ワーク用保護部材及びワークの搬送ユニット
【課題】搬送等に際し、ワークをより確実に保護することのできるコーナー部材を提供する。
【解決手段】略矩形板状をなすワークWの4隅にそれぞれ対応してパレット2に取付けられるコーナー部材3は、ワークWの下面を支持する載置部11と、載置部11の外周縁に沿って上方に突出する平面視略L字状の枠部21と、コーナー部材3の段積み状態において、下側のコーナー部材3の枠部21の上面に当接する脚部31と、下側のコーナー部材3の枠部21の内周面と対向する衝立リブ35と、下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面と対向する係止凸部43とを備えている。コーナー部材3の段積み状態において、上側のコーナー部材3は、衝立リブ35と下側のコーナー部材3の枠部21の内側面とが当接する位置と、係止凸部43と下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面とが当接する位置との間を変位可能となっている。
【解決手段】略矩形板状をなすワークWの4隅にそれぞれ対応してパレット2に取付けられるコーナー部材3は、ワークWの下面を支持する載置部11と、載置部11の外周縁に沿って上方に突出する平面視略L字状の枠部21と、コーナー部材3の段積み状態において、下側のコーナー部材3の枠部21の上面に当接する脚部31と、下側のコーナー部材3の枠部21の内周面と対向する衝立リブ35と、下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面と対向する係止凸部43とを備えている。コーナー部材3の段積み状態において、上側のコーナー部材3は、衝立リブ35と下側のコーナー部材3の枠部21の内側面とが当接する位置と、係止凸部43と下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面とが当接する位置との間を変位可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略矩形板状のワークの搬送時等に使用されるワーク用保護部材及び該保護部材を用いたワークの搬送ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフト等で搬送可能なパレットにワークを載せて搬送・保管等する場合に、ワークの脱落防止や保護等を図るべく、ワークを収容し、パレットに対して位置ずれが防止された状態で設置されるトレーを使用することが知られている。また、ワークが略矩形板状をなしている場合、パレットに対して、ワークの4隅を個別に支持することのできる保護部材を取付けてワークを保持するといった技術もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
当該技術において、保護部材同士は、上下に積み重ねる(段積みする)ことができるように構成されている。このような保護部材を用いることによって、ワークを上下に積み重ねて運搬・保管することが可能となる。このため、運搬・保管効率の向上が図られる上、ワーク全体を収容するトレーを用意するような場合に比べ、省資源化、低コスト化、未使用時の保管場所の省スペース化等を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パレットに対して直接当接して支持される保護部材に関しては、その位置ずれを防止するべくパレットに固定する必要がある。この場合において、保護部材のパレットへの固定作業のやり直しを未然に防止するべく、一般に、保護部材は、自身やワークの公差等を加味して、ワークの外寸よりも若干広めの間隔で設置される。
【0006】
しかしながら、このような設置態様では、ワークの4隅を支持している保護部材とワークの外周面との間に比較的大きな隙間ができてしまうことが懸念される。すなわち、保護部材間においてワークが大きく移動する余地が生じてしまうことが懸念され、場合によっては、搬送時等にワークと保護部材とが衝突し、これに起因してワークが損傷する等の不具合を招くおそれがある。
【0007】
さらに、上記従来の保護部材が段積みされた場合、一の保護部材を他の保護部材に対し水平方向に相対移動させることができない。このため、最下段の保護部材の配置がずれている場合には、全ての段で上記のようなワークの移動が起こり得る。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、搬送等に際し、ワークをより確実に保護することのできるワーク用保護部材及びワークの搬送ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.略矩形板状をなすワークの4隅にそれぞれ対応して設置されることで、ワークを設置面から離間させた状態で支持可能な保護部材であって、
ワークの1つのコーナー部の下面を支持可能な載置部と、
前記載置部の外周縁の一部から上方に突出し、平面視略L字状をなす支持凸部と、
前記載置部にワークが載置された保護部材の上方に保護部材を同じ向きで積み重ねた保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の上面に当接して支持される被支持部と、
保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の内周側面と対向する位置決め部と、
前記載置部よりも下方に突出し、保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面のうち互いに略直交して延びる2つの辺部にそれぞれ当接可能に構成された係止手段とを備え、
保護部材の段積み状態において、上側の保護部材は、前記位置決め部と下側の保護部材の前記支持凸部の内側面とが当接する位置と、前記係止手段と下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されていることを特徴とするワーク用保護部材。
【0011】
手段1によれば、保護部材の段積み状態において、上側の保護部材は、位置決め部と下側の保護部材の支持凸部の内側面とが当接する位置と、係止手段と下側の保護部材の載置部に載置されたワークの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されている。つまり、一番下(最下段)の保護部材が、ワークの外周形状(外寸)よりも若干広めの間隔で設置されたとしても、その保護部材の上に積まれる(2段目の)保護部材を、その係止手段が最下段の保護部材に載置されたワークの外周面に当接するように設置することができる。これにより、ワークの外周面と保護部材との間の隙間をなくすことができ、ワークと保護部材とが衝突してワーク等が損傷する等の不具合を抑止することができる。
【0012】
また、最下段の保護部材については、ワークの外周形状よりも若干広めの間隔で設置することができるため、最下段の保護部材をパレット等に固定した後にワークを設置できないことが判明して固定作業をやり直すといった事態や、ワークをパレット等に載せる段階になってから現物のワークの外周形状に逐一合わせつつ最下段の保護部材を配置していくといった事態を回避することができる。従って、作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
尚、上段の保護部材の位置ずれを防止するべく固定バンド等の固定手段を併用することで、ワークの外周面と保護部材との間の隙間がない状態がより確実に保持され、ワークの水平方向への位置ずれを防止するといった作用効果が一層確実に奏される。また、「保護部材の段積み状態では、上側の保護部材の前記係止手段と下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面とが当接した状態であっても、上側の保護部材の被支持部と下側の保護部材の支持凸部の上面とが当接すること」としてもよい。この場合、段積み状態において、保護部材同士を上下に直接当接させることで、ワークに付加される荷重を低減させるといった作用効果が確実に奏される。
【0014】
手段2.前記係止手段がワークの外周面に当接した状態において当該ワークの上面と対向し、少なくともワークと保護部材とが相対的に傾いた場合に、ワークの上面と接触可能な補助脚部を備えていることを特徴とする手段1に記載のワーク用保護部材。
【0015】
手段2によれば、保護部材がワークの内周側へ傾倒変位しようとしても、補助脚部がワークの上面に接触して突っ張ることによって、それ以上の傾倒変位を防止することができる。また、補助脚部によって保護部材の剛性が高められ、保護部材自体の変形を抑制することができる。従って、例えば、段積みされた保護部材を結束可能な固定バンド等を用いて保護部材の位置ずれを防止するような場合であっても、保護部材の内倒れ等を確実に防止することができる。さらに、補助脚部によって、ワークの浮き上がりを防止することもできる。
【0016】
手段3.前記支持凸部は、保護部材の段積み状態において上側の保護部材の前記被支持部と当接する外支持部と、上側の保護部材の前記位置決め部の下面と当接又は近接する内支持部とを備え、
前記係止手段がワークの外周面に当接するように設置された保護部材の前記内支持部は、当該保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面と略当接することを特徴とする手段1又は2に記載のワーク用保護部材。
【0017】
手段3によれば、支持凸部の内支持部によって載置部に載置されたワークの位置決めを行うことができ、保護部材を段積みする際の作業性の向上等を図ることができる。また、保護部材の段積み状態において、上側の保護部材の位置決め部の下面と内支持部の上面とについても当接する場合、段積みされた保護部材同士が上下に当接する面積を増大させることができ、段積み状態の安定感を図ることができる。
【0018】
手段4.上記手段1乃至3のいずれかに記載のワーク用保護部材と、
フォークリフトで搬送可能なパレットと、
パレット上に複数のワークが保護部材を介在させつつ上下に段積みされた状態において、少なくとも最上段の保護部材とパレットとにかけて装着される固定手段とを備え、
前記パレットは、ワークの4隅に対応する部位において、保護部材を前記載置部の載置面が水平となるように、かつ、水平方向において少なくともワークから離間する方向への変位が規制されるように取付可能な取付部を備え、
前記各取付部にそれぞれ保護部材を取付けることで、保護部材がワークの外寸よりも一回り大きな間隔で配置されることを特徴とするワークの搬送ユニット。
【0019】
手段4によれば、固定手段によって保護部材の変位を防止することができる。このためワークの外周面と保護部材の係止手段とが当接した状態をより確実に維持することができ、ワークの水平方向への位置ずれが防止され、ワークと保護部材とが衝突する等の不具合を払拭することができる。結果として、ワークがより確実に保護されることとなり、ワークをより安定して搬送することができる。
【0020】
また、保護部材をパレットの取付部に対して取付けることで、保護部材の載置部の載置面を水平に設置できるとともに、保護部材のワークから離間する方向への移動が規制されることから、保護部材によってワークをより安定して支持することができる。さらに、保護部材を各取付部に取付けることで、保護部材がワークの外周形状よりも若干広めの間隔で配置されることから、ワークをパレット等に載せる段階になってから現物のワークの外周形状に逐一合わせつつ保護部材を配置していくといった事態や、保護部材をパレット等に固定した後にワークを設置できないことが判明して固定作業をやり直すといった事態を回避することができるといった上記手段1に記載の作用効果が一層確実に奏される。
【0021】
尚、固定手段としては、保護部材とパレットとを結束するバンドや、パレット、ワーク、及び保護部材を内包するシュリンクフィルム等が挙げられる。勿論、複数の固定手段を組み合わせて使用することも可能である。特に、シュリンクフィルムを使用する場合、保護部材の段積み作業に際して、2段目〜最上段の保護部材の係止手段と各ワークの外周面とが離間して設置されても、シュリンクフィルムの熱収縮の際に、保護部材がワークの内周側に変位させられる。このため、シュリンクフィルムでパッケージすることによって、ワークの保護が図られるだけでなく、段積み作業性の向上を図ることができる。
【0022】
また、上記手段2の保護部材を使用する場合、最上段のワークの4隅の上面を覆うようにして保護部材が段積みされ、ワークの段数よりも、保護部材の段数の方が一段多く構成されていることとしてもよい。この場合、最上段のワークの浮き上がりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コーナー部材の上面側を示す斜視図である。
【図2】コーナー部材の上面側を示す斜視図である。
【図3】コーナー部材の下面側を示す斜視図である。
【図4】コーナー部材の下面側を示す斜視図である。
【図5】段積みされたワーク及びコーナー部材等を示す斜視図である。
【図6】図5のJ部を示す拡大図である。
【図7】係止凸部がワーク外周面に当接した様子を示す模式斜視図である。
【図8】図5のA−A線断面図である。
【図9】図8のK部を示す拡大図である。
【図10】図8のK部を示す斜視図である。
【図11】図5のB−B線断面図である。
【図12】図11のL部を示す拡大図である。
【図13】ワーク搬送ユニットの上面側を示す斜視図である。
【図14】図13のM部を示す拡大図である。
【図15】パレットの斜視図である。
【図16】別の実施形態におけるコーナー部材の斜視図である。
【図17】別の実施形態におけるコーナー部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図5、図13等に示すように、略矩形板状をなすワークW(例えば、太陽光パネル)の搬送や保管等に使用されるワーク搬送ユニット1は、フォークリフトによって搬送可能なパレット2と、ワークWの4隅にそれぞれ対応してパレット2に取付けられることで、ワークWを設置面(パレット2の上面)から離間させた状態で支持可能なワーク用保護部材としてのコーナー部材3とを備えている。本実施形態では、ワークWの4隅に対応してそれぞれ設置された4つのコーナー部材3によって、ワークWを支持する構成となっている。
【0025】
図1〜図4に示すように、コーナー部材3は、平面視略扇形(略四半円形状)をなし、ワークWの1つのコーナー部の下面に当接して支持可能な載置部11と、載置部11の外周縁に沿って上方に突出する枠部21とを備えている。以下、説明の便宜上、載置部11の外周縁のうち、互いに略直交して略直線状に延びる辺部を第1直線部12及び第2直線部13と称し、第1直線部12及び第2直線部13の先端部同士を連結するようにして円弧状に延びる辺部を曲線部14と称する(図1参照)。本実施形態のコーナー部材3は、ポリプロピレンによって一体形成されている。
【0026】
枠部21は、載置部11の第1直線部12及び第2直線部13に沿って平面視略L字状に設けられている。また、枠部21は、載置部11の外周方向において厚みを有するとともに、載置部11の内周側である内壁部の下部が内周側に膨出した段差形状をなしている。以下、説明の便宜上、枠部21のうち、載置部11の外周縁に沿って略L字状に延在する部位を外枠22と称し、外枠22の内周側に隣接し、外枠22よりも一段低い部位を内枠23と称する。さらに、図9、図10に示すように、枠部21の内側には、載置部11の外周方向において互いに対向する面の間を連結する補強リブ24が設けられている。尚、コーナー部材3は、枠部21のコーナー部と、曲線部14の中央部とを通る直線を含む鉛直面を中心に対称形状をなしている。
【0027】
図3、図4、図9等に示すように、載置部11の下面側には、枠部21から下方に突出する脚部31が設けられている。図9、図10等に示すように、脚部31は、枠部21の外周面(外枠22の外側面)を構成する壁部を下方に延長させるようにして形成された外脚壁32と、内枠23の内側面を構成する壁部を下方に延長させるようにして形成された内脚壁33と、補強リブ24を下方に延長させるようにして形成され、外脚壁32と内脚壁33との間を連結する延長リブ34とを備えている。外脚壁32の下縁部は、内脚壁33の下縁部よりも上方に位置しており、本実施形態では、上下方向において、外脚壁32の下縁部と、内脚壁33の下縁部との間の距離が、外枠22の上面と、内枠23の上面との間の距離と等しくなっている。
【0028】
また、延長リブ34の下縁部は外脚壁32の下縁部と同じ高さ位置となっている。さらに、延長リブ34のうち載置部11の内周側の部位から内脚壁33の外周面に沿って下方に延出する衝立リブ35が設けられている。衝立リブ35の下縁部は内脚壁33の下縁部と同じ高さ位置となっている。また、衝立リブ35のうち載置部11の外周側の縁部(以下、外縁部と称する)は、載置部11の外周方向において、外枠22の内側面(内枠23の上面と外枠22の内側面との境界部)と同じ位置となっている。
【0029】
このため、図6、図8〜図10等に示すように、コーナー部材3を同じ向きで上下に重ねる(段積みする)と、下側のコーナー部材3の外枠22の上面と、上側のコーナー部材3の延長リブ34の下縁部及び外脚部31の下縁部とが当接する。また、コーナー部材3を位置ずれなく真っ直ぐに段積みした場合には、さらに、下側のコーナー部材3の内枠23の上面と、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の下縁部及び内脚壁33の下縁部とが当接することとなる。加えて、枠部21の外周面はほぼ鉛直方向に延びていることから、下側のコーナー部材3の外枠22の内側面(内周側面)と、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の外縁部とが当接すると、下側のコーナー部材3の枠部21の外周面と、上側のコーナー部材3の脚部31の外周面とが略面一となる。
【0030】
本実施形態では、枠部21(特に外枠22)が支持凸部を構成し、外枠22が外支持部を構成し、内枠23が内支持部を構成する。また、脚部31(特に延長リブ34及び外脚壁32の下縁部)が被支持部を構成し、衝立リブ35(の外縁部)が位置決め部を構成する。尚、図1に示すように、内枠23については、枠部21のコーナー部において途切れているが、図3、図4に示すように、内脚壁33については、内枠23が連続的に延設されていると仮定した場合の内枠23の内周面の下縁に沿って、脚部31のコーナー部においても途切れることなく延設されている(図4参照)。
【0031】
図1等に示すように、載置部11の曲線部14から下方に延出する垂れ壁部41が設けられている。垂れ壁部41の下縁部は、内脚壁33の下縁部と同じ高さ位置となっている。また、垂れ壁部41は、下方に向けて載置部11の外周側に若干傾斜して延びている。尚、枠部21の両端末部は、垂れ壁部41と連続的に形成された壁部によって閉塞されている。
【0032】
また、図4等に示すように、内脚壁33の下縁部と垂れ壁部41の下縁部との各境界部には、載置部11の外周側において、内脚壁33及び垂れ壁部41よりも下方にまで突出する一対の係止凸部43が設けられている。各係止凸部43は上方に開口した略直方体形状をなしており、各係止凸部43の下方への突出長は、内枠23の載置部11からの突出長やワークWの厚みよりも若干短くなっている(図7、図9、図12等参照)。さらに、各係止凸部43は、平面視において、外枠22から外れた位置に設けられており、係止凸部43の上方には外枠22が存在しないようになっている。このため、図6に示すように、コーナー部材3同士を段積みした場合においても、上側のコーナー部材3の係止凸部43は、下側のコーナー部材3の外枠22と干渉することなく、下側のコーナー部材3の外枠22の両端末部の側方に位置することとなる。従って、下側のコーナー部材3の外枠22の上面と、上側のコーナー部材3の延長リブ34の下縁部とを確実に当接させることができる。
【0033】
尚、係止凸部43を構成する壁部の一部が、枠部21の両端末部を閉塞する壁部と連続的に形成されているが、当該壁部についても垂れ壁部41と同様に傾斜していることによって、枠部21の端面と係止凸部43の枠部21側の側面との水平方向における位置がずれるようになっている。また、本実施形態では、一対の係止凸部43によって係止手段が構成されている。
【0034】
さらに、一対の係止凸部43の上部間を連結する補助脚部45が設けられている。換言すれば、係止凸部43は補助脚部45の両端部から下方に突出している。補助脚部45は、一対の係止凸部43間を直線的に連結するのではなく、垂れ壁部41の下縁部に沿って円弧状に延在している。また、補助脚部45は、垂れ壁部41の下縁部から載置部11の外周側に向けて先端縁が係止凸部43の側面と面一となるまで水平に延出形成されるとともに、補強のために先端縁が上方に若干折り返された形状をなしている。尚、垂れ壁部41の下縁部から延出形成された補助脚部45の下面の位置は、内脚壁33の下縁部と同じ高さ位置となっている。
【0035】
また、図15に示すように、パレット2は、平面視でワークWの外周形状(外寸)よりも大きな略矩形状をなしており、フォークリフトのフォークを差し込み可能なフォーク差込み部51を備えている。本実施形態のパレット2は木製である。また、パレット2上面の4隅には、上方に突出する取付部としての取付台52が設けられている。取付台52は、略正方形板状をなし、係止凸部43の突出長(上下方向における係止凸部43の下端と補助脚部45の下面との間の距離)以上の厚みを有するベース板53と、ベース板53のうちパレット2の外周側の2つの辺部に沿って設けられ、ベース板53よりも上方にまで突出する枠板54とを備えている。枠板54の上面の内周縁及び両端縁は外枠22の上面形状に対応した形状をなしており、ベース板53の一辺の長さはL字状の枠板54の内周縁の一辺の長さよりも長くなっている。
【0036】
図6、図9、図10に示すように、コーナー部材3を取付台52に取付けた状態では、枠部21がパレット2の外周側、かつ、補助脚部45がパレット2の内周側となる向きで、内脚壁33、衝立リブ35、及び補助脚部45がベース板53に載せられ、外脚壁32、及び延長リブ34が枠板54に載せられるとともに、係止凸部43がベース板53の外周面と枠板54の外周面とで形成される凹所に挿入されてベース板53及び枠板54の外周面に当接する。つまり、コーナー部材3の下面側の段差形状に合わせて形成された取付台52にコーナー部材3を載せることで、コーナー部材3は、載置部11の上面(載置面)が略水平となるように取付台52に支持されるとともに、一対の係止凸部43がベース板53及び枠板54の外周面によって位置決めされる。また、補助脚部45がベース板53に当接することによって、コーナー部材3のパレット2内周側への傾倒変位がより確実に防止されるようになっている。加えて、延長リブ34及び外脚壁32を支持する枠板54が設けられることで、枠部21(特に外枠22)に下向きに付加された応力をより確実に支持することができる。
【0037】
さらに、図5、図8、図11等に示すように、4つ全ての取付台52にそれぞれコーナー部材3を取付けることで、4つのコーナー部材3の載置部11によってワークWをパレット2から浮かせた位置で支持することが可能になる。本実施形態では、各取付台52は、それぞれに取付けられたコーナー部材3にワークWを載せた場合に、コーナー部材3の枠部21(内枠23の内側面)とワークWの外周面との間に隙間が形成されるような位置に設けられている。
【0038】
さて、コーナー部材3は、コーナー部材3同士を上下に段積みした状態において、上側に積まれるコーナー部材3のパレット2(ワークW)の外周側への変位を規制する構成(外枠22と衝立リブ35との当接)については備えているものの、上側のコーナー部材3のパレット2内周側への変位を規制する構成は備えていない。但し、本実施形態のコーナー部材3には、補助脚部45の両端部において下方に突出する係止凸部43が設けられており、コーナー部材3を段積みすると、図6、図12に示すように、上側のコーナー部材3の係止凸部43は、下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面と対向することとなる。特に、係止凸部43は一対で設けられているため、コーナー部材3を段積みすると、図7に示すように、上側のコーナー部材3の一対の係止凸部43の間に、下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWが進入するような格好となり、一対の係止凸部43に対し、下側のコーナー部材3に載置されたワークWの外周面のうち互いに略直交して延びる2つの辺部が当接可能に構成されている。このため、コーナー部材3がパレット2の内周側に変位したとしても、係止凸部43がワークWの外周面に当接し、それ以上の変位が規制されることとなる。従って、コーナー部材3としては、上側に積まれるコーナー部材3の外周側への変位を防止する構成のみを備えるだけで、上側に積まれるコーナー部材3の脱落を防止することができる。
【0039】
このような構成を具備することによって、取付台52に取付けられる最下段(一段目)のコーナー部材3の直上方に設置される2段目のコーナー部材3は、全ての衝立リブ35の外縁部が最下段のコーナー部材3の外枠22の内側面と当接する位置と、一対の係止凸部43が両方とも最下段のコーナー部材3の載置部11に載置された最下段(一段目)のワークWの外周面に当接する位置との間で水平方向に変位可能となっている。従って、最下段のコーナー部材3の枠部21と、最下段のワークWの外周面との間に隙間が形成されていても、当該最下段のワークWの外周面と、2段目のコーナー部材3の一対の係止凸部43とを当接させて隙間をなくすことができる(図9、図10参照)。
【0040】
尚、外枠22の厚み(載置部11の外周方向における外枠22の上面の幅)は、コーナー部材3をパレット2の取付台52に取付けた場合に、最下段のコーナー部材3と、該コーナー部材3に載置される最下段のワークWとの間に生じ得る隙間を見越して、それを許容できるだけの幅に設定されている。すなわち、2段目のコーナー部材3が最下段のコーナー部材3に対してパレット2の内周側に最大限変位したとしても、2段目のコーナー部材3の外脚壁32が最下段のコーナー部材3の外枠22の上面から外れないような幅に設定され、上下のコーナー部材3の脚部31と枠部21との上下方向における当接状態が維持されるように構成されている。
【0041】
本実施形態の内枠23の載置部11からの突出長(上下方向における載置部11上面から内枠23上面までの距離)は、ワークWの厚みよりも長く(本例では若干長く)なっている。また、コーナー部材3の段積み状態では、上下方向において、下側のコーナー部材3の載置部11の上面と、上側のコーナー部材3の補助脚部45及び内脚壁33の下面との間の距離は、ワークWの厚み以上となる。これにより、下側のコーナー部材3の枠部21の上面(外枠22及び内枠23の上面)と、上側のコーナー部材3の脚部31の下面(外脚壁32、延長リブ34、衝立リブ35、及び内脚壁33の下縁部)とを確実に当接させることができる。
【0042】
さらに、補助脚部45の下面と内脚壁33及び衝立リブ35の下縁部とは同じ高さ位置であり、段積み状態では、下側のコーナー部材3の載置部11の上面と、上側のコーナー部材3の補助脚部45との距離が、ワークWの厚みよりも若干長くなっている。つまり、一対の係止凸部43間に延在する補助脚部45は、段積み状態においてワークWの上面に近接して対向するようになっている。このため、少なくともワークWとコーナー部材3とが少しでも相対的に傾けば、ワークWの上面と補助脚部45の下面とが接触することになる(実際には段積みした時点で当接する)。加えて、上下方向において、下側のコーナー部材3の載置部11の上面と、上側のコーナー部材3の係止凸部43下面との間の距離は、ワークWの厚み未満となっている。これにより、係止凸部43をワークWの外周面と確実に対向させ、当接可能に構成することができる。
【0043】
また、本実施形態では、各係止凸部43のうちワークWの外周面と当接可能な面と、各内枠23の内側面とは、鉛直方向に延びる仮想の同一平面上に(ほぼ)位置するように構成されており、段積み状態において、上側のコーナー部材3の係止凸部43のワークWとの当接面と、下側のコーナー部材3の内枠23のワークWとの当接面(内側面)とを略面一とすることができる。このため、例えば、2段目の全てのコーナー部材3に関し、一対の係止凸部43がそれぞれ最下段のワークWの外周面に当接状態とされた場合、2段目のコーナー部材3の載置部11に2段目のワークWを載置すると、2段目のワークWの外周面と、2段目のコーナー部材3の各内枠23の内側面とが略当接するようになっている。
【0044】
さらに、かかる2段目のコーナー部材3の上に3段目のコーナー部材3を段積みする場合、段積みするだけで、3段目のコーナー部材3の一対の係止凸部43が2段目のワークWの外周面に略当接するとともに、3段目のコーナー部材3の衝立リブ35の外縁部と2段目のコーナー部材3の外枠22の内側面とが略当接することとなる。従って、3段目のコーナー部材3は、段積みの時点で、水平方向への変位の余地がないように位置決めされる。
【0045】
加えて、図1等に示すように、枠部21の外枠22の上面には凹状のバンド掛け部26が形成されている。バンド掛け部26は、載置部11の外周縁に沿って略L字状に延在する外枠22のうち、第1直線部12及び第2直線部13の各中間位置にそれぞれ対応する部位において1つずつ計2カ所に形成されている。当該バンド掛け部26には、ワークWを段積みした状態において後述する固定バンド7が引っ掛けられ、段積みされたコーナー部材3がパレット2とともに結束されるようになっている。
【0046】
次に、ワークWの搬送に際しての梱包作業について説明する。先ず、パレット2の各取付台52にコーナー部材3を取付ける。続いて、4つのコーナー部材3の載置部11に4隅下面を当てるようにしてワークWを設置する。さらに、各コーナー部材3の上方にコーナー部材3を設置する。上側に載せるコーナー部材3は、係止凸部43がワークWの上面に当接しないように(ワークWの外周面よりも外周側に位置するように)、かつ、脚部31の下縁部が下側のコーナー部材3の枠部21の上面と上下に当接するように設置される。そして、当該コーナー部材3の載置部11にもワークWを載置する。
【0047】
その後、同様にして、コーナー部材3を介在させつつワークWを所期の段数だけ段積みしてから、さらに、最上段のワークWの4隅上方を覆うようにして、コーナー部材3を設置する(図13参照)。これにより、上下に積み重ねられるワークWの段数よりも、コーナー部材3の段数の方が一段多くなる。
【0048】
そして、図13、図14に示すように、4カ所で複数段積み上がった各コーナー部材3とパレット2とを結束するようにして、固定バンド7を装着する。すなわち、固定バンド7は、先ず、コーナー部材3の最上段のコーナー部材3のバンド掛け部26に引っ掛け、そのままワークWの側辺部に沿って延長させて、対向するコーナー部材3のバンド掛け部26にも引っ掛ける。さらに、固定バンド7を下方に延ばしてパレット2のフォーク差込み部51の内側を通し、最初に固定バンド7を引っ掛けたコーナー部材3にまで固定バンド7を回し込んでから、固定バンド7の両端部同士を接続する。この作業を、結束されるコーナー部材3のペアを変えながら、固定バンド7がワークWの各側辺部に沿って延在するようになるまで合計4回繰り返す。
【0049】
このとき、固定バンド7によりコーナー部材3を固定することで、特に最上段のコーナー部材3にはワークWの内周側へ向かう力が作用し、ワークWの外周面との間に変位する余地がある場合には、ワークWの内周側にワークW外周面と当接するまで変位することとなる。これにより、最上段のワークWの水平方向への変位が防止されることとなる。また、固定バンド7によりコーナー部材3が固定されることで、コーナー部材3には下方へ向かう力も作用することとなり、最上段のコーナー部材3よりも下方のコーナー部材3は、最上段のコーナー部材3とパレット2とで挟持された状態となり、上下方向への移動が防止される上、水平方向への移動についても抑制されることとなる。
【0050】
さらに、固定バンド7によりコーナー部材3を固定することで、コーナー部材3の補助脚部45の下面が、ワークWの上面に圧接されることとなる。これにより、ワークWが下側のコーナー部材3の載置部11と、上側のコーナー部材3の補助脚部45とで上下に挟持される格好となり、ワークWの浮き上がりが防止されるようになっている。尚、ワークWには個別に包装が施されており、4隅において上面がコーナー部材3の補助脚部45に直接押圧されないように構成されている上、包装を介して押圧されたとしても、損傷が生じないようになっている。
【0051】
本実施形態では、固定バンド7を装着した後、段積みされたワークW及びコーナー部材3が図示しないシュリンクフィルムによってパッケージされるようになっている。シュリンクフィルムを熱収縮させる際に、ワークWの内周側に動く余地のある(係止凸部43とワークWの外周面との間に隙間がある)コーナー部材3については、収縮するシュリンクフィルムによってワークWの内周側に(係止凸部43がワークW外周面に当接するまで)変位させられることとなる。つまり、ワークW及びコーナー部材3の段積み作業に際して、コーナー部材3を1つずつ係止凸部43がワークWの外周面ときっちり当接するように積んでいかなくても、シュリンクフィルムのパッケージが完了すると、ワークWの外周面にコーナー部3の係止凸部43が当接するとともに、係止凸部43の変位が規制されてワークWの外周面と係止凸部43との当接状態が維持される状態とされる。
【0052】
以上詳述したように、本実施形態によれば、コーナー部材3の段積み状態において、上側のコーナー部材3は、衝立リブ35の外縁部と下側のコーナー部材3の外枠22の内側面とが当接する位置と、一対の係止凸部43と下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されている。つまり、最下段のコーナー部材3が、ワークWの外周形状よりも若干広めの間隔で設置されたとしても、2段目のコーナー部材3を、その係止凸部43が最下段のワークWの外周面に当接するように設置することができる。これにより、ワークWの外周面とコーナー部材3との間の隙間をなくすことができ、ワークWとコーナー部材3とが衝突してワークW等が損傷する等の不具合を抑止することができる。
【0053】
また、最下段のコーナー部材3については、ワークWの外周形状よりも若干広めの間隔で設置することができるため、最下段のコーナー部材3をパレット2に固定した後にワークWを設置できないことが判明して固定作業をやり直すといった事態や、ワークWをパレット2に載せる段階になってから現物のワークWの外周形状に逐一合わせつつ最下段のコーナー部材3を配置していくといった事態を回避することができる。従って、作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0054】
尚、2段目のコーナー部材3が上記のようにワークWの外周方向において最下段のコーナー部材3に当接する位置と最下段のコーナー部材3に支持されたワークWに当接する位置との間で変位しても、上側のコーナー部材3の延長リブ34及び外脚壁32の下縁部と下側のコーナー部材3の外枠22の上面との当接状態が維持されるようになっている。このため、段積み状態において、コーナー部材3同士を上下に直接当接させることで、ワークWに付加される荷重を低減させるといった作用効果が確実に奏される。
【0055】
さらに、本実施形態では、一対の係止凸部43の上部間を連結するようにして延在し、段積み状態において、下側のコーナー部材3に載置されたワークWのコーナー部位の上面に近接して対向配置される補助脚部45が設けられている。このため、コーナー部材3がワークWの内周側へ傾倒変位しようとしても、補助脚部45がワークWの上面に接触して突っ張ることによって、それ以上の傾倒変位を防止することができる。また、補助脚部45によってコーナー部材3の剛性が高められ、コーナー部材3自体の変形を抑制することができる。従って、段積みされたコーナー部材3を固定バンド7等を用いてコーナー部材3の位置ずれを防止した状態としても、コーナー部材3の内倒れ等を確実に防止することができる。さらに、補助脚部45の存在によって、ワークWの浮き上がりを防止することもできる。
【0056】
加えて、補助脚部45は、一対の係止凸部43間を直線的に連結するようにして真っ直ぐ延びているのではなく、一対の係止凸部43よりもワークWの内周側に膨出しているため、コーナー部材3の傾倒防止及びワークWの浮き上がり防止の効果が一層確実に奏される。また、補助脚部45が湾曲状に形成されているため、補助脚部45がワークWに圧接した際にワークWに対して局所的に応力が付加されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0057】
また、枠部21は、段積み状態において上側のコーナー部材3の延長リブ34の下縁部に当接するとともに、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の外縁部に当接可能な外枠22を備えるだけでなく、外枠22の内側面の下部から載置部11の内周側に膨出形成された内枠23を備えている。そして、一対の係止凸部43がワークWの外周面に当接するようにコーナー部材3が設置された場合に、当該コーナー部材3の内枠23は、当該コーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面と略当接するようになっている。つまり、ワークWの4隅に対応して設けられる4つ全てのコーナー部材3の各係止凸部43がそれぞれワークWの外周面に当接した状態とされると、その上側(かかる4つのコーナー部材3の枠部21の内周側)には、ワークW及びコーナー部材3をほぼぴったりと収めることのできる空間しか形成されない。このため、内枠23がなく、ワークWの位置ずれが生じ得る構成であると、コーナー部材3を段積みするためにワークWの位置合わせをする必要が生じることが懸念されるが、内枠23があれば、載置部11に載置されたワークWの位置決めを行うことができ、コーナー部材3を段積みする際の作業性の向上等を図ることができる。また、コーナー部材3の段積み状態において、内枠23の上面についても、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の下縁部と当接する構成のため、段積みされたコーナー部材3同士が上下に当接する面積を増大させることができ、段積み状態の安定感を図ることができる。
【0058】
また、パレット2上にコーナー部材3を介在させつつ段積みされたワークWは、コーナー部材3とパレット2とを結束する固定バンド7によって固定されるとともに、シュリンクフィルムでパッケージされる。このため、各コーナー部材3の変位が防止され、コーナー部材3の係止凸部43と、対応するワークWの外周面とが当接した状態をより確実に維持することができる。従って、ワークWの水平方向への位置ずれが防止され、ワークWとコーナー部材3とが衝突する等の不具合を払拭することができる。結果として、ワークWがより確実に保護されることとなり、ワークWをより安定して搬送することができる。
【0059】
加えて、ワークWの段数よりもコーナー部材3の段数の方が一段多く、最上段のワークWの4隅の上面が最上段のコーナー部材3に覆われている。このため、全段のワークWの浮き上がりを防止することができる。
【0060】
さらに、固定バンド7を装着したり、シュリンクフィルムを熱収縮させたりする際に、段積みされたコーナー部材3にはワークWの内周側に圧縮されるような力が作用する。このため、段積み作業において逐一コーナー部材3をその係止凸部43がワークW外周面に当接するように設置しなくても、梱包が完了する段階で各ワークWの外周面にコーナー部材3の係止凸部43が当接した状態とすることができる。従って、作業性の向上を図ることができる。
【0061】
また、コーナー部材3をパレット2の取付台52に対して取付けることで、コーナー部材3の載置部11の載置面を水平に設置できるとともに、コーナー部材3の水平方向への移動が規制されることから、コーナー部材3によってワークWをより安定して支持することができる。さらに、コーナー部材3を各取付台52に取付けることで、コーナー部材3がワークWの外周形状(外寸)よりも若干広めの間隔で配置されることから、現物のワークW形状に逐一合わせつつコーナー部材3を配置したり、コーナー部材3の固定作業をやり直したりすることを回避するといった上記作用効果が一層確実に奏される。
【0062】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0063】
(a)コーナー部材3の形状は特に限定されるものではなく、ワークWを支持する載置部11と、載置部11の外周縁の一部から上方に突出する支持凸部(枠部21)と、段積み時に下側のコーナー部材3の支持凸部に支持される被支持部(脚部31の延長リブ34等)と、段積み時に下側のコーナー部材3の支持凸部の内側面に当接可能な位置決め部(脚部31の衝立リブ35)と、段積み時に下側のコーナー部材3に載置されたワークWの外周面の異なる2辺にそれぞれ当接可能な係止凸部43とを備えていればよい。例えば、図16や図17に示すように構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、係止手段は一対の係止凸部43で構成されているが、平面視略L字状に形成された1つの突起で構成してもよい。さらに、枠部21の内枠23を省略してもよいが、載置部11に載置されたワークWの位置決めを行うことができたり、段積みされたコーナー部材3の上下の当接面積を増大させたりすることができるため、設けることが望ましい。加えて、バンド掛け部26を省略することも可能であるが、固定バンド7を使用する場合には、固定バンド7を好適な位置(強度が高い位置、バランスの良い位置)にて保持するために設けることが望ましい。また、垂れ壁部41を簡略化したり省略したりすることも可能であるが、コーナー部材3の強度を確保して形状を維持するために設けることが望ましく、さらに、固定バンド7を使用する場合には、少なくとも直上方に固定バンド7が延在している位置に対応して、垂れ壁部41が載置部11と補助脚部45とにかけて設けられていることが望ましい。
【0065】
加えて、上記実施形態では、コーナー部材3がポリプロピレンにより構成されているが、その他の素材により構成してもよい。例えば、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料で構成してもよい。
【0066】
(b)また、ワークWとしては略矩形板状のものであればよく、さらに、板状の本体に対して付属部品が設けられていてもよい。例えば、ワークとして太陽光パネルを搬送する場合、配線等が設けられたパネル本体の裏面側を上側に向けてコーナー部材3に載置する。さらに、脚部31及び垂れ壁部41を有するコーナー部材3を介在させつつワークWを上側に積み重ねていけば、上下のパネル本体間に配線等を収容可能なスペースを十分に確保することができ、複数のワークWを好適に段積みすることができる。
【0067】
尚、脚部31及び垂れ壁部41の延出長は、上下のワークW間にどれくらいのスペースを確保する必要があるかによって適宜変更可能であり、載置部11の厚み程度で十分なワークWであれば、垂れ壁部41を省略するとともに脚部31を短縮し、載置部11の下面の高さから係止凸部43を下方に突設してもよい。
【0068】
(c)上記実施形態では、パレット2へコーナー部材3を取付ける取付部として、係止凸部43を係止させることで水平方向への変位を防止することのできる取付台52が採用されているが、コーナー部材3の載置部11の載置面を水平に設置し、かつ、ワークWの外周側への変位を規制可能な構成のものであればよい。例えば、パレット2内周側への変位を許容するような(水平にスライド装着可能な)構成の取付台でもよいし、取付台に代えて、パレット2の上面に対し、コーナー部材3の係止凸部43を挿入可能な凹部又は開口部を形成して係止凸部43を引っ掛けることができるように構成してもよい。また、パレット2に対してねじ等で別途固定したり、パレット2に対する取付台52の設置位置を適宜調節可能に構成したりしてもよい。また、パレット2を木製ではなく樹脂製にしてもよい。
【0069】
(d)上記実施形態では、最上段のワークWの4隅上方を覆うようにしてコーナー部材3が設置され、ワークWの段数よりもコーナー部材3の段数が一段多くなるように構成されているが、同じ段数としてもよい。すなわち、一対の係止凸部43がそれぞれワークWの外周面に当接したコーナー部材3の載置部11にワークWを載せた場合、当該ワークWの外周面と枠部21の内枠23の内側面とがほぼ当接状態となる。つまり、最上段のワークWは、当該ワークWの4隅上方を覆うコーナー部材3を設置しなくても、最上段のワークWを載置するコーナー部材3によって水平方向への位置ずれを抑止することができる。但し、最上段のワークWの浮き上がりを防止するべく、当該ワークWの4隅上面を押さえるコーナー部材3を設けることが望ましい。
【0070】
また、上記実施形態では、固定バンド7及びシュリンクフィルムを使用してコーナー部材3及びワークWの変位を防止しているが、どちらか一方を使用するだけでもよいし、別の部材でもってコーナー部材3の変位を防止してもよい。さらに、上記実施形態では、ワークWを複数段に積み上げて搬送する場合に具体化されているが、複数のワークWを上下に積み重ねて搬送する場合だけではなく、1つのワークWを搬送する場合(この場合のコーナー部材3は2段になる)にも使用できる。加えて、1つのパレット2に対して例えばワークWを2列で上下に段積みすることも可能である。つまり、例えば、上記実施形態のワークWの半分の面積の矩形板状のワークであれば、取付台52を新たに4つ設置するだけで、同じコーナー部材3を使用して、かかるワークを2列で段積みすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…ワーク搬送ユニット、2…パレット、3…コーナー部材、11…載置部、21…枠部、22…外枠、23…内枠、31…脚部、32…外脚壁、33…内脚壁、34…延長リブ、35…衝立リブ、43…係止凸部、45…補助脚部、52…取付台、W…ワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、略矩形板状のワークの搬送時等に使用されるワーク用保護部材及び該保護部材を用いたワークの搬送ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフト等で搬送可能なパレットにワークを載せて搬送・保管等する場合に、ワークの脱落防止や保護等を図るべく、ワークを収容し、パレットに対して位置ずれが防止された状態で設置されるトレーを使用することが知られている。また、ワークが略矩形板状をなしている場合、パレットに対して、ワークの4隅を個別に支持することのできる保護部材を取付けてワークを保持するといった技術もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
当該技術において、保護部材同士は、上下に積み重ねる(段積みする)ことができるように構成されている。このような保護部材を用いることによって、ワークを上下に積み重ねて運搬・保管することが可能となる。このため、運搬・保管効率の向上が図られる上、ワーク全体を収容するトレーを用意するような場合に比べ、省資源化、低コスト化、未使用時の保管場所の省スペース化等を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パレットに対して直接当接して支持される保護部材に関しては、その位置ずれを防止するべくパレットに固定する必要がある。この場合において、保護部材のパレットへの固定作業のやり直しを未然に防止するべく、一般に、保護部材は、自身やワークの公差等を加味して、ワークの外寸よりも若干広めの間隔で設置される。
【0006】
しかしながら、このような設置態様では、ワークの4隅を支持している保護部材とワークの外周面との間に比較的大きな隙間ができてしまうことが懸念される。すなわち、保護部材間においてワークが大きく移動する余地が生じてしまうことが懸念され、場合によっては、搬送時等にワークと保護部材とが衝突し、これに起因してワークが損傷する等の不具合を招くおそれがある。
【0007】
さらに、上記従来の保護部材が段積みされた場合、一の保護部材を他の保護部材に対し水平方向に相対移動させることができない。このため、最下段の保護部材の配置がずれている場合には、全ての段で上記のようなワークの移動が起こり得る。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、搬送等に際し、ワークをより確実に保護することのできるワーク用保護部材及びワークの搬送ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.略矩形板状をなすワークの4隅にそれぞれ対応して設置されることで、ワークを設置面から離間させた状態で支持可能な保護部材であって、
ワークの1つのコーナー部の下面を支持可能な載置部と、
前記載置部の外周縁の一部から上方に突出し、平面視略L字状をなす支持凸部と、
前記載置部にワークが載置された保護部材の上方に保護部材を同じ向きで積み重ねた保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の上面に当接して支持される被支持部と、
保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の内周側面と対向する位置決め部と、
前記載置部よりも下方に突出し、保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面のうち互いに略直交して延びる2つの辺部にそれぞれ当接可能に構成された係止手段とを備え、
保護部材の段積み状態において、上側の保護部材は、前記位置決め部と下側の保護部材の前記支持凸部の内側面とが当接する位置と、前記係止手段と下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されていることを特徴とするワーク用保護部材。
【0011】
手段1によれば、保護部材の段積み状態において、上側の保護部材は、位置決め部と下側の保護部材の支持凸部の内側面とが当接する位置と、係止手段と下側の保護部材の載置部に載置されたワークの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されている。つまり、一番下(最下段)の保護部材が、ワークの外周形状(外寸)よりも若干広めの間隔で設置されたとしても、その保護部材の上に積まれる(2段目の)保護部材を、その係止手段が最下段の保護部材に載置されたワークの外周面に当接するように設置することができる。これにより、ワークの外周面と保護部材との間の隙間をなくすことができ、ワークと保護部材とが衝突してワーク等が損傷する等の不具合を抑止することができる。
【0012】
また、最下段の保護部材については、ワークの外周形状よりも若干広めの間隔で設置することができるため、最下段の保護部材をパレット等に固定した後にワークを設置できないことが判明して固定作業をやり直すといった事態や、ワークをパレット等に載せる段階になってから現物のワークの外周形状に逐一合わせつつ最下段の保護部材を配置していくといった事態を回避することができる。従って、作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
尚、上段の保護部材の位置ずれを防止するべく固定バンド等の固定手段を併用することで、ワークの外周面と保護部材との間の隙間がない状態がより確実に保持され、ワークの水平方向への位置ずれを防止するといった作用効果が一層確実に奏される。また、「保護部材の段積み状態では、上側の保護部材の前記係止手段と下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面とが当接した状態であっても、上側の保護部材の被支持部と下側の保護部材の支持凸部の上面とが当接すること」としてもよい。この場合、段積み状態において、保護部材同士を上下に直接当接させることで、ワークに付加される荷重を低減させるといった作用効果が確実に奏される。
【0014】
手段2.前記係止手段がワークの外周面に当接した状態において当該ワークの上面と対向し、少なくともワークと保護部材とが相対的に傾いた場合に、ワークの上面と接触可能な補助脚部を備えていることを特徴とする手段1に記載のワーク用保護部材。
【0015】
手段2によれば、保護部材がワークの内周側へ傾倒変位しようとしても、補助脚部がワークの上面に接触して突っ張ることによって、それ以上の傾倒変位を防止することができる。また、補助脚部によって保護部材の剛性が高められ、保護部材自体の変形を抑制することができる。従って、例えば、段積みされた保護部材を結束可能な固定バンド等を用いて保護部材の位置ずれを防止するような場合であっても、保護部材の内倒れ等を確実に防止することができる。さらに、補助脚部によって、ワークの浮き上がりを防止することもできる。
【0016】
手段3.前記支持凸部は、保護部材の段積み状態において上側の保護部材の前記被支持部と当接する外支持部と、上側の保護部材の前記位置決め部の下面と当接又は近接する内支持部とを備え、
前記係止手段がワークの外周面に当接するように設置された保護部材の前記内支持部は、当該保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面と略当接することを特徴とする手段1又は2に記載のワーク用保護部材。
【0017】
手段3によれば、支持凸部の内支持部によって載置部に載置されたワークの位置決めを行うことができ、保護部材を段積みする際の作業性の向上等を図ることができる。また、保護部材の段積み状態において、上側の保護部材の位置決め部の下面と内支持部の上面とについても当接する場合、段積みされた保護部材同士が上下に当接する面積を増大させることができ、段積み状態の安定感を図ることができる。
【0018】
手段4.上記手段1乃至3のいずれかに記載のワーク用保護部材と、
フォークリフトで搬送可能なパレットと、
パレット上に複数のワークが保護部材を介在させつつ上下に段積みされた状態において、少なくとも最上段の保護部材とパレットとにかけて装着される固定手段とを備え、
前記パレットは、ワークの4隅に対応する部位において、保護部材を前記載置部の載置面が水平となるように、かつ、水平方向において少なくともワークから離間する方向への変位が規制されるように取付可能な取付部を備え、
前記各取付部にそれぞれ保護部材を取付けることで、保護部材がワークの外寸よりも一回り大きな間隔で配置されることを特徴とするワークの搬送ユニット。
【0019】
手段4によれば、固定手段によって保護部材の変位を防止することができる。このためワークの外周面と保護部材の係止手段とが当接した状態をより確実に維持することができ、ワークの水平方向への位置ずれが防止され、ワークと保護部材とが衝突する等の不具合を払拭することができる。結果として、ワークがより確実に保護されることとなり、ワークをより安定して搬送することができる。
【0020】
また、保護部材をパレットの取付部に対して取付けることで、保護部材の載置部の載置面を水平に設置できるとともに、保護部材のワークから離間する方向への移動が規制されることから、保護部材によってワークをより安定して支持することができる。さらに、保護部材を各取付部に取付けることで、保護部材がワークの外周形状よりも若干広めの間隔で配置されることから、ワークをパレット等に載せる段階になってから現物のワークの外周形状に逐一合わせつつ保護部材を配置していくといった事態や、保護部材をパレット等に固定した後にワークを設置できないことが判明して固定作業をやり直すといった事態を回避することができるといった上記手段1に記載の作用効果が一層確実に奏される。
【0021】
尚、固定手段としては、保護部材とパレットとを結束するバンドや、パレット、ワーク、及び保護部材を内包するシュリンクフィルム等が挙げられる。勿論、複数の固定手段を組み合わせて使用することも可能である。特に、シュリンクフィルムを使用する場合、保護部材の段積み作業に際して、2段目〜最上段の保護部材の係止手段と各ワークの外周面とが離間して設置されても、シュリンクフィルムの熱収縮の際に、保護部材がワークの内周側に変位させられる。このため、シュリンクフィルムでパッケージすることによって、ワークの保護が図られるだけでなく、段積み作業性の向上を図ることができる。
【0022】
また、上記手段2の保護部材を使用する場合、最上段のワークの4隅の上面を覆うようにして保護部材が段積みされ、ワークの段数よりも、保護部材の段数の方が一段多く構成されていることとしてもよい。この場合、最上段のワークの浮き上がりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コーナー部材の上面側を示す斜視図である。
【図2】コーナー部材の上面側を示す斜視図である。
【図3】コーナー部材の下面側を示す斜視図である。
【図4】コーナー部材の下面側を示す斜視図である。
【図5】段積みされたワーク及びコーナー部材等を示す斜視図である。
【図6】図5のJ部を示す拡大図である。
【図7】係止凸部がワーク外周面に当接した様子を示す模式斜視図である。
【図8】図5のA−A線断面図である。
【図9】図8のK部を示す拡大図である。
【図10】図8のK部を示す斜視図である。
【図11】図5のB−B線断面図である。
【図12】図11のL部を示す拡大図である。
【図13】ワーク搬送ユニットの上面側を示す斜視図である。
【図14】図13のM部を示す拡大図である。
【図15】パレットの斜視図である。
【図16】別の実施形態におけるコーナー部材の斜視図である。
【図17】別の実施形態におけるコーナー部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図5、図13等に示すように、略矩形板状をなすワークW(例えば、太陽光パネル)の搬送や保管等に使用されるワーク搬送ユニット1は、フォークリフトによって搬送可能なパレット2と、ワークWの4隅にそれぞれ対応してパレット2に取付けられることで、ワークWを設置面(パレット2の上面)から離間させた状態で支持可能なワーク用保護部材としてのコーナー部材3とを備えている。本実施形態では、ワークWの4隅に対応してそれぞれ設置された4つのコーナー部材3によって、ワークWを支持する構成となっている。
【0025】
図1〜図4に示すように、コーナー部材3は、平面視略扇形(略四半円形状)をなし、ワークWの1つのコーナー部の下面に当接して支持可能な載置部11と、載置部11の外周縁に沿って上方に突出する枠部21とを備えている。以下、説明の便宜上、載置部11の外周縁のうち、互いに略直交して略直線状に延びる辺部を第1直線部12及び第2直線部13と称し、第1直線部12及び第2直線部13の先端部同士を連結するようにして円弧状に延びる辺部を曲線部14と称する(図1参照)。本実施形態のコーナー部材3は、ポリプロピレンによって一体形成されている。
【0026】
枠部21は、載置部11の第1直線部12及び第2直線部13に沿って平面視略L字状に設けられている。また、枠部21は、載置部11の外周方向において厚みを有するとともに、載置部11の内周側である内壁部の下部が内周側に膨出した段差形状をなしている。以下、説明の便宜上、枠部21のうち、載置部11の外周縁に沿って略L字状に延在する部位を外枠22と称し、外枠22の内周側に隣接し、外枠22よりも一段低い部位を内枠23と称する。さらに、図9、図10に示すように、枠部21の内側には、載置部11の外周方向において互いに対向する面の間を連結する補強リブ24が設けられている。尚、コーナー部材3は、枠部21のコーナー部と、曲線部14の中央部とを通る直線を含む鉛直面を中心に対称形状をなしている。
【0027】
図3、図4、図9等に示すように、載置部11の下面側には、枠部21から下方に突出する脚部31が設けられている。図9、図10等に示すように、脚部31は、枠部21の外周面(外枠22の外側面)を構成する壁部を下方に延長させるようにして形成された外脚壁32と、内枠23の内側面を構成する壁部を下方に延長させるようにして形成された内脚壁33と、補強リブ24を下方に延長させるようにして形成され、外脚壁32と内脚壁33との間を連結する延長リブ34とを備えている。外脚壁32の下縁部は、内脚壁33の下縁部よりも上方に位置しており、本実施形態では、上下方向において、外脚壁32の下縁部と、内脚壁33の下縁部との間の距離が、外枠22の上面と、内枠23の上面との間の距離と等しくなっている。
【0028】
また、延長リブ34の下縁部は外脚壁32の下縁部と同じ高さ位置となっている。さらに、延長リブ34のうち載置部11の内周側の部位から内脚壁33の外周面に沿って下方に延出する衝立リブ35が設けられている。衝立リブ35の下縁部は内脚壁33の下縁部と同じ高さ位置となっている。また、衝立リブ35のうち載置部11の外周側の縁部(以下、外縁部と称する)は、載置部11の外周方向において、外枠22の内側面(内枠23の上面と外枠22の内側面との境界部)と同じ位置となっている。
【0029】
このため、図6、図8〜図10等に示すように、コーナー部材3を同じ向きで上下に重ねる(段積みする)と、下側のコーナー部材3の外枠22の上面と、上側のコーナー部材3の延長リブ34の下縁部及び外脚部31の下縁部とが当接する。また、コーナー部材3を位置ずれなく真っ直ぐに段積みした場合には、さらに、下側のコーナー部材3の内枠23の上面と、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の下縁部及び内脚壁33の下縁部とが当接することとなる。加えて、枠部21の外周面はほぼ鉛直方向に延びていることから、下側のコーナー部材3の外枠22の内側面(内周側面)と、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の外縁部とが当接すると、下側のコーナー部材3の枠部21の外周面と、上側のコーナー部材3の脚部31の外周面とが略面一となる。
【0030】
本実施形態では、枠部21(特に外枠22)が支持凸部を構成し、外枠22が外支持部を構成し、内枠23が内支持部を構成する。また、脚部31(特に延長リブ34及び外脚壁32の下縁部)が被支持部を構成し、衝立リブ35(の外縁部)が位置決め部を構成する。尚、図1に示すように、内枠23については、枠部21のコーナー部において途切れているが、図3、図4に示すように、内脚壁33については、内枠23が連続的に延設されていると仮定した場合の内枠23の内周面の下縁に沿って、脚部31のコーナー部においても途切れることなく延設されている(図4参照)。
【0031】
図1等に示すように、載置部11の曲線部14から下方に延出する垂れ壁部41が設けられている。垂れ壁部41の下縁部は、内脚壁33の下縁部と同じ高さ位置となっている。また、垂れ壁部41は、下方に向けて載置部11の外周側に若干傾斜して延びている。尚、枠部21の両端末部は、垂れ壁部41と連続的に形成された壁部によって閉塞されている。
【0032】
また、図4等に示すように、内脚壁33の下縁部と垂れ壁部41の下縁部との各境界部には、載置部11の外周側において、内脚壁33及び垂れ壁部41よりも下方にまで突出する一対の係止凸部43が設けられている。各係止凸部43は上方に開口した略直方体形状をなしており、各係止凸部43の下方への突出長は、内枠23の載置部11からの突出長やワークWの厚みよりも若干短くなっている(図7、図9、図12等参照)。さらに、各係止凸部43は、平面視において、外枠22から外れた位置に設けられており、係止凸部43の上方には外枠22が存在しないようになっている。このため、図6に示すように、コーナー部材3同士を段積みした場合においても、上側のコーナー部材3の係止凸部43は、下側のコーナー部材3の外枠22と干渉することなく、下側のコーナー部材3の外枠22の両端末部の側方に位置することとなる。従って、下側のコーナー部材3の外枠22の上面と、上側のコーナー部材3の延長リブ34の下縁部とを確実に当接させることができる。
【0033】
尚、係止凸部43を構成する壁部の一部が、枠部21の両端末部を閉塞する壁部と連続的に形成されているが、当該壁部についても垂れ壁部41と同様に傾斜していることによって、枠部21の端面と係止凸部43の枠部21側の側面との水平方向における位置がずれるようになっている。また、本実施形態では、一対の係止凸部43によって係止手段が構成されている。
【0034】
さらに、一対の係止凸部43の上部間を連結する補助脚部45が設けられている。換言すれば、係止凸部43は補助脚部45の両端部から下方に突出している。補助脚部45は、一対の係止凸部43間を直線的に連結するのではなく、垂れ壁部41の下縁部に沿って円弧状に延在している。また、補助脚部45は、垂れ壁部41の下縁部から載置部11の外周側に向けて先端縁が係止凸部43の側面と面一となるまで水平に延出形成されるとともに、補強のために先端縁が上方に若干折り返された形状をなしている。尚、垂れ壁部41の下縁部から延出形成された補助脚部45の下面の位置は、内脚壁33の下縁部と同じ高さ位置となっている。
【0035】
また、図15に示すように、パレット2は、平面視でワークWの外周形状(外寸)よりも大きな略矩形状をなしており、フォークリフトのフォークを差し込み可能なフォーク差込み部51を備えている。本実施形態のパレット2は木製である。また、パレット2上面の4隅には、上方に突出する取付部としての取付台52が設けられている。取付台52は、略正方形板状をなし、係止凸部43の突出長(上下方向における係止凸部43の下端と補助脚部45の下面との間の距離)以上の厚みを有するベース板53と、ベース板53のうちパレット2の外周側の2つの辺部に沿って設けられ、ベース板53よりも上方にまで突出する枠板54とを備えている。枠板54の上面の内周縁及び両端縁は外枠22の上面形状に対応した形状をなしており、ベース板53の一辺の長さはL字状の枠板54の内周縁の一辺の長さよりも長くなっている。
【0036】
図6、図9、図10に示すように、コーナー部材3を取付台52に取付けた状態では、枠部21がパレット2の外周側、かつ、補助脚部45がパレット2の内周側となる向きで、内脚壁33、衝立リブ35、及び補助脚部45がベース板53に載せられ、外脚壁32、及び延長リブ34が枠板54に載せられるとともに、係止凸部43がベース板53の外周面と枠板54の外周面とで形成される凹所に挿入されてベース板53及び枠板54の外周面に当接する。つまり、コーナー部材3の下面側の段差形状に合わせて形成された取付台52にコーナー部材3を載せることで、コーナー部材3は、載置部11の上面(載置面)が略水平となるように取付台52に支持されるとともに、一対の係止凸部43がベース板53及び枠板54の外周面によって位置決めされる。また、補助脚部45がベース板53に当接することによって、コーナー部材3のパレット2内周側への傾倒変位がより確実に防止されるようになっている。加えて、延長リブ34及び外脚壁32を支持する枠板54が設けられることで、枠部21(特に外枠22)に下向きに付加された応力をより確実に支持することができる。
【0037】
さらに、図5、図8、図11等に示すように、4つ全ての取付台52にそれぞれコーナー部材3を取付けることで、4つのコーナー部材3の載置部11によってワークWをパレット2から浮かせた位置で支持することが可能になる。本実施形態では、各取付台52は、それぞれに取付けられたコーナー部材3にワークWを載せた場合に、コーナー部材3の枠部21(内枠23の内側面)とワークWの外周面との間に隙間が形成されるような位置に設けられている。
【0038】
さて、コーナー部材3は、コーナー部材3同士を上下に段積みした状態において、上側に積まれるコーナー部材3のパレット2(ワークW)の外周側への変位を規制する構成(外枠22と衝立リブ35との当接)については備えているものの、上側のコーナー部材3のパレット2内周側への変位を規制する構成は備えていない。但し、本実施形態のコーナー部材3には、補助脚部45の両端部において下方に突出する係止凸部43が設けられており、コーナー部材3を段積みすると、図6、図12に示すように、上側のコーナー部材3の係止凸部43は、下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面と対向することとなる。特に、係止凸部43は一対で設けられているため、コーナー部材3を段積みすると、図7に示すように、上側のコーナー部材3の一対の係止凸部43の間に、下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWが進入するような格好となり、一対の係止凸部43に対し、下側のコーナー部材3に載置されたワークWの外周面のうち互いに略直交して延びる2つの辺部が当接可能に構成されている。このため、コーナー部材3がパレット2の内周側に変位したとしても、係止凸部43がワークWの外周面に当接し、それ以上の変位が規制されることとなる。従って、コーナー部材3としては、上側に積まれるコーナー部材3の外周側への変位を防止する構成のみを備えるだけで、上側に積まれるコーナー部材3の脱落を防止することができる。
【0039】
このような構成を具備することによって、取付台52に取付けられる最下段(一段目)のコーナー部材3の直上方に設置される2段目のコーナー部材3は、全ての衝立リブ35の外縁部が最下段のコーナー部材3の外枠22の内側面と当接する位置と、一対の係止凸部43が両方とも最下段のコーナー部材3の載置部11に載置された最下段(一段目)のワークWの外周面に当接する位置との間で水平方向に変位可能となっている。従って、最下段のコーナー部材3の枠部21と、最下段のワークWの外周面との間に隙間が形成されていても、当該最下段のワークWの外周面と、2段目のコーナー部材3の一対の係止凸部43とを当接させて隙間をなくすことができる(図9、図10参照)。
【0040】
尚、外枠22の厚み(載置部11の外周方向における外枠22の上面の幅)は、コーナー部材3をパレット2の取付台52に取付けた場合に、最下段のコーナー部材3と、該コーナー部材3に載置される最下段のワークWとの間に生じ得る隙間を見越して、それを許容できるだけの幅に設定されている。すなわち、2段目のコーナー部材3が最下段のコーナー部材3に対してパレット2の内周側に最大限変位したとしても、2段目のコーナー部材3の外脚壁32が最下段のコーナー部材3の外枠22の上面から外れないような幅に設定され、上下のコーナー部材3の脚部31と枠部21との上下方向における当接状態が維持されるように構成されている。
【0041】
本実施形態の内枠23の載置部11からの突出長(上下方向における載置部11上面から内枠23上面までの距離)は、ワークWの厚みよりも長く(本例では若干長く)なっている。また、コーナー部材3の段積み状態では、上下方向において、下側のコーナー部材3の載置部11の上面と、上側のコーナー部材3の補助脚部45及び内脚壁33の下面との間の距離は、ワークWの厚み以上となる。これにより、下側のコーナー部材3の枠部21の上面(外枠22及び内枠23の上面)と、上側のコーナー部材3の脚部31の下面(外脚壁32、延長リブ34、衝立リブ35、及び内脚壁33の下縁部)とを確実に当接させることができる。
【0042】
さらに、補助脚部45の下面と内脚壁33及び衝立リブ35の下縁部とは同じ高さ位置であり、段積み状態では、下側のコーナー部材3の載置部11の上面と、上側のコーナー部材3の補助脚部45との距離が、ワークWの厚みよりも若干長くなっている。つまり、一対の係止凸部43間に延在する補助脚部45は、段積み状態においてワークWの上面に近接して対向するようになっている。このため、少なくともワークWとコーナー部材3とが少しでも相対的に傾けば、ワークWの上面と補助脚部45の下面とが接触することになる(実際には段積みした時点で当接する)。加えて、上下方向において、下側のコーナー部材3の載置部11の上面と、上側のコーナー部材3の係止凸部43下面との間の距離は、ワークWの厚み未満となっている。これにより、係止凸部43をワークWの外周面と確実に対向させ、当接可能に構成することができる。
【0043】
また、本実施形態では、各係止凸部43のうちワークWの外周面と当接可能な面と、各内枠23の内側面とは、鉛直方向に延びる仮想の同一平面上に(ほぼ)位置するように構成されており、段積み状態において、上側のコーナー部材3の係止凸部43のワークWとの当接面と、下側のコーナー部材3の内枠23のワークWとの当接面(内側面)とを略面一とすることができる。このため、例えば、2段目の全てのコーナー部材3に関し、一対の係止凸部43がそれぞれ最下段のワークWの外周面に当接状態とされた場合、2段目のコーナー部材3の載置部11に2段目のワークWを載置すると、2段目のワークWの外周面と、2段目のコーナー部材3の各内枠23の内側面とが略当接するようになっている。
【0044】
さらに、かかる2段目のコーナー部材3の上に3段目のコーナー部材3を段積みする場合、段積みするだけで、3段目のコーナー部材3の一対の係止凸部43が2段目のワークWの外周面に略当接するとともに、3段目のコーナー部材3の衝立リブ35の外縁部と2段目のコーナー部材3の外枠22の内側面とが略当接することとなる。従って、3段目のコーナー部材3は、段積みの時点で、水平方向への変位の余地がないように位置決めされる。
【0045】
加えて、図1等に示すように、枠部21の外枠22の上面には凹状のバンド掛け部26が形成されている。バンド掛け部26は、載置部11の外周縁に沿って略L字状に延在する外枠22のうち、第1直線部12及び第2直線部13の各中間位置にそれぞれ対応する部位において1つずつ計2カ所に形成されている。当該バンド掛け部26には、ワークWを段積みした状態において後述する固定バンド7が引っ掛けられ、段積みされたコーナー部材3がパレット2とともに結束されるようになっている。
【0046】
次に、ワークWの搬送に際しての梱包作業について説明する。先ず、パレット2の各取付台52にコーナー部材3を取付ける。続いて、4つのコーナー部材3の載置部11に4隅下面を当てるようにしてワークWを設置する。さらに、各コーナー部材3の上方にコーナー部材3を設置する。上側に載せるコーナー部材3は、係止凸部43がワークWの上面に当接しないように(ワークWの外周面よりも外周側に位置するように)、かつ、脚部31の下縁部が下側のコーナー部材3の枠部21の上面と上下に当接するように設置される。そして、当該コーナー部材3の載置部11にもワークWを載置する。
【0047】
その後、同様にして、コーナー部材3を介在させつつワークWを所期の段数だけ段積みしてから、さらに、最上段のワークWの4隅上方を覆うようにして、コーナー部材3を設置する(図13参照)。これにより、上下に積み重ねられるワークWの段数よりも、コーナー部材3の段数の方が一段多くなる。
【0048】
そして、図13、図14に示すように、4カ所で複数段積み上がった各コーナー部材3とパレット2とを結束するようにして、固定バンド7を装着する。すなわち、固定バンド7は、先ず、コーナー部材3の最上段のコーナー部材3のバンド掛け部26に引っ掛け、そのままワークWの側辺部に沿って延長させて、対向するコーナー部材3のバンド掛け部26にも引っ掛ける。さらに、固定バンド7を下方に延ばしてパレット2のフォーク差込み部51の内側を通し、最初に固定バンド7を引っ掛けたコーナー部材3にまで固定バンド7を回し込んでから、固定バンド7の両端部同士を接続する。この作業を、結束されるコーナー部材3のペアを変えながら、固定バンド7がワークWの各側辺部に沿って延在するようになるまで合計4回繰り返す。
【0049】
このとき、固定バンド7によりコーナー部材3を固定することで、特に最上段のコーナー部材3にはワークWの内周側へ向かう力が作用し、ワークWの外周面との間に変位する余地がある場合には、ワークWの内周側にワークW外周面と当接するまで変位することとなる。これにより、最上段のワークWの水平方向への変位が防止されることとなる。また、固定バンド7によりコーナー部材3が固定されることで、コーナー部材3には下方へ向かう力も作用することとなり、最上段のコーナー部材3よりも下方のコーナー部材3は、最上段のコーナー部材3とパレット2とで挟持された状態となり、上下方向への移動が防止される上、水平方向への移動についても抑制されることとなる。
【0050】
さらに、固定バンド7によりコーナー部材3を固定することで、コーナー部材3の補助脚部45の下面が、ワークWの上面に圧接されることとなる。これにより、ワークWが下側のコーナー部材3の載置部11と、上側のコーナー部材3の補助脚部45とで上下に挟持される格好となり、ワークWの浮き上がりが防止されるようになっている。尚、ワークWには個別に包装が施されており、4隅において上面がコーナー部材3の補助脚部45に直接押圧されないように構成されている上、包装を介して押圧されたとしても、損傷が生じないようになっている。
【0051】
本実施形態では、固定バンド7を装着した後、段積みされたワークW及びコーナー部材3が図示しないシュリンクフィルムによってパッケージされるようになっている。シュリンクフィルムを熱収縮させる際に、ワークWの内周側に動く余地のある(係止凸部43とワークWの外周面との間に隙間がある)コーナー部材3については、収縮するシュリンクフィルムによってワークWの内周側に(係止凸部43がワークW外周面に当接するまで)変位させられることとなる。つまり、ワークW及びコーナー部材3の段積み作業に際して、コーナー部材3を1つずつ係止凸部43がワークWの外周面ときっちり当接するように積んでいかなくても、シュリンクフィルムのパッケージが完了すると、ワークWの外周面にコーナー部3の係止凸部43が当接するとともに、係止凸部43の変位が規制されてワークWの外周面と係止凸部43との当接状態が維持される状態とされる。
【0052】
以上詳述したように、本実施形態によれば、コーナー部材3の段積み状態において、上側のコーナー部材3は、衝立リブ35の外縁部と下側のコーナー部材3の外枠22の内側面とが当接する位置と、一対の係止凸部43と下側のコーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されている。つまり、最下段のコーナー部材3が、ワークWの外周形状よりも若干広めの間隔で設置されたとしても、2段目のコーナー部材3を、その係止凸部43が最下段のワークWの外周面に当接するように設置することができる。これにより、ワークWの外周面とコーナー部材3との間の隙間をなくすことができ、ワークWとコーナー部材3とが衝突してワークW等が損傷する等の不具合を抑止することができる。
【0053】
また、最下段のコーナー部材3については、ワークWの外周形状よりも若干広めの間隔で設置することができるため、最下段のコーナー部材3をパレット2に固定した後にワークWを設置できないことが判明して固定作業をやり直すといった事態や、ワークWをパレット2に載せる段階になってから現物のワークWの外周形状に逐一合わせつつ最下段のコーナー部材3を配置していくといった事態を回避することができる。従って、作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0054】
尚、2段目のコーナー部材3が上記のようにワークWの外周方向において最下段のコーナー部材3に当接する位置と最下段のコーナー部材3に支持されたワークWに当接する位置との間で変位しても、上側のコーナー部材3の延長リブ34及び外脚壁32の下縁部と下側のコーナー部材3の外枠22の上面との当接状態が維持されるようになっている。このため、段積み状態において、コーナー部材3同士を上下に直接当接させることで、ワークWに付加される荷重を低減させるといった作用効果が確実に奏される。
【0055】
さらに、本実施形態では、一対の係止凸部43の上部間を連結するようにして延在し、段積み状態において、下側のコーナー部材3に載置されたワークWのコーナー部位の上面に近接して対向配置される補助脚部45が設けられている。このため、コーナー部材3がワークWの内周側へ傾倒変位しようとしても、補助脚部45がワークWの上面に接触して突っ張ることによって、それ以上の傾倒変位を防止することができる。また、補助脚部45によってコーナー部材3の剛性が高められ、コーナー部材3自体の変形を抑制することができる。従って、段積みされたコーナー部材3を固定バンド7等を用いてコーナー部材3の位置ずれを防止した状態としても、コーナー部材3の内倒れ等を確実に防止することができる。さらに、補助脚部45の存在によって、ワークWの浮き上がりを防止することもできる。
【0056】
加えて、補助脚部45は、一対の係止凸部43間を直線的に連結するようにして真っ直ぐ延びているのではなく、一対の係止凸部43よりもワークWの内周側に膨出しているため、コーナー部材3の傾倒防止及びワークWの浮き上がり防止の効果が一層確実に奏される。また、補助脚部45が湾曲状に形成されているため、補助脚部45がワークWに圧接した際にワークWに対して局所的に応力が付加されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0057】
また、枠部21は、段積み状態において上側のコーナー部材3の延長リブ34の下縁部に当接するとともに、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の外縁部に当接可能な外枠22を備えるだけでなく、外枠22の内側面の下部から載置部11の内周側に膨出形成された内枠23を備えている。そして、一対の係止凸部43がワークWの外周面に当接するようにコーナー部材3が設置された場合に、当該コーナー部材3の内枠23は、当該コーナー部材3の載置部11に載置されたワークWの外周面と略当接するようになっている。つまり、ワークWの4隅に対応して設けられる4つ全てのコーナー部材3の各係止凸部43がそれぞれワークWの外周面に当接した状態とされると、その上側(かかる4つのコーナー部材3の枠部21の内周側)には、ワークW及びコーナー部材3をほぼぴったりと収めることのできる空間しか形成されない。このため、内枠23がなく、ワークWの位置ずれが生じ得る構成であると、コーナー部材3を段積みするためにワークWの位置合わせをする必要が生じることが懸念されるが、内枠23があれば、載置部11に載置されたワークWの位置決めを行うことができ、コーナー部材3を段積みする際の作業性の向上等を図ることができる。また、コーナー部材3の段積み状態において、内枠23の上面についても、上側のコーナー部材3の衝立リブ35の下縁部と当接する構成のため、段積みされたコーナー部材3同士が上下に当接する面積を増大させることができ、段積み状態の安定感を図ることができる。
【0058】
また、パレット2上にコーナー部材3を介在させつつ段積みされたワークWは、コーナー部材3とパレット2とを結束する固定バンド7によって固定されるとともに、シュリンクフィルムでパッケージされる。このため、各コーナー部材3の変位が防止され、コーナー部材3の係止凸部43と、対応するワークWの外周面とが当接した状態をより確実に維持することができる。従って、ワークWの水平方向への位置ずれが防止され、ワークWとコーナー部材3とが衝突する等の不具合を払拭することができる。結果として、ワークWがより確実に保護されることとなり、ワークWをより安定して搬送することができる。
【0059】
加えて、ワークWの段数よりもコーナー部材3の段数の方が一段多く、最上段のワークWの4隅の上面が最上段のコーナー部材3に覆われている。このため、全段のワークWの浮き上がりを防止することができる。
【0060】
さらに、固定バンド7を装着したり、シュリンクフィルムを熱収縮させたりする際に、段積みされたコーナー部材3にはワークWの内周側に圧縮されるような力が作用する。このため、段積み作業において逐一コーナー部材3をその係止凸部43がワークW外周面に当接するように設置しなくても、梱包が完了する段階で各ワークWの外周面にコーナー部材3の係止凸部43が当接した状態とすることができる。従って、作業性の向上を図ることができる。
【0061】
また、コーナー部材3をパレット2の取付台52に対して取付けることで、コーナー部材3の載置部11の載置面を水平に設置できるとともに、コーナー部材3の水平方向への移動が規制されることから、コーナー部材3によってワークWをより安定して支持することができる。さらに、コーナー部材3を各取付台52に取付けることで、コーナー部材3がワークWの外周形状(外寸)よりも若干広めの間隔で配置されることから、現物のワークW形状に逐一合わせつつコーナー部材3を配置したり、コーナー部材3の固定作業をやり直したりすることを回避するといった上記作用効果が一層確実に奏される。
【0062】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0063】
(a)コーナー部材3の形状は特に限定されるものではなく、ワークWを支持する載置部11と、載置部11の外周縁の一部から上方に突出する支持凸部(枠部21)と、段積み時に下側のコーナー部材3の支持凸部に支持される被支持部(脚部31の延長リブ34等)と、段積み時に下側のコーナー部材3の支持凸部の内側面に当接可能な位置決め部(脚部31の衝立リブ35)と、段積み時に下側のコーナー部材3に載置されたワークWの外周面の異なる2辺にそれぞれ当接可能な係止凸部43とを備えていればよい。例えば、図16や図17に示すように構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、係止手段は一対の係止凸部43で構成されているが、平面視略L字状に形成された1つの突起で構成してもよい。さらに、枠部21の内枠23を省略してもよいが、載置部11に載置されたワークWの位置決めを行うことができたり、段積みされたコーナー部材3の上下の当接面積を増大させたりすることができるため、設けることが望ましい。加えて、バンド掛け部26を省略することも可能であるが、固定バンド7を使用する場合には、固定バンド7を好適な位置(強度が高い位置、バランスの良い位置)にて保持するために設けることが望ましい。また、垂れ壁部41を簡略化したり省略したりすることも可能であるが、コーナー部材3の強度を確保して形状を維持するために設けることが望ましく、さらに、固定バンド7を使用する場合には、少なくとも直上方に固定バンド7が延在している位置に対応して、垂れ壁部41が載置部11と補助脚部45とにかけて設けられていることが望ましい。
【0065】
加えて、上記実施形態では、コーナー部材3がポリプロピレンにより構成されているが、その他の素材により構成してもよい。例えば、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料で構成してもよい。
【0066】
(b)また、ワークWとしては略矩形板状のものであればよく、さらに、板状の本体に対して付属部品が設けられていてもよい。例えば、ワークとして太陽光パネルを搬送する場合、配線等が設けられたパネル本体の裏面側を上側に向けてコーナー部材3に載置する。さらに、脚部31及び垂れ壁部41を有するコーナー部材3を介在させつつワークWを上側に積み重ねていけば、上下のパネル本体間に配線等を収容可能なスペースを十分に確保することができ、複数のワークWを好適に段積みすることができる。
【0067】
尚、脚部31及び垂れ壁部41の延出長は、上下のワークW間にどれくらいのスペースを確保する必要があるかによって適宜変更可能であり、載置部11の厚み程度で十分なワークWであれば、垂れ壁部41を省略するとともに脚部31を短縮し、載置部11の下面の高さから係止凸部43を下方に突設してもよい。
【0068】
(c)上記実施形態では、パレット2へコーナー部材3を取付ける取付部として、係止凸部43を係止させることで水平方向への変位を防止することのできる取付台52が採用されているが、コーナー部材3の載置部11の載置面を水平に設置し、かつ、ワークWの外周側への変位を規制可能な構成のものであればよい。例えば、パレット2内周側への変位を許容するような(水平にスライド装着可能な)構成の取付台でもよいし、取付台に代えて、パレット2の上面に対し、コーナー部材3の係止凸部43を挿入可能な凹部又は開口部を形成して係止凸部43を引っ掛けることができるように構成してもよい。また、パレット2に対してねじ等で別途固定したり、パレット2に対する取付台52の設置位置を適宜調節可能に構成したりしてもよい。また、パレット2を木製ではなく樹脂製にしてもよい。
【0069】
(d)上記実施形態では、最上段のワークWの4隅上方を覆うようにしてコーナー部材3が設置され、ワークWの段数よりもコーナー部材3の段数が一段多くなるように構成されているが、同じ段数としてもよい。すなわち、一対の係止凸部43がそれぞれワークWの外周面に当接したコーナー部材3の載置部11にワークWを載せた場合、当該ワークWの外周面と枠部21の内枠23の内側面とがほぼ当接状態となる。つまり、最上段のワークWは、当該ワークWの4隅上方を覆うコーナー部材3を設置しなくても、最上段のワークWを載置するコーナー部材3によって水平方向への位置ずれを抑止することができる。但し、最上段のワークWの浮き上がりを防止するべく、当該ワークWの4隅上面を押さえるコーナー部材3を設けることが望ましい。
【0070】
また、上記実施形態では、固定バンド7及びシュリンクフィルムを使用してコーナー部材3及びワークWの変位を防止しているが、どちらか一方を使用するだけでもよいし、別の部材でもってコーナー部材3の変位を防止してもよい。さらに、上記実施形態では、ワークWを複数段に積み上げて搬送する場合に具体化されているが、複数のワークWを上下に積み重ねて搬送する場合だけではなく、1つのワークWを搬送する場合(この場合のコーナー部材3は2段になる)にも使用できる。加えて、1つのパレット2に対して例えばワークWを2列で上下に段積みすることも可能である。つまり、例えば、上記実施形態のワークWの半分の面積の矩形板状のワークであれば、取付台52を新たに4つ設置するだけで、同じコーナー部材3を使用して、かかるワークを2列で段積みすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…ワーク搬送ユニット、2…パレット、3…コーナー部材、11…載置部、21…枠部、22…外枠、23…内枠、31…脚部、32…外脚壁、33…内脚壁、34…延長リブ、35…衝立リブ、43…係止凸部、45…補助脚部、52…取付台、W…ワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状をなすワークの4隅にそれぞれ対応して設置されることで、ワークを設置面から離間させた状態で支持可能な保護部材であって、
ワークの1つのコーナー部の下面を支持可能な載置部と、
前記載置部の外周縁の一部から上方に突出し、平面視略L字状をなす支持凸部と、
前記載置部にワークが載置された保護部材の上方に保護部材を同じ向きで積み重ねた保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の上面に当接して支持される被支持部と、
保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の内周側面と対向する位置決め部と、
前記載置部よりも下方に突出し、保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面のうち互いに略直交して延びる2つの辺部にそれぞれ当接可能に構成された係止手段とを備え、
保護部材の段積み状態において、上側の保護部材は、前記位置決め部と下側の保護部材の前記支持凸部の内側面とが当接する位置と、前記係止手段と下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されていることを特徴とするワーク用保護部材。
【請求項2】
前記係止手段がワークの外周面に当接した状態において当該ワークの上面と対向し、少なくともワークと保護部材とが相対的に傾いた場合に、ワークの上面と接触可能な補助脚部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワーク用保護部材。
【請求項3】
前記支持凸部は、保護部材の段積み状態において上側の保護部材の前記被支持部と当接する外支持部と、上側の保護部材の前記位置決め部の下面と当接又は近接する内支持部とを備え、
前記係止手段がワークの外周面に当接するように設置された保護部材の前記内支持部は、当該保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面と略当接することを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク用保護部材。
【請求項4】
上記請求項1乃至3のいずれかに記載のワーク用保護部材と、
フォークリフトで搬送可能なパレットと、
パレット上に複数のワークが保護部材を介在させつつ上下に段積みされた状態において、少なくとも最上段の保護部材とパレットとにかけて装着される固定手段とを備え、
前記パレットは、ワークの4隅に対応する部位において、保護部材を前記載置部の載置面が水平となるように、かつ、水平方向において少なくともワークから離間する方向への変位が規制されるように取付可能な取付部を備え、
前記各取付部にそれぞれ保護部材を取付けることで、保護部材がワークの外寸よりも一回り大きな間隔で配置されることを特徴とするワークの搬送ユニット。
【請求項1】
略矩形板状をなすワークの4隅にそれぞれ対応して設置されることで、ワークを設置面から離間させた状態で支持可能な保護部材であって、
ワークの1つのコーナー部の下面を支持可能な載置部と、
前記載置部の外周縁の一部から上方に突出し、平面視略L字状をなす支持凸部と、
前記載置部にワークが載置された保護部材の上方に保護部材を同じ向きで積み重ねた保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の上面に当接して支持される被支持部と、
保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記支持凸部の内周側面と対向する位置決め部と、
前記載置部よりも下方に突出し、保護部材の段積み状態において、下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面のうち互いに略直交して延びる2つの辺部にそれぞれ当接可能に構成された係止手段とを備え、
保護部材の段積み状態において、上側の保護部材は、前記位置決め部と下側の保護部材の前記支持凸部の内側面とが当接する位置と、前記係止手段と下側の保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面とが当接する位置との間を変位可能に構成されていることを特徴とするワーク用保護部材。
【請求項2】
前記係止手段がワークの外周面に当接した状態において当該ワークの上面と対向し、少なくともワークと保護部材とが相対的に傾いた場合に、ワークの上面と接触可能な補助脚部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワーク用保護部材。
【請求項3】
前記支持凸部は、保護部材の段積み状態において上側の保護部材の前記被支持部と当接する外支持部と、上側の保護部材の前記位置決め部の下面と当接又は近接する内支持部とを備え、
前記係止手段がワークの外周面に当接するように設置された保護部材の前記内支持部は、当該保護部材の前記載置部に載置されたワークの外周面と略当接することを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク用保護部材。
【請求項4】
上記請求項1乃至3のいずれかに記載のワーク用保護部材と、
フォークリフトで搬送可能なパレットと、
パレット上に複数のワークが保護部材を介在させつつ上下に段積みされた状態において、少なくとも最上段の保護部材とパレットとにかけて装着される固定手段とを備え、
前記パレットは、ワークの4隅に対応する部位において、保護部材を前記載置部の載置面が水平となるように、かつ、水平方向において少なくともワークから離間する方向への変位が規制されるように取付可能な取付部を備え、
前記各取付部にそれぞれ保護部材を取付けることで、保護部材がワークの外寸よりも一回り大きな間隔で配置されることを特徴とするワークの搬送ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−218777(P2012−218777A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86438(P2011−86438)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
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