説明

ワーク保持装置、及び、このワーク保持装置を備えた工作機械

本発明は、工作機械(11)による機械加工のためにワークピース(12)を保持するためのワーク保持装置(10)と、このワーク保持装置(10)を備えた工作機械に関する。ワーク保持装置は、キャリア取付機構(14)と、キャリア取付機構に交換可能に固定可能であり、ワークピース(12)を収容及び保持するためのワーク固定具(20)を備える少なくとも1つのワーク交換キャリア(15)と、を備える。少なくとも1つのワーク交換キャリアは、キャリア取付機構(14)の挿入板(45)に設けられた引き出しのような収容部(16)に、直線ガイド装置(17)上で挿入可能であり、固定装置(18)により、この収容部(16)に、固定位置にて固定されうる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、工作機械により機械加工をするために、ワークを保持するためのワーク保持装置、及び、そのワーク保持装置を備えた工作機械に関する。
【0002】
工作機械とは、例えば、フライス盤、ボール盤、または、金属旋盤のような、切削によりワークを機械加工する装置のことである。さらに、工作機械は、組立機械である場合もある。ワーク、例えば、ピストンロッド、または、連結ロッドは、工作機械により機械加工される間、ワーク保持装置により保持される。ワーク保持装置、例えば1つ以上のワーク収容部を有するワークテーブルは、工作機械の作業領域で回転されうる。
【0003】
ワークのための収容部は、それぞれのワークの種類に適合するよう構成される必要がある。例えば、ワーク保持装置に当接部材が配置され、これらの当接部材が収容部を形成し、この収容部にてワークを保持しうる。別の種類のワークが機械加工される場合は、ワーク保持装置全体が取り換えられるか、または、ワーク保持装置が再構成される必要がある。ワーク保持装置は、例えば、ホルダの取り換え、及び/または、ホルダをワーク保持装置上で別の位置へ配置することにより再構成される。このような再構成は複雑で費用がかかり、また、工作機械の遊休時間の原因となる。
【0004】
従って、本発明は、異なる種類のワークに適した調整可能なワーク保持装置を設計することを目的とする。
この目的は、工作機械による機械加工のためにワークを保持するためのワーク保持装置であって、キャリア取付機構と、キャリア取付機構に対して交換可能に取り付け可能にされた少なくとも1つのワーク交換キャリアと、を備えており、少なくとも1つのワーク交換キャリアは、ワークを収容及び保持するためのワーク収容部を備え、少なくとも1つのワーク交換キャリアは、キャリア取付機構の挿入板に設けられた収容部に、直線ガイド装置上で引き出しのように挿入可能であり、少なくとも1つのワーク交換キャリアが、固定装置により固定位置にて収容部に固定可能にされた、ワーク保持装置により達成される。
【0005】
それぞれの種類のワーク、例えば異なる種類のピストンロッドに合わせて、異なる種類の交換キャリアが提供される。このような交換キャリアは、キャリア取付機構に容易に配置されうる。また、このような交換キャリアは、収容部に挿入され、固定装置によって固定位置に固定される。ここで、異なるワークが機械加工される場合、例えば、異なる形状を有するワーク、あるいは、工作機械に対して異なる位置に配置されるワークが機械加工される場合、交換キャリアを取り換える必要があるだけであり、作業が非常に迅速に実行されることが可能となる。ワーク保持装置の再構成が、迅速に実行されうる。原則として、ワークを交換キャリア上に残しておくことは確かに可能であろう。この場合、交換キャリアはパレットのように作用しうる。しかしながら、ワークが交換される一方、交換キャリアが、さらなる複数のワークのためにそれぞれ必要とされるのであれば、交換キャリアをワーク保持装置上に残しておく方が、都合が良い。
【0006】
本発明のワーク保持装置は、好ましくは、ワークの切削、及び/または、ワークの切断、または、組立のそれぞれのための工作機械、例えば、フライス盤、ボール盤、金属旋盤の構成部品を構成する。
【0007】
本発明のさらに有利な展開は、特許請求の範囲に規定されている。
収容部において、直線ガイド装置、及び、固定装置は、力の三角形の角の領域にて、少なくとも1つの交換キャリアを保持するような構成にすると有利である。このようにすれば、収容部にて、交換キャリアが斜めに配置されることを回避でき、同時に、交換キャリアは強固に保持される。
【0008】
固定装置は、固定位置にて、交換キャリアを締め付け固定することが好ましい。この目的のために、1つ以上のばね装置が設けられることが好ましい。より具体的には、固定装置は、交換キャリアが収容部において予め定められた位置に配置されるように、収容部にて、交換キャリアをセンタリングすることが好ましい。このようにすれば、ワークを交換キャリア上で、正確に配置することが可能となる。例えば、固定装置は、1つ以上の球状、及び/または、円錐状の固定面を備えうる。より具体的には、固定装置は、少なくとも部分的に球状、または、円錐状の少なくとも1つの固定体を備えることが好ましい。この固定体は、対応する形状の固定ソケットに嵌合する。固定ソケットは、固定体に対応して、少なくとも部分的に、球状または円錐状である。固定体は、キャリア取付機構の構成部品を構成することが好ましい。
【0009】
固定ソケット、例えば、じょうごまたは片手鍋の形状をした固定ソケットは、ワークキャリア上に配置されることが好ましい。逆の構成、例えば、円錐状、または、球状の固定部をワークキャリア上に設け、この固定部が、キャリア取付機構上の対応する固定ソケットに嵌合するように構成することも可能であることは明らかであろう。
【0010】
固定ソケットは、固定体の側面から固定体を挿入するための開口部を有することが好ましい。例えば、固定ソケットは、フォークのように、固定体の軸部の周囲に嵌合するようにしてもよい。また、底部が閉じた固定ソケットに嵌合し、この固定ソケットをセンタリングし、または、固定する、スタンプのような(stempelartiger)固定体も考えうることは明らかであろう。
【0011】
軸部は、固定ソケットの開口を、挿入板を横切るように通り抜けて、固定ソケットの開口部に嵌合することが好ましい。その結果、センタリング面、例えば、円錐状の周面または球状面のように、球状または円錐状に、半径方向内側に延びるセンタリング面が、固定位置において、固定ソケットの1つ以上のじょうご状のセンタリング面に当接する。このセンタリング面は、例えば、固定ソケットの開口部に向いたじょうご状である。
【0012】
固定装置は、交換キャリア、例えば、交換キャリアの底側に当接して交換キャリアを支持するための支持面を備えることが好ましい。交換キャリアは、例えば、交換キャリアの前部にて、固定体と支持面との間で、固定位置に締め付け固定されることが好ましい。
【0013】
このように締め付け固定するためには、交換キャリアを、固定位置で、いわゆる押し込むためのばね装置を設ける構成が最良である。ばね装置は、固定力にて、固定体を、固定ソケット内で締め付け固定された状態に保持することが好ましい。この目的のため、例えば、一端で固定体に支持され、他端にてキャリア取付機構に支持されることにより、固定体を固定ソケットに押し込むばね装置が用いられる。
【0014】
原則として、固定装置は手動で解除されうる。しかしながら、ワーク保持装置は、固定装置のための解除アクチュエータを備えることで最良の構成とされる。固定装置は、例えば、ばね装置の力に抗して作用する。固定装置を解除するための解除アクチュエータ、例えば、油圧式、または、空気圧式の直線シリンダ、または、回転駆動装置は、固定体を解除位置に配置し、固定体は固定ソケットから離れ、ワークキャリアが解除される。
【0015】
直線ガイド装置は、交換キャリアにおける互いに反対側の側部をガイドするための2つの直線ガイド手段を備えることが好ましい。例えば、突出部または溝を、収容部の側面部に設けられ、この突出部または溝は、交換キャリアに設けられた対応する溝及び突出部と係合する。直線ガイド手段は、収容部の挿入開口部の近傍に配置することが好ましい。固定装置を収容部の閉端部に配置すると都合がよい。このようにすれば、最初に述べた力の三角形近傍に位置する3点での固定が可能となる。より具体的には、固定装置は、一般に、2つの直線ガイド手段の間の対称軸の近辺に配置されることが好ましい。
【0016】
キャリア取付機構は、収容部において板状であることが好ましい。
交換キャリアの支持部も板状であることが好ましい。ホルダは、ワーク収容部を形成するために支持部に取り外し可能に取り付けできるようにされることが好ましい。これにより、交換キャリアは、異なる種類の工具に適合されうる。ホルダは、例えば、ワークのための当接部材、及び、支持されるワークのための支持部材等を備えていてもよい。特に、1つ以上の当接部材が移動可能であることが好ましく、さらに具体的には、回転可能であることが好ましい。1つ以上の当接部材が移動可能とされたことにより、ワークを保持する保持位置と、ワークが交換キャリアから取り外されうる解除位置との間の位置で、各ホルダは調整されうる。例えば、ワークを保持する位置、または、締め付け固定する位置にてホルダを保持するばね装置を設けてもよい。
【0017】
機械加工の際に、ワークが工作機械の工具によりアクセス可能とされるように、支持部上、1つ以上のホルダ上、または各ホルダ間等に、開口部、凹部、及び、隙間を設けることが好ましい。
【0018】
キャリア取付機構は、本発明の複数の交換キャリアのために、複数の収容部を備える工具交換手段として形成されることが好ましい。キャリア取付機構は、例えば、本発明の交換キャリアを交換可能に取り付けるための複数の収容部が設けられたワーク回転装置を備えていてもよい。さらに、直線搬送手段、例えば、搬送チェーンや搬送ベルト等が、本発明の交換キャリアを用いることによって容易に、異なる種類のワークに適合しうることは、明らかである。そして、この場合、本発明の交換キャリアは、互いに近接して、例えば横方向に、配置される。
【0019】
本発明の特に好ましい構成では、回転軸周りに好適に回転可能なワークテーブルが提供される。好ましくは鉛直な回転軸周りに回転可能なワークテーブルの場合、収容部は、回転軸周りに放射状に配置される。本発明の実施形態の一部として後述するワークテーブルの場合、例えば、4つの収容部が互いに対向して十字に配置される。さらに、上述した数以上または以下の収容部が、例えば、円形のテーブル等に配置可能であることは明らかであろう。収容部は、例えば、ワークテーブルの複数の支持板上、または、単一の支持板上に配置される。
【0020】
ワーク交換手段として構成されるキャリア取付機構の場合、ワークを搬送可能であり、より具体的には、装填ステーションから加工ステーション、そして、そこから取外しステーションまでワークを回転させる。
【0021】
さらに、ワーク保持装置は、少なくとも1つの交換キャリアが交換されうる交換ステーションを備えていることが好ましい。この交換ステーションには、上述の解除アクチュエータが配置されることが好ましい。
【0022】
本発明のさらに有利な展開、及び、好適な形態が、添付の図面と共に、以下に続く、本発明の一実施形態の詳細な説明の開示にて理解されうる。
図示された工作機械11のワーク保持装置10、例えば、金属旋盤、金属フライス盤、及び/または、ボール盤は、工作機械11により機械加工を行う間、ワーク12、例えば、内燃エンジンのピストンロッド、を保持する機能を果たす。ワーク交換キャリア15は、キャリア取付機構14のワークテーブル13上に交換可能に取り付け可能である。交換キャリア15は、キャリア取付機構14上、または、ワークテーブル13上で、カセット、または、引き出しのように、収容部16に滑り込ませることができる。
【0023】
図面をより理解しやすくするため、図中、ワーク12は透視的に示されている。
この交換可能な交換キャリア15により、ワーク保持装置10は、異なる種類のワーク、例えば、異なる寸法のピストンロッドに容易に適合しうる。交換キャリア15は、直線ガイド装置17によりガイドされ、固定装置18によって各収容部16内の所定位置に固定される。このようにして、各交換キャリア15は、収容部16内に確実に保持される。さらに、固定装置18は、センタリング手段としての機能も果たし、収容部16内の固定位置において交換キャリア15をセンタリングする。このため、交換キャリア15のワーク収容部20に配置されるワーク12を、工作機械11で機械加工を行うために最適な位置に配置することができる。
【0024】
ワークテーブル13は、ベース部またはフレーム21上で、回転軸22周りに回転可能である。収容部16は、ワークテーブル13のテーブル板23上に配置される。テーブル板23は、フレーム21上で回転するよう取り付けられたホルダ24に、例えば、ねじ固定される。
【0025】
テーブル板23、ひいては、収容部16は、回転軸22周りに回転するように、フレーム21に回転可能に取り付けられる。フレーム21には、回転駆動装置(図示なし)を取り付けることが可能である。
【0026】
例えば、各収容部16は、各収容部16上の交換キャリア15と共に、装填ステーション25から加工ステーション26まで回転することができる。装填ステーション25では、ワーク12が交換キャリア15に取り付けられ、加工ステーション26では、工作機械11により、ワーク12への組立、及び/または、ワーク12の切削による機械加工が行われる。ワークテーブル13は、この加工ステーション26から、ワークが取り外されうる取外しステーション27へと、交換キャリア15を移動させる。
【0027】
さらに、ワーク保持装置10を異なる種類のワークに適合させることを目的とした本発明により、ワークテーブル13を交換ステーション28まで回転させることができる。この交換ステーション28では、交換キャリア15が取り外されるとともに、他の交換キャリアに取り換えられうる。
【0028】
上述の各ステーション25〜28の機能は異なっていてもよく、例えば、工作機械11により機械加工を行うための複数の加工ステーションを提供することも可能である。
固定装置18は、交換キャリア15を固定位置にて締め付け固定する。このとき、固定体29は、交換キャリア15の円錐状の固定ソケット30と嵌合する。固定体29、及び、固定ソケット30は、それぞれ円錐状である。つまり、固定体29には、固定位置、または、締付位置において、固定ソケット30のじょうご状のセンタリング面32と当接する円錐状のセンタリング面31が設けられる。
【0029】
固定ソケット30は、交換キャリア15の前部33に配置され、フォーク状の形状を有する。交換キャリア15の後部34には、反対を向いた側部35及び36に溝37が設けられ、この溝に対向する収容部16の内側面40及び41には突出部38が設けられ、前記溝37に嵌合する。突出部38は、収容部16の挿入開口部42付近に配置されたスライドレール39により構成され、例えば、ねじ手段にて固定される。溝37は、各交換キャリア15における支持部44の側部35及び36にねじで固定された溝部材43に設けられる。
【0030】
従って、交換キャリア15は、それぞれ、挿入板45に沿って直線的にガイドされ、直線ガイド装置17によって固定位置に保持される。
溝をより簡単にスライドレール39に挿入にするため、前溝部81は、挿入板45を交差する方向に広げられている。原則として、挿入板45においてこの溝部81が広がっていることが好都合となりうることもまた、明らかである。一方、溝37の後部82は非常に狭いため、スライドレール39は、挿入板45内において、スライドレール39の上下面に当接する。つまり、本発明の場合、水平状態でスライドレール39の上下面に当接する。
【0031】
固定装置18は、各交換キャリア15の前部33に作用する。交換キャリア15の前部は開口された部位を有しており、このため、固定体29は、固定ソケット30の前挿入開口部46を介して取り込まれる。
【0032】
固定体29は、軸部または軸部品48の上端部47に配置される。例えば、固定体29は、軸部48にねじ固定される。一体化した構成も可能であることは明らかである。固定ソケット30は、片手鍋またはじょうごの形状を有しており、上方向に開放されている。一方、固定体29は、その反対の構造となるように構成される。つまり、センタリング面31は、固定体29の自由端から半径方向内側に、軸部品48まで延びている。固定体29は、固定ソケット30上で、タイロッドのように作用する。
【0033】
固定ソケット30の挿入開口部46は、180°未満の弓形状に延び、このため、円錐状の固定体29は、交換キャリア15を挿入方向80に対して固定またはロックすることが可能となる。交換キャリア15は、収容部16に対して、この挿入方向80の方向に挿入されうる。挿入開口部46は、単に、軸部品48または軸部48が、固定ソケット30に前方から取り込まれるために十分な大きさであればよい。
【0034】
軸部品48は、ガイド49上で直線的に移動するように取り付けられる。従って、固定体29は、挿入板45を横切るように移動することが可能であり、解除位置と固定位置との間で変位する。交換キャリア15は、解除位置で収容部16から除去されうる。
【0035】
ガイド49の上部に支持面50が設けられ、支持面50は、交換キャリア15を支持し、より具体的には、支持部44に配置された固定部51を支持する。固定ソケット30は、支持部44上で、支持面50の上面の近傍に形成される。
【0036】
ばね装置52は、固定装置18を固定位置に固定する。ばね装置52は、例えば、ワークテーブル13の底部側54と、各軸部品48の環55と、の間に延びるコイルばね53を備える。従って、ばね装置52は、ここでは上部側に配置された軸部品48と固定体29を下向きに引き寄せ、交換キャリア15を締め付け固定する。より具体的には、固定ソケット30を支持面50と固定体29との間で締め付け固定する。
【0037】
交換ステーション28では、交換キャリア15が取り換えられうる。交換ステーション28の解除アクチュエータ56は、この位置に回転してきた固定装置18を解除位置に解除する。この解除アクチュエータ56は、例えば、空気圧式、または、油圧式の直線駆動装置、または、回転駆動装置が好ましい。この解除アクチュエータ56は、回転運動を直線運動に変換する変換器を有し、また各軸部品48の底部を強く押すことにより、固定体29を上方向に上部側に解除する。その結果、固定装置18は交換キャリア15を自由にする。その後、作業者、または、ロボットにより、交換キャリア15は、挿入板45に沿って、半径方向外側に向けて、ワークテーブル13から取り外されうる。
【0038】
解除アクチュエータ56の近傍に、回転駆動装置をワークテーブル13に接続するためのコネクタ57が設けられる。
本実施形態では、収容部16はL字形であり、L字の2つの突出部が交差する点に固定装置18が配置される。
【0039】
交換キャリア15の板状の支持部44上には、ワーク12のためにホルダ58〜62が配置される。ホルダ58〜62は、例えば、支持部44にねじ固定されるか、または支持部44上に差し込まれる。図示されない複数のねじは、組付孔63を通して挿入され、各ホルダ58〜62にねじ固定される。ホルダ58〜62は、ワーク12のための横方向当接部材69を形成する。ホルダ58〜62は、例えば、ワーク12を保持するための当接部材、支柱、または、その他の固定要素である。
【0040】
ワーク12は、本実施形態の場合ピストンロッドであるが、ホルダ58〜62上で、対角線上に締め付け固定されて、保持される。ここで、ホルダ58及び59は、小眼部67と係合する。ホルダ58及び59は角に配置される。
【0041】
ホルダ60〜62は、ワーク12の大眼部68と係合する。ホルダ60〜62は、大眼部68の周囲にU字状に配置され、ホルダ61及び62はU字状の突出部を構成する。
ホルダ62は、支持部44にてピン64周りに回転するよう配置された回転ホルダである。ばね要素65は、ホルダ62を前方に保持位置まで引き込み、ワーク12を締め付け固定して保持する。ホルダ62の当接部66は、ワーク収容部20を開くために、外方向に回転されうる。その結果、ワーク12はワーク収容部20から取り出されうる。
【0042】
ワークは、好ましくは着脱可能に、支持部44に取り付けられた支持部材70及び71に載置される。支持部材70は小眼部67のために設けられ、支持部材71は大眼部68のために設けられる。支持部材70及び71は、支持部44の開口部72及び73に挿入される。より具体的には、加工ステーション26において、図面にて示されたチューブ状の支持部74(図示)が設けられうる。支持部材70及び71は、ワーク12の機械加工中、この支持部74上に載置される。つまり、交換キャリア15は下方から支持される。
【0043】
支持部材70及び71は、貫通孔75を有する。この貫通孔は、例えば、眼部67及び68に孔を開ける工具、及び/または、組立工具のために設けられる。より具体的には、この貫通孔は、スライド式のスリーブ(Gleithulse)、または、ソケット(-buchse)を、眼部67、及び/または、68に組み込むための工具のために設けられる。
【0044】
支持部44上に、さらに、例えば、貫通開口部76のような開口部を設けることができる。このさらなる開口部は、ワーク12の組立のために、及び/または、より具体的にはワーク12の切削による機械加工のために、ホルダにて支持部44を入れ替えるために必要である。
【0045】
ホルダ58と59の間、ホルダ60と62の間、さらには、ホルダ62と61の間にはそれぞれ隙間77が設けられ、ワーク12の側面からの機械加工を可能にする。例えば、隙間77は、ワーク12の小眼部67にオイル用の孔78を開ける孔開けのため、及び、ワーク12の大眼部68に側面から組付孔79を開けるために十分な大きさである。また、隙間77は、例えば、ワーク12、例えば、ワーク12の組付孔79、にねじを締結するような、組立加工作業にも適切である。
【0046】
また、工作機械11は、加工ステーション26においてワーク12に対して切断作業を行うことも可能である。例えば、眼部68の領域にて、ピストンロッド、または、ワーク12からカバーを切断することが可能である。このような作業は、例えば、クラッキング工程と呼ばれる工程の一部として、切り込みを入れて、その後カバーを切断するものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明によるワーク保持装置全体を正面から見た斜視図である。
【図2】図1の詳細を示す図である。収容部から部分的に離れたワークキャリアを、収容部の後方から見た図である。
【図3】図1及び2のワークキャリアを前方から見た斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(11)による機械加工のためにワーク(12)を保持するためのワーク保持装置(10)であって、
キャリア取付機構(14)と、
前記キャリア取付機構(14)に対して交換可能に取り付け可能にされた少なくとも1つのワーク交換キャリア(15)と、
を備えており、
前記少なくとも1つのワーク交換キャリア(15)は、前記ワーク(12)を収容及び保持するためのワーク収容部(20)を備え、
前記少なくとも1つのワーク交換キャリア(15)は、キャリア取付機構(14)の挿入板(45)に設けられた収容部(16)に、直線ガイド装置(17)上で、引き出しのように挿入可能であり、固定装置(18)により、固定位置にて、前記収容部(16)に固定可能にされた、
ワーク保持装置(10)。
【請求項2】
前記収容部(16)において、前記直線ガイド装置(17)、及び、前記固定装置(18)は、力の三角形の角の領域にて、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)を保持する
請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項3】
前記収容部(16)において、前記固定装置(18)は、前記力の三角形の1つの角の領域にて前記少なくとも1つの交換キャリア(15)を保持すると共に、前記直線ガイド装置(17)は、前記力の三角形の他の角の領域にて、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)を保持する
請求項2に記載のワーク保持装置。
【請求項4】
前記固定装置(18)が、前記固定位置にて、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)を締め付け固定する
請求項1〜3の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項5】
前記固定装置(18)が、前記収容部(16)において、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)をセンタリングする
請求項1〜4の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項6】
前記固定装置(18)が、少なくとも部分的に球状、または、円錐状の少なくとも1つの固定体(29)を備え、
前記少なくとも1つの固定体(29)は、少なくとも部分的に球状、または、円錐状の対応する固定ソケット(30)に嵌合する
請求項1〜5の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項7】
前記固定ソケット(30)が、前記固定体(29)が横方向に挿入されるための挿入開口部(46)を備える
請求項6に記載のワーク保持装置。
【請求項8】
前記固定体(29)の軸部(48)が、前記固定ソケット(30)における開口を、挿入板(45)を横切るように通り抜けて延出し、
それゆえに、球状、または、円錐状に半径方向内側に前記軸部(48)まで延びる前記固定体(29)の少なくとも1つのセンタリング面(31)が、前記固定ソケット(30)の開口に向かってじょうご状に延びる固定ソケット(30)のセンタリング面(32)に対して当接する
請求項6または7に記載のワーク保持装置。
【請求項9】
前記固定装置(18)が、前記交換キャリア(15)と係合する支持面(50)を備え、
前記少なくとも1つの交換キャリア(15)が、より具体的には、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)の前部(33)が、前記固定位置にて、前記固定体(29)と前記支持面(50)との間で締め付け固定される
請求項1〜8の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項10】
前記固定装置(18)、より具体的には、前記固定体(29)が、前記固定位置に付勢される、より具体的には、ばね装置(52)により前記固定位置に付勢される
請求項1〜9の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項11】
前記固定装置(18)を解除するための解除アクチュエータ(56)をさらに備える
請求項1〜10の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項12】
前記直線ガイド装置(17)が、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)の互いに反対を向く側部(35、36)をガイドするための2つの直線ガイド手段(19)を備える
請求項1〜11の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項13】
前記直線ガイド手段(19)は、前記収容部(16)、及び/または、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)に、突出部(38)、より具体的には、スライドレール(39)を有し、
前記突出部(38)は、前記少なくとも1つの交換キャリア(15)、または、前記収容部(16)の内側の溝(37)に係合する
請求項12に記載のワーク保持装置。
【請求項14】
前記直線ガイド手段(19)は、前記収容部(16)の挿入開口部(42)に配置され、
前記固定装置(18)は、前記収容部(16)の閉端部に配置される
請求項12または13に記載のワーク保持装置。
【請求項15】
前記キャリア取付機構(14)が、前記収容部(16)にて板状である
請求項1〜14の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの交換キャリア(15)が、より具体的には、板状の支持部(44)を備える
請求項1〜15の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの交換キャリア(15)の支持部(44)は、前記ワーク収容部(20)を形成するために取り外し可能に取り付けられた、少なくとも1つのホルダ(58〜62)を備えうる
請求項16に記載のワーク保持装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのホルダ(58〜62)は、前記ワーク(12)のための少なくとも1つの当接部材(69)、及び/または、前記ワーク(12)を支持するための少なくとも1つの支持部材(70、71)を備える
請求項16または17に記載のワーク保持装置。
【請求項19】
前記ワーク(12)を機械加工する工具のために、開口部(75,76)、凹部、または、隙間(77)が、前記支持部(44)、及び/または、前記少なくとも1つのホルダ(58〜62)に設けられる
請求項16〜18の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項20】
前記キャリア取付機構(14)は、前記少なくとも1つのワーク交換キャリア(15)を取り外し可能に取り付けるための複数の収容部(16)を有する、ワークテーブル(13)、及び/または、直線搬送手段、及び/または、ワーク回転手段を備える
請求項1〜19の何れかに記載のワーク保持装置。
【請求項21】
前記ワークテーブル(13)は、回転軸(22)、より具体的には、鉛直方向の回転軸(22)周りに回転可能であり、
前記収容部(16)は、前記回転軸(22)周りに放射状に配置される
請求項20に記載のワーク保持装置。
【請求項22】
請求項1〜21の何れかに記載のワーク保持装置(10)を備える工作機械。
【請求項23】
前記ワークを組み立てるための組立機械、及び/または、前記ワーク(12)の部品を切断するための工作機械、及び/または、前記ワーク(12)を切削する機械加工のための工作機械として形成された、
請求項22に記載の工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−517226(P2009−517226A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541610(P2008−541610)
【出願日】平成18年10月28日(2006.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010393
【国際公開番号】WO2007/059845
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(506410682)アルフィング ケスラー ゾンダーマシーネン ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】