説明

ワークの位置決め、搬送装置

【課題】正確な位置決め状態を維持したままでワークの搬送を行う得る装置を提案する。
【解決手段】搬送すべきワーク1を順次に載置、配列する移送テーブル2と、この移送テーブル2に載置、配列されたワーク1のそれぞれの後端に当接する櫛歯状のアーム3aを有し、前後、左右への移動を可能として該ワーク1の一群を定ピッチでもって間欠的にラインの下流に向けて移動させるスライダー3とを備え、前記移送テーブル2に、各ワーク1をそれぞれ極わずかに吸引して移送テーブル2上での載置姿勢を確定、位置決めする複数の吸引開口Kを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの位置決め、搬送装置に関するものであり、移送テーブルに載置、配列された複数のワークを、正確に位置決めされた配列姿勢を維持したままラインの下流へ向けて搬送しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料等の内容物を充填したケーキ皿(ポイントメーク用皿、ファンデーション用皿)は、ベルトコンベア等の移送手段に載置、配列された状態でラインに沿って移送させてゆき、所定のポジションに到達したところで、加飾のためにプレス品の表面に模様や塗装(グラデーション塗装やマスキング塗装等)の二次的な処理、加工が施されている。
【0003】
ところで、上記のようなケーキ皿は、薄くて軽い素材でできていることから、移送過程における振動や衝撃あるいは移動時の慣性力によって載置、配列姿勢が乱れやすく、所定のポジションにて処理、加工を施す際にはケーキ皿と同一形状になるホルダーに入れ込んで位置決めする作業が不可欠であり、また、ケーキ皿は商品毎にサイズや形状が異なるため、これに対応したホルダーを多数用意しておく必要もあって効率的な生産性が望めない状況にあった。
【0004】
この点に関連する先行技術としては、隣接するコンベヤチェン列の間に容器底部を吸引する吸引溝路を設けて真空で吸引することで容器集合の転倒を防止するようにした容器集合装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−312835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ケーキ皿等のワークを、そのサイズや形状にかかわりなく処理、加工しやすい載置、配列姿勢に正確に位置決めしたままラインに沿って移動させることができる新規な装置を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、搬送すべきワークを順次に載置、配列する移送テーブルと、この移送テーブルに載置、配列されたワークのそれぞれの後端に当接する櫛歯状のアームを有し、前後、左右への移動を可能として該ワークの一群を定ピッチでもって間欠的にラインの下流に向けて移動させるスライダーとを備え、
前記移送テーブルに、各ワークをそれぞれ極わずかに吸引して移送テーブル上での載置、配列姿勢を確定、位置決めする複数の吸引開口を設けたことを特徴とするワークの位置決め、搬送装置である。
【0007】
上記の構成になる装置において、前記移送テーブルは、複数の吸引開口を有しその上にワークを載置、配列する天壁と、この天板につながる側壁と、この側壁につながり天壁及び側壁とともに協働して減圧用の内部空間を区画形成する底壁とにて構成することができる。
【0008】
また、上記の装置には、移送テーブルに載置、配列されたワークの側端に当接させて該ワークをラインに沿って案内する先端部を備え、該移送テーブルに接近、離隔する向きに移動可能なガイドを設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
移送テーブルの上に載置、配列されたワークは、該移送テーブルに常に極わずかに吸引された状態(スライダーによる移動に支障がない程度の吸引)にあり、振動や衝撃等によって簡単にずれることがなく、正確に位置決めされたまま処理、加工ポジションに搬送されるためワークの位置決めを改めて行う作業が不要であり、それに使用するホルダーもいらない。
【0010】
ワークを案内、誘導するガイドを、移送テーブルに近接、離隔する向きに移動できるようにしておくことで、処理、加工ポジションを広くすることが可能となり各種の処理、加工が行ないやすくなる(自由度が増える)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明にしたがうワークの位置決め、搬送装置の実施の形態を模式的に示した外観斜視図であり、1は搬送すべきワーク(以下、ケーキが装填され、プレス品となっているものを含めて単にケーキ皿という)、2はケーキ皿1を載置、一直線に配列する移送テーブルである。
【0012】
移送テーブル2は、複数の吸引開口Kを有しその上にケーキ皿1を載置、配列する天壁2aと、この天壁2aにつながる側壁2bと、この側壁2bにつながり天壁2a及び側壁2bと協働して減圧用の内部空間Mを区画形成する底壁2cからなり、該底壁2cには内部空間Mを減圧するブロアーにつながる吸引経路Mが設けられ、吸引開口Kにおいてワーク1が載置されたとき、該ワーク1は天壁2aに極わずかに吸引されるようになっている。
【0013】
また、3はケーキ皿1が配置された同一平面内で前後(図中X方向)、左右(図中Y方向)に移動可能で、かつ、該ケーキ皿1の一群を定ピッチでもって間欠的にラインの下流に向けて移動させるスライダーである(駆動機構は図示せず)。このスライダー3はケーキ皿1の後端に当接する櫛歯状のアーム3aを有する。
【0014】
4は移送テーブル2に載置、配列されたケーキ皿1をラインに沿って案内するガイドである。このガイド4はケーキ皿1を両側に挟む2枚のプレートからなっており、ケーキ皿1の側端の両側に当接させる先端面4aが設けられている。そして、その何れか一方を移送テーブル2に接近、離隔する向きに移動させることで間隔Wを調整することが可能で、サイズ、形状の違いに係わりなくケーキ皿1を安定的に案内する(駆動機構は図示せず)。
【0015】
図2〜7に本発明にしたがう装置の作動状況を平面で示すように、まず、ケーキ皿1は移送テーブル2の上流側に設置されたベルトコンベア5にて搬送され(図2参照)、その終端に配置されたプッシャー6にてケーキ皿1を押圧することで移送テーブル2に移される(図3参照)。
【0016】
ガイド4の間隔Wは予めケーキ皿1のサイズに適合するように設定されており、スライダー3については、ケーキ皿1が移送テーブル2に移されるまではアーム3aが移送テーブル2の上に存在する前進姿勢にある(図2、図3)。
【0017】
ケーキ皿1が移送テーブル2に移ると、スライダー3は、ケーキ皿1の一群(図示のものは5個)とともにラインの下流に向けて移動し(図4参照)、所定のピッチだけ移動したのちはアーム3aが移送テーブル2から離れる向きに後退し(図5参照)、さらに、ラインの上流へ向けて移動して初期位置へと復帰する(図6、図7参照)こととなり、この一連の動作を間欠的に繰り返すことでケーキ皿1の連続的な搬送を行う。
【0018】
ケーキ皿1の搬送において例えば図8に示すA地点を加飾のための処理、加工ポジションとした場合に、その処理、加工に際してはガイド4が邪魔になるため、移動テーブル2から離れる向きに一旦退避させることになるが、該ケーキ皿1は移送テーブル2に吸引、正確に位置決めされた状態にあり、従来使用されているようなホルダーに入れ込むような作業を要せず、迅速な処理、加工が行なわれる。
【0019】
上掲図1〜8においては同一サイズのケーキ皿1の位置決め、搬送を対象とした場合について示したが、本発明の装置は、図9に示すようにサイズや形状の異なるケーキ皿1を搬送する場合にも適用することが可能で、小ロット、多品種の処理、加工にも容易に対応でき汎用性が高い。
【0020】
吸引開口Kは、丸孔を複数設けた例として示すことができる他、例えば小さいサイズのワーク(ケーキ皿1)を搬送する場合には吸引開口Kの数を増加させることもできる。また、吸引開口Kは、ワークの吸着が可能であるならばスリット状のものを適用することも可能であり、吸引の程度、ワーク(ケーキ皿1)の形状、面積等により適宜変更が可能であって、この点については限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
処理、加工ポジションで再度位置決めを行うことを要しない位置決め、搬送装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にしたがうワークの位置決め、搬送装置の実施の形態を示した図である。
【図2】図1に示した装置の作動要領の説明図である。
【図3】図1に示した装置の作動要領の説明図である。
【図4】図1に示した装置の作動要領の説明図である。
【図5】図1に示した装置の作動要領の説明図である。
【図6】図1に示した装置の作動要領の説明図である。
【図7】図1に示した装置の作動要領の説明図である。
【図8】図1に示した装置においてガイドを退避させた状態を示した図である。
【図9】図1に示した装置においてサイズの異なるワークを位置決め、搬送する例を示した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ワーク(ケーキ皿)
2 移送テーブル
2a 天壁
2b 側壁
2c 底壁
3 スライダー
3a アーム
4 ガイド
4a 先端面
5 コンベア
6 プッシャー
K 吸引開口
M 内部空間
経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送すべきワークを順次に載置、配列する移送テーブルと、この移送テーブルに載置、配列されたワークのそれぞれの後端に当接する櫛歯状のアームを有し、前後、左右への移動を可能として該ワークの一群を定ピッチでもって間欠的にラインの下流に向けて移動させるスライダーとを備え、
前記移送テーブルに、各ワークをそれぞれ極わずかに吸引して移送テーブル上での載置、配列姿勢を確定、位置決めする複数の吸引開口を設けたことを特徴とするワークの位置決め、搬送装置。
【請求項2】
前記移送テーブルは、複数の吸引開口を有しその上にワークを載置、配列する天壁と、この天壁につながる側壁と、この側壁につながり天壁及び側壁とともに協働して減圧用の内部空間を区画形成する底壁からなる、請求項1記載のワークの位置決め、搬送装置。
【請求項3】
移送テーブルに載置、配列されたワークの側端に当接させて該ワークをラインに沿って案内する先端面を備え、該移送テーブルに接近、離隔する向きに移動可能なガイドを有する請求項1又は2に記載のワークの位置決め、搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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