは独立した経路でT細胞共刺激シグナルを提供でき、T細胞へ提供される共刺激シグナルの全体のレベルを相乗的に増幅するように働くことを示している。全体として、これらの結果は接着分子、ICAM−1およびLFA−3は重要な共刺激シグナルを提供できることを支持しており、T細胞活性化の単純2シグナルモデルは不十分であり(しかしながら概念的には有用である)、共刺激の多供給源を持つより新しいモデルをさらに考慮および研究すべきであることを示している。これらの結果はまた、他の表面分子のT細胞共刺激機能を利用することを目的としたさらなる研究を保証している。
【0195】
これらの研究に関した一つの重要な論点はまさにこれらの分子が細胞性免疫応答を促進するように機能しているかどうかである。最近の研究で、プラスミドDNAの注射がマクロファージおよび樹状細胞を含む定住APCをトランスフェクトできることが報告されている。これらの結果はさらに、DNA免疫応答を起動させるために骨髄由来細胞の要求性を例示する骨髄キメラを使用した研究によりさらに支持される。本研究で観察されたいくつかの共刺激がトランスフェクションおよび定住する専門のAPCにより起動される増強されたT細胞を通して起こすことができることは文献と一致している。
【0196】
従来の報告とともに、これらの結果はT細胞共刺激におけるICAM−1およびLFA−3の役割を支持している。LFA−3はクラスII応答に特別な効果を持っており、一方、一般にICAM−1はβ−ケモカインの促進された産生により示されるようにCTL誘導およびCD8+エフェクター機能の劇的に強力な駆動剤であった。これらの結果もまた、末梢におけるT細胞エフェクターの補充および拡大の調和仮説を支持している。最近我々はそれらの化学誘引機能に加えて、ケモカインが末梢部位での抗原特異的免疫応答の調節および拡大を制御することを報告している。CD8+Tエフェクター細胞は免疫応答を起動する間に、ケモカイン発現レベルを制御することを我々は観察している。従って、走化性において、ケモカインは濃度勾配によりリンパ球の移動を制御している。さらに、リンパ球の末梢への方向付けにおいて、接着分子拡大の相応の再分布が直接的細胞−細胞接触を行わせる。加えて、接着分子の発現は種々の炎症性サイトカインおよびケモカインにより調節されている。例えば、IFN−γおよびTNF−αは内皮および筋肉細胞上のICAM−1発現を上方制御することが示されている。
【0197】
従って、CD8+Tエフェクター細胞はケモカインを生産し、それは炎症部位により多くのAPCおよびT細胞を補充するであろう。これらのT細胞はβ−ケモカイン産生により刺激され、IFN−γ産生を駆動しおよびT細胞共刺激を可能にするように働くことができる接着分子の発現を促進する。従って、炎症部位で、エフェクター機能のレベルを拡大するであろう特異的ケモカインおよび接着分子の発現を通してこれらのエフェクターCTLはさらに制御されるであろう。これらの結果は、抗原特異的免疫応答の拡大期における最終段階エフェクターT細胞はこれらの分子の調和した発現および放出により運命が方向付けできることをさらに支持している。
【0198】
実施例6:接着および共刺激分子は異なった抗原特異的免疫応答を誘導し、インビボでヘルペス単純ウイルス−2に対する保護的免疫性を増強する
T細胞上のCD40リガンドおよび白血球機能関連タンパク質(LFA)は各々APC上のCD40および細胞間接着分子(ICAM)と相互作用する。共刺激分子CD40およびCD40リガンド、および接着分子LFA−3およびICAM−1を共免疫感作し、gDプラスミドワクチンおよびHSV−2による致死的感染に対する保護についての免疫調節効果を分析した。全身的gD特異的IgG産生がCD40、CD40リガンドおよびICAM−1の共注射により著しく促進されたことが観察された。しかしながら、IgG産生の変化はCD40、CD40リガンドおよびICAM−1の共注射によってもほとんど観察されなかった。さらに、Th1型細胞性応答がCD40リガンドにより起こり、これに対し、Th1およびTh2型免疫応答の両方がLFA−3により起こされた。CD40リガンドおよびLFA−3の共送達はまた、致死的HSV−2感染での生存率を高めた。これらの研究は共刺激および接着分子は異なった共刺激経路を持っており、それらは保護的抗原特異的免疫性の発生に重要な役割を果たすことを示している。
【0199】
抗原特異的免疫応答の誘導における共刺激および接着分子の特異的役割、ならびにマウスHSV−2感染モデル系におけるDNAワクチン誘導保護的免疫性を駆動するためのプラスミド送達の一部として共刺激および接着分子を使用するワクチン効果が試験された。共刺激および接着分子は特異的に抗原特異的免疫応答を調節した。特に、共刺激分子(CD40リガンド)および接着分子(LFA−3)の共送達は抗原依存性様式で著しいCD4+T細胞活性を誘導し、致死的HSV−2感染での生存率を高めた。
【0200】
材料および方法
マウス
メス4−6週齢BALB/cマウスはHarlan Sprague−Dawley(Indianapolis,Ind.)から購入された。それらは米国国立保健研究所(Bethesda,Md.)およびペンシルバニア大学IACUC(Philadelphia,Pa.)のガイドラインに沿って世話された。
【0201】
試薬
HSV−2株186(P.Schaffer、ペンシルバニア大学、Philadelphia,Pa.、から親切にも寄贈された)はベロ細胞株(AmericanType Culture Collection,Rockville,Md.)中で繁殖させた。組換え体HSV−2gDタンパク質が本研究で組換え体抗原として使用された。ヒト横紋筋肉腫(RD)細胞株はATCC(Rockville,Md.)から入手した。
【0202】
プラスミドおよびDNA調製
DNAワクチン、HSV−2gDタンパク質をコードしているpAPL−gD2はPachuk,etal.1998 Current topics Microbiol.Immunol.226,79(本明細書において援用される)に記載されているように調製された。pCDNA3−CD40、pCDNA3−CD40リガンド、pCDNA3−LFAおよびpCDNA3−ICAM−1を作製するためにCD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1のcDNAの各々が発現ベクターpCDNA3内へクローン化された。プラスミドDNAは細菌中で産生され、二重バンドCsCl処方により精製された。
【0203】
CD40およびCD40リガンド遺伝子構築物のインビトロ発現
CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1構築物の発現はそれらをRD細胞内へトランスフェクトすることにより分析された。細胞はトランスフェクション72時間後に採取し、LFA−3、ICAM−1、CD40およびCD40リガンドのためのフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合モノクローナル抗体(Pharmingen,SanDiego,CA)によるFACS分析を使用して発現が試験された。
【0204】
マウスのDNA接種
BALB/cマウスの大腿4頭筋に100μlのリン酸緩衝液および0.25%ブピバカイン−HCl(Sigma,St.Louis,Mo.)に処方したgDDNA構築物を28ゲージ注射針(Becton Dickinson,Franklin Lakes,N.J.)を通して注射した。種々のケモカインおよびサイトカイン遺伝子発現カセット試料は注射前にpgDプラスミド溶液と混合させた。
【0205】
ELISA
gD特異的IgGサブクラスの相対レベルを決定するため、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)がHRPと結合された抗マウスIgG1およびIgD2a(Zyrned,SanFrancisco,CA)を使用して実施された。ELISA力価は天然マウス血清と同一の光学密度を示している最も高い血清希釈を基準にして決定された。
【0206】
ケモカイン、Th1およびTh2型サイトカイン
6x106脾臓細胞を含んでいる1mlを24ウェルプレートに加えた。次に、各々のウェルに1μgのHSV−2gDを加えた。5%CO2中、37℃で2日間インキュベートした後、細胞上清液を確保し、細胞外液体をサイトカインまたはケモカイン特異的ELISAプレートに加えることにより市販のサイトカインキット(Biosource,Intl.,Camarillo,Ca.およびR&DSystems,Minneapolis,Md.)を使用してIL−2、IL−10、IFN−γ、RANTES、MCP−lおよびMIP−1αのレベルを検出するために使用した。
【0207】
膣内HSV−2感染
ウイルスを接種する前に。膣内領域を0.1MNaOH溶液に浸した綿付き塗布具(HardwoodProducts Company,Guiford,ME)でふきとり、乾燥綿付き塗布具で清浄した。マウスは生存率を評価するため毎日検査された。
【0208】
統計分析
統計分析は対応のあるスチューデントt検定およびANOVAを用いて行われた。異なった免疫感作群間の値が比較された。p値<0.05が有意であると考えられた。
【0209】
結果
CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1はトランスフェクトされた細胞により発現できる
CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1は個々にpCDNA3発現ベクター内へクローン化された。CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1構築物がそれらの適切なタンパク質を発現することができるかどうかを試験するため、それらをインビトロでヒトRD細胞内へトランスフェクトした。FACS分析を用い、CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1発現カセットが各々CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1の特異的発現を生じていることが観察された。RD細胞はpCDNA3(対照)またはCD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1を発現しているpCDNA3でトランスフェクトされた。トランスフェクションして3日後、細胞をプレートから除き、トランスフェクトされた遺伝子産物の発現を検出するため、α−CD40、α−CD40リガンド、α−LFA−3およびα−ICAM−1抗体を用いるFACS分析により分析した。
【0210】
LFA−3は全身的IgG応答を促進する
CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1発現ベクターとgD遺伝子ワクチンの共注射がgDに対する全身的IgG応答に影響するかどうかを決定するため、DNA接種後の血清の100倍希釈液がELISAで試験された。マウスの各々の群(n=8)を共刺激分子遺伝子(40μg)を加えたgDDNAワクチン(60μg)で2回免疫した。2回目のDNA注射から2週間後にマウスから採血し、血清をgDとの反応のために1:100に希釈した。CD40またはCD40リガンドプラスミドDNA(マウス当たり40μg)を加えたgDDNAワクチン(マウス当たり60μg)の共注射は全体のIgGレベルにはほとんど影響しなかった。群当たり等しくプールした血清はELISA力価を決定するために連続的に希釈した。均等にプールされた第二の免疫感作2週間後のELISA力価もまた6,400(CD40)、6,400(CD40リガンド)および6,400(gDDNAワクチン単独)であることが決定された。これらの共刺激分子(マウス当たり40μg)を加えたgDDNAワクチン(マウス当たり10μg)で1回共注射して1ヶ月後に得られた血清を試験した場合にも同様の結果が得られた。
【0211】
マウスの各々の群(n=8)をLFA−3接着分子遺伝子(40μg)を加えたgD DNAワクチン(60μg)で0および2週目に免疫した。2週間ごとにマウスから採血し、血清をgDとの反応のために1:100に希釈した。LFA−3cDNAとの共注射はgD DNAワクチン単独よりも著しく高く全身性IgG応答を促進したが、ICAM−1cDNAとの共注射ではほとんど変化は観察されなかった。群当たり均等にプールした血清はELISA力価を決定するために連続的に希釈した。光学密度は405nmで測定された。値およびバーは平均値(n=8)および標準偏差を示している。ELISA力価は天然マウス血清と同一の光学密度を示している最も高い血清希釈を基準にして決定された。均等にプールされた第二の免疫感作2週間後のELISA力価もまた25,600(LFA−3)、6,400(ICAM−1)および6,400(gDDNAワクチン単独)であると決定された。
【0212】
CD40リガンドおよびLFA−3はIgGアイソタイプパターンに影響する
IgGサブクラスは誘導された免疫応答のTh1対Th2特性の指標を与える。CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1での共注射により誘導されたIgGサブクラスを分析した。DNAベクターで免疫されたマウスにおけるgD特異的IgGアイソタイプレベルが測定された。マウスの各々の群(n=8)を共刺激分子遺伝子(40μg)かまたは接着分子遺伝子(40μg)を加えたgDDNAワクチン(60μg)で2回免疫した。2回目のDNA注射から2週間後にマウスから採血し、群当たり均等にプールした血清をgDとの反応のために1:100に希釈した。光学密度は405nmで測定された。CD40リガンド遺伝子での共注射はIgG1に対するgD特異的IgG2aの相対的産生を増加させたが、CD40遺伝子での共注射はgDDNAワクチン単独と類似のIgGアイソタイプパターンを示した。IgG産生におけるこの移行は、より高いTh1型応答はCD40リガンドDNAでの共注射でのみ誘導されることを示している。しかしながら、LFA−3の共注射は、gDDNAワクチン単独またはICAM−1共注射よりもIgG1およびIgG2aアイソタイプ両方を著しく高く増加させた。この増加はLFA−3cDNAでの共注射によりTh1およびTh2型応答の両方が誘導されたことを示している。
【0213】
CD40リガンドおよびLFA−3はTh細胞増殖応答を促進する
Tヘルパー細胞はAg刺激B細胞の増殖およびCD8+T細胞の増殖を経る各々体液性および細胞性免疫応答の惹起に重要な役割を果たしている。CD4活性化の特異的指標としてT細胞増殖が試験された。インビトロにおいて特異的抗原で刺激された場合、サイトカイン遺伝子による共免疫感作後に得られるT細胞の増殖レベルを測定することが重要である。gD−2タンパク質(1および5μg/ml)がT細胞の抗原特異的刺激に使用された。陽性対照として、5μg/mlPHAがポリクローナル刺激剤として使用された。陰性対照では低いバックグラウンドレベルのTh細胞増殖が観察された。しかしながら、gDDNAワクチン接種は陰性対照よりも高いTh細胞増殖応答を誘導した。CD40リガンドおよびLFA−3cDNAで共注射した場合、Th細胞増殖レベルはさらに後押しされた。しかしながら、CD40およびICAM−1が共注射された動物ではTh細胞応答の増加はほとんど検出されなかった。この傾向は試験された二つの異なった抗原濃度で観察され、この効果はCD40リガンドおよびLFA−3仲介であることを反映している。gDプラスミドワクチン接種は、Balb/cマウスにおけるCTLエピトープの欠損のためCTL応答を生じなかった。しかしながら、細胞性効果をより詳細に評価するため、サイトカイン産生プロフィールを次に試験した。
【0214】
CD40リガンドおよびLFA−3はTh1およびTh2型サイトカインの産生に影響する
Th1サイトカイン(IL−2およびIFN−γ)およびTh2サイトカイン(IL−4、IL−5およびIL−10)は免疫応答偏向についての我々の理解における主な支えであってきた。Th1免疫応答は細胞免疫性の誘導を駆動すると考えられ、一方、Th2免疫応答は優先的に体液性免疫を駆動する。従って、共刺激分子とのまたはそれなしでのgDDNAワクチン接種がTh1またはTh2免疫応答を誘導するかどうかを試験した。共刺激分子または接着分子で共免疫されたマウスの脾臓細胞からのIL−2、IL−10、IFN−γ、RANTES、MIP−1αおよびMCP−1の産生レベルが測定された。マウスの各々の群(n=2)を共刺激分子遺伝子かまたは接着分子遺伝子(40μg)を加えたgDDNAワクチン(60μg)で0および2週目に免疫した。最後にDNA注射して2週間後、2匹のマウスを殺し、脾臓細胞をプールした。脾臓細胞は1μg/mlのgD−2タンパク質で2日間刺激した。IL−2およびIFN−γ産生はCD40リガンドcDNAの共注射により著しく促進されたが、IL−10産生はこの共注射で減少した。しかしながら、CD40にgD遺伝子を加えたものの共注射はこのアッセイにおいてIFN−γをわずかに増加させた。しかしながら、IL−2、IL−10およびIFN−γ産生がLFA−3cDNAの共注射により、gD DNAワクチンよりも著しく高くすべて促進されたが、ICAM−1にgD遺伝子を加えた共注射はこのアッセイにおいてわずかな増強効果しか持っていなかった。このことはCD40リガンドはTh1表現型に対して免疫応答を駆動するが、LFA−3はインビボにおいてTh1およびTh2の両方に影響することを支持している。
【0215】
CD40リガンドおよびLFA−3はβ−ケモカインの産生に影響する
RANTES(活性化が制御されている、正常T細胞から発現および分泌値される)、MIPマクロファージ炎症性タンパク質)−1αおよびMCP(単球走化性タンパク質)−1を含むベータケモカイン(CC型)は特に単球性食細胞を化学誘引し、T細胞、好塩基球、好酸球および単核食細胞ならびに他の可溶性免疫調節物質を活性化する。MCP−1と比較して、RANTESおよびMIP−1αはまた主HIV抑制因子であると報告されている。これらの分子は炎症性免疫応答の調節に重要であると考えられている。しかしながら、感染性疾患におけるそれらの直接的役割は研究中である。インビボにおけるケモカイン産生に対して、CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1分子のワクチンアジュバントとしての関係は知られていない。CD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1cDNAを加えたgD DNAワクチンの共注射により誘導されるケモカイン(RANTES、MCP−1およびMIP−1α)のレベルが調べられた。gDDNAワクチン単独でRANTES、MCP−1およびMIP−1αの産生を抗原特異的様式で促進した。さらに、CD40リガンドcDNAの共注射はRANTESおよびMIP−1α産生をgD DNAワクチン単独よりも著しく高く促進した。対照的に、CD40分子の共注射はβ−ケモカイン産生に対してわずかな増強効果しか示さなかった。LFA−3cDNAの共注射はRANTESおよびMIP−1α産生をgD DNAワクチン単独よりも著しく高く促進したデータが得られた。同様に、RANTESおよびMIP−1αの産生はICAM−1共注射により促進された。対照的に、MCP−1産生はICAM−1共注射により阻害された。この調節は共刺激および接着分子はβケモカインファミリーの個々の構成物の産生に特異的効果を持つことができることを支持している。
【0216】
CD40リガンドおよびLFA−3は膣内(i.vag.)HSV感染の保護を促進する
HSV−2(186)の致死量(LD50)は以前に測定されている。gD DNAワクチンに分子アジュバントとしてCD40、CD40リガンド、LFA−3およびICAM−1 cDNAを使用するとHSV−2感染の保護に影響できるかどうかを決定するため、マウスをDNAワクチンおよび個々の共刺激および接着分子cDNAの両方で免疫し、続いて4LD50のHSV−2でi.vag.感染させた。膣内感染経路は、HSV−2が粘膜を通して感染し、泌尿性器感染を起こすので選択された。共刺激および接着分子遺伝子を加えたgDDNAワクチンを2倍量にして免疫したマウスの生存率が測定された。マウスの各々の群(n=10)を共刺激または接着分子遺伝子(40μg)を加えたgDDNAワクチン(10μg)で1回免疫した。DNA免疫感作4週間後、マウスを4LD50のHSV−2株186(1.4x104pfu)でi.vag.感染させた。マウスをgD DNAワクチンで免疫した場合、60%の生存が記録されたが、すべての天然のマウスはウイルス感染後13日以内に死亡した。CD40リガンドの共注射は生存率を100%に上げたが(保護率の40%の上昇)、CD40cDNAの共注射はgDDNAワクチン単独と比較して極微の保護効果しか示さなかった。さらに、LFA−3cDNAの共注射は生存率を90%に上げた。しかしながら、ICAM−1cDNAの共注射はHSV−2感染にわずかに良好な効果を示しただけであった。
【0217】
考察
抗原提示の間、APCの共刺激分子はT細胞応答の開始および分化に重要である。特に、CD40L−CD40相互作用はAPCからのB7およびIL−12発現を誘導する。IL−12はまたT細胞からのCD40リガンド発現を促進させるが、一方、IFN−γはCD40リガンド発現を阻害し、それらはT細胞上のCD40リガンド誘導の自己制御機構であるらしいことを示している。さらに、サイトカインIL−2およびIL−4もまた抗CD3刺激T細胞上のCD40リガンド発現を促進し、インビボでの免疫応答の仲介における共刺激分子およびサイトカイン間の協調制御が存在することを示している。さらに、CD40−CD40リガンド相互作用はTh細胞依存性抗体応答、前炎症性サイトカイン産生を増加させ、マクロファージの殺腫瘍性および殺微生物活性に必要とされる。特に、CD40リガンドは休止T細胞では発現されないが、CD3−TCRが引き金を引く過程により誘導される。CD40(45−50kD糖タンパク質)はTNFレセプタースーパーファミリーの構成物であり、B細胞、単球および樹状細胞上に発現される。しかしながら、そのリガンド、CD40リガンド(gp39)はTNF−αと配列相同性を持つタイプII膜内外タンパク質であり、活性化T細胞上に過渡的に発現される。接着分子の相互作用、T細胞上のLFA−3とAPC上のICAM−1、はICAM−1に高い親和性および結合活性を持つLFA−3のコンホメーション変化により高度に制御されている。CD3モノクローナル抗体またはクラスIIと抗原に関係したLFA−3の共刺激はT細胞増殖およびT細胞からの種々のサイトカインのより高い産生を生じることが知られている。さらに、LFA−3とICAM−1の相互作用はシグナル経路の引き金を引く。共刺激性CD40/CD40リガンド分子と比較して、これらの接着分子および抗CD3または抗TCR抗体の表面上での共局在化がT細胞への適切なシグナリングに必要とされる。
【0218】
DNAワクチンと一緒のAPC刺激または誘引分子の共注射は、免疫性の両方向のより有効な誘導を生じる。筋肉内(i.m.)注射では、DNAは筋繊維内へ取り込まれ、続いての内因性発現で免疫系へ天然形抗原の提示を導く。分泌された抗原は食作用により摂取され、次にペプチド−MHCII複合体としてマクロファージにより提示され、それは一次活性化シグナル、天然のT細胞の刺激に必要な共刺激性リガンドおよびサイトカインを提供できる。最近の実験的証拠もまた、DNAのi.m.または皮膚送達に続くインビボでのAPC直接的トランスフェクションを支持している。DNAワクチンとB7.1およびB7.2のような共刺激分子の共注射は、Th細胞増殖性応答および細胞障害性T細胞活性のような抗原特異的細胞性免疫応答を劇的に促進した。同様に、GM−CSF遺伝子の共注射はウイルスDNAワクチンモデルにおいて抗体および細胞性免疫応答の両方を促進する。pLacZにCD40リガンドcDNAを加えた共注射は体液性および細胞性免疫応答の両方を、特にCTLを抗原依存性様式で促進する。しかしながら、共刺激および接着分子の共送達によるHSV感染研究は存在しない。HSV−2に対する抗原特異的免疫応答および保護的免疫性の誘導におけるこれら二つの異なった経路を比較することも興味が持たれる。
【0219】
CD40およびCD40リガンド遺伝子によるワクチン修飾によってはgD特異的抗体産生の有意な増加は観察されなかった。しかしながらこのことは、DNAベクター(β−ガラクトシダーゼ)で送達された場合、CD40リガンドの共注射が抗原に対する抗体産生を促進するという以前の発見と一致していない。この矛盾は試験された抗原の性質によるものであろう。しかしながら、CD40リガンド共注射により同様のIgGアイソタイプ産生パターンが誘導されたという類似の発見も存在する。我々の研究において、CD40リガンド共注射は、Th1型免疫応答により仲介されると信じられているIgG1アイソタイプと比較して、IgG2a産生の著しい増加を誘導した。このことは、CD40リガンドの発現を駆動するプラスミドベクターを共注射することによりTh1型へのgD特異的免疫応答の偏向が達成されることを暗示している。対照的に、gDDNAワクチン単独またはICAM−1共注射と比較して、LFA−3の共注射によりgD特異的IgG産生の著しい増加が観察された。このことは、LFA−3はインビボで抗体応答を促進できることを示している。また、LFA−3共注射はIgG1およびIgG2aアイソタイプの増加した産生により示されるTh1およびTh2両方の産生を促進し、LFA−3はインビボでTh1およびTh2両方の免疫応答を駆動できることを暗示している。
【0220】
増加したTh細胞増殖はCD40リガンドをコードしているプラスミドDNAの共注射により達成された。このことは再び、CD40リガンド分子は抗原特異的Th細胞増殖およびIFN−γ産生ならびにCTL応答を増加させるという他のモデルにおける以前の発見と一致している。このパターンは、CD40リガンドcDNAの共注射はIL−2およびIFN−γ分泌を促進させるが、IL−10産生を阻害することが観察されたサイトカイン産生レベルと一致している。従って、gDDNAワクチン接種におけるCD40リガンドcDNAの使用は、Th1型へ免疫応答を偏向させ、細胞仲介免疫性を増加させることに有効である。しかしながら、LFA−3の共注射はIL−2、IL−10およびIFN−γの産生を促進し、ICAM−1の共注射はサイトカイン産生をわずかに促進する。このことは、LFA−3はTh1およびTh2表現型の両方へ免疫応答を駆動するIgGアイソタイプパターンを支持している。
【0221】
ケモカインは免疫および炎症性応答においてサイトカインをしのばせる様式で重要な役割を果たしていると最近報告されている。HSV感染により仲介される眼性炎症疾患がTh2型サイトカインタンパク質(IL−10)の局所投与により抑制された。この適用はケモカイン産生の抑制を生じた。この疾患(眼の炎症)はまた抗MIP−1αの注射(しかしMCP−1ではない)でも改善され、MIP−1αがTh1型ケモカインとして区別されることを再び示している。しかしながら、感染性状態に対するケモカインの役割は研究中である。本研究において、RANTESおよびMIP−1αの産生がCD40リガンドの共送達によりCD40より高く促進され、CD40リガンド分子はT細胞からのβケモカイン産生の制御に重要な役割を果たしていることを示唆している。LFA−3およびICAM−1の両方がMIP−1αおよびRANTESの産生を促進した。対照的に、MCP−1産生はLFA−3には影響を受けず、またはICAM−1では阻害され、接着分子はまたインビボでβケモカイン産生を制御できることを示している。
【0222】
体液性、細胞性または両方がHSV感染に対する保護的免疫性に関与できることが報告されている。HSV特異的モノクローナル抗体による受動免疫法は致死的HSV感染からの保護を行った。ウイルス感染の間、中和抗体は遊走性ウイルス粒子を不活性化できるが、細胞内HSV感染を阻害することはできない。抗体依存性補体仲介および抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC)はHSV感染を制御するには不十分なようである。従って、HSV特異的細胞仲介免疫性がHSV感染細胞を撲滅するおよびHSV感染を制御するための主たるエフェクター機能を果たすであろうことが示唆されている。HSV感染の制御に対するCD4+および/またはCD8+T細胞により仲介される細胞性免疫応答の重要性がよく記述されている。
【0223】
CD40リガンド分子の共注射はHSV−2感染により生じる死亡からの著しく増強された保護を誘導することが観察された。このことは、保護的免疫性とTh1型細胞性免疫性の間の正の相関があることを示唆しており、それはCD40リガンド分子と共注射された場合の増加したTh細胞増殖性応答およびIFN−γ産生により支持される。我々の観察は、CD40リガンド共注射がリーシュマニアメジャーまたは抗原を発現している転移性腫瘍からの攻撃に対する保護的免疫性を増強するという以前の発見と一致している。LFA−3はHSV−2感染により生じる死亡からの著しく増強された保護を誘導することが観察された。細胞性および/または体液性免疫性のLFA−3増強はこの系におけるHSV−2由来死亡率を減少することに関係しているように思われる。CD40リガンドまたはLFA−3誘導IFN−γがインビボで抗HSV−2活性に部分的に関与することも可能である。従って、CD40リガンドおよびLFA−3駆動細胞性または体液性仲介免疫性はHSV感染の保護と関係しているようである。
【0224】
最後に、本明細書に示されたデータは共刺激および接着分子は抗原特異的免疫応答の誘導において異なった共刺激性経路を持っていることを示唆している。特に、CD40リガンドは免疫応答をTh1型へ向け、それに対し、LFA−3はTh1およびTh2免疫型の両方を援助する。そのような活性は従来サイトカインのみに付随していたものである。これらのデータは共刺激分子は抗原特異的免疫性の誘導におけるサイトカインのような中心的な役割を持っていることを示している。また、CD40リガンドおよびLFA−3はgDDNAワクチン接種において致死的HSV−2感染に対する増強された保護を仲介する。この発見は感染性疾患のための我々の武器を豊富にしている。
【0225】
実施例7
免疫表現型およびHSV−2による致死的感染に対する保護についてのケモカイン(IL−8、IP−10、RANTES、MCP−1およびMIP−1α)の調節効果が分析された。IL−8およびRANTES共注射は抗原特異的免疫応答および致死的HSV−2感染からの保護を劇的に促進した。しかしながら、IL−8およびIP−10による共注射は感染マウスの死亡率を増加させた。これらの研究は、保護的抗原特異的免疫性の発生に重要な役割を果たしているサイトカインをより思い出させる様式で、ケモカインが免疫応答を支配および駆動できることを示している。
【0226】
免疫および炎症性反応の開始は共刺激分子、細胞性接着分子、サイトカインおよびケモカインの厳しく調整された発現を含んだ複雑な過程である。特に、ケモカインは血管から宿主防御の末端部位への白血球やりとりの分子的制御に重要である。ケモカインのスーパーファミリーは二つのシステイン残基を分離している一つのアミノ酸配列の存在(αファミリー)または不在(βファミリー)に基づく二つのサブファミリーから成っている。αおよびβケモカインは好中球、好酸球、好塩基球および単球を含む種々の免疫細胞型の直接的遊走を誘導することが示されている。最近、ケモカインファミリー(CXC型)、インターロイキン(IL−8)およびインターフェロン−γ−誘導可能タンパク質(IP−10)、およびβケモカインファミリー(CC型)、RANTES(活性化が制御されている、正常T細胞発現および分泌)、単球走化性タンパク質(MCP−1)およびマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1α)がTリンパ球を化学誘引することが示されている。特に、IL−8およびIP−10は好中球を化学誘引し、血流からそれらの放出を誘導して周囲の組織へ移行させることが知られている。同様に、RANTESは単球(CD4+/CD45RO+記憶T細胞)を化学誘引し、CD4+およびCD8+T細胞を刺激する。MIP−1αは好酸球を化学誘引および脱顆粒することが知られている。MIP−1αはまた、好塩基球および肥満細胞からのヒスタミン放出を誘導し、好塩基球およびB細胞を化学誘引する。MCP−1は慢性炎症性疾患で重要なケモカインである。MCP−1は単球が血流から移行して組織マクロファージになるのを誘導する。MCP−1はまた活性化記憶サブセットのTリンパ球を化学誘引する。最近の研究は、ケモカインレセプターはT細胞サブセットに印を付けることおよびケモカインは抗原特異的免疫応答の発生に関与していることを支持している。
【0227】
免疫応答の調節および保護的免疫性を調べるため、HSV−2gDタンパク質をコードしているDNA発現構築物とケモカイン(IL−8、IP−10、RANTES、MCP−1、MIP−1α)をコードしているプラスミドを共送達した。次に、それらの抗原特異的免疫誘導および感染に対する保護における調整効果を分析した。第一に、抗原特異的抗体応答の誘導に対する選択されたケモカインのインビボでの効果が調べられた。対照として、gDワクチンおよび二つの前炎症性サイトカイン、TNFファミリー遺伝子(TNF−αおよびTNF−β)で動物を免疫した。これらの前炎症性サイトカインは、初期免疫応答に同様に関与し、陽性対照として働くに違いないと考えられたので研究された。DNAベクターで免疫したマウス(Balb/c)における全身性gD特異的IgGレベルを測定するためにELISAが使用された。マウスの各々の群(n=10)を0および2週目にケモカイン遺伝子(マウス当たり40μg)またはTNF遺伝子(マウス当たり40μg)を加えたgDDNAワクチン(マウス当たり60μg)で免疫した。gD抗原およびケモカインを発現するDNA構築物は以前にクローン化されている(Pachuk,etal.1998 Current topics Microbiol.Immunol.226,79;Kim,et al.1998 J.Clin.Invest.102,1112;およびKim,etal.1998 Eur.J.Immunol.28,1089)。2回目の免疫感作2週間後にマウスから採血し、群当たり均等にプールした血清をgDとの反応のために連続的に希釈した。ELISA力価は天然のマウスの血清と同一の光学密度を示している最も希釈した血清を基準にして決定された。吸光度(O.D.)は405nmで測定された。2回目の免疫感作2週間後に集められた均等にプールした血清のELISA力価はIL−8に対しては12.000、IP−10に対しては6,400、RANTESに対しては6,400、MCP−1に対しては6,400、MIP−1αに対しては12.000、TNF−αに対しては25,600、TNF−βに対しては6,400およびgDDNAワクチン単独に対しては6,400であると決定された。このことはIL−8およびMIP−1α遺伝子の共注射で中程度の、しかし著しくはないgD特異的IgG抗体促進を示している。対照的に、IP−10、RANTESまたはMCP−1はpgDワクチン接種単独と同じレベルの抗体応答を示した。TNF−αcDNA対照は、gDDNAワクチン単独のレベルよりも著しく高い全身性IgGレベルを生じた。
【0228】
IgG1アイソタイプの誘導はTh2型サイトカインにより誘導され、一方、IgG2aアイソタイプ産生はインビボでTh1型サイトカインにより影響および駆動されることが報告されている。このことは、免疫応答がTh1またはTh2サイトカインのどちらの制御下にあるのかを決定するための指標として使用されてきた。共注射により誘導されたIgGサブクラスが分析された。各々の免疫感作群により誘導されたIgGアイソタイプが測定された。マウスの各々の群(n=10)を0および2週目にケモカイン遺伝子(マウス当たり40μg)またはTNF遺伝子(マウス当たり40μg)を加えたgDDNAワクチン(マウス当たり60μg)で免疫した。最後の免疫感作2週間後にマウスから採血し、血清をgDとの反応のために1:100に希釈した。gD特異的IgGサブクラスの相対レベルを決定するため、抗マウスIgG−HRPをHRPと結合された抗マウスIgG1、IgG2a、IgG2bまたはIgG3(Zymed,SanFrancisco,CA)に置換した。吸光度(O.D.)は405nmで測定された。相対光学密度は、各々のIgGサブクラスの光学密度/全体の光学密度で計算された。ラインは各々のマウスIgGサブクラスの光学密度の平均(n=10)を示している。IgG1に対するIgG2a(Th2に対するTh1)の相対比が測定された。pgD免疫群は0.62のIgG1に対するIgG2a比を持っていた。IL−8、RANTESまたはTNF−α遺伝子での共注射はIgG1に対するgD特異的IgG2aの相対比を0.8に増加させた。一方、IP−10およびMIP−1αによる共注射はIgG1に対するIgG2aの相対比を減少させ(0.3および0.4)、MCP−1またはTNF−β遺伝子はpgDワクチン接種単独と同じIgGサブタイプパターンを生じた。この分析はIL−8およびRANTESがインビボでγ−IFN型サイトカインと同様の様式でTh1表現型の方へ免疫応答を動かすことを支持している。それ故、これらの結果は、Th1またはTh2への体液性免疫応答の移行はケモカインにより調節できるというHIVモデルの以前の発見に拡張され、ケモカインがインビボでサイトカイン産生を調節できるということを再び示唆している。
【0229】
細胞増殖は、細胞仲介免疫性の能力を評価するために使用される標準パラメーターである。ケモカイン遺伝子での共免疫感作に続くTh細胞増殖性応答が、免疫動物からの脾臓細胞をインビトロでgDタンパク質により刺激することにより測定された。α−ケモカインcDNA、β−ケモカインcDNAおよびTNF対照で共免役したマウス(Balb/c)におけるインビトロgD刺激後の脾臓細胞のTh細胞増殖レベル。マウスの各々の群(n=2)を0および2週目にケモカイン遺伝子(マウス当たり40μg)またはTNF遺伝子(マウス当たり40μg)を加えたgDDNAワクチン(マウス当たり60μg)で免疫した。最後のDNA注射2週間後に2匹のマウスを殺し、脾臓細胞を増殖アッセイにためにプールした。脾臓細胞はml当たり1および5μgのgD−2タンパク質、および陽性対照としてml当たり5μgのPHAで刺激された。刺激して3日後、細胞を採取し、cpmが計数された。試料は3重にアッセイされた。PHA対照試料は40−50の刺激指数を示した。pgDDNAワクチン接種単独でgD特異的Th細胞増殖性応答を生じた。IL−8、RANTESおよびTNF−αcDNAの共注射によりgDDNAワクチン単独よりも著しく促進されたTh細胞増殖性応答も観察された。TNF−β遺伝子の共注射では増殖のわずかな促進が観察された。対照的に、IP−10、MCP−1およびMIP−1α遺伝子の共免疫感作はTh細胞増殖性応答レベルにほとんど影響を及ぼさないようである。しかしながら、共注射はPHA誘導非特異的Th細胞増殖性応答には何の影響も与えなかった(S.I.範囲は40から50であった)。gDプラスミドワクチン接種はBalb/cマウスにCTLエピトープが存在しないためCTL応答を生じなかった。しかしながら、細胞性効果をより詳細に評価するため、サイトカイン産生プロフィールを次に試験した。
【0230】
Th1サイトカイン(IL−2およびIFN−γ)およびTh2サイトカイン(IL−4、IL−5およびIL−10)は免疫応答偏向についての我々の理解における主な支えであってきた。Th1免疫応答は細胞免疫性の誘導を駆動すると考えられ、一方、Th2免疫応答は優先的に体液性免疫を駆動する。IgG表現型の結果に基づいて、直接的サイトカイン放出を分析することによりTh1対Th2問題をさらに評価した。表4に示したように、IL−8cDNAの共注射によりIL−2産生がほとんど7倍に劇的に増加した。IL−2はまたTNF−αcDNAの共注射およびMIP−1αカセットの共注射によっても誘導された。特に、IFN−γ産生はRANTES(20倍)およびIL−8(6倍)の共送達により最も著しく促進され、さらにアイソタイプ分類結果を支持し、およびIL−8およびRANTESがTh型細胞性免疫応答を抗原依存性様式で仲介していることを示している。RANTES、IL−8、TNF−αおよびTNF−β共注射もまたIL−10産生をpgDワクチン単独よりも著しく高く促進した。このことはIL−8およびRANTESはTh2型よりも主としてTh1型で動かしていることを示している。
【0231】
ケモカイン共注射がβケモカイン産生を抗原依存性様式で誘導できるかどうかを決定するため、共免疫し、および次に組換え体gD抗原または対照抗原でインビトロ刺激後の脾臓細胞のβケモカイン放出レベルを分析した。表5に示されているように、MCP−1産生はIL−8cDNAの共注射では劇的に増加したが、RANTESおよびMIP−1αカセットの共注射では減少した。特に、MIP−1αの産生はRANTESおよびIL−8の共送達により最も著しく促進された。RANTESの場合、IL−8およびRANTES共注射はRANTES産生をpgDワクチン単独よりも高く促進した。このことは、RANTESはHSVモデルにおけるIL−8とは異なるように抗原特異的免疫応答を調節することを示している。このことはケモカイン分子がそれら自身の産生を調節することも支持している。
【0232】
HSVは口唇ヘルペス、眼性感染、脳炎および生殖器感染のようなヒト疾患スペクトルの原因因子である。HSVはウイルス潜伏を確立でき、宿主でしばしば再発する。ウイルス感染の間、中和抗体はウイルス粒子を不活性化できるが、細胞内HSV感染を制御することはできない。むしろ、細胞仲介免疫性がインビボでHSV感染細胞の撲滅およびHSV拡大の主たるエフェクター機能を果たしている。HSVに対して高められた細胞障害性Tリンパ球(CTL)の適応輸送は動物における致死的HSV感染からの完全な保護を生じる。さらに、Th1型CD4+T細胞がHSV−2感染の保護により決定的な役割を果たしているといういくつかの報告がある。CD4+T細胞がインビボで枯渇した場合、HSVに対する保護的免疫性が喪失した。さらに、Th1型CD4+T細胞は大量のIFN−γを発生する。IFN−γはHSV感染細胞上のクラスIおよびII発現を上方制御し、細胞障害性CD4+T細胞およびCD8+CTLによるより良好な認識を可能にするので、直接的抗HSV効果を持っている。Th1型サイトカインcDNAの共送達は致死的HSV感染からの生存を促進したが、Th2型サイトカインcDNAの共送達は疾患状態を悪化させた。同様に、原型Th1型サイトカインIL−12cDNAの共送達により促進された保護はHSV感染モデルのTh1型CD4+T細胞により仲介され、HSV感染に対するTh1型T細胞仲介保護的免疫性の重要性を強調している。
【0233】
抗原特異的免疫調節が病原体複製に影響することが重要である。α−ケモカインcDNA、β−ケモカインcDNAおよびTNF対照を加えたgDDNAワクチンで免疫したマウス(Balb/c)の生存率が測定された。マウスの各々の群(n=8)を0および2週目にケモカイン遺伝子(マウス当たり40μg)またはTNF遺伝子(マウス当たり40μg)を加えたgDDNAワクチン(マウス当たり60μg)で免疫した。第二の免疫感作して3週間後、マウスを200LD50のHSV−2株186(7x105pfu)でi.vag.感染させた。ウイルスを接種する前に。膣内領域を0.1MNaOH溶液に浸した綿付き塗布具(HardwoodProducts Company,Guiford,ME)でふきとり、乾燥綿付き塗布具で清浄した。マウスは生存率を評価するため毎日検査された。生き残っているマウスはウイルス感染に続く61日にわたって計数した。これは一度繰り返され、期待された結果が得られた。マウスヘルペス感染モデルにおけるケモカイン共注射の保護的有効性を分析した。マウスはi.m.で0および2週目にDNAベクターで共免疫され、続いて第二の免疫感作3週間後にHSV−2を感染させた。HSV−2が粘膜を経て感染するので膣内感染経路が選択された。gDDNAワクチン単独では、200LD50のHSV−2膣内感染で63%のマウスの生存が得られた。IL−8およびRANTES cDNAの共注射は生存率を88%に上げ、保護率をほとんど30%上昇させたが、MCP−1およびIP−10の共投与は生存率を25%に減少させ、gDワクチン単独から全体の生存を50%以上減少させた。同様に、MIP−1α共投与もワクチン接種動物の生存率に負に影響した。これらの観察結果は、各々のケモカイン群で試験された動物の総数を考えると印象的である(gD単独の生存率、18匹中の11匹、61%;IL−8の生存率、18匹中の17匹、94%;IP−10の生存率、18匹中の5匹、28%;RANTESの生存率、18匹中の17匹、94%;MCP−1の生存率、18匹中の6匹、33%;MIP−1αの生存率、18匹中の8匹、44%)。このことは、IL−8およびRANTESケモカイン遺伝子の共注射は致死的HSV感染からの保護を促進するが、それに対し、IP−10およびMCP−1の共注射は動物に免疫応答を誘導する代わりにウイルス感染に対してより感受性を高くした(MIP−1αはより少ない程度で)。これはケモカインIL−8およびRANTESが抗原特異的免疫調節を通してHSV−2感染からの保護を促進したことを支持している。これらの研究は、ケモカインが重要な免疫応答および疾患進行をサイトカインを思わせる様式(Th1対Th2)で働くおよび調節できることを支持している。有意な免疫調節が共送達されたケモカインcDNAの使用を通して達成でき、免疫応答だけでなく疾患保護にも影響を与えている。さらに、ケモカイン遺伝子送達アジュバントの使用(特に、IL−8およびRANTES)は、より有効なワクチン技術またはHSVのための免疫治療に重要にちがいない。我々は以前に、Th1型サイトカイン遺伝子の共注射は致死的HSV感染からの保護率を増加させるが、それに対し、Th2型サイトカイン共注射はウイルス感染に対する動物の感受性を増加させることを報告している。病因論研究において、病原感染抵抗性に対するTh1様サイトカイン応答の重要性が報告されている。それ故、Th1および/またはTh2型免疫応答はこれらのケモカインにより駆動されており、免疫応答の質に基づいてHSV感染性攻撃からの保護に影響を生じているようである。
【0234】
ヘルペス感染モデルにおけるTNFファミリー共注射の保護的効能を比較した。TNF−αおよびTNF−β遺伝子両方の共注射もまた感染マウスの生存率を25%に低下させた(gDワクチン単独より全体で50%以上の低下)。TNF−αを共注射したマウスのgD特異的抗体およびTh細胞増殖レベルならびにサイトカイン産生レベル(IL−2、IFN−γ、IL−10)はgDDNAワクチン接種単独よりも高かったが、HSV−2感染に対するTNFサイトカイン仲介感受性がこれらの動物で観察された。この観察結果の理由は不明瞭であるが、応答の質が病原体感染の制御に特に重要であることを支持している。
【0235】
最後に、本明細書に示されたデータはケモカインが抗原依存性様式でTh1および/またはTh2型への免疫応答を調節することができることを示している。そのような活性は従来はサイトカインに付随するものとして存在し、ケモカインは抗原特異的免疫性の誘導にサイトカインのような中心的な役割を持っていることを暗示している。免疫治療およびワクチン接種のために免疫応答を調節するケモカインの使用はさらに研究するのに相応しいものである。
【0236】
【表1】

【0237】
【表2】

【0238】
【表3】

【0239】
【表4】

【0240】
【表5】

【0241】
【表6】

【0242】
【表7】

【0243】
【表8】

【0244】
【表9】

【0245】
【表10】

【0246】
【表11】

【0247】
【表12】

【0248】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列および制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含むプラスミドであって、免疫調節タンパク質は:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−3、CD2、IL−18の突然変異形、CD40、血管成長因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6およびカスパーゼICEから成る群より選択される、プラスミド。
【請求項2】
免疫原が病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連する細胞に結合されている抗原をコードしている標的タンパク質である請求項1に記載のプラスミド。
【請求項3】
免疫原が病原体抗原である請求項1に記載のプラスミド。
【請求項4】
免疫原がHIV−1抗原である請求項1に記載のプラスミド。
【請求項5】
制御要素に作動可能なように連結されたCD86タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる請求項1に記載のプラスミド。
【請求項6】
請求項1のプラスミドを含んでいる注射可能な医薬組成物。
【請求項7】
免疫原に対して個体の免疫応答を誘導するために使用される請求項1に記載のプラスミド。
【請求項8】
制御要素に作動可能なように連結された単純ヘルペス抗原をコードしているヌクレオチド配列および制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含むプラスミドであって、免疫調節タンパク質は:IL−8、およびRANTESから成る群より選択される、プラスミド。
【請求項9】
単純ヘルペス抗原がHSV2gDである請求項8に記載のプラスミド。
【請求項10】
請求項8に記載のプラスミドを含んでいる注射可能な医薬組成物。
【請求項11】
単純ヘルペスウイルス感染に対して個体を免疫するために使用される請求項8に記載のプラスミド。
【請求項12】
二つのプラスミドを含む組成物であって、
第一のプラスミドは制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列を含んでおり;および
第二のプラスミドは制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでおり、免疫調節タンパク質は:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−3、CD2、IL−18の突然変異形、CD40、血管成長因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6およびカスパーゼICEから成る群より選択される、組成物。
【請求項13】
免疫原が病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連する細胞に結合されている抗原をコードしている標的タンパク質である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
免疫原が病原体抗原である請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
免疫原がHIV−1抗原である請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
制御要素に作動可能なように連結されたCD86タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる請求項12に記載の組成物であって、第一のプラスミド、第二のプラスミドまたは第三のプラスミドはCD86タンパク質をコードしている上記ヌクレオチド配列を含んでいる、組成物。
【請求項17】
請求項12に記載の組成物を含んでいる注射可能な医薬組成物。
【請求項18】
免疫原に対して個体の免疫応答を誘導するために使用される、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
二つのプラスミドを含む組成物であって、
第一のプラスミドは制御要素に作動可能なように連結された単純ヘルペス抗原をコードしているヌクレオチド配列を含んでおり;および
第二のプラスミドはIL−8、またはRANTESをコードしているヌクレオチド配列を含んでいる、
組成物。
【請求項20】
単純ヘルペス抗原がHSV2gDである請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
請求項19に記載の組成物を含んでいる注射可能な医薬組成物。
【請求項22】
単純ヘルペスウイルス感染に対して個体を免疫するために使用される請求項19に記載のプラスミド。
【請求項23】
制御要素に作動可能なように連結された免疫原をコードしているヌクレオチド配列および制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む組換え体ワクチンであって、免疫調節タンパク質は:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−3、CD2、IL−18の突然変異形、CD40、血管成長因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6およびカスパーゼICEから成る群より選択される、
組換え体ワクチン。
【請求項24】
免疫原が病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連する細胞に結合されている抗原をコードしている標的タンパク質である請求項23に記載の組換え体ワクチン。
【請求項25】
免疫原が病原体抗原である請求項23に記載の組換え体ワクチン。
【請求項26】
制御要素に作動可能なように連結されたCD86タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる請求項23に記載の組換え体ワクチン。
【請求項27】
免疫原に対して個体の免疫応答を誘導するために使用される請求項23に記載の組換え体ワクチン。
【請求項28】
組換え体ワクチンが組換え体ワクシニアワクチンである請求項23に記載の組換え体ワクチン。
【請求項29】
免疫原が病原体抗原である請求項23に記載の組換え体ワクチン。
【請求項30】
免疫原に対して個体の免疫応答を誘導するために使用される請求項28に記載の組換え体ワクチン。
【請求項31】
制御要素に作動可能なように連結された免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む生きている弱毒化した病原体であって、免疫調節タンパク質は:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−3、CD2、IL−18の突然変異形、CD40、血管成長因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6およびカスパーゼICEから成る群より選択される、
生きている弱毒化した病原体。
【請求項32】
病原体に対して個体を免疫するために使用される請求項31に記載の生きている弱毒化した病原体。
【請求項33】
免疫原に対して個体の免疫応答を誘導するために使用される、以下:
免疫原および/または免疫原をコードしているヌクレオチド配列を制御要素に作動可能なように連結して含んでいる核酸分子
;および
免疫調節タンパク質および/または免疫調節タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を制御要素に作動可能なように連結して含んでいる核酸分子
の組み合わせであって、
但し、免疫調節タンパク質は:MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−3、CD2、IL−18の突然変異形、CD40、血管成長因子、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6およびカスパーゼICEから成る群より選択される、
免疫原および/または核酸分子、および免疫調節タンパク質および/または核酸分子の、組み合わせ。
【請求項34】
免疫原が病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連する細胞に結合されている抗原をコードしている標的タンパク質である、請求項33に記載の、免疫原および/または核酸分子、および免疫調節タンパク質および/または核酸分子の、組み合わせ。
【請求項35】
免疫原が病原体抗原である、請求項33に記載の、免疫原および/または核酸分子、および免疫調節タンパク質および/または核酸分子の、組み合わせ。
【請求項36】
免疫原がHIV−1抗原である、請求項33に記載の、免疫原および/または核酸分子、および免疫調節タンパク質および/または核酸分子の、組み合わせ。
【請求項37】
CD86タンパク質または制御要素に作動可能なように連結されたCD86タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項33に記載の、免疫原および/または核酸分子、および免疫調節タンパク質および/または核酸分子の、組み合わせ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−187672(P2010−187672A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37428(P2010−37428)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【分割の表示】特願2000−533578(P2000−533578)の分割
【原出願日】平成11年2月26日(1999.2.26)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】