三次元移動装置
【課題】三次元移動装置において、手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作ができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できる。
【解決手段】三次元移動装置としての天井クレーン1では、リモコン筐体10は通信ケーブル8に対して360度回転自在に回転接続部12を介して取付けられ、リモコン筐体の正面には中央に操作スイッチ11が設けられ、上下に上昇スイッチと下降スイッチが設けられ、操作スイッチを押すとX軸モータ・Y軸モータが作動して、昇降機としての巻上機5がリモコン筐体10の向いている方向、即ちリモコン筐体の正面と正反対の方向へ水平移動する。したがって、作業者は手元を見なくても操作スイッチを押しつつ、移動体としてのフック7に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながらリモコン筐体の向きを調整して、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる。
【解決手段】三次元移動装置としての天井クレーン1では、リモコン筐体10は通信ケーブル8に対して360度回転自在に回転接続部12を介して取付けられ、リモコン筐体の正面には中央に操作スイッチ11が設けられ、上下に上昇スイッチと下降スイッチが設けられ、操作スイッチを押すとX軸モータ・Y軸モータが作動して、昇降機としての巻上機5がリモコン筐体10の向いている方向、即ちリモコン筐体の正面と正反対の方向へ水平移動する。したがって、作業者は手元を見なくても操作スイッチを押しつつ、移動体としてのフック7に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながらリモコン筐体の向きを調整して、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としてのフックを上下方向に移動させるZ軸モータ及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備するクレーン装置を始めとする三次元移動装置に関するもので、特に、従来のクレーン装置を始めとする三次元移動装置よりも遥かに操作が容易で、初心者でも確実に操作することができる三次元移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場等の天井に設置される天井クレーンは、例えば、特許文献1に示されるように、建物の天井近傍に平行に敷設された走行レールを車輪を介して走行する1対のサドル間に、巻上機を横行可能に備えたガーダを横架して構成されている。この巻上機としては、巻上用支持体としてワイヤロープを用いた電動ホイストや、ロードチェーンを用いた電動チェーンブロック等が使用され、巻上機から垂下されたフックブロックに設けられたフックに、搬送物に掛け回した玉掛け用具を掛けて吊り上げ、天井クレーンによって搬送物を任意の位置に移動させる。
【0003】
かかる天井クレーンの操作は、従来、巻上機から吊り下げられた有線式のリモコン装置の6個の押しボタン(東・西・南・北・上・下)を順次押すことにより行われているが、搬送物が大きい場合には、巻上機に吊り上げられた搬送物と巻上機から吊り下げられた有線式のリモコン装置を操作する作業者とが接触する可能性があり、安全性が完璧ではないという問題があった。
【0004】
そこで、かかる問題を解決するために、無線操縦式のリモコン装置、例えば、特許文献2に記載のクレーン用光リモコン装置が開発されている。このクレーン用光リモコン装置は、従来の無線操縦式のリモコン装置が電波を利用するものであり、コストを下げることが困難なこと、一方、光リモコン装置はコストの低減を容易に行えるが、光を遮る物体があると送受信ができないという問題点に対して、巻上機本体の下方に広角の受光特性を持つ受光器を二つ以上配置することによって、実用的なクレーン用光リモコン装置としている。
【特許文献1】特開2004−75284号公報
【特許文献2】特開平11−106179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リモコン装置が有線式の場合、無線式の場合を問わず、特に、塗装工場等において使用される天井クレーン等の場合には、塗料等でリモコン装置の押しボタンが汚れて押しボタンに刻印してある文字(東・西・南・北・上・下)が判読し難くなり、リモコン装置を注視しながら押しボタンを押して操作しなければならないため、天井クレーンで搬送される搬送物の動きを注視することができず、迅速的確な作業を行うことが困難であるばかりか、搬送物がリモコン装置を操作する作業者に接近しても気が付かない恐れがあった。
【0006】
また、リモコン装置の汚れがひどい場合には、ベテランの作業者でも一度押しボタンを試し押ししてみて巻上機に吊り上げられた搬送物がどちらに動くか確認してから、実際の搬送作業を行うのが現実であった。さらに、初心者が操作する場合には、東・西・南・北の方向を瞬時に判断することが困難であるため、迅速的確な作業を行うことができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、フックを始めとする移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる、クレーン装置を始めとする三次元移動装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、リモコン筐体の向いている方向を検出する筐体方向判別手段、前記リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるように前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータを制御する前記リモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、前記移動体を上昇または下降させる前記リモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、前記筐体方向判別手段によって検出された前記リモコン筐体の向いている方向のデータ、前記操作スイッチ、前記上下スイッチの動作の有無データを前記モータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンとを具備するものである。
【0009】
請求項2の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1の構成において、前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われるものである。
【0010】
請求項3の発明にかかる三次元移動装置は、請求項2の構成において、前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記筐体方向判別手段は前記ケーブルチューブの下端に前記リモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなるものである。
【0011】
ここで、「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0012】
請求項4の発明にかかる三次元移動装置は、請求項3の構成において、前記ロータリエンコーダはアブソリュートエンコーダであるものである。
【0013】
請求項5の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1の構成において、前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は、前記操作用リモコンに設けられた発信装置と前記モータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、前記筐体方向判別手段は前記リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段であるものである。
【0014】
請求項6の発明にかかる三次元移動装置は、請求項5の構成において、前記無線通信は電波通信装置によるものである。
【0015】
請求項7の発明にかかる三次元移動装置は、請求項5の構成において、前記無線通信は光通信装置によるものである。
【0016】
請求項8の発明にかかる三次元移動装置は、請求項5乃至請求項7のいずれか1つの構成において、前記操作用リモコンの前記リモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で前記移動機構の主電源を入れることによって、前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータ及び/または前記Z軸モータが作動して前記移動体が所定の原位置に移動するものである。
【0017】
請求項9の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記リモコン筐体の前記操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、該第2の操作スイッチを押すことによって前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動するものである。
【0018】
請求項10の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記操作スイッチは十字キーであって、前記十字キーの上部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、前記十字キーの下部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、前記十字キーの左部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、前記十字キーの右部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動するものである。
【0019】
請求項11の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には前記操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、前記リモコン筐体がその後向きを変えても、前記操作スイッチが押し込まれた時点で前記リモコン筐体が向いていた方向に前記移動体が水平面内で移動し続け、前記操作スイッチを再度強く押し込むことによって前記操作スイッチが戻って前記移動体が停止するものである。
【0020】
請求項12の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、前記モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記操作用リモコンは、前記通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、前記リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、前記移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、前記操作スイッチのうち1つが押された場合に前記通信線を通じて前記モータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び前記Y軸モータが駆動して前記移動体が前記操作スイッチが押された方向に水平面内で移動するものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、X軸モータ、Y軸モータ、Z軸モータを駆動し、所望の位置に移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、リモコン筐体の向いている方向を検出する筐体方向判別手段、リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるようにモータ駆動制御回路によってX軸モータ及び/またはY軸モータを制御するリモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、移動体を上昇または下降させるリモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、筐体方向判別手段によって検出されたリモコン筐体の向いている方向のデータ、操作スイッチ、上下スイッチの動作の有無データをモータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンとを具備する。
【0022】
ここで、三次元移動装置として具体的には、天井クレーン・車両搭載型クレーン・ジブクレーンを始めとするクレーン装置や、高所作業車(自走式高所作業車を含む)、さらにはラジオコントロール式の飛行機やヘリコプター、等がある。「昇降機」として具体的にはクレーン装置における巻上機を始めとして、高所作業車におけるブーム、ヘリコプターにおける主プロペラ、等がある。「移動体」として具体的にはクレーン装置におけるフックを始めとして、高所作業車におけるバケット(デッキ)、ヘリコプターにおけるヘリコプター本体、等がある。
【0023】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0024】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作することができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0025】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置となる。
【0026】
請求項2の発明にかかる三次元移動装置は、操作用リモコンとモータ駆動制御回路との間の通信は操作用リモコンとモータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われる。このように有線操作方式とすることによって、上記特許文献2にかかるような無線通信装置を取付ける必要がなく、簡単な構成とすることができる。また、筐体方向判別手段として圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等のジャイロ手段を用いることによって、通信ケーブルが捩れてもリモコン筐体の向いている方向を正確に検出することができ、所望の方向に移動体を水平移動させることができる。
【0027】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0028】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0029】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置となる。
【0030】
請求項3の発明にかかる三次元移動装置は、通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、筐体方向判別手段はケーブルチューブの下端にリモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなる。
【0031】
ここで、「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0032】
これによって、ケーブルチューブを撓ませることによって操作用リモコンを移動体の真下から離れた位置で操作することができ、移動体に近づく必要がないので作業者の安全が確保される。また、ケーブルチューブは撓みはするが捩れないものであるため、操作用リモコンを移動させてもケーブルチューブは回転せず、筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダの原点がずれることはない。
【0033】
したがって、回転接続部内に設けられたロータリエンコーダによってリモコン筐体がどちらに何度回転したかを測定して、その測定データを通信線を通じてモータ駆動制御回路に送信し、モータ駆動制御回路は受信した測定データに基いてリモコン筐体が向いている方向に移動体を水平面内で移動させるように、X軸モータ及び/またはY軸モータを制御する。
【0034】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0035】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0036】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置となる。
【0037】
請求項4の発明にかかる三次元移動装置においては、ロータリエンコーダはアブソリュートエンコーダである。ここで、「アブソリュートエンコーダ」とは、通常のロータリエンコーダのように単に回転方向と角度を測定するだけでなく、現在向いている絶対的方向を検出できるエンコーダである。
【0038】
したがって、作業の終了・中断等によって三次元移動装置の主電源を切った場合においても、再び三次元移動装置の主電源を入れた場合に、アブソリュートエンコーダによって即座にリモコン筐体が向いている方向を検出することができるため、主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに操作を開始することができる。
【0039】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0040】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0041】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに操作を開始することができる三次元移動装置となる。
【0042】
請求項5の発明にかかる三次元移動装置は、操作用リモコンとモータ駆動制御回路との間の通信は、操作用リモコンに設けられた発信装置とモータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、筐体方向判別手段はリモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段である。
【0043】
ここで、ジャイロ手段としては、例えば圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等を用いることができる。また、リモコン筐体は平板状・円板状・直方体・立方体等を始めとして、どのような形状をしていても良く、リモコン筐体の正面または先端となる部分に印を付けておく等によって、リモコン筐体の向いている方向が明確に分かるようになっていれば良い。また、操作スイッチもリモコン筐体のどの位置に設けられていても構わない。
【0044】
このように、本発明にかかる三次元移動装置は、請求項2乃至請求項4にかかる三次元移動装置が有線操作方式であるのに対して、無線リモコン操作式である点に大きな特徴がある。即ち、操作用リモコンに設けられたジャイロ手段によってリモコン筐体の向いている絶対的な方角を検出し、そのデータを発信装置から受信装置へ無線信号で伝達し、モータ駆動制御回路がその信号を受け取って、リモコン筐体の向いている方向へ移動体を水平移動させるように、X軸モータ及びY軸モータを制御する。
【0045】
したがって、有線リモコン操作式の場合のように通信ケーブルの取回しに気を使う必要もなく、また移動体の真下から大きく離れた場所から(クレーン装置、ヘリコプター、等の場合)操作することができるため、作業者にとってより安全性が向上し、操作もより容易になる。ここで、リモコン筐体の向きがジャイロ手段の取付け方向に対して垂直になった場合には、ジャイロ手段によるリモコン筐体の向きの検出ができなくなるため、このような場合には操作スイッチを押しても移動体が移動しないようにしておく必要がある。
【0046】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、より安全性が向上して操作もより容易になる三次元移動装置となる。
【0047】
請求項6の発明にかかる三次元移動装置は、無線通信は電波通信装置によるものである。ここで、「電波」とは、周波数が数THz程度以下の電磁波であり、長波、中波、短波、超短波、マイクロ波を含むものである。
【0048】
電波による無線通信は間に障害物が存在していても確実に通信することができるため、操作用リモコンを持った作業者は、最も操作し易くかつ安全な位置から、移動体を移動操作することができる。このように、無線通信手段として電波を用いることによって、操作用リモコンを操作する場所を選ばないため、非常に使い易い三次元移動装置となる。
【0049】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、操作用リモコンを操作する場所を選ばず非常に使い易い三次元移動装置となる。
【0050】
請求項7の発明にかかる三次元移動装置は、無線通信は光通信装置によるものである。ここで、「光」とは、波長が約1nm〜約1mmの範囲内にある電磁波であり、可視光線のみならず、赤外線、紫外線をも含むものである。
【0051】
光は電波と異なり、発信装置(発光装置)と受信装置(受光装置)の間に障害物があると信号の伝達が妨げられるという短所はあるが、光通信装置は電波通信装置に比較して遥かに低コストであるという長所を有する。したがって、無線通信による三次元移動装置の操作システムを安価に構築することができる。
【0052】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、無線通信による操作システムを安価に構築することができる三次元移動装置となる。
【0053】
請求項8の発明にかかる三次元移動装置は、操作用リモコンのリモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で主電源を入れることによって、X軸モータ及び/またはY軸モータ及び/またはZ軸モータが作動して移動体が所定の原位置に移動する。
【0054】
無線操作方式の三次元移動装置の場合には、三次元移動装置の主電源を切断・投入する場合に、上記請求項4の発明にかかる三次元移動装置におけるようにアブソリュートエンコーダを用いることができないため、リセットの手段を講じる必要がある。特に、車両搭載型クレーン等の場合に、その必要性が大きい。
【0055】
そこで、三次元移動装置の主電源を切断した場合には、操作用リモコンのリモコン筐体を所定の原方向に向けた状態にしておいて、操作用リモコンに設けられた主電源スイッチ、または他の場所に設けられた主電源スイッチを投入するとともに、X軸モータ・Y軸モータ・Z軸モータを駆動させて移動体を所定の原位置に移動させることによって、リセット操作を行うことができ、その時点から操作用リモコンのリモコン筐体の向きのデータが、リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段によって測定されて無線で送信される。
【0056】
特に、無線操作方式の三次元移動装置の場合には、操作用リモコンも独自の電源を有する必要があることを逆に利用して、操作用リモコンの電源を充電式電池として、充電器に操作用リモコンをセットした場合にリモコン筐体が所定の原方向に向くようにしておけば、より確実にリセット操作を行うことができる。
【0057】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、主電源を切断・投入する度に確実にリセット操作をすることができる三次元移動装置となる。
【0058】
請求項9の発明にかかる三次元移動装置においては、リモコン筐体の操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、第2の操作スイッチを押すことによって移動体がリモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動する。
【0059】
これによって、請求項1乃至請求項8の発明にかかる三次元移動装置においては、移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させるためには、リモコン筐体も360度回転させる必要があったが、本発明にかかる三次元移動装置においては、リモコン筐体を180度の範囲内で回転させるのみで移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させることができる。
【0060】
したがって、作業者が三次元移動装置を操作するのがより容易になり、楽な姿勢で移動距離も少なく操作をすることができる。また、常に移動体の方向を向いて移動体を移動させることができ、移動中の移動体に背を向けることがないため、より安全性が高くなる。
【0061】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、より楽な姿勢で移動距離も少なくより安全性が高く操作をすることができる三次元移動装置となる。
【0062】
請求項10の発明にかかる三次元移動装置においては、操作スイッチが十字キーであって、十字キーの上部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、十字キーの下部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、十字キーの左部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、十字キーの右部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動する。
【0063】
これによって、移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させるためには、請求項1乃至請求項8の発明にかかる三次元移動装置においてはリモコン筐体も360度回転させる必要があり、請求項9の発明にかかる三次元移動装置においてはリモコン筐体を180度回転させる必要があったが、本発明にかかる三次元移動装置においては、リモコン筐体を90度の範囲内で回転させるのみで移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させることができる。
【0064】
したがって、作業者が三次元移動装置を操作するのがさらに容易になり、さらに楽な姿勢で移動距離もより少なく操作をすることができる。また、常に移動体の方向を向いて移動体を移動させることができ、移動中の移動体に背を向けることがないため、より安全性が高くなる。
【0065】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、さらに楽な姿勢で移動距離もより少なくより安全性が高く操作をすることができる三次元移動装置となる。
【0066】
請求項11の発明にかかる三次元移動装置においては、操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、リモコン筐体がその後向きを変えても、操作スイッチが押し込まれた時点でリモコン筐体が向いていた方向に移動体が水平面内で移動し続け、操作スイッチを再度強く押し込むことによって操作スイッチが戻って移動体が停止する。
【0067】
操作用リモコンを手にした作業者がリモコン筐体が向いている方向を移動体を水平面内で移動させたい方向と一致させて操作スイッチを押しても、作業者がリモコン筐体をその方向に向けて保持し続けなければならないとすれば、作業者にとって負担となる。そこで、操作スイッチを二段階に押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、その後リモコン筐体の向きを変えても移動体が水平移動する方向が変わらないようにすれば、リモコン筐体を一定の向きに保持する必要がなくなり、作業者の負担は大きく軽減される。そして、移動体を停止させたい場合には、再度強く押すことによって操作スイッチが戻るようにすれば良い。
【0068】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、作業者の負担を大きく軽減することができる三次元移動装置となる。
【0069】
請求項12の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、X軸モータ、Y軸モータ、Z軸モータを駆動し、所望の位置に移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、操作用リモコンは、通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、操作スイッチのうち1つが押された場合に通信線を通じてモータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、モータ駆動制御回路によってX軸モータ及びY軸モータが駆動して移動体が操作スイッチが押された方向に水平面内で移動する。
【0070】
これによって、移動体を注視しつつ、リモコン筐体の側面に設けられた4個の操作スイッチのうち、移動体を移動させたい方向の操作スイッチを押し、移動体を移動させたい方向が直方体のリモコン筐体に対して斜めである場合には、2つの操作スイッチを交互に押すことによって移動体を水平面内でジグザグに移動させることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作して移動体を下降させることによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0071】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に三次元移動装置の操作をすることができ、またリモコン筐体には各側面に操作スイッチが1個ずつしか設けられていないため、リモコン筐体が汚れていても操作スイッチを押し間違える恐れが全くない。さらに、本発明にかかる三次元移動装置においては、請求項1乃至請求項11の発明にかかる三次元移動装置と異なり、筐体方向判別手段(ロータリエンコーダ、ジャイロ装置等)のような高価な機器を使用しない簡単な構成であるため、低コストにすることができる。
【0072】
さらに、本発明においては、リモコン筐体の各側面が三次元移動装置のX軸及びY軸と平行な場合に限定していないが、リモコン筐体の各側面を三次元移動装置のX軸及びY軸と平行にすることによって、移動体をX軸方向に水平移動させる場合には1つの操作スイッチのみを押し続ければ良く、移動体をY軸方向に水平移動させる場合にも1つの操作スイッチのみを押し続ければ良いので、操作がし易くなり、より好ましい。
【0073】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、低コスト化することができる三次元移動装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0075】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0076】
図1は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図2は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図である。図3(a)は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図である。図4は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【0077】
図1に示されるように、本実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1は、建物の天井近傍に平行に敷設された走行レール2A,2Bを車輪を介して走行する1対のサドル3A,3B間に、昇降機としての巻上機5を横行可能に備えたクレーンガーダ4を横架して、昇降機としての巻上機5により巻き上げられる支持ワイヤロープ6の先端に移動体としてのフック7を固定して構成されている。
【0078】
このように、天井クレーン1は、走行レール2A,2Bに対してほぼ垂直にクレーンガーダ4を横架して、このクレーンガーダ4上を先端にフック7を有する巻上機5が移動するように構成されているので、移動体としてのフック7を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構を中心とした本発明にかかる三次元移動装置として適している。
【0079】
巻上機5からは、撓みはするが捩れない通信ケーブル8が床面近傍まで垂下しており、通信ケーブル8の下端は通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介してリモコン筐体10に接続されている。ここで、撓みはするが捩れない通信ケーブル8は、撓みはするが捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、筐体方向判別手段はケーブルチューブの下端にリモコン筐体10を回転自在に接続する回転接続部12内にロータリエンコーダを設けてなる。「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0080】
直方体のリモコン筐体10の正面には、二段押しボタン式の操作スイッチ11が設けられており、操作スイッチ11は軽く押すと固定されずに離すとばね力で戻り、強く押すと押し込まれた状態で保持され、再度強く押すとばね力で戻るようになっている。回転接続部12内には、筐体方向判別手段としての光学式ロータリエンコーダが内蔵されている。本実施の形態1にかかる操作用リモコン9は、これらの操作スイッチ11を有するリモコン筐体10と、通信ケーブル8に対してリモコン筐体10を回転自在に接続する回転接続部12から構成されている。
【0081】
更に、図2に示されるように、巻上機5はクレーンガーダ4を挟んで設けられた1対の車輪14を有しており、これらの車輪14が横行用モータ(Y軸モータ)13で駆動されて回転することによって、巻上機5がクレーンガーダ4に沿って横行する。これらの横行ユニットには支持部材15によって巻上機本体17が吊り下げ支持されており、巻上機本体17には支持ワイヤロープ6を巻き上げ、または伸ばすための巻上用モータ(Z軸モータ)16が取付けられている。
【0082】
そして、図1に示されるクレーンガーダ4を両端で支持して走行レール2A,2Bの上を走行するサドル3A,3Bには、それぞれ図示しない走行用車輪と走行用モータ(X軸モータ)が設けられている。また、図2に示される巻上機本体17には、これらのX軸モータ、Y軸モータ13、Z軸モータ16を、操作用リモコン9の操作に応じて駆動させるためのモータ駆動制御回路が内蔵されている。
【0083】
次に、本実施の形態1にかかる操作用リモコン9の構造について、図3(a)を参照して説明する。図3(a)に示されるように、リモコン筐体10は通信ケーブル8に対して360度回転自在に回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体10の正面には中央に大き目の操作スイッチ11が設けられ、その上下に上下スイッチとしての上昇スイッチ11Aと下降スイッチ11Bとが設けられている。
【0084】
前述の如く、回転接続部12の内部には筐体方向判別手段としての光学式ロータリエンコーダが設けられており、リモコン筐体10が基準となる方向(本実施の形態1においては図1に示されるようにリモコン筐体10がクレーンガーダ4と平行に向いた方向)に対して、どちら側に何度回転したかを測定して、この回転角度のデータを電気信号として通信ケーブル8に内蔵されている通信線を通じて、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路に伝達される。
【0085】
ここで、操作スイッチ11を軽く押すと、操作スイッチ11が軽く押されたという電気信号が通信ケーブル8に内蔵されている通信線を通じて、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路に伝達され、モータ駆動制御回路の制御によってX軸モータ及び/またはY軸モータ13が作動して、移動体としてのフック7がリモコン筐体10の向いている方向、即ちリモコン筐体10の正面と正反対の方向へ水平移動する。
【0086】
このモータ駆動制御回路における制御について、図4を参照して説明する。
【0087】
図4に示されるように、操作用リモコン9を構成するリモコン筐体10には操作スイッチ11、上昇スイッチ11A、下降スイッチ11Bが設けられており、回転接続部12には筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダ(光学式ロータリエンコーダ)19が内蔵されている。そして、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路18は、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)20、インバータ(またはコンタクタ)21によって構成されている。
【0088】
ここで、マイコン20は、CPU(中央処理装置)、ROM・RAM等のメモリ装置、入出力(I/O)装置を具備しており、リモコン筐体10から通信ケーブル8内の通信線を通じて送信される電気信号を受信して必要な演算処理を行い、その処理結果を電気信号としてインバータ(またはコンタクタ)21に出力する。マイコン20は、所謂ワンチップマイコンでも良いし、複数のチップまたは素子・部品から構成されるものでも良い。
【0089】
光学式ロータリエンコーダ19は、リモコン筐体10が通信ケーブル8に対して原位置からどちら側に何度回転したかを測定して、その測定値を電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じてマイコン20に送信する。そして、操作スイッチ11が押された場合には、所定の電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じてマイコン20に送信され、マイコン20はインバータ(またはコンタクタ)21に制御信号を送信して、インバータ(またはコンタクタ)21は制御信号にしたがってX軸モータ23及び/またはY軸モータ13に駆動電流を供給し、X軸モータ23及び/またはY軸モータ13を駆動させて、移動体としてのフック7をリモコン筐体10が向いている方向に移動させる。
【0090】
ここで、インバータ21を用いた場合には、X軸モータ23及びY軸モータ13に供給する駆動電流の大きさを無段階で制御できるため、巻上機5をリモコン筐体10が向いている方向に直線的に移動させることができるが、コンタクタ21を用いた場合はX軸モータ23及びY軸モータ13に供給する駆動電流の大きさは常に一定値になるため、巻上機5のフック7の移動方向は走行レール2A,2Bに平行な方向とクレーンガーダ4に平行な方向、及びそれらの中間の方向の合計8方向にしか移動させることができない。したがって、巻上機5のフック7は細かく見るとジグザグに走行してリモコン筐体10が向いている方向に移動することになる。
【0091】
なお、操作用リモコン9に設けられている上下スイッチとしての上昇スイッチ11A及び下降スイッチ11Bが押された場合には、所定の電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じて、モータ駆動制御回路18と同じく巻上機本体17に内蔵されているコンタクタ22に伝達され、コンタクタ22からZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、上昇スイッチ11Aが押された場合にはZ軸モータ16が支持ケーブル6を巻き上げてフック7を上昇させるように作動し、下降スイッチ11Bが押された場合にはZ軸モータ16が支持ケーブル6を伸ばしてフック7を下降させるように作動する。
【0092】
したがって、図1に記される天井クレーン1を操作する作業者は、まず操作用リモコン9の下降スイッチ11Bを押してZ軸モータ16を作動させてフック7を下降させ、床面に置かれている搬送物にフック7を掛け、上昇スイッチ11Aを押してZ軸モータ16を作動させ、支持ワイヤロープ6を巻き上げて搬送物を水平方向の移動に支障のない高さまで吊り上げる。続いて、搬送物を移動させたい方向にリモコン筐体10を向けて、操作スイッチ11を軽く押し、フック7に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながらリモコン筐体10の向きを微調整することによって、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる。
【0093】
操作スイッチ11を押すのを止めると操作スイッチ11はばね力で戻って、巻上機5のフック7は停止する。また、搬送物が所望の方向に移動しているのを確認したら、操作スイッチ11を強く押し込むことによって操作スイッチ11は押し込んだ状態で保持され、以後リモコン筐体10の向いている方向の電気信号は伝達されなくなり、リモコン筐体10の向きを変えても巻上機5のフック7の移動する方向は変化しない。
【0094】
このようにして、巻上機5のフック7に吊り下げられた搬送物を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチ11を離して(軽く押し続けた場合)または再度強く押し込んで(操作スイッチ11を固定させた場合)操作スイッチ11を戻して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ11Bを押すことによって、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に作動し、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0095】
このように、本実施の形態1にかかる天井クレーン1においては、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の向いている方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体10の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を所望の位置に移動させることができる。
【0096】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に天井クレーン1の操作をすることができ、またリモコン筐体10にはスイッチが3個(操作スイッチ11,上昇スイッチ11A,下降スイッチ11B)しかないため、塗装工場等で使用することによってリモコン筐体10が汚れていても、スイッチを押し間違える恐れがない。
【0097】
このようにして、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる天井クレーン1となる。
【0098】
本実施の形態1においては、操作スイッチ11を二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には操作スイッチ11が押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体10の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとした場合について説明したが、必ずしも二段階で押し込めるものとする必要はなく、操作スイッチ11を押している間はリモコン筐体10の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0099】
次に、本実施の形態1の変形例にかかるクレーン装置における操作用リモコンについて、図3(b)を参照して説明する。上述した本実施の形態1にかかる操作用リモコン9は、図3(a)に示されるように操作スイッチ11が1個しかないため、巻上機5のフック7を後退させるためには、リモコン筐体10を180度回転させて操作スイッチ11を押す必要があった。即ち、巻上機5のフック7を水平面内のあらゆる方向に移動させるためには、リモコン筐体10を360度回転させる必要があった。
【0100】
これに対して、図3(b)に示されるように、本実施の形態1の変形例にかかる操作用リモコン9Aにおいては、操作スイッチ11の裏面に第2の操作スイッチ11Cを設けている。この第2の操作スイッチ11Cが押された場合には、リモコン筐体10の向いている方向と逆方向(180度方向)に巻上機5のフック7を移動させるように、図4のマイクロコンピュータ20において制御が行われる。
【0101】
これによって、巻上機5のフック7を後退させる場合には、リモコン筐体10を動かすことなく第2の操作スイッチ11Cを押すことによって、正確に巻上機5のフック7を後退させることができる。したがって、2個の操作スイッチ11,11Cを併用することによって、巻上機5のフック7を水平面内のあらゆる方向に移動させるのに、リモコン筐体10を180度の範囲内で回転させるだけで良いことになる。
【0102】
このようにして、本実施の形態1の変形例にかかる天井クレーンにおいては、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、作業者の移動距離が短くなり、より楽に操作することができる。
【0103】
なお、本実施の形態1の変形例においても、操作スイッチ11及び/または第2の操作スイッチ11Cを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体10の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとしても良いし、操作スイッチ11及び/または第2の操作スイッチ11Cを押している間はリモコン筐体10の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0104】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図5及び図6を参照して説明する。図5は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図6は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0105】
なお、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aは、操作用リモコン35の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。また、モータ駆動制御回路の構成も操作スイッチの構造が異なる点を除けば、図4に示される実施の形態1の場合と同様であるので、適宜図4を参照して細かい説明は省略する。
【0106】
図5に示されるように、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1とは異なる平板形状のリモコン筐体36を有する操作用リモコン35が取付けられている。リモコン筐体36は、通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体36の正面には操作スイッチとしての十字キー37が中央に設けられている。
【0107】
次に、操作用リモコン35の構成について、図6を参照して説明する。
【0108】
図6に示されるように、本実施の形態2にかかる操作用リモコン35においては、リモコン筐体36の正面に上述の如く操作スイッチとしての十字キー37が中央に設けられており、十字キー37の上下には上下スイッチとしての上昇スイッチ38A,下降スイッチ38Bが設けられている。ここで、十字キー37の上部37a,下部37b,左部37c,右部37dは、いずれも二段階に押し込めるようになっており、軽く押した場合には離すとばね力で戻り、強く押し込んだ場合には押し込まれた状態で固定され、再度強く押すとばね力で戻る。
【0109】
回転接続部12の内部には、図4に示されるようにロータリエンコーダ(光学式ロータリエンコーダ)19が設けられており、リモコン筐体36が通信ケーブル8に対して初期位置(本実施の形態2においては図5に示されるようにリモコン筐体36がクレーンガーダ4と平行に向いた方向)からどちら側に何度回転したかのデータを、電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じて、巻上機本体17内のマイクロコンピュータ20に送信する。
【0110】
ここで、図6に示される操作スイッチとしての十字キー37は、上部37aを押すとリモコン筐体36の向いている方向に巻上機5のフック7が水平移動し、下部37bを押すとリモコン筐体36の向いている方向と逆方向(180度方向)に巻上機5のフック7が水平移動し、左部37cを押すとリモコン筐体36の向いている方向に対して90度左方向に巻上機5のフック7が水平移動し、右部37dを押すとリモコン筐体36の向いている方向に対して90度右方向に巻上機5のフック7が水平移動するように、マイクロコンピュータ20及びインバータ(またはコンタクタ)21によって制御される。
【0111】
したがって、リモコン筐体36を初期位置から右方向または左方向に90度の範囲内で回転させるだけで、巻上機5のフック7を水平面内で360度あらゆる方向に移動させることが可能となる。
【0112】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチとしての十字キー37を離して(軽く押し続けた場合)、または再度強く押して(強く押し込んで固定した場合)十字キー37を戻して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ38Bを押すことによって、電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じて巻上機本体17内のコンタクタ22に送信され、コンタクタ22によってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0113】
このように、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、操作スイッチとしての十字キー37の上部37a,下部37b,左部37c,右部37dを押すことによって、リモコン筐体36の向いている方向に対して所定の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体36の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0114】
このようにして、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、さらに楽に操作することができる。
【0115】
本実施の形態2においては、操作スイッチとしての十字キー37の各部37a,37b,37c,37dを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体36の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとした場合について説明したが、必ずしも二段階で押し込めるものとする必要はなく、十字キー37の各部37a,37b,37c,37dを押している間はリモコン筐体36の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0116】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図7乃至図9を参照して説明する。
【0117】
図7は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図8は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。図9は本発明の実施の形態3の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0118】
なお、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bは、操作用リモコン40の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。また、モータ駆動制御回路の構成も操作スイッチの構造が異なる点及びロータリエンコーダがアブソリュートエンコーダである点を除けば、図4に示される実施の形態1の場合と同様であるので、適宜図4を参照して細かい説明は省略する。
【0119】
図7に示されるように、本実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1Bにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1及び実施の形態2とは異なるグリップ部分の設けられた平板形状のリモコン筐体41を有する操作用リモコン40が取付けられている。リモコン筐体41は、平板面に対して垂直に通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体41の上面には操作スイッチとしての十字キー42が中央に設けられている。
【0120】
次に、操作用リモコン40の構成について、図8を参照して説明する。
【0121】
図8に示されるように、本実施の形態3にかかる操作用リモコン40においては、リモコン筐体41の上面に操作スイッチとしての十字キー42が設けられており、リモコン筐体41の先端には、グリップを兼ねた回転式の上下スイッチ43が設けられている。十字キー42の上部42a,下部42b,左部42c,右部42dは、いずれも押している間は所定の電気信号を通信ケーブル8内の通信線を通じてマイクロコンピュータ20に送信し、離すとばね力で戻るようになっている。
【0122】
また、上下スイッチ43は、作業者が片手でリモコン筐体41を押さえてもう一方の手で力を入れないと回転しないようになっており、また右回りに回転させたらフック7が上昇し、左回りに回転させたらフック7が下降するが、上下スイッチ43の表面に矢印とともに「上昇」、「下降」の文字が良く見えるように刻印されている。
【0123】
さらに、回転接続部12には筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダ(光学式アブソリュートエンコーダ)19が内蔵されており、リモコン筐体41が通信ケーブル8に対して初期位置から何度回転した位置にあるかの角度の絶対情報のデータを、電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じて、巻上機本体17内のマイクロコンピュータ20に送信する。そして、リモコン筐体41は想像線と矢印で示されるように、通信ケーブル8に対して360度自在な方向に回すことができるが、どの方向に向けたとしても、操作スイッチとしての十字キー42の上部42aを押すとその時点で操作スイッチ42の上部42aが向いている方向に巻上機5のフック7が移動するように、図4に示されるマイコン20によって制御される。
【0124】
即ち、ロータリエンコーダ(アブソリュートエンコーダ)19によって現在リモコン筐体41が向いている方向のデータがマイコン20に常に送信されているため、操作スイッチとしての十字キー42の上部42aを押されたことを示す電気信号がマイコン20に送信された場合には、マイコン20においてその時点でのリモコン筐体41が向いている方向に巻上機5のフック7が前進するように、インバータ(またはコンタクタ)21に制御信号が送信され、インバータ(またはコンタクタ)21からはそれにしたがってX軸モータ23及びY軸モータ13に駆動電流が供給される。
【0125】
同様にして、操作スイッチとしての十字キー42の下部42bを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向と逆方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御され、十字キー42の左部42cを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向に対して90度左方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御され、十字キー42の右部42dを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向に対して90度右方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御される。
【0126】
したがって、リモコン筐体41を初期位置から右方向または左方向に90度の範囲内で回転させるだけで、巻上機5のフック7を水平面内で360度あらゆる方向に移動させることが可能となるとともに、作業者が操作し易い位置に回り込んで操作することが可能になるので、移動距離が短くなり操作が楽になる。
【0127】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチとしての十字キー42を離して巻上機5のフック7を停止させ、上下スイッチ43を左回りに回転させることによって、電気信号が通信ケーブル8を通じて巻上機本体17内のコンタクタ22に送信され、コンタクタ22によってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0128】
このように、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、操作スイッチとしての十字キー42の上部42a,下部42b,左部42c,右部42dを押すことによって、リモコン筐体41の向いている方向に対して所定の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体41の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0129】
このようにして、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられた搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、さらに楽に操作することができる。
【0130】
さらに、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、筐体方向判別手段としてアブソリュートエンコーダ、即ち通常のロータリエンコーダのように単に回転方向と角度を測定するだけでなく、現在向いている絶対的方向を検出できるエンコーダを使用したことによって、作業の終了・中断等によって天井クレーン1Bの主電源を切った場合においても、再び天井クレーン1Bの主電源を入れた場合に、アブソリュートエンコーダによって即座にリモコン筐体41が向いている方向を検出することができるため、天井クレーン1Bの主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに天井クレーン1Bの操作を開始することができる。
【0131】
次に、本実施の形態3の変形例にかかる操作用リモコン40Aについて、図9を参照して説明する。図9に示されるように、本実施の形態3の変形例にかかる操作用リモコン40Aの構造は、全体的には図8に示される操作用リモコン40と類似している。異なるのは、リモコン筐体41に固定されているグリップ44は回転せず巻上機本体17の上下スイッチを兼ねるものではなく、代わりに図9に示されるように、リモコン筐体41の側面に上昇スイッチ43A及び下降スイッチ43Bが独立して設けられている点である。
【0132】
これによって、図8に示されるようにグリップ(上下スイッチ)43を回転させる場合に、どちらに回転させればフック7が下降するのかじっくり確認してから操作する必要がなくなり、フック7を上昇させる場合には図9に示される上昇スイッチ43Aを押せば良く、また、フック7を下降させる場合には下降スイッチ43Bを押せば良いので、素早く判断ができ、巻上機本体17によるフック7の昇降操作がより行い易くなる。
【0133】
このようにして、本実施の形態3の変形例にかかる天井クレーン及び操作用リモコン40Aにおいては、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全確実に操作することができるとともに、昇降動作についてもより確実かつ迅速に操作することができる。
【0134】
本実施の形態3においては、操作スイッチとしての十字キー42の各部42a,42b,42c,42dを押している間はリモコン筐体36の向きに追従して移動体としてのフック7の移動方向が変化するとした場合について説明したが、十字キー42の各部42a,42b,42c,42dを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体41の向きを変化させても移動体としてのフック7の移動方向が変わらないものとしても良い。
【0135】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図10及び図11を参照して説明する。
【0136】
図10は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図11は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0137】
なお、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cは、操作用リモコン45の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。
【0138】
図10に示されるように、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1乃至実施の形態3とは異なる直方体形状のリモコン筐体46を有する操作用リモコン45が取付けられている。リモコン筐体45は、通信ケーブル8に対して回転不能に固定して取付けられており、リモコン筐体45の直方体の各側面には操作スイッチ47A,47B,47C,47Dがそれぞれ設けられている。
【0139】
次に、操作用リモコン45の構成について、図11を参照して説明する。図11に示されるように、本実施の形態4にかかる操作用リモコン45においては、上述の如く、通信ケーブル8の下端にリモコン筐体46が固定されており、リモコン筐体46の4つの側面には、それぞれ操作スイッチ47A,47B,47C,47Dが設けられている。また、操作スイッチ47Aの設けられている側面には、操作スイッチ47Aの上下に、上下スイッチとしての上昇スイッチ48A及び下降スイッチ48Bが設けられている。
【0140】
そして、操作スイッチ47A,47Cの設けられている側面は天井クレーン1Cの走行レール2A,2Bに平行であり、操作スイッチ47B,47Dの設けられている側面は天井クレーン1Cのクレーンガーダ3A,3Bに平行となっている。
【0141】
さらに、巻上機本体17内には制御機器としてコンタクタのみが設けられており、操作スイッチ47Aが押されたときには、図1に示される巻上機5のフック7がクレーンガーダ4に沿ってサドル3A側へ移動するように、操作スイッチ47Cが押されたときには巻上機5のフック7がクレーンガーダ4に沿ってサドル3B側へ移動するように、また操作スイッチ47Bが押されたときにはクレーンガーダ4が図1の右上方向に移動するように、操作スイッチ47Dが押されたときにはクレーンガーダ4が図1の左下方向に移動するように、それぞれ横行用モータ(Y軸モータ)13またはサドル3A,3Bに設けられた図示しないX軸モータ23に、駆動電流が供給される。
【0142】
したがって、天井クレーン1Cを操作する作業者は、フック7に掛けられた搬送物を注視しながら、リモコン筐体46の4つの操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのいずれかを押すことによって、特に斜め方向に搬送物を移動させる場合には操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのうちいずれか二つを交互に断続的に押すことによって、ジグザグに所望の方向に巻上機5のフック7を移動させて搬送物を移動させることができる。
【0143】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチ47A,47B,47C,47Dを離して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ48Bを押すことによってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0144】
このように、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、操作スイッチ47A,47B,47C,47Dを押すことによって、それぞれのスイッチの押された方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながら操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのいずれかを押せば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0145】
さらに、本実施の形態4の天井クレーン1Cにおいては、実施の形態1乃至実施の形態3と異なり、光学式ロータリエンコーダやマイクロコンピュータ等の高価な装置を使用しない簡単な構造であるため、装置として安価になり、小型工場等でも設置し易いものとなっている。
【0146】
このようにして、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、より低コストにすることができる。
【0147】
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図12乃至図14を参照して説明する。図12は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図13(a)は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体の全体構成を示す正面図、(b)は左側面図である。図14は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンの制御の仕組みを示すブロック図である。
【0148】
なお、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dは、通信ケーブル8がない点、巻上機内のモータ駆動制御回路の構成、及び操作用リモコン50の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。
【0149】
図12に示されるように、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dは、上記実施の形態1乃至実施の形態4にかかる天井クレーンがいずれも通信ケーブル8を用いた有線操作式であったのに対して、無線操作式である点が大きく異なっている。
【0150】
即ち、本実施の形態5においては、図14に示されるようにリモコン筐体51内には電波の発信装置30が内蔵されており、巻上機29内には電波の受信装置31が内蔵されていて、リモコン筐体51の操作スイッチとしての十字キー52等を押すことによって、そのデータが無線信号に変換されて発信装置30から電波として発信され、受信装置31がその電波を受信して電気信号に変換し、モータ駆動制御回路28内のマイクロコンピュータ20の入出力(I/O)ポートに入力させて移動体としてのフック7の移動制御が行われる。
【0151】
したがって、多少高価にはなるが、天井クレーン1Dが設置された建屋内の何処からでもフック7の移動制御を行うことができるので、より安全であり、かつ非常に使い易い天井クレーン1Dとなる。
【0152】
まず、リモコン筐体51及び巻上機29の内部構成について、図14を参照して説明する。図14に示されるように、本実施の形態5においてはリモコン筐体51内にもマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)27が内蔵されており、このマイコン27はマイコン20と同様に、CPU(中央処理装置)、ROM・RAM等のメモリ装置、入出力(I/O)装置を具備している。さらに、リモコン筐体51内には、圧電ジャイロ25及び地磁気センサ26が内蔵されており、圧電ジャイロ25によってリモコン筐体51の向いている方角がリモコン筐体51の回転によって検出される。
【0153】
また、操作スイッチ52、上昇スイッチ53A、下降スイッチ53Bの他に、リセットボタン55が設けられており、このリセットボタン55は圧電ジャイロ25による方角の検出にずれが生じてきた場合に押すことによって、地磁気センサ26で正確に測定される真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0154】
これらの圧電ジャイロ25、地磁気センサ26、操作スイッチ52、上昇スイッチ53A、下降スイッチ53B、リセットボタン55からの電気信号は、マイコン27に入力され、マイコン27のメモリ装置に記憶されたプログラムにしたがって演算処理された後に、制御信号として発信装置30に送信され、発信装置30から電波として発信される。
【0155】
一方、巻上機29の内部には、図4と同様にマイクロコンピュータ20が内蔵されており、発信装置30から発信された電波を受信する受信装置31からの電気信号が入力されて、マイコン20のメモリ装置に記憶されたプログラムにしたがって演算処理された後に、制御信号がインバータ(またはコンタクタ)21及びコンタクタ22に電気信号として送信され、インバータ(またはコンタクタ)21からはX軸モータ23及びY軸モータ13に制御信号に応じた駆動電流が供給され、コンタクタ22からはZ軸モータ16に駆動電流が供給される。
【0156】
次に、本実施の形態5における移動体としてのフック7の移動方向の制御の具体的内容について、図13(a)及び図14を参照して説明する。図13(a)においては、リモコン筐体50はほぼ水平に保持されているものとする。図13(a)に示されるように、リモコン筐体50の先端が圧電ジャイロ25の0度方向(真北方向)に対して角度θだけ西方向に向いている場合に、操作スイッチとしての十字キー52の上部を押すと、圧電ジャイロ25が真北方向に対して角度θだけ西方向に向いていることを検出して、そのデータ信号をマイコン27に送信する。
【0157】
すると、マイコン27においては、リモコン筐体50が真北方向に対して角度θ西方向に向いていること、及び十字キー52の上部が押されたことが判定されて、フック7を真北方向に対して角度θ西方向に移動させるように、制御信号が発信装置30に送信される。発信装置30から無線電波として発信された制御信号を受信した受信装置31から送信された制御信号は、マイコン20によって電気信号としてインバータ21に送信され、インバータ21からは巻上機29を真北方向に対して角度θ西方向に移動させるように、X軸モータ23及びY軸モータ13にそれぞれ必要な駆動電流が供給される。
【0158】
また、図13(a)において、操作スイッチとしての十字キー52の右部52aが押された場合には、マイコン27において、リモコン筐体50が真北方向に対して角度θ西方向に向いていること、及び十字キー52の右部52aが押されたことが判定されて、フック7を真北方向に対して角度(θ−90)度だけ西方向に、即ち角度(90−θ)度だけ東方向に移動させるように、制御信号が発信装置30に送信される。制御信号を受信したマイコン20によって、インバータ21が制御されて、フック7を真北方向に対して角度(90−θ)度だけ東方向に移動させるように、X軸モータ23及びY軸モータ13にそれぞれ必要な駆動電流が供給される。
【0159】
なお、図13(a)においてリモコン筐体50はほぼ水平に保持されているものとしたが、リモコン筐体50が前後方向或いは左右方向に傾いていても、圧電ジャイロ25によってリモコン筐体50が水平面内においてどの方向を向いているかが検出されて、同様に移動体としてのフック7を移動させる制御が行われる。但し、リモコン筐体50が前後方向或いは左右方向にほぼ90度以上傾いている場合には、圧電ジャイロ25による方角の検出ができないため、十字キー52を押しても移動体としてのフック7は移動しないようになっている。
【0160】
したがって、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dを操作する作業者は、まず床面に置かれた搬送物及び巻上機29のフック7から離れた場所において、操作用リモコン50の十字キー52の上部・下部・左部・右部のいずれかを押して、かつリモコン筐体51を適切な方向に向けることによって、巻上機29のフック7を搬送物の真上に移動させる。続いて、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられた下降スイッチ53Bを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を搬送物に届くまで下降させる。
【0161】
それから、作業者は搬送物に近づいて、フック7を搬送物に掛け、再び搬送物から離れた位置に移動して、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられた上昇スイッチ53Aを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を上昇させ、搬送物を水平移動に支障がない高さまで吊り上げる。そして、操作用リモコン50の十字キー52の上部・下部・左部・右部のいずれかを押して、かつリモコン筐体51を適切な方向に向けることによって、巻上機29のフック7を搬送場所の真上に向けて水平移動させる。巻上機29のフック7が搬送場所の真上まで移動したら、操作用リモコン50の十字キー52を離して巻上機29のフック7を停止させ、下降スイッチ53Bを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を下降させて搬送物を所定の搬送場所に荷降ろしする。
【0162】
このように、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dにおいては、無線電波によって巻上機29のフック7を移動させるために、作業者は天井クレーン1Dが設置された建屋内のどの位置からでも天井クレーン1Dを操作することができ、しかも手元を注視する必要がなく搬送物の動きを注視しながら操作できるため、初心者でも容易に、かつ安全・確実・迅速に天井クレーン1Dを操作することができる。
【0163】
ここで、圧電ジャイロ25については、時間とともに方角の検出にずれが生じてくる場合が多いため、作業者が方角の検出にずれが生じたと判断した場合には、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられたリセットボタン55を押すことによって、地磁気センサ26で正確に測定される真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0164】
なお、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dにおいては、方角検出のずれを補正するために地磁気センサ26を用いる場合について説明したが、天井クレーン1Dが設置されている建屋において東西南北が正確に分かっている場合には、地磁気センサ26を用いる必要はなく、操作用リモコン50のリモコン筐体51を真北に向けた状態でリセットボタン55を押すことによって、正確な真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0165】
また、本実施の形態5においては、操作スイッチとしての十字キー52の各部52a等を押している間はリモコン筐体51の向きに追従して移動体としてのフック7の移動方向が変化するとした場合について説明したが、十字キー52の各部52a等を二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体51の向きを変化させても巻上機29のフック7の移動方向が変わらないものとしても良い。
【0166】
さらに、本実施の形態5においては、無線通信の方法として電波通信装置を用いた場合について説明したが、電波の代わりに光を用いることもできる。光は電波と異なり、発信装置(発光装置)と受信装置(受光装置)の間に障害物があると信号の伝達が妨げられるという短所はあるが、光通信装置は電波通信装置に比較して遥かに低コストであるという長所を有する。したがって、無線通信による天井クレーンの操作システムを安価に構築することができる。
【0167】
また、本実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1Dにおいては、無線操作式であるため、操作用リモコン50も電源を独自に有する必要があるが、操作用リモコン50の電源を充電式電池として、その充電器に操作用リモコン50をセットした場合に、リモコン筐体51の向きが天井クレーン1Dの走行レール2A,2Bと平行(または垂直)になるように、充電器を建屋内に固定しても良い。
【0168】
これによって、作業の終了・中断等によって天井クレーン1Dの主電源を切断した場合には、操作用リモコン50が充電器にセットされることによってリモコン筐体51が所定の原方向に向けられた状態となり、操作用リモコン50に設けられた主電源スイッチ、または他の場所に設けられた主電源スイッチを投入するとともに、X軸モータ23・Y軸モータ13・Z軸モータ16を駆動させてフック7を所定の原位置に移動させることによって、リセット操作を行うことができ、天井クレーン1Dの主電源の切断・投入の操作を繰り返しても確実にリセット操作が行われる。
【0169】
上記各実施の形態においては、本発明にかかる三次元移動装置として天井クレーンの例についてのみ説明したが、本発明にかかる三次元移動装置は天井クレーンに限られるものではなく、モバイルハーバクレーン・車両搭載型クレーン・ジブクレーン等の種々のクレーン装置を始めとして、高所作業車(自走式高所作業車を含む)、さらにはラジオコントロール式の飛行機やヘリコプター等に幅広く使用することができる。
【0170】
また、上記各実施の形態においては、モータ駆動制御回路を巻上機内に配置した例について説明したが、モータ駆動制御回路は巻上機内に配置される場合に限られず、巻上機の近傍に筐体に入れて配置されていても良い。
【0171】
本発明を実施する際には、三次元移動装置のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではなく、任意の形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図である。
【図3】図3(a)は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態3の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図13】図13(a)は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体の全体構成を示す正面図、(b)は左側面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンの制御の仕組みを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0173】
1,1A,1B,1C,1D 三次元移動装置(天井クレーン)
2A,2B 走行レール
3A,3B サドル
4 クレーンガーダ
5,29 昇降機(巻上機)
6 支持ワイヤ
7 移動体(フック)
8 通信ケーブル
9,9A,35,40,40A,45,50 操作用リモコン
10,36,41,46,51 リモコン筐体
11,47A,47B,47C,47D 操作スイッチ
11A,38A,43A,48A,53A 上昇スイッチ
11B,38B,43B,48B,53B 下降スイッチ
11C 第2の操作スイッチ
12 回転接続部
13 横行用モータ(Y軸モータ)
16 巻上用モータ(Z軸モータ)
37,42,52 操作スイッチ(十字キー)
43 上下スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としてのフックを上下方向に移動させるZ軸モータ及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備するクレーン装置を始めとする三次元移動装置に関するもので、特に、従来のクレーン装置を始めとする三次元移動装置よりも遥かに操作が容易で、初心者でも確実に操作することができる三次元移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場等の天井に設置される天井クレーンは、例えば、特許文献1に示されるように、建物の天井近傍に平行に敷設された走行レールを車輪を介して走行する1対のサドル間に、巻上機を横行可能に備えたガーダを横架して構成されている。この巻上機としては、巻上用支持体としてワイヤロープを用いた電動ホイストや、ロードチェーンを用いた電動チェーンブロック等が使用され、巻上機から垂下されたフックブロックに設けられたフックに、搬送物に掛け回した玉掛け用具を掛けて吊り上げ、天井クレーンによって搬送物を任意の位置に移動させる。
【0003】
かかる天井クレーンの操作は、従来、巻上機から吊り下げられた有線式のリモコン装置の6個の押しボタン(東・西・南・北・上・下)を順次押すことにより行われているが、搬送物が大きい場合には、巻上機に吊り上げられた搬送物と巻上機から吊り下げられた有線式のリモコン装置を操作する作業者とが接触する可能性があり、安全性が完璧ではないという問題があった。
【0004】
そこで、かかる問題を解決するために、無線操縦式のリモコン装置、例えば、特許文献2に記載のクレーン用光リモコン装置が開発されている。このクレーン用光リモコン装置は、従来の無線操縦式のリモコン装置が電波を利用するものであり、コストを下げることが困難なこと、一方、光リモコン装置はコストの低減を容易に行えるが、光を遮る物体があると送受信ができないという問題点に対して、巻上機本体の下方に広角の受光特性を持つ受光器を二つ以上配置することによって、実用的なクレーン用光リモコン装置としている。
【特許文献1】特開2004−75284号公報
【特許文献2】特開平11−106179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リモコン装置が有線式の場合、無線式の場合を問わず、特に、塗装工場等において使用される天井クレーン等の場合には、塗料等でリモコン装置の押しボタンが汚れて押しボタンに刻印してある文字(東・西・南・北・上・下)が判読し難くなり、リモコン装置を注視しながら押しボタンを押して操作しなければならないため、天井クレーンで搬送される搬送物の動きを注視することができず、迅速的確な作業を行うことが困難であるばかりか、搬送物がリモコン装置を操作する作業者に接近しても気が付かない恐れがあった。
【0006】
また、リモコン装置の汚れがひどい場合には、ベテランの作業者でも一度押しボタンを試し押ししてみて巻上機に吊り上げられた搬送物がどちらに動くか確認してから、実際の搬送作業を行うのが現実であった。さらに、初心者が操作する場合には、東・西・南・北の方向を瞬時に判断することが困難であるため、迅速的確な作業を行うことができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、フックを始めとする移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる、クレーン装置を始めとする三次元移動装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、リモコン筐体の向いている方向を検出する筐体方向判別手段、前記リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるように前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータを制御する前記リモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、前記移動体を上昇または下降させる前記リモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、前記筐体方向判別手段によって検出された前記リモコン筐体の向いている方向のデータ、前記操作スイッチ、前記上下スイッチの動作の有無データを前記モータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンとを具備するものである。
【0009】
請求項2の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1の構成において、前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われるものである。
【0010】
請求項3の発明にかかる三次元移動装置は、請求項2の構成において、前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記筐体方向判別手段は前記ケーブルチューブの下端に前記リモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなるものである。
【0011】
ここで、「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0012】
請求項4の発明にかかる三次元移動装置は、請求項3の構成において、前記ロータリエンコーダはアブソリュートエンコーダであるものである。
【0013】
請求項5の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1の構成において、前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は、前記操作用リモコンに設けられた発信装置と前記モータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、前記筐体方向判別手段は前記リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段であるものである。
【0014】
請求項6の発明にかかる三次元移動装置は、請求項5の構成において、前記無線通信は電波通信装置によるものである。
【0015】
請求項7の発明にかかる三次元移動装置は、請求項5の構成において、前記無線通信は光通信装置によるものである。
【0016】
請求項8の発明にかかる三次元移動装置は、請求項5乃至請求項7のいずれか1つの構成において、前記操作用リモコンの前記リモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で前記移動機構の主電源を入れることによって、前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータ及び/または前記Z軸モータが作動して前記移動体が所定の原位置に移動するものである。
【0017】
請求項9の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記リモコン筐体の前記操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、該第2の操作スイッチを押すことによって前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動するものである。
【0018】
請求項10の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記操作スイッチは十字キーであって、前記十字キーの上部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、前記十字キーの下部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、前記十字キーの左部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、前記十字キーの右部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動するものである。
【0019】
請求項11の発明にかかる三次元移動装置は、請求項1乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には前記操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、前記リモコン筐体がその後向きを変えても、前記操作スイッチが押し込まれた時点で前記リモコン筐体が向いていた方向に前記移動体が水平面内で移動し続け、前記操作スイッチを再度強く押し込むことによって前記操作スイッチが戻って前記移動体が停止するものである。
【0020】
請求項12の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、前記モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記操作用リモコンは、前記通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、前記リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、前記移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、前記操作スイッチのうち1つが押された場合に前記通信線を通じて前記モータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び前記Y軸モータが駆動して前記移動体が前記操作スイッチが押された方向に水平面内で移動するものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、X軸モータ、Y軸モータ、Z軸モータを駆動し、所望の位置に移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、リモコン筐体の向いている方向を検出する筐体方向判別手段、リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるようにモータ駆動制御回路によってX軸モータ及び/またはY軸モータを制御するリモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、移動体を上昇または下降させるリモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、筐体方向判別手段によって検出されたリモコン筐体の向いている方向のデータ、操作スイッチ、上下スイッチの動作の有無データをモータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンとを具備する。
【0022】
ここで、三次元移動装置として具体的には、天井クレーン・車両搭載型クレーン・ジブクレーンを始めとするクレーン装置や、高所作業車(自走式高所作業車を含む)、さらにはラジオコントロール式の飛行機やヘリコプター、等がある。「昇降機」として具体的にはクレーン装置における巻上機を始めとして、高所作業車におけるブーム、ヘリコプターにおける主プロペラ、等がある。「移動体」として具体的にはクレーン装置におけるフックを始めとして、高所作業車におけるバケット(デッキ)、ヘリコプターにおけるヘリコプター本体、等がある。
【0023】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0024】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作することができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0025】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置となる。
【0026】
請求項2の発明にかかる三次元移動装置は、操作用リモコンとモータ駆動制御回路との間の通信は操作用リモコンとモータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われる。このように有線操作方式とすることによって、上記特許文献2にかかるような無線通信装置を取付ける必要がなく、簡単な構成とすることができる。また、筐体方向判別手段として圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等のジャイロ手段を用いることによって、通信ケーブルが捩れてもリモコン筐体の向いている方向を正確に検出することができ、所望の方向に移動体を水平移動させることができる。
【0027】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0028】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0029】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置となる。
【0030】
請求項3の発明にかかる三次元移動装置は、通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、筐体方向判別手段はケーブルチューブの下端にリモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなる。
【0031】
ここで、「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0032】
これによって、ケーブルチューブを撓ませることによって操作用リモコンを移動体の真下から離れた位置で操作することができ、移動体に近づく必要がないので作業者の安全が確保される。また、ケーブルチューブは撓みはするが捩れないものであるため、操作用リモコンを移動させてもケーブルチューブは回転せず、筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダの原点がずれることはない。
【0033】
したがって、回転接続部内に設けられたロータリエンコーダによってリモコン筐体がどちらに何度回転したかを測定して、その測定データを通信線を通じてモータ駆動制御回路に送信し、モータ駆動制御回路は受信した測定データに基いてリモコン筐体が向いている方向に移動体を水平面内で移動させるように、X軸モータ及び/またはY軸モータを制御する。
【0034】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0035】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0036】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置となる。
【0037】
請求項4の発明にかかる三次元移動装置においては、ロータリエンコーダはアブソリュートエンコーダである。ここで、「アブソリュートエンコーダ」とは、通常のロータリエンコーダのように単に回転方向と角度を測定するだけでなく、現在向いている絶対的方向を検出できるエンコーダである。
【0038】
したがって、作業の終了・中断等によって三次元移動装置の主電源を切った場合においても、再び三次元移動装置の主電源を入れた場合に、アブソリュートエンコーダによって即座にリモコン筐体が向いている方向を検出することができるため、主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに操作を開始することができる。
【0039】
これによって、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0040】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違える恐れがない。
【0041】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに操作を開始することができる三次元移動装置となる。
【0042】
請求項5の発明にかかる三次元移動装置は、操作用リモコンとモータ駆動制御回路との間の通信は、操作用リモコンに設けられた発信装置とモータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、筐体方向判別手段はリモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段である。
【0043】
ここで、ジャイロ手段としては、例えば圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等を用いることができる。また、リモコン筐体は平板状・円板状・直方体・立方体等を始めとして、どのような形状をしていても良く、リモコン筐体の正面または先端となる部分に印を付けておく等によって、リモコン筐体の向いている方向が明確に分かるようになっていれば良い。また、操作スイッチもリモコン筐体のどの位置に設けられていても構わない。
【0044】
このように、本発明にかかる三次元移動装置は、請求項2乃至請求項4にかかる三次元移動装置が有線操作方式であるのに対して、無線リモコン操作式である点に大きな特徴がある。即ち、操作用リモコンに設けられたジャイロ手段によってリモコン筐体の向いている絶対的な方角を検出し、そのデータを発信装置から受信装置へ無線信号で伝達し、モータ駆動制御回路がその信号を受け取って、リモコン筐体の向いている方向へ移動体を水平移動させるように、X軸モータ及びY軸モータを制御する。
【0045】
したがって、有線リモコン操作式の場合のように通信ケーブルの取回しに気を使う必要もなく、また移動体の真下から大きく離れた場所から(クレーン装置、ヘリコプター、等の場合)操作することができるため、作業者にとってより安全性が向上し、操作もより容易になる。ここで、リモコン筐体の向きがジャイロ手段の取付け方向に対して垂直になった場合には、ジャイロ手段によるリモコン筐体の向きの検出ができなくなるため、このような場合には操作スイッチを押しても移動体が移動しないようにしておく必要がある。
【0046】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、より安全性が向上して操作もより容易になる三次元移動装置となる。
【0047】
請求項6の発明にかかる三次元移動装置は、無線通信は電波通信装置によるものである。ここで、「電波」とは、周波数が数THz程度以下の電磁波であり、長波、中波、短波、超短波、マイクロ波を含むものである。
【0048】
電波による無線通信は間に障害物が存在していても確実に通信することができるため、操作用リモコンを持った作業者は、最も操作し易くかつ安全な位置から、移動体を移動操作することができる。このように、無線通信手段として電波を用いることによって、操作用リモコンを操作する場所を選ばないため、非常に使い易い三次元移動装置となる。
【0049】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、操作用リモコンを操作する場所を選ばず非常に使い易い三次元移動装置となる。
【0050】
請求項7の発明にかかる三次元移動装置は、無線通信は光通信装置によるものである。ここで、「光」とは、波長が約1nm〜約1mmの範囲内にある電磁波であり、可視光線のみならず、赤外線、紫外線をも含むものである。
【0051】
光は電波と異なり、発信装置(発光装置)と受信装置(受光装置)の間に障害物があると信号の伝達が妨げられるという短所はあるが、光通信装置は電波通信装置に比較して遥かに低コストであるという長所を有する。したがって、無線通信による三次元移動装置の操作システムを安価に構築することができる。
【0052】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、無線通信による操作システムを安価に構築することができる三次元移動装置となる。
【0053】
請求項8の発明にかかる三次元移動装置は、操作用リモコンのリモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で主電源を入れることによって、X軸モータ及び/またはY軸モータ及び/またはZ軸モータが作動して移動体が所定の原位置に移動する。
【0054】
無線操作方式の三次元移動装置の場合には、三次元移動装置の主電源を切断・投入する場合に、上記請求項4の発明にかかる三次元移動装置におけるようにアブソリュートエンコーダを用いることができないため、リセットの手段を講じる必要がある。特に、車両搭載型クレーン等の場合に、その必要性が大きい。
【0055】
そこで、三次元移動装置の主電源を切断した場合には、操作用リモコンのリモコン筐体を所定の原方向に向けた状態にしておいて、操作用リモコンに設けられた主電源スイッチ、または他の場所に設けられた主電源スイッチを投入するとともに、X軸モータ・Y軸モータ・Z軸モータを駆動させて移動体を所定の原位置に移動させることによって、リセット操作を行うことができ、その時点から操作用リモコンのリモコン筐体の向きのデータが、リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段によって測定されて無線で送信される。
【0056】
特に、無線操作方式の三次元移動装置の場合には、操作用リモコンも独自の電源を有する必要があることを逆に利用して、操作用リモコンの電源を充電式電池として、充電器に操作用リモコンをセットした場合にリモコン筐体が所定の原方向に向くようにしておけば、より確実にリセット操作を行うことができる。
【0057】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、主電源を切断・投入する度に確実にリセット操作をすることができる三次元移動装置となる。
【0058】
請求項9の発明にかかる三次元移動装置においては、リモコン筐体の操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、第2の操作スイッチを押すことによって移動体がリモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動する。
【0059】
これによって、請求項1乃至請求項8の発明にかかる三次元移動装置においては、移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させるためには、リモコン筐体も360度回転させる必要があったが、本発明にかかる三次元移動装置においては、リモコン筐体を180度の範囲内で回転させるのみで移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させることができる。
【0060】
したがって、作業者が三次元移動装置を操作するのがより容易になり、楽な姿勢で移動距離も少なく操作をすることができる。また、常に移動体の方向を向いて移動体を移動させることができ、移動中の移動体に背を向けることがないため、より安全性が高くなる。
【0061】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、より楽な姿勢で移動距離も少なくより安全性が高く操作をすることができる三次元移動装置となる。
【0062】
請求項10の発明にかかる三次元移動装置においては、操作スイッチが十字キーであって、十字キーの上部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、十字キーの下部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、十字キーの左部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、十字キーの右部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動する。
【0063】
これによって、移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させるためには、請求項1乃至請求項8の発明にかかる三次元移動装置においてはリモコン筐体も360度回転させる必要があり、請求項9の発明にかかる三次元移動装置においてはリモコン筐体を180度回転させる必要があったが、本発明にかかる三次元移動装置においては、リモコン筐体を90度の範囲内で回転させるのみで移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させることができる。
【0064】
したがって、作業者が三次元移動装置を操作するのがさらに容易になり、さらに楽な姿勢で移動距離もより少なく操作をすることができる。また、常に移動体の方向を向いて移動体を移動させることができ、移動中の移動体に背を向けることがないため、より安全性が高くなる。
【0065】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、さらに楽な姿勢で移動距離もより少なくより安全性が高く操作をすることができる三次元移動装置となる。
【0066】
請求項11の発明にかかる三次元移動装置においては、操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、リモコン筐体がその後向きを変えても、操作スイッチが押し込まれた時点でリモコン筐体が向いていた方向に移動体が水平面内で移動し続け、操作スイッチを再度強く押し込むことによって操作スイッチが戻って移動体が停止する。
【0067】
操作用リモコンを手にした作業者がリモコン筐体が向いている方向を移動体を水平面内で移動させたい方向と一致させて操作スイッチを押しても、作業者がリモコン筐体をその方向に向けて保持し続けなければならないとすれば、作業者にとって負担となる。そこで、操作スイッチを二段階に押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、その後リモコン筐体の向きを変えても移動体が水平移動する方向が変わらないようにすれば、リモコン筐体を一定の向きに保持する必要がなくなり、作業者の負担は大きく軽減される。そして、移動体を停止させたい場合には、再度強く押すことによって操作スイッチが戻るようにすれば良い。
【0068】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、作業者の負担を大きく軽減することができる三次元移動装置となる。
【0069】
請求項12の発明にかかる三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、X軸モータ、Y軸モータ、Z軸モータを駆動し、所望の位置に移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、操作用リモコンは、通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、操作スイッチのうち1つが押された場合に通信線を通じてモータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、モータ駆動制御回路によってX軸モータ及びY軸モータが駆動して移動体が操作スイッチが押された方向に水平面内で移動する。
【0070】
これによって、移動体を注視しつつ、リモコン筐体の側面に設けられた4個の操作スイッチのうち、移動体を移動させたい方向の操作スイッチを押し、移動体を移動させたい方向が直方体のリモコン筐体に対して斜めである場合には、2つの操作スイッチを交互に押すことによって移動体を水平面内でジグザグに移動させることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作して移動体を下降させることによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0071】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に三次元移動装置の操作をすることができ、またリモコン筐体には各側面に操作スイッチが1個ずつしか設けられていないため、リモコン筐体が汚れていても操作スイッチを押し間違える恐れが全くない。さらに、本発明にかかる三次元移動装置においては、請求項1乃至請求項11の発明にかかる三次元移動装置と異なり、筐体方向判別手段(ロータリエンコーダ、ジャイロ装置等)のような高価な機器を使用しない簡単な構成であるため、低コストにすることができる。
【0072】
さらに、本発明においては、リモコン筐体の各側面が三次元移動装置のX軸及びY軸と平行な場合に限定していないが、リモコン筐体の各側面を三次元移動装置のX軸及びY軸と平行にすることによって、移動体をX軸方向に水平移動させる場合には1つの操作スイッチのみを押し続ければ良く、移動体をY軸方向に水平移動させる場合にも1つの操作スイッチのみを押し続ければ良いので、操作がし易くなり、より好ましい。
【0073】
このようにして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、低コスト化することができる三次元移動装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0075】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0076】
図1は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図2は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図である。図3(a)は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図である。図4は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【0077】
図1に示されるように、本実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1は、建物の天井近傍に平行に敷設された走行レール2A,2Bを車輪を介して走行する1対のサドル3A,3B間に、昇降機としての巻上機5を横行可能に備えたクレーンガーダ4を横架して、昇降機としての巻上機5により巻き上げられる支持ワイヤロープ6の先端に移動体としてのフック7を固定して構成されている。
【0078】
このように、天井クレーン1は、走行レール2A,2Bに対してほぼ垂直にクレーンガーダ4を横架して、このクレーンガーダ4上を先端にフック7を有する巻上機5が移動するように構成されているので、移動体としてのフック7を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構を中心とした本発明にかかる三次元移動装置として適している。
【0079】
巻上機5からは、撓みはするが捩れない通信ケーブル8が床面近傍まで垂下しており、通信ケーブル8の下端は通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介してリモコン筐体10に接続されている。ここで、撓みはするが捩れない通信ケーブル8は、撓みはするが捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、筐体方向判別手段はケーブルチューブの下端にリモコン筐体10を回転自在に接続する回転接続部12内にロータリエンコーダを設けてなる。「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0080】
直方体のリモコン筐体10の正面には、二段押しボタン式の操作スイッチ11が設けられており、操作スイッチ11は軽く押すと固定されずに離すとばね力で戻り、強く押すと押し込まれた状態で保持され、再度強く押すとばね力で戻るようになっている。回転接続部12内には、筐体方向判別手段としての光学式ロータリエンコーダが内蔵されている。本実施の形態1にかかる操作用リモコン9は、これらの操作スイッチ11を有するリモコン筐体10と、通信ケーブル8に対してリモコン筐体10を回転自在に接続する回転接続部12から構成されている。
【0081】
更に、図2に示されるように、巻上機5はクレーンガーダ4を挟んで設けられた1対の車輪14を有しており、これらの車輪14が横行用モータ(Y軸モータ)13で駆動されて回転することによって、巻上機5がクレーンガーダ4に沿って横行する。これらの横行ユニットには支持部材15によって巻上機本体17が吊り下げ支持されており、巻上機本体17には支持ワイヤロープ6を巻き上げ、または伸ばすための巻上用モータ(Z軸モータ)16が取付けられている。
【0082】
そして、図1に示されるクレーンガーダ4を両端で支持して走行レール2A,2Bの上を走行するサドル3A,3Bには、それぞれ図示しない走行用車輪と走行用モータ(X軸モータ)が設けられている。また、図2に示される巻上機本体17には、これらのX軸モータ、Y軸モータ13、Z軸モータ16を、操作用リモコン9の操作に応じて駆動させるためのモータ駆動制御回路が内蔵されている。
【0083】
次に、本実施の形態1にかかる操作用リモコン9の構造について、図3(a)を参照して説明する。図3(a)に示されるように、リモコン筐体10は通信ケーブル8に対して360度回転自在に回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体10の正面には中央に大き目の操作スイッチ11が設けられ、その上下に上下スイッチとしての上昇スイッチ11Aと下降スイッチ11Bとが設けられている。
【0084】
前述の如く、回転接続部12の内部には筐体方向判別手段としての光学式ロータリエンコーダが設けられており、リモコン筐体10が基準となる方向(本実施の形態1においては図1に示されるようにリモコン筐体10がクレーンガーダ4と平行に向いた方向)に対して、どちら側に何度回転したかを測定して、この回転角度のデータを電気信号として通信ケーブル8に内蔵されている通信線を通じて、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路に伝達される。
【0085】
ここで、操作スイッチ11を軽く押すと、操作スイッチ11が軽く押されたという電気信号が通信ケーブル8に内蔵されている通信線を通じて、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路に伝達され、モータ駆動制御回路の制御によってX軸モータ及び/またはY軸モータ13が作動して、移動体としてのフック7がリモコン筐体10の向いている方向、即ちリモコン筐体10の正面と正反対の方向へ水平移動する。
【0086】
このモータ駆動制御回路における制御について、図4を参照して説明する。
【0087】
図4に示されるように、操作用リモコン9を構成するリモコン筐体10には操作スイッチ11、上昇スイッチ11A、下降スイッチ11Bが設けられており、回転接続部12には筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダ(光学式ロータリエンコーダ)19が内蔵されている。そして、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路18は、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)20、インバータ(またはコンタクタ)21によって構成されている。
【0088】
ここで、マイコン20は、CPU(中央処理装置)、ROM・RAM等のメモリ装置、入出力(I/O)装置を具備しており、リモコン筐体10から通信ケーブル8内の通信線を通じて送信される電気信号を受信して必要な演算処理を行い、その処理結果を電気信号としてインバータ(またはコンタクタ)21に出力する。マイコン20は、所謂ワンチップマイコンでも良いし、複数のチップまたは素子・部品から構成されるものでも良い。
【0089】
光学式ロータリエンコーダ19は、リモコン筐体10が通信ケーブル8に対して原位置からどちら側に何度回転したかを測定して、その測定値を電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じてマイコン20に送信する。そして、操作スイッチ11が押された場合には、所定の電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じてマイコン20に送信され、マイコン20はインバータ(またはコンタクタ)21に制御信号を送信して、インバータ(またはコンタクタ)21は制御信号にしたがってX軸モータ23及び/またはY軸モータ13に駆動電流を供給し、X軸モータ23及び/またはY軸モータ13を駆動させて、移動体としてのフック7をリモコン筐体10が向いている方向に移動させる。
【0090】
ここで、インバータ21を用いた場合には、X軸モータ23及びY軸モータ13に供給する駆動電流の大きさを無段階で制御できるため、巻上機5をリモコン筐体10が向いている方向に直線的に移動させることができるが、コンタクタ21を用いた場合はX軸モータ23及びY軸モータ13に供給する駆動電流の大きさは常に一定値になるため、巻上機5のフック7の移動方向は走行レール2A,2Bに平行な方向とクレーンガーダ4に平行な方向、及びそれらの中間の方向の合計8方向にしか移動させることができない。したがって、巻上機5のフック7は細かく見るとジグザグに走行してリモコン筐体10が向いている方向に移動することになる。
【0091】
なお、操作用リモコン9に設けられている上下スイッチとしての上昇スイッチ11A及び下降スイッチ11Bが押された場合には、所定の電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じて、モータ駆動制御回路18と同じく巻上機本体17に内蔵されているコンタクタ22に伝達され、コンタクタ22からZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、上昇スイッチ11Aが押された場合にはZ軸モータ16が支持ケーブル6を巻き上げてフック7を上昇させるように作動し、下降スイッチ11Bが押された場合にはZ軸モータ16が支持ケーブル6を伸ばしてフック7を下降させるように作動する。
【0092】
したがって、図1に記される天井クレーン1を操作する作業者は、まず操作用リモコン9の下降スイッチ11Bを押してZ軸モータ16を作動させてフック7を下降させ、床面に置かれている搬送物にフック7を掛け、上昇スイッチ11Aを押してZ軸モータ16を作動させ、支持ワイヤロープ6を巻き上げて搬送物を水平方向の移動に支障のない高さまで吊り上げる。続いて、搬送物を移動させたい方向にリモコン筐体10を向けて、操作スイッチ11を軽く押し、フック7に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながらリモコン筐体10の向きを微調整することによって、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる。
【0093】
操作スイッチ11を押すのを止めると操作スイッチ11はばね力で戻って、巻上機5のフック7は停止する。また、搬送物が所望の方向に移動しているのを確認したら、操作スイッチ11を強く押し込むことによって操作スイッチ11は押し込んだ状態で保持され、以後リモコン筐体10の向いている方向の電気信号は伝達されなくなり、リモコン筐体10の向きを変えても巻上機5のフック7の移動する方向は変化しない。
【0094】
このようにして、巻上機5のフック7に吊り下げられた搬送物を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチ11を離して(軽く押し続けた場合)または再度強く押し込んで(操作スイッチ11を固定させた場合)操作スイッチ11を戻して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ11Bを押すことによって、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に作動し、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0095】
このように、本実施の形態1にかかる天井クレーン1においては、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の向いている方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体10の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を所望の位置に移動させることができる。
【0096】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に天井クレーン1の操作をすることができ、またリモコン筐体10にはスイッチが3個(操作スイッチ11,上昇スイッチ11A,下降スイッチ11B)しかないため、塗装工場等で使用することによってリモコン筐体10が汚れていても、スイッチを押し間違える恐れがない。
【0097】
このようにして、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる天井クレーン1となる。
【0098】
本実施の形態1においては、操作スイッチ11を二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には操作スイッチ11が押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体10の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとした場合について説明したが、必ずしも二段階で押し込めるものとする必要はなく、操作スイッチ11を押している間はリモコン筐体10の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0099】
次に、本実施の形態1の変形例にかかるクレーン装置における操作用リモコンについて、図3(b)を参照して説明する。上述した本実施の形態1にかかる操作用リモコン9は、図3(a)に示されるように操作スイッチ11が1個しかないため、巻上機5のフック7を後退させるためには、リモコン筐体10を180度回転させて操作スイッチ11を押す必要があった。即ち、巻上機5のフック7を水平面内のあらゆる方向に移動させるためには、リモコン筐体10を360度回転させる必要があった。
【0100】
これに対して、図3(b)に示されるように、本実施の形態1の変形例にかかる操作用リモコン9Aにおいては、操作スイッチ11の裏面に第2の操作スイッチ11Cを設けている。この第2の操作スイッチ11Cが押された場合には、リモコン筐体10の向いている方向と逆方向(180度方向)に巻上機5のフック7を移動させるように、図4のマイクロコンピュータ20において制御が行われる。
【0101】
これによって、巻上機5のフック7を後退させる場合には、リモコン筐体10を動かすことなく第2の操作スイッチ11Cを押すことによって、正確に巻上機5のフック7を後退させることができる。したがって、2個の操作スイッチ11,11Cを併用することによって、巻上機5のフック7を水平面内のあらゆる方向に移動させるのに、リモコン筐体10を180度の範囲内で回転させるだけで良いことになる。
【0102】
このようにして、本実施の形態1の変形例にかかる天井クレーンにおいては、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、作業者の移動距離が短くなり、より楽に操作することができる。
【0103】
なお、本実施の形態1の変形例においても、操作スイッチ11及び/または第2の操作スイッチ11Cを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体10の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとしても良いし、操作スイッチ11及び/または第2の操作スイッチ11Cを押している間はリモコン筐体10の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0104】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図5及び図6を参照して説明する。図5は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図6は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0105】
なお、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aは、操作用リモコン35の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。また、モータ駆動制御回路の構成も操作スイッチの構造が異なる点を除けば、図4に示される実施の形態1の場合と同様であるので、適宜図4を参照して細かい説明は省略する。
【0106】
図5に示されるように、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1とは異なる平板形状のリモコン筐体36を有する操作用リモコン35が取付けられている。リモコン筐体36は、通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体36の正面には操作スイッチとしての十字キー37が中央に設けられている。
【0107】
次に、操作用リモコン35の構成について、図6を参照して説明する。
【0108】
図6に示されるように、本実施の形態2にかかる操作用リモコン35においては、リモコン筐体36の正面に上述の如く操作スイッチとしての十字キー37が中央に設けられており、十字キー37の上下には上下スイッチとしての上昇スイッチ38A,下降スイッチ38Bが設けられている。ここで、十字キー37の上部37a,下部37b,左部37c,右部37dは、いずれも二段階に押し込めるようになっており、軽く押した場合には離すとばね力で戻り、強く押し込んだ場合には押し込まれた状態で固定され、再度強く押すとばね力で戻る。
【0109】
回転接続部12の内部には、図4に示されるようにロータリエンコーダ(光学式ロータリエンコーダ)19が設けられており、リモコン筐体36が通信ケーブル8に対して初期位置(本実施の形態2においては図5に示されるようにリモコン筐体36がクレーンガーダ4と平行に向いた方向)からどちら側に何度回転したかのデータを、電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じて、巻上機本体17内のマイクロコンピュータ20に送信する。
【0110】
ここで、図6に示される操作スイッチとしての十字キー37は、上部37aを押すとリモコン筐体36の向いている方向に巻上機5のフック7が水平移動し、下部37bを押すとリモコン筐体36の向いている方向と逆方向(180度方向)に巻上機5のフック7が水平移動し、左部37cを押すとリモコン筐体36の向いている方向に対して90度左方向に巻上機5のフック7が水平移動し、右部37dを押すとリモコン筐体36の向いている方向に対して90度右方向に巻上機5のフック7が水平移動するように、マイクロコンピュータ20及びインバータ(またはコンタクタ)21によって制御される。
【0111】
したがって、リモコン筐体36を初期位置から右方向または左方向に90度の範囲内で回転させるだけで、巻上機5のフック7を水平面内で360度あらゆる方向に移動させることが可能となる。
【0112】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチとしての十字キー37を離して(軽く押し続けた場合)、または再度強く押して(強く押し込んで固定した場合)十字キー37を戻して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ38Bを押すことによって、電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じて巻上機本体17内のコンタクタ22に送信され、コンタクタ22によってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0113】
このように、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、操作スイッチとしての十字キー37の上部37a,下部37b,左部37c,右部37dを押すことによって、リモコン筐体36の向いている方向に対して所定の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体36の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0114】
このようにして、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、さらに楽に操作することができる。
【0115】
本実施の形態2においては、操作スイッチとしての十字キー37の各部37a,37b,37c,37dを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体36の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとした場合について説明したが、必ずしも二段階で押し込めるものとする必要はなく、十字キー37の各部37a,37b,37c,37dを押している間はリモコン筐体36の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0116】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図7乃至図9を参照して説明する。
【0117】
図7は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図8は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。図9は本発明の実施の形態3の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0118】
なお、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bは、操作用リモコン40の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。また、モータ駆動制御回路の構成も操作スイッチの構造が異なる点及びロータリエンコーダがアブソリュートエンコーダである点を除けば、図4に示される実施の形態1の場合と同様であるので、適宜図4を参照して細かい説明は省略する。
【0119】
図7に示されるように、本実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1Bにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1及び実施の形態2とは異なるグリップ部分の設けられた平板形状のリモコン筐体41を有する操作用リモコン40が取付けられている。リモコン筐体41は、平板面に対して垂直に通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体41の上面には操作スイッチとしての十字キー42が中央に設けられている。
【0120】
次に、操作用リモコン40の構成について、図8を参照して説明する。
【0121】
図8に示されるように、本実施の形態3にかかる操作用リモコン40においては、リモコン筐体41の上面に操作スイッチとしての十字キー42が設けられており、リモコン筐体41の先端には、グリップを兼ねた回転式の上下スイッチ43が設けられている。十字キー42の上部42a,下部42b,左部42c,右部42dは、いずれも押している間は所定の電気信号を通信ケーブル8内の通信線を通じてマイクロコンピュータ20に送信し、離すとばね力で戻るようになっている。
【0122】
また、上下スイッチ43は、作業者が片手でリモコン筐体41を押さえてもう一方の手で力を入れないと回転しないようになっており、また右回りに回転させたらフック7が上昇し、左回りに回転させたらフック7が下降するが、上下スイッチ43の表面に矢印とともに「上昇」、「下降」の文字が良く見えるように刻印されている。
【0123】
さらに、回転接続部12には筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダ(光学式アブソリュートエンコーダ)19が内蔵されており、リモコン筐体41が通信ケーブル8に対して初期位置から何度回転した位置にあるかの角度の絶対情報のデータを、電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じて、巻上機本体17内のマイクロコンピュータ20に送信する。そして、リモコン筐体41は想像線と矢印で示されるように、通信ケーブル8に対して360度自在な方向に回すことができるが、どの方向に向けたとしても、操作スイッチとしての十字キー42の上部42aを押すとその時点で操作スイッチ42の上部42aが向いている方向に巻上機5のフック7が移動するように、図4に示されるマイコン20によって制御される。
【0124】
即ち、ロータリエンコーダ(アブソリュートエンコーダ)19によって現在リモコン筐体41が向いている方向のデータがマイコン20に常に送信されているため、操作スイッチとしての十字キー42の上部42aを押されたことを示す電気信号がマイコン20に送信された場合には、マイコン20においてその時点でのリモコン筐体41が向いている方向に巻上機5のフック7が前進するように、インバータ(またはコンタクタ)21に制御信号が送信され、インバータ(またはコンタクタ)21からはそれにしたがってX軸モータ23及びY軸モータ13に駆動電流が供給される。
【0125】
同様にして、操作スイッチとしての十字キー42の下部42bを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向と逆方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御され、十字キー42の左部42cを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向に対して90度左方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御され、十字キー42の右部42dを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向に対して90度右方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御される。
【0126】
したがって、リモコン筐体41を初期位置から右方向または左方向に90度の範囲内で回転させるだけで、巻上機5のフック7を水平面内で360度あらゆる方向に移動させることが可能となるとともに、作業者が操作し易い位置に回り込んで操作することが可能になるので、移動距離が短くなり操作が楽になる。
【0127】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチとしての十字キー42を離して巻上機5のフック7を停止させ、上下スイッチ43を左回りに回転させることによって、電気信号が通信ケーブル8を通じて巻上機本体17内のコンタクタ22に送信され、コンタクタ22によってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0128】
このように、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、操作スイッチとしての十字キー42の上部42a,下部42b,左部42c,右部42dを押すことによって、リモコン筐体41の向いている方向に対して所定の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体41の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0129】
このようにして、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられた搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、さらに楽に操作することができる。
【0130】
さらに、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、筐体方向判別手段としてアブソリュートエンコーダ、即ち通常のロータリエンコーダのように単に回転方向と角度を測定するだけでなく、現在向いている絶対的方向を検出できるエンコーダを使用したことによって、作業の終了・中断等によって天井クレーン1Bの主電源を切った場合においても、再び天井クレーン1Bの主電源を入れた場合に、アブソリュートエンコーダによって即座にリモコン筐体41が向いている方向を検出することができるため、天井クレーン1Bの主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに天井クレーン1Bの操作を開始することができる。
【0131】
次に、本実施の形態3の変形例にかかる操作用リモコン40Aについて、図9を参照して説明する。図9に示されるように、本実施の形態3の変形例にかかる操作用リモコン40Aの構造は、全体的には図8に示される操作用リモコン40と類似している。異なるのは、リモコン筐体41に固定されているグリップ44は回転せず巻上機本体17の上下スイッチを兼ねるものではなく、代わりに図9に示されるように、リモコン筐体41の側面に上昇スイッチ43A及び下降スイッチ43Bが独立して設けられている点である。
【0132】
これによって、図8に示されるようにグリップ(上下スイッチ)43を回転させる場合に、どちらに回転させればフック7が下降するのかじっくり確認してから操作する必要がなくなり、フック7を上昇させる場合には図9に示される上昇スイッチ43Aを押せば良く、また、フック7を下降させる場合には下降スイッチ43Bを押せば良いので、素早く判断ができ、巻上機本体17によるフック7の昇降操作がより行い易くなる。
【0133】
このようにして、本実施の形態3の変形例にかかる天井クレーン及び操作用リモコン40Aにおいては、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全確実に操作することができるとともに、昇降動作についてもより確実かつ迅速に操作することができる。
【0134】
本実施の形態3においては、操作スイッチとしての十字キー42の各部42a,42b,42c,42dを押している間はリモコン筐体36の向きに追従して移動体としてのフック7の移動方向が変化するとした場合について説明したが、十字キー42の各部42a,42b,42c,42dを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体41の向きを変化させても移動体としてのフック7の移動方向が変わらないものとしても良い。
【0135】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図10及び図11を参照して説明する。
【0136】
図10は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図11は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0137】
なお、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cは、操作用リモコン45の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。
【0138】
図10に示されるように、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1乃至実施の形態3とは異なる直方体形状のリモコン筐体46を有する操作用リモコン45が取付けられている。リモコン筐体45は、通信ケーブル8に対して回転不能に固定して取付けられており、リモコン筐体45の直方体の各側面には操作スイッチ47A,47B,47C,47Dがそれぞれ設けられている。
【0139】
次に、操作用リモコン45の構成について、図11を参照して説明する。図11に示されるように、本実施の形態4にかかる操作用リモコン45においては、上述の如く、通信ケーブル8の下端にリモコン筐体46が固定されており、リモコン筐体46の4つの側面には、それぞれ操作スイッチ47A,47B,47C,47Dが設けられている。また、操作スイッチ47Aの設けられている側面には、操作スイッチ47Aの上下に、上下スイッチとしての上昇スイッチ48A及び下降スイッチ48Bが設けられている。
【0140】
そして、操作スイッチ47A,47Cの設けられている側面は天井クレーン1Cの走行レール2A,2Bに平行であり、操作スイッチ47B,47Dの設けられている側面は天井クレーン1Cのクレーンガーダ3A,3Bに平行となっている。
【0141】
さらに、巻上機本体17内には制御機器としてコンタクタのみが設けられており、操作スイッチ47Aが押されたときには、図1に示される巻上機5のフック7がクレーンガーダ4に沿ってサドル3A側へ移動するように、操作スイッチ47Cが押されたときには巻上機5のフック7がクレーンガーダ4に沿ってサドル3B側へ移動するように、また操作スイッチ47Bが押されたときにはクレーンガーダ4が図1の右上方向に移動するように、操作スイッチ47Dが押されたときにはクレーンガーダ4が図1の左下方向に移動するように、それぞれ横行用モータ(Y軸モータ)13またはサドル3A,3Bに設けられた図示しないX軸モータ23に、駆動電流が供給される。
【0142】
したがって、天井クレーン1Cを操作する作業者は、フック7に掛けられた搬送物を注視しながら、リモコン筐体46の4つの操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのいずれかを押すことによって、特に斜め方向に搬送物を移動させる場合には操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのうちいずれか二つを交互に断続的に押すことによって、ジグザグに所望の方向に巻上機5のフック7を移動させて搬送物を移動させることができる。
【0143】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチ47A,47B,47C,47Dを離して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ48Bを押すことによってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0144】
このように、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、操作スイッチ47A,47B,47C,47Dを押すことによって、それぞれのスイッチの押された方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながら操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのいずれかを押せば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0145】
さらに、本実施の形態4の天井クレーン1Cにおいては、実施の形態1乃至実施の形態3と異なり、光学式ロータリエンコーダやマイクロコンピュータ等の高価な装置を使用しない簡単な構造であるため、装置として安価になり、小型工場等でも設置し易いものとなっている。
【0146】
このようにして、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、より低コストにすることができる。
【0147】
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図12乃至図14を参照して説明する。図12は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図13(a)は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体の全体構成を示す正面図、(b)は左側面図である。図14は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンの制御の仕組みを示すブロック図である。
【0148】
なお、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dは、通信ケーブル8がない点、巻上機内のモータ駆動制御回路の構成、及び操作用リモコン50の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。
【0149】
図12に示されるように、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dは、上記実施の形態1乃至実施の形態4にかかる天井クレーンがいずれも通信ケーブル8を用いた有線操作式であったのに対して、無線操作式である点が大きく異なっている。
【0150】
即ち、本実施の形態5においては、図14に示されるようにリモコン筐体51内には電波の発信装置30が内蔵されており、巻上機29内には電波の受信装置31が内蔵されていて、リモコン筐体51の操作スイッチとしての十字キー52等を押すことによって、そのデータが無線信号に変換されて発信装置30から電波として発信され、受信装置31がその電波を受信して電気信号に変換し、モータ駆動制御回路28内のマイクロコンピュータ20の入出力(I/O)ポートに入力させて移動体としてのフック7の移動制御が行われる。
【0151】
したがって、多少高価にはなるが、天井クレーン1Dが設置された建屋内の何処からでもフック7の移動制御を行うことができるので、より安全であり、かつ非常に使い易い天井クレーン1Dとなる。
【0152】
まず、リモコン筐体51及び巻上機29の内部構成について、図14を参照して説明する。図14に示されるように、本実施の形態5においてはリモコン筐体51内にもマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)27が内蔵されており、このマイコン27はマイコン20と同様に、CPU(中央処理装置)、ROM・RAM等のメモリ装置、入出力(I/O)装置を具備している。さらに、リモコン筐体51内には、圧電ジャイロ25及び地磁気センサ26が内蔵されており、圧電ジャイロ25によってリモコン筐体51の向いている方角がリモコン筐体51の回転によって検出される。
【0153】
また、操作スイッチ52、上昇スイッチ53A、下降スイッチ53Bの他に、リセットボタン55が設けられており、このリセットボタン55は圧電ジャイロ25による方角の検出にずれが生じてきた場合に押すことによって、地磁気センサ26で正確に測定される真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0154】
これらの圧電ジャイロ25、地磁気センサ26、操作スイッチ52、上昇スイッチ53A、下降スイッチ53B、リセットボタン55からの電気信号は、マイコン27に入力され、マイコン27のメモリ装置に記憶されたプログラムにしたがって演算処理された後に、制御信号として発信装置30に送信され、発信装置30から電波として発信される。
【0155】
一方、巻上機29の内部には、図4と同様にマイクロコンピュータ20が内蔵されており、発信装置30から発信された電波を受信する受信装置31からの電気信号が入力されて、マイコン20のメモリ装置に記憶されたプログラムにしたがって演算処理された後に、制御信号がインバータ(またはコンタクタ)21及びコンタクタ22に電気信号として送信され、インバータ(またはコンタクタ)21からはX軸モータ23及びY軸モータ13に制御信号に応じた駆動電流が供給され、コンタクタ22からはZ軸モータ16に駆動電流が供給される。
【0156】
次に、本実施の形態5における移動体としてのフック7の移動方向の制御の具体的内容について、図13(a)及び図14を参照して説明する。図13(a)においては、リモコン筐体50はほぼ水平に保持されているものとする。図13(a)に示されるように、リモコン筐体50の先端が圧電ジャイロ25の0度方向(真北方向)に対して角度θだけ西方向に向いている場合に、操作スイッチとしての十字キー52の上部を押すと、圧電ジャイロ25が真北方向に対して角度θだけ西方向に向いていることを検出して、そのデータ信号をマイコン27に送信する。
【0157】
すると、マイコン27においては、リモコン筐体50が真北方向に対して角度θ西方向に向いていること、及び十字キー52の上部が押されたことが判定されて、フック7を真北方向に対して角度θ西方向に移動させるように、制御信号が発信装置30に送信される。発信装置30から無線電波として発信された制御信号を受信した受信装置31から送信された制御信号は、マイコン20によって電気信号としてインバータ21に送信され、インバータ21からは巻上機29を真北方向に対して角度θ西方向に移動させるように、X軸モータ23及びY軸モータ13にそれぞれ必要な駆動電流が供給される。
【0158】
また、図13(a)において、操作スイッチとしての十字キー52の右部52aが押された場合には、マイコン27において、リモコン筐体50が真北方向に対して角度θ西方向に向いていること、及び十字キー52の右部52aが押されたことが判定されて、フック7を真北方向に対して角度(θ−90)度だけ西方向に、即ち角度(90−θ)度だけ東方向に移動させるように、制御信号が発信装置30に送信される。制御信号を受信したマイコン20によって、インバータ21が制御されて、フック7を真北方向に対して角度(90−θ)度だけ東方向に移動させるように、X軸モータ23及びY軸モータ13にそれぞれ必要な駆動電流が供給される。
【0159】
なお、図13(a)においてリモコン筐体50はほぼ水平に保持されているものとしたが、リモコン筐体50が前後方向或いは左右方向に傾いていても、圧電ジャイロ25によってリモコン筐体50が水平面内においてどの方向を向いているかが検出されて、同様に移動体としてのフック7を移動させる制御が行われる。但し、リモコン筐体50が前後方向或いは左右方向にほぼ90度以上傾いている場合には、圧電ジャイロ25による方角の検出ができないため、十字キー52を押しても移動体としてのフック7は移動しないようになっている。
【0160】
したがって、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dを操作する作業者は、まず床面に置かれた搬送物及び巻上機29のフック7から離れた場所において、操作用リモコン50の十字キー52の上部・下部・左部・右部のいずれかを押して、かつリモコン筐体51を適切な方向に向けることによって、巻上機29のフック7を搬送物の真上に移動させる。続いて、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられた下降スイッチ53Bを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を搬送物に届くまで下降させる。
【0161】
それから、作業者は搬送物に近づいて、フック7を搬送物に掛け、再び搬送物から離れた位置に移動して、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられた上昇スイッチ53Aを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を上昇させ、搬送物を水平移動に支障がない高さまで吊り上げる。そして、操作用リモコン50の十字キー52の上部・下部・左部・右部のいずれかを押して、かつリモコン筐体51を適切な方向に向けることによって、巻上機29のフック7を搬送場所の真上に向けて水平移動させる。巻上機29のフック7が搬送場所の真上まで移動したら、操作用リモコン50の十字キー52を離して巻上機29のフック7を停止させ、下降スイッチ53Bを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を下降させて搬送物を所定の搬送場所に荷降ろしする。
【0162】
このように、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dにおいては、無線電波によって巻上機29のフック7を移動させるために、作業者は天井クレーン1Dが設置された建屋内のどの位置からでも天井クレーン1Dを操作することができ、しかも手元を注視する必要がなく搬送物の動きを注視しながら操作できるため、初心者でも容易に、かつ安全・確実・迅速に天井クレーン1Dを操作することができる。
【0163】
ここで、圧電ジャイロ25については、時間とともに方角の検出にずれが生じてくる場合が多いため、作業者が方角の検出にずれが生じたと判断した場合には、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられたリセットボタン55を押すことによって、地磁気センサ26で正確に測定される真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0164】
なお、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dにおいては、方角検出のずれを補正するために地磁気センサ26を用いる場合について説明したが、天井クレーン1Dが設置されている建屋において東西南北が正確に分かっている場合には、地磁気センサ26を用いる必要はなく、操作用リモコン50のリモコン筐体51を真北に向けた状態でリセットボタン55を押すことによって、正確な真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0165】
また、本実施の形態5においては、操作スイッチとしての十字キー52の各部52a等を押している間はリモコン筐体51の向きに追従して移動体としてのフック7の移動方向が変化するとした場合について説明したが、十字キー52の各部52a等を二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体51の向きを変化させても巻上機29のフック7の移動方向が変わらないものとしても良い。
【0166】
さらに、本実施の形態5においては、無線通信の方法として電波通信装置を用いた場合について説明したが、電波の代わりに光を用いることもできる。光は電波と異なり、発信装置(発光装置)と受信装置(受光装置)の間に障害物があると信号の伝達が妨げられるという短所はあるが、光通信装置は電波通信装置に比較して遥かに低コストであるという長所を有する。したがって、無線通信による天井クレーンの操作システムを安価に構築することができる。
【0167】
また、本実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1Dにおいては、無線操作式であるため、操作用リモコン50も電源を独自に有する必要があるが、操作用リモコン50の電源を充電式電池として、その充電器に操作用リモコン50をセットした場合に、リモコン筐体51の向きが天井クレーン1Dの走行レール2A,2Bと平行(または垂直)になるように、充電器を建屋内に固定しても良い。
【0168】
これによって、作業の終了・中断等によって天井クレーン1Dの主電源を切断した場合には、操作用リモコン50が充電器にセットされることによってリモコン筐体51が所定の原方向に向けられた状態となり、操作用リモコン50に設けられた主電源スイッチ、または他の場所に設けられた主電源スイッチを投入するとともに、X軸モータ23・Y軸モータ13・Z軸モータ16を駆動させてフック7を所定の原位置に移動させることによって、リセット操作を行うことができ、天井クレーン1Dの主電源の切断・投入の操作を繰り返しても確実にリセット操作が行われる。
【0169】
上記各実施の形態においては、本発明にかかる三次元移動装置として天井クレーンの例についてのみ説明したが、本発明にかかる三次元移動装置は天井クレーンに限られるものではなく、モバイルハーバクレーン・車両搭載型クレーン・ジブクレーン等の種々のクレーン装置を始めとして、高所作業車(自走式高所作業車を含む)、さらにはラジオコントロール式の飛行機やヘリコプター等に幅広く使用することができる。
【0170】
また、上記各実施の形態においては、モータ駆動制御回路を巻上機内に配置した例について説明したが、モータ駆動制御回路は巻上機内に配置される場合に限られず、巻上機の近傍に筐体に入れて配置されていても良い。
【0171】
本発明を実施する際には、三次元移動装置のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではなく、任意の形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図である。
【図3】図3(a)は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態3の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図13】図13(a)は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体の全体構成を示す正面図、(b)は左側面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンの制御の仕組みを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0173】
1,1A,1B,1C,1D 三次元移動装置(天井クレーン)
2A,2B 走行レール
3A,3B サドル
4 クレーンガーダ
5,29 昇降機(巻上機)
6 支持ワイヤ
7 移動体(フック)
8 通信ケーブル
9,9A,35,40,40A,45,50 操作用リモコン
10,36,41,46,51 リモコン筐体
11,47A,47B,47C,47D 操作スイッチ
11A,38A,43A,48A,53A 上昇スイッチ
11B,38B,43B,48B,53B 下降スイッチ
11C 第2の操作スイッチ
12 回転接続部
13 横行用モータ(Y軸モータ)
16 巻上用モータ(Z軸モータ)
37,42,52 操作スイッチ(十字キー)
43 上下スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、
前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、
リモコン筐体の向いている方向を検出する筐体方向判別手段、前記リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるように前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータを制御する前記リモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、前記移動体を上昇または下降させる前記リモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、前記筐体方向判別手段によって検出された前記リモコン筐体の向いている方向のデータ、前記操作スイッチ、前記上下スイッチの動作の有無データを前記モータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンと
を具備することを特徴とする三次元移動装置。
【請求項2】
前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われることを特徴とする請求項1に記載の三次元移動装置。
【請求項3】
前記通信ケーブルは、撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記筐体方向判別手段は前記ケーブルチューブの下端に前記リモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなることを特徴とする請求項2に記載の三次元移動装置。
【請求項4】
前記ロータリエンコーダは、アブソリュートエンコーダであることを特徴とする請求項3に記載の三次元移動装置。
【請求項5】
前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は、前記操作用リモコンに設けられた発信装置と前記モータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、前記筐体方向判別手段は前記リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段であることを特徴とする請求項1に記載の三次元移動装置。
【請求項6】
前記無線通信は、電波通信装置によることを特徴とする請求項5に記載の三次元移動装置。
【請求項7】
前記無線通信は、光通信装置によることを特徴とする請求項5に記載の三次元移動装置。
【請求項8】
前記操作用リモコンの前記リモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で前記移動機構の主電源を入れることによって、前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータ及び/または前記Z軸モータが作動して前記移動体が所定の原位置に移動することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項9】
前記リモコン筐体の前記操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、該第2の操作スイッチを押すことによって前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項10】
前記操作スイッチは十字キーであって、
前記十字キーの上部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、前記十字キーの下部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、前記十字キーの左部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、前記十字キーの右部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項11】
前記操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には前記操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、前記リモコン筐体がその後向きを変えても、前記操作スイッチが押し込まれた時点で前記リモコン筐体が向いていた方向に前記移動体が水平面内で移動し続け、前記操作スイッチを再度強く押し込むことによって前記操作スイッチが戻って前記移動体が停止することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項12】
昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、
前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、
前記モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、
前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、
前記操作用リモコンは、前記通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、前記リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、前記移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、
前記操作スイッチのうち1つが押された場合に前記通信線を通じて前記モータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び前記Y軸モータが駆動して前記移動体が前記操作スイッチが押された方向に水平面内で移動することを特徴とする三次元移動装置。
【請求項1】
昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、
前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、
リモコン筐体の向いている方向を検出する筐体方向判別手段、前記リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるように前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータを制御する前記リモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、前記移動体を上昇または下降させる前記リモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、前記筐体方向判別手段によって検出された前記リモコン筐体の向いている方向のデータ、前記操作スイッチ、前記上下スイッチの動作の有無データを前記モータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンと
を具備することを特徴とする三次元移動装置。
【請求項2】
前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われることを特徴とする請求項1に記載の三次元移動装置。
【請求項3】
前記通信ケーブルは、撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記筐体方向判別手段は前記ケーブルチューブの下端に前記リモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなることを特徴とする請求項2に記載の三次元移動装置。
【請求項4】
前記ロータリエンコーダは、アブソリュートエンコーダであることを特徴とする請求項3に記載の三次元移動装置。
【請求項5】
前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は、前記操作用リモコンに設けられた発信装置と前記モータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、前記筐体方向判別手段は前記リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段であることを特徴とする請求項1に記載の三次元移動装置。
【請求項6】
前記無線通信は、電波通信装置によることを特徴とする請求項5に記載の三次元移動装置。
【請求項7】
前記無線通信は、光通信装置によることを特徴とする請求項5に記載の三次元移動装置。
【請求項8】
前記操作用リモコンの前記リモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で前記移動機構の主電源を入れることによって、前記X軸モータ及び/または前記Y軸モータ及び/または前記Z軸モータが作動して前記移動体が所定の原位置に移動することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項9】
前記リモコン筐体の前記操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、該第2の操作スイッチを押すことによって前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項10】
前記操作スイッチは十字キーであって、
前記十字キーの上部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、前記十字キーの下部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、前記十字キーの左部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、前記十字キーの右部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項11】
前記操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には前記操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、前記リモコン筐体がその後向きを変えても、前記操作スイッチが押し込まれた時点で前記リモコン筐体が向いていた方向に前記移動体が水平面内で移動し続け、前記操作スイッチを再度強く押し込むことによって前記操作スイッチが戻って前記移動体が停止することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の三次元移動装置。
【請求項12】
昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、
前記X軸モータ、前記Y軸モータ、前記Z軸モータを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、
前記モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、
前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、
前記操作用リモコンは、前記通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、前記リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、前記移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、
前記操作スイッチのうち1つが押された場合に前記通信線を通じて前記モータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び前記Y軸モータが駆動して前記移動体が前記操作スイッチが押された方向に水平面内で移動することを特徴とする三次元移動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−39232(P2007−39232A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228024(P2005−228024)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(505297910)有限会社ペイントスタッフ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(505297910)有限会社ペイントスタッフ (3)
【Fターム(参考)】
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