説明

ワークの整列装置

【課題】内筒などの円周面状の外周面を有するワークを効率よく整列させることができるワークの整列装置を提供する。
【解決手段】円周面状の外周面を有する複数のワークを収容する収容部を備え、この収容部内で各ワークを軸方向に整列させるワークの整列装置において、収容部の底部に回転自在かつ互いに平行に設けた複数のローラと、隣り合ったローラを互いに逆回転させる駆動手段とを有することとする。さらに、ローラの外周面には、ワークの外周面に対する摩擦抵抗の大きさがそれぞれ異なる第1の領域と第2の領域を周方向に沿って交互に設け、隣り合った2本のローラのうち、一方のローラの第1の領域をワークに当接させている場合には、他方のローラの第2の領域をワークに当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円周面状の外周面を有する複数のワーク、例えば円筒状のワークを整列させて後工程へと搬送可能とするワークの整列装置に関し、特に、ワーク表面に損傷を生じにくくしたワークの整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外筒の内側に同軸状に内筒を設けるとともに、内筒と外筒との間にゴムなどの弾性体を充填した防振ブッシュが知られている。この防振ブッシュは、図12に示すような射出成型機を用いて外筒と内筒との間にゴムを射出して形成している。
【0003】
すなわち、射出成型機では、外筒110と、この外筒110内に同軸状に配置した内筒120とを、外筒110及び内筒120の軸方向に挟持して固定する第1金型210と第2金型220を備えており、第1金型210には加熱手段としての熱板300を設けている。この熱板300には複数本のカートリッジヒータを装着しており、外筒と内筒との間に射出されたゴムの加硫可能としている。第2金型220にはゴムを圧入するための注入孔221を設けている。
【0004】
また、第1金型210と第2金型220の間には、外筒110が挿入される貫通孔が形成された第3金型230を設けており、この第3金型230によって外筒110と内筒120との間に圧入したゴム130によって外筒110が変形することを防止している。
【0005】
さらに、射出成型機には、所定の配合比率に調整した未加硫ゴムを射出させる射出部240を設けて、この射出部240によって第2金型220の注入孔221から未加硫ゴムを外筒110と内筒120との間に射出させている。
【0006】
すなわち、射出部240では、帯状となっている原料の未加硫ゴムGを可塑化させる可塑化手段241と、この可塑化手段241で可塑化された未加硫ゴムGを所定圧力で押し出す射出手段242とを備えており、可塑化手段241では、未加硫ゴムGを加熱して可塑化するとともに、可塑化した未加硫ゴムGをスクリューコンベア243によって射出手段242のシリンダ室244に送給している。射出手段242では、シリンダ室244内を進退移動するピストン245によってシリンダ室242内の未加硫ゴムGを加圧して射出させている。可塑化手段241及び射出手段242を構成している基体246には所定位置にヒータ247を配設して、未加硫ゴムGを所定温度以上に加熱して、可塑化状態を保持可能としている。図12中、248は、第2金型220に設けた複数の注入孔221にそれぞれ可塑化された未加硫ゴムGを送給するための送給路249が形成された補助金型である。
【0007】
外筒110及び内筒120には、ゴムとの密着性を高めるために、外筒110の内周面、及び内筒120の外周面にそれぞれリン酸亜鉛皮膜を形成するとともに、このリン酸亜鉛皮膜の上面にスプレー塗布などによって接着剤を塗布して乾燥させることにより接着剤皮膜をあらかじめ形成しており、射出成型機によって外筒110と内筒120の間に未加硫ゴムGを圧入した後、第1金型210に設けた熱板300で未加硫ゴムGを所定温度に加熱して加硫させるとともに、接着剤皮膜を介して加硫されたゴムを外筒110の内周面及び内筒120の外周面に強固に密着させて防振ブッシュを形成している。なお、接着剤皮膜となる接着剤には、ロード社製のケムロック205やケムロック6110等を用いており、接着剤皮膜は比較的硬質な被膜となっている。
【0008】
このような射出成型機によって防振ブッシュを製造する際には、外筒110及び内筒120を適宜の移送手段によって移送し、射出成型機の第1金型210あるいは第2金型220の所定位置にセットアップしているが、外筒110及び内筒120をそれぞれ1個ずつ順序よく搬送するために、パーツフィーダが用いられることが多い(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−264420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、外周面に接着剤皮膜が形成されている内筒をパーツフィーダで搬送した場合には、パーツフィーダで加えられた振動によって内筒同士、あるいは内筒とパーツフィーダの基体が激しく擦れ合うこととなって、接着剤皮膜が損傷して剥落しやすくなるという問題があった。特に、パーツフィーダで加えられる振動は振動エネルギーが比較的大きく、硬質の接着剤皮膜が損傷を受けやすくなっていた。
【0011】
内筒から接着剤皮膜が剥落した場合には、射出成型機で射出されたゴムと内筒とが十分に密着できないおそれがあり、製品特性に影響が生じるおそれがあった。
【0012】
そこで、内筒を射出成型機に搬送する際には、パーツフィーダを用いずに、所定のトレーに作業者が手作業で内筒を整列させて搬送し、内筒をチャッキング可能とした所定のマニピュレータでトレーから内筒を取り出して、射出成型機の所定位置に内筒をセットすることとしていたが、内筒をトレーに整列させる作業効率が悪く、より高効率で内筒を整列させる方法が求められていた。
【0013】
本発明者らはこのような現状に鑑み、内筒などの円周面状の外周面を有するワークを効率よく整列させることができる整列装置を開発すべく研究を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のワークの整列装置では、円周面状の外周面を有する複数のワークを収容する収容部を備え、この収容部内で各ワークを軸方向に整列させるワークの整列装置において、収容部の底部に回転自在かつ互いに平行に設けた複数のローラと、隣り合ったローラを互いに逆回転させる駆動手段とを有することとした。
【0015】
さらに、本発明のワークの整列装置では、以下の点にも特徴を有するものである。
(1)ローラの外周面に、ワークの外周面に対する摩擦抵抗の大きさがそれぞれ異なる第1の領域と第2の領域を周方向に沿って交互に設けていること。
(2)隣り合った2本のローラのうち、一方のローラの第1の領域をワークに当接させている場合には、他方のローラの第2の領域をワークに当接させていること。
(3)第2の領域は、全周面を第1の領域を構成する表面状態としたローラに、所定のシート材を貼着することにより、または所定のコーティング剤を塗布することにより形成していること。
【発明の効果】
【0016】
本発明のワークの整列装置では、円周面状の外周面を有する複数のワークを収容する収容部を備え、この収容部内で各ワークを軸方向に整列させるワークの整列装置において、収容部の底部に回転自在かつ互いに平行に設けた複数のローラと、隣り合ったローラを互いに逆回転させる駆動手段とを有していることにより、複数のワークを収容部内に収容してローラを回転駆動させることにより、隣り合ったローラの間に形成される凹み部分にワークを整列させることができる。
【0017】
特に、ワークには、ローラの回転にともなう振動が作用するだけであるので、パーツフィーダで加えられるような大きな振動エネルギーが作用するおそれがなく、ワークに損傷を生じることを抑止しやすく、しかも、ワークはローラと点接触ではなく線接触しているため、ローラとの接触にともなってワークに損傷が生じることも抑止しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態にかかるワークの整列装置の説明図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるワークの整列装置の説明図である。
【図3】ローラの回転方向の説明図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるワークの整列装置の説明図である。
【図5】各ローラに設けた第1領域と第2領域の説明図である。
【図6】他の実施形態のワークの整列装置の説明図である。
【図7】他の実施形態のワークの整列装置の説明図である。
【図8】他の実施形態のワークの整列装置の説明図である。
【図9】他の実施形態のワークの整列装置の説明図である。
【図10】他の実施形態のワークの整列装置の説明図である。
【図11】他の実施形態のワークの整列装置の説明図である。
【図12】射出成型機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態のワークの整列装置は、防振ブッシュの内筒を整列させる整列装置であって、内筒は所定長さの円筒体となっている。なお、ワークは、防振ブッシュの内筒に限定するものではなく、円周面状の外周面を有する円柱体あるいは円筒体であればよく、場合によっては、軸方向に沿って拡径状あるいは縮径状となっていてもよく、さらにはネジなどのように径方向に膨出した膨出部を備えていてもよく、後述するローラによって回転可能であればどのような形状であってもよい。
【0020】
ワークの整列装置は、図1に示すように、複数のワークを収容可能とした収容部10を備えており、この収容部10内に所定数のワークをばら積み可能としている。
【0021】
本実施形態では、収容部10は有底の矩形枠体状としており、図1及び図2に示すように、第1側壁11と、第2側壁12と、第3側壁13と、第4側壁14とで矩形状のフレーム体を形成し、第1側壁11と、この第1側壁11と対向する位置に設けた第3側壁13との間に複数のローラ15を回転自在にかつ互いに平行に架設して底部としている。各ローラ15は、全て同一径としている。
【0022】
本発明では、底部を構成するローラ15が重要であり、第1〜4側壁11,12,13,14は収容部10内に収容したワークが収容部10から飛び出すことを防止可能となっているだけでよく、説明の便宜上、図面において第1〜4側壁11,12,13,14は破線で示すこととする。
【0023】
本実施形態のワークの整列装置では、第1側壁11と第3側壁13との間には7本のローラ15を並べて架け渡しているが、ローラ15の配設数は7本に限定するものではなく、6本以下でもよいし、8本以上でもよい。また、収容部10は平面視矩形状に限定するものではなく、適宜の形状としてよい。
【0024】
各ローラ15には、図2に示すように、一方の端部に第1回転軸15aを設けるとともに、他方の端部に第2回転軸15bを設けており、第1回転軸15a及び第2回転軸15bにそれぞれ軸受15cを装着して、この軸受15c介して第1側壁11及び第3側壁13にそれぞれ回転自在に装着している。
【0025】
各ローラ15は、隣り合ったローラ15との間に互いが接触しないだけの隙間を設けており、隣り合ったローラ15との間に形成される凹み部分でワークである内筒を受け止めることとしている。
【0026】
各ローラ15の外周径は、ワークである内筒の外周径よりは大きくすることにより、隣り合ったローラ15との間に形成された凹み部分で受け止められたワークを、隣の凹み部分で受け止められたワークと接触することなく収容可能としている。
【0027】
なお、各ローラ15の外周径は、ワークである内筒の外周径の少なくとも2倍よりは小さくすることにより、単位面積あたり中のワークの収容率を高めて、効率よく収納可能としている。
【0028】
図2に示すように、各ローラ15の第1回転軸15aは、それぞれ第1側壁11よりも外方まで延伸させており、この第1回転軸15aにはそれぞれ所定の大きさの従動ギヤ15dを装着している。
【0029】
図3に示すように、本実施形態では、隣り合ったローラ15の第1回転軸15aにそれぞれ装着した従動ギヤ15dは、互いに噛合する大きさとしており、1つのローラ15が回転することにより他のローラ15も同一の回転数で回転可能としている。ただし、隣り合ったローラ15は、互いに逆回転させている。
【0030】
本実施形態では、従動ギヤ15dを介して各ローラ15を連動連結しているが、たとえばプーリーと連結ベルトなどを用いて連動連結させてもよく、隣り合ったローラ15を互いに同期させながら逆回転させることができれば、各ローラ15をどのように連動連結してもよい。あるいは、各ローラ15を連動連結させるのではなく、個々に駆動させてもよい。
【0031】
さらに、図1及び図2に示すように、本実施形態では、中央のローラ15の第1回転軸15aにフェースギヤ21を装着し、このフェースギヤ21を駆動モータ20で駆動させることにより各ローラ15を回転させることとしている。
【0032】
すなわち、駆動モータ20の出力軸にはフェースギヤ21と噛合する駆動ギヤ22を装着しており、バッテリーを備えた制御部23から供給された電力によって駆動モータ20を駆動させている。制御部23には、駆動モータ20のオン−オフを切り換えるスイッチを設けて駆動モータ20の駆動制御を行っている。
【0033】
本実施形態では、駆動モータ20及び制御部23は、第1側壁11の外側にまで突出させた第2側壁12と第4側壁14との間に架設した支持板16に装着している。
【0034】
このように、本実施形態では駆動手段である駆動モータ20を収容部10に設けているが、駆動手段は収容部10とは別に設けて、駆動手段を収容部10に接続することにより各ローラ15を回転可能としてもよい。
【0035】
すなわち、収容部10が載設される支持台には所定の出力軸を設けておき、収容部10を支持台に載設する際に出力軸を収容部10に接続しながら載設して、載設にともなって各ローラ15を回転させるようにすることもできる。このように、収容部10から切り離して駆動手段を設けた場合には、駆動手段への電力供給を容易とすることができるとともに、駆動手段の出力を大きくしやすくすることができる。
【0036】
上述したように構成したワークの整列装置では、図1に示すように収容部10内に所定数のワークをばら積みしてローラ15を回転させることにより、収容部10の底面の摩擦抵抗が低下して滑りやすくなることにより、収容部10内でワークを移動させやすくすることができる。
【0037】
しかも、収容部10内では、隣り合ったローラ15の間に形成される凹み部分が位置エネルギーの安定点となっているので、収容部10内を移動するワークは、図4に示すように凹み部分に嵌り込んで保持されることとなっている。
【0038】
特に、ローラ15の間に形成される凹み部分は、ローラ15の長手方向に沿って長手状となっているので、凹み部分に嵌り込んだワークを軸方向に容易に整列させることができる。
【0039】
このとき、ワークは、ローラ15と線接触しており、ローラ15の回転にともなう振動が作用するだけであるので、ワーク表面の接着剤皮膜が損傷するおそれがなく、接着剤皮膜の剥落が生じることを防止できる。
【0040】
図1、図2及び図4に示すように、上述したように駆動モータ20によって回転する各ローラ15の外周面には、ワークの外周面に対する摩擦抵抗の大きさがそれぞれ異なる第1領域15eと第2領域15fを周方向に沿って交互に設けている。
【0041】
特に、本実施形態では、ローラ15の本体はステンレス製としており、このローラ15の所定位置に接着剤によってフェルト生地を貼り付けて、フェルト生地が貼り付けられている領域を第2領域15fとし、それ以外を第1領域15eとしている。
【0042】
このように、ローラ15の外周面には、ワークの外周面に対する摩擦抵抗の大きさがそれぞれ異なる第1領域15eと第2領域15fを周方向に沿って交互に設けていることにより、ローラ15との接触によってワークに加えられる回転力が、ワークが第1領域15eに当接している場合と、第2領域15fに当接している場合とで異なり、この回転力の違いによってもワークを整列させる作用を生じさせやすくすることができ、より短時間でワークを整列させることができる。
【0043】
特に、図5に示すように、隣り合った2本のローラ15では、ローラ15間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークを一方のローラ15の第1領域15eに当接させている場合に、他方のローラの第2領域15fにワークに当接させている。
【0044】
すなわち、各ローラ15は、第1領域15eと第2領域15fとの配設位置に関して、1本挟んで隣のローラ15と同位相としている。なお、本実施形態では、1本のローラ15に2つの第2領域15fを設けているため、隣り合ったローラ15は、第1領域15eと第2領域15fとの配設位置に関して、90°の位相差を持たせているが、第2領域15fを1つだけ設ける場合には位相差を180°とし、あるいは3つの第2領域15fを設ける場合には位相差を60°とすればよい。
【0045】
したがって、ワークは、一方のローラ15の第1領域15eに当接しているときは他方のローラ15の第2領域15fに当接し、一方のローラ15の第2領域15fに当接しているときは他方のローラ15の第1領域15eに当接しており、第2領域15fの方が第1領域15eよりも摩擦抵抗が大きい場合には、ワークは第1領域15eに対して滑る一方で、第2領域15fとの当接にともなって第2領域15f側のローラ15の回転にしたがって回転させられることとなり、回転方向を交互に切り替えながら回転することとなっている。
【0046】
このように、ワークは、回転方向を交互に切り替えさせられながら回転することにより、回転方向が切り替わる際にワークの運動エネルギーが零となり、運動方向以外の方向にも容易に動かしやすくなって、隣り合ったローラ15の間に形成される凹み部分の長手方向にワークを移動させることができる。
【0047】
したがって、ローラ15の間に形成される凹み部分に先に嵌り込んだワークによって、他のワークが凹み部に嵌り込むことが阻害されにくく、凹み部分にワークを効率よく整列させることができる。
【0048】
本実施形態は、ローラ15の表面にフェルト生地を貼り付けて第2領域15fとしているが、ローラ15の表面にたとえばポリプロピレン樹脂などのコーティング剤を塗布して乾燥させることにより第2領域15fを形成してもよく、第1領域15eとは摩擦抵抗の異なる領域が形成できればよい。また、ローラ15の表面の摩擦抵抗をあらかじめ大きくしておき、ローラ15の表面よりも摩擦抵抗の小さいシート材をローラ15の表面に貼着したり、あるいは乾燥後にローラ15の表面よりも摩擦抵抗の小さくなるコーティング剤をローラ15の表面に塗布したりしてもよい。
【0049】
特に、ローラ15の表面では、弾性を高めておくことによりワークに破損が生じることを防止しやすくすることができ、第2領域15fは高弾性材料で形成することが望ましい。
【0050】
第2領域15fは、図2に示すように、ローラ15の軸方向に沿って長手状に設けるだけでなく、図6に示すように、ワークである内筒の長さ程度に分割させながら設けてもよい。
【0051】
特に、図6に示すように、第2領域15fは、ローラ15の軸方向に沿っても第1領域15eと交互に設けることにより、ローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークを、凹み部分の長手方向に移動させやすくすることができ、各ワークを軸方向に整列させやすくすることができる。
【0052】
さらに、ローラ15に設けた各第2領域15fは、ローラ15の長手方向と略平行として設けるだけでなく、図7に示すように、ローラ15の長手方向に対して所定の交差角度、例えば5〜30°程度の交差角度を有する螺旋状に設けてもよい。このように、第2領域15fをローラ15の長手方向に対して螺旋状とすることにより、ローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークを、凹み部分の長手方向にさらに移動させやすくすることができ、各ワークを軸方向に整列させやすくすることができる。
【0053】
あるいは、図8に示すように、ローラ15の長手方向において、第2領域15fが設けられた部分と、第2領域15fが設けられていない部分とを交互に設けて、ローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークを、凹み部分の長手方向に移動させやすくしてもよく、特に、第1領域15eと第2領域15fの摩擦抵抗の差が極めて大きい場合には、図9に示すように、第2領域15fは、ワークの長さの半分以下の長さとして、ローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークを、凹み部分の長手方向に移動させやすくしてもよい。
【0054】
あるいは、図10に示すように、ローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークが、いずれか一方のローラ15に設けた第2領域15fとのみ接触し、他方のローラとは第1領域15eのみで接触するようにしてもよい。このように構成することにより、各ローラ15を配設する際に、隣り合ったローラ15の第2領域15fの位置を気にすることなくローラ15を配設でき、整列装置を組み立てやすくすることができる。
【0055】
あるいは、図11に示すように、ローラ15には螺旋状に第2領域15fを設けてもよい。このように、第2領域15fを螺旋状に設けることにより、第1領域15eも螺旋状となり、ローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークは、あるタイミングでは、各ローラ15の第1領域15eまたは第2領域15fとそれぞれ接触するが、別のタイミングではいずれか一方のローラ15とは第2領域15fと接触し、他方のローラ15とは第1領域15eと接触することとなって、そのタイミングでローラ15の間に形成される凹み部分に嵌り込んだワークを凹み部分の長手方向に移動させることができる。
【0056】
特に、ローラ15には第2領域15fを螺旋状に設けるとともに、隣り合ったローラ15で螺旋状とした第2領域15fの螺旋の向きを逆方向とした場合には、各ローラ15にはそれぞれ駆動手段を連動連結して、整列装置にワークが送給された直後には各ローラ15をそれぞれ同位相として揺動させ、その後、隣り合ったローラ15を互いに逆回転させることにより、効率よくワークを整列させることができる。
【0057】
ここで、各ローラ15をそれぞれ同位相として揺動させるとは、各ローラ15の回転方向を所定のタイミングで切り替えながら同一方向に回転させている状態であって、例えば各ローラ15をそれぞれ正方向に四分の一回転させた後、逆方向に四分の一回転させる動作を繰り返させるものであり、この揺動処理を行うことにより、中央部分に偏って整列装置に送給されてワークを短時間で拡散させて整列させやすくすることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 収容部
11 第1側壁
12 第2側壁
13 第3側壁
14 第4側壁
15 ローラ
15a 第1回転軸
15b 第2回転軸
15c 軸受
15d 従動ギヤ
15e 第1領域
15f 第2領域
16 支持板
20 駆動モータ
21 フェースギヤ
22 駆動ギヤ
23 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周面状の外周面を有する複数のワークを収容する収容部を備え、この収容部内で各ワークを軸方向に整列させるワークの整列装置において、
前記収容部の底部に回転自在かつ互いに平行に設けた複数のローラと、
隣り合った前記ローラを互いに逆回転させる駆動手段と
を有するワークの整列装置。
【請求項2】
前記ローラの外周面には、前記ワークの外周面に対する摩擦抵抗の大きさがそれぞれ異なる第1の領域と第2の領域を周方向に沿って交互に設けている請求項1に記載のワークの整列装置。
【請求項3】
隣り合った2本の前記ローラのうち、一方の前記ローラの前記第1の領域を前記ワークに当接させている場合には、他方の前記ローラの前記第2の領域を前記ワークに当接させている請求項2に記載のワークの整列装置。
【請求項4】
前記第2の領域は、全周面を前記第1の領域を構成する表面状態とした前記ローラに、所定のシート材を貼着することにより、または所定のコーティング剤を塗布することにより形成している請求項2または請求項3に記載のワークの整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−202328(P2010−202328A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49147(P2009−49147)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000157278)丸五ゴム工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】