説明

丁合装置

【課題】コンベア上の紙詰まりで用紙束を除去した後の丁合作業の効率を向上させることができるようにする。
【解決手段】コンベア15上の複数のコマに用紙束が存在するか否かを検出する反射型用紙検出センサ17〜20と、用紙束が存在しない空のコマが検出されたときに、その空のコマを検出した反射型用紙検出センサ17〜20が存在する位置よりも搬送方向下流側にある給紙部11〜14から空のコマに対する給紙を停止させるように制御する給紙制御部21とを設け、紙詰まりの発生したコマから用紙束を除去した後に丁合装置を再始動させたときに、空のコマに対しては給紙部11〜14からの給紙が行われないように制御することにより、不完全な丁合束が作られてしまうことを防止し、不完全な丁合束を給紙トレイ11a〜14aに仕分ける作業を不要にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の給紙トレイの各々から用紙を1枚ずつ送り出して重ね合わせることによって用紙束を形成する丁合装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の給紙トレイの各々から用紙を1枚ずつ送り出して重ね合わせることによって用紙束を形成する丁合装置が広く用いられている。一般に、丁合装置は、用紙の束を積載する給紙トレイを用紙束搬送路(例えば、コンベア)沿いに複数配置し、各給紙トレイより用紙を1枚ずつ送り出しながらコンベア上で重ね合わせることにより、用紙束を形成するように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、3つの給紙トレイがコンベア沿いに配置された丁合装置の場合、1つ目の給紙トレイよりコンベア上に用紙が1枚送り出され、その用紙がコンベアにより搬送されて2つ目の給紙トレイの位置に来るタイミングで、2つ目の給紙トレイより用紙が1枚送り出され、コンベア上で重ねられて2枚の用紙束となる。同様に、その用紙束がコンベアにより搬送されて3つ目の給紙トレイの位置に来るタイミングで、3つ目の給紙トレイより用紙が1枚送り出され、コンベア上で重ねられて3枚の用紙束となる。そして、このようにして丁合された用紙束(丁合束)は、コンベアの下流側にあるスタックトレイに送り出される。
【0004】
コンベア上での用紙または用紙束(以下では、コンベア上にある用紙を、1つ目の給紙トレイから送り出された直後の1枚のものも含めて用紙束と称する)の搬送は、プッシャと呼ばれる押圧部材によって行われる。すなわち、コンベア上にはプッシャが所定間隔おきに複数配置されており、当該プッシャがコンベアと共に移動している。このプッシャが用紙束の後端を搬送方向に押圧することにより、用紙束がコンベア上を搬送されていくようになっている。
【0005】
給紙トレイからコンベア上への用紙の送り出しは、プッシャが給紙トレイに近づいてきた所定のタイミングに合わせて行われるように構成されている。プッシャとプッシャとの間の空間はコマと呼ばれ、各コマに対して給紙トレイからの給紙が行われる。これにより、コンベア上には、異なるコマに1枚、2枚、3枚の用紙束が常に存在している状態となる。つまり、コマ毎に異なる枚数の用紙束が載置された状態で、用紙束の搬送が行われるようになっている。
【0006】
ところで、丁合装置を運転しているときに、コンベア上の何れかのコマで紙詰まりを生じることがある。紙詰まりが生じると、丁合装置の動作が停止してエラー警告が発せられる。この場合、オペレータは、紙詰まり状態を直して丁合装置を再始動させることになるが、紙詰まりによって用紙束が破損していた場合、その用紙束をコンベア上から除去しなければならない。
【0007】
用紙束をコンベア上から除去した後に、丁合装置を再始動させると、停止前の丁合作業を継続するように給紙トレイから用紙の供給が行われる。ところが、この場合、コンベアに滞留している丁合途中の用紙束(紙詰まりを起こしたコマ以外のコマにある用紙束)のみならず、紙詰まりで用紙束を除去したコマにも用紙が供給されてしまうため、そのコマにおいて不完全な丁合束ができてしまうという問題がある。例えば、1つ目の給紙トレイと2つ目の給紙トレイとの間にあるコマから用紙束を除去して丁合装置を再始動した場合、2つ目の給紙トレイと3つ目の給紙トレイからそれぞれ用紙が1枚ずつ供給されて、2枚だけの不完全な丁合束ができてしまう。
【0008】
このような不完全な丁合束をなくすために、あるコマから紙詰まりの用紙束を除去した後に、強制排紙の機能を利用することが可能である。強制排紙を丁合装置に指示すると、コンベア上に滞留している用紙束が全てコンベアの系外に強制的に排紙される。そして、強制排紙の動作後に丁合装置を再始動させると、1つ目の給紙トレイから順に用紙の送り出しが再開される。そのため、不完全な丁合束ができてしまうことを防止できる。しかし、この方法では、滞留中の用紙束を全て排紙して最初から丁合をやり直すことになるので、作業効率が悪化するという問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭58−6874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
なお、上記特許文献1に記載の丁合装置では、落丁などの不良丁合を検出する検出器を各供給機に設け、不良丁合の含まれた集合折丁が最後の供給機の後方所定位置にきたときに、その位置に備えた排除装置によって不良丁合をコンベア系外へ排除するようにしている。この技術を応用して、紙詰まりで用紙束を除去したコマに生じる不完全な丁合束を検出してコンベア系外へと排除することができれば、滞留中の用紙束を全て強制排紙して最初から丁合をやり直す必要がなくなる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、各供給機(給紙トレイ)に設けた検出器で落丁などを検出するしくみのため、コンベア上の紙詰まりで用紙束を除去した結果として生じる不完全な丁合束は検出することができない。仮に、特許文献1の検出器とは異なる何らかの手段を講じることにより、紙詰まりで用紙束を除去した結果として生じる不完全な丁合束を検出してコンベア系外へと排除することができたとしても、コンベア系外に排除された用紙束を再利用するために、その用紙束を構成している各用紙をそれぞれ該当する給紙トレイに仕分ける作業が必要となる。オペレータにとってこの作業が面倒で煩わしいだけでなく、仕分けの際には丁合装置の動作を停止させなければならないため、丁合作業の効率が落ちるという問題がある。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、コンベア上の紙詰まりで用紙束を除去した後の丁合作業の効率を向上させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明の丁合装置では、用紙束搬送路に沿って複数箇所に設けた用紙束検出部により、用紙束搬送路上の用紙束が載置される移動空間である複数のコマに用紙束が存在するか否かを検出する。そして、用紙束が存在しない空のコマが検出されたときに、その空のコマを検出した用紙束検出部が存在する位置よりも搬送方向下流側にある給紙部から空のコマに対する給紙を停止させるように制御する。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、紙詰まりの発生したコマから用紙束を除去して丁合装置を再始動させると、用紙束が除去されたコマは空のコマになっているので、そのことが用紙束検出部により検出される。そして、その空のコマが搬送方向下流側に移動していったときに、その空のコマに対しては給紙部からの給紙が行われないので、空の状態のままとなり、不完全な丁合束が作られてしまうことを防止することができる。したがって、不完全な丁合束を構成している各用紙をそれぞれ該当する給紙部の給紙トレイに仕分ける作業が不要となり、仕分けのために丁合装置の動作を停止させなくても済む。
【0015】
一方、丁合途中の用紙束が滞留しているコマに対しては、搬送方向下流側に移動していったときに、通常通り給紙部からの給紙が行われる。すなわち、紙詰まりにより用紙束が除去されたコマ以外のコマにある用紙束に対して丁合作業を継続するように給紙部から用紙の供給が行われる。これにより、紙詰まりの発生により用紙束が除去されたコマにおいて不完全な丁合束ができるのを防止しつつ、それ以外のコマに滞留中の用紙束を利用して丁合作業を継続することができる。
【0016】
以上の結果、滞留中の用紙束を全て強制排紙して最初から丁合をやり直すことも、不完全な丁合束を構成している各用紙を給紙部の給紙トレイに仕分けることも必要がなくなり、用紙束搬送路上の紙詰まりで用紙束を除去した後の丁合作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態による丁合装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態による給紙機構の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態による駆動機構の構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の丁合装置を再始動したときの給紙制御部の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による丁合装置の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の丁合装置は、複数の給紙部11〜14、コンベア15(特許請求の範囲の用紙束搬送路に相当)、コンベア15の駆動機構16、複数の反射型用紙検出センサ17〜20(特許請求の範囲の用紙束検出部に相当)、給紙制御部21、給紙判定部22、不良丁合排除部23、スタッカ24、駆動源制御部25および複数の透過型用紙検出センサ31〜34を備えて構成されている。
【0019】
複数の給紙部11〜14は、コンベア15に沿って複数箇所に配置されている。なお、本実施形態では4個の給紙部11〜14を並置する例を挙げているが、本発明はこの数に限定されない。すなわち、給紙部は2個、3個または5個以上であってもよい。
【0020】
搬送方向の最も上流にある第1給紙部11は、第1給紙トレイ11a、第1給紙機構11bおよび第1載置トレイ11cを備えている。第1給紙トレイ11aは、コンベア15に送り出すべき用紙の束を積載可能に設けられる。第1給紙機構11bは、給紙制御部21の制御に従って、所定のタイミングで、第1給紙トレイ11aに積載された用紙のうち最上位の用紙を1枚ずつ第1載置トレイ11cに送り出す。第1載置トレイ11cは、第1給紙機構11bにより第1給紙トレイ11aから送り出された1枚の用紙を一時的に載置する。第1載置トレイ11cに載置された用紙は、後述するプッシャ15aによりコンベア15上に押し出される。
【0021】
図2は、第1給紙機構11bの主要構成の一例を示す図である。図2に示すように、第1給紙機構11bは、第1給紙トレイ11aに積載された用紙束のうち、最上位の用紙を1枚めくるための吸着パッド101を備えている。この吸着パッド101は、パッド駆動レバー102により矢印(1)の方向に移動可能に構成されている。そして、吸着パッド101からエアを吸引しながら用紙面に接触させて用紙を吸着し、この吸着した用紙をめくり上げるように吸着パッド101を駆動させる。
【0022】
吸着パッド101によりめくり上げられた用紙は、給紙ローラ103に挟まれる。この給紙ローラ103は、ローラ駆動レバー104により矢印(2)の方向に移動可能に構成されている。給紙ローラ103は、吸着パッド101で用紙がめくり上げられてから一定時間後にその用紙を送り出すように、駆動を開始する。これによって給紙ローラ103は、その下流側にある搬送手段105に用紙を引き渡す。搬送手段105の先には、第1載置トレイ11cがある。
【0023】
また、第1給紙機構11bは、図2に示すように、吸着パッド101に用紙を吸着させるべくパッド駆動レバー102を矢印(1)の方向に往復動作させるカム106を備えている。このカム106と、吸着パッド101により取り出された用紙を第1載置トレイ11cまで搬送する搬送手段105は、コンベア15と連動して駆動するようになっている。そして、第1給紙機構11bは、この連動を断接するための電磁クラッチ107を更に備えている。電磁クラッチ107にはタイミングベルト108が巻かれており、その先のチェーン(図示せず)を介してコンベア15の駆動機構16(後述するメインモータ201)へ繋がれている。
【0024】
第2給紙部12、第3給紙部13および第4給紙部14も第1給紙部11と同様に構成されている。すなわち、第2給紙部12は第2給紙トレイ12a、第2給紙機構12bおよび第2載置トレイ12cを備えて構成され、第3給紙部13は第3給紙トレイ13a、第3給紙機構13bおよび第3載置トレイ13cを備えて構成され、第4給紙部14は第4給紙トレイ14a、第4給紙機構14bおよび第4載置トレイ14cを備えて構成されている。
【0025】
第2〜第4給紙トレイ12a〜14aは第1給紙トレイ11aと同様の機能を有し、第2〜第4給紙機構12b〜14bは第1給紙機構11bと同様の機能を有し、第2〜第4載置トレイ12c〜14cは第1載置トレイ11cと同様の機能を有している。第2〜第4給紙機構12b〜14bの構成は、図2に示した第1給紙機構11bの構成と同様となっている。
【0026】
コンベア15は、複数の給紙部11〜14からそれぞれ送り出された用紙を搬送する。このときコンベア15上では、複数の給紙部11〜14から送り出された複数の用紙が重ね合わされ、用紙束が形成される。なお、本実施形態では、第1給紙部11の上流側に別の丁合装置(図示せず)が連結されており、当該別の丁合装置から搬送されてくる用紙に対して更に、複数の給紙部11〜14から送り出された複数の用紙が重ね合わされ、用紙束が形成されるものとする。
【0027】
すなわち、第1給紙部11は、その上流側にある別の丁合装置から送り出された用紙がコンベア15によって搬送されてくるタイミングに合わせて用紙を送り出す。これにより、別の丁合装置から搬送されてきた用紙に対して第1給紙部11から送り出された用紙が重ね合わされて、1枚多い用紙束が形成される。
【0028】
第2給紙部12は、第1給紙部11から送り出された用紙がコンベア15によって搬送されてくるタイミングに合わせて用紙を送り出す。これにより、第1給紙部11から送り出された用紙に対して第2給紙部12から送り出された用紙が重ね合わされて、2枚多い用紙束が形成される。
【0029】
また、第3給紙部13は、2枚多い用紙束がコンベア15によって搬送されてくるタイミングに合わせて用紙を送り出す。これにより、第3給紙部13から送り出された用紙がさらに重ね合わされ、第1〜第3給紙部11〜13から送り出された用紙を重ね合わせて成る3枚多い用紙束が形成される。
【0030】
さらに、第4給紙部14は、3枚多い用紙束がコンベア15によって搬送されてくるタイミングに合わせて用紙を送り出す。これにより、第4給紙部14から送り出された用紙がさらに重ね合わされ、第1〜第4給紙部11〜14から送り出された用紙を重ね合わせて成る4枚多い用紙束が形成される。
【0031】
コンベア15上には複数のプッシャ15aが所定間隔おきに配置されている。このプッシャ15aは、コンベア15の回転に伴って搬送方向に所定速度で移動する。プッシャ15aとプッシャ15aとの間の空間がコマであり、各コマに対して給紙部11〜14からの給紙が行われる。このプッシャ15aが用紙束の後端を搬送方向に押圧することにより、コンベア15上の各コマに載置された用紙束が搬送されていくようになっている。
【0032】
給紙部11〜14からコンベア15上への給紙は、プッシャ15aが給紙部11〜14に近づいてくるタイミングに合わせて行う。例えば、第1給紙部11の場合、プッシャ15aが第1載置トレイ11cの位置に到達するよりも所定時間だけ早いタイミングで第1給紙機構11bを駆動し、第1給紙トレイ11aから1枚の用紙を取り出して第1載置トレイ11cに載置させる。所定時間は、給紙部11〜14において各給紙トレイ11a〜14aから用紙を取り出してから、その用紙が各載置トレイ11c〜14cに到達するまでの時間よりも長い時間である。
【0033】
そうすると、第1載置トレイ11cに載置された用紙が、搬送方向上流側から移動してきたプッシャ15aにより押され、コンベア15上に送り出される。これにより、当該プッシャ15aとその前方(下流側)のプッシャ15aとの間のコマに1枚の用紙が追加して載置された状態となる。このようにしてコンベア15上のコマに載置された用紙は、引き続きプッシャ15aにより搬送方向に押圧されて、第2給紙部12の方向に搬送されていく。
【0034】
第2給紙部12においても、プッシャ15aが第2載置トレイ11cの位置に到達するよりも所定時間だけ早いタイミングで第2給紙機構12bを駆動し、第2給紙トレイ12aから1枚の用紙を取り出して第2載置トレイ12cに載置させる。そうすると、第2載置トレイ12cに載置された用紙が、搬送方向上流側から移動してきたプッシャ15aによりコンベア15上に押し出される。その結果、第1給紙部11から送り出された1枚の用紙が載置された先ほどのコマに、第2給紙部12から送り出された1枚の用紙が重ねられて、別の丁合装置から搬送されてきた用紙よりも2枚多い用紙束となる。
【0035】
第3給紙部13および第4給紙部14も同様に動作する。これにより、コンベア15上では、第1給紙部11と第2給紙部12との間のコマには1枚、第2給紙部12と第3給紙部13との間のコマには2枚、第3給紙部13と第4給紙部14との間のコマには3枚、第4給紙部14よりも下流側のコマには4枚だけそれぞれ多い用紙束が常に存在している状態となる。つまり、コマ毎に異なる枚数の用紙束が載置された状態で、用紙束の搬送が行われるようになっている。
【0036】
なお、上述した吸着パッド101の1往復動作、すなわち用紙1枚分の取り出し動作の1周期と、プッシャ15aの通過頻度とが一致するようになっている。したがって、電磁クラッチ107の連結後は、そのまま駆動を継続すれば、プッシャ15aが到来するタイミングに合わせて用紙が各々の給紙部11〜14から送り出されることになる。
【0037】
駆動機構16は、コンベア15の駆動を制御する。図3は、駆動機構16の具体的な構成例を示す図である。図3に示すように、本実施形態の駆動機構16では、メインモータ201から減速軸202を介してコンベア15の駆動チェーン204を駆動する。メインモータ201から減速軸202までは、摩擦ベルト203で駆動伝達する。
【0038】
減速軸202には、スリット円板205が付いている。このスリット円板205は、減速軸202の回転とともに回転する。スリット円板205には、その外周部に等角度間隔でスリットが環状的に配置されている。また、スリット円板205には、当該スリット円板205が回転したときにスリットの通過を検知可能なスリット検出器206が設けられている。このスリット検出器206は、スリットが通過するたびにパルスを発生して、給紙制御部21および駆動源制御部25へ送る。
【0039】
上述のように、減速軸202からコンベア15までの間は、駆動チェーン204により駆動伝達される。チェーンであるから滑りはなく、スリット検出器206から発生するパルスの数と、コンベア15の変位量とは比例する。駆動源制御部25では、スリット検出器206から受け取ったパルスの時間間隔に基づいて、この時間間隔が一定となるようにメインモータ201をフィードバック制御する。この制御によって、コンベア15は等速に保たれる。
【0040】
コンベア15が等速で駆動されると、複数のプッシャ15aが所定の時間間隔ごとに所定の位置に移動してくることになる。この所定の位置をホームポジションという。本実施形態の駆動機構16は、このホームポジションを検出するホームポジションセンサ207を備えている。ホームポジションセンサ207は、センサ軸207aと、当該センサ軸207aを中心とした円の半分を占めるような半円形状の遮蔽板207bと、この遮蔽板207bの外周の円弧部が光軸を遮断しているか否かを検知可能な遮蔽板検出器207cとにより構成される。
【0041】
センサ軸207aは、コンベア15の駆動軸とチェーンで連結され、隣同士のプッシャ15aの間隔分の距離だけコンベア15が周回すると、遮蔽板207bが360度回転するようになっている。すなわち、ホームポジションセンサ207の光軸の遮蔽状態/非遮蔽状態が互いに切り替わる瞬間には必ず、あらかじめ定められた位置にプッシャ15aが存在するはずであり、その位置がホームポジションとなる。ホームポジションセンサ207は、ホームポジションを検出すると、その旨を給紙制御部21に通知する。
【0042】
本実施形態による丁合装置の動作開始時は、給紙制御部21により、図2に示した電磁クラッチ107が切断状態とされている。丁合装置の動作が開始すると、駆動機構16によりコンベア15が低速で駆動される。その後、ホームポジションセンサ207によりプッシャ15aのホームポジションが検出されると、その旨の通知を受けた給紙制御部21は、通知を受けてから所定パルス後に電磁クラッチ107を連結する。電磁クラッチ107の連結後に、駆動機構16の制御によって、コンベア15はさらに定常速度まで加速する。
【0043】
なお、電磁クラッチ107の接続は低速で行った方がよい。電磁クラッチ107の連結時間(電磁クラッチ107に連結信号を送ってから実際に連結されるまでの時間)のばらつきが、コンベア15の速度が増すほど大きくなり、連結位置に与える影響が大きくなるからである。
【0044】
図1に戻って説明する。反射型用紙検出センサ17〜20は、コンベア15に沿って複数箇所に備えられ、コンベア15上のコマに用紙束が存在するか否かを検出する。本実施形態では、4つの給紙部11〜14からそれぞれ搬送方向上流側に向かって所定距離の位置に当たる4箇所に、4つの反射型用紙検出センサ17〜20を設けている。この場合の所定の距離は、4箇所とも同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
反射型用紙検出センサ17〜20は、例えば赤外線等を用いた光センサで構成され、コンベア15の裏側に配置されている。また、反射型用紙検出センサ17〜20とコンベア15との間には透光性の窓が開けられている。反射型用紙検出センサ17〜20は、窓を通してコンベア15に向かって赤外線を常時照射しており、その反射波を所定のタイミングにおいて受光できたか否かによって、コンベア15上のコマに用紙束が存在するか否かを検出する。
【0046】
その所定のタイミングとは、別の丁合装置(図示せず)から送られてきた用紙が、図1に示す本実施形態の丁合装置に入る前の段階に設けられた基準センサ(図示せず)により検知されたタイミングから、所定パルス数だけ経過したタイミングである。その所定パルス数は、その用紙を押しているプッシャ15aが各反射型用紙検出センサ17〜20に到達する直前である。用紙束はプッシャ15aに押されて搬送されてくるので、このタイミングで検出動作を行うことにより、用紙束の有無を正確かつ確実に検出することができる。
【0047】
反射型用紙検出センサ17〜20は、コマに用紙束が存在しないこと、つまり空のコマがあったことを検出すると、用紙束非検出信号を給紙制御部21に通知する。この通知には、反射型用紙検出センサ17〜20の識別情報(例えば、センサID)を含める。これは、複数の反射型用紙検出センサ17〜20のうち、どの位置で用紙束の不存在が検出されたのかを給紙制御部21に知らせ、給紙部11〜14における給紙停止のタイミングを制御するためである。
【0048】
給紙制御部21は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。この給紙制御部21は、上述したように、コンベア15上の移動空間である複数のコマに対して用紙を1枚ずつ送り出すように複数の給紙部11〜14を制御する。
【0049】
また、給紙制御部21は、反射型用紙検出センサ17〜20から供給される用紙束非検出信号に基づいて、空のコマが検出された反射型用紙検出センサ17〜20が存在する位置よりも搬送方向下流側にある給紙部11〜14から空のコマに対する給紙を停止させるように制御する。
【0050】
空のコマに対する給紙を停止させる場合、具体的には、搬送方向下流側にある給紙部11〜14に空のコマが到来するタイミングに合わせて、吸着パッド101においてエアの吸引を行わないようにする。このとき、電磁クラッチ107は連結されたままであるので、吸着パッド101は往復動作を行う。しかし、エアの吸引が行われていないため用紙がめくり上げられず、給紙が行われないこととなる。
【0051】
紙詰まりがなく丁合装置が通常運転を続けている間は、複数の反射型用紙検出センサ17〜20では常に用紙束の存在が検出される。この場合、給紙制御部21は、通常通り、複数のコマに対して用紙を1枚ずつ送り出すように複数の給紙部11〜14を制御する。
【0052】
これに対して、紙詰まりによるエラー警告が生じると、丁合装置の運転はいったん停止する。このとき、電磁クラッチ107は連結されたままである。その後、オペレータが紙詰まりの発生したコマから用紙束を除去して丁合装置を再始動させると、電磁クラッチ107が連結された状態のまま、コンベア15の周回駆動と吸着パッド101の往復動作とが再開される。吸着パッド101が往復動作する位相とプッシャ15aのピッチとの関係が一致しており、かつ、基準センサからのパルス数は保持されたまま(パルス数は、コンベア15の移動速度に関わらず、コンベア15の物理的変位量と比例する)であるから、適切なタイミングで用紙の供給が再開される。
【0053】
なお、丁合装置の運転停止中にオペレータによって用紙束が除去されたコマについては、空のコマになっていることが反射型用紙検出センサ17〜20の何れかにより検出される。例えば、第1給紙部11と第2給紙部12との間のコマで紙詰まりが発生し、そのコマから用紙束が除去されたとする。その後、丁合装置を再始動させると、一番右のプッシャ15aが第2反射型用紙検出センサ18の近傍に到達するタイミングで、用紙束の存在しない空のコマが第2反射型用紙検出センサ18により検出される。
【0054】
この場合、給紙制御部21は、空のコマを検出したという用紙束非検出信号を第2反射型用紙検出センサ18から受けて、空のコマが検出された第2反射型用紙検出センサ18の位置のすぐ搬送方向下流側にある第2給紙部12においては空のコマに対して給紙を行わないように制御する。どの場所で空のコマが検出されたかが分かっているので、プッシャ15aがその場所から何パルスでどこまで移動するかが定まる。そこで、給紙制御部21は、そのパルス数に基づいて、本来であれば第2給紙部12での給紙を開始するタイミングの位置まで空のコマが移動してきても、当該空のコマには給紙を行わないように制御する。
【0055】
一方、給紙制御部21は、丁合途中の用紙束が滞留している他のコマに対しては、通常通り給紙部11〜14からの給紙を行うように制御する。すなわち、空のコマに対する第2給紙部12からの給紙は停止させるが、他の第1給紙部11、第3給紙部13および第4給紙部14においては通常通り給紙を行う。
【0056】
続いて、空のコマが搬送方向下流側に移動して第3反射型用紙検出センサ19の位置に到達するときも、当該空のコマは空のままなので、空のコマであることが第3反射型用紙検出センサ19により検出される。この場合、給紙制御部21は、空のコマを検出したという用紙束非検出信号を第3反射型用紙検出センサ19から受けて、空のコマが検出された第3反射型用紙検出センサ19のすぐ下流にある第3給紙部13においても空のコマに対して給紙を行わないように制御する。一方、他の第1給紙部11、第2給紙部12および第4給紙部14においては通常通り給紙を行う。
【0057】
さらに、空のコマが搬送方向下流側に移動して第4反射型用紙検出センサ20の位置に到達するときも、当該空のコマは空のままなので、空のコマであることが第4反射型用紙検出センサ20により検出される。この場合、給紙制御部21は、空のコマを検出したという用紙束非検出信号を第4反射型用紙検出センサ20から受けて、空のコマが検出された第4反射型用紙検出センサ20のすぐ下流にある第4給紙部14においても空のコマに対して給紙を行わないように制御する。一方、他の第1給紙部11、第2給紙部12および第3給紙部13においては通常通り給紙を行う。
【0058】
以上の処理により、第2反射型用紙検出センサ18により最初に検出された空のコマは第4給紙部14を通過するまで空のままとなる。そして、空のコマが第4給紙部14を通過した後は、反射型用紙検出センサ17〜20の何れにおいても空のコマが検出されなくなる。よって、給紙制御部21により、複数の給紙部11〜14から複数のコマに対して用紙を1枚ずつ送り出す通常の処理が行われる。
【0059】
不良丁合排除部23は、複数の給紙部11〜14よりも搬送方向下流側に備えられ、不完全な丁合束をコンベア15(スタッカ24)の系外へ排除する。スタッカ24は、不良丁合排除部23により排除されない完全な丁合束のみをスタックトレイに積載する。
【0060】
上述のように、丁合装置の再始動時に空のコマが検出された場合には、その空のコマに対しては第4給紙部14を通過するまで給紙部11〜14から用紙が供給されないので、不完全な丁合束ができることは原則としてない。しかしながら、以下に述べる理由から、不完全な丁合束ができてしまうことがある。
【0061】
すなわち、例えば第1給紙部11と第2給紙部12との間のコマに紙詰まりが生じて丁合装置の動作が停止したときに、そのコマに対して次に給紙をすべき第2の給紙部12において既に給紙が行われていて、当該第2の給紙部12の載置トレイ12cに既に用紙が載置されてしまっていることがある。
【0062】
この場合、紙詰まりが生じたコマから用紙束を除去して空にしても、その空のコマに対して次に給紙される第2の給紙部12の載置トレイ12cからも用紙を除去しておかなければ、丁合装置の再始動後に、せっかく用紙束を除去した空のコマに対して、載置トレイ12cから1枚の用紙がプッシャ15aにより送り出されてしまう。そうすると、空のコマではなくなってしまうので、第3および第4の給紙部13,14からも給紙が行われてしまい、最初の1枚の用紙が欠けた不完全な丁合束ができてしまう。
【0063】
そこで、本実施形態では不良丁合排除部23を設け、不完全な丁合束をコンベア15の系外へ排除させることができるようにしている。また、本実施形態では、複数の給紙部11〜14のどの段階から不完全な丁合束ができてしまったかを判定するために、複数の透過型用紙検出センサ31〜34および給紙判定部22を設けている。
【0064】
透過型用紙検出センサ31〜34は、複数の給紙部11〜14の載置トレイ11c〜14cにそれぞれ備えられ、載置トレイ11c〜14cに用紙が存在するか否かを検出する。透過型用紙検出センサ31〜34は、例えば赤外線等を用いた光センサで構成され、載置トレイ11c〜14cの裏側に発光部が、表側に受光部が配置されている。また、載置トレイ11c〜14cには透光性の窓が開けられている。透過型用紙検出センサ31〜34は、発光部から窓を通して受光部に向かって赤外線を常時照射しており、所定のタイミングにおいて受光部で赤外線を受光できたか否かによって、載置トレイ11c〜14cに用紙が存在するか否かを検出する。なお、ここでは透過型のセンサを用いているが、反射型のセンサを用いてもよい。
【0065】
透過型用紙検出センサ31〜34が用紙の存否を検出するタイミングは、例えば、反射型用紙検出センサ17〜20において空のコマを検出するタイミングと同じタイミングである。この検出タイミングは、コマに供給すべき用紙が各給紙トレイ11a〜14aから給紙され、各載置トレイ11c〜14cに到達した後のタイミングである。
【0066】
透過型用紙検出センサ31〜34は、載置トレイ11c〜14cに用紙が存在することを検出すると、用紙検出信号を給紙判定部22に通知する。この通知には、どの透過型用紙検出センサ31〜34で用紙を検出したかを表す識別情報(例えば、センサID)を含める。一方、透過型用紙検出センサ31〜34は、載置トレイ11c〜14cに用紙が存在しないことを検出すると、用紙非検出信号を給紙判定部22に通知する。この通知にも透過型用紙検出センサ31〜34の識別情報(例えば、センサID)を含める。
【0067】
給紙判定部22は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。
【0068】
この給紙判定部22は、反射型用紙検出センサ17〜20の何れかにより空のコマが検出されたとき(反射型用紙検出センサ17〜20から給紙制御部21に対して用紙束非検出信号が供給されたとき)に、次のような判定を行う。
【0069】
すなわち、給紙判定部22は、透過型用紙検出センサ31〜34から供給される信号に基づいて、空のコマが検出された反射型用紙検出センサ17〜20の位置よりも搬送方向下流側にある給紙部11〜14の載置トレイ11c〜14cに既に用紙が存在するか否か(すなわち、空のコマに対する給紙が既に行われていて、その給紙された用紙が載置トレイ11c〜14cから除去されていない状態か否か)を判定する。そして、載置トレイ11c〜14cに既に用紙が存在すると判定された場合、そのことを不良丁合排除部23に通知する。
【0070】
この通知を受けた不良丁合排除部23は、空のコマが不良丁合排除部23まで移動してきたときに、当該空のコマに対する給紙によって生じた不完全な丁合束をコンベア15(スタッカ24)の系外へ排除する。
【0071】
次に、上記のように構成した丁合装置の動作を説明する。図4は、本実施形態の丁合装置を再始動したときの給紙制御部21の動作例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、紙詰まりの生じたコマからオペレータが用紙束を除去した後、丁合装置を再始動させたときに開始する。
【0072】
図4において、丁合装置の再始動が指示されると、メインモータ201は、コンベア15を駆動して用紙束の搬送を再開する(ステップS1)。反射型用紙検出センサ17〜20は、用紙束の存否を検出するタイミング(プッシャ15aが反射型用紙検出センサ17〜20の位置に到達するよりも若干早いタイミング)になったか否かを判定する(ステップS2)。そして、当該検出タイミングになったと判定した場合、反射型用紙検出センサ17〜20は、コンベア15上のコマに用紙束が存在するか否かを検出する(ステップS3)。
【0073】
給紙制御部21は、反射型用紙検出センサ17〜20からの通知(用紙束非検出信号の有無)に基づいて、用紙束が存在しない空のコマが検出されたか否かを判定する(ステップS4)。ここで、空のコマが検出されていないと判断した場合には、給紙制御部21は、通常の給紙を行うように給紙部11〜14を制御する(ステップS5)。その後、処理はステップS2に戻る。
【0074】
一方、反射型用紙検出センサ17〜20の何れかにおいて空のコマが検出されたと判断した場合、給紙判定部22は、透過型用紙検出センサ31〜34からの通知(用紙検出信号または用紙非検出信号)に基づいて、空のコマが検出された反射型用紙検出センサ17〜20の位置のすぐ搬送方向下流側にある給紙部11〜14の載置トレイ11c〜14cに用紙が存在するか否かを判定する(ステップS6)。
【0075】
ここで、載置トレイ11c〜14cに用紙が存在しないと判定した場合、給紙判定部22はその旨を給紙制御部21に通知する。この通知を受けて給紙制御部21は、空のコマが検出された反射型用紙検出センサ17〜20のすぐ搬送方向下流側にある給紙部11〜14においては空のコマに対して給紙を行わないように制御する(ステップS7)。その後、処理はステップS2に戻る。
【0076】
一方、載置トレイ11c〜14cに用紙が存在すると判定した場合、給紙判定部22はその旨を給紙制御部21に通知し、さらに給紙制御部21がその旨を不良丁合排除部23に通知する(ステップS8)。その後、処理はステップS2に戻る。なお、上記通知を受けた不良丁合排除部23は、空のコマが不良丁合排除部23まで移動してきたときに、当該空のコマに対する給紙によって生じた不完全な丁合束をコンベア15の系外へ排除する。
【0077】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、コンベア15上の複数のコマに用紙束が存在するか否かを検出する反射型用紙検出センサ17〜20をコンベア15に沿って複数箇所に備える。そして、丁合装置の再始動時に用紙束が存在しない空のコマが検出されたときに、給紙制御部21が、その空のコマを検出した反射型用紙検出センサ17〜20が存在する位置よりも搬送方向下流側にある給紙部11〜14から空のコマに対する給紙を停止させるように制御している。
【0078】
このような構成によれば、紙詰まりの発生したコマから用紙束を除去して丁合装置を再始動させると、用紙束の除去された空のコマが搬送方向下流側に移動していったときに、その空のコマに対しては原則として給紙部11〜14からの給紙が行われない。そのため、用紙束が除去された空のコマは、最も下流の第4給紙部14を通過するまで空の状態のままとなり、不完全な丁合束が作られてしまうことを防止することができる。したがって、不完全な丁合束を構成している各用紙をそれぞれ該当する給紙部11〜14の給紙トレイ11a〜14aに仕分ける作業が不要となり、仕分けのために丁合装置の動作を停止させなくても済む。
【0079】
一方、用紙束が除去されていないコマ(丁合途中の用紙束が滞留しているコマ)に対しては、搬送方向下流側に移動していったときに、通常通り給紙部11〜14からの給紙が行われる。すなわち、紙詰まりにより用紙束が除去されたコマ以外のコマにある用紙束に対して丁合作業を継続するように給紙部11〜14から用紙の供給が行われる。これにより、紙詰まりの発生により用紙束が除去されたコマにおいて不完全な丁合束ができるのを防止しつつ、それ以外のコマに滞留中の用紙束を利用して丁合作業を継続することができる。
【0080】
以上のことから、反射型用紙検出センサ17〜20において空のコマを検出したときに、当該空のコマに対する給紙が既に行われているという例外的な状況を除いて、滞留中の用紙束を全て強制排紙して最初から丁合をやり直すことも、不完全な丁合束を構成している各用紙を給紙トレイ11a〜14aに仕分けることも必要がなくなり、コンベア15上の紙詰まりで用紙束を除去した後の丁合作業の効率を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、不良丁合排除部23を設けているので、上述の例外的な状況に該当する場合には、当該空のコマに対する給紙によって生じた不完全な丁合束をコンベア15の系外へ排除することができる。なお、このように不完全な丁合束が生じてコンベア15の系外へ排除されるのは、空のコマを検出したときに既に載置トレイ11c〜14cに対する給紙が行われている(紙詰まりの発生により丁合装置が停止したときに載置トレイ11c〜14cから用紙が除去されなかった)という例外的な状況のみである。そのため、系外へ排出された不完全な丁合束を給紙トレイ11a〜14aに仕分けする作業は少なくて済む。
【0082】
なお、上記実施形態の変形例として、コマの移動速度(コンベア15の回転速度)を駆動源制御部25が以下のように制御するようにしてもよい。例えば、駆動源制御部25は、丁合装置の動作が停止した後の再始動時において、反射型用紙検出センサ17〜20により最初に空のコマが検出されるまでの間はコマの移動速度が通常の移動速度よりも低速となるように、コンベア15のメインモータ201を制御する。
【0083】
紙詰まりによるエラー警告が発せされたときに、本来除去すべき用紙束とは違う用紙束をオペレータが間違って除去してしまう可能性がある。その状態で丁合装置を再始動すると、紙詰まりした用紙束がプッシャ15aで押し込まれることにより、大きな負荷がかかってプッシャ15aが損傷してしまう危険性がある。これに対して、上記のように低速でコンベア15を移動させていれば、オペレータがたとえ用紙束を間違って除去していたとしても、プッシャ15aが損傷してしまう前に再びエラー警告を発して丁合装置の動作を停止させることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、反射型用紙検出センサ17〜20および透過型用紙検出センサ31〜34を赤外線等の光センサにより構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、機械式の接触センサにより反射型用紙検出センサ17〜20および透過型用紙検出センサ31〜34を構成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、異なる種類の給紙部11〜14を用いているために反射型用紙検出センサ17〜20が等間隔に配置されていないが、等間隔に配置するようにしてもよい。例えば、同じ種類の給紙部を等間隔に配置して、それに合わせて反射型用紙検出センサ17〜20も等間隔に配置する。
【0086】
また、上記実施形態では、複数の給紙部11〜14から用紙を1枚ずつコンベア15に送り出す例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一部または全部の給紙部から冊子を1部ずつコンベア15に送り出すようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、4つの給紙部11〜14にそれぞれ対応して4つの反射型用紙検出センサ17〜20を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、2つの反射型用紙検出センサ17,19を設け、これらの検出結果に基づいて給紙部11〜14での給紙停止を制御するようにしてもよい。
【0088】
すなわち、給紙制御部21は、反射型用紙検出センサ17から供給される信号に基づいて、第1および第2の給紙部11,12の給紙停止を制御する。また、給紙制御部21は、反射型用紙検出センサ19から供給される信号に基づいて、第3および第4の給紙部13,14の給紙停止を制御する。
【0089】
このように構成した場合、反射型用紙検出センサの数が少なくて済むというメリットがある。ただし、紙詰まりが発生して丁合装置が停止したときに、不完全な丁合束が生じないようにするために、搬送方向上流側で紙詰まりを起こしているときは第1および第2の給紙部11,12の2つの載置トレイ11c,12cから用紙を取り除いておく必要がある。また、搬送方向下流側で紙詰まりを起こしているときは第3および第4の給紙部13,14の2つの載置トレイ13c,13cから用紙を取り除いておく必要がある。
【0090】
なお、例えば搬送方向上流側のコマで紙詰まりを起こし、そのコマから用紙束を除去することによってできた空のコマが丁合装置の再始動後に反射型用紙検出センサ17により検出されたときに、第1の給紙部11の載置トレイ11cには用紙が給紙済みであるが、第2の給紙部12の載置トレイ12cにはまだ用紙が給紙されていないこともあり得る。その場合には、第2の給紙部12から空のコマに対して給紙を行わないようにする。この場合は、既に給紙済みの載置トレイ11cから用紙を除去すれば、空のコマに対して給紙が行われないようにすることができる。
【0091】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0092】
11〜14 給紙部
15 コンベア
15a プッシャ
16 駆動機構
17〜20 反射型用紙検出センサ(用紙束検出部)
21 給紙制御部
22 給紙判定部
23 不良丁合排除部
25 駆動源制御部
31〜34 透過型用紙検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束搬送路に沿って配置された複数の給紙部の各々から上記用紙束搬送路に用紙を1枚ずつ送り出して重ね合わせることによって用紙束を形成する丁合装置であって、
上記用紙束搬送路上の上記用紙束が載置される移動空間である複数のコマに対して用紙を1枚ずつ送り出すように上記複数の給紙部を制御する給紙制御部と、
上記用紙束搬送路に沿って複数箇所に備えられ、上記用紙束搬送路上の上記コマに上記用紙束が存在するか否かを検出する用紙束検出部とを備え、
上記給紙制御部は、上記用紙束検出部により上記用紙束が存在しない空のコマが検出されたときに、上記空のコマが検出された上記用紙束検出部が存在する位置よりも搬送方向下流側にある給紙部から上記空のコマに対する給紙を停止させるように制御することを特徴とする丁合装置。
【請求項2】
上記複数の給紙部よりも搬送方向下流側において、不完全な丁合束を上記用紙束搬送路の系外へ排除する不良丁合排除部と、
上記用紙束検出部により上記空のコマが検出されたときに、上記空のコマが検出された上記用紙束検出部が存在する位置よりも搬送方向下流側にある給紙部から上記空のコマに対する給紙が既に行われているか否かを判定する給紙判定部とを更に備え、
上記不良丁合排除部は、上記給紙判定部により上記空のコマに対する給紙が既に行われていると判定された場合、上記空のコマが上記不良丁合排除部の位置に移動してきたときに、上記空のコマに対する給紙によって生じた上記不完全な丁合束を上記用紙束搬送路の系外へ排除するように制御することを特徴とする請求項1に記載の丁合装置。
【請求項3】
上記丁合装置の動作が停止した後の再始動時においては、上記用紙束検出部により上記用紙束が存在しない空のコマが検出されるまでの間、上記コマの移動速度が通常の移動速度よりも低速となるように上記用紙束搬送路の駆動源を制御する駆動源制御部を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の丁合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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