説明

一体型光学スペーサーを備えた拡散クリップ

【課題】点光源と導光膜との間のずれの結果としての光挿入漏れに起因するホットスポットを低減させるように使用される光拡散クリップを含む、LCDディスプレイのための一体型バックライト照明アセンブリを提供する。
【解決手段】点光源を光の均一な面に方向変換し広げるための、複数の固体光源12a,12b,12c間に提供される光方向変換領域を有する複数の導光膜20、並びに、一体化光学スペーサー、光拡散セクションおよび一体化アンカーフィーチャを含む少なくとも1つのポリマー拡散クリップ30を含む、LCDディスプレイ10のための一体型バックライト照明アセンブリにおいて、出射面からの光出射と拡散クリップ30からの光出射とのバランスをとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ照明に関し、より具体的には、光拡散クリップであって、点光源からポリマー導光薄膜へ結合していない光エネルギーを拡散させ、同時に導光膜の光挿入効率を向上させるために点光源の発光領域と導光膜の発光領域との間のレジストレーションを向上させ、並びに点光源と導光膜との間のずれの結果としての光挿入漏れに起因するホットスポットを低減させるように使用される光拡散クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
透過型液晶ディスプレイ(LCD)パネルは他の種類のディスプレイに代わる、コンパクトで軽量の代替物を提供するが、変調のための光を提供するある種のバックライト照明を必要とする。LCDおよび類似のディスプレイのためのバックライト照明は典型的には光供給面によって提供され、この光供給面は見る者に対してLCDパネルの背面に位置し、1以上の光源からの光をLCDパネルを通る様に方向変換する。光供給面の典型的な種類の1つは導光板(Light Guiding Plate;LGP)である。LGPは、入射光を方向変換するために全内部反射(TIR)を使用する導波路として機能し、導波路はその側端に沿って位置する1以上の光源から入射光を受ける。内部反射された光を取り出し、ディスプレイパネルの方にこの光を方向変換するために、ある種の表面フィーチャリング(surface featuring)がLGP上に提供される。LGPを使用する照明装置の一例はゴトウ(Goto)らへの米国特許第5,999,685号、タイトル「導光板および導光板を使用する表面光源(LIGHT GUIDE PLATE AND SURFACE LIGHT SOURCE USING THE LIGHT GUIDE PLATE)」に示されている。
【0003】
ゴトウ(Goto)らの開示に提案された様な解決策が有する欠点の中には、従来の導光板の相対的な厚さおよび全体的な体積がある。従来のLGPは、多くの場合LCDパネル自体の厚みを越える。LCD TVの様な大きなディスプレイの出現に伴って、およびよりコンパクトな固体光源、例えば、発光ダイオード(LED)の開発に伴って、既存の設計よりも、より薄い形状を提供し、より軽量であり、かつより可とう性であるLGP解決策についての必要性が存在している。ディスプレイがより大きな規模になり続けるにつれて、そしてより可とう性の基体の使用が増大するにつれて、厚みが1mm近づき、より可とう性のLGPについての要求が増大している。
【0004】
より小さくてより可とう性のディスプレイにさらによく適したLGP装置のために、多数の解決策が提案されてきた。しかし、今まで提案された解決策は、それらの利便性を限定する、あるいはそれらを製造困難にする本来的な欠点を有する。例えば、LGP面に形成される種々のタイプの光取り出しフィーチャ(light−extracting feature)が提案されてきた。しかし、提案された多くの光取り出しフィーチャの幾何学的形状は、射出成形または高温圧縮成形といった製造方法を必要とする。これらの製造方法は、より厚い材料に対してはうまく行く場合があるが、LGPの厚さが薄くなるにつれてますます困難で非実用的になることが分かっている。例えば、多数の提案された解決策は、90度の垂直壁を有する表面光取り出しフィーチャを必要とする。このスケールにおける鋭角は、必要なサイズで既知のプラスチック材料では如何なる方法を使用しても製造が極めて困難である可能性がある。さらに他のものは比較的高い、高さ:幅アスペクト比を有するフィーチャであって、同様の理由から製造が困難なフィーチャを必要とする。このような構造体は理論的にはうまく行く可能性があり、またこれらの製造も可能であり得るが、これらが示す製造上の問題は提案された設計の多くを量産に関して非現実的にしている。鋭角の側壁を有する光取り出しフィーチャを有するLGPが、どのように経済的に量産され得るかについてほとんど注意が払われてこなかったように思われる。
【0005】
さらに、LEDを光源として使用するLCD TVは一般的に、LGPの周囲を囲むように配置された上面発光(top emitting)LEDを伴う厚いLGPを使用する。LGPの周囲を囲むように配置される上面発光LEDは典型的にはベゼルの下に位置する。ベゼルは、LEDから発生したがLGP/LED界面に結合していない望まれない光を覆い、吸収する役目を果たす。よって、LEDから発生した結合していない光はLCDを照明するのに使用されず、無駄である。
【0006】
LCパネルのための光源としてのLEDの使用は、LCD TVの全電力消費を低減させるために、イメージ内容を伴ったレジストレーション(registration)において、LEDが全体的に減光される(dimmed)のを可能にする一方で、これらエッジライトLED TVは、典型的には、そのLEDの外周配置のせいで局所的に動的に減光されることができない。LEDの小さなグループがイメージ内容を伴うレジストレーションにおいて減光されうるので、LEDの局所的減光は、全体的な減光と比較して、LEDで照明されるLCD TVの全体的な電力消費をさらに低減させることが示されてきた。さらに局所的減光が、全体的減光と比較して表示されたイメージのコントラスト比を有意に向上させることも示されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,999,685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、可とう性材料の使用を可能にし、比較的薄い寸法形状で製造されることができ、高体積製造のために設計され、および局所的に減光されうる導光面(light guiding surface)解決策についての必要性が存在することが認識される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、点光源を提供するための複数の固体光源;点光源を光の均一な面に方向変換し広げるための、複数の固体光源間に提供される、光方向変換領域を有する複数の導光膜;並びに、一体化光学スペーサー、光拡散セクションおよび一体化アンカーフィーチャを含む少なくとも1つのポリマー拡散クリップ;を含む、LCDディスプレイのための一体型バックライト照明アセンブリを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の導光膜および拡散クリップを使用するディスプレイ装置を示す。
【図2】図2は一実施形態における導光膜の透視図を示す。
【図3A】図3Aは導光膜表面におけるフィーチャでの入射光についての光の挙動を示す。
【図3B】図3Bは導光膜表面におけるフィーチャでの入射光についての光の挙動を示す。
【図3C】図3Cは導光膜表面におけるフィーチャでの入射光についての光の挙動を示す。
【図3D】図3Dは導光膜表面におけるフィーチャでの入射光についての光の挙動を示す。
【図4】図4は一体化光学スペーサー、一体化アンカーフィーチャを備えたポリマー拡散クリップ、並びに点光源を示すバックライトアセンブリの断面である。
【図5】図5は傾斜面形状を有するポリマー拡散クリップの断面である。
【図6】図6は傾斜面形状を有するポリマー拡散クリップの断面である。
【図7】図7は丸められた形状を有するポリマー拡散クリップの断面である。
【図8】図8は対向する曲面を含む形状を有するポリマー拡散クリップの断面である。
【図9】図9はv字溝型光方向変換フィーチャを有するポリマー拡散クリップの断面である。
【図10】図10は曲がった形状およびv字溝型光方向変換フィーチャの双方を有するポリマー拡散クリップの断面である。
【図11】図11は一体化光学スペーサー、一体化アンカーフィーチャを備えたポリマー拡散クリップ、点光源、並びに点光源に合わせて配置された光方向変換フィーチャを示すバックライトアセンブリの断面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明に従って、少なくとも2つの導光物品である導光膜(LGF)20を使用するバックライト照明アセンブリ18を有するディスプレイ装置10の実施形態が断面で示される。LFG20間に位置する光源12が照明をLGF20の入射端22を通る様に向かわせる。ディスプレイ装置に沿った均一な光出射を助けるために、少なくとも2つの光源12bおよび12cがベゼル上に配置されることができる。LGF20はこの照明を外側に、1以上の上部拡散膜14を通り、この照明を変調する空間光変調器ここではLCDディスプレイ16の方に方向変換する。
【0012】
図1を参照すると、好ましくは拡散クリップ30と出射面24との間の輝度差は±10%、より好ましくは±5%である。結合クリップと隣の導光膜との間の輝度差を低減することは、バックライトアセンブリユニットからの望ましい均一な光出射を生じさせる。15%より大きな輝度差は目視で観察されることができ、劣ったイメージ品質をもたらす。輝度差を低減することは出射面24からの光出射と拡散クリップ30からの光出射とのバランスをとることにより達成される。出射面24からの輝度は、入射端22でのまたは入射端22の付近での、光取り出しフィーチャ26のサイズ、形状およびピッチによって制御される。拡散クリップの輝度は拡散クリップ材料の拡散特性、拡散クリップの形状、拡散クリップの厚み、および光源12から入射端22に結合されていない光の量によって制御される。
【0013】
光源12は多くの種類の発光素子を使用することができる。ラップトップコンピュータおよびより大きなディスプレイに使用される従来のLGPはCCFL(冷陰極蛍光ランプ)を使用してきた。本発明のLGF20は、この厚い種類の光源を使用することができるが、薄い形状の光源、例えば、LEDの線状配列、OLEDの線状配列、または他の線状固体光源と共に使用するのに有利である。拡散クリップ30は、拡散クリップ30からの光出射が好ましくは導光膜の光出射の±6%以内になるように、光源12から導光膜20に結合していない光エネルギーを拡散させる。
【0014】
図2の透視図は照明装置18におけるLGF20およびその光出射面24の形態を示す。図2に示されるように、光源12は照明を入射端22に向け、この入射端は出射面24に対して実質的に垂直である。離散した光取り出しフィーチャ26は出射面24上、あるいは底面28上に形成されており、その結果、出射面24および底面28のいずれかもしくは双方がパターン形成された面である。後の図面においてより詳細に認められるように、光取り出しフィーチャ26はLGF20の長さ方向Lに沿って寸法的に伸ばされていることができ、長さ方向Lに対して垂直の幅方向Wで、より狭い場合がある。光源12は一般的に長さ方向Lに沿って配置される。光取り出しフィーチャ26は表面24または28にわたって等しい間隔で空間的に分布しうるが;光取り出しフィーチャ26の空間分布、またはサイズまたはピッチは、図2に示されそして後に記載されるように、幅方向Wでの入射端22からの距離に応じて変化する実施形態で有利である場合がある。
【0015】
図3A、3B、3Cおよび3Dは、出射面24または底面28のいずれかであるパターン形成された面上の光取り出しフィーチャ26の様々な配置を断面図において示す。これらの図中の点線は、光取り出しフィーチャ26の挙動を示す様々な典型的な光路を示す。光は、導光技術分野の当業者にはよく知られている原理である全内部反射(TIR)によってLGF20内に向けられる。光取り出しフィーチャ26の一般的な機能は、それらが面24または28から突出しているかまたは面の方に窪んで形成されるかに係わらず、TIRを妨げ、この光をLGF20から外に出すことである。図3Aおよび3Bは、それぞれ表面から突出しているかまたは表面に陥没している、出射面24上に形成される2種類の光取り出しフィーチャ26についての光の挙動を示す。いずれのケースにおいても、内部反射光は、それが光取り出しフィーチャ26の面に衝突すると出射面24から外に向けられる。
【0016】
図3Cおよび3Dは、光取り出しフィーチャ26が底面28上に形成される別の実施形態を示す。光取り出しフィーチャ26を使用して取り出された光を方向変換するために、これらの実施形態については、反射面66が照明装置18(図1および2)の部品として提供される。反射面66は、この光を戻してLGF20を通し、そして出射面24から出すように方向変換する。
【0017】
図4は点光源12に関連している導光膜20の透視図を示す。光源12は導光膜20の入射端に沿って配置される。導光膜の下は反射体28であり、反射体28に入射した光を膜14の方に反射する。導光膜20は逐次的にもしくはパターンで配置されて、均一で明るいバックライト照明アセンブリを作り出す。点光源12はバックライト照明アセンブリの照明領域内にある。LCD TV用途のためには、導光膜20の長さLは好ましくは幅Wより大きい。より好ましくは、長さLは導光膜の幅Wよりも10倍以上大きい。
【0018】
拡散クリップ30は光源12の隣に配置される。拡散クリップ30は、導光膜22に光結合していない光エネルギーを拡散する。拡散クリップ30は好ましくは一体化光学スペーサー32を含み、導光膜20と拡散体14との間の距離を制御する。光学スペーサー32は他の光学部品、例えば、拡散体、集光膜(brightness film)、反射型偏光子、および体積拡散体(volume diffuser)が導光膜上に正確に配置されるのを可能にする。光学スタンドオフ(optical stand−off)は実質的に平坦な部分を有することができ、この光学スタンドオフと接触する可能性がある光学部品にひっかき傷を付けるのを回避できる。
【0019】
図4に示されるように、一体化光学スペーサーは、拡散体14を光学的に妨げないように、点または小さな平に行き着く。光学スペーサーの根もとは先端部分よりも幅広であり、その結果、拡散体14から光学スペーサーにかけられる荷重は拡散クリップ30に沿って広がる。導光膜20と拡散体14との間の距離はバックライトアセンブリの均一性を決定するのに重要な因子である。この距離を増大させることによって拡散の量は増大するが、アセンブリの厚みおよび全体の輝度は低減される。背面板のような固定面に拡散クリップ30を固定もしくは取り付けるために、拡散クリップ30は好ましくは一体化アンカーフィーチャ36を含む。アンカーフィーチャ36は拡散体66を貫通して伸びる。
【0020】
図4における光源12は好ましくは、バックライト照明アセンブリがディスプレイ装置のイメージ内容を伴うレジストレーションにおいて局所的に減光されうるように配置される。点光源の局所的減光はLCDの電力消費を低減させると共にLCDのコントラスト比を有意に向上させることを示した。光源12のサブグループを減光することによって、導光膜20の小さな画定された領域が、光源12に供給される電流を変化させることにより劇的に減光されうる。減光される領域のサイズは、減光される点光源の数と導光膜20の幅Wとの関数である。光源12は光を単一の導光膜20に入射させるように配置されうるか、または2つの隣り合う導光膜に光を入射させるように配置されうる。光源は好ましくは、均一な光が導光膜20に入射するのを可能にするようなサイドバイサイドの形態で配置される。
【0021】
さらに図4を参照すると、光源12は導光膜20の間に分布され配置される。導光膜20の間の光源12の分布は、集中した熱発生点を有するエッジライト型バックライトユニットよりも低い温度勾配をバックライト照明アセンブリにわたって有するバックライトアセンブリを生じさせる。先行技術のエッジ照明型バックライトアセンブリで見いだされるもののような高い温度勾配は、温度勾配からもたらされる熱膨張の違いのせいで光学部品の望ましくない波打ちまたはしわを生じさせる。さらに、エッジ照明型バックライトアセンブリに存在する高い温度勾配は、多くの場合、熱による波打ちおよび座屈(buckling)に耐えるように使用される高価で重い金属フレームを必要とする。
【0022】
入射端22の反対側での導光膜20と拡散クリップ30との間の充分に小さな隙間は熱による望ましくない座屈および波打ちを低減させることが示された。導光膜の座屈および波打ちは導光膜からの光出射の均一性を低減させる。導光膜20と拡散クリップ30との間の充分に小さな隙間は熱膨張した導光膜のための物理的空間を作り出すことが認められた。この導光膜の隙間は、概念的に、道路と橋において一般的に利用される熱膨張用の隙間に類似する。熱膨張用隙間のサイズはバックライトアセンブリの操作条件および導光膜の熱膨張係数に関連する。
【0023】
L方向に沿った光源12のピッチは導光膜20の望まれる光出射特性の関数である。光取り出しフィーチャ26の密度、ピッチおよびサイズも、導光膜20の望まれる光出射特性の関数である。光取り出しフィーチャのサイズ、位置およびピッチも光源12の光出射特性に関連する。光源12の重要な光学的特徴には、色度、光分布、および照度が挙げられる。一般的に、光取り出しフィーチャ26の密度は、光エネルギーの均一な取り出しを可能にするように、光入射面の反対側よりも光入射面22において低い。
【0024】
基体28は好ましくは可視光エネルギーに対して反射性である。導光膜20に入る光エネルギーの一部分は基体20に向けられるので、反射面は基体20の方に向けられた光が上部拡散体14の方に向けられるのを可能にし、それによりバックライトアセンブリユニットの効率を増大させる。
【0025】
有利なことには、導光膜20はL−W面において、光取り出しフィーチャを含まない比較的小さな領域を伴って提供される。L−W面における導光膜20の全領域の約1〜10%であるこの比較的小さな領域は光源12についてのミキシング領域として機能する。このミキシング領域は特に多モード光源、例えば、RGBまたはRGBWまたはRGGBについて重要である。このミキシング領域は、青色染料および黄色蛍光体を含む先行技術の白色LEDよりも高い色域の白色光を作成するための多モード光源のミキシングのための効果的な方法であることが示された。
【0026】
拡散クリップは好ましくは結合されなかった光および点光源12から漏れた光の拡散を助ける材料を含む。好ましい材料は、前方散乱コアシェル粒子、ガラスビーズ、非混和性ポリマー、無機散乱材料、例えば、TiOおよびBaSO、シリコーン材料およびゴムコンパウンドを含むリストから選択される。最も好ましくは、結合クリップ30は前方散乱コアシェル粒子を含むPMMAまたはPCポリマーを含む。コアシェル粒子は、光エネルギーの大部分を拡散セクション34の方に向けつつ、優れた光拡散特性を提供することが示されている。さらに、拡散クリップ30は好ましくは、拡散クリップ30を出る光の色が導光膜20の表面を出るのとほぼ同じ色および光エネルギーを有するように、そのクリップを出る拡散された光の色を変調するために、有機もしくは無機の染料、顔料、または着色剤を含む。拡散クリップ30からの光出射と導光膜20からの光出射との間の大きな色差は人の目によって検出される望ましくない視認パターンを生じさせるであろう。色差はCIE色座標で測定されうる。色差は拡散体またはプリズム膜のような後の段階の光学部品でも変調されうる。
【0027】
図5は好ましい拡散クリップ30の断面図である。拡散クリップ30は円錐形の一体化光学スペーサー32、光拡散セクション34および一体化アンカーフィーチャ36を有する。拡散クリップ30は一体化光学スペーサー32、一体化拡散セクションおよび一体化アンカーフィーチャ36を有し、すなわち、拡散クリップ30、光学スペーサー32およびアンカーフィーチャは均一な1つの統一体であり、光学スペーサー32と拡散セクション34とアンカーフィーチャ36との間には継ぎ目および断絶がない。図5を参照すると、拡散セクション34は好ましくは、平坦な部分で終了する対向する傾斜面を有する。導光膜への光源の結合効率に応じて、拡散セクションは結合していない光エネルギーを適切に拡散できない場合がある。好ましくは、拡散クリップ30は拡散セクションおよび拡散クリップと一体化した光方向変換フィーチャの双方を有する。光方向変換フィーチャは拡散クリップ上の、入射光エネルギーの大部分の方向を変える幾何学的フィーチャである。光方向変換の大きさおよび方向は、入射光エネルギーの分布、クリップ材料の屈折率、および拡散クリップの幾何学的形状に主として関連する。光拡散機能と光方向変換機能の双方を一緒にすることにより、点光源からの結合されていない光エネルギーが均一なバックライトアセンブリを生じさせるように効果的に取り扱われうる。例えば、図5における拡散セクション34上の傾斜面は入射透過光エネルギーを効率的に方向変換し、拡散させ、そして拡散クリップ30から光出射を導光膜の光出射に対して「滑らか」にする。完成したバックライトアセンブリユニットにおいては、「滑らか」または比較的小さな光出射差(強度および方向の双方)は人の目では容易に検出されない。
【0028】
図6は好ましい拡散クリップ30の断面図である。拡散クリップ30は円錐形の一体化光学スペーサー32、光拡散セクション34および一体化アンカーフィーチャ36を有する。本発明の別の実施形態においては、拡散セクション34は光学スペーサーのところで終了する2つの対向する傾斜面を有する。拡散セクション34上のこの傾斜面は光源からの入射光エネルギーを方向変換して、拡散セクション34が入射光エネルギーを拡散しかつ方向変換するのを可能にする。
【0029】
図7は別の好ましい拡散クリップの断面である。拡散クリップ30は円錐形の一体化光学スペーサー32、光拡散セクション34および一体化アンカーフィーチャ36を有する。拡散クリップ30は、2つの曲面および2つの丸められた角を有する。この曲面および丸められた角は拡散セクションが入射光エネルギーを方向変換しかつ拡散するのを可能にする。さらに、拡散セクションにおける丸められた角はこの角の領域における光の透過を「和らげ」て、拡散クリップ30の光出射と導光膜の光出射との間の照度変化を低減させる。
【0030】
図8は別の好ましい拡散クリップの断面である。拡散クリップ30は円錐形の一体化光学スペーサー32、光拡散セクション34および一体化アンカーフィーチャ36を有する。拡散セクションは、光学スペーサー32の付近の平坦なセクションで終了する2つの曲面を有する。この曲面は入射光エネルギーを方向変換して、拡散セクション34が入射光エネルギーを方向変換しかつ拡散するのを可能にする。
【0031】
図9は別の好ましい拡散クリップの断面である。拡散クリップ30は円錐形の一体化光学スペーサー32、光拡散セクション34および一体化アンカーフィーチャ36を有する。拡散セクション34は入射光エネルギーを効率的に方向変換するv字溝型レンズを拡散セクション34の一方の面上に伴って提供される。v字溝は好ましくは1〜8mmの高さおよび80〜100度の夾角を有する。別の好ましいレンズ形状には、これに限定されないが、個々の要素、半球、および複合拡散レンズ、例えば、米国特許第6,721,102号(ボーデライス(Bourdelais)ら)に記載されるものが挙げられる。このレンズは、入射光線の方向を変えることによって光を広げ、または拡散させる。好ましいレンズ形状のさらなる例には、これに限定されないが、プリズム、フレネル、平凹、平凸、凹凸、および両凹が挙げられる。所望のレベルの光拡散をもたらすように、サイズ、ピッチおよび材料組成は変更されうる。
【0032】
図10は別の好ましい拡散クリップの断面である。拡散クリップ30は円錐形の一体化光学スペーサー32、光拡散セクション34および一体化アンカーフィーチャ36を有する。拡散セクション34は入射光エネルギーを効率的に方向変換するv字溝型レンズを拡散セクション34の一方の面上に伴って提供される。図10におけるv字溝は拡散セクションの端から光学スペーサーセクションまでの高さで段差が付けられている。
【0033】
図11はバックライトアセンブリの一部分の断面である。拡散クリップ30が光源12の隣に配置されている。一体化光学スペーサー32、拡散セクション34およびアンカーフィーチャ36を有する拡散クリップ30は、好ましくは、光学スペーサー32の間に位置する追加の光方向変換フィーチャ38を含む。本発明の好ましい実施形態においては光方向変換フィーチャ38は光源12に隣接して配置される。
【0034】
使用される材料
LGF20は、ポリカルボナート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)をはじめとするが、これに限定されない様々な種類の透明材料から形成されうる。
【0035】
導光膜のパターン形成される面上に形成されるフィーチャはLCDおよび他の種類のバックライトディスプレイのために、特に小さなディスプレイおよび持ち運び可能な装置のために照明を提供するのを助ける。本発明の実施形態は1mm以下の厚みで製造されうる導光膜を提供する。これは特にLED、OLEDまたはレーザーアレイおよび他の線状固体光アレイと共に使用するのに特に有利である本発明のLGFを製造する。
【0036】
拡散クリップは、ポリカルボナート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカルボナート、ポリスルホンまたはポリプロピレンをはじめとするが、これに限定されない様々なポリマー材料から形成されうる。
【0037】
有利なことには、本発明の拡散クリップは前方散乱追加物を含む。前方散乱は、偏向されたエネルギーが入射波の伝播の方向の90°以内の方向に伝播するように、入射電磁波の一部の問題となっている波長に関して大きいがビーム直径に関して小さい寸法の粒子状物質による非鏡面反射、不均一屈折、または回折による偏向である。散乱プロセスは偏光感受性である場合があり、すなわち、その偏光以外はあらゆる点で同じである入射波は異なるように散乱されうる。好ましい前方散乱追加物の例は、少なくとも0.02の屈折率差を有するコアシェル粒子である。前方散乱は反射散乱と比較して吸着損失を低減させ、より均一なバックライトアセンブリを生じさせるので、前方散乱は散乱の好ましい形態である。
【0038】
有利なことには、拡散クリップは射出成形を用いて製造される。射出成形は光学スペーサーおよびアンカーフィーチャを正確に製造することが示されている。さらに、射出成形は光学スペーサーおよびアンカーフィーチャが拡散セクションに一体化されるのを可能にする。射出成形プロセスにおいては、プラスチック顆粒もしくはペレットが溶融する(典型的には、プラスチックの種類に応じて華氏350〜550度)まで加熱される。溶融したプラスチックは、次いで、高圧(通常、10,000psi以上)で剛性の型(通常、金属、例えば、アルミニウムもしくはスチール)に入れられ、そこでプラスチックは冷えて、再固化して、所望の形状および寸法の部品を生じさせる。射出成形された拡散クリップはインサート成形を使用してポリマーまたは強化用材料を拡散クリップの光学スペーサー/アンカーフィーチャ領域に追加することができる。インサート成形技術は補強用材料を光学スペーサーおよびアンカーフィーチャに組み込むために使用されうる。例えば、金属ピン、ガラス繊維構造体および高強度ポリマーロッド、例えばポリスルホンロッドが挙げられる。
【符号の説明】
【0039】
10 ディスプレイ装置
12 光源
14 上部拡散膜
16 空間光変調器
18 バックライト照明アセンブリ
20 導光膜(LGF)
22 入射端
24 出射面
26 光取り出しフィーチャ
28 底面
30 拡散クリップ
32 一体化光学スペーサー
34 光拡散セクション
36 一体化アンカーフィーチャ
38 光方向変換フィーチャ
66 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源を提供するための複数の固体光源;
点光源を光の均一な面に方向変換し広げるための、複数の固体光源間に提供される、光方向変換領域を有する複数の導光膜;並びに、
一体化光学スペーサー、光拡散セクションおよび一体化アンカーフィーチャを含む少なくとも1つのポリマー拡散クリップ;
を含む、LCDディスプレイのための一体型バックライト照明アセンブリ。
【請求項2】
拡散クリップがポリカルボナート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ウレタン、ポリプロピレン、ポリスルホンおよびナイロンから選択される材料を含む、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項3】
拡散クリップが固体光源に対して垂直に並べられている、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項4】
拡散クリップが点光源からの入射可視光エネルギーを方向変換する幾何学的形状を有する、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項5】
拡散バーがxとyとの間の拡散効率を有する、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項6】
複数の固体光源がサイドバイサイドの形態で配置されている、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項7】
光学スペーサーが1から1mmの間の高さを有する、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項8】
光学スペーサー間の距離が1〜100cmである、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項9】
ポリマー拡散クリップがポリマーコアシェル粒子をさらに含む、請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。
【請求項10】
ポリマー拡散クリップが青色染料または顔料をさらに含む請求項1に記載のバックライト照明アセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−210727(P2011−210727A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−73653(P2011−73653)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(508330870)エスケーシー・ハース・ディスプレイ・フィルムズ・カンパニー,リミテッド (31)
【Fターム(参考)】