ワクチン
本発明は、少なくとも1種の第1抗原と複合体化された、Gb3受容体に結合することができる志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、少なくとも1種の第2抗原(第1抗原と同一であっても、もしくは異なっていてもよい)とアジュバントとをさらに含むワクチン組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたワクチン組成物、その作製方法および医療におけるその使用を提供する。具体的には、本発明は、第1抗原と複合体化させた志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と、第1抗原と同一か、もしくは異なっていてもよい第2抗原とを含むアジュバント化ワクチン組成物であって、アジュバントと共に製剤化される前記組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,613,882号は、式B--X(式中、Bは志賀毒素のB断片またはその機能的等価物を表し、Xは治療的に重要な1種以上のポリペプチドを表し、該ポリペプチドはBにより媒介される逆行性輸送と適合可能であり、Xのプロセッシングもしくは正確なアドレッシングを確保する)のキメラポリペプチドを開示している。
【0003】
WO02/060937は、式STxB-Z(n)-Cys(式中、StxBは志賀毒素Bサブユニットであり、Zはスルフヒドリル基を有さないアミノ酸リンカーであり、nは0、1、2であるか、またはポリペプチドおよびCysはシステインである)を有する、Gb3受容体を直接的もしくは間接的に標的化するための普遍的ポリペプチド担体を開示する出願である。
【0004】
細胞性応答の支配的な誘導を必要とするワクチンの開発は、依然として挑戦である。細胞性免疫応答の主要なエフェクター細胞であるCD8+ T細胞は病原体に感染した細胞において合成される抗原を認識するため、ワクチン接種の成功にはワクチン被接種者の細胞中での免疫原性抗原の合成が必要である。これを、生弱毒化ワクチンを用いて達成することができるが、これらには有意な限界も存在する。第1に、ワクチン被接種者が免疫抑制されている場合、または病原体自身が免疫抑制を誘導し得る(例えば、ヒト免疫不全ウイルス)場合、感染の危険性が存在する。第2に、いくつかの病原体は、細胞培養物中で増殖させるのが困難であるか、または不可能である(例えば、C型肝炎ウイルス)。不活化全細胞ワクチンまたはミョウバンアジュバント化組換えタンパク質サブユニットワクチンなどの他の現存するワクチンは、CD8応答の誘導因子としては非常に弱い。
【0005】
これらの理由から、代替的な手法が開発されている:生ベクターワクチン、プラスミドDNAワクチン、合成ペプチドまたは特異的アジュバント。生ベクターワクチンは、強力な細胞性応答の誘導においては良好であるが、該ベクターに対する予め存在する(例えば、アデノウイルス)免疫またはワクチンにより誘導された免疫は、追加のワクチン用量の効力を危うくする場合がある(Casimiroら、JOURNAL OF VIROLOGY, 2003年6月, p. 6305-6313)。プラスミドDNAワクチンも、細胞性応答を誘導することができるが(Casimiroら、JOURNAL OF VIROLOGY, 2003年6月, p. 6305-6313)、ヒトにおいては依然として弱く(Mc Conkeyら、Nature Medicine 9, 729-735, 2003)、抗体応答が非常に弱い。さらに、合成ペプチドは現在臨床試験において評価されているが(Khongら、J Immunother 2004;27:472-477)、限られた数のT細胞エピトープをコードするそのようなワクチンの効力は、ワクチン回避突然変異体の出現またはHLA適合患者のための第一選択の必要性により阻害され得る。
【0006】
細菌毒素などの非生ベクターを用いる抗原送達に基づく代替的な手法も記載されてきた。志賀Bベクター化系(STxB)は、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteriae)から誘導された志賀毒素の非毒性Bサブユニットに基づく。この分子は、毒性がないこと、低い免疫原性、CD77受容体を介する標的化およびMHCクラス1拘束抗原提示経路に運搬抗原を導入する能力(Haicheurら(2003) Int. Immunol 15 pp 1161-1171)などの、抗原提示のためのベクターとして使用しやすくなるいくつかの特徴を有する。特に、志賀毒素のBサブユニットへの抗原の物理的結合は、マウスモデルにおいて検出可能なCD8応答を誘導することが示されている(Haicheurら、2000 Journal of Immunology 165 pp 3301-3308; Haicheurら、2003 Int. Immunol 15 pp 1161-1171)。しかしながら、この応答には大量の抗原を3回注入する必要があり(最大80μg、Haicheurら(2003) Int. Immunol 15 pp 1161-1171)、腹腔内投与した場合、Freundの不完全アジュバントと混合することによっても改善することができない(Haicheurら、2000 Journal of Immunology 165 pp 3301-3308)。
【0007】
さらに、上記で考察したように、CD4応答を同時に活性化するか、または特異的抗体応答を生成させながら、CD8応答を活性化することができるワクチン組成物が有利であろう。
【発明の開示】
【0008】
本発明者らは、抗原と複合体化させた志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、少なくとも1種の第2抗原をさらに含む組成物中へのアジュバントの包含が、得られる免疫応答に対して有益な効果を有し得ることを見出した。本発明者らは、アジュバントの包含が、特に、複合体化させた抗原に対する免疫応答の有益な増加を可能にすることを見出した。本発明者らはまた、遊離形態および複合体化された形態の両方での同一抗原の包含が、該抗原に対する細胞性および体液性免疫の両方の活性化を可能にすることも見出した。本発明者らはさらに、複合体化された形態の1種の抗原および遊離形態の1種の抗原の包含が、両抗原に対する細胞性および体液性免疫の活性化を可能にし、それによって完全な免疫応答を提供することを見出した。従って、本発明は、第1抗原と複合体化させた、Gb3受容体に結合することができる志賀毒素の少なくとも1種のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、第1抗原と同一か、もしくは異なっていてもよい1種以上の第2抗原をさらに含み、およびアジュバントをさらに含むワクチン組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特定のアジュバントは、金属塩、水中油乳濁液、Toll様受容体リガンド(特に、Toll様受容体2リガンド、Toll様受容体3リガンド、Toll様受容体4リガンド、Toll様受容体7リガンド、Toll様受容体8リガンドおよびToll様受容体9リガンド)、サポニンまたはその組合せからなる群より選択されるものである。一実施形態においては、前記アジュバントは、唯一のアジュバントとして金属塩を含まない。一実施形態においては、前記アジュバントは、金属塩を含まない。従来技術において証明された状況とは対照的に、本発明者らは、そのような組成物を筋肉内投与しない場合の、志賀毒素(またはその免疫学的に機能的な等価物)および抗原の効果を増加させるFreundの不完全アジュバントの能力を示した。さらに、CD8応答のこの改善は、1回注入した後に、およびより低用量の抗原を用いる場合にも容易に観察される。
【0010】
志賀毒素のBサブユニットおよびその免疫学的に機能的な等価物を、本明細書では本発明のタンパク質と呼ぶ。志賀毒素のBサブユニットの免疫学的に機能的な等価物を、限定されるものではないが、Gb3受容体に結合することができる毒素、毒素サブユニットまたはその機能的断片などのタンパク質と定義する。そのような結合能力を、実施例1.2に記載のアッセイプロトコルに従うことにより決定することができる。Gb3結合は、目的の抗原の好適な輸送を誘導し、それによって、MHCクラス1によるその提示を促進すると考えられる。一実施形態においては、そのようなタンパク質は、志賀毒素のBサブユニットの成熟形態に対して、少なくとも50%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、60%、70%、80%、90%または95%の同一性、例えば、96%、97%、98%または99%のアミノ酸レベルでの同一性を有する。
【0011】
そのような免疫学的に機能的な等価物は、種々のシゲラ種、特に、シゲラ・ディセンテリエから単離された毒素のBサブユニットを含む。さらに、志賀毒素のBサブユニットの免疫学的に機能的な等価物は、他の細菌に由来するGb3受容体に結合することができる相同な毒素を含み、該毒素は、好ましくは、志賀毒素のBサブユニットに対して少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する。例えば、大腸菌に由来するベロ毒素-1(VT1)のBサブユニットは、志賀毒素のBサブユニットと同一である。大腸菌由来VT1およびVT2、ならびに他の細菌により産生される他の志賀様毒素は、in vitroでGb3受容体に結合することが知られており、本発明に関連して用いることができる。本発明に関連して、用語「毒素」とは、それらがヒトに対してもはや毒性的ではないように解毒された毒素、またはヒトにおいて毒性活性を実質的に持たない毒素サブユニットもしくはその断片を意味すると意図される。
【0012】
本発明の組成物は、本発明のタンパク質と複合体化させた抗原に対するCD8特異的免疫応答を改善することができる。本発明のタンパク質と複合体化させた第1抗原とアジュバントを含まない第2抗原とを含む組成物に対する応答、または第1および第2抗原とアジュバントを含む製剤に対する応答と比較した場合の、本発明のタンパク質と複合体化させた第1抗原と、第2抗原とを含み、さらにアジュバントを含む本発明の組成物に対する応答を見ることにより、改善を測定する。改善を、免疫応答のレベルの増加、より低用量の抗原を用いた場合の等価な免疫応答の生成、免疫応答の質の上昇、免疫応答の持続性の増加、または上記の任意の組合せと定義することができる。そのような改善を、1回目の免疫後に認めることができ、および/またはその後の免疫後に認めることができる。
【0013】
本発明の一実施形態においては、低用量の抗原(マウスについては8 ngの抗原)を用いて、そのような免疫応答を誘起させることができる。この実施形態においては、本発明のタンパク質と複合体化させた、アジュバント化抗原は、本発明のタンパク質と複合体化させないアジュバント化抗原、または持続的応答を生じることができない、本発明のタンパク質と複合体化させたが、アジュバントを含まない抗原と比較して持続性が高い一次CD8応答(テトラマー染色、細胞内サイトカイン染色、およびin vivo細胞傷害活性により測定)を誘導することができる。
【0014】
CD8免疫応答は、時間と共に減弱する。ピーク後、ほとんどのエフェクター細胞が死ぬが、記憶細胞は生存する収縮期が存在する。この応答性記憶T細胞集団の確立は、抗原特異的細胞の長期間の検出および追加免疫されるその能力の両方により理解される。
【0015】
好ましくは、アジュバントを、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、アルキルグルコサミニドホスフェート、またはその組合せからなる群より選択する。さらに好ましいアジュバントは、別のアジュバントと組み合わせた金属塩である。アジュバントは、Toll様受容体リガンド、特に、Toll様受容体2、3、4、7、8もしくは9のリガンド、またはサポニン、特に、QS21であるのが好ましい。アジュバント系は、上記一覧に由来する2種以上のアジュバントを含むのがさらに好ましい。具体的には、前記組合せは、サポニン(特に、QS21)アジュバントおよび/またはCpGもしくはCpR(式中、Rは非天然グアノシンヌクレオチドである)などの他の免疫刺激モチーフを含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体9リガンドを含む。他の好ましい組合せは、サポニン(特に、QS21)およびモノホスホリルリピドAもしくはその3脱アシル化誘導体、3D-MPLなどのToll様受容体4リガンド、またはサポニン(特に、QS21)およびアルキルグルコサミニドホスフェートなどのToll様受容体4リガンドを含む。他の好ましい組合せは、TLR3または4リガンドと、TLR8または9リガンドとを含む。一実施形態においては、Toll様受容体リガンドは、受容体アゴニストである。別の実施形態においては、Toll様受容体リガンドは、受容体アンタゴニストである。本明細書および特許請求の範囲を通して用いられる用語「リガンド」とは、受容体に結合することができ、該受容体の活性を上方調節するか、または下方調節する効果を有する実体を意味すると意図される。
【0016】
特に好ましいアジュバントは、3D-MPLとQS21の組合せ(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414)、または他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)である。他の好ましいアジュバント系は、米国特許第6,558,670号、同第6,544,518号に記載の3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0017】
一実施形態においては、前記アジュバントは、Toll様受容体(TLR)4リガンドであり、好ましくは、リピドA誘導体、具体的には、モノホスホリルリピドAまたはより具体的には、3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)などのリガンドである。
【0018】
3D-MPLは、Corixa corporationにより商標MPL(登録商標)の下で販売されており、主にCD4+ T細胞応答を促進し、IFN-g(Th1)表現型を有する。それを、GB 2 220 211 Aに開示された方法に従って製造することができる。化学的には、それは、3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと、3、4、5または6アシル化鎖との混合物である。好ましくは、本発明の組成物においては、小粒子3D-MPLを用いる。小粒子3D-MPLは、0.22μmフィルターを通して滅菌濾過することができるような粒子径を有する。そのような調製物は、国際特許出願WO 94/21292に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、TLR4リガンドであると考えられ、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0019】
OM174 (2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート) (WO 95/14026)。
【0020】
OM294 DP(3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロゲンホスフェート) (WO 99/64301およびWO 00/0462)。
【0021】
OM197 MP-AcDP(3S-,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロゲンホスフェート10-(6-アミノヘキサノエート) (WO 01/46127)。
【0022】
用いることができる他のTLR4リガンドは、WO 98/50399もしくは米国特許第6,303,347号(AGPの調製方法も開示されている)に開示されたものなどのアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、または米国特許第6,764,840号に開示されたようなAGPの製薬上許容し得る塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、いくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。
【0023】
本発明における使用のための別の好ましい免疫刺激剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、1974年にDalsgaardら(「サポニンアジュバント(Saponin adjuvants)」、Archiv. fur die gesamte virusforschung, Vol.44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)によりアジュバント活性を有すると初めて記載された。例えば、QS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)などのQuil Aと関連する毒性を持たずにアジュバント活性を保持するQuil Aの精製された断片が、HPLCにより単離された(EP 0 362 278)。QS-21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮から誘導された天然サポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および顕著なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明に関連して好ましいサポニンである。
【0024】
QS21の特定の製剤が記載されており、特に好ましくは、これらの製剤はステロールをさらに含む(WO 96/33739)。本発明のサポニン形成部分は、ミセル、混合ミセル(胆汁塩のみではないが、主に胆汁塩を含む)の形態で分離していてもよく、またはコレステロールおよび脂質と共に製剤化した場合、ISCOMマトリックス(EP 0 109 942 B1)、ワーム状もしくは環状マルチマー複合体もしくは脂質/層化構造およびラメラなどのリポソームもしくは関連するコロイド状構造の形態にあってもよく、または水中油乳濁液(例えば、WO 95/17210に記載のような)の形態にあってもよい。サポニンは、好ましくは水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と結合していてもよい(WO 98/15287)。好ましくは、サポニンを、リポソーム、ISCOMまたは水中油乳濁液の形態で提供する。
【0025】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたは任意の他のToll様受容体(TLR)9リガンドを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチンにおける使用にとって好ましいオリゴヌクレオチドは、CpG含有オリゴヌクレオチド、好ましくは、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、次いで、グアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、典型的には、デオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態においては、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間結合はジチオリン酸であるか、またはより好ましくは、チオリン酸結合であるが、ホスホジエステルおよび他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。チオリン酸オリゴヌクレオチドまたはジチオリン酸を製造する方法は、米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号およびWO 95/26204に記載されている。
【0026】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。この配列は、チオリン酸修飾されたヌクレオチド間結合を含むのが好ましい。
【0027】
OLIGO 1 (配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
OLIGO 3 (配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
OLIGO 5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。
【0028】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそこでの重要でない欠失または付加を有するような上記の好ましい配列を含んでもよい。
【0029】
代替的な免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドに対する改変を含んでもよい。例えば、WO 0226757およびWO 03507822は、CpG含有免疫刺激性オリゴヌクレオチドのCおよびG部分に対する改変を開示している。
【0030】
本発明において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法(例えば、EP 468520を参照されたい)により合成することができる。都合の良いことには、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0031】
TLR2リガンドの例としては、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が挙げられる。イミキモッドおよびレシキモッドなどのイミダゾキノリンが、公知のTLR7リガンドである。一本鎖RNAも公知のTLRリガンドであるが(ヒトにおいてはTLR8、マウスにおいてはTLR7)、二本鎖RNAおよびポリIC(ポリイノシン-ポリシチジル酸-ウイルスRNAの市販の合成模倣物質)はTLR3リガンドの例である。3D-MPLはTLR4リガンドの例であるが、CPGはTLR9リガンドの例である。
【0032】
一実施形態においては、志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と、第1抗原とを一緒に複合体化させる。複合体化とは、志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と抗原とを、例えば、静電気的もしくは疎水的相互作用または共有結合を介して、物理的に結合させることを意味する。好ましい実施形態においては、志賀毒素のBサブユニットと抗原とを、融合タンパク質(Haicheurら、2000 Journal of Immunology 165 pp 3301-3308)として共有結合させるか、またはWO 02/060937(上掲)に記載の様式で、システイン残基を介して連結する。本発明の実施形態においては、毒素Bあたり、2、3、4、5、6種の抗原分子などの、2種以上の抗原を、それぞれの毒素B分子に連結する。2種以上の抗原をそれぞれの毒素B分子に連結する場合、これらの抗原は全て同じであってもよく、1種以上は他のものと異なっていてもよく、または全ての抗原は互いに異なっていてもよい。
【0033】
抗原自身は、1種以上の目的のエピトープを包含するペプチド、またはタンパク質であってよい。本発明のタンパク質と複合体化させた場合、第1抗原がHIV、結核、クラミジア、HBV、HCV、およびインフルエンザなどの細胞内病原体に対する免疫を提供するように、該第1抗原を選択することが好ましい実施形態である。本発明はまた、良性障害および癌などの増殖性障害に対する明らかな免疫応答を生じ得る抗原についても有用である。
【0034】
好ましくは、本発明のワクチン製剤は、ヒト病原体に対する免疫応答を引き出すことができる抗原または抗原組成物を含み、その抗原または抗原組成物は、HIV-1(p24、tat、nefなどのgagもしくはその断片、gp120もしくはgp160などのエンベロープ、またはこれらの任意の断片)、gDもしくはその誘導体またはHSV1もしくはHSV2に由来するICP27などの極初期タンパク質などのヒトヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス((特に、ヒト)(gBもしくはその誘導体など))、ロタウイルス抗原、エプスタイン・バーウイルス(gp350もしくはその誘導体など)、水痘-帯状疱疹ウイルス(gpI、IIおよびIE63など)、またはB型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎表面抗原もしくはその誘導体)に由来するか、またはA型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスに由来する抗原であるか、またはパラミクソウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(F、GおよびNタンパク質もしくはその誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV6、11、16、18)、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)もしくはインフルエンザウイルス(精製されたタンパク質、もしくはその組換えタンパク質、例えば、HA、NP、NA、もしくはMタンパク質、またはその組合せ)などの他のウイルス病原体に由来するか、またはナイセリア・ゴノレア(N. gonorrhea)およびナイセリア・メニンギティディス(N. meningitidis)などのナイセリア種(例えば、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、アドヘシン);ストレプトコッカス・ピオジェネス(S.pyogenes)(例えば、Mタンパク質もしくはその断片、C5Aプロテアーゼ)、ストレプトコッカス・アガラクチア(S. agalactiae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(S. mutans); ヘモフィルス・デュクレイ(H. ducreyi);モラクセラ・カタラリス(M. catarrhalis)(ブランハメラ・カタラリス(Branhamella catarrhalis)としても知られる)などのモラクセラ種(例えば、高分子量および低分子量アドヘシンおよびインベイシン);ボルデテラ・ペルツシス(B. pertussis)(例えば、ペルタクチン、百日咳毒素もしくはその誘導体、繊維性ヘマグルチニン、アデニル酸シクラーゼ、フィンブリア)、ボルデテラ・パラペルツシス(B. parapertussis)およびボルデテラ・ブロンキセプティカ(B. bronchiseptica)などのボルデテラ種;マイコバクテリウム・ツベルクロシス(M. tuberculosis)(例えば、ESAT6、85A、-Bもしくは-C抗原)、マイコバクテリウム・ボビス(M. bovis)、マイコバクテリウム・レプラ(M. leprae)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・パラツベルクロシス(M. paratuberculosis)、マイコバクテリウム・スメングマティス(M. smengmatis)などのマイコバクテリウム種;レジオネラ・ニューモフィラなどのレジオネラ種;腸毒性大腸菌(例えば、コロニー形成因子、熱不安定毒素もしくはその誘導体、熱安定毒素もしくはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、病原性大腸菌などのエシェリシア種;ビブリオ・コレラ(V. cholera)(例えば、コレラ毒素もしくはその誘導体)などのビブリオ種;シゲラ・ソネイ(S. sonnei)、シゲラ・ディセンテリエ(S. dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(S. flexnerii)などのシゲラ種;エルシニア・エンテロコリティカ(Y. enterocolitica)(例えば、Yopタンパク質)、エルシニア・ペスティス(Y. pestis)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Y. pseudotuberculosis)などのエルシニア種;カンピロバクター・ジェジュニ(C. jejuni)(例えば、毒素、アドヘシンおよびインベイシン)およびカンピロバクター・コリ(C. coli)などのカンピロバクター種;サルモネラ・ティフィ(S. typhi)、サルモネラ・パラティフィ(S. paratyphi)、サルモネラ・コレラスイス(S. choleraesuis)、サルモネラ・エンテリティディス(S. enteritidis)などのサルモネラ種;リステリア・モノサイトジェンス(L. monocytogenes)などのリステリア種;ヘリコバクター・ピロリ(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、細胞空胞化毒素)などのヘリコバクター種;シュードモナス・エルギノーサ(P. aeruginosa)などのシュードモナス種;スタフィロコッカス・オーレウス(S. aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S. epidermidis)などのスタフィロコッカス種;エンテロコッカス・ファカリス(E. faecalis)、エンテロコッカス・ファシウム(E. faecium)などのエンテロコッカス種;クロストリジウム・テタニ(C. tetani)(例えば、破傷風毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ボツリナム(C. botulinum)(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)(例えば、クロストリジウム毒素AもしくはBおよびその誘導体)などのクロストリジウム種;バチルス・アントラシス(B. anthracis)(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)などのバチルス種;コリネバクテリウム・ジフテリア(C. diphtheriae)(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)などのコリネバクテリウム種;ボレリア・ブルグドフェリ(B. burgdorferi)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ガリニ(B. garinii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アフゼリ(B. afzelli)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アンダーソニー(B. andersonii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ヘルムシ(B. hermsii)などのボレリア種;エールリヒア・エクイ(E. equi)などのエールリヒア種およびヒト顆粒球性エールリヒア症の作用因子;リケッチア・リケッチ(R. rickettsii)などのリケッチア種;クラミジア・トラコマティス(C. trachomatis)(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、クラミジア・ニューモニア(C. pneumoniae)(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、クラミジア・シッタシ(C. psittaci)などのクラミジア種;レプトスピラ・インテロガンス(L. interrogans)などのレプトスピラ種;トレポネマ・パリダム(T. pallidum)(例えば、稀な外膜タンパク質)、トレポネマ・デンティコラ(T. denticola)、トレポネマ・ハイオディセンテリー(T. hyodysenteriae)などのトレポネマ種などの細菌病原体から誘導された抗原;またはプラスモジウム・ファルシパルム(P. falciparum)などのプラスモジウム種;トキソプラズマ・ゴンジ(T. gondii)(例えば、SAG2、SAG3、Tg34)などのトキソプラズマ種;エントアメーバ・ヒストリティカ(E. histolytica)などのエントアメーバ種;バベシア・ミクロチ(B. microti)などのバベシア種;トリパノソーマ・クルージ(T. cruzi)などのトリパノソーマ種;ジアルジア・ランブリア(G. lamblia)などのジアルジア種;レーシュマニア・メジャー(L. major)などのレーシュマニア種;ニューモシスティス・カリニ(P. carinii)などのニューモシスティス種;トリコモナス・バギナリス(T. vaginalis)などのトリコモナス種;スキゾストーマ・マンソニ(S. mansoni)などのスキゾストーマ種などの寄生虫から誘導された抗原、またはカンジダ・アルビカンス(C. albicans)などのカンジダ種;クリプトコッカス・ネオフォーマンス(C. neoformans)などのクリプトコッカス種などの酵母から誘導された抗原である。
【0035】
結核菌(M. tuberculosis)のための他の好ましい特異的抗原は、例えば、Tb Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2およびhTCC1 (WO 99/51748)である。結核菌のためのタンパク質としては、少なくとも2種、好ましくは、3種の結核菌のポリペプチドを、より大きいタンパク質に融合させた融合タンパク質およびその変異体も挙げられる。好ましい融合物としては、Ra12-TbH9-Ra35、Erd14-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erd14-DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erd14-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、TbH9-DPV-MTI (WO 99/51748)が挙げられる。
【0036】
クラミジアのための最も好ましい抗原としては、例えば、高分子量タンパク質(HMW)(WO 99/17741)、ORF3(EP 366 412)、および推定膜タンパク質(Pmps)が挙げられる。ワクチン製剤の他のクラミジア抗原を、WO 99/28475に記載の群より選択することができる。
【0037】
好ましい細菌ワクチンは、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)などのストレプトコッカス種から誘導された抗原(例えば、PsaA、PspA、ストレプトリシン、コリン結合タンパク質)およびタンパク質抗原ニューモリシン(Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007; Rubinsら、Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)、ならびにその突然変異解毒誘導体(WO 90/06951; WO 99/03884)を含む。他の好ましい細菌ワクチンは、B型インフルエンザ菌、非分類型インフルエンザ菌などのヘモフィルス種から誘導された抗原、例えば、OMP26、高分子量アドヘシン、P5、P6、Dタンパク質およびリポタンパク質D、ならびにフィンブリンおよびフィンブリン由来ペプチド(米国特許第5,843,464号)またはその複数コピー変異体もしくは融合タンパク質を含む。
【0038】
B型肝炎表面抗原の誘導体は当業界でよく知られており、特に、欧州特許出願EP-A-414 374、EP-A-0304 578、およびEP 198-474に記載のPreS1、PreS2 S抗原が挙げられる。1つの好ましい態様においては、本発明のワクチン製剤は、特にCHO細胞中で発現させた場合、HIV-1抗原、gp120を含む。さらなる実施形態においては、本発明のワクチン製剤は、上記で定義されたgD2tを含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態においては、特許請求されたアジュバントを含むワクチンは、生殖器疣の原因となると考えられるヒトパピローマウイルス(HPV)(HPV6またはHPV11など)、および頸部癌の原因となるHPVウイルス(HPV16、HPV18など)から誘導された抗原を含む。
【0040】
生殖器疣の予防用、または治療用ワクチンの特に好ましい形態は、L1タンパク質、ならびにHPVタンパク質E1、E2、E5、E6、E7、L1およびL2から選択される1種以上の抗原を含む融合タンパク質を含む。
【0041】
融合タンパク質の最も好ましい形態は、WO 96/26277に開示されたL2E7、およびWO 99/10375に開示されたタンパク質D(1/3)-E7である。
【0042】
好ましいHPV頸部感染もしくは癌の予防用または治療用ワクチン組成物は、HPV 16または18抗原を含んでもよい。
【0043】
特定の好ましいHPV 16抗原は、Dタンパク質担体との融合物中に初期タンパク質E6もしくはE7を含み、HPV 16に由来するDタンパク質-E6もしくはE7融合物、またはその組合せ;またはL2とE6もしくはE7の組合せを形成する(WO 96/26277)。
【0044】
あるいは、HPV 16または18の初期タンパク質E6およびE7を、単一の分子、好ましくはDタンパク質-E6/E7融合物中で提供してもよい。そのようなワクチンは、必要に応じて、好ましくはDタンパク質-E6もしくはDタンパク質-E7融合タンパク質またはDタンパク質-E6/E7融合タンパク質の形態の、HPV 18に由来するE6およびE7タンパク質のいずれか、または両方を含んでもよい。
【0045】
本発明のワクチンはさらに、他のHPV株、好ましくは、HPV 31または33株に由来する抗原を含んでもよい。
【0046】
本発明のワクチンはさらに、マラリアを引き起こす寄生虫から誘導された抗原、例えば、スポロゾイト周囲タンパク質(CSタンパク質)、RTS、S、MSP1、MSP3、LSA1、LSA3、AMA1およびTRAPなどのプラスモジウム・ファルシパルムに由来する抗原を含む。RTSは、B型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に、B型肝炎表面抗原のpreS2部分の4個のアミノ酸を介して連結されたP.falciparumのスポロゾイト周囲(CS)タンパク質のC末端部分の実質的に全部を含むハイブリッドタンパク質である。その完全な構造は、英国特許出願第9124390.7号から優先権を主張するWO 93/10152の下で公開された、国際特許出願PCT/EP92/02591に開示されている。酵母中で発現される場合、RTSはリポタンパク質粒子として産生され、HBVに由来するS抗原と共に同時発現される場合、RTS,Sとして知られる混合粒子を産生する。TRAP抗原は、WO 90/01496の下で公開された、国際特許出願PCT/GB89/00895に記載されている。多段階マラリアワクチンの成分の候補となる可能性のある他のプラスモジウム抗原は、P.falciparumのMSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230およびプラスモジウム種におけるその類似体である。本発明の一実施形態は、抗原調製物がRTS,SもしくはCSタンパク質またはRTS,SのCS部分などのその断片と、1種以上のさらなるマラリア抗原とを含み、そのいずれか、または両方を、本発明に従って志賀毒素Bサブユニットに結合させることができるマラリアワクチンである。1種以上のさらなるマラリア抗原を、例えば、MSP1、MSP3、AMA1、LSA1またはLSA3からなる群より選択することができる。
【0047】
前記製剤は、抗腫瘍抗原を含んでもよく、癌の免疫治療的処理にとって有用である。例えば、アジュバント製剤は、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌またはメラノーマに対するものなどの腫瘍拒絶抗原にとって有用である。例示的な抗原としては、MAGE1およびMAGE3もしくは他のMAGE抗原(メラノーマの治療のため)、PRAME、BAGE、またはGAGE(RobbinsおよびKawakami, 1996, Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eyndeら、International Journal of Clinical & Laboratory Research (1997年提出); Correaleら(1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p293)が挙げられる。実際に、これらの抗原は、メラノーマ、肺癌、肉腫および膀胱癌などの様々な腫瘍型で発現される。他の腫瘍特異的抗原も本発明のアジュバントと共に使用するのに好適であり、限定されるものではないが、腫瘍特異的ガングリオシド、前立腺特異的抗原(PSA)もしくはHer-2/neu、KSA (GA733)、PAP、マンマグロビン、MUC-1、癌胎児性抗原(CEA)、p501S(プロステイン)が挙げられる。従って、本発明の一態様においては、本発明に従うアジュバント組成物と、腫瘍拒絶抗原とを含むワクチンが提供される。一態様においては、腫瘍抗原は、Her-2/neuである。
【0048】
ワクチンが、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌またはメラノーマなどの腫瘍抗原を含むのが、本発明の特に好ましい態様である。従って、前記製剤は、腫瘍関連抗原、ならびに腫瘍支援機構(例えば、血管新生、腫瘍侵襲)に関連する抗原を含んでもよい。さらに、癌の治療におけるワクチンにとって特に関連する抗原はまた、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、p501S(プロステイン)、チロシナーゼ、スルビビン、NY-ESO1、プロスターゼ、PS108(WO 98/50567)、RAGE、LAGE、HAGEも含む。さらに、前記抗原は、短い10アミノ酸長のペプチドである全長ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH、WO 95/20600)などの自己ペプチドホルモンであってよく、多くの癌の治療、または免疫去勢(immunocastration)において有用である。
【0049】
本発明のワクチンを、アレルギーの予防または治療に用いることができる。そのようなワクチンは、アレルゲン特異的抗原、例えば、Der p1を含むであろう。
【0050】
本発明の一態様においては、本発明のワクチン組成物は、2種以上の異なる抗原を含み、少なくとも1種の抗原を、本発明のタンパク質と複合体化させる。そのような組成物は、本発明のタンパク質と複合体化させた抗原が病原体に由来する内部抗原であり、そのようなものとして、MHCクラスI提示経路に指向させる必要がある免疫応答を生じさせるのに有用であろう。さらに、前記組成物は、本発明のタンパク質と複合体化されていない少なくとも1種の第2抗原をさらに含む。好ましい態様においては、この第2の複合体化されていない抗原は、抗体応答を生じることができるか、またはMHCクラスII提示経路を介して指向させることができる。この二重手法により、免疫系の多くの異なる部門を可能な限り刺激し、それによって、防御免疫応答を生じる可能性が高くなることが確保される。
【0051】
そのような手法は、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原は、外部病原体抗原(換言すれば、実質的に病原体の外側に露出され、一般的には、免疫系に対して「可視的」である抗原)、例えば、HPVのL1およびL2タンパク質、C型肝炎のE1タンパク質、インフルエンザウイルスのHAもしくはNA、RSVのF、GもしくはSHタンパク質、HBVのHBsタンパク質、HIVのgp120タンパク質、デング熱ウイルスのEタンパク質、VZVのgEタンパク質、CMVのgBタンパク質およびEBVのgp350タンパク質、またはその免疫原性断片であり、一方、本発明のタンパク質と複合体化された抗原は内部病原体抗原である、少なくとも2種の抗原に対する免疫応答を生じさせるのに特に有用であると考えられる。後者の例としては、HPVのE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9抗原、HSVのNS1、NS2、NS3、NS4a、4b、NS5a、5bタンパク質、インフルエンザウイルスマトリックス、核タンパク質、PB1、PB2、PA、NS2もしくはNS1タンパク質、RSVのM1、M2-1、M2-2、L、NS1、NS2、またはPタンパク質もしくは核タンパク質、B型肝炎ウイルスのHBコアタンパク質、HIVのNef、tat、P27、F4もしくはP24タンパク質、CMVのpp65タンパク質またはエプスタイン・バーウイルスの潜伏期関連遺伝子、またはその免疫原性断片が挙げられる。本発明の一実施形態においては、前記抗原は2種の異なる病原体に由来するが、本発明の別の実施形態においては、該抗原は同一病原体に由来する。本発明の別の実施形態においては、複合体化した抗原と遊離の抗原は同一である。この実施形態においては、本発明により提供される1つの利点は、同じ抗原に対するCD8およびCD4応答の提供である。
【0052】
本発明の一実施形態においては、2種の抗原のみが存在し、その1つは本発明のタンパク質と複合体化されておらず、その1つは本発明のタンパク質と複合体化されている。さらなる実施形態においては、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原のみが存在するが、前記組成物は本発明のタンパク質と複合体化されていない2種以上の抗原を含む。さらなる実施形態においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種以上の抗原が存在し、本発明のタンパク質と複合体化された2種以上の抗原が存在する。この実施形態においては、それぞれの複合体化された抗原を、本発明の別のタンパク質と複合体化させるか、または2種以上の抗原、例えば、2、3、4もしくは5種の抗原を、本発明の1種のタンパク質と複合体化させることができる。
【0053】
さらなる実施形態においては、前記組成物、ならびに本発明のタンパク質は、2005年11月30日に出願された同時係属出願UK 0524408.2に記載のさらなるタンパク質を含んでもよい。この出願は、そこに記載されたものと類似する組成物を記載しているが、UK 0524408.2に記載の発明のタンパク質は非生ベクターである(本明細書に記載の志賀毒素タンパク質を除く)。用語「非生ベクター」を、MHCクラスI提示を標的化する抗原送達物質と定義する。この用語は、弱毒化ウイルス、細菌、またはプラスミドDNAなどの複製するベクターを包含することを意図しない。非生ベクターは細菌毒素から誘導されたものであり、すなわち、非生ベクターは解毒された細菌毒素、サブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物である。
【0054】
UK 0524408.2の発明に関連して、用語「毒素」は、それらがヒトに対してもはや毒性的ではないように解毒された毒素、またはヒトにおける毒性活性を実質的に持たない毒素サブユニットもしくはその断片を意味することが意図される。
【0055】
解毒された毒素に基づく好ましい非生ベクターは、炭疽菌の致死因子(LF)のアミノ末端ドメイン、緑膿菌(P. aeruginosa)の外毒素A、大腸菌の不安定毒素(LT)のBサブユニット、および百日咳菌に由来するアデニル酸シクラーゼAである。一実施形態においては、非生ベクターは、大腸菌のI型不安定毒素(LTI)に由来するBサブユニットである。一実施形態においては、非生ベクターは、AB5ファミリーのファミリーである毒素、例えば、LT2、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)ならびに最近同定されたサブチラーゼ細胞毒素(Patonら、J Exp Med 2004, Vol 200 pp 35-46)から誘導されたものである。
【0056】
この実施形態においては、細菌毒素またはその免疫学的に機能的な等価物に基づく非生ベクターも用いて、抗原を複合体化する。かくして、例えば、本発明の組成物は、1種以上の遊離抗原、本発明の1種以上のタンパク質と複合体化させた1種以上の抗原、およびUK 0524408.2に記載の非生ベクターまたはその免疫学的に機能的な等価物と複合体化させた1種以上の抗原を含んでもよい。
【0057】
一実施形態においては、前記抗原はウイルス抗原である。一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化させるのに用いるか、または複合体化されていない形態で用いるための好適なウイルス抗原を、上記の一覧から選択することができる。
【0058】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原は、HPVのL1タンパク質またはその免疫原性断片である。好適なL1タンパク質およびL1タンパク質断片は当業界でよく知られており、例えば、WO2004/056389およびその参考文献に開示されており、それらは全て参照により本明細書に組み入れられるものとする。一態様においては、L1タンパク質は完全長L1である。一態様においては、L1タンパク質は、トランケートされたL1タンパク質である。一態様においては、L1タンパク質は、ウイルス様粒子(VLP)の形態にあり、VLPは完全長L1またはトランケートされたL1から構成される。L1がトランケートされている場合、一態様においては、トランケーションは核局在化シグナルを除去する。一態様においては、トランケーションは、C末端トランケーションである。一態様においては、C末端トランケーションは、50個未満のアミノ酸、例えば、40個未満のアミノ酸を除去する。L1がHPV 16のVLPである場合、一態様においては、C末端トランケーションはHPV 16のL1から34個のアミノ酸を除去する。VLPがHPV 18のVLPである場合、一態様においては、C末端トランケーションは、HPV 18のL1から35個のアミノ酸を除去する。L1を、任意の好適なHPV、例えば、HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68などの癌原性HPV型から選択することができる。
【0059】
トランケートされたL1タンパク質は、好適には、機能的L1タンパク質誘導体である。機能的L1タンパク質誘導体は、免疫応答を生じさせることができ(必要に応じて、好適にアジュバント化された場合)、該免疫応答は、完全長L1タンパク質および/またはL1タンパク質が誘導されたHPV型からなるVLPを認識することができる。
【0060】
本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原がHPVのL1タンパク質またはその免疫原性断片である場合、一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化させた1種の抗原は、HPVのE2タンパク質、もしくはE4タンパク質、もしくはE5タンパク質、もしくはE6タンパク質、もしくはE7タンパク質、またはその免疫原性断片である。
【0061】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、遊離抗原としてHPV 16のL1およびHPV 18のL1、ならびに複合体化された抗原として1種以上のHPV初期タンパク質を含む。好ましくは、HPV 16と18の両方に由来する初期タンパク質が存在する。好ましくは、2種以上の初期タンパク質が存在する。この実施形態の一態様においては、前記組成物は、HPV16のE7およびHPV 18のE7を含む。この実施形態のさらに特定の態様においては、前記組成物は、複合体化された抗原として、HPV16のE2、HPV18のE2、HPV16のE6およびHPV18のE6を含む。この実施形態の一態様においては、HPV16およびHPV18のL1は、VLPの形態で存在する。
【0062】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HCVのE1タンパク質もしくはその免疫原性断片、例えば、そのトランケート、例えば、C末端E1トランケートであり、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、HCVのNS3タンパク質もしくはその免疫原性断片である。
【0063】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、VZVのgEタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、IE63もしくはIE62、またはその免疫原性断片であってよい。
【0064】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HCMVのgBタンパク質もしくはその免疫原性断片、またはgHタンパク質もしくはその免疫原性断片である。一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、pp65タンパク質もしくはその免疫原性断片、または主要極初期タンパク質IE1 72、もしくはその免疫原性断片である。
【0065】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、インフルエンザウイルスサブユニット抗原、例えば、NAもしくはHAまたはその免疫原性断片またはその組合せである。さらなる態様においては、インフルエンザスプリット調製物を前記組成物中で用いて、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原を提供することができる。これらの場合における本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、インフルエンザウイルスマトリックスタンパク質、NP、PB1、PB2、PA、NS2もしくはNS1タンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0066】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、RSVのF、GもしくはSHタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、RSVのM1、M2-1、M2-2、L、P、NS1、NS2、Nタンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0067】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HBVのHBsタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、HBコアタンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0068】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HIVのgp120タンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、HIVのNef、tat、P27、F4もしくはP24タンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0069】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、デング熱ウイルスのEタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、デング熱ウイルスのNS1タンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0070】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、EBVのgp350タンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、EBVの潜伏期関連遺伝子産物またはその免疫原性断片であってよい。
【0071】
抗原の免疫原性断片の例としては、例えば、Bおよび/またはT細胞エピトープを含むペプチドが挙げられ、これを用いて免疫応答を刺激することができる。
【0072】
HPVのL1およびHPVのE5などの、同一ウイルスに由来する2種の異なる抗原を用いる場合、一態様においては、該抗原は同一ウイルス型またはサブタイプ、例えば、両方ともHPV16に由来する。この原理を、他のウイルスに由来する抗原の組合せに適用することができる。
【0073】
本発明のさらなる態様においては、本発明のワクチン組成物は、本発明のタンパク質と複合体化させた抗原を含み、遊離抗原、すなわち、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原として同一抗原をさらに含む。
【0074】
本発明の上記態様の全てにおいて、前記ワクチン組成物は、本明細書に記載のアジュバントをさらに含む。
【0075】
各ワクチン用量中の各抗原の量を、典型的なワクチン被接種者において有意かつ有害な副作用を示さずに免疫防御応答を誘導する量として選択する。そのような量は、特定の免疫原を用い、それをどのように提供するかに依存して変化するであろう。組成物が唯一のアジュバントとして金属塩を含む場合、当業者であれば、遊離抗原のレベル(例えば、実施例1.5に記載の方法により測定される)が、免疫防御のための決定量であることを理解できるであろう。
【0076】
一般的には、各ヒト用量は、0.1〜1000μg、好ましくは、0.1〜500μg、好ましくは、0.1〜100μg、最も好ましくは、0.1〜50μgの各抗原を含むと予想される。特定のワクチンのための最適量を、ワクチン接種された被験者における好適な免疫応答の観察を含む標準的な試験により確認することができる。初回のワクチン接種後、被験者は十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。そのようなワクチン製剤を、初回または追加ワクチン接種計画において哺乳動物の粘膜表面に適用することができる;またはあるいは、例えば、経皮、皮下もしくは筋肉内経路を介して、全身投与することができる。筋肉内投与が好ましい。
【0077】
用いる3D-MPLの量は、一般的には小さいが、ワクチン製剤に応じて、用量あたり1〜1000μg、好ましくは、1〜500μg、およびより好ましくは1〜100μgの範囲にあってよい。
【0078】
本発明のアジュバントまたはワクチンにおけるCpGまたは免疫刺激性オリゴヌクレオチドの量は、一般的には小さいが、ワクチン製剤に応じて、用量あたり1〜1000μg、好ましくは、1〜500μg、およびより好ましくは1〜100μgの範囲にあってよい。
【0079】
本発明のアジュバントにおける使用のためのサポニンの量は、用量あたり1〜1000μg、好ましくは、1〜500μg、より好ましくは1〜250μg、および最も好ましくは1〜100μgの範囲にあってよい。
【0080】
本発明の製剤を、予防および治療目的の両方のために用いることができる。従って、本発明は、医療における使用のための本明細書に記載のワクチン組成物を提供する。
【0081】
さらなる実施形態においては、実質的に本明細書に記載された組成物の投与による、疾患に罹りやすいか、または罹患している個体の治療方法が提供される。
【0082】
また、感染性細菌およびウイルス疾患、寄生虫疾患、特に、細胞内病原性疾患、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌もしくはメラノーマなどの増殖性疾患;非癌性慢性障害、アレルギーを含む群から選択される疾患に個体が罹患することを防止する方法であって、実質的に本明細書に記載された組成物を該個体に投与することを含む前記方法も提供される。
【0083】
さらに、哺乳動物に本発明の組成物を投与することを含む、該哺乳動物におけるCD8+抗原特異的免疫応答を誘導する方法が記載される。さらに、抗原と志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物とを混合し、これをアジュバントと混合することを含む、ワクチンの製造方法が提供される。
【0084】
本発明の組合せにおける使用のための好適な製薬上許容し得る賦形剤の例としては、特に、水、リン酸緩衝生理食塩水、等張性緩衝溶液が挙げられる。
【0085】
本明細書で引用された、限定されるものではないが、特許および特許出願などの全刊行物は、それぞれ個々の刊行物が特異的かつ個別に、あたかも完全に説明すると参照により本明細書に組み入れられると指摘されたように、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0086】
本発明を、以下の実施例および図面を参照することにより例示する。全ての図面において、adeno-ova(OVAタンパク質を含むアデノウイルスベクター)を、1回目の注入における陽性対照として用いた。P/B(初回/追加)は、Adeno-Ovaの1回目の注入、およびAS A(図6BにおいてはAS H)中のOvaの2回目の追加注入についての陽性対照である。
【実施例】
【0087】
1. 試薬および培地
1.1 アジュバント化STxB-Ovaの調製
完全長ニワトリオボアルブミンにカップリングされたSTxB:STxB中の規定の受容部位へのタンパク質の化学的カップリングを可能にするために、システインを野生型タンパク質のC末端に付加し、STxB-Cysを得た。組換え突然変異STxB-Cysタンパク質を、以前に記載のように作製した(Haicheurら、2000, J. Immunol. 165, 3301)。リムルスアッセイ試験により決定された内毒素濃度は0.5 EU/ml未満であった。STxB-ovaは、以前に記載されており(Haicheurら、2003, Int. Immunol., 15, 1161-1171)、親切にもLudger JohannesおよびEric Tartour (Curie Institute)により提供された。
【0088】
完全長ニワトリオボアルブミンにカップリングされたStxBを、以下に記載のアジュバント系の各々において製剤化した。
【0089】
1.2 ガラビオース結合アッセイ
志賀毒素のBサブユニットにより優先的に認識されるGb3受容体は、細胞表面のスフィンゴ糖脂質、グロボトリアオシルセラミド(Galα1-4Galβ1-4グルコシルセラミド(式中、Galはガラクトースである))である。以下に記載の方法は、Tarrago-Trani (Protein Extraction and Purification 38, pp 170-176, 2004)により記載されたものに基づいており、市販のガラビオース結合アガロースゲル(calbiochem)上でのアフィニティクロマトグラフィーを含む。ガラビオース(Galα1->4Gal)は、Gb3のオリゴ糖部分の末端炭水化物部分であり、志賀毒素のBサブユニットにより認識される最小の構造であると考えられる。この方法を上手く用いて、大腸菌溶解物から直接的に志賀毒素を精製した。従って、この部分に結合するタンパク質はGb3受容体に結合するであろうと仮定することができる。
【0090】
PBSバッファー(500μl)中の目的のタンパク質を、同じバッファー中で予め平衡化させた100μlの固定ガラビオース樹脂(Calbiochem)と混合し、回転式ホイール上、4℃で30分〜1時間インキュベートする。5000 rpmで1分間、1回目の遠心分離を行った後、ペレットをPBSで2回洗浄する。次いで、結合した材料を、2 x 500μlの100 mMグリシンpH 2.5中に最終ペレットを再懸濁することにより、2回溶出させる。次いで、フロースルーに対応するサンプル、プールした洗浄物およびプールした溶出物を、SDS-PAGE、クマシー染色およびウェスタンブロッティングにより分析する。これらの分析技術により、タンパク質がガラビオースに結合したかどうか、および従って、Gb3受容体に結合するかどうかを同定することができる。
【0091】
1.3 アジュバント系における使用のための水中油乳濁液の調製
水中油乳濁液の調製は、WO 95/17210に記載のプロトコルに従って行った。この乳濁液は、5%スクアレン、5%トコフェロール、2.0%Tween 80を含み、その粒子径は180 nmである。
【0092】
水中油乳濁液の調製(2倍濃縮物)
Tween 80をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解して、PBS中の2%溶液を得た。100 mlの2倍濃縮乳濁液を提供するために、5 gのDLα-トコフェロールおよび5 mlのスクアレンを、完全に混合されるまで攪拌した。90 mlのPBS/Tween溶液を添加し、完全に混合した。次いで、得られた乳濁液を、シリンジを通過させ、M110S微小流体装置を用いることにより、最終的に微小流体化した。得られた油滴は、約180 nmのサイズを有する。
【0093】
1.4 アジュバント系の調製
1.4.1 アジュバント系A:QS21および3D-MPL
有機溶媒中の脂質(卵黄由来もしくは合成由来のホスファチジルコリンなど)およびコレステロールおよび3D-MPLの混合物を、減圧下(またはあるいは不活性ガス流下)で乾燥させた。次いで、水溶液(リン酸緩衝生理食塩水など)を添加し、全ての脂質が懸濁液中になるまで、容器を攪拌した。次いで、リポソームのサイズが約100 nmに低下するまで、この懸濁液を微小流体化した後、0.2μmフィルターを通して滅菌濾過した。押出または超音波処理を、この工程に代えて行うことができる。
【0094】
典型的には、コレステロール:ホスファチジルコリン比は1:4(w/w)であり、水溶液を添加して、5〜50 mg/mlの最終コレステロール濃度を得た。
【0095】
リポソームは、100 nmの規定のサイズを有し、これをSUV(小単層ベシクル)と呼ぶ。リポソームは、それ自体、長時間安定であり、融合能力を持たない。SUVの滅菌バルクをPBSに添加して、最終濃度10、20または100μg/mlの3D-MPLを達成した。PBSの組成は、9 mM Na2HPO4; 48 mM KH2PO4;100 mM NaCl pH 6.1であった。水溶液中のQS21をSUVに添加した。この混合物を、DQMPLinと呼ぶ。次いで、Stx-OVAを添加した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1±0.1に調整した。
【0096】
以下の3.1節に記載の実験においては、StxB-OVAの濃度は4、10、20または100μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は10μg/mlであった。これらの場合、50μlの注入量は、0.2〜5μgのSTxB-OVAならびに0.5μgの3D-MPLおよびQS21に相当していた。0.2μgのSTxB-OVAの注入に関する結果を、図1〜10に示す。また、50μlの注入量が0.5、1および5μgのSTxB-OVAに相当する実験も行った。これらの実験は、図1〜10に示されたものに匹敵する結果を与えた。
【0097】
他の実験においては、STxB-OVAの濃度は20または40μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は20または100μg/mlであった。
【0098】
これらの実験においては、25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAならびに0.5μgの3D-MPLおよびQS21(図12Aおよび12Bに示される)または1μgのSTxB-OVAならびにそれぞれ2.5μgの3D-MPLおよびQS21(図11および20に示される)に相当していた。
【0099】
1.4.2 アジュバント系B:QS21
1.4.2.1:アジュバント系B1
アジュバント系Aについて用いた方法に従ったが、3D-MPLを省略してアジュバントを調製した。
【0100】
STxB-OVAおよびQS21を、10または20μg/mlの濃度に調整した。25または50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび0.5μgのQS21に相当していた(図12A、12Bおよび17に示される)。
【0101】
1.4.2.2:アジュバント系B2
QS21をPBS(pH 6.8)中に100μg/mlの濃度に希釈した後、STxB-OVAを添加して、40μg/mlの最終抗原濃度を達成した。
【0102】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび2.5μgのQS21に相当していた(図16に示される)。
【0103】
1.4.3 アジュバント系C:3D-MPL
1.4.3.1:アジュバント系C1
3D-MPLの滅菌バルクを、スクロース溶液中、100または200μg/mlで、9.25%の最終濃度に希釈した。STxB-OVAを添加して、20または40μg/mlの抗原濃度を達成した。
【0104】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび5μgの3D-MPL(図16に示される)または0.5μgのSTxB-OVAおよび2.5μgの3D-MPL(結果は示さないが、匹敵する)に相当していた。
【0105】
1.4.3.2:アジュバント系C2
アジュバント系Aについて用いた方法に従ったが、QS21を省略してアジュバントを調製した。
【0106】
STxB-OVAおよびMPLを、10μg/mlの濃度に調整した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび0.5μgのMPLに相当していた。
【0107】
1.4.4 アジュバント系D:水中油乳濁液中の3D-MPLおよびQS21
実施例1.3に記載のように調製された滅菌バルク乳濁液をPBSに添加して、1 mlあたり250または500μl(v/v)の最終濃度の乳濁液を達成した。次いで、3D-MPLを添加して、50または100μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、QS21を添加して、50または100μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、10または40μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0108】
25または50μlの注入量は、0.5または1μgのSTxB-Ova、2.5μgの3D-MPLおよびQS21、12.5μlまたは25μlの乳濁液に相当していた。50μlの注入量を用いる実験を、図11に示す。25μlの注入量を用いる実験は、匹敵する結果を与えた。
【0109】
1.4.5 アジュバント系E:水中油乳濁液中の高用量の3D-MPLおよびQS21
実施例1.3に記載のように調製された滅菌バルク乳濁液をPBSに添加して、1 mlあたり500μl(v/v)の最終濃度の乳濁液を達成した。200μgの3D-MPLおよび200μgのQS21を添加した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、40μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0110】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-Ova、5μgの両免疫刺激剤および12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0111】
1.4.6 アジュバント系F:低水中油乳濁液中の3D-MPLおよびQS21
水中油乳濁液は実施例1.3に記載のものであり、コレステロールを有機相に添加して、1%スクアレン、1%トコフェロール、0.4%Tween 80、および0.05%コレステロールの最終組成を達成した。乳濁液の形成後、3D-MPLを添加して、100μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、QS21を添加して、100μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、40μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。25μlの注入量は、1μgのSTxB-Ova、2.5μgの3D-MPLおよびQS21、2.5μlの乳濁液に相当していた。
【0112】
1.4.7 アジュバント系G:CpG2006
滅菌バルクCpGをPBSまたは150 mM NaCl溶液に添加して、100または200μg/mlの最終濃度を達成した。
【0113】
次いで、STxB-OVAを添加して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マー(mer)であった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1±0.1に調整した。
【0114】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび5μgのCpG(図12A、12Bおよび21)に相当していた。25μlの注入量(0.5μgのSTxB-Ovaおよび5μgのCpGに相当する)を用いて、実験を行った。結果は示さないが、匹敵した。
【0115】
1.4.8 アジュバント系H:QS21、3D-MPLおよびCpG2006
滅菌バルクCpGをPBS溶液に添加して、100μg/mlの最終濃度を達成した。PBSの組成は、9 mM Na2HPO4; 48 mM KH2PO4;100 mM NaCl (pH 6.1)であった。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。最後に、QS21および3D-MPLを、DQMPLinと呼ばれる3D-MPLおよびQS21を含む滅菌バルクSUVのプレミックスとして添加して、10μg/mlの最終3D-MPLおよびQS21濃度を達成した。
【0116】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1±0.1に調整した。
【0117】
50μlの注入量は、1μgのSTxB-Ova、0.5μgの3D-MPLおよびQS21ならびに5μgのCpGに相当していた。次いで、この製剤を、3D-MPL/QS21およびCpGの溶液中に希釈して(それぞれ、10、10および100μg/mlの濃度で)、0.2、0.04および0.008μgの用量のSTxB-OVAを得た(実験に用いたこれらの製剤を図1〜10および13に示す)。
【0118】
図12Aおよび12Bに示された実験においては、CpGの濃度は100μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は10μg/mlであり、STxB-OVAの濃度は10μg/mlであった。
【0119】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21ならびに5μgのCpGに相当していた。
【0120】
1つのさらなる実験においては、CpGの濃度は1000μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は100μg/mlであり、STxB-OVAの濃度は40μg/mlであった。25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVA、2.5μgの3D-MPLおよびQS21ならびに25μgのCpGに相当していた。この実験から得た結果は示さないが、他の濃度の成分について認められた結果に匹敵する。
【0121】
1.4.9 アジュバント系I:QS21およびCpG2006
滅菌バルクCpGをPBSまたは150 mM NaCl溶液に添加して、100または200μg/mlの最終濃度を達成した。PBSの組成は、10 mM PO4、150 mM NaCl (pH 7.4)または9 mM Na2HPO4; 48 mM KH2PO4;100 mM NaCl (pH 6.1)であった。次いで、STxB-OVAを添加して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。最後にQS21を、滅菌バルクSUVとQS21のプレミックス(DQと呼ばれる、実施例1.3.14に記載のように調製)として添加して、10または20μg/mlの最終QS21濃度を達成した。
【0122】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1または7.4±0.1に調整した。
【0123】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、0.5μgのQS21および5μgのCpGに相当していた(図12Aおよび12B)。
【0124】
また、25μlの注入量(0.5μgのSTxB-Ova、0.5μgのQS21および5μgのCpGに相当する)を用いて実験を行った。結果は示さないが、匹敵した。
【0125】
1.4.10 アジュバント系J:Freundの不完全アジュバント(IFA)
IFAを、CALBIOCHEM社から取得した。1分間ボルテックスを用いてIFAを一定量の抗原と共に乳化した。
【0126】
STxB-ovaを、PBS (pH 6.8または7.4)中に40μg/ml濃度で希釈し、そのまま用いるか、またはPBS中で20倍希釈した後、500μl/mlのIFAと混合した。
【0127】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-ovaおよび12.5または0.625μlのIFAに相当していた(図14に示される)。
【0128】
他の実験では、STxB-OVAを、PBS (pH 6.8または7.4)中に10μg/mlで希釈し、500または250μl/mlのIFAと混合した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび12.5または25μlのIFAに相当していた。これらの実験は、図14に示されるものに匹敵した結果を与えた。
【0129】
1.4.11 アジュバント系K:水中油乳濁液
1.4.11.1 アジュバント系K1
滅菌バルク乳濁液を、3D-MPLおよびQS21を省略する以外は実施例1.3に記載のように調製した。
【0130】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。結果を、図16のアジュバント系Kと同様に示す。
【0131】
1.4.11.2 アジュバント系K2
滅菌バルク乳濁液を、3D-MPLおよびQS21を省略する以外はアジュバント系Fに記載のように調製した。
【0132】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび2.5μlのコレステロールを含有する乳濁液に相当していた。
【0133】
結果は示さないが、アジュバント系K1について認められたものに匹敵した。
【0134】
1.4.12 アジュバント系L:ポリI:C
ポリI:C(ポリイノシン酸-ポリシチジル酸)は、Amersham社から市販されているウイルスRNAの合成模倣物質である。いくつかの実験においては、STxB-OVAを150 mM NaClに希釈して、20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクポリI:Cを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。
【0135】
成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0136】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび0.5μgのポリI:Cに相当していた(図15および21に示される)。
【0137】
他の実験においては、STxB-OVAの濃度は10μg/mlであり、ポリI:Cの濃度は20または100μg/mlであった。
【0138】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび1または5μgのポリI:Cに相当していた。これらの実験は、図15および21に示されるものに匹敵した結果を与えた。
【0139】
1.4.13 アジュバント系M:CpG5456
STxB-OVAを150 mM NaClに希釈して、20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクCpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。用いたCpGは、配列:5’- TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G-3’ (CpG 5456)を有する22マーであった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0140】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび5μgのCpGに相当していた。
【0141】
1.4.14 アジュバント系N:QS21およびポリI:C
有機溶媒中の脂質(卵黄由来または合成由来ホスファチジルコリンなど)とコレステロールの混合物を、減圧下(またはあるいは不活性ガス流下)で乾燥させた。次いで、水溶液(リン酸緩衝生理食塩水など)を添加し、全ての脂質が懸濁液中になるまで、容器を攪拌した。次いで、この懸濁液を、リポソームのサイズが約100 nmに低下するまで微小流体化した後、0.2μmフィルターを通して滅菌濾過した。押出または超音波処理をこの工程に代えて行うことができる。
【0142】
典型的には、コレステロール:ホスファチジルコリン比は1:4(w/w)であり、次いで水溶液を添加して、5〜50 mg/mlの最終コレステロール濃度を得た。
【0143】
リポソームは、100 nmの規定のサイズを有し、これをSUV(小単層ベシクル)と呼ぶ。リポソームは、それ自体は長時間安定であり、融合能力を持たない。
【0144】
SUVの滅菌バルクをPBSに添加して、最終濃度100μg/mlのMPLを達成した。水溶液中のQS21をSUVに添加して、100μg/mlの最終QS21濃度を達成した。リポソームとQS21のこの混合物を、DQと呼ぶ。
【0145】
滅菌バルクポリI:C(Amersham、前掲)を150 mM NaClに希釈して、20μg/mlの最終濃度を達成した後、DQを添加して、QS21中で20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0146】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、0.5μgのQS21および0.5μgのポリI:Cに相当していた。
【0147】
1.4.15 アジュバント系O:CpG2006および水中油乳濁液
水中油乳濁液を、実施例1.3に記載のように調製した。
【0148】
滅菌バルク乳濁液をPBSに添加して、最終濃度500μl/ml(v/v)の乳濁液を達成した。次いで、CpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0149】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0150】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0151】
1.4.16 アジュバント系P:CpG2006および水中油乳濁液
水中油乳濁液を、Chiron Behring FluAdワクチンに含まれる取扱説明書に公開された方策に従って調製した。
【0152】
200 mlのH2O中で、36.67 mgのクエン酸と627.4 mgのクエン酸ナトリウム・2H2Oとを混合することにより、クエン酸バッファーを調製した。別途、3.9 gのスクアレンと470 mgのSpan 85を、磁気攪拌下で混合した。
【0153】
470 mgのTween 80を、クエン酸バッファーと混合した。得られた混合物をスクアレン/Span 85混合物に添加し、磁気攪拌しながら「激しく」混合した。最終容量は100 mlであった。
【0154】
次いで、混合物をM110S微小流体化装置(Microfluidics社製)に入れて、油滴のサイズを低下させた。145 nmのz平均を、0.06の多分散性を用いて取得した。このサイズは、以下の技術的条件:
・レーザー波長:532 nm(Zeta3000HS)
・レーザー出力:50 mW(Zeta3000HS)
・90°での散乱光の検出(Zeta3000HS)
・温度:25℃
・期間:ソフトによる自動決定
・数:3個の連続する測定値
・z平均直径:キュムラント分析による
を用いて、Zetasizer 3000HS(Malvern社製)上で得られた。
【0155】
得られた乳濁液の滅菌バルクをPBSに添加して、最終濃度500μl/ml(v/v)の乳濁液を達成した。次いで、CpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0156】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0157】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0158】
1.4.17 アジュバント系Q:CpG2006およびIFA油中水乳濁液
CALBIOCHEM社から取得したIFAをPBSに添加して、最終濃度500μl/ml(v/v)の乳濁液を達成した。次いで、CpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて7.4±0.1に調整した。
【0159】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0160】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0161】
1.4.18 アジュバント系R:CpG2006およびAl(OH)3
Brentag社製のAl(OH)3を、注入用の水に最終濃度1 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、20μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。CpGを添加して、200μg/mlの濃度を達成し、30分間インキュベートした後、NaClを添加して、150 mMの最終濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。
【0162】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0163】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび25μgのAl3+に相当していた。
【0164】
1.4.19 アジュバント系S:CpG2006およびAlPO4
Brentag社製のAlPO4を、注入用の水に最終濃度1 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、20μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。CpGを添加して、200μg/mlの濃度を達成し、30分間インキュベートした後、NaClを添加して、150 mMの最終濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。
【0165】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0166】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび25μgのAl3+に相当していた。
【0167】
1.4.20 アジュバント系T:3D-MPLおよびAl(OH)3
Brentag社製のAl(OH)3を、注入用の水に最終濃度1 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、40または20μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。3D-MPLを添加して、100μg/mlの濃度を達成し、30分間インキュベートした後、NaClを添加して、150 mMの最終濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。
【0168】
25μlの注入量は、1または0.5μgのSTxB-Ova、2.5μgの3D-MPLおよび25μgのAl3+に相当していた。1μgのSTxB-OVAに関する結果を、図16に示す。0.5μgのSTxB-Ovaを注入した実験は示さないが、図16に示されたものに匹敵した結果を与えた。
【0169】
1.4.21 アジュバント系U:TLR2リガンド
用いたTLR2リガンドは、TLR2特異的であると知られるMicrocollections社から購入した細菌リポペプチドである、合成Pam3CysSerLys4であった。STxB-OVAを、150 mM NaClまたはPBS (pH 7.4)に希釈して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクPam3CysSerLys4を添加して、40、100および200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0170】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび5または10μgのPam3CysSerLys4に相当していた(図21に示される5μgに関する結果であり、他の用量のTLR2に関する結果の考察については、3.2.9節を参照されたい)。
【0171】
他の実験においては、25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび1μgのPam3CysSerLys4に相当していた。
【0172】
1.4.22 アジュバント系V:TLR7/8リガンド
用いたTLR7/8リガンドは、レシキモッドまたはR-848 (Cayla)として知られるイミキモッド誘導体であった。R-848は、動物モデルにおいて強力な抗ウイルスおよび抗腫瘍特性を有するイミダゾキノリンファミリーの低分子量化合物である。イミキモッドの活性は、主にIFN-aおよびIL-12などのサイトカインの誘導により媒介される。R-848は、イミキモッドのより強力な類似体である(Akira, S.およびHemmi, H.; IMMUNOLOGY LETTER, 85, (2003), 85-95)。
【0173】
STxB-OVAをPBS (pH 7.4)に希釈して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクR-848を添加して、20および100μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0174】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび1または5μgのR-848に相当していた。他の実験においては、25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび0.5μgのR-848に相当していた。
【0175】
1.4.22 アジュバント系W:AlPO4
1.4.22.1 アジュバント系W1
Brentag社製のAlPO4を、注入用の水に最終濃度0.5 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、10μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた後、NaClを添加して、150 mMの最終塩濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび25μgのAl3+に相当していた。
【0176】
1.4.22.2 アジュバント系W2
Brentag社製のAlPO4を、PBS (pH 7.4)中に最終濃度0.5 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、10μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび25μgのAl3+に相当していた。XXXXXに記載のSDS-PAGEによる試験により、約70%の抗原がAlPPO4上に吸着されなかったことが示された。
【0177】
1.5 抗原/金属塩複合体中での吸着した抗原のレベルの決定
目的の製剤を、6500gで6分間遠心分離する。得られる上清のサンプルを95℃で5分間変性させ、還元サンプルバッファー中のSDS-PAGEゲル上に載せる。アジュバントを含まない抗原のサンプルも載せる。次いで、ゲルを200V、200 mAで1時間泳動する。次いで、ゲルをDaichi法に従って銀染色する。製剤中の遊離抗原のレベルを、アジュバント化製剤に由来するサンプルとアジュバントを含まない抗原とを比較することにより決定する。ウェスタンブロッティングなどの当業界でよく知られる他の技術を用いることもできる。
【0178】
実施例2. 本発明のワクチンを用いるC57/B6マウスのワクチン接種
上記の様々な製剤を用いて、6〜8週齢のC57BL/B6メスマウス(10匹/群)をワクチン接種した。マウスは14日間隔で2回の注入を受け、1、2、3および4週の間に採血した(実際の採血日数については、特定の例を参照)。マウスを筋肉内的にワクチン接種した(最終容量50μlで左腓腹筋に注入)。オボアルブミン組換えアデノウイルスを、1〜5 x 108VPの用量で注入した。
【0179】
ex vivoでのPBLの刺激を、5%FCS(Harlan, Holland)、1μg/mlの各抗マウス抗体CD49dおよびCD28(BD, Biosciences)、2 mM L-グルタミン、1 mMピルビン酸ナトリウム、10μg/ml硫酸ストレプトマイシン、10ユニット/mlペニシリンGナトリウム(Gibco)、10μg/mlストレプトマイシン、50μM B-MEメルカプトエタノールおよび100倍希釈された非必須アミノ酸(これらの添加物は全てGibco Life technologies社製である)を補給したRPMI 1640 (Biowitaker)である完全培地中で行った。ペプチド刺激は常に5%CO2下、37℃で行った。
【0180】
2.1 免疫学的アッセイ:
2.1.1 抗原特異的T細胞の検出
PBLの単離とテトラマーの染色。テトラマーは、オボアルブミン抗原モデル(ova)についてのみ入手可能であり、siinfekl-テトラマーは市販されている(Immunomics Coulter)。血液を後眼窩静脈(retro-orbital vein)から取得し(マウス1匹あたり50μl、10匹のマウス/群)、RPMI+ヘパリン(LEO)培地中に直接希釈した。PBLを、lymphoprep gradient (CEDERLANE)を用いて単離した。次いで、細胞を洗浄し、計数し、最終的に3 x 105個の細胞を1/50最終濃度(f.c.)のCD16/CD32抗体(BD Biosciences)を含む50μlのFACSバッファー(PBS、FCS1%、0.002%NaN3)中に再懸濁した。10分後、50μlのテトラマーミックスを細胞懸濁液に添加した。テトラマーミックスは、1μlのsiinfekl-H2Kbテトラマー-PE (Immunomics Coulter社製)を含み、抗CD8a-PercP (1/100 f.c.)抗体を試験において添加した。次いで、細胞を37℃で10分間静置した後、1回洗浄し、試験あたり、生CD8のゲート内の3000事象が必要である、CELLQuest(商標)ソフトウェアを用いるFACS Calibur(商標)を用いて分析した。
【0181】
2.1.2 細胞内サイトカイン染色(ICS)
2.1.1節に記載のように取得した血液サンプルに対して、ICSを実施した。この技術を、両抗原モデル:ovaおよびHBSに適用する。106個のPBLを、必要に応じて、15マーのHBSペプチドのプール(各ペプチドの1μg/mlのf.c.で用いられる全HBS配列をカバーする54種のペプチド)またはそれぞれ1μg/mlの濃度で存在する15マーのOvaペプチドの17種のプール(11種のMHCクラスI拘束ペプチドおよび6種のMHCクラスII拘束ペプチド)を補給した完全培地中に再懸濁した。2時間後、1μg/mlのBrefeldin-A (BD, Biosciences)を16時間添加し、合計18時間後に、細胞を回収した。細胞を1回洗浄した後、全てBD, Biosciencesで購入した抗マウス抗体で染色した;全てのさらなる工程を、氷上で行った。まず、細胞を50μlのCD16/32溶液(1/50 f.c., FACSバッファー)中で10分間インキュベートした。50μlのT細胞表面マーカーミックスを添加し(1/100 CD8a perCp, 1/100 CD4 APCcy7)、細胞を20分間インキュベートした後、洗浄した。細胞を、200μlのperm/fix溶液(BD, Biosciences)中で固定&透過処理し、perm/washバッファー(BD, Biosciences)中で1回洗浄した後、抗IFNg-APC抗IL2-FITCおよび抗TNFa-PEを用いて4℃で2時間または一晩染色した。試験あたり、生CD8のゲート内の15000事象が必要である、CELLQuest(商標)ソフトウェアを用いるFACS Calibur(商標)を用いて、データを分析した。
【0182】
2.1.3 in vivoで検出された細胞媒介性細胞傷害活性(in vivoでのCMC)
この技術を、両抗原モデル:ovaおよびHBSに適用する。抗原特異的細胞傷害活性を評価するために、免疫したマウスおよび対照マウスに、標的の混合物を注入した。この混合物は、ロードされた、またはされていない、2または3種の差示的CFSE-標識された同系脾臓細胞およびリンパ節集団からなる(グラフ上に示される)。標的を、十分な抗原:1 nM siinfeklペプチドまたはHBSペプチドプール(最終濃度1μg/mlの各ペプチドの54種のペプチドのプール)と共にロードする。差示的標識化のために、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Molecular Probes-Palmoskiら、2002, J. Immunol. 168, 4391-4398)を、0.05μM、0.5または5μMの濃度で用いた。異なる型の標的(2種または3種)を1/1の比でプールし、108個の標的/mlの濃度で再懸濁した。マウス1匹あたり、200μlの標的ミックスを、1回目の注入の15日後に尾静脈に注入した。標的注入の18時間後に、犠牲にした動物から取得した血液(頸静脈)中でのFACS(登録商標)分析により、細胞傷害活性を評価した。それぞれの抗原特異的にロードされた標的細胞の平均溶解率を、以下の式:
【数1】
【0183】
を用いて抗原陰性対照と比較して算出した。
【0184】
注入前標的細胞=in vivoでの注入前にFACSにより獲得された、その場でペプチドパルスされた標的(pre-inj.+)とパルスされていない(pre-inj.-)標的のミックス。
【0185】
補正された標的(+)=注入前のミックス(上記)中のpre-inj+細胞数を考慮に入れるために補正された、in vivoでの注入後にFACSにより獲得された、その場でペプチドパルスされた標的の数。
【0186】
2.1.4 Ag特異的抗体力価(総IgGの個々の分析):ELISA
この技術を、両抗原モデル:ovaおよびHBSに適用する。血清学的分析を15日間評価した。マウス(10匹/群)から後眼窩穿刺により採血した。抗HBSおよび抗ova総IgGを、ELISAにより測定した。96穴プレート(NUNC、免疫吸着プレート)を、抗原を用いて4℃で一晩被覆した(50μl/ウェルのHBS溶液(HBS 10μg/ml, PBS)または50μl/ウェルのova溶液(ova 10μg/ml, PBS))。次いで、プレートを洗浄バッファー(PBS/0.1%Tween 20(Merck))中で洗浄し、100μlの飽和バッファー(PBS/0.1%Tween 20/1%BSA/10%FCS)を用いて37℃で1時間飽和させた。洗浄バッファー中でさらに3回洗浄した後、100μlの希釈されたマウス血清を添加し、37℃で90分間インキュベートした。別に3回洗浄した後、プレートを、飽和バッファー中に1000倍希釈されたビオチン化抗マウス総IgGと共に、37℃でさらに1時間インキュベートした。飽和後、96穴プレートを上記のように再び洗浄した。飽和バッファー中で1000倍希釈されたストレプトアビジンペルオキシダーゼ(Amersham)の溶液を、ウェルあたり50μl添加した。最後の洗浄は、洗浄バッファー中での5段階洗浄であった。最後に、ウェルあたり50μlのTMB(酸性バッファー中の3,3',5,5'-テトラメチルベンズイジン-H2O2の濃度は0.01%である-BIORAD)を添加し、プレートを暗室中、10分間室温で保持した。
【0187】
反応を停止させるために、ウェルあたり50μlの0.4 N H2SO4を添加した。BIORAD社製ELISAプレート読み取り装置により、450/630 nmの波長で吸光度を読み取った。結果を、softmax-proソフトウェアを用いて算出した。
【0188】
2.1.5 B細胞Elispot
脾臓細胞および骨髄細胞を、2回目の注入の78日後に回収し、3μg/mlのCpG2006および50 U/mlのrhIL-2を補給した完全培地中、37℃で5日間培養して、記憶B細胞を、抗体を分泌する形質細胞に分化させた。5日後、96穴フィルタープレートを70%エタノールと共に10分間インキュベートし、洗浄し、オボアルブミン(50μg/ml)またはヤギ抗マウスIg抗血清を用いて被覆した。次いで、これらを完全培地で飽和させた。細胞を収穫し、洗浄し、37℃で1時間、2 x 105細胞/ウェルでプレート上に塗布した。次いで、プレートを4℃で一晩保存した。翌日、PBS Tween 20 (0.1%)でプレートを洗浄することにより、細胞を廃棄した。次いで、ウェルを、PBS中で1/500に希釈された抗IgGビオチン化抗体と共に、37℃で1時間インキュベートし、洗浄し、エクストラビジン-西洋わさびペルオキシダーゼ(4μg/ml)と共に1時間インキュベートした。洗浄工程の後、アミノ-エチル-カルバゾール(AEC)とH2O2の溶液と共に10分間インキュベートすることによりスポットを明らかにし、少量の水でプレートを洗浄することにより固定した。IgGまたはOva特異的IgGを分泌した各細胞は、赤いスポットとして出現する。この結果を、100個の総IgGスポットあたりのova特異的IgGスポットの頻度として表す。
【0189】
3. 結果
以下に記載の結果は、CD8応答の誘導におけるSTxB系の効率が、それを種々のアジュバント系またはそれらの成分のいくつかと組み合わせることにより劇的に改善されたことを示している。
【0190】
3.1 アジュバント系AおよびHに関するデータ
3.1.1 AS AおよびAS Hに関する一次応答の評価
得られた結果は、アジュバントの非存在下では、STxB-ovaを用いる低用量(0.2μg)の免疫化が、ex vivoで検出することができる強力なCD8 T細胞免疫応答を誘導しないことを示している。対照的に、STxB-OVAをアジュバント系AまたはHと組み合わせた場合、強力な免疫応答が観察される。さらに、アジュバント化タンパク質を超える明らかな利点が証明される。
【0191】
アジュバント系AまたはHでアジュバント化されたSTxB-ovaは、強力で持続的な一次応答の誘導において強力である。それは、高い頻度の抗原特異的CD8 T細胞を誘導する(図1-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の7日後に採血した)。さらに、図2(AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の14日後に採血した)は、このsiinfekl特異的CD8応答は依然として、注入後7〜14日目に増加することを示している。これは、アジュバント化タンパク質を用いるワクチン接種の際には観察されないが、むしろ、アデノウイルスなどの生ベクターにより誘導される一次応答に特徴的である。プライミングされた(primed)CD8 T細胞は、容易に分化するエフェクターT細胞であり、これは免疫優勢ペプチドまたはovaペプチドのプールを用いて刺激を行おうと、IFNγを産生する(それぞれ図3および4に示される、AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.2節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の14日後に採血した)。ペプチドプールを用いる再刺激の際に観察されたより高い頻度の応答因子CD8 T細胞は、一次CD8 T細胞レパートリーがクラスI免疫優勢エピトープに限定されないことを示している。さらに、STxB-ovaをアジュバント化した場合のみ、in vivoで高い細胞傷害活性を検出することができる(図5- AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。標的注入の18時間後に上記の2.1.3節に記載のように実行された方法)。
【0192】
最後に、AS Hアジュバント化STxB-ovaにより誘導される一次応答は、図6Bに示されるように、強く持続的である(注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから様々な時点で採血した)。
【0193】
3.1.2 AS AおよびAS Hに関する二次応答の評価
STxB毒素送達系と、強力なアジュバントとを組み合わせることにより、二次免疫応答の豊富さおよび持続性も改善される。これは、追加免疫の47日後の応答を評価することにより最良に実証される。重要なことに、アジュバント化STxB-OVAにより誘導される高いCD8応答は、組換えアデノウイルスを用いる初回免疫/アジュバント化タンパク質を用いる追加免疫戦略により誘導されるものと類似する強度および持続性を示す(図6A-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから2回目の注入の47日後に採血した)。エフェクターT細胞集団に関して、サイトカインを産生するT細胞は依然として、CD4およびCD8 T細胞区画の両方において検出される(図7および8-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.2節に記載のように実行された方法では、マウスから2回目の注入の47日後に採血し、PBLをovaペプチドのプールを用いて刺激した)。さらに、この後の時点で、細胞傷害活性をin vivoで標的注入の4時間後(データは示さない)および24時間後(図9-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.3節に記載のように実行された方法)に依然として検出することができる。
【0194】
体液性応答を、追加免疫の15日および40日後に調査した(図10a- AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.4節に記載のように実行された方法の結果は、10匹の各群についての幾何平均の算出を介して示された)。アジュバントの非存在下では、STxB-ovaのみでは、B細胞応答を誘導することができない。対照的に、試験した両時点で、アジュバント化タンパク質をSTxBとカップリングさせてもさせなくても、等価な抗体力価が検出される。
【0195】
図10B(注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.5節に記載のように実行された方法)においては、注入の78日後に、抗ova記憶B細胞頻度が示される。2回の注入の15および40日後に検出される抗体力価は等価であるが、アジュバント化タンパク質と比較してSTxB-ovaをアジュバント化する場合、より高い頻度の記憶B細胞が検出されるため、記憶B細胞応答の品質は異なる。STxB-ovaのみでは、それ自身、記憶B細胞を誘導することができない。
【0196】
興味深いことに、初回および追加免疫を、14日間隔で行う代わりに42日間隔で与える場合(図20-注入は0.5μgのSTxB-OVAならびに0.5μgの3D-MPLおよびQS21を含んでいた。上記の2.1.4節に記載のように実行された方法)、STxB-OVA AS Aにより誘導される体液性応答は、OVA AS Aよりも高く、これは再び、アジュバント化と組み合わせた場合、ベクター化はより高い頻度のB細胞記憶細胞を誘導し得ることを示唆している。
【0197】
3.1.3 As Hアジュバント系と組み合わせた低用量のSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
図13(注入は0.008、0.04、0.2または1μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の14日後に採血した)は、siinfekl特異的CD8集団を、AS H中で製剤化された、4 ngの抗原に対応する、8 ngのSTxB-ovaの用量の1回の注入の14日後にも依然として検出することができることを示している。これらの結果は、アジュバントとSTxB系の組み合わせた使用が、誘導されるT細胞応答を低下させることなく、抗原用量を有意に低下させることができることを示している。
【0198】
3.2 他のアジュバント系と組み合わせたSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
本発明者らは次に、AS AまたはAS H以外のアジュバント系も、STxBベクター化系と相乗作用するかどうかを見出すことを望んだ。
【0199】
3.2.1 AS A、F、DまたはE STxB ovaワクチンを用いるワクチン接種後の免疫応答の評価
一次応答の評価は、試験したアジュバント系がどんなものでも、アジュバント化STxB-ovaが、高い頻度の抗原特異的TCD8を誘導する(図11-上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の13日後に採血した)ことを明確に示している。注目すべきことに、通常、検出可能なCD8応答をアジュバント化タンパク質を用いる1回の免疫後に検出することができないAS DおよびAS Eについてさえ、これが認められる。アジュバント化STxB-ovaは、サイトカインを分泌するエフェクターT細胞に容易に分化するCD8 T細胞を強力にプライミングする(データは示さない)。
【0200】
3.2.2 アジュバント系の個々の成分と組み合わせたSTxB-OVA(3D-MPL-AS C2、QS21-AS B、CpG2006-AS G)により誘導される免疫応答の評価
本発明者らは次に、in vivoで以前のアジュバント系の様々な成分を評価した。図12A(上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の15日後に採血した)は、STxB-ovaを、QS21などの単一の免疫刺激剤もしくはCpGなどのTLR9リガンドおよびそれほどでないにせよ、3D-MPL(AS C2)などのTLR-4リガンドを用いてアジュバント化する場合、siinfekl特異的CD8集団を検出することができることを示しており、この後者の免疫刺激剤は、図16に示されるように、より高い用量(AS C1)として用いる場合、より効率的であった。上記のように、これらのプライミングされたCD8 T細胞は、サイトカインを分泌するエフェクター細胞に容易に分化する(データは示さない)。各アジュバント成分のみにより誘導される二次CD8応答は等価であるが、STxB-ovaをQS21と少なくとも1種のTLRリガンドの組合せを用いてアジュバント化する場合、より高い応答が観察される(図12B-上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから2回目の注入の6日後に採血した)。
【0201】
3.2.3 アジュバントJまたはアジュバントKと組み合わせたSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
以前に公開された観察とは対照的に、STxB-OVAをIFAなどの乳濁液と組み合わせた場合、CD8応答の増加も観察される。油中水乳濁液であるIFAとの製剤は、用量依存的な様式でCD8応答を増加させる。siinfekl特異的CD8 T細胞の増加した頻度(図14A)は、サイトカイン産生(図14B)および細胞傷害活性(図14C)などのCD8エフェクター機能の改善に対応する。STxB-ovaを水中油乳濁液と組み合わせる場合にも同様の結果が得られる。
【0202】
3.2.4 アジュバント系C1、B、K、FまたはTと組み合わせたSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
本発明者らは次に、AS Tおよびアジュバント系Fの様々な成分を評価した。図16は、STxB-OVAと組み合わせた場合、各成分はsiinfekl特異的CD8 T応答も増加させることを示している。しかしながら、該成分が製剤中で結合している場合、最も高い応答が観察される。
【0203】
3.2.5 アジュバントL、GまたはMと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図15は、STxB-OVAと、カテゴリーBおよびCの代表である、ポリI:C(TLR3)またはCpG配列(TLR9)などのTLRリガンドとの組合せが、siinfekl特異的CD8 T応答の豊富さを有意に増加させることを示している。
【0204】
3.2.6 アジュバント系B、NまたはIと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図17は、STxB-OVAにより誘導されるCD8応答が、QS21のみ、またはTLR3リガンド(ポリI:C)もしくはTLR9リガンド(CpG)と組み合わせたQS21を用いてアジュバント化された場合、明確に改善することを示している。
【0205】
3.2.7 アジュバント系G、O、PまたはQと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図18は、STxB-OVAにより誘導されるCD8応答が、CpGのみ、またはIFAもしくは種々の水中油乳濁液と組み合わせたCpGを用いてアジュバント化された場合、明確に改善することを示している。
【0206】
3.2.8 アジュバント系G、RまたはSと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図19は、STxB-OVAにより誘導されるCD8応答が、CpGのみ、またはAl(OH)3もしくはAlPO4と組み合わせたCpGを用いてアジュバント化された場合、明確に改善することを示している。
【0207】
3.2.9 アジュバント系G、L、UまたはVと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図21は、TLR9および3リガンドに加えて、STxB-OVAとTLR2およびTLR7/8リガンドとの組合せも、siinfekl特異的CD8 T応答の豊富さを有意に増加させることを示している。TLR2リガンドを、0.2〜10μgの用量範囲で試験した。5μg未満の用量では増加が認められなかった。興味深いことに、用量を10μgに増加させた場合、応答の低下が認められた。これを、IL-10などの調節分子を誘導するTLR2リガンドの能力により説明することができる。
【0208】
3.2.10 アジュバント系W1またはW2と組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図22は、STxB-Ovaと、AS W1(抗原をアルミニウム塩に吸着させる製剤中でリン酸アルミニウムを含む)との組合せは、アジュバント化されていないSTxB-ovaペプチドについて認められるものを超える免疫応答のわずかな改善を与えることを示している。しかしながら、例えば、AS W2中に認められるようにリン酸緩衝生理食塩水に溶解されたアルミニウム塩を用いて吸着を行うことにより、抗原のうちのいくらか(この場合、約70%)がアルミニウム塩上に吸着されないように前記組成物を製剤化する場合、アジュバントを用いないSTxB-Ovaにより与えられるものを超える免疫応答の改善が認められる。
【0209】
3.2.11 STxBとコンジュゲートさせたova、遊離抗原としてのHBs、およびアジュバント系Aを含む組成物により誘導される免疫応答の評価
図23〜31は、2種の抗原-Stxとコンジュゲートさせたova、および同じ組成物中に遊離抗原として含まれる酵母により産生され、精製された組換えB型肝炎表面タンパク質(HBs)に対する免疫応答を評価する。この組成物を、アジュバント系Aを用いてアジュバント化した。全適合免疫応答を試験し、抗体を両抗原に対して測定し(図31)、テトラマーの読み出し値を取り(図23)、細胞傷害活性を測定した(図30)。さらに、CD4およびCD8応答を、1回目の注入の7および14日後、ならびに2回目の注入の7日後に測定した(図24〜29)。応答を、全サイトカイン(IFNg/TNFa/IL2)を産生するT細胞として示す。
【0210】
テトラマーの読み出し値は、HBsが遊離抗原として存在する場合、siinfekl特異的応答を認めることができることを示しており、従って、遊離抗原の存在はコンジュゲートされた抗原に対する免疫応答を妨害しないことを確認している。
【0211】
両抗原に対して全ての時点でサイトカイン応答が認められたが、一次応答(CD4およびCD8)ならびにova特異的CD4は非常に低い。STxB結合ovaにより誘導されるCD8 ova特異的応答は、そのコンジュゲートを含む全てのワクチンにおいて高い。予想されるように、Ova特異的CD4応答は、CD8応答よりも低かった。HBsおよびOva特異的T細胞応答は両方とも、2回目の注入の7日後に測定された二次応答において検出可能であった。アジュバント化されたベクターにより誘導されるova特異的T細胞応答に対するHBs抗原の正の影響を認めることができる。
【0212】
両抗原は細胞傷害活性(2回目の注入の26日後、標的注入の16時間後にin vivoで測定)を示し、2回目の注入の15日後に測定される体液性応答をもたらす。これは、遊離抗原またはコンジュゲートされた抗原の存在が、他の抗原に対して認められる免疫応答を妨害しないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の7日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8頻度を示す。
【図2】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8頻度を示す。
【図3】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後に、siinfekl特異的サイトカイン産生CD8 T細胞を介してPBLにおいて評価されたエフェクターT細胞応答の持続性を示す。
【図4】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後に、抗原特異的サイトカイン産生CD8 T細胞を介してPBLにおいて評価されたエフェクターT細胞応答の持続性を示す。
【図5】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後に、in vivoで検出された細胞傷害活性により評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図6A】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図6B】0〜98日目のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8頻度の動力学を示す。
【図7】AS AおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4 T細胞を介して評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図8】AS AおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8 T細胞を介して評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図9】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後にin vivoで検出された細胞傷害活性により評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図10A】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の15および40日後の体液性応答を示す。
【図10B】AS H STxB Ovaの2回目の注入の78日後に脾臓において評価された抗Ova記憶B細胞頻度を示す。
【図11】AS A、AS F、AS D、AS E、STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の13日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図12A】AS A、AS B、AS C、AS G、AS I、およびAS H STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図12B】AS A、AS B、AS C、AS G、AS I、およびAS H STxB-ovaワクチンを用いる2回目の注入の6日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図13】同じ用量のAS Hを用いて製剤化された異なる用量のSTxB-ovaワクチンに関するPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図14A】1回目の注入の14日後にPBLにおいて測定されたAS J(2用量)またはAS Kを用いるSTxB-ovaによりin vivoで誘導された免疫応答の評価における、Siinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図14B】1回目の注入の14日後にPBLにおいて測定されたAS J(2用量)またはAS Kを用いるSTxB-ovaによりin vivoで誘導された免疫応答の評価における、抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度を示す。
【図14C】1回目の注入の14日後にPBLにおいて測定されたAS J(2用量)またはAS Kを用いるSTxB-ovaによりin vivoで誘導された免疫応答の評価における、in vivoで検出されたSiinfekl特異的溶解を示す。
【図15】AS L、AS G、AS M STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図16】AS B、AS C、AS K、AS FまたはAS T STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図17】AS B、AS N、AS I STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図18】AS G、AS O、AS P、AS Q STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図19】AS G、AS R、AS S STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図20】AS A StxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14または42日後に実施された2回目の注入の15日後に検出された体液性応答を示す。
【図21】AS G、AS L、AS U、AS V STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図22】ASW1、ASW2-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図23】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる注入後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度であり、1回目の注入の7日後、1回目の注入の14日後および2回目の注入の7日後のOvaに対するテトラマーの応答を示す。
【図24】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図25】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図26】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の14日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図27】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の14日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図28】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる2回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図29】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる2回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図30】標的注入の16時間後に検出された抗原特異的溶解であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図31】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる2回目の注入の14日後のHBs(上)およびOva(下)に対する抗体応答を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたワクチン組成物、その作製方法および医療におけるその使用を提供する。具体的には、本発明は、第1抗原と複合体化させた志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と、第1抗原と同一か、もしくは異なっていてもよい第2抗原とを含むアジュバント化ワクチン組成物であって、アジュバントと共に製剤化される前記組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,613,882号は、式B--X(式中、Bは志賀毒素のB断片またはその機能的等価物を表し、Xは治療的に重要な1種以上のポリペプチドを表し、該ポリペプチドはBにより媒介される逆行性輸送と適合可能であり、Xのプロセッシングもしくは正確なアドレッシングを確保する)のキメラポリペプチドを開示している。
【0003】
WO02/060937は、式STxB-Z(n)-Cys(式中、StxBは志賀毒素Bサブユニットであり、Zはスルフヒドリル基を有さないアミノ酸リンカーであり、nは0、1、2であるか、またはポリペプチドおよびCysはシステインである)を有する、Gb3受容体を直接的もしくは間接的に標的化するための普遍的ポリペプチド担体を開示する出願である。
【0004】
細胞性応答の支配的な誘導を必要とするワクチンの開発は、依然として挑戦である。細胞性免疫応答の主要なエフェクター細胞であるCD8+ T細胞は病原体に感染した細胞において合成される抗原を認識するため、ワクチン接種の成功にはワクチン被接種者の細胞中での免疫原性抗原の合成が必要である。これを、生弱毒化ワクチンを用いて達成することができるが、これらには有意な限界も存在する。第1に、ワクチン被接種者が免疫抑制されている場合、または病原体自身が免疫抑制を誘導し得る(例えば、ヒト免疫不全ウイルス)場合、感染の危険性が存在する。第2に、いくつかの病原体は、細胞培養物中で増殖させるのが困難であるか、または不可能である(例えば、C型肝炎ウイルス)。不活化全細胞ワクチンまたはミョウバンアジュバント化組換えタンパク質サブユニットワクチンなどの他の現存するワクチンは、CD8応答の誘導因子としては非常に弱い。
【0005】
これらの理由から、代替的な手法が開発されている:生ベクターワクチン、プラスミドDNAワクチン、合成ペプチドまたは特異的アジュバント。生ベクターワクチンは、強力な細胞性応答の誘導においては良好であるが、該ベクターに対する予め存在する(例えば、アデノウイルス)免疫またはワクチンにより誘導された免疫は、追加のワクチン用量の効力を危うくする場合がある(Casimiroら、JOURNAL OF VIROLOGY, 2003年6月, p. 6305-6313)。プラスミドDNAワクチンも、細胞性応答を誘導することができるが(Casimiroら、JOURNAL OF VIROLOGY, 2003年6月, p. 6305-6313)、ヒトにおいては依然として弱く(Mc Conkeyら、Nature Medicine 9, 729-735, 2003)、抗体応答が非常に弱い。さらに、合成ペプチドは現在臨床試験において評価されているが(Khongら、J Immunother 2004;27:472-477)、限られた数のT細胞エピトープをコードするそのようなワクチンの効力は、ワクチン回避突然変異体の出現またはHLA適合患者のための第一選択の必要性により阻害され得る。
【0006】
細菌毒素などの非生ベクターを用いる抗原送達に基づく代替的な手法も記載されてきた。志賀Bベクター化系(STxB)は、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteriae)から誘導された志賀毒素の非毒性Bサブユニットに基づく。この分子は、毒性がないこと、低い免疫原性、CD77受容体を介する標的化およびMHCクラス1拘束抗原提示経路に運搬抗原を導入する能力(Haicheurら(2003) Int. Immunol 15 pp 1161-1171)などの、抗原提示のためのベクターとして使用しやすくなるいくつかの特徴を有する。特に、志賀毒素のBサブユニットへの抗原の物理的結合は、マウスモデルにおいて検出可能なCD8応答を誘導することが示されている(Haicheurら、2000 Journal of Immunology 165 pp 3301-3308; Haicheurら、2003 Int. Immunol 15 pp 1161-1171)。しかしながら、この応答には大量の抗原を3回注入する必要があり(最大80μg、Haicheurら(2003) Int. Immunol 15 pp 1161-1171)、腹腔内投与した場合、Freundの不完全アジュバントと混合することによっても改善することができない(Haicheurら、2000 Journal of Immunology 165 pp 3301-3308)。
【0007】
さらに、上記で考察したように、CD4応答を同時に活性化するか、または特異的抗体応答を生成させながら、CD8応答を活性化することができるワクチン組成物が有利であろう。
【発明の開示】
【0008】
本発明者らは、抗原と複合体化させた志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、少なくとも1種の第2抗原をさらに含む組成物中へのアジュバントの包含が、得られる免疫応答に対して有益な効果を有し得ることを見出した。本発明者らは、アジュバントの包含が、特に、複合体化させた抗原に対する免疫応答の有益な増加を可能にすることを見出した。本発明者らはまた、遊離形態および複合体化された形態の両方での同一抗原の包含が、該抗原に対する細胞性および体液性免疫の両方の活性化を可能にすることも見出した。本発明者らはさらに、複合体化された形態の1種の抗原および遊離形態の1種の抗原の包含が、両抗原に対する細胞性および体液性免疫の活性化を可能にし、それによって完全な免疫応答を提供することを見出した。従って、本発明は、第1抗原と複合体化させた、Gb3受容体に結合することができる志賀毒素の少なくとも1種のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、第1抗原と同一か、もしくは異なっていてもよい1種以上の第2抗原をさらに含み、およびアジュバントをさらに含むワクチン組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特定のアジュバントは、金属塩、水中油乳濁液、Toll様受容体リガンド(特に、Toll様受容体2リガンド、Toll様受容体3リガンド、Toll様受容体4リガンド、Toll様受容体7リガンド、Toll様受容体8リガンドおよびToll様受容体9リガンド)、サポニンまたはその組合せからなる群より選択されるものである。一実施形態においては、前記アジュバントは、唯一のアジュバントとして金属塩を含まない。一実施形態においては、前記アジュバントは、金属塩を含まない。従来技術において証明された状況とは対照的に、本発明者らは、そのような組成物を筋肉内投与しない場合の、志賀毒素(またはその免疫学的に機能的な等価物)および抗原の効果を増加させるFreundの不完全アジュバントの能力を示した。さらに、CD8応答のこの改善は、1回注入した後に、およびより低用量の抗原を用いる場合にも容易に観察される。
【0010】
志賀毒素のBサブユニットおよびその免疫学的に機能的な等価物を、本明細書では本発明のタンパク質と呼ぶ。志賀毒素のBサブユニットの免疫学的に機能的な等価物を、限定されるものではないが、Gb3受容体に結合することができる毒素、毒素サブユニットまたはその機能的断片などのタンパク質と定義する。そのような結合能力を、実施例1.2に記載のアッセイプロトコルに従うことにより決定することができる。Gb3結合は、目的の抗原の好適な輸送を誘導し、それによって、MHCクラス1によるその提示を促進すると考えられる。一実施形態においては、そのようなタンパク質は、志賀毒素のBサブユニットの成熟形態に対して、少なくとも50%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、60%、70%、80%、90%または95%の同一性、例えば、96%、97%、98%または99%のアミノ酸レベルでの同一性を有する。
【0011】
そのような免疫学的に機能的な等価物は、種々のシゲラ種、特に、シゲラ・ディセンテリエから単離された毒素のBサブユニットを含む。さらに、志賀毒素のBサブユニットの免疫学的に機能的な等価物は、他の細菌に由来するGb3受容体に結合することができる相同な毒素を含み、該毒素は、好ましくは、志賀毒素のBサブユニットに対して少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する。例えば、大腸菌に由来するベロ毒素-1(VT1)のBサブユニットは、志賀毒素のBサブユニットと同一である。大腸菌由来VT1およびVT2、ならびに他の細菌により産生される他の志賀様毒素は、in vitroでGb3受容体に結合することが知られており、本発明に関連して用いることができる。本発明に関連して、用語「毒素」とは、それらがヒトに対してもはや毒性的ではないように解毒された毒素、またはヒトにおいて毒性活性を実質的に持たない毒素サブユニットもしくはその断片を意味すると意図される。
【0012】
本発明の組成物は、本発明のタンパク質と複合体化させた抗原に対するCD8特異的免疫応答を改善することができる。本発明のタンパク質と複合体化させた第1抗原とアジュバントを含まない第2抗原とを含む組成物に対する応答、または第1および第2抗原とアジュバントを含む製剤に対する応答と比較した場合の、本発明のタンパク質と複合体化させた第1抗原と、第2抗原とを含み、さらにアジュバントを含む本発明の組成物に対する応答を見ることにより、改善を測定する。改善を、免疫応答のレベルの増加、より低用量の抗原を用いた場合の等価な免疫応答の生成、免疫応答の質の上昇、免疫応答の持続性の増加、または上記の任意の組合せと定義することができる。そのような改善を、1回目の免疫後に認めることができ、および/またはその後の免疫後に認めることができる。
【0013】
本発明の一実施形態においては、低用量の抗原(マウスについては8 ngの抗原)を用いて、そのような免疫応答を誘起させることができる。この実施形態においては、本発明のタンパク質と複合体化させた、アジュバント化抗原は、本発明のタンパク質と複合体化させないアジュバント化抗原、または持続的応答を生じることができない、本発明のタンパク質と複合体化させたが、アジュバントを含まない抗原と比較して持続性が高い一次CD8応答(テトラマー染色、細胞内サイトカイン染色、およびin vivo細胞傷害活性により測定)を誘導することができる。
【0014】
CD8免疫応答は、時間と共に減弱する。ピーク後、ほとんどのエフェクター細胞が死ぬが、記憶細胞は生存する収縮期が存在する。この応答性記憶T細胞集団の確立は、抗原特異的細胞の長期間の検出および追加免疫されるその能力の両方により理解される。
【0015】
好ましくは、アジュバントを、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、アルキルグルコサミニドホスフェート、またはその組合せからなる群より選択する。さらに好ましいアジュバントは、別のアジュバントと組み合わせた金属塩である。アジュバントは、Toll様受容体リガンド、特に、Toll様受容体2、3、4、7、8もしくは9のリガンド、またはサポニン、特に、QS21であるのが好ましい。アジュバント系は、上記一覧に由来する2種以上のアジュバントを含むのがさらに好ましい。具体的には、前記組合せは、サポニン(特に、QS21)アジュバントおよび/またはCpGもしくはCpR(式中、Rは非天然グアノシンヌクレオチドである)などの他の免疫刺激モチーフを含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体9リガンドを含む。他の好ましい組合せは、サポニン(特に、QS21)およびモノホスホリルリピドAもしくはその3脱アシル化誘導体、3D-MPLなどのToll様受容体4リガンド、またはサポニン(特に、QS21)およびアルキルグルコサミニドホスフェートなどのToll様受容体4リガンドを含む。他の好ましい組合せは、TLR3または4リガンドと、TLR8または9リガンドとを含む。一実施形態においては、Toll様受容体リガンドは、受容体アゴニストである。別の実施形態においては、Toll様受容体リガンドは、受容体アンタゴニストである。本明細書および特許請求の範囲を通して用いられる用語「リガンド」とは、受容体に結合することができ、該受容体の活性を上方調節するか、または下方調節する効果を有する実体を意味すると意図される。
【0016】
特に好ましいアジュバントは、3D-MPLとQS21の組合せ(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414)、または他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)である。他の好ましいアジュバント系は、米国特許第6,558,670号、同第6,544,518号に記載の3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0017】
一実施形態においては、前記アジュバントは、Toll様受容体(TLR)4リガンドであり、好ましくは、リピドA誘導体、具体的には、モノホスホリルリピドAまたはより具体的には、3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)などのリガンドである。
【0018】
3D-MPLは、Corixa corporationにより商標MPL(登録商標)の下で販売されており、主にCD4+ T細胞応答を促進し、IFN-g(Th1)表現型を有する。それを、GB 2 220 211 Aに開示された方法に従って製造することができる。化学的には、それは、3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと、3、4、5または6アシル化鎖との混合物である。好ましくは、本発明の組成物においては、小粒子3D-MPLを用いる。小粒子3D-MPLは、0.22μmフィルターを通して滅菌濾過することができるような粒子径を有する。そのような調製物は、国際特許出願WO 94/21292に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、TLR4リガンドであると考えられ、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0019】
OM174 (2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート) (WO 95/14026)。
【0020】
OM294 DP(3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロゲンホスフェート) (WO 99/64301およびWO 00/0462)。
【0021】
OM197 MP-AcDP(3S-,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロゲンホスフェート10-(6-アミノヘキサノエート) (WO 01/46127)。
【0022】
用いることができる他のTLR4リガンドは、WO 98/50399もしくは米国特許第6,303,347号(AGPの調製方法も開示されている)に開示されたものなどのアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、または米国特許第6,764,840号に開示されたようなAGPの製薬上許容し得る塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、いくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。
【0023】
本発明における使用のための別の好ましい免疫刺激剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、1974年にDalsgaardら(「サポニンアジュバント(Saponin adjuvants)」、Archiv. fur die gesamte virusforschung, Vol.44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)によりアジュバント活性を有すると初めて記載された。例えば、QS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)などのQuil Aと関連する毒性を持たずにアジュバント活性を保持するQuil Aの精製された断片が、HPLCにより単離された(EP 0 362 278)。QS-21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮から誘導された天然サポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および顕著なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明に関連して好ましいサポニンである。
【0024】
QS21の特定の製剤が記載されており、特に好ましくは、これらの製剤はステロールをさらに含む(WO 96/33739)。本発明のサポニン形成部分は、ミセル、混合ミセル(胆汁塩のみではないが、主に胆汁塩を含む)の形態で分離していてもよく、またはコレステロールおよび脂質と共に製剤化した場合、ISCOMマトリックス(EP 0 109 942 B1)、ワーム状もしくは環状マルチマー複合体もしくは脂質/層化構造およびラメラなどのリポソームもしくは関連するコロイド状構造の形態にあってもよく、または水中油乳濁液(例えば、WO 95/17210に記載のような)の形態にあってもよい。サポニンは、好ましくは水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と結合していてもよい(WO 98/15287)。好ましくは、サポニンを、リポソーム、ISCOMまたは水中油乳濁液の形態で提供する。
【0025】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたは任意の他のToll様受容体(TLR)9リガンドを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチンにおける使用にとって好ましいオリゴヌクレオチドは、CpG含有オリゴヌクレオチド、好ましくは、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、次いで、グアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、典型的には、デオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態においては、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間結合はジチオリン酸であるか、またはより好ましくは、チオリン酸結合であるが、ホスホジエステルおよび他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。チオリン酸オリゴヌクレオチドまたはジチオリン酸を製造する方法は、米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号およびWO 95/26204に記載されている。
【0026】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。この配列は、チオリン酸修飾されたヌクレオチド間結合を含むのが好ましい。
【0027】
OLIGO 1 (配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
OLIGO 3 (配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
OLIGO 5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。
【0028】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそこでの重要でない欠失または付加を有するような上記の好ましい配列を含んでもよい。
【0029】
代替的な免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドに対する改変を含んでもよい。例えば、WO 0226757およびWO 03507822は、CpG含有免疫刺激性オリゴヌクレオチドのCおよびG部分に対する改変を開示している。
【0030】
本発明において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法(例えば、EP 468520を参照されたい)により合成することができる。都合の良いことには、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0031】
TLR2リガンドの例としては、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が挙げられる。イミキモッドおよびレシキモッドなどのイミダゾキノリンが、公知のTLR7リガンドである。一本鎖RNAも公知のTLRリガンドであるが(ヒトにおいてはTLR8、マウスにおいてはTLR7)、二本鎖RNAおよびポリIC(ポリイノシン-ポリシチジル酸-ウイルスRNAの市販の合成模倣物質)はTLR3リガンドの例である。3D-MPLはTLR4リガンドの例であるが、CPGはTLR9リガンドの例である。
【0032】
一実施形態においては、志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と、第1抗原とを一緒に複合体化させる。複合体化とは、志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と抗原とを、例えば、静電気的もしくは疎水的相互作用または共有結合を介して、物理的に結合させることを意味する。好ましい実施形態においては、志賀毒素のBサブユニットと抗原とを、融合タンパク質(Haicheurら、2000 Journal of Immunology 165 pp 3301-3308)として共有結合させるか、またはWO 02/060937(上掲)に記載の様式で、システイン残基を介して連結する。本発明の実施形態においては、毒素Bあたり、2、3、4、5、6種の抗原分子などの、2種以上の抗原を、それぞれの毒素B分子に連結する。2種以上の抗原をそれぞれの毒素B分子に連結する場合、これらの抗原は全て同じであってもよく、1種以上は他のものと異なっていてもよく、または全ての抗原は互いに異なっていてもよい。
【0033】
抗原自身は、1種以上の目的のエピトープを包含するペプチド、またはタンパク質であってよい。本発明のタンパク質と複合体化させた場合、第1抗原がHIV、結核、クラミジア、HBV、HCV、およびインフルエンザなどの細胞内病原体に対する免疫を提供するように、該第1抗原を選択することが好ましい実施形態である。本発明はまた、良性障害および癌などの増殖性障害に対する明らかな免疫応答を生じ得る抗原についても有用である。
【0034】
好ましくは、本発明のワクチン製剤は、ヒト病原体に対する免疫応答を引き出すことができる抗原または抗原組成物を含み、その抗原または抗原組成物は、HIV-1(p24、tat、nefなどのgagもしくはその断片、gp120もしくはgp160などのエンベロープ、またはこれらの任意の断片)、gDもしくはその誘導体またはHSV1もしくはHSV2に由来するICP27などの極初期タンパク質などのヒトヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス((特に、ヒト)(gBもしくはその誘導体など))、ロタウイルス抗原、エプスタイン・バーウイルス(gp350もしくはその誘導体など)、水痘-帯状疱疹ウイルス(gpI、IIおよびIE63など)、またはB型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎表面抗原もしくはその誘導体)に由来するか、またはA型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスに由来する抗原であるか、またはパラミクソウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(F、GおよびNタンパク質もしくはその誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV6、11、16、18)、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)もしくはインフルエンザウイルス(精製されたタンパク質、もしくはその組換えタンパク質、例えば、HA、NP、NA、もしくはMタンパク質、またはその組合せ)などの他のウイルス病原体に由来するか、またはナイセリア・ゴノレア(N. gonorrhea)およびナイセリア・メニンギティディス(N. meningitidis)などのナイセリア種(例えば、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、アドヘシン);ストレプトコッカス・ピオジェネス(S.pyogenes)(例えば、Mタンパク質もしくはその断片、C5Aプロテアーゼ)、ストレプトコッカス・アガラクチア(S. agalactiae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(S. mutans); ヘモフィルス・デュクレイ(H. ducreyi);モラクセラ・カタラリス(M. catarrhalis)(ブランハメラ・カタラリス(Branhamella catarrhalis)としても知られる)などのモラクセラ種(例えば、高分子量および低分子量アドヘシンおよびインベイシン);ボルデテラ・ペルツシス(B. pertussis)(例えば、ペルタクチン、百日咳毒素もしくはその誘導体、繊維性ヘマグルチニン、アデニル酸シクラーゼ、フィンブリア)、ボルデテラ・パラペルツシス(B. parapertussis)およびボルデテラ・ブロンキセプティカ(B. bronchiseptica)などのボルデテラ種;マイコバクテリウム・ツベルクロシス(M. tuberculosis)(例えば、ESAT6、85A、-Bもしくは-C抗原)、マイコバクテリウム・ボビス(M. bovis)、マイコバクテリウム・レプラ(M. leprae)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・パラツベルクロシス(M. paratuberculosis)、マイコバクテリウム・スメングマティス(M. smengmatis)などのマイコバクテリウム種;レジオネラ・ニューモフィラなどのレジオネラ種;腸毒性大腸菌(例えば、コロニー形成因子、熱不安定毒素もしくはその誘導体、熱安定毒素もしくはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、病原性大腸菌などのエシェリシア種;ビブリオ・コレラ(V. cholera)(例えば、コレラ毒素もしくはその誘導体)などのビブリオ種;シゲラ・ソネイ(S. sonnei)、シゲラ・ディセンテリエ(S. dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(S. flexnerii)などのシゲラ種;エルシニア・エンテロコリティカ(Y. enterocolitica)(例えば、Yopタンパク質)、エルシニア・ペスティス(Y. pestis)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Y. pseudotuberculosis)などのエルシニア種;カンピロバクター・ジェジュニ(C. jejuni)(例えば、毒素、アドヘシンおよびインベイシン)およびカンピロバクター・コリ(C. coli)などのカンピロバクター種;サルモネラ・ティフィ(S. typhi)、サルモネラ・パラティフィ(S. paratyphi)、サルモネラ・コレラスイス(S. choleraesuis)、サルモネラ・エンテリティディス(S. enteritidis)などのサルモネラ種;リステリア・モノサイトジェンス(L. monocytogenes)などのリステリア種;ヘリコバクター・ピロリ(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、細胞空胞化毒素)などのヘリコバクター種;シュードモナス・エルギノーサ(P. aeruginosa)などのシュードモナス種;スタフィロコッカス・オーレウス(S. aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S. epidermidis)などのスタフィロコッカス種;エンテロコッカス・ファカリス(E. faecalis)、エンテロコッカス・ファシウム(E. faecium)などのエンテロコッカス種;クロストリジウム・テタニ(C. tetani)(例えば、破傷風毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ボツリナム(C. botulinum)(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)(例えば、クロストリジウム毒素AもしくはBおよびその誘導体)などのクロストリジウム種;バチルス・アントラシス(B. anthracis)(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)などのバチルス種;コリネバクテリウム・ジフテリア(C. diphtheriae)(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)などのコリネバクテリウム種;ボレリア・ブルグドフェリ(B. burgdorferi)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ガリニ(B. garinii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アフゼリ(B. afzelli)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アンダーソニー(B. andersonii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ヘルムシ(B. hermsii)などのボレリア種;エールリヒア・エクイ(E. equi)などのエールリヒア種およびヒト顆粒球性エールリヒア症の作用因子;リケッチア・リケッチ(R. rickettsii)などのリケッチア種;クラミジア・トラコマティス(C. trachomatis)(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、クラミジア・ニューモニア(C. pneumoniae)(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、クラミジア・シッタシ(C. psittaci)などのクラミジア種;レプトスピラ・インテロガンス(L. interrogans)などのレプトスピラ種;トレポネマ・パリダム(T. pallidum)(例えば、稀な外膜タンパク質)、トレポネマ・デンティコラ(T. denticola)、トレポネマ・ハイオディセンテリー(T. hyodysenteriae)などのトレポネマ種などの細菌病原体から誘導された抗原;またはプラスモジウム・ファルシパルム(P. falciparum)などのプラスモジウム種;トキソプラズマ・ゴンジ(T. gondii)(例えば、SAG2、SAG3、Tg34)などのトキソプラズマ種;エントアメーバ・ヒストリティカ(E. histolytica)などのエントアメーバ種;バベシア・ミクロチ(B. microti)などのバベシア種;トリパノソーマ・クルージ(T. cruzi)などのトリパノソーマ種;ジアルジア・ランブリア(G. lamblia)などのジアルジア種;レーシュマニア・メジャー(L. major)などのレーシュマニア種;ニューモシスティス・カリニ(P. carinii)などのニューモシスティス種;トリコモナス・バギナリス(T. vaginalis)などのトリコモナス種;スキゾストーマ・マンソニ(S. mansoni)などのスキゾストーマ種などの寄生虫から誘導された抗原、またはカンジダ・アルビカンス(C. albicans)などのカンジダ種;クリプトコッカス・ネオフォーマンス(C. neoformans)などのクリプトコッカス種などの酵母から誘導された抗原である。
【0035】
結核菌(M. tuberculosis)のための他の好ましい特異的抗原は、例えば、Tb Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2およびhTCC1 (WO 99/51748)である。結核菌のためのタンパク質としては、少なくとも2種、好ましくは、3種の結核菌のポリペプチドを、より大きいタンパク質に融合させた融合タンパク質およびその変異体も挙げられる。好ましい融合物としては、Ra12-TbH9-Ra35、Erd14-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erd14-DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erd14-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、TbH9-DPV-MTI (WO 99/51748)が挙げられる。
【0036】
クラミジアのための最も好ましい抗原としては、例えば、高分子量タンパク質(HMW)(WO 99/17741)、ORF3(EP 366 412)、および推定膜タンパク質(Pmps)が挙げられる。ワクチン製剤の他のクラミジア抗原を、WO 99/28475に記載の群より選択することができる。
【0037】
好ましい細菌ワクチンは、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)などのストレプトコッカス種から誘導された抗原(例えば、PsaA、PspA、ストレプトリシン、コリン結合タンパク質)およびタンパク質抗原ニューモリシン(Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007; Rubinsら、Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)、ならびにその突然変異解毒誘導体(WO 90/06951; WO 99/03884)を含む。他の好ましい細菌ワクチンは、B型インフルエンザ菌、非分類型インフルエンザ菌などのヘモフィルス種から誘導された抗原、例えば、OMP26、高分子量アドヘシン、P5、P6、Dタンパク質およびリポタンパク質D、ならびにフィンブリンおよびフィンブリン由来ペプチド(米国特許第5,843,464号)またはその複数コピー変異体もしくは融合タンパク質を含む。
【0038】
B型肝炎表面抗原の誘導体は当業界でよく知られており、特に、欧州特許出願EP-A-414 374、EP-A-0304 578、およびEP 198-474に記載のPreS1、PreS2 S抗原が挙げられる。1つの好ましい態様においては、本発明のワクチン製剤は、特にCHO細胞中で発現させた場合、HIV-1抗原、gp120を含む。さらなる実施形態においては、本発明のワクチン製剤は、上記で定義されたgD2tを含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態においては、特許請求されたアジュバントを含むワクチンは、生殖器疣の原因となると考えられるヒトパピローマウイルス(HPV)(HPV6またはHPV11など)、および頸部癌の原因となるHPVウイルス(HPV16、HPV18など)から誘導された抗原を含む。
【0040】
生殖器疣の予防用、または治療用ワクチンの特に好ましい形態は、L1タンパク質、ならびにHPVタンパク質E1、E2、E5、E6、E7、L1およびL2から選択される1種以上の抗原を含む融合タンパク質を含む。
【0041】
融合タンパク質の最も好ましい形態は、WO 96/26277に開示されたL2E7、およびWO 99/10375に開示されたタンパク質D(1/3)-E7である。
【0042】
好ましいHPV頸部感染もしくは癌の予防用または治療用ワクチン組成物は、HPV 16または18抗原を含んでもよい。
【0043】
特定の好ましいHPV 16抗原は、Dタンパク質担体との融合物中に初期タンパク質E6もしくはE7を含み、HPV 16に由来するDタンパク質-E6もしくはE7融合物、またはその組合せ;またはL2とE6もしくはE7の組合せを形成する(WO 96/26277)。
【0044】
あるいは、HPV 16または18の初期タンパク質E6およびE7を、単一の分子、好ましくはDタンパク質-E6/E7融合物中で提供してもよい。そのようなワクチンは、必要に応じて、好ましくはDタンパク質-E6もしくはDタンパク質-E7融合タンパク質またはDタンパク質-E6/E7融合タンパク質の形態の、HPV 18に由来するE6およびE7タンパク質のいずれか、または両方を含んでもよい。
【0045】
本発明のワクチンはさらに、他のHPV株、好ましくは、HPV 31または33株に由来する抗原を含んでもよい。
【0046】
本発明のワクチンはさらに、マラリアを引き起こす寄生虫から誘導された抗原、例えば、スポロゾイト周囲タンパク質(CSタンパク質)、RTS、S、MSP1、MSP3、LSA1、LSA3、AMA1およびTRAPなどのプラスモジウム・ファルシパルムに由来する抗原を含む。RTSは、B型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に、B型肝炎表面抗原のpreS2部分の4個のアミノ酸を介して連結されたP.falciparumのスポロゾイト周囲(CS)タンパク質のC末端部分の実質的に全部を含むハイブリッドタンパク質である。その完全な構造は、英国特許出願第9124390.7号から優先権を主張するWO 93/10152の下で公開された、国際特許出願PCT/EP92/02591に開示されている。酵母中で発現される場合、RTSはリポタンパク質粒子として産生され、HBVに由来するS抗原と共に同時発現される場合、RTS,Sとして知られる混合粒子を産生する。TRAP抗原は、WO 90/01496の下で公開された、国際特許出願PCT/GB89/00895に記載されている。多段階マラリアワクチンの成分の候補となる可能性のある他のプラスモジウム抗原は、P.falciparumのMSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230およびプラスモジウム種におけるその類似体である。本発明の一実施形態は、抗原調製物がRTS,SもしくはCSタンパク質またはRTS,SのCS部分などのその断片と、1種以上のさらなるマラリア抗原とを含み、そのいずれか、または両方を、本発明に従って志賀毒素Bサブユニットに結合させることができるマラリアワクチンである。1種以上のさらなるマラリア抗原を、例えば、MSP1、MSP3、AMA1、LSA1またはLSA3からなる群より選択することができる。
【0047】
前記製剤は、抗腫瘍抗原を含んでもよく、癌の免疫治療的処理にとって有用である。例えば、アジュバント製剤は、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌またはメラノーマに対するものなどの腫瘍拒絶抗原にとって有用である。例示的な抗原としては、MAGE1およびMAGE3もしくは他のMAGE抗原(メラノーマの治療のため)、PRAME、BAGE、またはGAGE(RobbinsおよびKawakami, 1996, Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eyndeら、International Journal of Clinical & Laboratory Research (1997年提出); Correaleら(1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p293)が挙げられる。実際に、これらの抗原は、メラノーマ、肺癌、肉腫および膀胱癌などの様々な腫瘍型で発現される。他の腫瘍特異的抗原も本発明のアジュバントと共に使用するのに好適であり、限定されるものではないが、腫瘍特異的ガングリオシド、前立腺特異的抗原(PSA)もしくはHer-2/neu、KSA (GA733)、PAP、マンマグロビン、MUC-1、癌胎児性抗原(CEA)、p501S(プロステイン)が挙げられる。従って、本発明の一態様においては、本発明に従うアジュバント組成物と、腫瘍拒絶抗原とを含むワクチンが提供される。一態様においては、腫瘍抗原は、Her-2/neuである。
【0048】
ワクチンが、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌またはメラノーマなどの腫瘍抗原を含むのが、本発明の特に好ましい態様である。従って、前記製剤は、腫瘍関連抗原、ならびに腫瘍支援機構(例えば、血管新生、腫瘍侵襲)に関連する抗原を含んでもよい。さらに、癌の治療におけるワクチンにとって特に関連する抗原はまた、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、p501S(プロステイン)、チロシナーゼ、スルビビン、NY-ESO1、プロスターゼ、PS108(WO 98/50567)、RAGE、LAGE、HAGEも含む。さらに、前記抗原は、短い10アミノ酸長のペプチドである全長ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH、WO 95/20600)などの自己ペプチドホルモンであってよく、多くの癌の治療、または免疫去勢(immunocastration)において有用である。
【0049】
本発明のワクチンを、アレルギーの予防または治療に用いることができる。そのようなワクチンは、アレルゲン特異的抗原、例えば、Der p1を含むであろう。
【0050】
本発明の一態様においては、本発明のワクチン組成物は、2種以上の異なる抗原を含み、少なくとも1種の抗原を、本発明のタンパク質と複合体化させる。そのような組成物は、本発明のタンパク質と複合体化させた抗原が病原体に由来する内部抗原であり、そのようなものとして、MHCクラスI提示経路に指向させる必要がある免疫応答を生じさせるのに有用であろう。さらに、前記組成物は、本発明のタンパク質と複合体化されていない少なくとも1種の第2抗原をさらに含む。好ましい態様においては、この第2の複合体化されていない抗原は、抗体応答を生じることができるか、またはMHCクラスII提示経路を介して指向させることができる。この二重手法により、免疫系の多くの異なる部門を可能な限り刺激し、それによって、防御免疫応答を生じる可能性が高くなることが確保される。
【0051】
そのような手法は、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原は、外部病原体抗原(換言すれば、実質的に病原体の外側に露出され、一般的には、免疫系に対して「可視的」である抗原)、例えば、HPVのL1およびL2タンパク質、C型肝炎のE1タンパク質、インフルエンザウイルスのHAもしくはNA、RSVのF、GもしくはSHタンパク質、HBVのHBsタンパク質、HIVのgp120タンパク質、デング熱ウイルスのEタンパク質、VZVのgEタンパク質、CMVのgBタンパク質およびEBVのgp350タンパク質、またはその免疫原性断片であり、一方、本発明のタンパク質と複合体化された抗原は内部病原体抗原である、少なくとも2種の抗原に対する免疫応答を生じさせるのに特に有用であると考えられる。後者の例としては、HPVのE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9抗原、HSVのNS1、NS2、NS3、NS4a、4b、NS5a、5bタンパク質、インフルエンザウイルスマトリックス、核タンパク質、PB1、PB2、PA、NS2もしくはNS1タンパク質、RSVのM1、M2-1、M2-2、L、NS1、NS2、またはPタンパク質もしくは核タンパク質、B型肝炎ウイルスのHBコアタンパク質、HIVのNef、tat、P27、F4もしくはP24タンパク質、CMVのpp65タンパク質またはエプスタイン・バーウイルスの潜伏期関連遺伝子、またはその免疫原性断片が挙げられる。本発明の一実施形態においては、前記抗原は2種の異なる病原体に由来するが、本発明の別の実施形態においては、該抗原は同一病原体に由来する。本発明の別の実施形態においては、複合体化した抗原と遊離の抗原は同一である。この実施形態においては、本発明により提供される1つの利点は、同じ抗原に対するCD8およびCD4応答の提供である。
【0052】
本発明の一実施形態においては、2種の抗原のみが存在し、その1つは本発明のタンパク質と複合体化されておらず、その1つは本発明のタンパク質と複合体化されている。さらなる実施形態においては、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原のみが存在するが、前記組成物は本発明のタンパク質と複合体化されていない2種以上の抗原を含む。さらなる実施形態においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種以上の抗原が存在し、本発明のタンパク質と複合体化された2種以上の抗原が存在する。この実施形態においては、それぞれの複合体化された抗原を、本発明の別のタンパク質と複合体化させるか、または2種以上の抗原、例えば、2、3、4もしくは5種の抗原を、本発明の1種のタンパク質と複合体化させることができる。
【0053】
さらなる実施形態においては、前記組成物、ならびに本発明のタンパク質は、2005年11月30日に出願された同時係属出願UK 0524408.2に記載のさらなるタンパク質を含んでもよい。この出願は、そこに記載されたものと類似する組成物を記載しているが、UK 0524408.2に記載の発明のタンパク質は非生ベクターである(本明細書に記載の志賀毒素タンパク質を除く)。用語「非生ベクター」を、MHCクラスI提示を標的化する抗原送達物質と定義する。この用語は、弱毒化ウイルス、細菌、またはプラスミドDNAなどの複製するベクターを包含することを意図しない。非生ベクターは細菌毒素から誘導されたものであり、すなわち、非生ベクターは解毒された細菌毒素、サブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物である。
【0054】
UK 0524408.2の発明に関連して、用語「毒素」は、それらがヒトに対してもはや毒性的ではないように解毒された毒素、またはヒトにおける毒性活性を実質的に持たない毒素サブユニットもしくはその断片を意味することが意図される。
【0055】
解毒された毒素に基づく好ましい非生ベクターは、炭疽菌の致死因子(LF)のアミノ末端ドメイン、緑膿菌(P. aeruginosa)の外毒素A、大腸菌の不安定毒素(LT)のBサブユニット、および百日咳菌に由来するアデニル酸シクラーゼAである。一実施形態においては、非生ベクターは、大腸菌のI型不安定毒素(LTI)に由来するBサブユニットである。一実施形態においては、非生ベクターは、AB5ファミリーのファミリーである毒素、例えば、LT2、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)ならびに最近同定されたサブチラーゼ細胞毒素(Patonら、J Exp Med 2004, Vol 200 pp 35-46)から誘導されたものである。
【0056】
この実施形態においては、細菌毒素またはその免疫学的に機能的な等価物に基づく非生ベクターも用いて、抗原を複合体化する。かくして、例えば、本発明の組成物は、1種以上の遊離抗原、本発明の1種以上のタンパク質と複合体化させた1種以上の抗原、およびUK 0524408.2に記載の非生ベクターまたはその免疫学的に機能的な等価物と複合体化させた1種以上の抗原を含んでもよい。
【0057】
一実施形態においては、前記抗原はウイルス抗原である。一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化させるのに用いるか、または複合体化されていない形態で用いるための好適なウイルス抗原を、上記の一覧から選択することができる。
【0058】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原は、HPVのL1タンパク質またはその免疫原性断片である。好適なL1タンパク質およびL1タンパク質断片は当業界でよく知られており、例えば、WO2004/056389およびその参考文献に開示されており、それらは全て参照により本明細書に組み入れられるものとする。一態様においては、L1タンパク質は完全長L1である。一態様においては、L1タンパク質は、トランケートされたL1タンパク質である。一態様においては、L1タンパク質は、ウイルス様粒子(VLP)の形態にあり、VLPは完全長L1またはトランケートされたL1から構成される。L1がトランケートされている場合、一態様においては、トランケーションは核局在化シグナルを除去する。一態様においては、トランケーションは、C末端トランケーションである。一態様においては、C末端トランケーションは、50個未満のアミノ酸、例えば、40個未満のアミノ酸を除去する。L1がHPV 16のVLPである場合、一態様においては、C末端トランケーションはHPV 16のL1から34個のアミノ酸を除去する。VLPがHPV 18のVLPである場合、一態様においては、C末端トランケーションは、HPV 18のL1から35個のアミノ酸を除去する。L1を、任意の好適なHPV、例えば、HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68などの癌原性HPV型から選択することができる。
【0059】
トランケートされたL1タンパク質は、好適には、機能的L1タンパク質誘導体である。機能的L1タンパク質誘導体は、免疫応答を生じさせることができ(必要に応じて、好適にアジュバント化された場合)、該免疫応答は、完全長L1タンパク質および/またはL1タンパク質が誘導されたHPV型からなるVLPを認識することができる。
【0060】
本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原がHPVのL1タンパク質またはその免疫原性断片である場合、一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化させた1種の抗原は、HPVのE2タンパク質、もしくはE4タンパク質、もしくはE5タンパク質、もしくはE6タンパク質、もしくはE7タンパク質、またはその免疫原性断片である。
【0061】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、遊離抗原としてHPV 16のL1およびHPV 18のL1、ならびに複合体化された抗原として1種以上のHPV初期タンパク質を含む。好ましくは、HPV 16と18の両方に由来する初期タンパク質が存在する。好ましくは、2種以上の初期タンパク質が存在する。この実施形態の一態様においては、前記組成物は、HPV16のE7およびHPV 18のE7を含む。この実施形態のさらに特定の態様においては、前記組成物は、複合体化された抗原として、HPV16のE2、HPV18のE2、HPV16のE6およびHPV18のE6を含む。この実施形態の一態様においては、HPV16およびHPV18のL1は、VLPの形態で存在する。
【0062】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HCVのE1タンパク質もしくはその免疫原性断片、例えば、そのトランケート、例えば、C末端E1トランケートであり、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、HCVのNS3タンパク質もしくはその免疫原性断片である。
【0063】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、VZVのgEタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、IE63もしくはIE62、またはその免疫原性断片であってよい。
【0064】
一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HCMVのgBタンパク質もしくはその免疫原性断片、またはgHタンパク質もしくはその免疫原性断片である。一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、pp65タンパク質もしくはその免疫原性断片、または主要極初期タンパク質IE1 72、もしくはその免疫原性断片である。
【0065】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、インフルエンザウイルスサブユニット抗原、例えば、NAもしくはHAまたはその免疫原性断片またはその組合せである。さらなる態様においては、インフルエンザスプリット調製物を前記組成物中で用いて、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原を提供することができる。これらの場合における本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、インフルエンザウイルスマトリックスタンパク質、NP、PB1、PB2、PA、NS2もしくはNS1タンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0066】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、RSVのF、GもしくはSHタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、RSVのM1、M2-1、M2-2、L、P、NS1、NS2、Nタンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0067】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HBVのHBsタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、HBコアタンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0068】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、HIVのgp120タンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、HIVのNef、tat、P27、F4もしくはP24タンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0069】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、デング熱ウイルスのEタンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、デング熱ウイルスのNS1タンパク質またはその免疫原性断片であってよい。
【0070】
本発明の一態様においては、本発明のタンパク質と複合体化されていない1種の抗原は、EBVのgp350タンパク質またはその免疫原性断片である。この場合、本発明のタンパク質と複合体化された1種の抗原は、例えば、EBVの潜伏期関連遺伝子産物またはその免疫原性断片であってよい。
【0071】
抗原の免疫原性断片の例としては、例えば、Bおよび/またはT細胞エピトープを含むペプチドが挙げられ、これを用いて免疫応答を刺激することができる。
【0072】
HPVのL1およびHPVのE5などの、同一ウイルスに由来する2種の異なる抗原を用いる場合、一態様においては、該抗原は同一ウイルス型またはサブタイプ、例えば、両方ともHPV16に由来する。この原理を、他のウイルスに由来する抗原の組合せに適用することができる。
【0073】
本発明のさらなる態様においては、本発明のワクチン組成物は、本発明のタンパク質と複合体化させた抗原を含み、遊離抗原、すなわち、本発明のタンパク質と複合体化されていない抗原として同一抗原をさらに含む。
【0074】
本発明の上記態様の全てにおいて、前記ワクチン組成物は、本明細書に記載のアジュバントをさらに含む。
【0075】
各ワクチン用量中の各抗原の量を、典型的なワクチン被接種者において有意かつ有害な副作用を示さずに免疫防御応答を誘導する量として選択する。そのような量は、特定の免疫原を用い、それをどのように提供するかに依存して変化するであろう。組成物が唯一のアジュバントとして金属塩を含む場合、当業者であれば、遊離抗原のレベル(例えば、実施例1.5に記載の方法により測定される)が、免疫防御のための決定量であることを理解できるであろう。
【0076】
一般的には、各ヒト用量は、0.1〜1000μg、好ましくは、0.1〜500μg、好ましくは、0.1〜100μg、最も好ましくは、0.1〜50μgの各抗原を含むと予想される。特定のワクチンのための最適量を、ワクチン接種された被験者における好適な免疫応答の観察を含む標準的な試験により確認することができる。初回のワクチン接種後、被験者は十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。そのようなワクチン製剤を、初回または追加ワクチン接種計画において哺乳動物の粘膜表面に適用することができる;またはあるいは、例えば、経皮、皮下もしくは筋肉内経路を介して、全身投与することができる。筋肉内投与が好ましい。
【0077】
用いる3D-MPLの量は、一般的には小さいが、ワクチン製剤に応じて、用量あたり1〜1000μg、好ましくは、1〜500μg、およびより好ましくは1〜100μgの範囲にあってよい。
【0078】
本発明のアジュバントまたはワクチンにおけるCpGまたは免疫刺激性オリゴヌクレオチドの量は、一般的には小さいが、ワクチン製剤に応じて、用量あたり1〜1000μg、好ましくは、1〜500μg、およびより好ましくは1〜100μgの範囲にあってよい。
【0079】
本発明のアジュバントにおける使用のためのサポニンの量は、用量あたり1〜1000μg、好ましくは、1〜500μg、より好ましくは1〜250μg、および最も好ましくは1〜100μgの範囲にあってよい。
【0080】
本発明の製剤を、予防および治療目的の両方のために用いることができる。従って、本発明は、医療における使用のための本明細書に記載のワクチン組成物を提供する。
【0081】
さらなる実施形態においては、実質的に本明細書に記載された組成物の投与による、疾患に罹りやすいか、または罹患している個体の治療方法が提供される。
【0082】
また、感染性細菌およびウイルス疾患、寄生虫疾患、特に、細胞内病原性疾患、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌もしくはメラノーマなどの増殖性疾患;非癌性慢性障害、アレルギーを含む群から選択される疾患に個体が罹患することを防止する方法であって、実質的に本明細書に記載された組成物を該個体に投与することを含む前記方法も提供される。
【0083】
さらに、哺乳動物に本発明の組成物を投与することを含む、該哺乳動物におけるCD8+抗原特異的免疫応答を誘導する方法が記載される。さらに、抗原と志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物とを混合し、これをアジュバントと混合することを含む、ワクチンの製造方法が提供される。
【0084】
本発明の組合せにおける使用のための好適な製薬上許容し得る賦形剤の例としては、特に、水、リン酸緩衝生理食塩水、等張性緩衝溶液が挙げられる。
【0085】
本明細書で引用された、限定されるものではないが、特許および特許出願などの全刊行物は、それぞれ個々の刊行物が特異的かつ個別に、あたかも完全に説明すると参照により本明細書に組み入れられると指摘されたように、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0086】
本発明を、以下の実施例および図面を参照することにより例示する。全ての図面において、adeno-ova(OVAタンパク質を含むアデノウイルスベクター)を、1回目の注入における陽性対照として用いた。P/B(初回/追加)は、Adeno-Ovaの1回目の注入、およびAS A(図6BにおいてはAS H)中のOvaの2回目の追加注入についての陽性対照である。
【実施例】
【0087】
1. 試薬および培地
1.1 アジュバント化STxB-Ovaの調製
完全長ニワトリオボアルブミンにカップリングされたSTxB:STxB中の規定の受容部位へのタンパク質の化学的カップリングを可能にするために、システインを野生型タンパク質のC末端に付加し、STxB-Cysを得た。組換え突然変異STxB-Cysタンパク質を、以前に記載のように作製した(Haicheurら、2000, J. Immunol. 165, 3301)。リムルスアッセイ試験により決定された内毒素濃度は0.5 EU/ml未満であった。STxB-ovaは、以前に記載されており(Haicheurら、2003, Int. Immunol., 15, 1161-1171)、親切にもLudger JohannesおよびEric Tartour (Curie Institute)により提供された。
【0088】
完全長ニワトリオボアルブミンにカップリングされたStxBを、以下に記載のアジュバント系の各々において製剤化した。
【0089】
1.2 ガラビオース結合アッセイ
志賀毒素のBサブユニットにより優先的に認識されるGb3受容体は、細胞表面のスフィンゴ糖脂質、グロボトリアオシルセラミド(Galα1-4Galβ1-4グルコシルセラミド(式中、Galはガラクトースである))である。以下に記載の方法は、Tarrago-Trani (Protein Extraction and Purification 38, pp 170-176, 2004)により記載されたものに基づいており、市販のガラビオース結合アガロースゲル(calbiochem)上でのアフィニティクロマトグラフィーを含む。ガラビオース(Galα1->4Gal)は、Gb3のオリゴ糖部分の末端炭水化物部分であり、志賀毒素のBサブユニットにより認識される最小の構造であると考えられる。この方法を上手く用いて、大腸菌溶解物から直接的に志賀毒素を精製した。従って、この部分に結合するタンパク質はGb3受容体に結合するであろうと仮定することができる。
【0090】
PBSバッファー(500μl)中の目的のタンパク質を、同じバッファー中で予め平衡化させた100μlの固定ガラビオース樹脂(Calbiochem)と混合し、回転式ホイール上、4℃で30分〜1時間インキュベートする。5000 rpmで1分間、1回目の遠心分離を行った後、ペレットをPBSで2回洗浄する。次いで、結合した材料を、2 x 500μlの100 mMグリシンpH 2.5中に最終ペレットを再懸濁することにより、2回溶出させる。次いで、フロースルーに対応するサンプル、プールした洗浄物およびプールした溶出物を、SDS-PAGE、クマシー染色およびウェスタンブロッティングにより分析する。これらの分析技術により、タンパク質がガラビオースに結合したかどうか、および従って、Gb3受容体に結合するかどうかを同定することができる。
【0091】
1.3 アジュバント系における使用のための水中油乳濁液の調製
水中油乳濁液の調製は、WO 95/17210に記載のプロトコルに従って行った。この乳濁液は、5%スクアレン、5%トコフェロール、2.0%Tween 80を含み、その粒子径は180 nmである。
【0092】
水中油乳濁液の調製(2倍濃縮物)
Tween 80をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解して、PBS中の2%溶液を得た。100 mlの2倍濃縮乳濁液を提供するために、5 gのDLα-トコフェロールおよび5 mlのスクアレンを、完全に混合されるまで攪拌した。90 mlのPBS/Tween溶液を添加し、完全に混合した。次いで、得られた乳濁液を、シリンジを通過させ、M110S微小流体装置を用いることにより、最終的に微小流体化した。得られた油滴は、約180 nmのサイズを有する。
【0093】
1.4 アジュバント系の調製
1.4.1 アジュバント系A:QS21および3D-MPL
有機溶媒中の脂質(卵黄由来もしくは合成由来のホスファチジルコリンなど)およびコレステロールおよび3D-MPLの混合物を、減圧下(またはあるいは不活性ガス流下)で乾燥させた。次いで、水溶液(リン酸緩衝生理食塩水など)を添加し、全ての脂質が懸濁液中になるまで、容器を攪拌した。次いで、リポソームのサイズが約100 nmに低下するまで、この懸濁液を微小流体化した後、0.2μmフィルターを通して滅菌濾過した。押出または超音波処理を、この工程に代えて行うことができる。
【0094】
典型的には、コレステロール:ホスファチジルコリン比は1:4(w/w)であり、水溶液を添加して、5〜50 mg/mlの最終コレステロール濃度を得た。
【0095】
リポソームは、100 nmの規定のサイズを有し、これをSUV(小単層ベシクル)と呼ぶ。リポソームは、それ自体、長時間安定であり、融合能力を持たない。SUVの滅菌バルクをPBSに添加して、最終濃度10、20または100μg/mlの3D-MPLを達成した。PBSの組成は、9 mM Na2HPO4; 48 mM KH2PO4;100 mM NaCl pH 6.1であった。水溶液中のQS21をSUVに添加した。この混合物を、DQMPLinと呼ぶ。次いで、Stx-OVAを添加した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1±0.1に調整した。
【0096】
以下の3.1節に記載の実験においては、StxB-OVAの濃度は4、10、20または100μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は10μg/mlであった。これらの場合、50μlの注入量は、0.2〜5μgのSTxB-OVAならびに0.5μgの3D-MPLおよびQS21に相当していた。0.2μgのSTxB-OVAの注入に関する結果を、図1〜10に示す。また、50μlの注入量が0.5、1および5μgのSTxB-OVAに相当する実験も行った。これらの実験は、図1〜10に示されたものに匹敵する結果を与えた。
【0097】
他の実験においては、STxB-OVAの濃度は20または40μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は20または100μg/mlであった。
【0098】
これらの実験においては、25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAならびに0.5μgの3D-MPLおよびQS21(図12Aおよび12Bに示される)または1μgのSTxB-OVAならびにそれぞれ2.5μgの3D-MPLおよびQS21(図11および20に示される)に相当していた。
【0099】
1.4.2 アジュバント系B:QS21
1.4.2.1:アジュバント系B1
アジュバント系Aについて用いた方法に従ったが、3D-MPLを省略してアジュバントを調製した。
【0100】
STxB-OVAおよびQS21を、10または20μg/mlの濃度に調整した。25または50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび0.5μgのQS21に相当していた(図12A、12Bおよび17に示される)。
【0101】
1.4.2.2:アジュバント系B2
QS21をPBS(pH 6.8)中に100μg/mlの濃度に希釈した後、STxB-OVAを添加して、40μg/mlの最終抗原濃度を達成した。
【0102】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび2.5μgのQS21に相当していた(図16に示される)。
【0103】
1.4.3 アジュバント系C:3D-MPL
1.4.3.1:アジュバント系C1
3D-MPLの滅菌バルクを、スクロース溶液中、100または200μg/mlで、9.25%の最終濃度に希釈した。STxB-OVAを添加して、20または40μg/mlの抗原濃度を達成した。
【0104】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび5μgの3D-MPL(図16に示される)または0.5μgのSTxB-OVAおよび2.5μgの3D-MPL(結果は示さないが、匹敵する)に相当していた。
【0105】
1.4.3.2:アジュバント系C2
アジュバント系Aについて用いた方法に従ったが、QS21を省略してアジュバントを調製した。
【0106】
STxB-OVAおよびMPLを、10μg/mlの濃度に調整した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび0.5μgのMPLに相当していた。
【0107】
1.4.4 アジュバント系D:水中油乳濁液中の3D-MPLおよびQS21
実施例1.3に記載のように調製された滅菌バルク乳濁液をPBSに添加して、1 mlあたり250または500μl(v/v)の最終濃度の乳濁液を達成した。次いで、3D-MPLを添加して、50または100μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、QS21を添加して、50または100μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、10または40μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0108】
25または50μlの注入量は、0.5または1μgのSTxB-Ova、2.5μgの3D-MPLおよびQS21、12.5μlまたは25μlの乳濁液に相当していた。50μlの注入量を用いる実験を、図11に示す。25μlの注入量を用いる実験は、匹敵する結果を与えた。
【0109】
1.4.5 アジュバント系E:水中油乳濁液中の高用量の3D-MPLおよびQS21
実施例1.3に記載のように調製された滅菌バルク乳濁液をPBSに添加して、1 mlあたり500μl(v/v)の最終濃度の乳濁液を達成した。200μgの3D-MPLおよび200μgのQS21を添加した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、40μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0110】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-Ova、5μgの両免疫刺激剤および12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0111】
1.4.6 アジュバント系F:低水中油乳濁液中の3D-MPLおよびQS21
水中油乳濁液は実施例1.3に記載のものであり、コレステロールを有機相に添加して、1%スクアレン、1%トコフェロール、0.4%Tween 80、および0.05%コレステロールの最終組成を達成した。乳濁液の形成後、3D-MPLを添加して、100μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、QS21を添加して、100μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、40μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。25μlの注入量は、1μgのSTxB-Ova、2.5μgの3D-MPLおよびQS21、2.5μlの乳濁液に相当していた。
【0112】
1.4.7 アジュバント系G:CpG2006
滅菌バルクCpGをPBSまたは150 mM NaCl溶液に添加して、100または200μg/mlの最終濃度を達成した。
【0113】
次いで、STxB-OVAを添加して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マー(mer)であった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1±0.1に調整した。
【0114】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび5μgのCpG(図12A、12Bおよび21)に相当していた。25μlの注入量(0.5μgのSTxB-Ovaおよび5μgのCpGに相当する)を用いて、実験を行った。結果は示さないが、匹敵した。
【0115】
1.4.8 アジュバント系H:QS21、3D-MPLおよびCpG2006
滅菌バルクCpGをPBS溶液に添加して、100μg/mlの最終濃度を達成した。PBSの組成は、9 mM Na2HPO4; 48 mM KH2PO4;100 mM NaCl (pH 6.1)であった。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。最後に、QS21および3D-MPLを、DQMPLinと呼ばれる3D-MPLおよびQS21を含む滅菌バルクSUVのプレミックスとして添加して、10μg/mlの最終3D-MPLおよびQS21濃度を達成した。
【0116】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1±0.1に調整した。
【0117】
50μlの注入量は、1μgのSTxB-Ova、0.5μgの3D-MPLおよびQS21ならびに5μgのCpGに相当していた。次いで、この製剤を、3D-MPL/QS21およびCpGの溶液中に希釈して(それぞれ、10、10および100μg/mlの濃度で)、0.2、0.04および0.008μgの用量のSTxB-OVAを得た(実験に用いたこれらの製剤を図1〜10および13に示す)。
【0118】
図12Aおよび12Bに示された実験においては、CpGの濃度は100μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は10μg/mlであり、STxB-OVAの濃度は10μg/mlであった。
【0119】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21ならびに5μgのCpGに相当していた。
【0120】
1つのさらなる実験においては、CpGの濃度は1000μg/mlであり、3D-MPLおよびQS21の濃度は100μg/mlであり、STxB-OVAの濃度は40μg/mlであった。25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVA、2.5μgの3D-MPLおよびQS21ならびに25μgのCpGに相当していた。この実験から得た結果は示さないが、他の濃度の成分について認められた結果に匹敵する。
【0121】
1.4.9 アジュバント系I:QS21およびCpG2006
滅菌バルクCpGをPBSまたは150 mM NaCl溶液に添加して、100または200μg/mlの最終濃度を達成した。PBSの組成は、10 mM PO4、150 mM NaCl (pH 7.4)または9 mM Na2HPO4; 48 mM KH2PO4;100 mM NaCl (pH 6.1)であった。次いで、STxB-OVAを添加して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。最後にQS21を、滅菌バルクSUVとQS21のプレミックス(DQと呼ばれる、実施例1.3.14に記載のように調製)として添加して、10または20μg/mlの最終QS21濃度を達成した。
【0122】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.1または7.4±0.1に調整した。
【0123】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、0.5μgのQS21および5μgのCpGに相当していた(図12Aおよび12B)。
【0124】
また、25μlの注入量(0.5μgのSTxB-Ova、0.5μgのQS21および5μgのCpGに相当する)を用いて実験を行った。結果は示さないが、匹敵した。
【0125】
1.4.10 アジュバント系J:Freundの不完全アジュバント(IFA)
IFAを、CALBIOCHEM社から取得した。1分間ボルテックスを用いてIFAを一定量の抗原と共に乳化した。
【0126】
STxB-ovaを、PBS (pH 6.8または7.4)中に40μg/ml濃度で希釈し、そのまま用いるか、またはPBS中で20倍希釈した後、500μl/mlのIFAと混合した。
【0127】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-ovaおよび12.5または0.625μlのIFAに相当していた(図14に示される)。
【0128】
他の実験では、STxB-OVAを、PBS (pH 6.8または7.4)中に10μg/mlで希釈し、500または250μl/mlのIFAと混合した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび12.5または25μlのIFAに相当していた。これらの実験は、図14に示されるものに匹敵した結果を与えた。
【0129】
1.4.11 アジュバント系K:水中油乳濁液
1.4.11.1 アジュバント系K1
滅菌バルク乳濁液を、3D-MPLおよびQS21を省略する以外は実施例1.3に記載のように調製した。
【0130】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。結果を、図16のアジュバント系Kと同様に示す。
【0131】
1.4.11.2 アジュバント系K2
滅菌バルク乳濁液を、3D-MPLおよびQS21を省略する以外はアジュバント系Fに記載のように調製した。
【0132】
25μlの注入量は、1μgのSTxB-OVAおよび2.5μlのコレステロールを含有する乳濁液に相当していた。
【0133】
結果は示さないが、アジュバント系K1について認められたものに匹敵した。
【0134】
1.4.12 アジュバント系L:ポリI:C
ポリI:C(ポリイノシン酸-ポリシチジル酸)は、Amersham社から市販されているウイルスRNAの合成模倣物質である。いくつかの実験においては、STxB-OVAを150 mM NaClに希釈して、20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクポリI:Cを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。
【0135】
成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0136】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび0.5μgのポリI:Cに相当していた(図15および21に示される)。
【0137】
他の実験においては、STxB-OVAの濃度は10μg/mlであり、ポリI:Cの濃度は20または100μg/mlであった。
【0138】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび1または5μgのポリI:Cに相当していた。これらの実験は、図15および21に示されるものに匹敵した結果を与えた。
【0139】
1.4.13 アジュバント系M:CpG5456
STxB-OVAを150 mM NaClに希釈して、20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクCpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。用いたCpGは、配列:5’- TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G-3’ (CpG 5456)を有する22マーであった。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0140】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび5μgのCpGに相当していた。
【0141】
1.4.14 アジュバント系N:QS21およびポリI:C
有機溶媒中の脂質(卵黄由来または合成由来ホスファチジルコリンなど)とコレステロールの混合物を、減圧下(またはあるいは不活性ガス流下)で乾燥させた。次いで、水溶液(リン酸緩衝生理食塩水など)を添加し、全ての脂質が懸濁液中になるまで、容器を攪拌した。次いで、この懸濁液を、リポソームのサイズが約100 nmに低下するまで微小流体化した後、0.2μmフィルターを通して滅菌濾過した。押出または超音波処理をこの工程に代えて行うことができる。
【0142】
典型的には、コレステロール:ホスファチジルコリン比は1:4(w/w)であり、次いで水溶液を添加して、5〜50 mg/mlの最終コレステロール濃度を得た。
【0143】
リポソームは、100 nmの規定のサイズを有し、これをSUV(小単層ベシクル)と呼ぶ。リポソームは、それ自体は長時間安定であり、融合能力を持たない。
【0144】
SUVの滅菌バルクをPBSに添加して、最終濃度100μg/mlのMPLを達成した。水溶液中のQS21をSUVに添加して、100μg/mlの最終QS21濃度を達成した。リポソームとQS21のこの混合物を、DQと呼ぶ。
【0145】
滅菌バルクポリI:C(Amersham、前掲)を150 mM NaClに希釈して、20μg/mlの最終濃度を達成した後、DQを添加して、QS21中で20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0146】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、0.5μgのQS21および0.5μgのポリI:Cに相当していた。
【0147】
1.4.15 アジュバント系O:CpG2006および水中油乳濁液
水中油乳濁液を、実施例1.3に記載のように調製した。
【0148】
滅菌バルク乳濁液をPBSに添加して、最終濃度500μl/ml(v/v)の乳濁液を達成した。次いで、CpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0149】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0150】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0151】
1.4.16 アジュバント系P:CpG2006および水中油乳濁液
水中油乳濁液を、Chiron Behring FluAdワクチンに含まれる取扱説明書に公開された方策に従って調製した。
【0152】
200 mlのH2O中で、36.67 mgのクエン酸と627.4 mgのクエン酸ナトリウム・2H2Oとを混合することにより、クエン酸バッファーを調製した。別途、3.9 gのスクアレンと470 mgのSpan 85を、磁気攪拌下で混合した。
【0153】
470 mgのTween 80を、クエン酸バッファーと混合した。得られた混合物をスクアレン/Span 85混合物に添加し、磁気攪拌しながら「激しく」混合した。最終容量は100 mlであった。
【0154】
次いで、混合物をM110S微小流体化装置(Microfluidics社製)に入れて、油滴のサイズを低下させた。145 nmのz平均を、0.06の多分散性を用いて取得した。このサイズは、以下の技術的条件:
・レーザー波長:532 nm(Zeta3000HS)
・レーザー出力:50 mW(Zeta3000HS)
・90°での散乱光の検出(Zeta3000HS)
・温度:25℃
・期間:ソフトによる自動決定
・数:3個の連続する測定値
・z平均直径:キュムラント分析による
を用いて、Zetasizer 3000HS(Malvern社製)上で得られた。
【0155】
得られた乳濁液の滅菌バルクをPBSに添加して、最終濃度500μl/ml(v/v)の乳濁液を達成した。次いで、CpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて6.8±0.1に調整した。
【0156】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0157】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0158】
1.4.17 アジュバント系Q:CpG2006およびIFA油中水乳濁液
CALBIOCHEM社から取得したIFAをPBSに添加して、最終濃度500μl/ml(v/v)の乳濁液を達成した。次いで、CpGを添加して、200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。次いで、STxB-OVAを添加して、20μg/mlの最終濃度を達成した。15分後、pHを調べ、必要に応じて、NaOHまたはHClを用いて7.4±0.1に調整した。
【0159】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0160】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび12.5μlの乳濁液に相当していた。
【0161】
1.4.18 アジュバント系R:CpG2006およびAl(OH)3
Brentag社製のAl(OH)3を、注入用の水に最終濃度1 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、20μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。CpGを添加して、200μg/mlの濃度を達成し、30分間インキュベートした後、NaClを添加して、150 mMの最終濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。
【0162】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0163】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび25μgのAl3+に相当していた。
【0164】
1.4.19 アジュバント系S:CpG2006およびAlPO4
Brentag社製のAlPO4を、注入用の水に最終濃度1 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、20μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。CpGを添加して、200μg/mlの濃度を達成し、30分間インキュベートした後、NaClを添加して、150 mMの最終濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。
【0165】
用いたCpGは、以下の配列:5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)を有する24マーであった。
【0166】
25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ova、5μgのCpGおよび25μgのAl3+に相当していた。
【0167】
1.4.20 アジュバント系T:3D-MPLおよびAl(OH)3
Brentag社製のAl(OH)3を、注入用の水に最終濃度1 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、40または20μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。3D-MPLを添加して、100μg/mlの濃度を達成し、30分間インキュベートした後、NaClを添加して、150 mMの最終濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。
【0168】
25μlの注入量は、1または0.5μgのSTxB-Ova、2.5μgの3D-MPLおよび25μgのAl3+に相当していた。1μgのSTxB-OVAに関する結果を、図16に示す。0.5μgのSTxB-Ovaを注入した実験は示さないが、図16に示されたものに匹敵した結果を与えた。
【0169】
1.4.21 アジュバント系U:TLR2リガンド
用いたTLR2リガンドは、TLR2特異的であると知られるMicrocollections社から購入した細菌リポペプチドである、合成Pam3CysSerLys4であった。STxB-OVAを、150 mM NaClまたはPBS (pH 7.4)に希釈して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクPam3CysSerLys4を添加して、40、100および200μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0170】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび5または10μgのPam3CysSerLys4に相当していた(図21に示される5μgに関する結果であり、他の用量のTLR2に関する結果の考察については、3.2.9節を参照されたい)。
【0171】
他の実験においては、25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび1μgのPam3CysSerLys4に相当していた。
【0172】
1.4.22 アジュバント系V:TLR7/8リガンド
用いたTLR7/8リガンドは、レシキモッドまたはR-848 (Cayla)として知られるイミキモッド誘導体であった。R-848は、動物モデルにおいて強力な抗ウイルスおよび抗腫瘍特性を有するイミダゾキノリンファミリーの低分子量化合物である。イミキモッドの活性は、主にIFN-aおよびIL-12などのサイトカインの誘導により媒介される。R-848は、イミキモッドのより強力な類似体である(Akira, S.およびHemmi, H.; IMMUNOLOGY LETTER, 85, (2003), 85-95)。
【0173】
STxB-OVAをPBS (pH 7.4)に希釈して、10または20μg/mlの最終濃度を達成した。次いで、滅菌バルクR-848を添加して、20および100μg/mlの最終濃度を達成した。成分のそれぞれの添加の間に、中間生成物を5分間攪拌した。
【0174】
50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび1または5μgのR-848に相当していた。他の実験においては、25μlの注入量は、0.5μgのSTxB-OVAおよび0.5μgのR-848に相当していた。
【0175】
1.4.22 アジュバント系W:AlPO4
1.4.22.1 アジュバント系W1
Brentag社製のAlPO4を、注入用の水に最終濃度0.5 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、10μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた後、NaClを添加して、150 mMの最終塩濃度を達成した。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび25μgのAl3+に相当していた。
【0176】
1.4.22.2 アジュバント系W2
Brentag社製のAlPO4を、PBS (pH 7.4)中に最終濃度0.5 mg/ml(Al3+)で希釈した。STxB-OVAを、30分間、10μg/mlの濃度でAl3+上に吸着させた。全てのインキュベーションを、回転式振とう下、室温で実施した。50μlの注入量は、0.5μgのSTxB-Ovaおよび25μgのAl3+に相当していた。XXXXXに記載のSDS-PAGEによる試験により、約70%の抗原がAlPPO4上に吸着されなかったことが示された。
【0177】
1.5 抗原/金属塩複合体中での吸着した抗原のレベルの決定
目的の製剤を、6500gで6分間遠心分離する。得られる上清のサンプルを95℃で5分間変性させ、還元サンプルバッファー中のSDS-PAGEゲル上に載せる。アジュバントを含まない抗原のサンプルも載せる。次いで、ゲルを200V、200 mAで1時間泳動する。次いで、ゲルをDaichi法に従って銀染色する。製剤中の遊離抗原のレベルを、アジュバント化製剤に由来するサンプルとアジュバントを含まない抗原とを比較することにより決定する。ウェスタンブロッティングなどの当業界でよく知られる他の技術を用いることもできる。
【0178】
実施例2. 本発明のワクチンを用いるC57/B6マウスのワクチン接種
上記の様々な製剤を用いて、6〜8週齢のC57BL/B6メスマウス(10匹/群)をワクチン接種した。マウスは14日間隔で2回の注入を受け、1、2、3および4週の間に採血した(実際の採血日数については、特定の例を参照)。マウスを筋肉内的にワクチン接種した(最終容量50μlで左腓腹筋に注入)。オボアルブミン組換えアデノウイルスを、1〜5 x 108VPの用量で注入した。
【0179】
ex vivoでのPBLの刺激を、5%FCS(Harlan, Holland)、1μg/mlの各抗マウス抗体CD49dおよびCD28(BD, Biosciences)、2 mM L-グルタミン、1 mMピルビン酸ナトリウム、10μg/ml硫酸ストレプトマイシン、10ユニット/mlペニシリンGナトリウム(Gibco)、10μg/mlストレプトマイシン、50μM B-MEメルカプトエタノールおよび100倍希釈された非必須アミノ酸(これらの添加物は全てGibco Life technologies社製である)を補給したRPMI 1640 (Biowitaker)である完全培地中で行った。ペプチド刺激は常に5%CO2下、37℃で行った。
【0180】
2.1 免疫学的アッセイ:
2.1.1 抗原特異的T細胞の検出
PBLの単離とテトラマーの染色。テトラマーは、オボアルブミン抗原モデル(ova)についてのみ入手可能であり、siinfekl-テトラマーは市販されている(Immunomics Coulter)。血液を後眼窩静脈(retro-orbital vein)から取得し(マウス1匹あたり50μl、10匹のマウス/群)、RPMI+ヘパリン(LEO)培地中に直接希釈した。PBLを、lymphoprep gradient (CEDERLANE)を用いて単離した。次いで、細胞を洗浄し、計数し、最終的に3 x 105個の細胞を1/50最終濃度(f.c.)のCD16/CD32抗体(BD Biosciences)を含む50μlのFACSバッファー(PBS、FCS1%、0.002%NaN3)中に再懸濁した。10分後、50μlのテトラマーミックスを細胞懸濁液に添加した。テトラマーミックスは、1μlのsiinfekl-H2Kbテトラマー-PE (Immunomics Coulter社製)を含み、抗CD8a-PercP (1/100 f.c.)抗体を試験において添加した。次いで、細胞を37℃で10分間静置した後、1回洗浄し、試験あたり、生CD8のゲート内の3000事象が必要である、CELLQuest(商標)ソフトウェアを用いるFACS Calibur(商標)を用いて分析した。
【0181】
2.1.2 細胞内サイトカイン染色(ICS)
2.1.1節に記載のように取得した血液サンプルに対して、ICSを実施した。この技術を、両抗原モデル:ovaおよびHBSに適用する。106個のPBLを、必要に応じて、15マーのHBSペプチドのプール(各ペプチドの1μg/mlのf.c.で用いられる全HBS配列をカバーする54種のペプチド)またはそれぞれ1μg/mlの濃度で存在する15マーのOvaペプチドの17種のプール(11種のMHCクラスI拘束ペプチドおよび6種のMHCクラスII拘束ペプチド)を補給した完全培地中に再懸濁した。2時間後、1μg/mlのBrefeldin-A (BD, Biosciences)を16時間添加し、合計18時間後に、細胞を回収した。細胞を1回洗浄した後、全てBD, Biosciencesで購入した抗マウス抗体で染色した;全てのさらなる工程を、氷上で行った。まず、細胞を50μlのCD16/32溶液(1/50 f.c., FACSバッファー)中で10分間インキュベートした。50μlのT細胞表面マーカーミックスを添加し(1/100 CD8a perCp, 1/100 CD4 APCcy7)、細胞を20分間インキュベートした後、洗浄した。細胞を、200μlのperm/fix溶液(BD, Biosciences)中で固定&透過処理し、perm/washバッファー(BD, Biosciences)中で1回洗浄した後、抗IFNg-APC抗IL2-FITCおよび抗TNFa-PEを用いて4℃で2時間または一晩染色した。試験あたり、生CD8のゲート内の15000事象が必要である、CELLQuest(商標)ソフトウェアを用いるFACS Calibur(商標)を用いて、データを分析した。
【0182】
2.1.3 in vivoで検出された細胞媒介性細胞傷害活性(in vivoでのCMC)
この技術を、両抗原モデル:ovaおよびHBSに適用する。抗原特異的細胞傷害活性を評価するために、免疫したマウスおよび対照マウスに、標的の混合物を注入した。この混合物は、ロードされた、またはされていない、2または3種の差示的CFSE-標識された同系脾臓細胞およびリンパ節集団からなる(グラフ上に示される)。標的を、十分な抗原:1 nM siinfeklペプチドまたはHBSペプチドプール(最終濃度1μg/mlの各ペプチドの54種のペプチドのプール)と共にロードする。差示的標識化のために、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Molecular Probes-Palmoskiら、2002, J. Immunol. 168, 4391-4398)を、0.05μM、0.5または5μMの濃度で用いた。異なる型の標的(2種または3種)を1/1の比でプールし、108個の標的/mlの濃度で再懸濁した。マウス1匹あたり、200μlの標的ミックスを、1回目の注入の15日後に尾静脈に注入した。標的注入の18時間後に、犠牲にした動物から取得した血液(頸静脈)中でのFACS(登録商標)分析により、細胞傷害活性を評価した。それぞれの抗原特異的にロードされた標的細胞の平均溶解率を、以下の式:
【数1】
【0183】
を用いて抗原陰性対照と比較して算出した。
【0184】
注入前標的細胞=in vivoでの注入前にFACSにより獲得された、その場でペプチドパルスされた標的(pre-inj.+)とパルスされていない(pre-inj.-)標的のミックス。
【0185】
補正された標的(+)=注入前のミックス(上記)中のpre-inj+細胞数を考慮に入れるために補正された、in vivoでの注入後にFACSにより獲得された、その場でペプチドパルスされた標的の数。
【0186】
2.1.4 Ag特異的抗体力価(総IgGの個々の分析):ELISA
この技術を、両抗原モデル:ovaおよびHBSに適用する。血清学的分析を15日間評価した。マウス(10匹/群)から後眼窩穿刺により採血した。抗HBSおよび抗ova総IgGを、ELISAにより測定した。96穴プレート(NUNC、免疫吸着プレート)を、抗原を用いて4℃で一晩被覆した(50μl/ウェルのHBS溶液(HBS 10μg/ml, PBS)または50μl/ウェルのova溶液(ova 10μg/ml, PBS))。次いで、プレートを洗浄バッファー(PBS/0.1%Tween 20(Merck))中で洗浄し、100μlの飽和バッファー(PBS/0.1%Tween 20/1%BSA/10%FCS)を用いて37℃で1時間飽和させた。洗浄バッファー中でさらに3回洗浄した後、100μlの希釈されたマウス血清を添加し、37℃で90分間インキュベートした。別に3回洗浄した後、プレートを、飽和バッファー中に1000倍希釈されたビオチン化抗マウス総IgGと共に、37℃でさらに1時間インキュベートした。飽和後、96穴プレートを上記のように再び洗浄した。飽和バッファー中で1000倍希釈されたストレプトアビジンペルオキシダーゼ(Amersham)の溶液を、ウェルあたり50μl添加した。最後の洗浄は、洗浄バッファー中での5段階洗浄であった。最後に、ウェルあたり50μlのTMB(酸性バッファー中の3,3',5,5'-テトラメチルベンズイジン-H2O2の濃度は0.01%である-BIORAD)を添加し、プレートを暗室中、10分間室温で保持した。
【0187】
反応を停止させるために、ウェルあたり50μlの0.4 N H2SO4を添加した。BIORAD社製ELISAプレート読み取り装置により、450/630 nmの波長で吸光度を読み取った。結果を、softmax-proソフトウェアを用いて算出した。
【0188】
2.1.5 B細胞Elispot
脾臓細胞および骨髄細胞を、2回目の注入の78日後に回収し、3μg/mlのCpG2006および50 U/mlのrhIL-2を補給した完全培地中、37℃で5日間培養して、記憶B細胞を、抗体を分泌する形質細胞に分化させた。5日後、96穴フィルタープレートを70%エタノールと共に10分間インキュベートし、洗浄し、オボアルブミン(50μg/ml)またはヤギ抗マウスIg抗血清を用いて被覆した。次いで、これらを完全培地で飽和させた。細胞を収穫し、洗浄し、37℃で1時間、2 x 105細胞/ウェルでプレート上に塗布した。次いで、プレートを4℃で一晩保存した。翌日、PBS Tween 20 (0.1%)でプレートを洗浄することにより、細胞を廃棄した。次いで、ウェルを、PBS中で1/500に希釈された抗IgGビオチン化抗体と共に、37℃で1時間インキュベートし、洗浄し、エクストラビジン-西洋わさびペルオキシダーゼ(4μg/ml)と共に1時間インキュベートした。洗浄工程の後、アミノ-エチル-カルバゾール(AEC)とH2O2の溶液と共に10分間インキュベートすることによりスポットを明らかにし、少量の水でプレートを洗浄することにより固定した。IgGまたはOva特異的IgGを分泌した各細胞は、赤いスポットとして出現する。この結果を、100個の総IgGスポットあたりのova特異的IgGスポットの頻度として表す。
【0189】
3. 結果
以下に記載の結果は、CD8応答の誘導におけるSTxB系の効率が、それを種々のアジュバント系またはそれらの成分のいくつかと組み合わせることにより劇的に改善されたことを示している。
【0190】
3.1 アジュバント系AおよびHに関するデータ
3.1.1 AS AおよびAS Hに関する一次応答の評価
得られた結果は、アジュバントの非存在下では、STxB-ovaを用いる低用量(0.2μg)の免疫化が、ex vivoで検出することができる強力なCD8 T細胞免疫応答を誘導しないことを示している。対照的に、STxB-OVAをアジュバント系AまたはHと組み合わせた場合、強力な免疫応答が観察される。さらに、アジュバント化タンパク質を超える明らかな利点が証明される。
【0191】
アジュバント系AまたはHでアジュバント化されたSTxB-ovaは、強力で持続的な一次応答の誘導において強力である。それは、高い頻度の抗原特異的CD8 T細胞を誘導する(図1-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の7日後に採血した)。さらに、図2(AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の14日後に採血した)は、このsiinfekl特異的CD8応答は依然として、注入後7〜14日目に増加することを示している。これは、アジュバント化タンパク質を用いるワクチン接種の際には観察されないが、むしろ、アデノウイルスなどの生ベクターにより誘導される一次応答に特徴的である。プライミングされた(primed)CD8 T細胞は、容易に分化するエフェクターT細胞であり、これは免疫優勢ペプチドまたはovaペプチドのプールを用いて刺激を行おうと、IFNγを産生する(それぞれ図3および4に示される、AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.2節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の14日後に採血した)。ペプチドプールを用いる再刺激の際に観察されたより高い頻度の応答因子CD8 T細胞は、一次CD8 T細胞レパートリーがクラスI免疫優勢エピトープに限定されないことを示している。さらに、STxB-ovaをアジュバント化した場合のみ、in vivoで高い細胞傷害活性を検出することができる(図5- AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。標的注入の18時間後に上記の2.1.3節に記載のように実行された方法)。
【0192】
最後に、AS Hアジュバント化STxB-ovaにより誘導される一次応答は、図6Bに示されるように、強く持続的である(注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから様々な時点で採血した)。
【0193】
3.1.2 AS AおよびAS Hに関する二次応答の評価
STxB毒素送達系と、強力なアジュバントとを組み合わせることにより、二次免疫応答の豊富さおよび持続性も改善される。これは、追加免疫の47日後の応答を評価することにより最良に実証される。重要なことに、アジュバント化STxB-OVAにより誘導される高いCD8応答は、組換えアデノウイルスを用いる初回免疫/アジュバント化タンパク質を用いる追加免疫戦略により誘導されるものと類似する強度および持続性を示す(図6A-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから2回目の注入の47日後に採血した)。エフェクターT細胞集団に関して、サイトカインを産生するT細胞は依然として、CD4およびCD8 T細胞区画の両方において検出される(図7および8-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.2節に記載のように実行された方法では、マウスから2回目の注入の47日後に採血し、PBLをovaペプチドのプールを用いて刺激した)。さらに、この後の時点で、細胞傷害活性をin vivoで標的注入の4時間後(データは示さない)および24時間後(図9-AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.3節に記載のように実行された方法)に依然として検出することができる。
【0194】
体液性応答を、追加免疫の15日および40日後に調査した(図10a- AS Hについて、注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.4節に記載のように実行された方法の結果は、10匹の各群についての幾何平均の算出を介して示された)。アジュバントの非存在下では、STxB-ovaのみでは、B細胞応答を誘導することができない。対照的に、試験した両時点で、アジュバント化タンパク質をSTxBとカップリングさせてもさせなくても、等価な抗体力価が検出される。
【0195】
図10B(注入は0.2μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.5節に記載のように実行された方法)においては、注入の78日後に、抗ova記憶B細胞頻度が示される。2回の注入の15および40日後に検出される抗体力価は等価であるが、アジュバント化タンパク質と比較してSTxB-ovaをアジュバント化する場合、より高い頻度の記憶B細胞が検出されるため、記憶B細胞応答の品質は異なる。STxB-ovaのみでは、それ自身、記憶B細胞を誘導することができない。
【0196】
興味深いことに、初回および追加免疫を、14日間隔で行う代わりに42日間隔で与える場合(図20-注入は0.5μgのSTxB-OVAならびに0.5μgの3D-MPLおよびQS21を含んでいた。上記の2.1.4節に記載のように実行された方法)、STxB-OVA AS Aにより誘導される体液性応答は、OVA AS Aよりも高く、これは再び、アジュバント化と組み合わせた場合、ベクター化はより高い頻度のB細胞記憶細胞を誘導し得ることを示唆している。
【0197】
3.1.3 As Hアジュバント系と組み合わせた低用量のSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
図13(注入は0.008、0.04、0.2または1μgのSTxB-OVA、0.5μgの3D-MPLおよびQS21、ならびに5μgのCpGを含んでいた。上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の14日後に採血した)は、siinfekl特異的CD8集団を、AS H中で製剤化された、4 ngの抗原に対応する、8 ngのSTxB-ovaの用量の1回の注入の14日後にも依然として検出することができることを示している。これらの結果は、アジュバントとSTxB系の組み合わせた使用が、誘導されるT細胞応答を低下させることなく、抗原用量を有意に低下させることができることを示している。
【0198】
3.2 他のアジュバント系と組み合わせたSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
本発明者らは次に、AS AまたはAS H以外のアジュバント系も、STxBベクター化系と相乗作用するかどうかを見出すことを望んだ。
【0199】
3.2.1 AS A、F、DまたはE STxB ovaワクチンを用いるワクチン接種後の免疫応答の評価
一次応答の評価は、試験したアジュバント系がどんなものでも、アジュバント化STxB-ovaが、高い頻度の抗原特異的TCD8を誘導する(図11-上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の13日後に採血した)ことを明確に示している。注目すべきことに、通常、検出可能なCD8応答をアジュバント化タンパク質を用いる1回の免疫後に検出することができないAS DおよびAS Eについてさえ、これが認められる。アジュバント化STxB-ovaは、サイトカインを分泌するエフェクターT細胞に容易に分化するCD8 T細胞を強力にプライミングする(データは示さない)。
【0200】
3.2.2 アジュバント系の個々の成分と組み合わせたSTxB-OVA(3D-MPL-AS C2、QS21-AS B、CpG2006-AS G)により誘導される免疫応答の評価
本発明者らは次に、in vivoで以前のアジュバント系の様々な成分を評価した。図12A(上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから1回目の注入の15日後に採血した)は、STxB-ovaを、QS21などの単一の免疫刺激剤もしくはCpGなどのTLR9リガンドおよびそれほどでないにせよ、3D-MPL(AS C2)などのTLR-4リガンドを用いてアジュバント化する場合、siinfekl特異的CD8集団を検出することができることを示しており、この後者の免疫刺激剤は、図16に示されるように、より高い用量(AS C1)として用いる場合、より効率的であった。上記のように、これらのプライミングされたCD8 T細胞は、サイトカインを分泌するエフェクター細胞に容易に分化する(データは示さない)。各アジュバント成分のみにより誘導される二次CD8応答は等価であるが、STxB-ovaをQS21と少なくとも1種のTLRリガンドの組合せを用いてアジュバント化する場合、より高い応答が観察される(図12B-上記の2.1.1節に記載のように実行された方法では、マウスから2回目の注入の6日後に採血した)。
【0201】
3.2.3 アジュバントJまたはアジュバントKと組み合わせたSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
以前に公開された観察とは対照的に、STxB-OVAをIFAなどの乳濁液と組み合わせた場合、CD8応答の増加も観察される。油中水乳濁液であるIFAとの製剤は、用量依存的な様式でCD8応答を増加させる。siinfekl特異的CD8 T細胞の増加した頻度(図14A)は、サイトカイン産生(図14B)および細胞傷害活性(図14C)などのCD8エフェクター機能の改善に対応する。STxB-ovaを水中油乳濁液と組み合わせる場合にも同様の結果が得られる。
【0202】
3.2.4 アジュバント系C1、B、K、FまたはTと組み合わせたSTxB-OVAにより誘導される免疫応答の評価
本発明者らは次に、AS Tおよびアジュバント系Fの様々な成分を評価した。図16は、STxB-OVAと組み合わせた場合、各成分はsiinfekl特異的CD8 T応答も増加させることを示している。しかしながら、該成分が製剤中で結合している場合、最も高い応答が観察される。
【0203】
3.2.5 アジュバントL、GまたはMと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図15は、STxB-OVAと、カテゴリーBおよびCの代表である、ポリI:C(TLR3)またはCpG配列(TLR9)などのTLRリガンドとの組合せが、siinfekl特異的CD8 T応答の豊富さを有意に増加させることを示している。
【0204】
3.2.6 アジュバント系B、NまたはIと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図17は、STxB-OVAにより誘導されるCD8応答が、QS21のみ、またはTLR3リガンド(ポリI:C)もしくはTLR9リガンド(CpG)と組み合わせたQS21を用いてアジュバント化された場合、明確に改善することを示している。
【0205】
3.2.7 アジュバント系G、O、PまたはQと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図18は、STxB-OVAにより誘導されるCD8応答が、CpGのみ、またはIFAもしくは種々の水中油乳濁液と組み合わせたCpGを用いてアジュバント化された場合、明確に改善することを示している。
【0206】
3.2.8 アジュバント系G、RまたはSと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図19は、STxB-OVAにより誘導されるCD8応答が、CpGのみ、またはAl(OH)3もしくはAlPO4と組み合わせたCpGを用いてアジュバント化された場合、明確に改善することを示している。
【0207】
3.2.9 アジュバント系G、L、UまたはVと組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図21は、TLR9および3リガンドに加えて、STxB-OVAとTLR2およびTLR7/8リガンドとの組合せも、siinfekl特異的CD8 T応答の豊富さを有意に増加させることを示している。TLR2リガンドを、0.2〜10μgの用量範囲で試験した。5μg未満の用量では増加が認められなかった。興味深いことに、用量を10μgに増加させた場合、応答の低下が認められた。これを、IL-10などの調節分子を誘導するTLR2リガンドの能力により説明することができる。
【0208】
3.2.10 アジュバント系W1またはW2と組み合わせたSTxB-ovaにより誘導される免疫応答の評価
図22は、STxB-Ovaと、AS W1(抗原をアルミニウム塩に吸着させる製剤中でリン酸アルミニウムを含む)との組合せは、アジュバント化されていないSTxB-ovaペプチドについて認められるものを超える免疫応答のわずかな改善を与えることを示している。しかしながら、例えば、AS W2中に認められるようにリン酸緩衝生理食塩水に溶解されたアルミニウム塩を用いて吸着を行うことにより、抗原のうちのいくらか(この場合、約70%)がアルミニウム塩上に吸着されないように前記組成物を製剤化する場合、アジュバントを用いないSTxB-Ovaにより与えられるものを超える免疫応答の改善が認められる。
【0209】
3.2.11 STxBとコンジュゲートさせたova、遊離抗原としてのHBs、およびアジュバント系Aを含む組成物により誘導される免疫応答の評価
図23〜31は、2種の抗原-Stxとコンジュゲートさせたova、および同じ組成物中に遊離抗原として含まれる酵母により産生され、精製された組換えB型肝炎表面タンパク質(HBs)に対する免疫応答を評価する。この組成物を、アジュバント系Aを用いてアジュバント化した。全適合免疫応答を試験し、抗体を両抗原に対して測定し(図31)、テトラマーの読み出し値を取り(図23)、細胞傷害活性を測定した(図30)。さらに、CD4およびCD8応答を、1回目の注入の7および14日後、ならびに2回目の注入の7日後に測定した(図24〜29)。応答を、全サイトカイン(IFNg/TNFa/IL2)を産生するT細胞として示す。
【0210】
テトラマーの読み出し値は、HBsが遊離抗原として存在する場合、siinfekl特異的応答を認めることができることを示しており、従って、遊離抗原の存在はコンジュゲートされた抗原に対する免疫応答を妨害しないことを確認している。
【0211】
両抗原に対して全ての時点でサイトカイン応答が認められたが、一次応答(CD4およびCD8)ならびにova特異的CD4は非常に低い。STxB結合ovaにより誘導されるCD8 ova特異的応答は、そのコンジュゲートを含む全てのワクチンにおいて高い。予想されるように、Ova特異的CD4応答は、CD8応答よりも低かった。HBsおよびOva特異的T細胞応答は両方とも、2回目の注入の7日後に測定された二次応答において検出可能であった。アジュバント化されたベクターにより誘導されるova特異的T細胞応答に対するHBs抗原の正の影響を認めることができる。
【0212】
両抗原は細胞傷害活性(2回目の注入の26日後、標的注入の16時間後にin vivoで測定)を示し、2回目の注入の15日後に測定される体液性応答をもたらす。これは、遊離抗原またはコンジュゲートされた抗原の存在が、他の抗原に対して認められる免疫応答を妨害しないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の7日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8頻度を示す。
【図2】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8頻度を示す。
【図3】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後に、siinfekl特異的サイトカイン産生CD8 T細胞を介してPBLにおいて評価されたエフェクターT細胞応答の持続性を示す。
【図4】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後に、抗原特異的サイトカイン産生CD8 T細胞を介してPBLにおいて評価されたエフェクターT細胞応答の持続性を示す。
【図5】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後に、in vivoで検出された細胞傷害活性により評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図6A】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図6B】0〜98日目のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8頻度の動力学を示す。
【図7】AS AおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4 T細胞を介して評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図8】AS AおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8 T細胞を介して評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図9】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の47日後にin vivoで検出された細胞傷害活性により評価されたエフェクターT細胞応答を示す。
【図10A】AS A STxB OvaおよびAS H STxB Ovaワクチンを用いる2回目の注入の15および40日後の体液性応答を示す。
【図10B】AS H STxB Ovaの2回目の注入の78日後に脾臓において評価された抗Ova記憶B細胞頻度を示す。
【図11】AS A、AS F、AS D、AS E、STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の13日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図12A】AS A、AS B、AS C、AS G、AS I、およびAS H STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の15日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図12B】AS A、AS B、AS C、AS G、AS I、およびAS H STxB-ovaワクチンを用いる2回目の注入の6日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図13】同じ用量のAS Hを用いて製剤化された異なる用量のSTxB-ovaワクチンに関するPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図14A】1回目の注入の14日後にPBLにおいて測定されたAS J(2用量)またはAS Kを用いるSTxB-ovaによりin vivoで誘導された免疫応答の評価における、Siinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図14B】1回目の注入の14日後にPBLにおいて測定されたAS J(2用量)またはAS Kを用いるSTxB-ovaによりin vivoで誘導された免疫応答の評価における、抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度を示す。
【図14C】1回目の注入の14日後にPBLにおいて測定されたAS J(2用量)またはAS Kを用いるSTxB-ovaによりin vivoで誘導された免疫応答の評価における、in vivoで検出されたSiinfekl特異的溶解を示す。
【図15】AS L、AS G、AS M STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図16】AS B、AS C、AS K、AS FまたはAS T STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図17】AS B、AS N、AS I STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図18】AS G、AS O、AS P、AS Q STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図19】AS G、AS R、AS S STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図20】AS A StxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14または42日後に実施された2回目の注入の15日後に検出された体液性応答を示す。
【図21】AS G、AS L、AS U、AS V STxB-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図22】ASW1、ASW2-ovaワクチンを用いる1回目の注入の14日後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度を示す。
【図23】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる注入後のPBLにおけるSiinfekl特異的CD8の頻度であり、1回目の注入の7日後、1回目の注入の14日後および2回目の注入の7日後のOvaに対するテトラマーの応答を示す。
【図24】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図25】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図26】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の14日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図27】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる1回目の注入の14日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図28】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる2回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD4の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図29】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる2回目の注入の7日後のPBLにおける抗原特異的サイトカイン産生CD8の頻度(%)であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図30】標的注入の16時間後に検出された抗原特異的溶解であり、上のグラフはHBs応答を示し、下のグラフはOva応答を示す。
【図31】STx-Ovaおよび遊離抗原としてHBsを含むASAアジュバント化組成物を用いる2回目の注入の14日後のHBs(上)およびOva(下)に対する抗体応答を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の第1抗原と複合体化された、Gb3受容体に結合することができる志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、少なくとも1種の第2抗原とアジュバントとをさらに含むワクチン組成物。
【請求項2】
志賀毒素のBサブユニットの免疫学的に機能的な等価物が、志賀毒素のBサブユニットと少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
ベクターが志賀毒素のBサブユニットまたはその機能的断片である、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
ベクターがベロ毒素-1のBサブユニットまたはその機能的断片である、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
アジュバントが金属塩、水中油乳濁液、Toll様受容体リガンド、サポニンまたはその組合せからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
アジュバントがToll様受容体リガンドである、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
アジュバントがToll様受容体アゴニストである、請求項6に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記抗原とBサブユニットを共有結合させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記抗原を、システイン残基を介して毒素に結合させる、請求項8に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
アジュバントが、金属塩、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、アルキルグルコサミニドホスフェート、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組合せからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
サポニンを、リポソーム、Iscom、または水中油乳濁液の形態で提供する、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
サポニンがQS21である、請求項10または11に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
リピドA誘導体が、モノホスホリルリピドA、3-脱アシル化モノホスホリルリピドA、アルキルグルコサミニドホスフェート、OM174、OM197、OM294から選択される、請求項10、11または12に記載のワクチン組成物。
【請求項14】
アジュバントが、下記の群:
i)サポニン、
ii)Toll様受容体4リガンド、および
iii)Toll様受容体9リガンド、
のうちの2つに由来する少なくとも1つの組合せである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
サポニンがQS21であり、Toll様受容体4リガンドが3-脱アシル化モノホスホリルリピドAであり、Toll様受容体9リガンドがCpG含有免疫刺激性オリゴヌクレオチドである、請求項14に記載のワクチン組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の第1抗原と少なくとも1種の第2抗原が同一の抗原である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項17】
前記抗原を、細胞内病原体または増殖性疾患から選択される疾患群に対する免疫を提供する抗原群から選択する、請求項16に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の第1抗原と少なくとも1種の第2抗原が異なる、請求項1〜17のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項19】
第1抗原がHCVに由来するNS3である、請求項18に記載のワクチン組成物。
【請求項20】
第2抗原がHCVに由来するE1である、請求項19に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
医療における使用のための、少なくとも1種の第1抗原を有する志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物、少なくとも1種の第2抗原およびアジュバントを含むワクチン組成物。
【請求項22】
疾患の予防または治療のためのワクチンの製造における、志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物および少なくとも1種の第1抗原および少なくとも1種の第2抗原およびアジュバントの使用。
【請求項23】
抗原特異的CD8応答の誘起のための請求項22に記載の使用。
【請求項24】
疾患に罹患しているか、または疾患に罹りやすい患者に、請求項1〜20のいずれか1項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、疾患を治療または予防する方法。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のワクチンの患者への投与を含む、抗原特異的CD8免疫応答を誘起させるための方法。
【請求項26】
志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と組み合わせた抗原を、さらなる抗原およびアジュバントと混合する、請求項1〜20のいずれか1項に記載のワクチンの製造方法。
【請求項1】
少なくとも1種の第1抗原と複合体化された、Gb3受容体に結合することができる志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物を含み、少なくとも1種の第2抗原とアジュバントとをさらに含むワクチン組成物。
【請求項2】
志賀毒素のBサブユニットの免疫学的に機能的な等価物が、志賀毒素のBサブユニットと少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
ベクターが志賀毒素のBサブユニットまたはその機能的断片である、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
ベクターがベロ毒素-1のBサブユニットまたはその機能的断片である、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
アジュバントが金属塩、水中油乳濁液、Toll様受容体リガンド、サポニンまたはその組合せからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
アジュバントがToll様受容体リガンドである、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
アジュバントがToll様受容体アゴニストである、請求項6に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記抗原とBサブユニットを共有結合させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記抗原を、システイン残基を介して毒素に結合させる、請求項8に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
アジュバントが、金属塩、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、アルキルグルコサミニドホスフェート、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組合せからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
サポニンを、リポソーム、Iscom、または水中油乳濁液の形態で提供する、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
サポニンがQS21である、請求項10または11に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
リピドA誘導体が、モノホスホリルリピドA、3-脱アシル化モノホスホリルリピドA、アルキルグルコサミニドホスフェート、OM174、OM197、OM294から選択される、請求項10、11または12に記載のワクチン組成物。
【請求項14】
アジュバントが、下記の群:
i)サポニン、
ii)Toll様受容体4リガンド、および
iii)Toll様受容体9リガンド、
のうちの2つに由来する少なくとも1つの組合せである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
サポニンがQS21であり、Toll様受容体4リガンドが3-脱アシル化モノホスホリルリピドAであり、Toll様受容体9リガンドがCpG含有免疫刺激性オリゴヌクレオチドである、請求項14に記載のワクチン組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の第1抗原と少なくとも1種の第2抗原が同一の抗原である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項17】
前記抗原を、細胞内病原体または増殖性疾患から選択される疾患群に対する免疫を提供する抗原群から選択する、請求項16に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の第1抗原と少なくとも1種の第2抗原が異なる、請求項1〜17のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項19】
第1抗原がHCVに由来するNS3である、請求項18に記載のワクチン組成物。
【請求項20】
第2抗原がHCVに由来するE1である、請求項19に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
医療における使用のための、少なくとも1種の第1抗原を有する志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物、少なくとも1種の第2抗原およびアジュバントを含むワクチン組成物。
【請求項22】
疾患の予防または治療のためのワクチンの製造における、志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物および少なくとも1種の第1抗原および少なくとも1種の第2抗原およびアジュバントの使用。
【請求項23】
抗原特異的CD8応答の誘起のための請求項22に記載の使用。
【請求項24】
疾患に罹患しているか、または疾患に罹りやすい患者に、請求項1〜20のいずれか1項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、疾患を治療または予防する方法。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のワクチンの患者への投与を含む、抗原特異的CD8免疫応答を誘起させるための方法。
【請求項26】
志賀毒素のBサブユニットまたはその免疫学的に機能的な等価物と組み合わせた抗原を、さらなる抗原およびアジュバントと混合する、請求項1〜20のいずれか1項に記載のワクチンの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2009−517421(P2009−517421A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542661(P2008−542661)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011469
【国際公開番号】WO2007/062831
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011469
【国際公開番号】WO2007/062831
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
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