説明

一組の少なくとも1つのフィルタカセットを有する濾過装置用のマニホールド

【課題】簡単で経済的で便利であり、良好な性能を与える一組の少なくとも1つのフィルタカセットを有する流体の濾過装置用のマニホールドを提供する。
【解決手段】カセット供給ポート(20)、および支持面(7)を通してそれぞれ現われるカセット濾過液戻りポート(21)、ならびに支持面(7)の反対の側に位置される対抗支持面(8)に、カセット濾過液戻りポート(21)がそのそれぞれの中に現われる第1の窪みを有する補助ブロック(3)と、入口導管(14)および濾過液出口導管(15)、入口導管(14)およびカセット供給ポート(20)に通じているカセット供給中間ポート、窪みにそれぞれ面する搬送カットアウト、ならびに濾過液出口導管(15)およびカセット濾過液戻りポート(21)に通じているカセット濾過液戻り中間ポートを有する、補助ブロック(3)がその上に締結されるメインブロック(2)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一組の少なくとも1つのフィルタカセットを有する流体の濾過装置用のマニホールドに関し、その流体は、たとえば生物学的液体、および特に、ただし排他的にではなく生物学的薬液である。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0498211号明細書は、処理すべき流体用の流入口を有する入口導管、濾過液と呼ばれる処理済み流体用の濾過液流出口を有する濾過液出口導管、および保持液と呼ばれる処理済み流体用の保持液流出口を有する保持液出口導管が設けられるステンレス鋼本体を備えるステンレス鋼マニホールドを説明している。
【0003】
このマニホールドは、カセットセットのエンドカセットがしっかりと当接するようになる支持面を有する。この支持面を通して、入口導管の中にさらに現われるカセット供給ポート、濾過液用の搬送カットアウト、および濾過液出口導管の中にさらに現われるカセット濾過液戻りポート、および保持液出口導管の中にさらに現われるカセット保持液戻りポートが現われる。
【0004】
カセット供給ポート、搬送カットアウトの端部、カセット濾過液戻りポート、およびカセット保持液戻りポートは、これらがマニホールドの支持面に対してしっかりと支持関係になってフィルタカセットに形成される導管に連通するように構成される。
【0005】
フィルタカセットがこのマニホールドの支持面に当接すると、マニホールドと同じ側のこのカセットの表面は、搬送カットアウトに対してしっかりと支持関係になっている。しっかりと支持関係になってカセットの表面を損傷するカットアウトを回避するために、大きな注意が払われなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0498211号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡単で経済的で便利であり、良好な性能を与える一組の少なくとも1つのフィルタカセットを有する濾過装置用のマニホールドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、第1の態様によれば、本発明は、マニホールドの支持面に使用する一組の少なくとも1つのフィルタカセットを有する濾過装置用のマニホールドにして、処理すべき流体用の少なくとも1つの流入口を有する入口導管、濾過液と呼ばれる処理済み流体用の少なくとも1つの濾過液流出口を有する濾過液出口導管、前記入口導管に連通している、処理すべき前記流体用のカセット供給ポート、および前記濾過液出口導管に連通している、濾過液用のカセット濾過液戻りポートを有し、各前記カセット供給ポートおよびカセット濾過液戻りポートが前記支持面を通して現われるマニホールドであって、
前記マニホールドが、メインブロック、および前記メインブロックに締結される補助ブロックを備え、
前記支持面、前記カセット供給ポートおよび前記カセット濾過液戻りポートが、補助ブロックに属し、これが、支持面の反対の側に位置される対抗支持面に、少なくとも1つのカセット濾過液戻りポートがそのそれぞれの中に現われる第1の窪みをさらに備え、
前記入口導管および前記濾過液出口導管が、前記メインブロックに属し、これが、前記入口導管およびそれぞれのカセット供給ポートにそれぞれ通じているカセット供給中間ポート、前記補助ブロックのそれぞれの前記窪みにそれぞれ面する搬送カットアウト、および前記濾過液出口導管およびそれぞれのカセット濾過液戻りポートにそれぞれ連通しているカセット濾過液戻り中間ポートをさらに備える、マニホールドに関する。
【0009】
したがって、搬送カットアウトは、マニホールドの内部にある(支持面にはない)。カセットとの接触がないので、カットアウトに関していかなる特別な注意も必要とされない。
【0010】
Millipore社によって販売されている名称Pellicon 2(R)で知られているフィルタカセットのタイプの場合、フィルタカセットとマニホールドとの間に平坦な中間ステンレス鋼板を挿置することが知られており、この板は、ブロックのカセット供給ポートに連通している第1のポート、およびブロックのカットアウトの端部に通じている第2のポートを備えている。それぞれの平坦なシールは、この板とブロックとの間、およびこの板とPellicon 2(R)フィルタカセットとの間にシールを形成するようにこの中間板の2つの面のそれぞれに押圧される。
【0011】
さらに、同様な中間板が知られているが、これは、やはりMillipore社によって販売されている名称Pellicon 3(R)で知られているフィルタカセットの別のタイプとしてプラスチックからなり、平坦なシールは、ブロックのカットアウトの端部に連通しているポートの位置でこの板に環状シールによって、およびPellicon 3(R)フィルタカセットに直接に他の環状シールによって置き換えられる。
【0012】
これらの着脱自在な中間板は、特に補助ブロックがメインブロックに恒久的に締結されるので、および補助ブロックが流体経路を最適化するメインブロックと同じ側に窪みを備えているので、本発明によるマニホールドの補助ブロックと関係がないことに留意されよう。
【0013】
好ましい特徴によれば、前記メインブロックおよび前記補助ブロックは、プラスチック材料からなり、前記ブロックは、互いに溶接される。
【0014】
したがって、本発明によるマニホールドの実施は、特に便利である。
【0015】
前記補助ブロックは、前記対抗支持面に形成されるリブを備えることが好ましい。
【0016】
このようなリブは、これらのリブがメインブロックに補助ブロックを最適に締結するために部分的に溶融するように、たとえば線形振動による溶接の実行に十分に適している。
【0017】
前記補助ブロックは、前記第1および第2の窪みが前記リブによって傍を通過されるように構成される前記対抗支持面に第2の窪みを備えることが好ましい。
【0018】
したがって、これらのリブによって形成される溶接部位は、接続を行うために他の手段を講じる必要はないように、流体密封接続が必要である箇所に配置される。
【0019】
他の好ましい特徴によれば、前記カットアウトは、カセット濾過液戻り中間ポートに向かって集中する。
【0020】
これらのカットアウトの集中のおかげで、濾過液は、カセットを離れると、つまりカセット濾過液戻りポートから濾過液出口導管への濾過液が高い圧力損失を生じる少なくとも2つの直角ベンドを備える経路に従う特に現時点での技術水準のマニホールドから見て、低い圧力損失を有する流体経路に従う。
【0021】
本発明によるマニホールドの好ましい、簡単で、便利で経済的な特徴によれば:
前記補助ブロックは、前記第1の窪みの周囲に形成される第1の溝を備え、前記メインブロックは、前記補助ブロックの対抗支持面に面する表面に、前記溝の中に少なくとも部分的に導かれる第1のビードを備える。
【0022】
前記補助ブロックは、前記カセット供給ポートの周囲に形成される第2の溝を備え、前記メインブロックは、前記補助ブロックの対抗支持面に面する表面に、前記第2の溝に少なくとも部分的に導かれる第2のビードを備える。
【0023】
前記メインブロックは、保持液と呼ばれる処理済み流体用の保持液流出口を有する保持液出口導管、および前記保持液出口導管にそれぞれ通じているカセット保持液戻り中間ポートを有し、前記補助ブロックは、前記カセット保持液戻り中間ポートにそれぞれ通じているカセット保持液戻りポートを備える。
【0024】
前記入口導管、前記濾過液出口導管、前記カセット供給ポート、前記カセット濾過液戻りポート、前記第1の窪み、前記カセット供給中間ポート、前記カットアウトおよび前記カセット濾過液戻り中間ポートは、機械加工によって形成される。
【0025】
前記補助ブロックは、前記メインブロックの外周部よりも小さな外周部を有する。
【0026】
前記マニホールドは、前記メインブロックのそれぞれ両側に締結される2つの補助ブロックを備える。
【0027】
前記マニホールドは、補足ブロックを備え、これは、中実であり、前記メインブロックの表面に締結される。
【0028】
第2の態様によれば、本発明は、上で説明したようにマニホールドを備える一組の少なくとも1つのフィルタカセットと、マニホールドを受け入れるための空間が設けられる機械式結合ブロックとを有する流体の濾過装置に関する。
【0029】
次いで、本発明の開示は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例により下記で与えられる実施形態の説明によって続けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態によるマニホールドの斜視図である。
【図2】マニホールドのメインブロックの斜視図である。
【図3】マニホールドの正面からの図である。
【図4】図3のIV−IVによる断面図である。
【図5】図3のV−Vによる断面図である。
【図6】メインブロックの正面からの図である。
【図7】図6のVII−VIIによる断面図である。
【図8】図6のVIII−VIIIによる断面図である。
【図9】分離したマニホールドの補助ブロックを示す正面からの図である。
【図10】図9のX−Xによる断面図である。
【図11】カセットおよびマニホールドなしの濾過装置の斜視図である。
【図12】カセットおよびマニホールドを有する濾過装置の斜視図である。
【図13】フィルタカセットを概略的に示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態による、図5と同様な断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態による、図5と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から図10は、一組のフィルタカセット50が設けられる濾過装置40のステンレス鋼の機械式結合ブロック42の中に挿入されるように適応するプラスチック材料のマニホールド1を示し(図11および図12)、この装置40は、処理設備の一部を形成している。
【0032】
説明される例では、マニホールド1およびカセット50の組は、接線濾過による処理を得るように構成される。
【0033】
接線濾過では、処理すべき流体は、供給導管70(図13)を介してカセット50の組に入り、保持液と呼ばれる流体の第1の小部分が、各カセット50の膜(図示せず)の方へ接線方向に流れ、濾過液と呼ばれる流体の第2の小部分は、各カセット50の膜を通過し、保持液に直角に流れ、次いで、濾過液および保持液は、それぞれ濾過液出口導管71および保持液出口導管72を介してカセット50の組を出て行く。
【0034】
したがって、用途のタイプに応じて、処理済み流体、たとえば濾過液または保持液の異なる小部分を回収することができる。
【0035】
マニホールド1は、プラスチック材料のメインブロック2、およびメインブロック2に溶接によって締結されるプラスチック材料の補助ブロック3を備えている。
【0036】
メインブロック2および補助ブロック3は、ここでは、またアセタールとも呼ばれるポリオキシメチレン(POM)からなる。
【0037】
ここでは、溶接作業は、線形振動によって行われる。
【0038】
プラスチック材料2および3のこのようなブロックの溶接作業は、実行するのに特に簡単である。
【0039】
より詳細には、プラスチック材料2および3のブロックの場合、溶接作業は、近傍の部材に影響することなく行われる。
【0040】
メインブロック2は、実質的に平行六面体の形状を有する本体4を備えている。
【0041】
本体4は、入口導管14、濾過液出口導管15および保持液出口導管16を備えている。
【0042】
各導管14、15および16は、本体4の上面5に、処理すべき流体用の第1の流入口10、濾過液用の第1の濾過液流出口11、および保持液用の第1の保持液流出口12をそれぞれ有する。
【0043】
それぞれの入口10および出口11、12の周りに、それぞれの環状溝77、78および79が形成され、この環状溝77、78および79は、処理設備の他の部分へまたは他の部分から流体を搬送するために、シールおよび管(図示せず)、たとえば剛性のあるステンレス鋼や可撓性プラスチック管を受け入れるように適応している。
【0044】
さらに、各導管14、15および16は、本体4の下面13に、処理すべき流体用の第2の流入口17(図5)、濾過液用の第2の濾過液流出口18(図4)、および保持液用の第2の保持液流出口23(図7)をそれぞれ有する。
【0045】
前に述べたように、それぞれの入口17および出口18、19の周りに、それぞれの環状溝34、36および27が形成され、この環状溝34、36および27は、処理設備の他の部分へまたは他の部分から流体を搬送するために、シールおよび管(図示せず)、たとえば剛性のあるステンレス鋼や可撓性プラスチック管を受け入れるように適応している。
【0046】
これらの入口および/または出口のうちの1つを塞ぐことを望む場合には、その環状リムがその環状溝のうちの1つの中に導き入れられるプラグを挿入することで足りる。
【0047】
これらの導管14、15および16は、少なくともその高さの主要な部分にわたって本体4を機械加工によって、特にボーリング加工することによって形成される。
【0048】
濾過液出口導管15は、メインブロック2の本体4の全高にわたって形成されることが、たとえば図4で見られ得る。
【0049】
また、供給導管14も、メインブロック2の本体4の全高にわたって形成されることが、たとえば図5で見られ得る。
【0050】
当然、処理に役立つ接続に応じて、導管14、15および16は、上で示された方法で適切な入口および/または出口10、17、11、18、12および23のところで塞がれる。
【0051】
補助ブロック3は、実質的に平行六面体の形状を有する本体6、平坦な支持面7、および平坦な支持面7の反対の側に平坦でない対抗支持面8を備えている。
【0052】
対抗支持面8は、メインブロック2の本体4の表面9に当てがわれ、その表面9に対して、補助ブロック3の対抗支持面8が、溶接によって恒久的に締結される。
【0053】
補助ブロック3は、処理すべき流体用のカセット供給ポート20、カセット濾過液戻りポート21、およびカセット保持液戻りポート22を備えている。
【0054】
これらのカセット供給ポート20、カセット濾過液戻りポート21、およびカセット保持液戻りポート22は、補助ブロック3の表面7および8にそれぞれ現われる。
【0055】
補助ブロック3の垂直縁部に沿って、5つのカセット供給ポート20および4つのカセット濾過液戻りポート21がここでは一直線に並べられ、各カセット濾過液戻りポート21は、2つのカセット供給ポート20の間に設置される。
【0056】
補助ブロック3の他の垂直縁部に沿って、5つのカセット保持液戻りポート22および4つのカセット濾過液戻りポート21がここでは一直線に並べられ、各カセット濾過液戻りポート21は、2つのカセット保持液戻りポート22の間に設置される。
【0057】
補助ブロック3は、メインブロック2の外周よりも小さな外周を有する。
【0058】
補助ブロック3の垂直縁部の間に中途まで重ねて位置合わせされた長円形のカセット濾過液戻り中間ポート25(図6)が、メインブロック2の表面9に現われる。
【0059】
これらのカセット濾過液戻り中間ポート25は、メインブロック2の本体4の内部に延在し、さらに濾過液出口導管15内に現われる。
【0060】
これらのカセット濾過液戻り中間ポート25は、機械加工によって、特にボーリング加工によって形成される。
【0061】
メインブロック2は、表面9の反対の側に連続した表面19を備えている。換言すれば、いかなる中間ポートも、表面19に現われない。
【0062】
図5に示されるように、メインブロック2は、その中にカセット供給中間ポート30がまた現われる表面9を有し、カセット供給中間ポート30は、これらがさらに供給導管内に現われるまで本体4内において延在する。
【0063】
メインブロック2は、その背後にカセット濾過液戻り中間ポートが形成される濾過液用の4つの搬送カットアウト35をさらに備えている。
【0064】
カセット供給ポート20は、補助ブロック3の本体6を通過し、メインブロック2のカセット供給中間ポート30に通じている。
【0065】
また、カセット濾過液中間ポート21も、補助ブロック3の本体6を通過し、メインブロックの濾過液の搬送用のカットアウト35の端部31および33に連通している。
【0066】
図2および図6は、補助ブロック3なしのメインブロック2を示している。
【0067】
端部31と端部35との間の中間点に設置されるカセット濾過液戻り中間ポート25と同様に、その端部31と端部33との間に水平に延在するカットアウト35が、より詳細に見られ得る。
【0068】
表面9において、カセット供給中間ポート30が現われる縁部まで反対の縁部に沿って、カセット保持液戻り中間ポート32が、さらに現われる。
【0069】
当然、ポート30および端部31、ならびにそれぞれポート32および端部33は、ポート20および21、ならびにそれぞれ22および21と同様に連続的に位置合わせされる。
【0070】
カセット保持液戻り中間ポート32は、これらが保持液出口導管16内にさらに現われるまでメインブロック2の本体4を通過する(図7)。
【0071】
各カットアウト35は、カセット濾過液戻り中間ポート25に向かって集中し(図8)、すなわち、これは、メインブロック2の本体4の中に次第に沈下しながら、その端部31からそれぞれのカセット濾過液出口中間ポート25まで延在する。
【0072】
その端部31および33の位置において、各カットアウト35は、湾曲させた第1の部分76と、次いで表面9に平行に延在する平坦な第2の部分24と、最後にそれぞれの現われる中間ポート25に達するまで本体4の中に沈下する傾斜状の第3の部分26とを有する。
【0073】
これらの部分76、24および26により、濾過液の良好な流れが可能になり、同時に濾過液は、濾過液出口導管15によるその排出まで搬送され、流体経路は圧力損失を最小限にする。
【0074】
メインブロック2は、カットアウト35の周りにそれぞれ形成される第1のビード38および第2のビード39、およびカセット供給中間ポート30をさらに備えている。
【0075】
図9および図10は、補助ブロック3の対抗支持面8をより詳細に示している。
【0076】
この対抗支持面8上に、同じ高さで水平に配置される2つのカセット濾過液戻りポート21の後ろをそれぞれ通過する第1の窪み28が形成され、第1の窪み28は、これらの2つのカセット濾過液戻りポート21の間を水平に延在する。
【0077】
これらの第1の窪み28は、濾過液がまたこれらの第1の窪み28を通過するように、メインブロック2のカットアウト35に面して配置される。
【0078】
これらの第1の窪み28の周囲に、第1のビード38を受け入れるように第1の溝37が形成される(図2に見られる)。
【0079】
また、この対抗支持面8上に、カセット保持液戻りポート22の周囲とカセット供給ポート20の周囲との間に水平に延在する第2の窪み48が形成され、そのポート20および22は、水平に位置合わせされる。
【0080】
また、この対抗支持面8上に、カセット供給ポート20およびカセット保持液戻りポート22の周りにそれぞれ環状で同心である第2の溝29が形成され、その第2の溝29は、第2のビード39を受け入れる(図2に見られる)。
【0081】
したがって、リブ41が、この側表面8の周囲に、およびそれぞれのカセット供給ポート20およびカセット保持液戻りポート22の周囲にそれぞれ第1の窪み28と第2の窪み48との間に、補助ブロック3の対抗支持面8に形成される。
【0082】
これらのリブ41は、第1の窪み28および第2の窪み48の傍を通過し、フィルタカセット50がこれに対して圧縮されるときに補助ブロック3の変形を回避できるようにしている。
【0083】
実際、窪み48と窪み28との間のこれらの配置のために溶接作業に際して、リブ41は、メインブロック2の表面9に少なくとも一部分は接合されるように溶融する。
【0084】
さらに、線形振動による溶接作業に際して、ビード38、39とそれぞれの溝37、29の相補性により、ブロック2および3の溶融されたプラスチック材料を、特にリブ41によって溝をつけることができるようにしている。
【0085】
したがって、リブ41、ビード38、39、およびそれぞれの溝37、29は、流体密封ゾーンの形成に関係している。
【0086】
したがって、マニホールド1は、メインブロック2と補助ブロック3との間にシールを含まないことが有利である。
【0087】
図11では、マニホールド1を受け入れるための空間43が形成される機械式結合ブロック42を備える濾過装置40が示されている。
【0088】
この機械式結合ブロック42は、互いに面する2つの翼部45をそれぞれ有する2つの側材44と、2つの翼部45を連結する側壁とを備えている。
【0089】
側材44の高さは、マニホールド1の高さと少なくとも同等であり、各側材44の2つの翼部45の間の空間は、機械式結合ブロック42の空間43の中へ摺動によってその導入ができるようにマニホールド2の深さと同等である。
【0090】
マニホールド1が機械式結合ブロック42の中に挿入されると、上壁46が、マニホールド1の上面5に配置され、次いで、機械式ブロック42の中に挿入される4本の固定ねじ47によってねじ込まれる。
【0091】
保持装置40は、クランプ板51、このクランプ板51を保持するための2本のロッド52、フィルタカセット50を支持するための4本のロッド53、およびフィルタカセット50を締め付けるための手段をさらに備えている。
【0092】
クランプ板51は、それらの間に設置されるフィルタカセット50の組を締め付けるように、マニホールド1から離れて配置される。
【0093】
このクランプ板51は、ロッド52にも板51にもそれぞれ連結される2つのリング54のおかげでロッド52によって支えられる。
【0094】
この板は、カセット50を支えるロッド53を受け入れる4本の貫通孔をさらに備える。
【0095】
クランプ板51保持するためのロッド52、およびカセット50を支持するためのロッド53は、機械式結合ブロック42から現われる。
【0096】
これが締め付けられない限り、クランプ板51は、ロッド52およびロッド53に沿って摺動する。
【0097】
クランプ手段は、機械式結合ブロック42に配置される2つのアクチュエータ(見られない)によって形成され、これには、本体、および本体に対して可動であるピストンがそれぞれ設けられ、2本のロッド55が、複数の規則的に間隔が隔てられたノッチ56を備え、このロッド55は、機械式結合ブロック42から現われ、クランプ板51に形成される2つの貫通孔の方向にそれぞれ達する。
【0098】
各アクチュエータの本体は、機械式結合ブロック42に連結され、各アクチュエータの可動ピストンは、ノッチ付きロッド55に連結される。
【0099】
フィルタカセット50の組を締め付ける作業に際してこの板51をロックするようにクランプ板51のちょうど背後に、特に、補助ブロック3の側支持面7に向かってクランプ板51を持って来るためにノッチ付きロッド56がアクチュエータの可動ピストンによって移動されるときに、ロック部材57は、ノッチ付きロッド55にさらに締結される。
【0100】
したがって、アクチュエータがノッチ付きロッド55を引っ張ると、フィルタカセット50の組は、これがマニホールド1の補助ブロック2とクランプ板51との間で圧縮されるまで締め付けられ、カセット供給ポート20、カセット濾過液戻りポート21、およびカセット保持液戻りポート22は、補助ブロック3の支持面7に当接しているフィルタカセット50に形成される供給導管70、濾過液戻り導管71、および保持液戻り導管72にそれぞれ連通する(図13)。
【0101】
このカセット50の面および補助ブロック3の支持面7は同様であり、それにより、クランプに関しては、講じるべきいかなる特別な予防措置もない。
【0102】
このカセット50の面は、メインブロック2のカットアウト35にしっかりと当接していない。
【0103】
図14は、マニホールドの第2の実施形態を示している。
【0104】
概して、100だけ増やされた同じ参照番号が、同様の要素に使用されている。
【0105】
図1から図10までに示されるマニホールド1のメインブロック2と対照的に、図14に示されるマニホールド101のメインブロック102は、カセット供給中間ポート、カセット濾過液戻り中間ポート181、およびカセット保持液戻り中間ポート(図示せず)がその上に現われる表面119を備え、供給中間ポート180および保持液戻り中間ポートは、これらがさらに供給導管114、および保持液出口導管(図示せず)にそれぞれ現われるまで、本体104内に延在する。
【0106】
このマニホールドは、表面109の上に補助ブロック103と同じ方法で表面119の上に溶接することによって締結されるプラスチック材料の補足ブロック190をさらに備えている。
【0107】
この補足ブロック190は、中実であり、すなわちいかなるポートもない。
【0108】
図15は、マニホールドの第3の実施形態を示している。
【0109】
概して、同様な要素について第1の実施形態の場合と同じ参照番号が使用されているが、200だけ増やされている。
【0110】
図15に示されるマニホールド201は、中実の補足の補助ブロックの代わりに、これが補助ブロック203と同一であるプラスチック材料の補足の補助ブロック292を備えていることを除いては、図14のマニホールド101と同一である。
【0111】
したがって、ブロック201は、メインブロック202のそれぞれの表面209および219の上に溶接することによって締結されるプラスチック材料の2つの補助ブロック203および292を備えている。
【0112】
このように、この補助ブロック292は、補助ブロック292の本体293を通過し、供給中間ポート280に連通しているカセット供給ポート220と、補助ブロック292の本体293を通過し、カセット濾過液戻り中間ポート281に連通しているカセット濾過液戻りポート221と、補助ブロック292の本体293を通過し、それぞれのカセット保持液戻り中間ポート(図示せず)に連通しているカセット保持液戻りポート(図示せず)とを備えている。
【0113】
例示されていない変形例では:
メインブロックおよび補助ブロックは、ポリオキシメチレン(POM)ではなくてポリスルホン(PSU)からなり、
メインブロックは、機械加工ではなくて成形によって形成され、その流入口、流出口、入口導管、出口導管、カセット供給中間ポート、カセット濾過液戻り中間ポート、カセット保持液戻り中間ポート、およびカットアウトは、成形作業の際に形成され、
補助ブロックは、機械加工ではなくて成形によって形成され、そのカセット供給ポート、カセット濾過液戻りポート、カセット保持液戻りポート、第1の窪み、第2の窪み、第1の溝、および第2の溝は、成形作業の際に形成され、
溶接作業は、線形振動溶接ではなくて、その代わりに超音波または赤外線による溶接であり、
機械式結合ブロックは、ステンレス鋼ではなくてプラスチック材料からなり、
濾過装置は、一方がメインブロックの上面にあり他方がその下面にある2つの濾過液濾流出口を使用し、その場合には2つの濾過液出口のうちの1つはドレインとして働き、かつ/または、
図1から図10のブロック2などのメインブロックは、19のようなその表面に、補足ブロック190のような補足ブロックを備えている(図14)。
【0114】
例示されていない他の変形例では、いくつかの濾過装置が重ね合わされ、したがって、いくつかのマニホールドが、流体用の入口導管および出口導管の端部に設置される流入口および流出口のところで連結される。これらの組立体は、この流入口および流出口の周りに形成される溝の位置のところで2つのマニホールドブロックの間のそれぞれの接続箇所にシール手段を必要とする。
【0115】
より一般的には、本発明は、説明され表現された前記の例に限定されないことに留意するべきである。
【符号の説明】
【0116】
1、101、201 マニホールド
2、102、202 メインブロック
3、103、190、203、292 補助ブロック
4、6、104、293 本体
7 支持面
8 対抗支持面
9、19、109、119、209、219 表面
10 流入口
11 第1の濾過液流出口
12 第1の保持液流出口
13 下面
14 入口導管
15、71 濾過液出口導管
16、72 保持液出口導管
17 第2の流入口
18 第2の濾過液流出口
20、220 カセット供給ポート
21、221 カセット濾過液戻りポート
22 カセット保持液戻りポート
23 第2の保持液流出口
24 第2の部分
25、181、281 カセット濾過液戻り中間ポート
26 第3の部分
27、34、36、77、78、79 環状溝
28 第1の窪み
29 第2の溝
30 カセット供給中間ポート
31、33 端部
32 カセット保持液戻り中間ポート
35 カットアウト
37 第1の溝
38 第1のビード
39 第2のビード
40 濾過装置
41 リブ
42 機械式結合ブロック
43 空間
44 側材
45 翼部
46 上壁
47 固定ねじ
48 第2の窪み
50 フィルタカセット
51 クランプ板
52、53、55 ロッド
54 リング
56 ノッチ
57 ロック部材
70 供給導管
76 第1の部分
114 供給導管
180、280 供給中間ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニホールド(1)の支持面(7)に使用する一組の少なくとも1つのフィルタカセット(50)を有する濾過装置(40)用のマニホールドにして、処理すべき流体用の少なくとも1つの流入口(10)を有する入口導管(14)、濾過液と呼ばれる処理済み流体用の少なくとも1つの濾過液流出口(11)を有する濾過液出口導管(15)、前記入口導管(14)に通じている、処理すべき前記流体用のカセット供給ポート(20)、および前記濾過液出口導管(15)に通じている、濾過液用のカセット濾過液戻りポート(21)を有し、各前記カセット供給ポート(20)およびカセット濾過液戻りポート(21)が前記支持面(7)を通して現われるマニホールドであって、
前記マニホールド(1)が、メインブロック(2、102、202)、および前記メインブロック(2、102、202)に締結される補助ブロック(3、103、203、292)を備え、
前記支持面(7)、前記カセット供給ポート(20)および前記カセット濾過液戻りポート(21)が、補助ブロック(3、103、203、292)に属し、これが、支持面(7)の反対の側に位置される対抗支持面(8)に、少なくとも1つのカセット濾過液戻りポート(21)がそのそれぞれの中に現われる第1の窪み(28)をさらに備え、
前記入口導管(14)および前記濾過液出口導管(15)が、前記メインブロック(2、102、202)に属し、これが、前記入口導管(14)およびそれぞれのカセット供給ポート(20)にそれぞれ通じているカセット供給中間ポート(30)、前記補助ブロック(3、103、203、292)のそれぞれの前記窪み(28)にそれぞれ面する搬送カットアウト(35)、および前記濾過液出口導管(15)およびそれぞれのカセット濾過液戻りポート(21)にそれぞれ通じているカセット濾過液戻り中間ポート(25)をさらに備えることを特徴とする、マニホールド。
【請求項2】
前記メインブロック(2、102、202)および前記補助ブロック(3、103、203、292)が、プラスチック材料からなり、前記ブロックが、互いに溶接されることを特徴とする、請求項1に記載のマニホールド。
【請求項3】
前記補助ブロック(3、103、203、292)が、前記対抗支持面(8)に形成されるリブ(41)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のマニホールド。
【請求項4】
前記補助ブロック(3、103、203、292)は、前記第1の窪み(28)および第2の窪み(48)が前記リブ(41)によって傍を通過されるように構成される前記対抗支持面(8)に第2の窪み(48)を備えることを特徴とする、請求項3に記載のマニホールド。
【請求項5】
前記カットアウト(35)が、カセット濾過液戻り中間ポート(25)に向かって集中することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項6】
前記補助ブロック(3)が、前記第1の窪み(28)の周囲に形成される第1の溝(37)を備え、前記メインブロック(2、102、202)が、前記補助ブロックの対抗支持面(8)に面する表面(9)に、前記溝(37)の中に少なくとも部分的に導かれる第1のビード(38)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項7】
前記補助ブロックが、前記カセット供給ポート(20)の周囲に形成される第2の溝(29)を備え、前記メインブロック(2、102、202)が、前記補助ブロック(3)の対抗支持面(8)に面する表面(9)に、前記第2の溝(29)に少なくとも部分的に導かれる第2のビード(39)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項8】
前記メインブロック(2)が、保持液と呼ばれる処理済み流体用の保持液流出口(12)を有する保持液出口導管(16)、および前記保持液出口導管(16)にそれぞれ通じているカセット保持液戻り中間ポート(32)を有し、前記補助ブロック(3)が、前記カセット保持液戻り中間ポート(32)にそれぞれ通じているカセット保持液戻りポート(22)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項9】
前記入口導管(14)、前記濾過液出口導管(15)、前記カセット供給ポート(20)、前記カセット濾過液戻りポート(21)、前記第1の窪み(28)、前記カセット供給中間ポート(30)、前記カットアウト(35)および前記カセット濾過液戻り中間ポート(25)が、機械加工によって形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項10】
前記補助ブロック(3)が、前記メインブロック(2)の外周部よりも小さな外周部を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項11】
前記メインブロック(102、202)のそれぞれ両側に締結される2つの補助ブロック(103、190、203、292)を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項12】
補足ブロック(190)を備え、これが中実であり、前記メインブロック(102)の表面(119)に締結されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のマニホールド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のマニホールド(1)を備える一組の少なくとも1つのフィルタカセット(50)と、前記マニホールド(1)を受け入れるための空間(43)が設けられる機械式結合ブロック(42)とを有する、流体の濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−240333(P2011−240333A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−105858(P2011−105858)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】