説明

ワーク搬送装置

【課題】搬送ラインのレイアウトの自由度が高く、ワークを高速搬送可能なワーク搬送装置を低コストで提供する。
【解決手段】各ワーク搬送ロータ10は、回転軸11と、当該回転軸11の周囲に所定角度間隔で配置された、ワーク搭載パレット14を支持するための複数本のアーム10aを有する。各アーム10aは、ワーク搭載パレット14を出し入れ可能なワーク保持部としての切欠き溝12を有する。回転軸11を第1の駆動手段によってインデックス回転する。複数のワーク搬送ロータ10相互間に搬送ラインに沿って往復動可能なシフト部材を配置し、このシフト部材を第2の駆動手段によってワーク搭載パレット14に係合・離脱させることにより、前段のワーク搬送ロータ10のアーム10aの切欠き溝12から、隣接する後段のワーク搬送ロータ10のアーム10aの切欠き溝12へ、ワーク搭載パレット14を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ベルトコンベアやトランスファーマシン等を使用して搬送ラインを構成し、当該搬送ラインの上流側から下流側に多数のワークを次々と搬送しながら、搬送ラインに沿って配置した複数の加工機によって、各ワークを順次加工するワーク搬送装置が、各種産業分野で広く使用されている。
【0003】
このようなワーク搬送装置では、ベルトコンベアは搬送速度が遅いため、比較的重量のあるワークの搬送に使用されることが多い。これに対し、トランスファーマシンは搬送速度が早く、比較的軽量なワークの搬送に使用されることが多い。
【0004】
ベルトコンベアを使用した搬送ラインは、搬送ラインのレイアウトの自由度が少なく、直線的に長い広大なスペースが一般に必要である。トランスファーマシンを使用した搬送ラインは、そのレイアウトの自由度がベルトコンベアよりも高いが、ワークの着脱機構や移動機構が複雑であり、ベルトコンベアよりもコスト高となる傾向がある。
【0005】
従来、トランスファーマシンを使用したワーク搬送装置として、例えば特許文献1(特開平9−225773号公報)に記載の装置が知られている。この装置は、チャック部を備えた複数の搬送ユニットを、搬送ラインに配置した加工機相互間に配置し、これら複数の搬送ユニットを、連結バーで互いに連結した状態で、前段加工機と後段加工機との間で一斉に往復動させることで、ワークを加工機相互間で順送りする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−225773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のトランスファーマシンを使用したワーク搬送装置では、搬送ユニットによって前段加工機から後段加工機に搬送したワークを後段加工機で加工している間に、搬送ユニットが前段加工機の位置に戻る。この復動の間、搬送ユニットのチャック部はワークを支持していない「空」の状態である。
【0008】
すなわち、特許文献1のワーク搬送装置は、加工機でワークを加工している間は、搬送ユニットによるワークの搬送を行うことができない。このため、ワークの搬送速度を増大させることが困難であり、タクトタイムが長くなるという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、搬送ラインのレイアウトの自由度が高く、しかもワークを高速搬送可能なワーク搬送装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため、複数の加工機の間でワークを搬送するワークの搬送ラインに沿って配列された複数のワーク搬送ロータであって、各ワーク搬送ロータは、回転軸と、当該回転軸の周囲に所定角度間隔で配置されたワーク又はワーク搭載パレットを支持するための4本又は8本のアームと、前記アームの長手方向先端部から基端部にかけて配置されて前記ワーク又はワーク搭載パレットを前記アームの長手方向に沿って出し入れ可能なワーク保持部と、を有する複数のワーク搬送ロータと、前記ワーク搬送ロータの前記アームの先端部が、隣接する他のワーク搬送ロータの前記アームの先端部と互いに対向するインデックス位置に移動するように、前記複数のワーク搬送ロータの回転軸を同期してインデックス回転する第1の駆動手段と、前記複数のワーク搬送ロータ相互間において前記ワーク又はワーク搭載パレットに係合離脱可能かつ前記搬送ラインに沿って往復動可能に配置されたシフト部材と、前記回転軸が前記駆動手段によってインデックス回転されて前記アームの先端部が前記インデックス位置に停止する度に、前記アームに保持されたワーク又はワーク搭載パレットを当該アームのワーク保持部から隣接する他のワーク搬送ロータのアームのワーク保持部に移動すべく前記シフト部材を駆動する第2の駆動手段と、を備えたワーク搬送装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、長手方向に沿ってワークを出し入れ可能な複数本のアームを有するワーク搬送ロータを搬送ラインに沿って複数配列し、これらワーク搬送ロータを第1の駆動手段によってインデックス回転するようにしたワーク搬送装置であるから、搬送ラインの側方を向いたアームに保持されたワークを加工する間に、ワーク搬送ロータ相互間でシフト部材を第2の駆動手段で駆動してワークの搬送を行うことができるので、ワークの搬送速度を増大させてタクトタイムを短縮することができる。
【0012】
また、ワーク搬送ロータは直線的に配列する他、コーナ部に配置したり、2列又は3列に分岐させたり、或いは2列又は3列から1列に合流させたりすることも可能であり、このようなレイアウトの自由度を利用して、省スペースな搬送ラインを容易に構築することができる。
【0013】
また、ワーク搬送ロータは回転軸の周囲に複数本のアームを配置した簡単な構成であるため、高速型ワーク搬送装置を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置のワーク搬送ロータの平面図である。
【図1B】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置のワーク搬送ロータの側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置のワーク搬送ロータのアームの断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置のワーク搬送ロータのアームにワークを送入する時の側面図である。
【図4A】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の前段ワーク搬送ロータのアームから後段ワーク搬送ロータのアームにワークを移動する時の側面図である。
【図4B】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の前段ワーク搬送ロータのアームから後段ワーク搬送ロータのアームにワークを移動する時の平面図である。
【図5】本発明の変形実施形態に係るワーク搬送装置の平面図である。
【図6】本発明の変形実施形態に係るワーク搬送装置のワーク搬送ロータのアームにワークを送入する時の側面図である。
【図7】本発明の変形実施形態に係るワーク搬送装置の前段ワーク搬送ロータのアームから後段ワーク搬送ロータのアームにワークを移動する時の側面図である。
【図8】(A)(B)は、前段ワーク搬送ロータから後段ワーク搬送ロータにワークを移動する手順を示す平面図である。
【図9A】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の搬送工程を示す平面図である。
【図9B】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の搬送工程を示す平面図である。
【図9C】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の搬送工程を示す平面図である。
【図9D】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の搬送工程を示す平面図である。
【図9E】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の搬送工程を示す平面図である。
【図9F】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置の搬送工程を示す平面図である。
【図10】本発明の実施例に係るワーク搬送ロータの配置例を示す平面図である。
【図11】本発明の変形実施例に係るワーク搬送装置の概略平面図である。
【図12】本発明の別の変形実施例に係るワーク搬送装置の概略平面図である。
【図13】本発明の別の実施形態に係るワーク搬送ロータの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9に基づいて説明し、続いて本発明の実施例を図10〜図12に基づいて説明し、最後に本発明の変形実施形態に係るワーク搬送ロータを図13に基づいて説明する。
【0016】
(ワーク搬送ロータの基本構成)
図1Aと図1Bは、本発明の実施形態のワーク搬送装置に使用する、ワーク搬送ロータ10の単体の平面図と側面図である。図1Aで24は加工機であり、この加工機24の正面にワーク搬送ロータ10が配置される。
【0017】
本発明のワーク搬送装置は、ワーク搬送ラインに沿って複数のワーク搬送ロータ10を配列し、これら複数のワーク搬送ロータ10と各搬送ロータ間に配置したシフト部材を交互に一斉駆動することによりワークを搬送する。また、ワーク搬送ロータ10の側方に移動したワークは、前記シフト部材によってワーク搬送ロータ10相互間のワーク搬送が行われている間に、当該側方に配置した加工機によって必要な加工を行うようにしている。
【0018】
ワーク搬送ロータ10は、回転軸11の周囲に90度間隔で配置された4本のアーム10aを有する(図13の8本アームの変形実施形態は後述する)。各アーム10aは、回転軸11の軸線に対して直交する板状部材で構成され、回転軸11の半径方向外方に向けて、同じ長さで直線状に延びている。
【0019】
アーム10aの長手方向先端部から基端部にかけて、切欠き溝12が形成されている。この切欠き溝12は、長方形のワーク搭載パレットを収容するワーク保持部を構成し、その長さは、ワーク搭載パレット14の長さLとほぼ等しい。そして、切欠き溝12の先端側開口から、ワーク搭載パレット14をアーム10aの長手方向に出し入れできるようになっている。切欠き溝12の長さは、ワーク搭載パレット14より長くしてもまったく差し支えない。従って、加工機24の幅等が大きい場合、その寸法に対応させて切欠き溝12の長さを長くしてもよい。
【0020】
切欠き溝12の左右の内側面に、図2に示すように、水平方向に張り出した一対の凸状のリブ12aが形成されている。このリブ12aは、切欠き溝12の先端開口側から基端まで、連続して直線状に形成されている。一方、ワーク搭載パレット14の左右両側面に、前記凸状のリブ12aに対応した断面形状の溝部14aが形成されている。そして、ワーク搭載パレット14を切欠き溝12の先端側開口から入れる際に、ワーク搭載パレット14の溝部14aに、切欠き溝12のリブ12aをスライドさせて挿入するようにしている。
【0021】
ワーク搭載パレット14には、その長手方向に沿って、段部14bを有する切欠き穴14cが形成されている。この切欠き穴14cは平面視でほぼ長方形を成し、その内側に、ワークとしてのほぼ長方形の電装部品16を上方から嵌め込んで収容するようにしている。電装部品16の周縁部は、切欠き穴14cの内面に形成された段部14bで支持されるようになっている。なお、電装部品16はワークの例示に過ぎず、電装部品16以外の他のワークの搬送も同様に可能であることは勿論である。
【0022】
ワーク搭載パレット14の下面に、図2〜図4Bに示すように、穴部14dが形成されている。この穴部14dは、ワーク搭載パレット14を水平方向に移動するシフト部材18の爪部18aを受け入れるためのものである。シフト部材18は、図3及び図4に示すように、アーム10aの下方で不図示の第2の駆動手段としての駆動機構により、上昇→前進→下降→後退のいわゆるボックス運動をするように構成されている。
【0023】
シフト部材18がボックス運動で垂直上昇すると、その上部に配置された爪部18aがワーク搭載パレット14の下面の穴部14dに係合し、この状態でシフト部材18が搬送方向に水平移動(前進)することにより、ワーク搭載パレット14がシフト部材18と共に矢印方向に移動するようになっている。シフト部材18は、ワーク搭載パレット14を水平方向に移動させた後、垂直に下降してワーク搭載パレット14から離脱し、その後、搬送方向と逆方向に水平移動(後退)して元の位置まで戻る。
【0024】
前記回転軸11は、ワーク搬送ラインWL上に、縦向き即ち垂直に配置されている。回転軸11の下端部は、図1Bのように、第1の駆動手段としてのギアボックス20に連結されている。ギアボックス20は、基礎21の上に固定され、その内部に複数のギアを収容している。ギアボックス20の側面に、入力軸となる回転駆動ロッド22が水平に連結され、この回転駆動ロッド22の回転力が、内部の複数のギアを介して、回転軸11に伝達されるようになっている。
【0025】
回転駆動ロッド22は図示しないモータ等の駆動源に連結され、当該駆動源は、複数のワーク搬送ロータ10の回転軸11を、同期して90度ずつインデックス回転するように制御される。すなわち、回転軸11を90度ずつインデックス回転する度に、図4A及び図4Bに示すように、左側のワーク搬送ロータ10の右側のアーム10aの先端部が、隣接する右側のワーク搬送ロータ10の左側のアーム10aの先端部と、互いに対向するインデックス位置に移動するように駆動源が制御される。
【0026】
これにより、回転軸11のインデックス回転の度に、各ワーク搬送ロータ10の4本のアーム10aのうち、2本のアーム10aが搬送ラインに一致し、他の2本のアーム10aが搬送ラインに対して直角となる。
【0027】
次に、本発明の変形実施形態を図5〜図8に基づいて説明する。この変形実施形態は、ワーク搭載パレット14の長手方向ほぼ中央の下面に垂直下向きの凸部14eを形成し、この凸部14eをシフト部材19で前方に押すことによりワーク搭載パレット14を搬送方向に移動するようにしたものである。
【0028】
シフト部材19は図5のようにワーク搬送ロータ10相互間に1つずつ配置され、ワーク搬送ラインに沿って不図示の第2の駆動手段としての駆動機構によって一斉に往復動されるようになっている。そして図6及び図7に示すようにシフト部材19が前方に移動すると、その上方に突出した係合部19aがワーク搭載パレット14の凸部14eの後側に当接するようになっている。
【0029】
シフト部材19は、図8(A)のようにワーク搭載パレット14を保持したワーク搬送ロータ10のアーム10aが矢印1の動きでワーク搬送ラインと平行になる位置に到達する前に、予めワーク搬送ライン上で待機している。ワーク搬送ロータ10が時計方向に90度でインデックス回転してそのアーム10aが加工機24の前からワーク搬送ラインと平行になる位置に到達すると、当該アーム10aに保持されたワーク搭載パレット14の凸部14eが、シフト部材19の直前位置に到来する。この状態からシフト部材19を矢印2のように前方に移動することにより、前段のワーク搬送ロータ10のアーム10aに保持されたワーク搭載パレット14が当該アーム10aから押し出され、後段のワーク搬送ロータ10のアーム10aに押し込まれる。
【0030】
シフト部材19がワーク搭載パレット14を後段のワーク搬送ロータ10に移動させると、ワーク搬送ライン上の複数のワーク搬送ロータ10が図8(B)の矢印3のように時計方向に90度で一斉にインデックス回転し、ワーク搭載パレット14はシフト部材19から離間する。この90度のインデックス回転の間に、シフト部材19は矢印4のように元の位置まで後退して次のワーク搭載パレット14の搬送に備える。
【0031】
シフト部材19は以上の作動を繰り返すことにより、ワーク搭載パレット14を次々と後段のワーク搬送ロータ10に移動する。シフト部材19の移動は前後方向だけであり、図3、図4のような上下移動を伴うボックス運動をしないので、その分だけタクトタイムを短縮することができる。
【0032】
(ワーク搬送ロータの作動)
ワーク搬送ロータ10は以上のように構成され、この実施形態では、複数のワーク搬送ロータ10を図9Aのように、ワークの搬送ラインWLに沿って直線状に配置することができる。図9Aでは便宜的に4つのワーク搬送ロータ10のみを示すが、配置するワーク搬送ロータ10の数は、搬送ラインWLの用途によって、適宜増減することができる。
【0033】
複数のワーク搬送ロータ10の相互間には、図示しないが、前記シフト部材18が搬送ラインWLに沿って配置されている。これら複数のシフト部材18は、共通の駆動源で駆動されるようになっており、各シフト部材18の図4Aに示すボックス運動が、互いに同期されるようになっている。
【0034】
図9Aで左端にあるワーク搬送ロータ10が、搬送ラインWLの最も上流側にあるものとする。搬送ラインWLに沿って、ワークとしての電装部品を搭載したワーク搭載パレット14を搬送する場合、まず、図9Aで左端にあるワーク搬送ロータ10の左側のアーム10aの切欠き溝12に、図3のように、前記シフト部材18を備えたワーク送入装置(不図示)によって、電装部品を搭載したワーク搭載パレット14を送り込む。
【0035】
なお、図9Aは、4つのワーク搬送ロータ10の全てにワーク搭載パレット14が2つずつ保持された状態を示しているが、これは左側のワーク搬送ロータ10から1つずつワーク搭載パレット14を送り込んで下流側にある程度搬送した後の状態を示している。
【0036】
ワーク搭載パレット14をワーク搬送ロータ10のアーム10aの切欠き溝12に入れると、図示しないセンサがワーク搭載パレット14を検知し、当該センサの検知信号を図示しないコントローラが受けて、当該コントローラからの指令により、ワーク搬送ロータ10の駆動源が駆動される。このようにワーク搬送ロータ10の駆動源が駆動されると、回転駆動ロッド22が回転し、各ワーク搬送ロータ10の回転軸11が一斉に同じ方向(図9Aでは時計方向)に90度だけ回転する。これにより、ワーク搬送ロータ10が図9A→図9B→図9Cのようにインデックス回転により90度回転する。
【0037】
これにより、ワーク搬送ロータ10の左側のアーム10aに保持されたワーク搭載パレット14が、90度回転することで加工機24の真下に到来し、当該加工機24が、ワーク搭載パレット14に搭載されたワークとしての電装部品に所定の加工を行う。この際、加工精度を出すため必要に応じてワーク搭載パレット14を上方又は下方から位置決めすることができる。
【0038】
この加工が終わると、コントローラが加工機24からの加工完了の信号を受け、当該コントローラからの指令により、ワーク搬送ロータ10の駆動源が再び駆動される。これにより、回転駆動ロッド22が再び回転し、各ワーク搬送ロータ10の回転軸11が一斉に90だけインデックス回転し、ワーク搬送ロータ10が、図9C→図9D→図9E→図9Fのように90度回転する。
【0039】
このように、ワーク搬送ロータ10がインデックス回転により90度回転すると、コントローラがインデックス回転完了の信号を受け、当該コントローラからの指令により、シフト部材18が図4Aのボックス運動を開始する。このボックス運動により、図9F→図9Dのように、上流側の前段のワーク搬送ロータ10の右側のアーム10aに保持されたワーク搭載パレット14が、下流側に隣接する後段のワーク搬送ロータ10の左側のアーム10aに移動する。
【0040】
このような作動を繰り返すことで、各ワーク搬送ロータ10の2本のアーム10aにワーク搭載パレット14が同じように保持され、この状態で、複数のワーク搬送ロータ10の一斉インデックス回転と、複数のシフト部材18の一斉ボックス運動及び複数の加工機24による一斉加工を、交互に繰り返すことで、ワーク加工中に、ワーク搬送ロータ10間でのシフト部材18によるワーク搬送を行うことができる。
【0041】
(実施例)
図10は、前述したワーク搬送ロータ10を矩形閉ループ状に配列した実施例を示す。26がワーク送入装置、27がワーク排出装置、30が各ワーク搬送ロータ10とシフト部材の作動を制御するコントローラである。ワーク搬送ロータ10はレイアウトの自由度が高いので、多数のワーク搬送ロータ10をコンパクトに配列することが可能である。このような矩形配列では、各コーナ部に配置したワーク搬送ロータ10に対するワークの受け渡しを270度回転又は90度回転で行うようにする。
【0042】
図11は本発明の別の実施例を示したもので、この実施例では、上流側のワーク搬送ロータ10から、下流側に並列(2列)で配列された複数のワーク搬送ロータ10に、ワーク搭載パレット14が分岐して搬送される。分岐部より下流側に加工時間が長くかかる工程を配置することにより、搬送ライン全体としてのタクトタイムを揃えることが可能となる。
【0043】
図12は、本発明のさらに別の実施例である。この実施例では、上流側に並列(2列)で配列された複数のワーク搬送ロータ10からのワーク搭載パレット14が、下流側に配列された1つのワーク搬送ロータ10に合流するようにしたものである。合流部より下流側に加工時間が短くてすむ工程を配置することにより、搬送ライン全体としてのタクトタイムを揃えることが可能となる。
【0044】
図11の分岐部に配置されたワーク搬送ロータ10、及び、図12の合流部に配置されたワーク搬送ロータ10は、直線状のワーク搬送ラインに配置された他のワーク搬送ロータ10とワークの受け渡しのインデックス位置が異なる。
【0045】
すなわち、ワーク搬送ロータ10の90度毎のインデックス回転はどれも同じであるが、図11の分岐部や図12の合流部に配置されたワーク搬送ロータ10は、90度回転でワークの受け渡しを行い、シフト部材はそのようなワークの受け渡しタイミングに合わせて駆動される。
【0046】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、前記実施形態ではワーク搬送ロータ10のアーム10aを4本としたが、図13のように8本で構成することも可能である。この場合は、ワーク搬送ロータ10を基本的には45度間隔でインデックス駆動する。また、アーム10aの本数は、ワークの大きさや形状等によって、8本以上とすることも可能である。
【0047】
また、前記実施形態ではワーク搬送ロータ10の切欠き溝12にワーク搭載パレット14を出し入れするようにしたが、ワークの種類・形状によっては、ワーク搭載パレットなしで、ワークを直接切欠き溝12に対し出し入れすることも可能である。
【0048】
また、前記第1の駆動手段は各回転軸11に個別に取り付けた例えばモータで構成し、このモータ同士を電気的制御で同期するようにしてもよい。
【0049】
また、前記第2の駆動手段は、各シフト部材18を、例えば電動カムを利用して上昇→前進→下降→後退のボックス運動を行うボックス運動機構で駆動し、このボックス運動機構の電動カム同士を電気的制御で同期するようにしてもよい。
【0050】
また、第2の駆動手段はボックス運動機構に限られるものではなく、例えばシフト部材18の爪部18aをバネ付きのラチェット爪に変更し、シフト部材18自体はボックス運動ではなく、搬送ラインの前後方向に直線的に往復動させる構成としてもよい。
【0051】
また、ワーク搭載パレット14自体を磁性体としたり、当該パレットに磁性体を取り付けたりすることで、当該ワーク搭載パレット14をシフト部材18の代替としての電磁リニアモータで駆動することも可能である。
【0052】
また、ワーク搬送ロータ10のアーム10aの切欠き溝12に、ワーク搭載パレット14の遠心力による飛び出しを防止するため、機械的或いは電磁的なストッパを配置することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 ワーク搬送ロータ
10a アーム
11 回転軸
12 切欠き溝
12a リブ
14 ワーク搭載パレット
14a 溝部
14b 段部
14c 切欠き穴
14d 穴部
16 電装部品
18、19 シフト部材
18a 爪部
20 ギアボックス
22 回転駆動ロッド
24 加工機
26 ワーク送入装置
28 ワーク排出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工機の間でワークを搬送するワークの搬送ラインに沿って配列された複数のワーク搬送ロータであって、各ワーク搬送ロータは、回転軸と、当該回転軸の周囲に所定角度間隔で配置されたワーク又はワーク搭載パレットを支持するための複数本のアームと、前記複数本のアームの長手方向先端部から基端部にかけて配置されて前記ワーク又はワーク搭載パレットを前記アームの長手方向に沿って出し入れ可能なワーク保持部と、を有する複数のワーク搬送ロータと、
前記ワーク搬送ロータの前記アームの先端部が、隣接する他のワーク搬送ロータの前記アームの先端部と互いに対向するインデックス位置に移動するように、前記複数のワーク搬送ロータの回転軸を互いに同期してインデックス回転する第1の駆動手段と、
前記複数のワーク搬送ロータ相互間において前記ワーク又はワーク搭載パレットに係合離脱可能かつ前記搬送ラインに沿って往復動可能に配置されたシフト部材と、
前記回転軸が前記駆動手段によってインデックス回転されて前記アームの先端部が前記インデックス位置に停止する度に、前記アームに保持されたワーク又はワーク搭載パレットを当該アームのワーク保持部から隣接する他のワーク搬送ロータのアームのワーク保持部に移動すべく前記シフト部材を駆動する第2の駆動手段と、を備えたワーク搬送装置。
【請求項2】
前記加工機による前記ワークの加工中に、前記インデックス位置にあるアームのワーク保持部に保持されたワークを、隣接するワーク搬送ロータのアームのワーク保持部に、前記第2の駆動手段で前記シフト部材を駆動することにより移動するようにした請求項1のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記ワーク搬送ロータのアームの本数を4本にした請求項1のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記ワーク搬送ロータのアームの本数を8本にした請求項1のワーク搬送装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−111689(P2013−111689A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259174(P2011−259174)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000177128)三洋機工株式会社 (35)
【Fターム(参考)】