説明

三種の天然繊維を配合した強化プラスチック樹脂

【課題】従来のFRP成形には強度確保重視のためガラス繊維とポリエステル樹脂を複合して生成されていたがガラス繊維はリサイクル性が低く焼却時に残渣が発生する等、環境に大きな負荷を強いてきている。また成形作業時に微細化したガラス繊維が人体内外に付着・吸引する可能性が高く、人体への悪影響が懸念されている。
【解決手段】 FRP成形にガラス繊維を使用せず3種の天然繊維を複合使用することにより、リサイクル性を確保し、また天然繊維の使用に伴い成形時の人体の保護も兼ねている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維強化プラスチック樹脂の素材に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチックはガラス繊維の併用が一般的であり、天然繊維では竹繊維での強化をアプローチした事例も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガラス繊維はリサイクル・廃棄に大きなコストがかかり実情は環境汚染となっている。また繊維が非常に微細であるため吸引の可能性が高く健康被害の懸念も考えられ等、ドイツ等の一部の国では法規制の動きもあり、多くの課題を抱えていると言える。
【0004】
当発明は、複数(3種)の天然繊維素材を組合せ加工し、ガラス繊維強化プラスチックに代替する天然繊維強化プラスチックを開発し、ガラス繊維プラスチックの強度に限りなく接近することを目標とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために種の天然繊維強化プラスチックを試作し、ガラスFRPを含めてねそれぞれ3回づつの強度試験を実施した。
その結果、最も良い結果を示した素材を抽出し、最終的には、その素材を使用した場合の強度向上のために最適の施工方法を見出すものである。
【発明の効果】
【0006】
強度試験の結果、ガラス繊維FRPに最も近い数値を記録した天然繊維素材はアゲルと言う天然繊維であり、3回のガラス繊維FRPの強度試験のうち2回目の試験結果が突出した強度を示したことにより平均値が上げられていることを考えると、アゲルの強度は充分に目標値に接近した結果を得られたものと考える。実質、1回目・3回目の試験結果だけで判断すると、ガラス繊維FRPの69.9%〜96%程度の強度を確保することを達成している。以上により、当発明の実施に於いて使用する自然繊維をアゲルにすることと決定した。次にアゲルだけの強度ではFRPと同等の強度には及ばないため、更に強度を引き出す天然繊維強化プラスチックの施工法として、アゲル・メッシュ繊維・麻繊維の3種の組み合わせが妥当との結論に達し、選択する天然繊維を以上の3種に特定した。以上の三点の天然繊維を併用することにより、一層ガラス繊維強化プラスチックの強度に接近したものになったと言える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の一実施形態である試験結果を示す表である。
【図2】天然繊維素材FRP1種目(アゲル)の強度試験の結果を示す画像である。写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【図3】天然繊維素材2種目の強度試験の結果を示す画像である。 写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【図4】天然繊維素材3種目の強度試験の結果を示す画像である。写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【図5】天然繊維素材4種目の強度試験の結果を示す画像である。写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【図6】天然繊維素材5種目の強度試験の結果を示す画像である。写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【図7】天然繊維素材6種目の強度試験の結果を示す画像である。写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【図8】ガラス繊維素FRPの強度試験の結果を示す画像である。写真左から1枚目は1回目の試験前の写真であり、2枚目は試験結果後である。写真左から3枚目は2回目の試験前の写真であり、4枚目は試験結果後である。写真左から5枚目は3回目の試験前の写真であり、6枚目は試験結果後である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図によって詳細に説明する。
図1は本発明物の強度試験結果であり、3回の試験でそれぞれほぼ平均的な結果を示している。一方、図1-FRPは2回目の強度試験結果が突出しており、1回目、及び2回目の試験結果の2倍近い強度結果を示しており、3回の試験結果の平均値を大きく上げる結果となっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRP成形に於いて、通常のガラス繊維強化FRPに代替すべく3種の天然繊維素材を複合利用した天然繊維強化FRP。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−157410(P2011−157410A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17710(P2010−17710)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(309024044)株式会社 アポア (2)
【Fターム(参考)】